• 検索結果がありません。

A Syntactic and Semantic Study of Inchoative Expressions in Present-Day English

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "A Syntactic and Semantic Study of Inchoative Expressions in Present-Day English"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

A Syntactic and Semantic Study of Inchoative

Expressions in Present-Day English

著者

藏薗 和也

(2)

論 文 内 容 の 要 旨

 藏薗和也氏の学位申請論文は、A Syntactic and Semantic Study of Inchoative Expressions in Present-Day English と題して、現代英語における起動表現の意味的な相違を解明することを目的としている。本 論文では、起動動詞が to V, V-ing, to V-ing を従える表現を起動表現と呼び、大規模汎用コーパスを用いて、 各起動表現における起動動詞と後続する動詞(V)との共起関係の量的分析、および用例の質的分析を行っ た。分析対象を、come to V, get to V, get V-ing, get to V-ing, fall to V-ing, set to V-ing, begin to V, start to V, begin V-ing, start V-ing, grow to V, proceed to V, commence to V, commence V-ing, resume V-ing とし て、起動表現間の意味的な相違を、アスペクトの観点から明らかにした。さらに、起動表現における to V, V-ing, to V-ing の形式と意味との関係を論じた。全体は10章からなる。  第1章では、研究の背景と英語学における本論文の位置付けについて述べられている。従来の研究では、 特定の起動表現間の意味的相違の議論は多くなされてきたが、起動表現全体の意味的相違には十分言及され ておらず、またコロケーションに基づく議論では相違がなぜ生じるのかの説明が十分とは言えないことが指 摘されている。  第2章では、本研究の理論的基盤となる統語と意味の関係について、従来の考え方に言及し、意味的統 語論(八木 1999)の立場からこれまでの起動表現研究を見直す必要性を指摘している。コロケーション 研究の分野では、ある語とどのような意味グループの語とが共起しやすいかの傾向(semantic prosody, semantic preference)の研究が進んでいるが、なぜある語と特定の意味特性を持つ語とが共起しやすいの かは十分に説明されていない。そのような状況を踏まえ、共起関係の要因を説明する必要性を論じている。 また、その他の基本概念、アスペクトや起動動詞の定義にも言及している。  第3章では、起動表現に関する先行研究を、(1)構文的意味からの研究、(2)アスペクトの観点からの研 究、(3)コロケーションの観点からの研究、(4)レジスターの観点からの研究に大別して概説している。  第4章では、質的・量的研究の基準と方法が説明されている。まず、各起動表現の意味の相違を説明す るための基準として、従来のアスペクト的研究で議論されてきた意味区分を再構築し、独自に、準備段 階(preparation stage)と実現段階(reification stage)に分け、準備段階に瞬間的変化(instantaneous change)と段階的変化(gradual change)という意味区分を設定し、実現段階に開始・過程・終了(start, 氏 名 学 位 の 専 攻 分 野 の 名 称 学 位 記 番 号 学位授与の要件 学位授与年月日 学 位 論 文 題 目 論 文 審 査 委 員 (主査) (副査)

藏 薗 和 也

A Syntactic and Semantic Study of Inchoative Expressions in

Present-Day English

博 士(言語コミュニケーション文化)

甲言第28号(文部科学省への報告番号甲第673号)

学位規則第4条第1項該当

2018年7月25日

梅 咲 敦 子

神 崎 高 明

大 髙 博 美

八 木 克 正(関西学院大学名誉教授)

教 授 教 授 教 授

(3)

process, end)という意味区分を設定した。

 さらに、起動動詞に後続する動詞(V)の性質を分析する際に用いたアスペクトの観点からの動詞分類には、 Vendler (1957, 1967)、Quirk et al. (1985)他を検討した結果、本研究では、柏野(1999; 2012)の「状態動詞」 と「動作動詞」に分類し、さらに「動作動詞」を「継続動詞」と「瞬間動詞」に細分化した3分類を採用した。 ま た、 本 研 究 に 用 い た 大 規 模 汎 用 コ ー パ ス British National Corpus (BNC), Corpus of Contemporary American English (COCA), British English corpus from the .uk domain (ukWaC)およびその検索方法、 手作業での除外例が記載されている。

 第5章では、起動表現 come to V と get to V が扱われている。コーパス調査では、come to V は不定詞 補文で状態動詞や状態受動、進行不定詞をとるが、get to V は不定詞補文で状態動詞はとるが、状態受動、 進行不定詞をとらない傾向がみられた。これらの結果から、両者とも段階的変化を表わすが、come to V は 結果状態を表し、get to V は完結的な変化を表わす。また、これらの相違は、come が結果を表す意味を持ち、 get が達成の意味を持つことに起因することを指摘している。

