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女子短大生の自己概念と衣服デザインの嗜好について

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Academic year: 2021

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(1)

女子短大生の自己概念と衣服

  デザインの嗜好について

Relationship between Self−Concept and Clothing Design     Preferences for Group of College Women

1 緒

言  多くの衣服から特定の衣服を選択したり購買や着装、廃棄等の被服に関する行動をする蝪合 その衣服の機能性、審美性や経済性、社会性、心理学的なこれらの面を綜合的に判断し行動を 起す。心理学的な面とは機能性や経済性、社会性等の実用的、物理的機能面を除いた感覚的な 面、例えば満足度、好き嫌いの嗜好も含まれている。また、この嗜好には多くの因子が影響し ているが、その1つに自己概念がある。個々人は現実の自分をどのように知覚しているか、ま た捉えているかという現実的な自己概念と、自分はこのようであって欲しい、このようであり たいと望んでいる理想的な人間像、すなわち理想とするイメージを持っている。この現実自己 と理想自己の抱いているイメージと好きな衣服デザイン、嫌いな衣服デザインとの間には何ら かの関連があると思われる。そこでイメージの測定法としてよく知られているSD法を用いて 自己概念と衣服デザインを共通に評価できる形容語対を選び7段階尺度で評定を行い、好きな デザイン、嫌いなデザインと現実自己と理想自己の抱いているイメージとの関連性について検 討を行った。

2 研 究 方 法

 2−1 形容語対の選定  イメージ用語の選定は菅、梁瀬、オズグッド等のものを参考に現実自己および理想自己と衣 服スタイルの各刺激に対して共通でしかもすぐ連想する形容詞対25を選定した(表1)。 2−2衣服デザインの選定  選定は1982年7月本学被服専攻2年の学生で行った。参考雑誌は少女対象のものからミセス       30

(2)

女子短大生の自己概念と衣服デザインの嗜好について 表1 自己概念と被服のイメージを測定する形容詞対

12004︻﹂ρ07

8.あっさりした 9. 10.落:つきのある 11. 12.ゆったりした 13.  男っぽい 古めかしい 風変わりな   かたい 活気がある   複雑な  クールな   素朴な  進歩的な   明るい 女らしい 新らしい 型にはまった やわらかい おとなしい 単純な ホットな しつこい 華麗な 落つきのない 保守的な きゅうくつな 暗い

456789012345

1111ーユ222222

17.としよりじみた   平凡な   がさつな  やぼったい   繊細な  魅力的な   清潔な   上品な   地味な  大人っぽい 安定している   モダンな 個性的な 優雅な しゃれた 若々しい 大胆な 魅力的でない 不潔な 下品な 派手な 子供っぽい 不安定な 古風な /

N

、鍵

八八

ノ縁

醸峯

 ノ

孫一.

1図選定衣服デザイン

対象のもの迄の年令巾を広く、また雑誌の種類はファッション専門誌から週刊誌にわたる多種 類のものからデザインを集めその中から予備調査により6体のデザインを選定した。選定に際 して内山等の研究結果を参考にして、ファッショナブルのもの、流行おくれのもの、デコラテ ィブのもの、シンプル、素朴、華麗なデザインに属すると思われるデザイン6体を選定した (1図)。なお、調査はデザインの形態的な要因のみで行いたいために錯視を出来るだけ避ける ように、これらのデザインは同ポーズ、同髪形、同じ靴で無彩色画とした。  2−3 質問紙作成  質問紙は質問1よりIVよりなり、夫々の質問紙に形容詞対25をランダマイズし、7段階尺度 で評定するように用意をした。但し質問Wは6体のデザインの好き嫌いを評価する質問紙とし た。       29

(3)

2−4 調査の概要 1)調査対象者 本学家政学科学生150名

ii)調査方法集団調査法

liD調査期間調査は1982年10月∼12月に行い、  た。なお、調査1、Hと調査皿、     1  1Vは被験者の疲労や慣れを考慮  し、期間を10日∼2週間あけた。

iv)回収状況回収数119名

         回収率80%  2−5 分析方法  評定した尺度値の平均を基に現実 自己、理想自己、好きなデザイン、

嫌いなデザインの4刺激のSD尺

度のプロフィールを作成した。次い でオズグッドのD1スコアの考え方 をもとに各刺激間の類似指数、類似 率を求め数量化lvwaによって現実自 己、理想自己と6体のデザインイメ ージの距離関係を検討した。

3 結果および考察

まず質問1、 2 3一 4 Hを次に皿、IVを実施し 地味な   婁  ■ 置   豊   1 子供っぽい 1 ▼ 1 落着きのない1 響     8 しつこい  1

矯  ,

型にはまった1

/ノ   、

堅い    i ノーN評\    , 平凡な   1 ノ『

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古風な   1 \.\ 、ノ『  , クールな  1 玉\j/   , 男っぽい  置 −\工−\   1 単純な   」 ノづZり7   , 素朴な   「

戸\㌧ 、

1 保守的な  1 テい    1 1 \くこ\.  , 古めかしい 「 ノー /ノf  、 1 響\ 9 おとなしい 竄レうたい 1 ノ

1〈ぐ ,

年寄りじみた雪 ノー \「曳  , 魅力的でない置 『\ /ノ.}  , 窮屈な   1

\ノ〉く/  1

不安定な  1 一\\ノ1   1 不潔な   匿 一メこ\_ 1 下品な   1 ∫ノ//  1 繊細な   且

〃!.

