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関西地方経営者の意識調査

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Academic year: 2021

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1.はじめに 日本の産業界・日本企業を取り巻く環境は好 転しておらず、企業は構造の大変革を余儀なく されている。 では、なぜベンチャー企業がこれほど騒がれ るのであろうか。高度の経済成長が期待できな くなった現在、21世紀の日本を担うのは、ベン チャー企業ということで、日本経済の牽引役と してベンチャー企業に期待が寄せられているか らである。日本政府もベンチャー企業の重要性 を十分に認識し、多様な創業・ベンチャー企業 支援事業を推進した。即ち、創造性と革新性の 豊かな起業家精神あふれるリーダーに率いられ るベンチャー企業は、新技術を持ち、成長性が 高く、経済活力を支援するとともに、新産業創 出・新規雇用の創造に大きな期待ができるから である。 また、これまでの日本的経営制度は企業家活 動を抑えている。終身雇用、企業別組合、年功 序列賃金制度などの日本的雇用慣行はかつての 高度経済成長期には外国が羨むほどに都合よく 機能したが、成長が鈍化して景気が悪くなる と、円滑に作動しなくなった。既存制度では、 環境変化に対応できない中で、新しい経営スタ イルを持った企業が多数創出することができる からである。 大阪、神戸、京都などを中心とした関西地方 ではいままで多くのベンチャー企業を輩出し、 そのうち数多くの企業はグローバル的な競争力 を持つ企業に成長した。実際、関西地方をス テップに飛躍した企業は数多い。松下電器、京 セラ、オムロン、村田製作所、任天堂、ワコー 吉備国際大学 社会学部研究紀要 第17号,23−42,2007

関西地方経営者の意識調査

姜 明求・高橋 直也

The Consciousness Investigation of the Top Management in Kansai District Myung Ku,KANG Naoya TAKAHASHI

Abstract

This research clarifies the actual condition of the consciousness of the manager about the parent enterprise of the Kansai companies in the environment of a venture boom, and makes it the main subject to solve the peculiar-ity of different entrepreneurship from an another district. Moreover, it is also making to clarify the management-factor for the within-the-prefecture company growing more greatly than future into the purpose by investigating and analyzing consciousness of the manager in Kansai about the management actual condition, its strategy, etc. As the investigation method, by question vote investigation to the main companies of the Kansai whereabouts, present condition grasp and a problem are analyzed and a manager’s consciousness is clarified.

Key words:Enterpreneurship, Top Management, Japanese Management,Kansai District キーワード:企業家精神、経営者、日本的経営、関西地方

吉備国際大学社会学部ビジネスコミュニケーション学科

〒716−8508 岡山県高梁市伊賀町8

Department of Business Communication, School of Sociology, KIBI International University 8, Igamachi Takahashi, Okayama, Japan (716-8508)

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ル、日本電産、堀場製作所など多くの企業は大 企業にまで成長している。また、そうした大企 業群を支える中堅・中小企業の開発力、経営者 のユニークで意欲的な視点は、経済のあらゆる 分野に浸透し、関西経済のねばり強さを根底か ら支えている。関西を基盤とする企業は、単に 関西と地域にとどまらず活動の範囲を日本全体 に、そして世界各国に広げ、その力を拡大して いる。 日本では3回目のベンチャー・ブームが1994 年からスタートして現在まで続いている。関西 地方でも何とかこのブームに便乗して地方活力 を復活したい強い意欲をもっている。今日まで に世界的な企業に成長している例にならって、 ベンチャー企業を支援・育成する動きが、産・ 学・官(国、地方自治体)の一致協力のもとに 進められている。 本稿では、ベンチャー・ブームという環境の 中で地域経済を支えている関西地方の企業を対 象にして経営者の意識のアンケート調査分析を 行っている。我々の問題意識は企業経営は経済 環境ではなく、社会環境、文化などから大きな 影響を受けて成立している。従って、同じ日本 国内でも、それぞれの地域によって企業経営は 微妙に違いを持っているものではないかであ る。即ち、関西には関西なりの伝統に培われた 企業風土があり、個々の企業群の強さ、ユニー クな経営マインドがあると思われる。 これまでの研究成果は「岡山県内の経営者の 意 識 調 査」注1「広 島 県 内 の 経 営 者 の 意 識 調 査」注2「山陰地方の経営者の意識調査」注3 「四国地方経営者の意識調査」注4「韓国企業 の経営者の意識調査」注5「九州地方の経営者の 意識調査」注6、で発表している。今回は関西地 方の経営者の意識調査を実施した。 調査の目的は、以下の2つの点に焦点を置 く。第1に、それぞれの企業の創業時期の状況 を知ることにより、創業の重要性を明らかにす ること、第2に、創業期を経て以降の企業活動 を明らかにする。 2.関西地方のベンチャー企業支援制度 政府や地方公共団体がベンチャー企業振興の ための各種支援施策を打ち出している。地元の ベンチャー企業を支援して地域の活性化を図ろ うとしている。ということは、ベンチャー企業 に対する政府や地方公共団体の関心が高まった ことや時代の要請であったと言えよう。大阪 府、兵庫県、京都府などの自治体のベンチャー 企業支援制度の概要は次のとおりである注7 ①大阪府のベンチャー企業支援制度 まず第一に、1990年に府や民間ベンチャー・ キャピタルなどで集めた100億円を基金に、大 阪府研究開発型企業振興財団を設立している。 同財団では、情報関連、コンピータソフト、医 薬品メーカーなどの90社に投資をしている。ま た、1996年から府と取扱指定銀行が基金をつく り、その運用益を活用するベンチャービジネス 融資制度を設けている。中小企業は新製品・新 技術を事業化する資金を金融機関から、1件に つき1億円(融資額の90%以内)の借金ができ る。財団が7年間を無担保で保証している。同 時にサポーティングパーティも設置して、融資 支援の審査や相談に応じている。 第二に、大阪市は1990年に大規模工場の遊休 地 を 活 用 し て 島 屋 ビ ジ ネ ス・イ ン キ ュ ベ ー ター注8施設や豊中市に千里ライフサイエンスを つくり、研究施設、開発機器を提供している。 第三に、府と関西財界とで特許情報を提供 し、煩雑な業務を簡素化してベンチャー企業へ のサービス向上を目指す関西特許情報センター を設立している。近畿通産局の特許室、発明協 会、弁理士協会なども入居し、関連機関が連携 できるような仕組みとなっている。 第四に、府のスタートアップ資金(融資は 2,000万円である)、大阪市の新規開業資金融資 (融資は2,000万円である)、創業者研修「大阪 起業家塾」などによる支援制度もある。 ②兵庫県のベンチャー企業支援制度 まず第一に、新産業プログラムにより、ベン チャー企業に研究開発費を補助し、情報通信や 24 関西地方経営者の意識調査

