琉球列島の植生学的研究
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(2) 87. 報 文 li川IIIIIIII川IIIIIIIIII川IIIII. 琉球列島の植生学的研究* Vegetation der Ryukyu−Ihseln, Japan* −Pflanzensoziologische Studien der Ryukyu−lnseln∼元一一一一. 鈴木 邦雄 von Kunio Suzul(1 Synopsis Th・Ry・ky・1・1・nd・are・ituat・d i・th…uthern p・・t・f J・p・n. V・g・t・ti・n。f th。 Ry。ky。 1・1・nd・・b・i・gi・th・C・m・11i・t・a l・p・ni・a…egi・・, i・ch・・a・teri、ed by th。 i、1。nd。nd subtropica] peculiarities.. tt To obtain ecological and phytosociological information on vegetation in the Ryukyu Islands, about 3000 relev6s were investigated. The vegetation was classi丘ed into 87 associations and com−. 1nunities according to Braun.Blanquet system of phytosociology.. 目. 次. はじめに. 7.. ケナガエサカキースダジイ群集. 8.. オキナワウラジロガシ群集’. 9.. ヤマビワソウーホソバタブ群集. 10.. マルヤマシュウカイドウーアカギ群落. 11.. オキナワテイショウソウーマテバシイ群集. 1.地形・地質. 12.. アカテツーハマビワ群集. 2.気候. 13.. 上級単位 /. 1.琉球列島の自然環境. 3.植物地理・フロラの特性. b.ナガミボチョウジークスノハカエデ群団. II.琉球列島の植生概観. 一石灰岩地域の常緑広葉樹林一. 皿.調査法. 14.. オオンミギーアカギ群集. 1.現地植生調査. 15.. ガジュマルークロヨナ群集. 2. 群落組成表の作製. 16.. タマシダークスノハカエデ群落. N.調査結果. 17.. ナガミボチョウジーイスノキ群落. A.常緑広葉樹林一ヤブッバキクラス林一. 18.. a.リュウキュウアオキースダジイ群団. 19.. 一非石灰岩地域の常緑広葉樹林一. カタヒバーサルカケミカン群集 上級単位. B.ヘゴ林・ビロウ林. 1.. ケハダルリミノキースダジイ群集. 20. ヒリュウシダー毛リヘゴ群集. 2.. アマミテンナンショウースダジイ群集』. 21. アカハダグスービロウ群集. 3.. アオバナハイノキースダジイ群集 〔. C.マングローブ林・湿地林. 4.. アマミヒイラギモチーミヤマシロバイ群集. 22.. サガリバナ群集. 5.. ギョクシンカースダジイ群集. 23.. サキシマスオウ群集. 6.. オキナワシキミースダジイ群集. 24.. シマシラキ群落. 25.. ニツパヤシ群落. 26.. オヒルギーメヒルギ群落. *Contributioll from the Department of Vegetation Sciellce, Institute of Environmental Science & Technology, Yokohama National University No.. D.リユウキュウマツ林. 63.. 27.サキシマツツジーリュウキュウマツ群集. *東北大学大学院理学研究科審査学位論文(昭和52年度).. 28. コゴメスゲーリュウキュウマツ群集.