@ 1

がさつな  鼎

〕ム。  ,

   現実自己 一_o._もっとも    好きな衣服   2図 5  6   7       派手な        大人っぽい        落着きのある        あっさりした       風変りな       柔らかい       個性的な       モダンな       ホットな       女らしい・       複雑な       華麗な       進歩的な、       明るい       新しい       活気がある        しゃれた       若々しい       魅力的な       ゆったりした       安定している       清潔な       上品な       大胆な       優雅な 一i一一一・・一 搗z自己    もっとも

   嫌いな衣服 各刺激のイメージ  質問紙の1∼皿のSD法による7 段階評定の数値化したものを基に各 刺激に対する評価点の平 均値を求めた。次にその 平均値をもとにプロフィ ールを描いた。2図は各 刺激のSDプロフィール を示したものである。ま た、内山等によって、婦 人服イメージは時代性、      1 子供っぽい 古風な 保守的な 古めかしい 年寄りじみた 2 3 4 5 6 7 1     l     l     l l     I 1 ll       l 1 9’l      I       \置      、 匪        、 @      、 ア \      1 28 3図 時代因子 大人っぽい モダンな 進歩的な 新しい 若々しい

(4)

女子短大生の自己概念と衣服デザインの嗜好について      1 地味な 素朴な 平凡な やぼったい 型にはまった 単純な 繊細な 不安定な 窮屈な 2 3   4 5 6 7 1       I

ll

カ:オプ ,

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     1 落着きのない しつこい 堅い クールな 男っぽい 暗い おとなしい 魅力的でない 不潔な 下品な がさつな 2

4図様式因子

3 4 5 6 口1111 7  ーヨ,文 1 慶〃/1 \一 1気置 1黙/︻  1,く、﹁ ﹂ 1  1\\\1 1 豊/’/11 lZ∠1 7

5図情緒因子

派手な 華麗な 個性的な しゃれた 風変りな 複雑な 大胆な 安定している ゆったりした 落着きのある あっさりした 柔らかい ホットな 女らしい 明るい 活気がある 魅力的な 清潔な 上品な 優雅な 様式性情緒性の三因子 で構成されることがわ かっているので、これ を参考に25の形容詞対 を時代因子、様式因 子、情緒因子を示すと 思われる因子グループ に分け理想的自己、現 実的自己、もっとも好 きな衣服、もっとも嫌 いな衣服のSDのプロ フィールを描いた(3 図・4図・5図)。  3図の時代因子を示 す形容詞対では全項目 にわたり理想自己は現 実自己よりも高い得点 位置を示し、好きなデ ザインは理想自己より さらに高く、特にモダ ンな進歩的な、新しい が高い。また嫌いなデ ザインは古風な、保守 的な、古あかしいとしよりじみたが低く現われ、現実自己よりもさらに低くあらわれている。  様式因子4図では理想自己、現実自己はいずれも2項目以外はすべて理想の自己が現実の自 己より高い位置を示し、好きなデザインは5項目が理想自己よりさらに得点の高い位置を示し ている。それに対し嫌いなデザインは地味な、素朴な等の6項目が理想自己、現実自己よりも 低い所を示した。  情緒因子を示す形容詞対5図では理想自己はやはり現実の自己よりも高い得点位置を示し、 ホットな、女らしい、明るい、優雅なの項目は理想自己と好きなデザインが殆んど近い位置の 状態を示しており、活気があるの項目はどのものよりも高い位置を示した。嫌いなデザインは 全体的に理想自己、現実の自己よりも差が大きく低い位置を示した。  前述のプロフィールから理想的自己、現実的自己、好きな衣服、嫌いな衣服のイメージの違 いが明らかになったが、これをさらに定量的に検討するために、オズグツドのDの考え方を

(5)