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防災関係の仕事を重点的に支援している。ま た、技術活用方策研究会もスタートし、造船、 鉄鋼のような地場産業が潜在的に持つシーズを 活用しようとしている。 第二に、起業家育成制度を形成している。そ の対象は、起業家育成制度でベンチャー企業経 営者や創業希望者である。最後まで残った人々 にはアライアン・フォーラムで事業化計画を発 表し、民間ベンチャー・キャピタル、金融機関 が計画を審査し、投融資を最終的に決定する。 また、県も新産業創造キャピタルにより、直接 投資や債務保証をしている。 第三に、神戸市は、産業復興ベンチャー・ キャピタル制度で、阪神・淡路大震災振興基金 の運用益の活用により、ベンチャー企業の初期 段階・拡大段階で資金援助をしている。 第 四 に、開 業 貸 付(融 資 は1,000万 円 で あ る)、新産業創造キャピタル制度(出資は500万 円で、債務保証が800万円である)などによる 支援である。また、神戸市における新事業創造 活動支援資金(融資は企業が1億円で、組合が 3億円である)、起業家支援資金(融資は1,000 万円である)、ベンチャー企業支援指導事業、 新規企業育成事業(空間の提供、経営・技術の 支援)などがある。 ③京都府のベンチャー企業支援制度 中小企業振興融資制度・起業家育成支援資金 (融資は1,000万円である)、体質強化資金融資 制度・フロンティア産業振興資金融資(企業は 8,000万円、組合が1億6,000万円である)、京 都ベンチャー創出支援制度(間接投資は1億円 で、直接投資が1,000万円で、債務保証が7,000 万円である)、中小企業技術改善費補助金(1 企業500∼2,000万円)、起業家育成セミナー、 企業アドバイザー指導事業などによる支援する 制度を打ち出している。 また、京都市における開業資金(融資は800 万円が限度である)、女性を対象とした起業家 のノウハウを学ぶセミナー企業支援「京おんな 塾」がある。利用対象は女性のみである。さら に、ベンチャー企業創業支援助成(インキュ ベーションラボラトリーの賃貸料の助成)など がある。 このように、本調査地域の関西地方では創業 支援のための多様な制度を整備していることが わかる。ベンチャー企業が地域発展の原動力で あり、新たな雇用の創出ということを考える と、国・自治体が新産業創出のための施策を打 ち出し、さまざまな規制を緩和・撤廃すること は当然ともいえる。 3.経営者意識調査の概要 今回の調査では、2005年Ⅱ春日経『会社情 報』、2004年会社四季報『未上場会社半版』、日 刊工業新聞特別取材班編『兵庫の優良100社』 日刊工業新聞特別取材班編『挑戦する京都の個 性派企業70社』から関西地方を代表する500社 を選び、郵送によるアンケート方式で実施し た。調査は2006年7月から9月 末 日 ま で 行 わ れ、55社から回答を得ることができた。回収率 は11.0%である。調査項目は経営者の属性、経 営信条、新規事業など37項目である。 4.経営者の属性 (1)出身地、出身タイプ この項目は、地域特有の風土が経営者になん らかの影響を与えているのではないかという問 題意識によるものである。経営者の出身地はど のようになっているのだろうか。関西地方経営 者の出身地は関西地方出身者が46社で83.6%で ある。その他は6社で10.9%である。この数字 から、関西地方の企業は地元出身者が多く、地 場産業・企業として地域に根ざし、地域経済の 担い手として十分な役割をしていると考えられ る。 表1 社長の出身地 関西地方 46社(83.6%) その他 6社(10.9%) 姜 明求・高橋 直也 25

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社長の出身タイプはどのようになっているの だろうか。社長の出身タイプについては、創業 者、創業者の親族、大企業から、中小企業か ら、その他の5項目で回答してもらった。社長 の出身をみると、創業者の回答は22社で40.0% である。創業者経営の会社は回答の約4割と な っ て い る。創 業 者 の 親 族 の 回 答 は28社 で 50.9%である。社長2代目以降も創業者の親族 が経営トップの座についている割合が5割を超 えている。創業者と創業者の親族の2項目を合 わせる50社で全体の90.9%を占めている。 このことから、関西地方の企業は同族経営を し て い る こ と が わ か る。創 業 者 は22社 (40.0%)を示している。また、創業者の親族 が28社で50.9%ということは、関西地方の企業 が同族内の継承を進めていることを明確にあら わしていることである。両項目を合わせると、 50社(90.9%)である。一方、大企業からは1 社で1.8%で、中小企業からが1社で1.8%であ る。このように、大企業、中小企業からの転職 して創業する傾向は2社で3.6%で、低い数字 を示している。転職による専門経営者が少ない のも1つの特徴である。日本では終身雇用制 度、間接金融などが創業を妨害する要因によっ て転職による創業が少ない。 表2 社長の出身 1 創業者 22社(40.0%) 2 創業者の親族 28社(50.9%) 3 大企業から 1社( 1.8%) 4 中小企業から 1社( 1.8%) 5 その他 3社( 5.5%) (2)創業時の年齢・創業分野選定関連 関西地方の経営者は、およそ何歳くらいの頃 に会社を起こすことに踏み切るのかが大きな注 目点である。これは、若さか、経験とかと関連 する問題である。社長の創業時の年齢について は、∼29歳、30∼39歳、40∼49歳、50∼59歳、 60歳∼、非創業者の6項目で回答してもらっ た。 社長の創業時の年齢構成をみると、30∼39歳 の回答は19社で34.5%である。∼29歳の回答は 17社で30.9%である。40∼49歳の回答は8社で 14.5%である。60歳∼の回答は3社で5.5%で ある。50∼59歳は1社で1.8%である。非創業 者 は6社 で10.9%で あ る。30歳 代 が 約3割5 分、20歳代以下が約5ポイント下がって続き、 この2つの世代で6割を超えている。40歳代が それに続いている。50歳代で約2%、60歳以上 で10%あり、熟年の創業の可能性を示してい る。今回の調査では、比較的若くして企業を起 こす人が高い数字を示していることが1つの特 徴である。39歳までの創業が36社で、65.4%で ある。近年強くなってきた若者の安定志向の傾 向を考えると珍しい数字である。これからは若 い年代での創業が次第に増えていくことが予想 される。また、約9割の会社が創業者社長で、 企業家精神を持っていることが伺える。 表3 社長の創業時の年齢 1 ∼29歳 17社(30.9%) 2 30∼39歳 19社(34.5%) 3 40∼49歳 8社(14.5%) 4 50∼59歳 1社( 1.8%) 5 60歳∼ 3社( 5.5%) 6 非創業者 6社(10.9%) まず、創業者はどのような事業内容で起業す るかを考えなければならない。創業分野選定理 由については、元の勤務先の経験が生かされる 分野、創業費用が比較的に低価、専門的な技術 を持つ人材の確保が容易、創業の時、成長して いる分野、成長の見込みがありまったく新し い、特別な知識・ノウハウが必要でない、その 他の7項目で回答してもらった。 元の勤務先の経験が生かされる分野の回答は 29社で52.7%である。創業の時、成長している 分野の回答は9社で16.4%である。成長の見込 みがありまったく新しいの回答は8社で14.5% である。創業費用が比較的に低価の回答は4社 で7.3%である。専門的な技術を持つ人材の確 26 関西地方経営者の意識調査