(3) 88. 29. ノボタンーリュウキュウマツ群落. 68. ソナレシバ群落. 30. リュウキュウマツ群団. L.河川岩壁・岩上植物群落 69. サイゴクホングウシダーヒメタムラソウ群. E.夏緑広葉樹林 31. アマクサギーウラジロエノキ群集. 集. 32. ヤンバルアワブキーエゴノキ群集. 70. シマミズーヒナヨシ群集. 33. ハドノキーウラジロエノキ群団. 71. アキカサスゲ群落. F.竹 林. M.ススキ草原. ナタオレノキーリュウキュウチク群集. 72.. リュウキュウツワブキーススキ群落. 35.. ホウライチク群落. 73.. ムラサキカタバミーススキ群落. 36.. マダケ群落. 74.. ハイキンゴジカーススキ群落. 37.. ホテイチク群落. 75.. リュウキュウイチゴーススキ群集. 76.. ノシランーススキ群落. 77.. イリオモテムラサキーススキ群落 ヤブレガサウラボシーススキ群落. 34.. G.海岸断崖草本植物群落 オオシマノジギクーホソバワダン群集 38. 39.. オキナワギクーハチジョウススキ群集. 78.. 40.. イソノギクーハチジョウススキ群集. 79.. ノボタンーススキ群落. 41.. オキナワスミレーホウライシダ群落. 80.. ホシダーススキ群集. 42.. オキナワマツバボタンーコウライシバ群落. 81.. ナガバカニクサーススキ群団. 43.. タマシダーサダソウ群落. 82.. ススキ草原とその成立要因. 44.. ヒオウギーハチジョウススキ群落. N.伐り跡群落. 45.. シマチカラシバ群集. 83.ベニバナボロギク群落. 46.. ボタンボウフウ群団. H.海岸砂丘植物群落 ハマアズキーグンバイヒルガオ群集 47.. 84. リュウキュウバライチゴーホウロクイチゴ 群集. 0.放牧地・路上雑草群落他 ハイキンゴジカーオキナワミチシバ群落. コオニシバ群集. 85.. ハマボウフウーツキイゲ群集. 86.. タチスズメノヒエーパラグラス群落. 50.. ハマニガナークロイワザサ群団. 87.. ギンネム群落. 51.. キダチハマグルマ群集. 88.. ハイニシキソウーフタシベネズミノオ群集. 48. 49.. P.耕作地・耕作放棄地雑草群落. 52.. クロイワザサーハマゴウ群集. 53.. クロイワザサーハマゴウ群団. 89.. アダン群集. 90.. シロバナセンダングサーコミカンソウ群落. クロミノオキナワスズメウリーオオハマボ. 91.. ハマクワガタールリハコベ群集. ウ群集. 92.. オォハマボウーアダンクラス. 93.. 54. 55.. 56.. シマニシキソウーハリビユ群集. リュウキュウバショウ群落 チガヤ群落. 1.海岸隆起サンゴ礁上植物群落. 94.. アゼムシロ群落. 57.. イソフサギ群集. 95.. デンジソウ群落. 58.. イソマツーモクビャッコウ群集. 96.. ハイキビーチゴザサ群落. 59.. ソナレムグラーコウライシバ群集. 97.. 耕作地雑草群落の相互関係. 60.. ミヤコジマハマアカザ群落. V. 察. 61.. ソナレムグラーイソマツクラス. A.琉球列島の植生の特性と植物社会学的位置. 62.. ハリツルマサキーテンノウメ群集. 1.琉球列島の植生の特性. 63.. ナハエボシグサクラス. 2.琉球列島の植生の植物社会学的位置. 64.. モンパノキークザトベラ群集. B.植生と自然環境. J.湿生草本植物群落. 1.地理的・歴史的要因. 65. ヒメガマ群落. 2.立地的要因. 66. セイコノヨシ群i落. 3.島峡的要因. K.塩生地植物群落. C.植生と人為的要因. 67.シオクグ群集. 1.非石灰岩地域の遷移系列.
