淨沼 和浩 *・伊藤 大輔 **
うつ病再発における脆弱性としての認知的反応性の研究動向とその展望
うつ病は,罹患率のみならず,再発率が高い疾患であることが知られており,臨床現場において再発予 防のための有効な取り組みが求められている。そのため,うつ病再発の脆弱性要因に対する心理的アプロー チの検討を行っていく必要があるが,近年では,その脆弱性要因の1つとして,認知的反応性が注目され ている。しかし,本邦における認知的反応性を取り扱った実証研究は極めて少なく,うつ病の再発との関 連性やその理論的背景が十分に明らかにされていない。そこで本稿では,認知的反応性に関する基礎的知 見や介入アプローチに関する先行研究を概観し,うつ病再発との関連性や効果的な介入要因の検討を行っ た。その結果,うつ病の再発予防として,認知的反応性に着目することが有用であることが示され,マイ ンドフルネスが認知的反応性を低減するアプローチとして有効である可能性が示唆された。しかし,マイ ンドフルネスが認知的反応性に影響を及ぼすプロセスや,従来のうつ病治療として行われてきた認知行動 的アプローチとの関連については未だ明確ではなく,今後さらなる研究の蓄積が必要であると考えられた。 キーワード:うつ病の再発・認知的反応性・認知行動療法・マインドフルネス 1.はじめに 大うつ病性障害(以下,うつ病)は,抑うつ気 分や興味・関心の喪失を主症状とする疾患である (American Psychiatric Association,2013)。 厚 生労働省(2017)によれば,入院と外来を併せ て約120万人が躁うつ病を含む気分障害とされて おり,社会的損失は2.7兆円に上るなど(厚生労 働省,2010),社会問題となっている。そのため, 治療マニュアルが作成されるなど(厚生労働省, 2009),うつ病の効果的な治療法が徐々に確立さ れつつある。 一方で,うつ病の治療においては,寛解後に再 発する可能性が高いことが問題視されている(伊 藤・長谷川・甲田,2010;Zajecka, Kornstein, & Blier,2013)。 例 え ば,MacKenzie, Abbott, & Kocovski (2018)は,臨床サンプルにおける再発 率は35 ∼ 85%であると報告している。さらに,国際的なガイドライン (National Institute of Health and Clinical Excellence, 2009)でも推奨さ れている治療法である認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy:以下,CBT)を行った場合 でも,その後の再発率は33.4%と報告されてい る(Wojnarowsk et al., 2019)。このことから, 治療後に再発を予防することが,うつ病治療にお ける中心的な課題であることが指摘されている (Teasdale et al., 2000)。 そのため,これまでにもうつ病の再発に関わる 脆弱性に関する検討が行われてきた。例えば, Post(1992)は,うつ病の発症とストレスイベ ントとの関係について明らかにしており,最初の うつ病エピソードの前には,何かしらのストレス イベントが存在していることが多いが,うつ病エ ピソードを重ねるごとに,その割合は少なくなっ ていくことを明らかにしている。つまり,うつ病 の再発の要因は,ストレスなどの外的要因から, 罹患経験を重ねるごとに,うつ病に対する脆弱性 などの内的要因へと移り変わっていくと考えられ * 兵庫教育大学大学院学校教育研究科 ** 兵庫教育大学
訳 2007)。 一方で,認知療法や認知行動療法が,うつ病の 再発をどのように予防しているかについては,一 貫した知見が得られていない。例えば,認知療法 においては,再発を予防するために,ポジティブ な結果をもたらさない概念や行動へと患者を導く ような認知パターンを認め,それを変化させるよ う な 介 入 を 行 う(Beck et al., 1979 坂 野 ら 訳 2007)。そのため,従来は,認知的介入を行わな い薬物療法などでは,治療後の非機能的な態度に 変化はみられないとされてきたが,それを反証す る 研 究 が 報 告 さ れ る よ う に な っ た。 