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保が容易の回答は2社で3.6%である。特別な 知 識・ノ ウ ハ ウ が 必 要 で な い 回 答 は2社 で 3.6%である。その他は5社で9.1%である。創 業分野選定理由は約2分の1の会社が元の勤務 先の経験が生かされる分野、続いて、創業の 時、成長している分野が約5分の1、成長の見 込みがありまったく新しいが約15%である。 この数字をみると、起業選定分野は、職場で の経歴を通じて技術・ノウハウなどを蓄積して それを生かすような起業をしていることを示し ている。表7の創業を考えたときにもっとも影 響を与えた要因(複数回答)の質問項目でも、 元の職場で創業に関連する知識を身につける項 目の回答は18社で32.7%の1位の数字を見せて いる。 表4 創業分野選定理由(複数回答) 1 元の勤務先の経験が生かされる分野 29社(52.7%) 2 創業費用が比較的に低価 4社( 7.3%) 3 専門的な技術を持つ人材の確保が容易 2社( 3.6%) 4 創業の時、成長している分野 9社(16.4%) 5 成長の見込みがありまったく新しい 8社(14.5%) 6 特別な知識・ノウハウが必要でない2社( 3.6%) 7 その他 5社( 9.1%) 創業をする経営者にとって、学歴よりもさら に重要であるのは、職種である。実際、日本の 起業家はなんらかの実務を経てから創業してい る。創業者は創業に至るまで、いかなる職種の 経験を持っているのだろうか。創業者が転職に よる場合、元の勤務先での職種については、営 業・販売部門、生産・技術部門、総務・管理部 門、財務・会計・経理部門、研究開発部門、情 報技術関連部門、その他の7項目で回答しても らった。 営業・販売部門の回答は18社40.9%である。 生産・技術部門の回答は15社で34.1%である。 研究開発部門の回答は5社で11.4%である。総 務・管理部門の回答は2社で4.5%である。情 報技術関連部門は1社で2.3%である。財務・ 会計・経理部門は該当者なしである。その他は 3社で6.8%である。生産・技術部門は約4割、 つづいて営業・販売部門が約3割、研究開発部 門が約1割である。総務・管理部門、情報技術 関連部門はそれぞれの割合が一桁である。 この数字から、創業者の出身部署あるいは得 意分野は営業・販売出身者が最も多い点に目を 向けることができる。生産技術がそれに続いて いる。総務・管理部門・財務・会計・経理部門 の出身者は低い数字を示しており、企画・資金 管理などが相対的に重要となっていないようで ある。これに対して、米国では MBA の資格を 持つ人々が経営・管理職を担当し、そこでの経 験を生かして創業する場合が多いようである。 日本では、経営・管理職を経験した創業者は少 ない。しかしながら、経営管理に関する優秀な 人材を確保できるかどうかは、今後の成功の重 要な要素である。 創業の際には、他社での経験が重要で、技術 よりは営業が重視である。営業・販売の仕事を 通して市場の動向の把握ができるし、顧客の ニーズを的確に把握することも可能であり、創 業をして成功させていく自信に繋がったのでは ないかと考えられる。このように、以前の勤務 先における経験が重要な役割を果たしている。 表8の創業の際、創業に関連した情報源(複数 回答)の質問項目でも、元の勤務先の企業が情 報の主なルートとなっている。 表5 創業者が転職による場合、元の勤務先での職種 (44社) 1 営業・販売部門 18社(40.9%) 2 生産・技術部門 15社(34.1%) 3 総務・管理部門 2社( 4.5%) 4 財務・会計・経理部門 0社( 0.0%) 5 研究開発部門 5社(11.4%) 6 情報技術関連部門 1社( 2.3%) 7 その他 3社( 6.8%) 日本では、企業を起こすことは簡単なことで はない。創業する経営者はどのような動機を持 姜 明求・高橋 直也 27

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つのであろうか。 創業者の創業動機については、高い収入を得 ることや家族の幸せのため、少年時代からの夢 で、その夢を実現させるため、社会に貢献する ため、自分の能力を認めてもらうため、社会的 に高い地位を得るため、創業資金が確保できた ため、その他の7項目で回答してもらった。 社会に貢献するための回答は13社で23.6%で ある。少年時代からの夢で、その夢を実現させ るための回答は10社で18.2%である。高い収入 を得ることや家族の幸せのためと自分の能力を 認めてもらうための回答はともに9社で16.4% である。創業資金が確保できたための回答は1 社で1.8%である。社会的に高い地位を得るた めは該当者なしである。その他は16社で29.1% である。社会に貢献するためが2割強、少年時 代からの夢で、その夢を実現させるためが2割 弱と続いている。 この数字をみると、その他が最も多く、その 次は社会に貢献するためで23.6%を占めてい る。表12社長の経営信条・経営理念(複数 回 答)の質問項目でも、社会的貢献の回答は20社 で36.4%(2位)の高い数字を示している。つ づいて自分の能力を認めてもらうための回答が 12社(18.5%)を示している。創業者は高い水 準の志をもち、自己実現できることを目指して 創業していることがわかる。このことは、創業 が夢や自己実現と密接に結びついており、夢と 自分の能力の試しが創業に大きな影響を与えて いることを示している。一方、高い収入を得る ことや家族の幸せのためという動機はあまり高 くなく、9社(16.4%)である こ と が 目 を 引 く。米国とは異なる日本的な事情といえるかも しれない。米国では高い収入を得るといった所 得動機が強い。今後、創業のブームをより活発 化するには、高い収入を目指す所得動機による 創業が増加することも必要ではないかと考えら れる。 表6 創業者の創業動機(複数回答) 1 高い収入を得ることや家族の幸せのため 9社(16.4%) 2 少年時代からの夢で、その夢を実現させるため 10社(18.2%) 3 社会に貢献するため 13社(23.6%) 4 自分の能力を認めてもらうため 12社(18.5%) 5 社会的に高い地位を得るため 0社( 0.0%) 6 創業資金が確保できたため 1社( 1.8%) 7 その他 16社(29.1%) 創業活動をめぐる経営環境は厳しいことが予 想されるものである。創業を考えた時に最も影 響を与える要因は何だろうか。 創業を考えたときにもっとも影響を与えた要 因については、家族が事業をしている、友人・ 親戚などが創業して成功している、本・TV な どを通じて成功した経営者の例、高校で創業に 関連する知識を身につける、大学で創業に関連 する知識を身につける、元の職場で創業に関連 する知識を身につける、家族から勧められる、 その他の8項目で回答してもらった。 元の職場で創業に関連する知識を身につける の回答は18社で32.7%である。家族が事業をし ているの回答は10社で18.2%である。友人・親 戚などが創業して成功していると大学で創業に 関連する知識を身につけるの回答はともに4社 で7.3%である。本・TV などを通じ て 成 功 し た経営者の例、家族から勧められる、高校で創 業に関連する知識を身につけるは該当者なしで ある。その他は18社で32.7%である。元の職場 で創業に関連する知識を身につけるが3割強、 家族が事業をしているが2割弱である。 この数字から、元の職場で創業に関連する知 識 を 身 に つ け る の 回 答 は 第1位 で18社 (32.7%)、続いて家族が事業をしている回答 が10社(18.2%)である。一方、高校で創業に 関 連 す る 知 識 を 身 に つ け る 回 答 は0社 (0.0%)、大学で創業に関連する知識を身につ けるの回答が4社(7.3%)で、両項目を合わ せても低い数字である。表8の創業の際、創業 28 関西地方経営者の意識調査