(4) 89. 2.石灰岩地域の遷移系列. 76),Psychotrio manillensis・Acer oblongi(1976),. 摘 要. リュウキュウマツ林(1978)について研究を報告行っ. Zusammenfassung. てきた。. 文 献. 本報では,筆者らによる前後数回に及ぶ現地植生調. 付表Tab.1−39.. 査資料について植生学的研究を重ねた結果,明かにさ. 付図 Fig.1_21.. れた琉球列島の植生の群落単位とその成立要因,群落 の相互関係について総括を行っている。. 本論文を草するに当り,懇篤なる御指導を賜わった 東北大学理学部教授飯泉 茂博士に深甚なる感謝の意. は じ め に. を表する。飯泉茂博士には,東北大学在学中から現在. 琉球列島は,我が国の南端に位置し,点在する100. まで,植物生態学について多くの御指導,御鞭燵を賜. 余の島峡からなっている。多くの固有種の分化もみら. わっており,終始有益な御助言,激励の言葉を賜って. れる琉球列島の植生は関東地方以西の本州,四国,九. きている。本研究の機会を与えられ,終始御指導,御. 州から続く常緑広葉樹林帯一ヤブツバキクラス域. 助言を賜わった横浜国立大学環境科学研究センター教. 一の南端にあたり,相観を同じくするスダジイ林,. 授宮脇 昭博士に深く謝意を表する。宮脇昭博士に. タブノキ林の成立もみられる。同時に,より温暖な気. は,学卒後の1970年以来,横浜国大専攻生,助手の身. 候下にある東アジア,東南アジア,ミクロネシアの亜. に対し,植生学の初歩から御指導を賜ってきており,. 熱帯∼熱帯に広く分布するマングローブ林(紅樹林),. 本調査,研究にあらゆる便宜を受けており,植生調査. ビロウ林,ヘゴ林の北限域にあたる。琉球列島は,古. 資料の提供をいただいている。. くから人々の移り住む地であり,さまざまな人間活動. 本研究の現地調査には,多くの人々に多大な労を要. が重ねられてきており,人為的影響の質と量とに応じ. している。植生調査資料は,宮脇昭(A.M.),奥田. た代償植生で広く占められている。残存する自然植生. 重俊(S.O.),藤原一絵(KF.),鈴木邦雄(K.S.). は,疫病が原因といわれる西表島,最近まで搬出路を. 原田洋(H.H.),佐々木寧(Y.S.),井上香世子(K.. 欠いた奄美大島金作原,聖域として守られてきた「御. L),中村幸人(Y.S.)ら横浜国大環境科学研究セン. 願所」が代表的なものとしてあげられる。琉球列島の. ター植生学研究室のスタッフが中心となり,新納義馬. 現存植生は,自然植生から代償植生まで,多様な人為. 教授,故玉城松栄教授ら琉球大学の方々の協力により. 的影響と立地条件の差異に応じた配分でモザイク状の. 収集されたものである。記して感謝する次第である。. 分布をみせている。したがって,同じヤブッバキクラ ス域の本州∼九州の植生と関連が深く,さらに東南ア. 1.琉球列島の自然環境. ジア・ミクロネシアの亜熱帯,熱帯の植生との接点域. 1.地形・地質. として琉球列島の植生が位置づけられ,その解明には. 琉球列島は,日本の南端に位置し,九州南端から台. 重要な意義がある。. 湾にかけて約1300kmの間に点在する100余の島喚から. 琉球列島の植生についての研究は,MIYAWAKエ. なり,太平洋に突出した弧を形成している。南西諸島. 1960,1969(水田雑草群落,畑地雑草群落),MIYA−. と か ら ともいわれる琉球列島は,北から,大隅,吐鳴味],奄. wAKI u・OHBA 1963(奄美群島のシイ林), OHNo. 美,沖縄,宮古,八重山の各群島からなり,尖閣,大. 1961(南西諸島の森林植生),新納1964,1965,1967他. 東などの島々も含まれる。本調査,研究は,一般に琉. (尖閣列島,辺土岬,渡名喜島の植生),新納他1971,1974. 球列島といわれている奄美,沖縄,宮古,八重山の各. (尖閣列島,八重山列島の植生),飯泉(編)1974,. 群島を構成する島峻の植生を中心に行なわれてきた。. 1975(草地生態),菅沼(編)1976(草地生態)など,. :奄美群島は,奄美大島,徳之島,喜界島,沖永良部. 特定の植生,特定の地域を対象として行なわれている. 島,与論島などが北緯20°∼28°35ノ,東経128°20ノ∼. にとどまる。筆者は,1970年10月の西表島の植生調査. 130°07,の間に,北東から南西に連なっている。奄美. に参加して以来,横浜国立大学環境科学研究センター. 大島,徳之島は第三系の堆積岩とそれを貫く火山岩か. 植生学研究室(同教育学部生物学教室)の宮脇教授以. らなり(中川1967),起伏に富む地形を形成している。. 下のスタッフとともに現地植生調査を重ね,西表島の. 喜界島,沖永良部島,与論島は,隆起とむすびついた. 森林植生(1971),琉球列島のススキ草原(1974),. 平坦な段丘状の地形を呈している。. 奄美大島名瀬の植生(1974),奄美群島の植生(1675),. 沖縄群島は,琉球列島中最大で南北に約150kmの. Vegetation der Dttnen u. der Korallenbauten(19. 沖縄本島および周辺の諸島からなっている。沖縄本島.