例 え ば, Simons,Garfield, & Murphy(1984) は, 抑 う つ症状を持つ患者を,認知療法群(CT群)と薬 物療法群(PT群)に分けて介入を行った。その 結果,治療終了後の非機能的な態度は,CT群と PT群どちらも有意に低下し,治療効果の差はみ られなかったが,治療終了時に抑うつ症状が改善 している者は,非機能的態度が改善していた。つ まり,治療法にかかわらず,抑うつから回復した 者は非機能的な態度が改善していたことが示され た。このことから,自動思考や非機能的な信念は, 抑 う つ 症 状 と 共 に 増 減 す る 状 態 依 存 的 (Epiphenomenal) な 変 数 で あ る と い え る (DeRubeis et al., 1991 ; Liu et al., 2020)。つま り,抑うつスキーマや否定的な自動思考は,抑う つ症状を高め,維持するという点においては,抑 うつの原因であるが,抑うつ気分が高まることで それらの要因が高まるという意味では,抑うつの 結果であるともいえる。 このように,認知的要因に対するアプローチを 行わなくても非機能的な態度が改善するという点 や,抑うつスキーマや自動思考が抑うつに及ぼす 影響は一方向ではなく双方向であるという点にお いて,認知理論から想定されるプロセスとは異な る結果が報告されるようになった。したがって, 近年では,抑うつ症状が改善した後にも抑うつ的 な信念を持っていることが,うつ病再発の原因で はなく,抑うつ気分によって,非機能的な思考パ ターンが容易に活性化してしまうことがうつ病再 る。そのため,うつ病の再発予防のためには,現 在の抑うつ症状から回復するだけではなく,脆弱 性要因に対するアプローチが必要とされている (Cladder-Micusa et al., 2017)。 そこで本稿では,まず,うつ病の発症や再発を 説明する理論モデルとして,これまで多く取り上 げられてきたBeck,Rush,Shaw,& Emery (1979 坂野ら訳 2007)の認知モデルに関する研究を示 す。そして,近年うつ病の再発脆弱性として考え られている認知的反応性を取り上げ,基礎的知見 や介入アプローチに関する先行研究を概観し,う つ病再発との関連性や効果的な介入要因について 包括的に検討することを目的とする。 2.うつ病再発の脆弱性要因 2-1 抑うつスキーマとその批判 従来の研究では,うつ病再発の脆弱性として抑 うつスキーマが取り上げられてきた。スキーマと は,深層にある信念や態度とされ,抑うつ的な人 のスキーマは,独特で否定的なものであるとされ ている(坂本・田中・丹野・大野,2004)。Beck et al(1979 坂野ら訳 2007)の認知理論によれば, この抑うつスキーマは否定的なライフイベントを 経験することによって活性化し,推論の誤り(認 知の偏り)を生み出す。そして,この推論の誤り が,意図的な思考によるのではなく,自分の意志 とは関係なく意識に上ってくる考えである自動思 考を生み出す(坂本ら, 2004)。抑うつ的な人 の自動思考は,自己・世界・未来に対して否定的 であることが特徴とされ,これによって,自分に 自信が持てなくなり,周りとの関係を否定的に考 え,未来を否定的に考えるようになるとされる(坂 本ら,2004)。このように,Beckの認知モデル では,抑うつスキーマや否定的な自動思考といっ た非機能的な認知構造や,歪んだ認知プロセスに より抑うつが維持されると考えられている。その ため,認知療法では,行動実験や認知的再体制化 を用いて,抑うつ気分に関連する歪んだ思考パ タ ー ン の 特 定 と 修 正 に 焦 点 を 当 て て い る (Lemmens et al., 2017;Beck et al., 1979 坂野ら