 第6章では、起動表現 get V-ing, get to V-ing, fall to V-ing, set to V-ing が扱われている。コーパス調査から、 次の特徴が明らかになった。(1)get V-ing は going, cracking などを伴い行為の開始を人に促す場面で好ん で用いられる。(2)get to V-ing は状態動詞の thinking や継続動詞 talking を伴い、段階的変化および行為 の継続を表す。(3)fall to V-ing は継続動詞の中でも感情に関わる動詞 laughing, arguing, weeping などを伴い、 瞬間的変化および行為の継続を表す。(4)set to V-ing には身体的・具体的行為を表す gathering, making, digging などを伴い、瞬間的変化を表す。要因として、段階的な変化を表す get to V-ing では状態動詞が使 用可能であるのに対して、変化を表さない get V-ing と瞬間的変化を表す fall to V-ing, set to V-ing では状 態動詞は使用されない。

 第7章では、起動表現 begin to V, start to V, begin V-ing, start V-ing が扱われている。本章では、副詞 との共起関係から意味を特定する方法を用いて、(1)begin to V は主に段階的変化を表すが、start to V は 主に瞬間的変化を表すこと、(2)begin V-ing は主に行為が継続する過程を表すのに対して、start V-ing は 主に行為の突然の開始を表すことが指摘されている。その要因として、begin to V は段階的変化を表し、状 態動詞としばしば共起するのは、begin が過程を焦点化する語であり、to V が変化を表す意味特性を持つこ とに起因する。他方、start to V が瞬間的変化を表し、瞬間動詞と共起しやすいのは、start が突然の運動 の開始を表す語であることに起因する。また、動名詞を従える begin V-ing, start V-ing が状態動詞と共起し にくい傾向にあるのは、それらが段階的変化を表さないことに起因する。さらに、begin V-ing で継続動詞 が好んで用いられ、start V-ing では瞬間動詞が好んで用いられるのは、begin が過程を焦点化する語であり、 start が突然の運動の開始を表す語であることに起因するためであると主張している。

 第8章では、起動表現 grow to V, proceed to V, commence to V, commence V-ing, resume V-ing が扱 われている。コーパス調査の結果、次の特徴が見られた。(1)grow to V は段階的変化を表し、状態動詞 の中でも思考や嗜好を表す動詞 love, know, hate, understand などが共起しやすい。(2)proceed to V は 瞬間的変化を表し、継続動詞の中でも伝達動詞 tell, demonstrate などと共起しやすい。(3)commence to V は瞬間的変化を表し、瞬間動詞および継続動詞と共起しやすい。(4)V-ing を従える表現は変化を表さ ず、commence V-ing は動詞 operate, run などと共起して、会社の経営や公共サービスの開始を表す。(5) resume V-ing は行為が継続する過程を表し、動詞 train, play などと共起してトレーニングや楽器の演奏な ど一種の技能や技術が必要な行為の再開を表す。

 第9章では、本論文で扱った15の起動表現ごとに、5つのアスペクト的特性―準備段階の瞬間的変化と段 階的変化、実現段階の開始・過程・終了―の有無をプラス・マイナスで示す表にまとめられている。さらに、 起動動詞全体と to V, V-ing, to V-ing の意味機能との関係が次の通り説明されている。(1)to V を従える起

(4)

動表現は(i)段階的変化と(ii)瞬間的変化を表す表現とに分類できる。(2)V-ing を従える起動表現は、(iii) 行為が継続する過程を表す表現と(iv)行為の突然の開始を表す表現とに分類できる。(3)to V-ing を従え る起動表現の特徴として、(v)段階的変化および行為が継続する過程を表す get to V-ing のような表現と、(vi) 瞬間的変化を表す表現 fall to V-ing および set to V-ing が見られる。さらに、get to V-ing と fall to V-ing は 行為が継続する過程を表すという特徴を持っている。すなわち、to V-ing には変化および行為が継続する過 程の両方を表す意味機能を持っている。  これらの特徴から共起関係をみると、to V, to V-ing を従えて段階的変化を表す起動表現は、状態動詞と の共起の可能性が高い。その要因として、状態動詞が進行形で用いられた場合には段階的変化を表わすとい う特性を持つことと、to V, to V-ing に共通する to が移行の意味を持つことが考えられる。  第10章では、本論文のまとめおよび今後の課題と展望が述べられている。