(5) 88 29. ノボタンーリュウキュウマツ群落. 68. ソナレシバ群落. 30. リュウキュウマツ群団. L.河川岩壁・岩上植物群落 69. サイゴクホングウシダーヒメタムラソウ群. E.夏緑広葉樹林 31. アマクサギーウラジロエノキ群集. 集. 32. ヤソバルアワブキーエゴノキ群集. 70.シマミズーヒナヨシ群集. 33. ハドノキーウラジロエノキ群団. 71. アキカサスゲ群落. F.竹 林. M.ススキ草原 リュウキュウツワブキーススキ群落. 34.. ナタオレノキーリュウキュウチク群集. 72.. 35.. ホウライチク群落. 73.. ムラサキカタバミーススキ群落. 36.. マダケ群落. 74.. ハイキンゴジカーススキ群落. 37.. ホテイチク群落. 75.. リュウキュウイチゴーススキ群集. 76,. ノシランーススキ群i落. 77.. イリオモテムラサキーススキ群落. ナキナワギクーハチジョウススキ群集. 78.. ヤブレガサウラボシーススキ群落. イソノギクーハチジョウススキ群集. 79.. ノボタンーススキ群落. オキナワスミレーホウライシダ群落. 80.. ホシダーススキ群集. 42.. オキナワマツバボタソーコウライシバ群落. 81.. ナガバカニクサーススキ群団. 43.. タマシダーサダソウ群落. 82.. ススキ草原とその成立要因. 44.. ヒオウギーハチジョウススキ群落. 45.. シマチカラシバ群集. 46.. ボタンボウフウ群団. G.海岸断崖草本植物群落 オオシマノジギクーホソバワダン群集 38. 39.. 40. 41.. H.海岸砂丘植物群落. N.伐り跡群落 83.ベニバナボロギク群落 84. リュウキュウバライチゴーホウロクイチゴ 群集. O.放牧地・路上雑草群落他 ハイキンゴジカーオキナワミチシバ群落 85.. 47,. ハマアズキーグソバイヒルガオ群集. 48.. コオニシバ群集. 49.. ハマボウフウーツキイゲ群集. 86.. タチスズメノヒエーパラグラス群落. 50.. ハマニガナークロイワザサ群団. 87.. ギンネム群落. 51,. キダチハマグルマ群集. 88.. ハイニシキソウーフタシベネズミノオ群集. 52.. クロイワザサーハマゴウ群集. 53.. クロイワザサーハマゴウ群団. 89.. アダン群集. 90.. シロバナセソダングサーコミカンソウ群落. クロミノオキナワスズメウリーオオハマボ. 91.. ハマクワガタールリハコベ群集. ウ群集. 92.. オォハマボゥーアダンクラス. 93.. チガヤ群落. 94.. アゼムシロ群落. 54. 55.. 56.. 1.海岸隆起サンゴ礁上植物群落 57.. イソフサギ群集. P.耕作地・耕作放棄地雑草群落 シマニシキソウーぐリビユ群集. リュウキュウバショウ群落. 95.. デンジソウ群落 ハイキビーチゴザサ群落. 耕作地雑草群落の相互関係. 58.. イソマツーモクビャッコウ群集. 96.. 59.. ソナレムグラーコウライシバ群集. 97.. 60.. ミヤコジマハマアカザ群落. 61.. ソナレムグラーイソマツクラス. V. 察 A.琉球列島の植生の特性と植物社会学的位置. 62.. ハリツルマサキーテンノウメ群集. 1.琉球列島の植生の特性. 63.. ナハエボシグサクラス.. 2.琉球列島の植生の植物社会学的位置. 64.. モンパノキークサトベラ群集. B.植生と自然環境. J.湿生草本植物群落. 1.地理的・歴史的要因. 65. ヒメガマ群落. 2.立地的要因. 66. セイコノヨシ群落. 3.島喚的要因. K.塩生地植物群落. C.植生と人為的要因. 67. シオクグ群集 v. 1.非石灰岩地域の遷移系列.