2002 越川訳 2007)。 そして,そのように活性化された思考パターン によって,抑うつ気分は一層悪化し,その悪化し た抑うつ気分により,否定的な自動思考や反すう が強化される,という悪循環に陥ってしまう。そ の結果,些細な抑うつ気分が抑うつ症状に至るほ どに増悪させられる,というプロセスが想定され て い る(Figure 1)。 実 際 に,Miranda,Gross, Persons, & Hahn (1998) は,うつ病の既往歴が ある者は,既往歴がない者と比較して,ストレス フルなイベントを経験した際に,非機能的な思考 が増加することを明らかにしている。このことは, うつ病の罹患を重ねるごとに非機能的な思考パ ターンと抑うつ気分の結びつきが強まることを示 していると言える。 このような概念の特徴から,認知的反応性の測 定には,気分誘導と抑うつスキーマを測定する Dysfunctional Attitude Scale(以下, DAS, Weissman & Beck, 1978)の組み合わせた方法が主に用い られてきた(Ex : Segal et al.,2006)。つまり, うつ病再発の脆弱性とは,潜在している抑うつス キーマが,軽い抑うつ気分によって活性化される ことにあるため,抑うつの気分誘導の前後でDAS を測定し,気分誘導後のDAS得点と誘導前のDAS 得点の差が認知的反応性とされていた。しかし, この方法は悲しい音楽をかける等の気分誘導手続 きを用いるコストがかかり,臨床的に不向きであ ることから,その後,自己記述式の尺度である, 改訂版Leiden 抑うつ感受性尺度(Leiden Index 発のきっかけになると考えられている(Segal et al., 2006)。そして,そのような非機能的態度の 活性化のしやすさを表す概念の1つとして,認知 的反応性が注目されている。 2-2 新たな脆弱性要因―認知的反応性 認知的反応性とは,抑うつ気分を経験した際, 非機能的な認知が活性化する程度を示しており (山本・山野・嶋田・市川・仲谷,2014),些細 な気分の変化によってネガティブな思考が引き起 こされやすい傾向(Segal, Williams, & Teasdale, 2002 越川訳 2007)と定義されている。Segal et al.(2002 越川訳 2007)や丹野・石垣・毛利・佐々 木・杉山(2015)によれば,日常生活において は様々なストレスイベントがあり,誰でも病理と まではいかない軽い抑うつ気分を感じることがあ る。そして,そのような軽度,または一過性の抑 うつ状態に陥った時,その状態が軽度のままなの か,より重度で持続的な抑うつ状態になるのかを 決定する重要な要因は,抑うつ気分と否定的な認 知処理との間の相互補強的関係に基づく悪循環が 確立されることであるとされている(Teasdale, 1988)。具体的には,うつ病エピソード中は,抑 うつ気分に加えて,否定的な自動思考や反すうな どの非機能的な思考パターンが伴う。そして,そ れらが連合学習により結び付けられるため,非機 能的な思考パターンを修正した後でも,抑うつ気 分が呼び水となり,非機能的な思考パターンが再 活性化してしまうと考えられている(Segal et al.,
再発せず
ネガティブな
思考
ネガティブでない
思考
ネガティブな思考パターンを「芽のうちに摘み取る」うつ発病
寛解
再発の可能性
ネガティブな思考パターンが 復活する再発
気分の低下
Figure 1 うつ病再発予防のためのマインドフルネス認知療法の基本モデル
(Segal et al., 2002 越川訳 2007を参考に作成)
ることを示している。 さらに,認知的反応性については,研究自体が そもそも少なく,頑健とはいえないまでも,先行 研究においては,罹患回数を重ねるごとに高まっ ていく可能性が示唆されている(Elgersma et al., 2015;山本ら,2014)。このように,罹患回数 を重ねるごとに脆弱性要因の抑うつに与える影響 力 が 高 ま っ て い く こ と を 考 慮 す る と(Post, 1992),認知的反応性を低減させることは,うつ 病再発の予防に重要であると考えらえる。 3.認知的反応性に対するアプローチ 3-1 認知行動療法(CBT)と認知的反応性 国際的なガイドラインで,うつ病に対する治療 法として推奨されているものにCBTがある。例え ば,Segal et al. (2006)は,CBTで寛解した者は 薬物療法で寛解した者よりも,治療後の認知的反 応性が有意に低下し,治療終了時の認知的反応性 の高さは,18か月後のうつ病の再発を有意に予 測したことを明らかにしている。