IRUCAA@TDC : 第282回東京歯科大学学会インプラントシンポジウム : 提示症例2 歯周病を有したインプラント症例のリスクについて
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(2) 歯科学報. Vol.1 0 7,No.4(2 0 0 7). 4 0 9. 提示症例2:. 歯周病を有したインプラント症例のリスクについて. 提示者 岡崎雄一郎 (東京歯科大学口腔がんセンター,東京歯科大学市川総合病院歯科・口腔外科). 1.はじめに 高齢社会が進む中,口腔疾患に関する認識も高 まっており,インプラント治療の需要もさらに増加 していくものと思われる。しかしながら加齢ととも に様々な全身疾患を有することが多く, また, 近年で はメタボリックシンドロームが注目されているよう に中年層においても様々な投薬加療を受けている場 合も多い。そして全身的なリスクを伴った歯周病患 者の年代層は年々若年化しているのも事実である。 われわれは総合病院の中の歯科・口腔外科として. 図1. インプラント治療を施行しており,一般的なインプ ラント治療の他,口腔がん,顎裂・顎変形症,顎顔. しまう事にもなりかねない。. 面外傷等を中心とする口腔外科的疾患の術後にもイ. 今回の提示症例も初期のセルフケアは不良であ. ンプラント治療を応用している。今回は当院での自. り,メインテナンスに苦慮していたが,現在はメイ. 験例の中で,歯周病のリスクを伴った症例を提示. ンテナンスに対する理解,セルフケアも良好となっ. し,問題提起をした。. ている。. 重度の歯周病を有した症例に対してインプラント. 2.症例提示. 治療を行う際の留意事項として,①術前からの徹底 した口腔清掃指導,②インプラント埋入後の口腔清. 症. 例:4 2歳,女性. 掃管理,③上部構造の形態を考慮した口腔清掃指. 主. 訴:上顎前歯部の局部義歯による違和感. 導,④継続的なメインテナンスなどがあげられる。. 既往歴:高血圧症,高脂血症. 歯周病患者にも様々な因子(年齢,骨吸収様式,根. 現. 分岐部病変の有無,初期治療の反応性など) により. 状態も不良であった。初診時のX線写真を示す(図. 低リスク群と高リスク群に分けられるとされている. 2) 。以後,全顎的に歯周治療をすすめ,特に上顎. 症:全顎的に重度の歯周炎を伴い,口腔内清掃. が,患者個々のセルフケアの意識差によっても大き く変化するものと思われる(図1) 。われわれは,イ ンプラント治療が決定した段階で口腔環境の重要性 について歯科衛生士が中心に指導を行い,継続的な メインテナンスを行うことで良好な口腔内環境を維 持できるものと考えている。しかし,それらの指導 にも理解を示さない症例の場合は,残存歯の喪失率 上昇,さらにはインプラント周囲炎を引き起こして ― 35 ―. 図2.
(3) 4 1 0. インプラントシンポジウム. 図4. 図3a. 図3b. 図5. 図6. 右側第一大臼歯は咬合高径維持のための key teeth. 臼歯の近心の垂直的骨欠損部位に対して,掻爬後に. として考えられたため,極力保存に努めた。X線写. 削去した自家骨を移植した。同部位の経過は約7年. 真,口腔内写真,歯周検査を示す。(図3a, b). 経過しているが,骨吸収も認めず経過良好である(図. インプラント治療:上顎前歯部の欠損部(5| ―1) に. 5) 。. 対して局部義歯を使用していたが,本人の強い希望. 経. で平成1 1年1 0月1日,同欠損部に4本のフィクス. 6) を示すが,インプラント周囲に異常は認めず,. チャーを埋入した(図4) 。埋入時,上顎右側第一大. 隣在歯の状態も安定している。現在は残存歯の歯周. ― 36 ―. 過:負荷後約6年のX線写真,口腔内写真(図.
(4) 歯科学報. Vol.1 0 7,No.4(2 0 0 7). 4 1 1. 炎状況は改善傾向にあるものの,動揺歯,急性の歯 周炎を併発する歯牙もみられ,継続的な加療が必要 な症例である。現在のデンタルX線写真,口腔内写 真(図7) を示す。全顎的に症状は落ち着いており, 歯周ポケット,BOP ともに初診時より改善傾向に ある(図8) 。 今後は,下顎右側臼歯部の欠損部位にインプラン ト治療を計画中であるが,歯周管理を含め慎重な経 過観察が必要な症例である。 図7. 【メインテナンス時】. 図8. 保存すべきか. 問題提起 ・インプラント治療に至る術前の歯周治療の 到達目標. ・インプラントとの共存について ・インプラント埋入予定部位の隣在歯の 扱いについて. ・歯周病リスクの評価法について ・歯周病リスクを有する歯は抜歯すべきか. ― 37 ―.
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