(6) 89. 2.石灰岩地域の遷移系列. 76),Psychotrio manillensis・Acer oblongi(1976),. 摘 要. リュウキュウマツ林(1978)について研究を報告行っ. Zusammenfassung. てきた。. 文 献. 本報では,筆者らによる前後数回に及ぶ現地植生調. 付表 Tab.1−39.. 査資料について植生学的研究を重ねた結果,明かにさ. 付図 Fig.1−21.. れた琉球列島の植生の群落単位とその成立要因,群落 の相互関係について総括を行っている。. 本論文を草するに当り,懇篤なる御指導を賜わった 東北大学理学部教授飯泉 茂博士に深甚なる感謝の意. は じ め に. を表する。飯泉茂博士には,東北大学在学中から現在. 琉球列島は,我が国の南端に位置し,点在する100. まで,植物生態学について多くの御指導,御鞭燵を賜. 余の島嘆からなっている。多くの固有種の分化もみら. わっており,終始有益な御助言,激励の言葉を賜って. れる琉球列島の植生は関東地方以西の本州,四国,九. きている。本研究の機会を与えられ,終始御指導,御. 州から続く常緑広葉樹林帯一ヤブツバキクラス域. 助言を賜わった横浜国立大学環境科学研究センター教. 一の南端にあたり,相観を同じくするスダジイ林,. 授宮脇 昭博士に深く謝意を表する。宮脇昭博士に. タブノキ林の成立もみられる。同時に,より温暖な気. は,学卒後の1970年以来,横浜国大専攻生,助手の身. 候下にある東アジア,東南アジア,ミクロネシアの亜. に対し,植生学の初歩から御指導を賜ってきており,. 熱帯∼熱帯に広く分布するマングローブ林(紅樹林),. 本調査,研究にあらゆる便宜を受けており,植生調査. ビロウ林,ヘゴ林の北限域にあたる。琉球列島は,古. 資料の提供をいただいている。. くから人々の移り住む地であり,さまざまな人間活動. 本研究の現地調査には,多くの人々に多大な労を要. が重ねられてきており,人為的影響の質と量とに応じ. している。植生調査資料は,宮脇昭(A.M.),奥田. た代償植生で広く占められている。残存する自然植生. 重俊(S.O.),藤原一絵(K.F.),鈴木邦雄(K. S.). は,疫病が原因といわれる西表島,最近まで搬出路を. 原田洋(H.H.),佐々木寧(Y.S.),井上香世子(K.. 欠いた奄美大島金作原,聖域として守られてきた「御. 1.),中村幸人(Y.S.)ら横浜国大環境科学研究セン. 願所」が代表的なものとしてあげられる。琉球列島の. ター植生学研究室のスタッフが中心となり,新納義馬. 現存植生は)自然植生から代償植生まで,多様な人為. 教授,故玉城松栄教授ら琉球大学の方々の協力により. 的影響と立地条件の差異に応じた配分でモザイク状の. 収集されたものである。記して感謝する次第である。. 分布をみせている。したがって,同じヤブツバキクラ ス域の本州∼九州の植生と関連が深く,さらに東南ア. 1.琉球列島の自然環境. ジア・ミクロネシアの亜熱帯,熱帯の植生との接点域. 1.地形・地質. として琉球列島の植生が位置づけられ,その解明には. 琉球列島は,日本の南端に位置し,九州南端から台. 重要な意義がある。. 湾にかけて約1300kmの間に点在する100余の島興から. 琉球列島の植生についての研究は,MIYAWAKI. なり,太平洋に突出した弧を形成している。南西諸島. 1960,1969(水田雑草群落畑地雑草群落),MIYA−. と か ら. wAKI u. OHBA 1963(奄美群島のシイ林), OHNo. 美,沖縄宮古,八重山の各群島からなり,尖閣,大. ともいわれる琉球列島は,北から,大隅,吐鳴刺,奄. 1961(南西諸島の森林植生),新納1964,1965,1967他. 東などの島々も含まれる。本調査,研究は,一般に琉. (尖閣列島,辺土岬,渡名喜島の植生),新納他1971,1974. 球列島といわれている奄美,沖縄,宮古,八重山の各. (尖閣列島,八重山列島の植生),飯泉(編)1974,. 群島を構成する島峡の植生を中心に行なわれてきた。. 