その理由として, CBTを行うことによって,軽い抑うつ気分によっ て簡単に非機能的な態度が活性化される様子を, より注意深く気付けるようなメタ認知的スキルが 獲得されるため,結果的に,認知的反応性が低減 す る 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い る(Segal et al., 2006)。つまり,思考・行動記録表などを用いて, 思考や行動と気分の関連について客観的に観察で きるようになることによって,認知的反応性が低 減すると述べられている。しかし,Segal et al. (2006)の研究では,DASと気分誘導による方法 を用いているため,認知的反応性を正確に測定で きていない可能性がある。さらに,上記の研究で は,脱中心化のようなメタ認知的スキルは測定さ れていないため,実際にCBTにおけるどのような 治療要素が認知的反応性の低減に寄与するかは, 実証的には明らかにされていないのが現状である。 3-2 マインドフルネスと認知的反応性 うつ病再発の脆弱性を抱える者は,些細な抑う つ気分によって容易に非機能的な態度が活性化し やすい状態にあるという理論的背景から,うつ病 of Depression Sensitivity-Revised: 以 下, LEIDS-R
Van der Does & Williams,2003;山本ら, 2014)が開発された。さらに,従来の気分誘導 とDASを組み合わせて認知的反応性を測定する際 には,DAS-AとDAS-Bを用いて,認知的反応性を 測定していたが,この2つの尺度には等価性がな いことが指摘されるようになった。そのため,現 在では自己記述式尺度の方が,認知的反応性を測 定するには妥当であるという見解が得られている (Figueroa et al., 2018)。 2-3 認知的反応性とうつ病再発の関連 認知的反応性がうつ病の再発をどの程度予測す るのか検討した研究は少ないものの,これまでの 先行研究からは,うつ病の再発をある程度一貫し て予測することが明らかとなっている。例えば, Segal et al.(2006),Kuyken et al .(2010)は, DASによる測定法を用いて認知的反応性のうつ病 再 発 の 予 測 率 を 検 討 し て い る。 具 体 的 に は, Segal et al.(2006)は,大うつ病の診断基準に該当 する患者に対し,CBTによる治療と抗うつ薬によ る治療を行い,治療後の認知的反応性の変化と, その後の再発率について検討している。その結果, 治療後の認知的反応性はCBT群の方が有意に低下 しており,治療終了後時点の認知的反応性の高い 者は,再発リスクが高かった。また,Kuyken et al.(2010)は,過去3回以上のうつ病の罹患経験が あり,介入時には抑うつ症状を示さなかった者に 対して,抗うつ薬を中止しマインドフルネス認知 療法(Mindfulness-based cognitive therapy:以下, MBCT)を受ける群と,抗うつ薬を継続する群に 分けて介入し,それぞれの群における15 ヶ月の 再発率を検討した。その結果,抗うつ薬を継続す る群のみにおいて,認知的反応性の高さが15 ヶ 月後の再発率の高さを有意に予測することが示さ れた。一方,自己記述式尺度であるLEIDS-Rを用 いて,うつ病の発症予測率を検討している研究に は,Krujit et al.(2013)があげられる。具体的には, 抑うつ症状のない834名を2年間縦断研究し,認 知的反応性の高さがうつ病の発症を有意に予測す
らず,MBCTが認知的反応性に対して一定の低減 効果を持つことを示していると言える。また, Van der Gucht,Takano, van Broeck, & Raes (2015)は, 生 活 保 護 を 経 験 し た 者 に 対 し て, MBCTとMBSRを組み合わせたマインドフルネス トレーニングを実施した結果,マインドフルネス スキルは有意に向上し,認知的反応性は有意に低 下したことを明らかにしている。このように,マ インドフルネスを用いた介入は,認知的反応性の 低減に有効である可能性が示唆されている。