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に関連した情報源の質問項目でも、大学などの 教育機関による情報収集の回答は3社で5.5% の低い数字を見せている。本調査をみると、情 報源としての大学の役割があまり低いことを示 している。日本では、米国とは対照的に大学教 授、大学院生などによる創業がそれほど見られ てないとの関わりがあると考えられる。しか し、最近、大学で起業関係の講義が増えている し、大学発ベンチャーが増加していることを考 えると、情報源としての大学の役割は強くなる ことが予想できる。実際、関西地方では京都、 大阪、神戸、同志社、立命館などの大学が創業 関連の講義を設けている。 表7 創業を考えたときにもっとも影響を与えた要因 (複数回答) 1.家族が事業をしている 10社(18.2%) 2 友人・親戚などが創業して成功している 4社( 7.3%) 3 本、TV などを通じて成功した経営者の例 0社( 0.0%) 4 高校で創業に関連する知識を身につける 0社( 0.0%) 5 大学で創業に関連する知識を身につける 4社( 7.3%) 6 元の職場で創業に関連する知識を身につける 18社(32.7%) 7 家族から勧められる 0社( 0.0%) 8 その他 18社(32.7%) 会社を起こし、それを順調に軌道に乗せるた めには、情報収集は重要な仕事であるが、創業 者が最初から詳細な情報を持っているとは言え ない。創業者は創業の際に、創業に関する情報 をどこから得ているだろうか。 創業の際、創業に関連した情報源について は、大学などの教育機関、知人、新聞、雑誌、 書籍、コンサルティング会社、元の会社、イン ターネット、金融機関、その他の8項目で回答 してもらった。 調査結果をみると、元の会社の回答は21社で 38.2%で、知人の回答が19社で34.5%である。 大学などの教育機関と新聞、雑誌、書籍は3社 で5.5%で あ る。金 融 機 関 は2社 で3.6%で あ る。コンサルティング会社は1社で1.8%であ る。インターネットは該当者なしである。その 他は8社で14.5%である。即ち、元の会社から は4割弱で、知人からが3割5分強であること を示している。 この数字から、知人、元の勤務先が情報の主 なルートになっていることがわかる。両項目を 合わせると40社で72.7%(複数回答)である。 一方、金融機関、新聞、雑誌、書籍、大学など は重要な情報源として役割が、あまり重要視さ れていないようである。特に、大学などの教育 機関が3社(5.5%)という数字に目が惹かれ る。表7の創業を考えたときにもっとも影響を 与えた要因の質問項目(複数回答)を見ても、 高校と大学で創業に関連する知識を身につける 項目の回答は、4社(7.3%)である。 表8 創業の際、創業に関連した情報源(複数回答) 1 大学などの教育機関 3社( 5.5%) 2 知人 19社(34.5%) 3 新聞、雑誌、書籍 3社( 5.5%) 4 コンサルティング会社 1社( 1.8%) 5 元の会社 21社(38.2%) 6 インターネット 0社( 0.0%) 7 金融機関 2社( 3.6%) 8 その他 8社(14.5%) 関西地方には全国的にも中堅・中小企業が多 い。では、創業時に創業者がどれくらいの資金 を出資して創業をしているだろうか。 創業時の費用について見ると、300万円未満 の回答は24社で43.6%である。500万円∼1000 万円未満の回答は12社で21.8%である。1000万 円∼1億円未満の回答は5社で9.1%である。 300万円∼500万円未満は4社で7.3%である。 1億円以上は該当者である。その他は5社で 9.1%である。 この数字から、資金は300万円未満が一番多 く24社で43.6%を示しており、つづいて300万 円∼500万円未満は4社で7.3%である。また、 両項目の回答を合わせると500万円未満の創業 姜 明求・高橋 直也 29

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資金は28社で51.0%で、もともと限られた資金 で創業をしている企業が多いことを示してい る。表10の創業時の自己資金負担分の質問項目 でも、全額を自己資金としている企業は20社で 36.4%である(1位)。このことは、リスクを 小さくする点からでも最小限の出資は重要なこ とであり、自己資金に依存していることをい う。 表9 創業時の費用 1 300万円未満 24社(43.6%) 2 300万円∼500万円未満 4社( 7.3%) 3 500万円∼1000万円未満 12社(21.8%) 4 1000万円∼1億円未満 5社( 9.1%) 5 1億円以上 0社( 0.0%) 6 その他 5社( 9.1%) 日本には個人が企業を起こし、成長していく には米国と比べて不利な状況がある。特に資金 調達の面である。日本では、創業時の資金調達 では創業者の自己資金や家族、知人からの借り 入れが主な資金源となっている。だから、協力 者として家族や親戚の支援は成功するための1 つの条件とも言える。 創業時の自己資金負担分について見ると、全 額の回答が20社で36.4%である。50%の回答は 12社で21.8%である。自己資金なしと70%の回 答はそれぞれ5社で9.1%である。30%は2社 で3.6%である。その他は6社で10.6%である。 この数字から、全額の回答が一番多く20社で 36.4%、次 に50%の 回 答 が12社 で21.8%で あ る。両項目を合 計 す る と、32社 で58.2%で あ る。70%の5社(9.1%)を 合 わ せ る と、 67.3%となる。創業時の資金調達の半分以上を 創業者自らの自己資金に依存しているのが一般 的なようである。自己資金をまったく提供して いない企業は、5社(9.1%)しかない。この ように、米国のようなエンジェルが数少なく、 創業時の資金調達では自己資金でまかなってい ることがわかる。米国ではエンジェルと呼ばれ る個人投資家が多数存在し、ベンチャー企業に 投資している。特に、創業の時の資金調達には 重要な役割を担っている。自己資金、知人から の資金しか期待できない時に強力にプラスでき る大事な資金源である。 また、エンジェルは初期の段階で資金を出資 するだけでなく、事業を軌道に乗せるための技 術指導や経営指導などの助言も行っている。日 本には米国のようなベンチャー・キャピタルが あまり制度化されてないし、金融機関もベン チャー的な投資にはリスクを賭けての投資を行 う習慣がない。つまり、担保がなく、経営が順 調に伸びる確かな成長の見込みが期待できない 事業には投資はしないことである。 表10 創業時の自己資金負担分 1 自己資金なし 5社( 9.1%) 2 30% 2社( 3.6%) 3 50% 12社(21.8%) 4 70% 5社( 9.1%) 5 全額 20社(36.4%) 6 その他 6社(10.9%) 創業者は、起業することを考えてから立ち上 げるまでどの程度の時間を費やしているだろう か。創業を考えてから立ち上げまでの期間につ いて見ると、回答が多いのは1年以上∼3年未 満が24社社で43.6%であり、1年未満の回答が 19社で34.5%で、その他が7社で12.7%となっ ている。 この数字から、1年以上∼3年未満の回答が 最も多く24社で43.6%を示しており、アイデア から事業化までにはある程度の時間が掛かって いるいることを示している。 表11 創業を考えてから立ち上げまでの期間 1 1年未満 19社(34.5%) 2 1年以上∼3年未満 24社(43.6%) 3 その他 7社(12.7%) 30 関西地方経営者の意識調査