1975(草地生態),菅沼(編)1976(草地生態)など,. 奄美群島は,奄美大島,徳之島,喜界島,沖永良部. 特定の植生,特定の地域を対象として行なわれている. 島,与論島などが北緯20°∼28°35’,東経128°20’∼. にとどまる。筆者は,1970年10月の西表島の植生調査. 130°07’の間に,北東から南西に連なっている。奄美. に参加して以来,横浜国立大学環境科学研究センター. 大島,徳之島は第三系の堆積岩とそれを貫く火山岩か. 植生学研究室(同教育学部生物学教室)の宮脇教授以. らなり(中川1967),起伏に富む地形を形成している。. 下のスタッフとともに現地植生調査を重ね,西表島の. 喜界島,沖永良部島,与論島は,隆起とむすびついた. 森林植生(1971),琉球列島のススキ草原(1974),. 平坦な段丘状の地形を呈している。. 奄美大島名瀬の植生(1974),奄美群島の植生(1675),. 沖縄群島は,琉球列島中最大で南北に約150kmの. Vegetation der Dttnen u. der Korallenbauten(19. 沖縄本島および周辺の諸島からなっている。沖縄本島.
(7) 90. の北部∼中部は,与那覇岳(498m),西銘岳(438m). 西表島には,浦内川,仲間川,越良川など河口付近に. などの峰が続く。その大部分が砂岩,礫岩など古生層. 汽水域を生じさせる流量豊かな河川がある。八重山群. で占められている。沖縄本島北端の辺土岬,本部半島. 島の与那国島は,琉球列島の最西端,波照間島は最南. の八重岳(453m),嘉津宇岳(461m)は琉球石灰岩. 端に位置している。. からなっている。沖縄本島の南部は,海抜200mを超. 2.気 候. えることなく,第三紀の砂岩,泥板岩の上に琉球石灰. 琉球列島は,とりまく太平洋,東シナ海の影響を受. 岩がかぶっている。低湿地も多くみられる。. けた亜熱帯海岸気候に属している。奄美大島,沖縄本. 沖縄本島南端から南西方向に約180kmの距離に宮. 島,宮古島,石垣島の気温,降水量,湿度については. 古島を中心とする宮古群島がある。宮古島はほば三角. Tab.ユー4に示されている。年平均気温は,琉球列島内. 形をしており,野原岳(109m)を最高峰とする低平. でも奄美大島と石垣島とで3.4°C差がある。植生区分. な台形地形をなしている。広く琉球石灰岩に被われて. との係わりで吉良1942が亜熱帯としている暖かさの指. いる。. 数180°∼240°は,屋久島の南から八重山群島までの範. 八重山群島は,宮古群島と台湾との間,北緯24°03ノ. 囲である。年較差は宮古で65.4°と鹿児島の205°より. ∼25°52ノ,東経122°56’∼124°20ノに散在する石垣島,. 著しく少なく,海洋性気候特有の価を示している。降. 西表島,与那国島などの19島からなっている。石垣島. 水量は,年次により変動が多いが年間2,000∼3,000. は,花嵩岩からなる於茂登岳(526m)を囲んで広く. mmである。湿度は年間を通じ70%を下らないが,夏. 古生層からなっており,石垣,大浜付近が琉球石灰岩. 季を中心に増加の傾向がある。琉球列島は,冬季に北. である。西表島は,古見岳(470m),波照間森(477. ∼北東,夏季に南南西の風が卓越しており,いわゆる. m),テドウ岳(441m),御座岳(420m)などの峰々. 東アジア季節風帯に属している。. があり,広く第三紀層の砂岩,頁岩に被われている。. 九州1 Kyushu. 琉球列島全図 RYUKYU−INSELN. L=°°k・. 吐耀:9島. 琉 奄美大Ein. 100◇ 120° 140°. 位置図 Orientierungskarte 沖縄群島. Okinawa−lnseln. 宮古群島 Miyako−lnseln ・』誌島。、輪、、。、 輪垣島r、h、,。it・、一、、。、. Fig・1琉球列島および隣i接地域図 Untersuchungsgebiet der Ryukyu.lnseln. o◎Q6°.