しか し,マインドフルネスには様々な要素が含まれお り,その全ての要素が抑うつと関連を示している わけではないことが報告されていることから (Carpenter et al.,2019),マインドフルネスの どのような要因が認知的反応性の低減に寄与する のかは十分に検討されていない。 4.まとめと今後の課題 従来のうつ病治療のCBTのマニュアルにおいて, 再発予防のために取り組まれている内容の多くは, セッション全体を振り返ることや,今後再発しな いために行動の計画を立てることである(Ex: 鈴木・岡本,2011)。しかし,CBTを行った後に も再発する者がいることを考えれば,現在の治療 法における再発予防は十分ではない可能性がある。 実際に,セッション全体を振り返ることがうつ病 の再発を予防するという頑健なエビデンスはない。 さらに,ここまで述べてきたように,セッション の中で起こる変化によってうつ病の再発が予防さ れているとしても,その具体的なプロセスまでは 明らかになっていない。このようなことから,う つ病の再発を予防するための具体的な方法論や, そのプロセスについては明確になっていないのが 現状である。 そのような状況において,本稿では認知的反応 性に着目し,基礎的知見や介入アプローチに関す る先行研究を概観し,うつ病再発との関連性や効 果的な介入要因の検討を行った。その結果,うつ 病の再発予防として,認知的反応性に着目するこ とが有用であることが示され,マインドフルネス の再発を予防するためには,自己の状態をモニタ リングし敏感になることによって,悪化する前に 自分の思考から距離をとることが重要であると考 えられている(Segal et al., 2002 越川訳 2007)。 そのため,現在では,マインドフルネスを用いた アプローチが認知的反応性の低減に有効である可 能 性 が 指 摘 さ れ て い る(Cladder-Micus et al., 2017)。 マインドフルネスとは,「意図的に,今この瞬間 に,価値判断することなしに,ものごとに注意を 向 け る こ と 」 と 定 義 さ れ て お り(Kabat-Zinn, 1994;田中監訳,2012),このような個人の傾 向がマインドフルネス特性である(Carpenter et al., 2019)。そして,マインドフルネス特性は様々 な要素から構成されている。例えば,最も包括的 にマインドフルネス特性を測定しているとされる Five Facets Mindfulness Questionnaire(Baer, Smith, Hopkins, Krietemeyer, & Toney, 2006; Sugiura, Sato, Ito, & Murakami, 2012) は, 「Observing」,「Non reactivity」,「Non judging」, 「Describing」,「Acting with awareness」の五因子
で構成されている。このマインドフルネス特性は, マインドフルネスを組み入れたMBCTや,マイン ドフルネスストレス低減法(Mindfulness-based stress reduction:以下,MBSR)を行うことによっ て向上することが明らかとなっている(Goldberg et al., 2016 ; Spinhoven, Huijbers, Ormel, & Specknes, 2017)。マインドフルネスと認知的反 応 性 の 関 連 を 検 討 し た 研 究 と し て, 例 え ば, Cladder-Micus et al.(2017)は,過去3回以上の うつ病経験があり,部分寛解,もしくは寛解状態 にある者を対象に, MBCT群と,通常の臨床管理 を受ける群(Treatment as usual:以下, TAU群) に分けて,認知的反応性に及ぼす影響を検討した 結果,MBCT群の患者は治療終了時にTAU群と比 較して,認知的反応性が有意に低下したことを明 らかにしている。この結果は,ベースライン時の 認知的反応性,抑うつ症状,および発症年齢を統 制した場合でも有意であったことから,治療開始 前のうつ病の重症度や認知的反応性の高さに関わ
four-phase systematic review and meta-synthesis. Clinical psychology review, 64, 13–38.