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

 藏薗和也氏の学位請求論文は、現代英語における起動動詞とそれに後続する to V, V-ing, to V-ing の結合 を起動表現と呼び、従来から起動表現研究として、多くの場合部分的に取り上げられてきた come to V, get to V, get V-ing, get to V-ing, fall to V-ing, set to V-ing, begin to V, start to V, begin V-ing, start V-ing, grow to V, proceed to V, commence to V, commence V-ing, resume V-ing という主要起動動詞表現全体を対象と して、従来の研究では十分に説明しきれていない起動表現間の意味的相違を、アスペクト的差異に焦点をあ てて、微妙な意味の違いを、大規模汎用コーパスから抽出したコロケーションパタンの違いから明らかにし ている。以下に本論文の学術的価値と独創性を中心に審査の結果をまとめる。 1.広範な調査対象と調査内容の掘り下げ  本論文では、辞書を含む緻密な多くの文献調査を踏まえて、現代英語における主要な15の起動表現全体を 研究対象とした。そのうえで、アスペクト的意味の観点からどこまで説明できるかを、掘り下げて論じた点 で新たな知見が得られ、学術的評価は高いと言える。 2.起動表現の表わすアスペクト的意味基準の提案  また、起動表現のアスペクト的意味を議論する基準として、先行研究の意味区分を再構築し、独自に、準 備段階(preparation stage)と実現段階 (reification stage) に分け、準備段階に瞬間的変化(instantaneous change)と段階的変化(gradual change)という意味区分を設定し、実現段階に開始・過程・終了(start, process, end)という意味区分を設定した。このアスペクト意味基準は、本研究の新たな知見として評価できる。 3.アスペクト的意味基準に基づく起動表現全体の分類の提案  上述の5つのアスペクト的意味基準を意味素性として、各起動表現がその性質を持つかどうかをプラス・ マイナスで示した。この表示法は、各起動動詞表現について得られた知見を明確に示す点で意義があり、得 られた成果とともに高度な独創性を有すると判断できる。 4.コロケーションを使用した微妙な意味の相違の解明  本研究は、大規模汎用コーパスから各起動表現における起動動詞と共起する補部の動詞を高頻度順に抽出 し、先行研究の分類の精査を行ったうえで、「状態動詞」「継続動詞」「瞬間動詞」に分けて、用例を精査し ながら、各起動表現における微妙なアスペクト的意味の相違を明らかにした。概略は以下の通りである。さ らにその要因にも言及している。これらの指摘には本研究の独創性と大きな意義がある。  (1)come to V は状態動詞を伴い状態受動形動詞と進行形動詞を伴う傾向があり、段階的変化を示し、な かでも結果状態を示す。  (2)get to V は状態動詞を伴うが状態受動形動詞と進行形動詞を伴わない傾向があり、段階的変化を示し、

(5)

なかでも完結的変化を示す。

 (3)get V-ing は状態動詞を伴わず、行為の開始を促す場面で瞬間動詞 go, crack 等が用いられる傾向があ り、変化を示さない。

 (4)get to V-ing は状態動詞としての think、継続動詞 talk を伴う傾向があり、段階的変化および行為の 継続を示す。

 (5)fall to V-ing は状態動詞を伴わず継続動詞のうち感情に関わる laugh, argue, weep 等を伴う傾向があり、 瞬間的変化及び行為の継続を示す。

 (6)set to V-ing は状態動詞を伴わず継続動詞のうち身体的・具体的行為を表す gather, make, dig 等を伴 う傾向があり、瞬間的変化を示す。

 (7)begin to V は状態動詞を伴う傾向があり、主に段階的変化を示す。

 (8)begin V-ing は継続動詞を伴い状態動詞を伴わない傾向があり、主に行為が継続する過程を示す。  (9)start to V は状態動詞より継続・瞬間動詞が多用される傾向があり、主に瞬間的変化を示す。  (10)start V-ing は瞬間動詞を伴い状態動詞を伴わない傾向があり、主に行為の突然の開始を示す。  (11)grow to V は状態動詞のうち思考や嗜好を表す love, know, hate, understand 等を伴う傾向があり、 段階的変化を示す。

 (12)proceed to V は継続動詞のうち伝達動詞 tell, demonstrate 等を伴う傾向があり、瞬間的変化を示す。  (13)commence to V は瞬間・継続動詞を伴う傾向があり、瞬間的変化を示す。

 (14)commence V-ing は継続動詞のうち会社経営や公共サービスの開始を表す operate, run 等を伴い状 態動詞を伴わない傾向があり、主に行為の突然の開始を示す。

 (15)resume V-ing は行為の再開を表わし、継続動詞のうち技術や技能を必要とする行為を表す train, play 等を伴い状態動詞を伴わない傾向があり、主に行為が継続する過程を示す。