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5.経営の基本的性格 (1)経営信条(理念)・在職期間関連 企業はどのような経営理念に基づいて経営さ れているのか。創業されたばかりの企業の場合 は、創業者の個人的信条や思想によるものが多 い。また、企業は継続する組織体であるから、 経営理念を明確な規範として、明示する必要が あるし、全従業員に浸透させる必要がある。そ れが単に明示されているだけでは、なんの意味 もない。経営理念が全社員へどの程度周知徹底 しているかは、企業経営にとっては重要なこと である。したがって、企業はその経営理念をさ まざまな形で周知徹底させようとする。りっぱ な企業ほど経営理念の重要性を常に強調してい るし、成功している企業には経営理念が社長を 始め従業員にまで十分に浸透していると言えよ う。 では、そうした経営信条・経営理念はどのよ うな内容を持っているのであろうか。社長の経 営信条・経営理念について見ると(複数回答)、 チャレンジ精神の回答が22社で40.0%である。 社会的貢献の回答は20社で36.4%である。誠実 ・努力の回答が19社で34.5%である。人の和の 回答は8社で14.5%である。利益の回答は6社 で10.9%で あ る。そ の 他 は6社 で10.9%で あ る。 このことから、チャレンジ精神が高い割合を 占めしていることがわかる。チャレンジ精神を あげている企業は22社で40.0%である。これに 次ぐのが社会的貢献で、これをあげた企業は20 社で36.4%である。このように、関西地方の企 業では経営理念としてチャレンジ精神や社会的 貢献に高い比重が置かれているのである。特 に、チャレンジ精神の回答が多いのは、関西地 方からベンチャー企業が多く出ていることから みると、予想したものである。ただ、関西地方 の企業では誠実・努力を最も重視するとした企 業が19社で34.5%(第3位)あることは、考慮 しておく必要がある。しかしながら、和がまっ たく軽視されているわけではないが、他の回答 項目と比べると、比率の低さは非常に興味深い ものである。一般に、日本企業は和を重視する 経営志向を持っている言われてきた。ところ が、今回の調査ではこうした経営信条・経営理 念の傾向は見られなかったのである。 表12 社長の経営信条・経営理念(複数回答) 1 チャレンジ精神 22社(40.0%) 2 誠実・努力 19社(34.5%) 3 人の和 8社(14.5%) 4 利益 6社(10.9%) 5 社会的貢献 20社(36.4%) 6 その他 6社(10.9%) 社長の経営姿勢はどうだろうか。社長の経営 姿勢について見ると、社長自らがビジョンを提 示し、強力なリーダシップをもって進めるの回 答は21社で38.2%である。チャレンジ精神の強 力なリーダシップをもつの回答は17社で30.9% である。既存の戦略を維持しながら、組織の活 性化を図るの回答は15社で27.3%である。既存 の経営戦略を重要視、安定を図るの回答は6社 で10.9%である。その他は3社で5.5%である。 この数字から、現在の状況に満足して現状維 持を望む創業者よりは、挑戦精神を持っている 経営者が多いことがわかる。即ち、1位の社長 自らがビジョンを提示し、強力なリーダシップ をもって進める項目と2位のチャレンジ精神の 強力なリーダシップをもつ項目を合わせると、 38社69.1%で、約7割である。一方、既存の戦 略を維持しながら、組織の活性化を図る企業や 表13 社長の経営姿勢 1 チャレンジ精神の強力なリーダシップをもつ 17社(30.9%) 2 既存の経営戦略を重要視、安定を図る 6社(10.9%) 3 社長自らがビジョンを提示し、強力なリーダシッ プをもって進める 21社(38.2%) 4 既存の戦略を維持しながら、組織の活性化を図る 15社(27.3%) 5 その他 3社( 5.5%) 姜 明求・高橋 直也 31

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既存の経営戦略を重要視、安定を図るような保 守的な企業というか、安定志向的な企業もある 程度の数字を示していることが目を引く。 社長の在職期間はどうだろうか。一般に、ベ ンチャービジネスは高い成長性を持つのが特徴 の1つであるが、企業の寿命が短命で、10年以 内にその約80%が消滅するという。本調査での 社長の在職期間について見ると、11年∼20年の 回答は14社で25.5%である。21年∼30年の回答 は13社で23.6%である。6年∼10年の回答は10 社で18.2%である。5年以 内 の 回 答 は6社 で 10.9%で あ る。31年∼40年 の 回 答 は5社 で 9.1%である。41年以上は3社で5.5%である。 その他は該当者なしである。 この数字から、経営者はなるべく長期間社長 の職に止まっていることがわかる。1位の11年 ∼20年の回答が14社で25.5%、2位の21年∼30 年の回答が13社で23.6%、両項目を合計する と、27社49.1%である。企業が軌道にのり、あ る程度の規模の企業になるまでには、相当の年 数が必要ではないかを考えると、重要な意味を 持つ。 表14 社長の在職期間 1 5年以内 6社(10.9%) 2 6年∼10年 10社(18.2%) 3 11年∼20年 14社(25.5%) 4 21年∼30年 13社(23.6%) 5 31年∼40年 5社( 9.1%) 6 41年以上 3社( 5.5%) 7 その他 0社( 0.0%) 社長がどのようにして意思決定を行っている のであろうか。創業の際には、創業者の個性に よって支えられている。創業当初は、創業者そ のものが企業である。意志決定時の社長の運営 方針の項目をみると、役員の意見も考慮する が、最 終 的 に は 社 長 が 決 定 の 回 答 は31社 で 56.4%である。構成メンバーが同等の立場で議 論し、最後に社長のリーダシップで決まるの回 答は11社で20.0%である。関連部署など社員全 体の意見を収集し、最後に社長がこれを取りま とめるの回答は8社で14.5%である。社長独断 で意志決定するの回答は6社で10.9%である。 その他は該当者なしである。 このことから、関西地方企業の社長は、意志 決定に補佐的な役割を果たす役員の助言も考慮 したり、構成メンバーが同等の立場で議論しな がら、民主的に意思決定をしていることをあら わしている。即ち、社長独断で意志決定する企 業 は6社(10.9%)で、低 い 数 字 を 見 せ て い る。経営の正否を決めるのはリーダシップであ る。目標の実現に向けて、全従業員を1つの チームとしてまとめて、励ますことは、リーダ の代表的な仕事である。それは、従業員の貢献 意欲とも関連があるからである。 表15 意志決定時の社長の運営方針 1 役員の意見も考慮するが、最終的には社長が決定 31社(56.4%) 2 構成メンバーが同等の立場で議論し、最後に社長 のリーダーシップで決まる 11社(20.0%) 3 関連部署など社員全体の意見を収集し、最後に社 長がこれを取りまとめる 8社(14.5%) 4 社長独断で意志決定する 6社(10.9%) 5 その他 0社( 0.0%) 6.新規事業 (1)準備段階 新規事業の際に、関西地方の企業は情報をど こから得ているだろうか。今日のように企業を 取り巻く環境が激しく変化する状況において は、環境変化を正しくつかみ、新規事業に関連 するさまざまな情報を的確に収集し、分析し、 判断を誤らないようにすることが大切であると 考えられる。また、どのような経路で情報を収 集しているかは、情報の質や量を規定するが故 に重要な意味を持っている。 新規事業を行う際の重要な情報源についてみ ると(複数回答)、回答が多いのは全体の21社 で38.2%の企業が自社で考えている。これに次 ぐのが関連企業で21社で38.2%で、コンサルタ 32 関西地方経営者の意識調査