Carpenter, J, K, Conroy, K, Gomez, A, F, Curren, L, C, & Hofmann, S, G (2019). The relationship between trait mindfulness and affective symptoms: A meta-analysis of the Five Facet Mindfulness Questionnaire (FFMQ). Clinical psychology review,
Cladder-Micus, M,B, Aalderen, J, Donders, A,R,T, Spijker,J, Vrijsen,J,N, Speckens,A, (2017). Cognitive reactivity as outcome and working mechanism of mindfulness-based cognitive therapy for recurrently depressed patients in remission. Cognition & emotion, 32(2), 371-378 DeRubeis, R. J., Evans, M. D., Hollon, S. D., Garvey,
M. J., Grove, W. M., & Tuason, V. B. (1990). How does cognitive therapy work? Cognitive change and symptom change in cognitive therapy and pharmacotherapy for depression. Journal of consulting and clinical psychology, 58(6), 862– 869.
Elgersma, H, J, Jong, P, J, van Rijsbergen, G, D, Kok, G, D, Burger, H, van der Does, W, Penninx, B, & Bockting,C. (2015). Cognitive reactivity, self-depressed associations, and the recurrence of depression. Journal of affective disorders, 1, 183, 300-9
Figueroa, C. A., Mocking, R., Mahmoud, G. A., Koeter, M. W., Bockting, C. L., van der Does, W., Ruhe, H. G., & Schene, A. H. (2018). The measurement of cognitive reactivity to sad mood in patients remitted from major depressive disorder. The British journal of clinical psychology, 57(3), 313–327.
Goldberg, S. B., Wielgosz, J., Dahl, C., Schuyler, B., MacCoon, D. S., Rosenkranz, M., Lutz, A., Sebranek, C. A., & Davidson, R. J. (2016). Does the Five Facet Mindfulness Questionnaire measure what we think it does? Construct validity evidence from an active controlled randomized が認知的反応性を低減するアプローチとして有効 である可能性が示唆された。しかし,マインドフ ルネスが認知的反応性に影響を及ぼすプロセスや, 従来のうつ病治療として行われてきた認知行動的 アプローチとの関連については未だ明確ではない ことが明らかになった。したがって,今後の研究 では,CBTやマインドフルネスが認知的反応性に 影響を及ぼす作用機序を明らかにすることによっ て,抑うつ症状のみならず,うつ病再発の脆弱性 要因へのアプローチを検討する必要がある。さら に,うつ病の罹患経験回数は頑健なうつ病再発の 脆 弱 性 要 因 で あ る こ と が 示 唆 さ れ て い る (Buckman et al., 2018)。このことは,うつ病の 再発を早期に予防すること自体が大きな再発予防 効果を持つことを意味している。したがって,う つ病の罹患経験回数が少ない初期のエピソードを 経験した者に対しても,認知的反応性の低減に効 果的な要因が存在するかどうかを明らかにするこ とは,早期の再発予防につながる可能性があるた め,検討する必要があるだろう。 引用参考文献
American Psychiatric Association (2013). Diagnostic and statistical manual of mental disorders. 5th ed. Washington, D.C : American Psychiatric Association.(高橋三郎・大野裕監訳 2014 DSM5 精神 疾患の診断・統計マニュアル 医 学書院)
Baer, R. A., Smith, G. T., Hopkins, J., Krietemeyer, J., & Toney, L. (2006). Using self-report assessment methods to explore facets of mindfulness. Assessment, 13(1), 27–45.
Beck, A. T., Rush, A.J., Shaw, B F., & Emery, G. (1979) Cognitive therapy of depression, New York: Guilford Press. (坂野雄二 監訳 2007 うつ病 の認知療法<新版> 岩崎学術出版社) Buckman, J., Underwood, A., Clarke, K., Saunders, R.,
Hollon, S. D., Fearon, P., & Pilling, S. (2018). Risk factors for relapse and recurrence of depression in adults and how they operate: A
F., Zhang, Y., & Li, L. (2020). State-Dependent and Trait-Like Characteristics of Dysfunctional Attitudes in Patients With Major Depressive Disorder. Frontiers in psychiatry, 11, 645.