 表2 プロフィールの類似指数R(%)   もとにプロフィールの類似指数を次式により 時代因子      求めた。

隙自己理想自己好き嫌い

現実自己 理想自己 好  き 嫌  い

×

87.79 一一一一 81.10 92.59

×

72.88 66.24 62.12 一一一一一 様式因子

1現実自己囎自己1好き嫌い

現実自己 理想自己 好  き 嫌  い

×

90.93 一一一一 78.60 83.87

Xx

85.44 79.38 71.74 情緒因子 現実自己理想自己好  き嫌  い 現実自己 理想自己 好  き 嫌  い 一一

黷mx

85.45 1 90.25 [ 82.34 一×× 88.83

xx

72.59 77.19

×

    D=1/Xd2AB      D; 類似指数     dAB;AB両概念の各尺度における          平均値の差 オズグッドのDは形容詞対が同数であれば プロフィールの類似性が小さなほど大きな値 を示すことになるので、ここで形容詞対の数 によらない類似性の表示法として類似指数が 定義されている。     R一(1一一17r:(il:iElis:i:sTt−1),×i)×loo       R:類似度 この式を用いて類似性の程度を0∼100の間 の指数として表わした(表2)。  表2から理想臼己、現実の自己、もっとも 好きなデザイン、もっとも嫌いなデザインの イメージの相互の関係が分かる。表2から理 想自己、現実自己ともっとも好きなデザイン 間の類似性が大きいことが推察される。そこで現実、理想の自己概念と6体すべてのデザイン について類似率を算出し、この類似率を用いて数量化IV類により分析を行っt。表3は各刺激 表3 現実、理想自己、衣服デザイン6体の類似度     表4 数量化IVによる分析結果

112131415161718

ilX

9画一3一4 ︻U一回U 7 8 .876

×

.807 .733

×

.874 .839 .803

×

.891 .836 .849 .832

×

.720 2 9 6 ・ 3 2 6 0 .690 .660

×

.823 .856 .716 .839 .768 .774

×

.867 .802 .846 .871 .849 .728 .813

×

1軸 2軸 3軸 1.現 実 2.理 想 3. LIKE 5 4. LIKE 3 5. LIKE 2 6. LIKE 6 7. LIKE 1 8, LIKE 4 一 O.10697 一 O.11653 一 O.26842 一 O.12964 一 O.17803  0.91824 一 O.01333 一 O.10531  O.09855  0.37348 一 O.79613  0.12512 一 O.01754 一 O.15839  0.41730 一 O.04238 一 O.18442 一 O.24093  0.28399 一 O.03226 一 O.48903 一 O.06173  0.76277 一 O.03838

固有副・・134

1.952 1.409 累積寄綴t29・・ 47.9 61.2 1.現実自己2.理想自己3.LIKE 54. LIKE 3 5. LIKE 2 6. LIKE 6 7. LIKE I 8. LIKE 4 26

(6)

女子短大生の自己概念と衣服デザインの嗜好について RISOU . LIKE3 皿 LIKEI ● 1

UKE2

■ GENJI ● LIKE4 LIKE6 LIKE5 ● 6図 現実自己、理想自己、6体のデザインとの散布図 1 間の類似度を示す。表4は数量 化IV類による分析結果を示す。 この結果、固有値の大きい2次 元までとりあげ、散布図を描い た(6図)。  理想自己、現実自己、好まれ た衣服は互いに近い位置にあ り、嫌われた衣服(LIKE 5、6) は遠く離れている。さらに、も っとも好まれた衣服は理想自己 と近い位置にあり、理想自己に 近いイメージを与える衣服が好 まれる傾向のあることがわかっ た。

4 要

約  自己の抱いているイメージには、理想的な臼己イメージと現実の自己イメージとがある。そ の2概念と提示された6体のデザインの嗜好との関連性をSD法により検討した。2概念と最 も好かれたデザインと最も嫌われたデザインについての全被験者の評定尺度値の平均を用いて プロフィールを作成した結果、そのプロフィールから好きなデザインと理想自己とが類似して いることがわかった。次にその類似性を定量化するため、類似指数、類似率を求め、数量化IV 類によって分析した。その結果理想自己の近くに最も好きなデザインの衣服が、嫌いなデザイ ンの衣服は理想の自己よりも遠い位置に布置された。  このことから我々が好きなデザインとして購買したり着装したりする被服は、個々人が理想 とする自己イメージすなわち自分を高めたい、こうありたい、こうあつて欲しいという理想的 な人聞像であることがわかる。つまり理想自己が衣服デザインの嗜好決定に反映していると見 てよいのではないかと思われる。  本研究にあたりまして御協力下さいました岩佐聡子助手はじめ洋裁研究室の助手の皆様、本 学学生の方々に心より厚く御礼申しあげます。なお本研究は第35回日本家政学会総会(大阪市 立大学)において発表したものに1部加筆したものである。 参考文献 1)菅佐和子 教育心理学研究 第23巻第4号p.19∼24(’75)。        25

(7)

︶︶︶︶︶︶︶︶︶︶︶

23456789012

        111

梁瀬度子 人聞工学 Vo1.14 No.6(’78)。 被服科学総論(下巻)日本繊維機械学会被服学体系分科会編。 岩下豊彦 SD法によるイメージの測定 川島書店。 内山生 繊維機械誌25。3(’72)。 斉藤幸子  人間工学 Vo1.14 No.6(’78)。 被服心理学研究分科会 56年(3)。 被服心理学研究分科会 57年(1)。 被服心理学研究分科会 57年(4}。 被服心理学研究分科会 58年(6)。 桝田庸  繊消誌Vol.24, No.6(’83)。 神山進  被服のスタイル嗜好性とパーソナリティー被服心理学研究分科会別刷。 24

参照

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