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ント会社は5社で9.1%で、専門誌、新聞とイ ンターネットはともに4社で7.3%である。金 融機関は2社で3.6%である。その他は4社で 7.3%である。 この数字から、情報の収集は自社で考える か、関連企業への依存度が高くなっていること と 理 解 で き る。両 項 目 を 合 計 す る と、51社 92.7%(複数回答)で、9割の数字を示してい る。これに対して、金融機関、専門誌・新聞、 コンサルタント会社などがら情報を得ている企 業は少数である。即ち、新規事業を行う際に、 金融機関、専門誌・新聞、コンサルタント会社 などは情報源として重要視されていないようで ある。 表16 新規事業を行う際の重要な情報源(複数回答) 1 関連企業 21社(38.2%) 2 下請企業 0社( 0.0%) 3 専門誌、新聞 4社( 7.3%) 4 金融機関 2社( 3.6%) 5 コンサルタント会社 5社( 9.1%) 6 自社で考える 30社(54.5%) 7 インターネット 4社( 7.3%) 8 その他 4社( 7.3%) 関西地方で経営活動をする際にも阻害要因は あるだろうか。関西地方で経営活動をする際の 阻害要因の項目について見ると、ないの回答は 30社(54.5%)、あるの回答が20社で36.4%で ある。この数字からもわかるように、関西地方 で創業をする際には、ハンディをもっていない ようである。しかし、関西地方という、市場も 大きく、地域的な魅力を持ちながらもハンディ を持っている企業が20社(36.4%)を示してい ることは予想以外のことである。 表17ー1 関西地方で経営活動をする際の阻害要因 1 ない 30社(54.5%) 2 ある 20社(36.4%) ある場合の内容について見ると。最も回答の 多いのは市場が狭く、安定的な販売先の確保が 困難が12社で60.0%である。市場に対する情報 の入手が遅れると新しい経験や知識の獲得機会 が少ないはともに5社で25.0%である。必要な 技術・知識を持つ人材の確保が困難は4社で 20.0%である。問題があった場合の相談先不足 と資金の調達が困難はともに2社で10.0%であ る。その他は4社で20.0%である。 この数字から、市場の狭さ、安定的な販売先 の確保、市場に対する情報の入手が遅れると新 しい経験や知識の獲得機会が少ないなどが主な 阻害要因となっていることがわかる。創業の際 に、なによりも重要なのは販売先が確保できる かどうかである。それは、地場企業がかなりの 部分を当該地域の需要に依存しているからであ る。だから、顧客のニーズに答える商品の開発 とともに、安定した取引先の確保は成功の第1 条件である。新規販売先の開拓のために何から の手段を用いる必要があると考えられる。しか し、日本では、企業間の取引は長年の信頼関係 に基づいて取引が行われ、優れた商品を開発し ても信用を持たない新規企業がその市場に参入 することがなかなか難しいことである。また、 資 金 調 達 の 困 難 で あ る と 答 え た 企 業 は2社 (10.0%)であるのが目を引く。表10の創業時 の自己資金負担分の質問項目では、自己資金負 担金が多いにも関わらず、資金面にはあまり苦 労していないことである。 表17−2 「ある」場合の内容(20社・複数回答) 1 問題があった場合の相談先不足 2社(10.0%) 2 市場が狭く、安定的な販売先の確保が困難 12社(60.0%) 3 必要な技術・知識を持つ人材の確保が困難 4社(20.0%) 4 市場に対する情報の入手が遅れる 5社(25.0%) 5 新しい経験や知識の獲得機会が少ない 5社(25.0%) 6 資金の調達が困難 2社(10.0%) 7 その他 4社(20.0%) 新規事業に積極的に取り組む環境は作られて いるかどうか。新規事業を積極的に取り組む環 姜 明求・高橋 直也 33

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境が作られているかについて見ると、最も回答 が多いのはどちらともいえない項目の回答で32 社で58.2%である。全くその通りの回答が18社 で32.7%、全く違うの回答が2社で3.6%であ る。 この数字から、社内では、新規事業を推進す る環境にはなってないことがわかる。しかし、 企業は生き残るためには、時代に応じた革新を 起こし、それを繰り返していくことが存続・発 展に繋がるのである。どちらともいえない項目 を否定的に見ると、その回答は32社(58.2%) と全く違う2社( 3.6%)を合わせると、34社 で61.8%の高い数字である。しかし、表34の新 規事業に対する社内の反対・抵抗の経験の項目 では、ほとんどないのが23社(41.8%)である のが目を引く。 表18 新規事業に積極的に取り組む環境が作られている 1 全くその通り 18社(32.7%) 2 どちらともいえない 32社(58.2%) 3 全く違う 2社( 3.6%) 新規事業に対する全社的な位置づけはどうで あろうか。本調査で、新規事業に対する全社的 な位置づけについて見ると、課題の1つである がそれほど重要ではない項目の回答は23社で 41.8%である。最重要な課題の回答は22社で 40.0%である。重要視されてないの回答は4社 で7.3%である。その他は1社で1.8%である。 この数字から、社内では新規事業が課題の1 つとして考えてはいるが、それほど重要ではな いことが伺える。新規事業が重要課題であるこ とは意識しているが、積極的に取り組む環境が 整備されてないようである。 表19 新規事業に対する全社的な位置づけ 1 最重要な課題 22社(40.0%) 2 課題の一つであるがそれほど重要ではない 23社(41.8%) 3 重要視されてない 4社( 7.3%) 4 その他 1社( 1.8%) 新規事業と既存事業の関連性の強さによっ て、当然保有している経営資源の活用の程度が 大きく異なる。これまで蓄積してきた経営資源 をもとに新規事業に進出するほうが失敗のリス クが小さい。 新規事業の分野について見ると、既存の分野 と関連性が高い項目の回答は37社で67.3%であ る。既存の分野と関連があるがそれほど高くな い項目の回答は8社で14.5%である。まったく 新しい分野の回答は5社で9.1%である。その 他は2社で3.6%である。 この結果から、新規事業の分野は既存の分野 と関連性がある分野で新事業開発を志向してい ることがわかる。即ち、従来培ってきた企業と しての、ヒト、モノ、カネ、情報などの強みの 経営資源を用い、それを基盤として新しい事業 分野へ進出していくのである。このことは、企 業が新しい事業分野に進出する際の日本企業の 特徴の1つであり、シナジー効果や企業成長の 実現可能のことを考えると、当然とも言えよ う。 表20 新規事業の分野 1 既存の分野と関連性が高い 37社(67.3%) 2 既存の分野と関連があるがそれほど高くない 8社(14.5%) 3 まったく新しい分野 5社( 9.1%) 4 その他 2社( 3.6%) 企業は長い歴史を持つ大企業でも、既存の事 業分野が成長動力を失っていく。この場合に は、企業は積極的に新しい事業分野に事業拡大 することが重要である。 では、新規事業はどのような目的で行われる のであろうか。新規事業の目的については、リ スクを分散、チャレンジ精神を持っている優秀 な社員の流出を防止、既存分野の成熟化のため 本業から脱出、会社内部の危機感の環境づくり の一環、その他の5項目で回答してもらった。 既存分野の成熟化のため本業から脱出の回答は 22社で40.0%である。リスクを分散の回答は16 34 関西地方経営者の意識調査

