Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
ペインクリニックのための検査法(画像検査を中心に)
Author(s)
松浦, 信幸; 一戸, 達也
Journal
歯科学報, 115(3): 213-215
URL
http://hdl.handle.net/10130/3690
Right
―――― カラーアトラス ――――
ペインクリニックのための検査法
(画像検査を中心に)
まつ うら のぶ ゆき松 浦 信 幸,
いち のへ たつ や一 戸 達 也
東京歯科大学歯科麻酔学講座カ ラ ー ア ト ラ ス の 解 説
はじめに シリーズ3回目の今回は,ペインクリニックにお ける検査法について画像検査を中心に解説する。近 年,画像検査技術の発展により疼痛疾患における原 因部位の特定,鑑別診断,治療計画の立案,治療効 果判定などが容易となり,画像検査は必要不可欠な 検査手段となった。しかし,画像検査のみでは知り 得ない情報も多いため,患者の訴える疼痛の種類, 部位に応じた適切な検査法の選択と組み合わせが重 要である。 画像検査 エックス線検査(図1) デンタルエックス線撮影やパノラマエックス線撮 影は,歯,歯周組織,顎骨,下顎管,上顎洞および 下顎頭などの状態を二次元的に確認・診断するのに 有用な検査法である。ペインクリニックにおいて, 特に非歯原性歯痛の場合では硬組織に異常を認めな い陰性所見も診断の一助となることも多い。 コンピューター断層撮影法(CT)(図2) 撮影対象物に対して360度から照射したエックス 線により対象物の断層像を得ることが出来る。硬組 織の三次元的な空間解像度が高く,神経周囲の硬組 織や埋伏智歯,インプラント体の確認などに有用で ある。撮影データを3D 画像として構築することが でき,立体的イメージとして示すことも可能であ る。歯科用コーンビーム CT ではアーチファクトの 少ないより高解像度の画像を得ることが出来る。 磁気共鳴映像法(MRI)(図3) MRI は強力な磁場を利用して体内の水素原子核 の共鳴現象を画像化したもので,特に血管や神経, 脂肪組織などの軟組織の撮像に優れており,エック ス線検査に比べ非侵襲的かつ高い対比解像度で生体 情報を得る事ができる。MRI は撮影法を変えるこ とで異なった信号源を強調したコントラストの画像 を得ることもできるため,病態を多様に観察するこ とが可能である。MRI と他の画像検査を組み合わ せることで,神経周囲組織の病態のより正確な評価 が可能となる。ペインクリニックでは神経血管性疼 痛(三叉神経痛など)の診断に用いられる。 赤外線サーモグラフィー検査(図4) 皮膚表面から発する赤外線の量を計測して,その 結果を熱画像や温度分布図として表す検査法であ る。皮膚表面の温度分布は,体表面の血液量と一致 するため,サーモグラフィーは皮膚温に変化をきた す局所の炎症,血行障害,慢性疼痛,自律神経症状 などの病態をより客観的に把握する補助的検査法と して,また病態回復の経過観察にも用いられる。 サーモグラフィーの結果はトリガーポイントの疼痛 VAS 値,疼痛計で評価したスコア疼痛症状などの指 標とも相関が認められており1) ,筋肉血流も反映す ることから筋・筋膜病変の検査として有用である2) 。 感覚検査 電流知覚閾値検査(図5) 末 梢 神 経 刺 激 装 置 で あ る NeurometerⓇ (Neuro-tron Inc., Baltimore, MD,米国)は,3種の異なる 周波数(2000Hz,250Hz,5Hz)による正弦波経皮 的電気刺激により,Aβ,Aδ,C 線維をそれぞれ選 択的に刺激することが出来る。これにより,末梢神 経線維ごとの障害の程度(知覚過敏・知覚鈍麻)の測 定と評価ができる。 SW(Semmes-Weinstein)知覚テスト(図6) 静的触覚の観察に用いられるテストで,20種の太 さの異なるナイロン製モノフィラメントを皮膚表面 や粘膜に対してわずかにたわむ程度圧接し,触圧覚 の障害(麻痺)の程度と範囲を定量的に測定する方法 である。最も細いフィラメントから開始して,患者 が識別出来るまでフィラメントの太さを段階的に上 げ,最初に識別出来たフィラメントのナンバーを閾 値とする3)。 以上がペインクリニックにおける代表的な検査法 であるが,上記以外にも感覚検査として体表面の二 点の機械的刺激と識別できる最小距離を測定する二 点弁別閾検査,温度感覚検査,体表面への電気刺激 による神経応答を観察する神経電気生理学的検査な どがある。 謝 辞 本稿を終えるにあたり,貴重な写真(図2,図3)を提供し ていただいた,東京歯科大学口腔インプラント学講座 矢島 安朝教授,伊藤太一先生,歯科放射線学 西川慶一先生,音 成実佳先生に心より御礼申し上げます。 文 献1)Hakgüder A, Birtane M, Gürcan S, Kokino S, Turan FN : Efficacy of low level laser therapy in myofascial pain syndrome : an algometric and thermographic evalu-ation. Lasers Surg Med, 33:339−343,2003.
2)非歯原性(筋性・神経障害性・神経血管性)歯痛の診断と 治療のガイドライン
http://kokuhoken.net/jdsa/data/file/guideline_toothache. pdf(accessed 2015-03-02)
3)Levin S, Pearsall G, Ruderman RJ : Von Frey s method of measuring pressure sensibility in the hand : an engi-neering analysis of the Weinstein-Semmes pressure aes-thesiometer. J Hand Surg, 3:211−216,1978.