MacKenzie, M, Abbott,K, & Kocovski, N. (2018). Mindfulness-based cognitive therapy in patients w i t h d e p r e s s i o n : c u r r e n t p e r s p e c t i v e s Neuropsychiatric disease and treatment, 18;14:1599-1605.
Miranda, J., Gross, J., Persons, J., & Hahn, J. (1998). Mood matters: negative mood induction activates dysfunctional attitudes in women vulnerable to depression. Cognitive Therapy and Research, 22, 363–376.
National Institute of Health and Clinical Excellence ( 2 0 0 9 ) . D e p r e s s i o n t h e t r e a t m e n t a n d management of depression in adults (https:// www.nice.org.uk/guidance/cg90/chapter/ Recommendations#treatmentchoicebasedond e p r e s s i o n s u b t y p e s a n Recommendations#treatmentchoicebasedond p e r s o n a l -characteristics)
Post, RM (1992) Transduction of psychosocial stress into the neurobiology of recurrent affective disorder. American Journal of Psychiatry, 149, 999-1010.
坂本真士・田中江里子・丹野義彦・大野裕 (2004). Beckの抑うつモデルの検討一DASとATQを用 いて − 日本大学心理学研究,25,14-23. Segal, Z. V., Williams, J. M. G., & Teasdale, J. D.
(2002). Mindfulness-based cognitive therapy for depression: A new approach to preventing relapse. New York: Guilford Press. ( 越 川 房 子 (監訳)(2007).マインドフルネス認知療法:
うつを予防する新しいアプローチ 北大路書 房)
Segal, Z, V, Kennedy, S, Gemar, M, Hood, K, Pedersen, R, & Buis, T (2006). Cognitive reactivity to sad mood provocation and the prediction of depressive relapse. Archives of general psychiatry, 63(7), 749-55
clinical trial. Psychological assessment, 28(8), 1009–1014.
伊藤義徳・長谷川晃・甲田宗良(2010).うつ病 の異常心理学 感情心理学研究 第18巻, 第1号,51−63
Kabat-Zinn, J (1994) Wherever You Go, There You Are : Mindfulness Meditation in Everyday Life, Hyperion (田中麻里 監訳 2012 マインドフル ネスを始めたいあなたへ 星和書店)
Kovaks, M, and Beck, A, T (1978). Maladaptive cognitive structures in depression. The American journal of psychiatry, 135(5), 525-33 厚生労働省 (2009).うつ病の認知朗報・認知行 動療法 治療者用マニュアル 厚生労働省 (2010).自殺・うつ対策の経済的便 益(自殺・うつによる社会的損失)(https:// www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000qvsy. html) 厚生労働省 (2017).平成29年(2017)患者調 査の概況 (https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/ hw/kanja/17/index.html)
Kruijt, A. W., Antypa, N., Booij, L., de Jong, P. J., Glashouwer, K., Penninx, B. W., & Van der Does, W. (2013). Cognitive reactivity, implicit associations, and the incidence of depression: a two-year prospective study. PloS one, 8(7), e70245.
Kuyken, W, Watkins, E, Holden, E, White, K, Taylor, R,S, Byford, S, Evans, A, Radford, S, Teasdale, J, D, & Dalgleish, T (2010). How does mindfulness-based cognitive therapy work? Behaviour research and therapy, 48(11), 1105-12. Lemmens, L., Galindo-Garre, F., Arntz, A., Peeters, F.,
Hollon, S. D., DeRubeis, R. J., & Huibers, M. (2017). Exploring mechanisms of change in c o g n i t i v e t h e r a p y a n d i n t e r p e r s o n a l psychotherapy for adult depression. Behaviour research and therapy, 94, 81–92.
Liu, B., Sun, J., Qin, X., Wang, M., Lu, X., Dong, Q., Zhang, L., Liu, J., Ju, Y., Wan, P., Guo, H., Zhao,
on symptoms of stress, anxiety, and depression a n d o n c o g n i t i v e r e a c t i v i t y a n d overgeneralization. Mindfulness, 6, 1042–1052 Weissman, A. N., & Beck, A. T. (1978). Development
and validation of the dysfunctional attitudes scale: A preliminary investigation. In Paper presented at the American Educational Research Association, Toronto, Canada.