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社で29.1%である。会社内部の危機感の環境づ くりの一環の回答は9社で16.4%である。チャ レンジ精神を持っている優秀な社員の流出を防 止の回答は3社で5.5%である。その他は10社 で18.2%である。 この数字から、新規事業の目的は既存分野の 成熟化のため本業から脱出22社(40.0%)とリ スクを分散16社(29.1%)であることがわ か る。両項目を合計すると38社で69.1%である。 本業の成熟化、即ち、主力事業の成長の鈍化に 対応して新たな事業への進出を行い、既存事業 を新たな視点から再活性化することによって、 企業を再び成長させようとしているのである。 一方、チャレンジ精神を持っている優秀な社 員 の 流 出 を 防 止 の 項 目 を み る と 低 く、3社 (5.5%)である。表35の新規事業推進にとっ て最も困難な障害の質問項目で、企業家精神を 持っている人材の確保をあげている企業が第1 位で、23社で41.8%である。しかしながら、表 36の新規事業の成功要因の質問項目をみると、 企業家精神を持っている人材を確保している項 目 に 回 答 し て い る 企 業 が、第2位 で19社 (34.5%)である。このように社内には挑戦精 神を持ち、好奇心を持っている優秀な人材は少 ないが、新規事業の成功には優秀な人材の確保 が絶対必須の条件である。 表21 新規事業の目的 1 リスクを分散 16社(29.1%) 2 チャレンジ精神を持っている優秀な社員の流出を 防止 3社( 5.5%) 3 既存分野の成熟化のため本業から脱出 22社(40.0%) 4 会社内部の危機感の環境づくりの一環 9社(16.4%) 5 その他 10社(18.2%) 企業はどのようにして事業のアイデアを求 め、どのようにしてニーズを機会としてとらえ て事業化に持っていくだろうか。事業のアイデ アはニーズの探索や偶然の発見など、いろいろ な機会を活用して得られるが、いずれの場合に も注意すべきことは、可能性が高めるアイデア を発案することである。 新規事業アイデア源(複数回答)について は、経営者の独創的な発想、社内公募、専門部 署、社外から採用、その他の5項目で回答して もらった。 本調査で、経営者の独創的な発想の回答は第 1位、24社で43.6%である。続いて社内公募の 回答は13社で23.6%である。第3位は社外から 採用の項目で13社で23.6%である。専門部署は 11社で20.0%である。その他は4社で7.3%で ある。 この数字から、新規事業のアイデアは最高経 営者の独創的な発想によるものであることがわ かる。表24の新規事業開発チームへの参加の質 問項目でも36社(65.5%)、表25の新規事業担 当リーダの選抜の質問項目でも39社(70.9%) で経営者が主導権を握っており、スタッフを指 名している。表36の新規事業の成功の要因の質 問項目でも、成功要因の第1位として(25社で 45.5%)、経営者のリーダーシップをあげてい る。また、表35の新規事業の推進にとってもっ とも困難な障害要因をあげている企業は、4社 で7.3%である。このことは、企業が新規事業 に参入する場合、革新的で、起業家としての能 力や行動力が要求されることである。 表22 新規事業アイデア源(複数回答) 1 経営者の独創的な発想 24社(43.6%) 2 社内公募 13社(23.6%) 3 専門部署 11社(20.0%) 4 社外から採用 8社(14.5%) 5 その他 4社( 7.3%) 新規事業の成功は、アイデアから事業化まで スムーズに移行できるかどうかである。アイデ アから事業化までどの程度の時間がかかったの であろうか。 アイデアから事業化までの時間について見る と、第1位は1年以上∼3年未満の回答で27社 で49.1%である。3年以上∼5年未満の回答は 姜 明求・高橋 直也 35

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9社で16.4%である。続いて1年未満の回答は 6社で10.9%である。第3位は5年以上が4社 で7.3%である。その他は3社で5.5%である。 1年以上∼3年未満と1年未満を合計すると36 社で60.0%で、6割が3年未満である。 この数字から、アイデアから事業化までの時 間はそれほど長くないことがわかる。 表23 アイデアから事業化までの時間 1 1年未満 6社(10.9%) 2 1年以上∼3年未満 27社(49.1%) 3 3年以上∼5年未満 9社(16.4%) 4 5年以上 4社( 7.3%) 5 その他 3社( 5.5%) (2)実行段階 経営者は新規事業参入において重要な役割を 果たしている。全従業員に新規事業の必要性を 浸透させ、その行動を推進していく。新規事業 開発チームへの参加形態(複数回答)について は、経営者が指名、上司が推薦、志願者を募 る、社外から中途採用、人事部が指名、その他 の6項目で回答してもらった。 新規事業開発チームへの参加形態について見 ると、経営者が指名の回答が36社で65.5%であ る。志願者を募るの回答は11社で20.0%で あ る。上司が推薦の回答7社で12.7%である。社 外から中途採用は5社で9.1%である。人事部 が指名は1社で1.8%である。その他は4社で 7.3%である。 この数字から、新規事業開発チームの参加者 の決定権は経営者であることがわかる。表25の 新規事業担当のリーダーの選抜の質問項目にお い て も、経 営 者 の 指 名 に よ る 選 抜 が39社 (70.9%)である。また、表22の新規事業アイ デア源の質問項目でも、経営者の独創的な発想 が24社(43.6%)で最も多い。このように、新 規事業においては経営者が中心的な役割を担っ ていることがわかる。もともと新規事業という のは、リスクが大きく、経営者の決断なくして 推進できることではない。しかし、先導役は経 営者がするにしても全社的な協力なくして成功 させることはできない。経営者が卓越な判断力 と先見性をもち、新規事業について方向を示し ても、全従業員の理解と支援を得ることが重要 である。 表24 新規事業開発チームへの参加形態(複数回答) 1 経営者が指名 36社(65.5%) 2 上司が推薦 7社(12.7%) 3 志願者を募る 11社(20.0%) 4 社外から中途採用 5社( 9.1%) 5 人事部が指名 1社( 1.8%) 6 その他 4社( 7.3%) 新規事業担当リーダーの選抜の決定権はだれ が持っているだろうか。新規事業担当リーダー の選抜については、経営者が指名、アイデアの 提供者、専門部署が指名、社外から採用、人事 部が指名、その他の7項目の選択肢から最も近 いものを選択してもらった。 その結果、経営者の指名の回答は最も多く39 社で70.9%を見せている。続いて専門部署の指 名の回答は6社で10.9%である。第3位はアイ デアの提供者の回答で5社で9.1%である。社 外から採用は2社で3.6%である。人事部が指 名は1社で1.8%である。その他は3社で5.5% である。 この数字から、経営者の指名が最も多く39社 で70.9%であることがわかる。表24の新規事業 開発チームへの参加形態の質問項目でも、経営 者の指名の回答は第1位で36社(65.5%)であ る。このように、起業家精神の旺盛な経営者は さまざまな形で新規事業に積極的に関与してい ることであり、中心的な存在となっているので ある。権限委譲するケースは見られなかった。 専門部署が指名する回答は6社(10.9%)、人 事部が指名する回答は1社(1.8%)で、両項 目を合わせると7社(12.7%)しかない。これ は、経営者の経験や能力が新規事業の勝敗を左 右していることが伺える。 36 関西地方経営者の意識調査