5.意味的統語論への貢献

 得られた成果を、to V, V-ing, to V-ing ごとに起動表現を整理すると、以下の通り、to V-ing は to V 起動 表現と V-ing 起動表現の性質を合わせ持つことがわかる。単に起動表現ごとに意味の相違を見い出しただけ でなく、意味の相違を統語特徴ごとに整理し直すことで意味と統語の関係を明確にし、意味的統語論分野の 発展と貢献にも寄与していると評価できる。  (1)to V 起動表現は、準備段階があり、段階的変化を示す表現と瞬間的変化を示す表現とに分類できる。 実現段階で行為が継続する過程を示す表現はほとんどない。  (2)V-ing 起動表現は、準備段階がなく、実現段階で行為の突然の開始を示す表現と行為が継続する過程 を示す表現とに分類できる。  (3)to V-ing 起動表現は、準備段階があり、段階的変化を示す表現と瞬間的変化を示す表現とに分類でき る。実現段階で行為が継続する過程を示す表現と示さない表現に分類できる。 6.大規模汎用コーパスの語法研究、コロケーション研究への利用法の提案  得られた成果は英語語法研究分野に貢献するのみならず、本格的語法研究にコーパスの量的分析を取り入 れるという点で、既存汎用コーパス利用の拡大につながり、コーパス言語学への貢献も有する。大規模汎用 コーパス検索によって、単に共起語(コロケーション)調査をするだけでなく、共起語から起動表現の意味 の差を見出す点でコロケーション研究分野への貢献も大きいと言える。 7.緻密な先行研究調査の提示  既述のとおり、調査対象とする起動表現の決定、アスペクト的意味の提案、採用する動詞分類法の決定、 統語と意味の関係の議論のためには先行研究調査が必須であるが、本論文では、第1章から第3章において 緻密に先行研究を提示し、その議論の結果として論理的に記述されている。それらの章では、起動動詞の定

(6)

義から見直し、従来の起動表現研究の問題点を洗い出し、大規模汎用コーパスを使用して起動動詞とその補 文の動詞の共起関係(コロケーション)の調査が必要との判断に至っている。  これら1~7が示すように、本論文は、過去の研究成果を十分に検討し、データ収集と分析を行い、論理 的に議論を展開し結論に至っている。起動表現の研究として高度な独創性を有し、語法文法研究分野に新た な知見をもたらす学術的価値を有するものと判断する。  ただ、いずれの研究もそうであるように、本論文にも以下の課題がある。まず、本研究ではアスペクト的 意味から起動表現全体を分析しているが、起動動詞それぞれがもつ意味の相違は十分には議論されていない。 また、主要起動動詞といえるもの全体は分析対象とされているが、低頻度の表現、例えば come on to V や break out V-ing などは、本研究では扱われていない。さらに、起動表現の意味を探る際に、特定の副詞と の共起関係をコーパスで調べる試みは取り入れられてはいるが、量的調査法には今後検討の余地がある。加 えて、英語ネイティブスピーカーによるインフォーマント調査も併用すると、さらに新たな知見が得られる 可能性もある。また、論文におけるデータの提示方法や説明には課題がある。  しかし、これらの課題は、今後の更なる研究で解決されうるものであり、本論文の価値を下げるものでは ない。  以上、審査員4名は藏薗和也氏の論文を慎重に審査し、2018年6月21日に行った口頭試問の結果を併せて 協議した結果、藏薗和也氏の論文が博士(言語コミュニケーション文化)の学位を授与するに相応しいもの であると判断するに至り、ここに報告するものである。

参照

関連したドキュメント

The proof of the existence theorem is based on the method of successive approximations, in which an iteration scheme, based on solving a linearized version of the equations, is

If the tree is oriented from the root to the leaves, the first corner of v is at the right of the head incident to v as shown in Figure 15.. v first corner

Given a marked Catalan tree (T, v), we will let [T, v] denote the equivalence class of all trees isomorphic to (T, v) as a rooted tree, where the isomorphism sends marked vertex

Using this result and a generalised bracket polynomial, we develop methods that may determine whether a virtual knot diagram is non-classical (and hence non-trivial).. As examples

bridge UP, pp. The Movement of English Prose, Longmans. The Philosophy of Grammar. George Allen & Unwin. A Modem English Grammar on Historical Principles, Part IV.

Power dissipation caused by voltage drop across the LDO and by the output current flowing through the device needs to be dissipated out from the chip. 2) Where: I GND is the

巣造りから雛が生まれるころの大事な時 期は、深い雪に被われて人が入っていけ

17 FVDDHI Embedded FLASH 1.8 V Regulator, Input to external filter required for 1 V mode 18 FVDDHO Embedded FLASH 1.8 V Regulator, Output from external filter required for 1 V mode..