Wojnarowsuki, C, Firth, N, Finegan, M, Delgadillo,J (2019). Predictors of depression relapse and recurrence after cognitive behavioural therapy: a systematic review and meta-analysis. Behavioural and cognitive psychotherapy, 47(5), 514-529 山本哲也・山野美樹・嶋田洋徳・市川健・仲谷誠
(2014).反復性の大うつ病エピソード経験 者が示す認知的反応性の特異性 心理学研究, 85, 1, 29-39
Zajecka , J, Kornstein, S, & Blier, P. (2013). Residual symptoms in major depressive disorder: prevalence, effects, and management. The Journal of clinical psychiatry, 74(4), 407-14
Simons, A, D, Garfield, S, L, & Murphy, G, E (1984). The process of change in cognitive therapy and pharmacotherapy for depression. Changes in mood and cognition. Archives of general psychiatry, 41(1), 45-51.
Spinhoven, P., Huijbers, M. J., Ormel, J., & Speckens, A. (2017). Improvement of mindfulness skills during Mindfulness-Based Cognitive Therapy predicts long-term reductions of neuroticism in persons with recurrent depression in remission. Journal of affective disorders, 213, 112–117. Sugiura, Y., Sato, A., Ito, Y., Murakami, H. (2012).
Development and validation of the Japanese version of the Five Facet Mindfulness Questionnaire, Mindfulness, 3 , 85–94. 鈴木伸一・岡本泰昌・松永美希 (2011).うつ病 の集団認知行動療法実践マニュアル 日本評 論社 丹野義彦・石垣琢磨・毛利伊吹・佐々木淳・杉山 明子 (2015).臨床心理学 有斐閣
Teasdale, J. D. (1988). Cognitive vulnerability to persistent depression. Cognition and Emotion, 2(3), 247–274.
Teasdale, J. D. (1999). Emotional processing, three modes of mind and the prevention of relapse of depression. Behaviour Research and Therapy, 37, S37-S77.
Teasdale, J. D., Segal, Z. V., Williams, J. M. G., Ridgeway, V. A., Soulsby, J. M., & Lau, M. A. (2000). Prevention of relapse/recurrence in major depression by mindfulness-based cognitive therapy. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 68, 615-623.
Van der Does,A. J.W., & Williams, J.M.G. (2003). Leiden Index of Depression Sensitivity-Revised (LEIDS-R). Leiden University.(http://www. dousa.nl/publications_depression. htm#LEIDS) Van der Gucht, K., Takano, K., Van Broeck, N., &
Raes, F. (2015). A mindfulness-based intervention for economically disadvantaged people: Effects
Research trends and perspectives on cognitive reactivity as a vulnerability in
depression recurrence.
Kazuhiro Kiyonuma*, Daisuke Ito**
*Graduate School of Education, Hyogo University of Teacher Education **Hyogo University of Teacher Education
Abstract
Depression is known as a disease with high recurrence rate as well as high morbidity rate. In fact, there is a growing need for preventing relapse of depression in the clinical field. Therefore, reducing the vulnerability to relapse is very important. In recent years, cognitive reactivity has been noted as a vulnerability factor for relapse. However, there is little empirical study on cognitive reactivity in Japan. And also the relationship between the recurrence of depression and the cognitive reactivity, and its theoretical background are unknown.
In this study, we reviewed previous researches about basic findings and interventions approaches for cognitive reactivity to examine its association with relapse and the factors for effective interventions. As the results, it was suggested that taking note of the cognitive reactivity is helpful to prevent relapse, and that possibility of mindfulness being an effective means to reduce the reactivity. However, the process in which mindfulness have such effect on the cognitive reactivity, and how that is related to the cognitive behavioral approach used for depression are not known. Further research is needed.