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表25 新規事業担当リーダの選抜 1 経営者が指名 39社(70.9%) 2 アイデアの提供者 5社( 9.1%) 3 専門部署が指名 6社(10.9%) 4 社外から採用 2社( 3.6%) 5 人事部が指名 1社( 1.8%) 6 その他 3社( 5.5%) 従業員は新規事業チームへの参加が本人の将 来にとって有利に働くものであろうか。 新規事業チームへの参加が将来有利であるに ついて見ると、どちらともいえないの回答は34 社で61.8%である。全くその通りの回答は16社 で29.1%で あ る。全 く 違 う の 回 答 は1社 で 1.8%である。 このことから、新規事業チームへの参加が本 人にとってはあまりプラス的であると考えてい ることではないだろう。新規事業に対する否定 的な行動は、いまの仕事に対する満足感が高 く、変化することに対する不安感と、社内にベ ンチャー精神をもっている従業員が少ないこと である。表29の新規事業が他の部門に与える影 響の質問項目でも、人の活性化に繋がると回答 し た 企 業 は 低 く、第4位 で8社(14.5%)と なっている。また、表28の新規事業の仕事は提 案者にまかされているかの質問項目でも、全く その通りの回答は20社(36.4%)で、新規事業 の提案者に仕事を任せていないことである。と いうことは、提案者に権限委譲がなされると、 高い動機づけと機動性が期待できるが、従業員 が消極的であるか信頼していないことであるか もしれない。表25の新規事業担当リーダーの選 抜の質問項目においても、リーダーに選抜され るのは低く、5社(9.1%)である。 表26 新規事業チームへの参加が将来有利である 1 全くその通り 16社(29.1%) 2 どちらともいえない 34社(61.8%) 3 全く違う 1社( 1.8%) 企業にとって人々を仕事に対していかに動機 づけるかは企業の成長や社内活性化の不可欠な 課題である。新規事業の提案者の意欲を引き出 すためにどのような面を考慮しているかついて は、給料、ボーナス、昇進、なんにもない、そ の他の5項目で回答してもらった。 本調査では、ボーナスの回答がより多い数字 を見せており、18社で32.7%である。続いて給 料の回答は16社で29.1%である。第3位は昇進 の回答で、15社で27.3%である。なんにもない は12社で21.8%である。その他は4社で7.3% である。1位のボーナスと2位の給料の項目を 合計すると34社61.8%である。 この結果から、仕事に対する意欲ややりがい よりは経済的なインセンティブが新規事業を生 み出す要因であることと考えられる。一方、表 30新規事業の成功報酬として職位昇格、給料・ ボーナスの提供など経済的なインセンティブが 与えられているかの質問項目をみると、全くそ の通りは20社(36.4%)で、どちらともいえな いの項目がやや高く、24社(43.6%)であるこ とが目を引く。企業は従業員がやる気を出して 働いてくれるように、動機づけをしなければな らない。従業員は、それぞれ、夢、欲など を 持っている。経営者はそれを適えるためのさま ざまな手段を持っている。そのための最も基本 的な方法は、カネである。企業は新規事業の成 功報酬として給料・ボーナスなどを成果に応じ て出すようにすることで、従業員はより一生懸 命に働いてくれるかもしれない。 表27 新規事業の提案者の意欲を引き出すためにどの ような面に考慮しているか 1 給料 16社(29.1%) 2 ボーナス 18社(32.7%) 3 昇進 15社(27.3%) 4 なんにもない 12社(21.8%) 5 その他 4社( 7.3%) 新規事業の仕事は提案者に任されているのだ ろうか。新規事業の仕事は提案者に任されてい るかについて見ると、どちらともいえない項目 の回答は27社で49.1%である。全くその通りの 姜 明求・高橋 直也 37

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回答は20社で36.4%である。全く違うの回答は 4社で7.3%である。どちらともいえないと全 く違うの回答項目を合わせると、31社で56.4% である。しかし、肯定的に考え、どちらともい えないと全くその通りの項目を合わせると47社 で85.5%である。 この結果から、アイデアの発案者はアイデア を提案するのみで、経営には責任者として参加 していないことである。この仕組みのもとでは 提案者のモラールを高めることもできないし、 自己実現の欲求を達成することもできないと考 えられる。マズローという心理学者は、低次の 生理的欲求から安全欲求、社会的欲求、尊厳欲 求を経て、自己実現の欲求へと高いレベルを目 指すという。発案者は経営に参加することで自 己実現の欲求が満たされるが、それとは少し違 う。 表28 新規事業の仕事は提案者に任されているか 1 全くその通り 20社(36.4%) 2 どちらともいえない 27社(49.1%) 3 全く違う 4社( 7.3%) 新規事業が他の部署にどのような影響を与え ているだろうか。新規事業が他の部署に与える 影響について見ると(複数回答)、最も多く回 答した項目は社内の活性化につながる28社で 50.9%である。次に多い項目は経営業績の改善 効果の回答で18社で32.7%である。技術革新の 効果の回答は14社で25.5%である。人の活性化 につながるの回答は8社で14.5%である。企業 イメージの改善につながるは7社で12.7%であ る。既存部門のマイナス効果は1社で1.8%で ある。その他は該当者なしである。 このことから、新規事業が社内の活性化に重 要な役割をしていることが目を引く。即ち、優 秀な人的資源を新事業を起こす際に用い、新事 業を推進することによって社内がより活性化さ れる効果があると言える。 表29 新規事業が他の部署に与える影響(複数回答) 1 人の活性化につながる 8社(14.5%) 2 社内の活性化につながる 28社(50.9%) 3 既存部門のマイナス効果 1社( 1.8%) 4 経営業績の改善効果 18社(32.7%) 5 技術革新の効果 14社(25.5%) 6 企業イメージの改善につながる 7社(12.7%) 7 その他 0社( 0.0%) (3)評価段階 新規事業の成功報酬としてどのようなインセ ンティブが与えられているだろうか。新規事業 の成功報酬として職位昇格、給料・ボーナスの 提供など経済的なインセンティブが与えられて いるかについて見ると、どちらともいえない項 目の回答は24社で43.6%である。全くその通り の回答は20社で36.4%である。全く違うの回答 は5社で9.1%である。 このことから、新規事業の成功報酬として給 料・ボーナスなどのインセンティブはそれほど 与えられていないように伺える。新規事業の成 果を高く評価し、成功を果たした従業員には成 功報酬を支払うことで、より従業員のやる気を 引き起こすのが重要であると思われるが、本項 目ではそれが見えない。 表30 新 規 事 業 の 成 功 報 酬 と し て 職 位 昇 格、給 料・ ボーナスの提供など経済的なインセンティブが 与えられているか 1 全くその通り 20社(36.4%) 2 どちらともいえない 24社(43.6%) 3 全く違う 5社( 9.1%) 新規事業化の失敗が個人にとって不利であろ うか。新規事業の事業化が失敗でも個人に対す るリスクは少ないなど様々の面で有利について 見ると、どちらともいえない項目の回答は25社 で45.5%である。全くその通りの回答は18社で 32.7%である。全く違うの回答は3社で5.5% である。 この数字から、新規事業を失敗した場合でも 個人にとってリスクが小さく、有利であること 38 関西地方経営者の意識調査

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