(8) 91. Tab・1奄美大島の気候年表 Metごorologische Daten fttr Insel Amami.Oshima. (名酬噺N・・e、ll:ill;海抜高、・Mee・e・h・h・2.8m). 23’45678.91011τ2. Febr. Marz Apr. Mai Juni Juli Aug. Sept. Okt. Nov. Dez.. Jahr. 14.2. 14.5 16.5 19.6 22.4. 25.3 28.1 27,8 26.6. 23.0 19.8 16.2. 21.2. 17.3. 17.7 20.2 23.3 26.2. 28.9 32.4 31.9 30.7. 26.7 23.3 19.5. 24.8. 11: 2. 11.6 13.3 16.4 19.5. 22.5 25.1 24.8 23.6. 20.0 16.9 13.2. 18.2. 170 191 204 368. 452 215 325 311. 1 ご. Jan.. 年. 気 温 (°C). Lufttemperatur 平均一.. Mitte1. 最高平均. Maximum 最低平均. Minimum 月降水量(mm) Niederschlag 湿度平均(%) Hu皿idittit. 178. 71. 72. 73. 76. 80. 81. 79. 80. 81. 237. 219. 169. 3,039. 75. 73. 72. 76. 1941−1970平均,Mittelwerte von 1941 bis 1970. Tab・2沖縄本島の気候年表 Meteorologische Daten ftir Insel Okinawa. (噸気象台〔鵬N・h・〕、ll:1壬ll繊高Mee・e・h6h・34・8m) \. 年 Jan. Febr. Marz Apr. Mai Juni Juli Aug. Sept. Okt. Nov. Dez.. Jah士. 気 温 (°C). Lufttemperatur 平均 Mitte1. 最高平均. Maximum 最低平均. Minimum 月降水量(mm) Niederschlag 湿度平均(%) Humidit註t. 16.0. 16.4. 18.1 20.8. 23.8. 26.0. 28.2. 27.8. 27.1. 24.1. 21.4. 18.1. 22.3. 18.8. 19.2. 21.1 23.8. 26.6. 28.7. 31.1. 30.6. 30.1. 27.1. 24.3. 20.8. 25.2. 13.5. 13.9. 15.6 18.3. 21.5. 23.9. 25.9. 25.5. 24.8. 21.9. 19.1. 15c 8. 20.0. 320 174 253 152. 149. 151. 140. 2,118. 79. 74. 73. 72. 78. 122 ユ16. 70. 73. 154 142 244. 76. 79. 84. 86. β2. 83. 1941−1970平均,Mittelwerte von 1941 bis 1970.
(9) t. ●. 92. Tab・3宮古島の気候年表 Meteorologische Daten fttr Insel Miyako. (宮古臨象台Mi・・k・、;;:1;li量”;,繊高Mee・e・h・h・39・2m). \月別M。。。・. 年 Jan. Febr. Marz Apr. Mai Juni Juli Aug. Sept. Okt. Nov. Dez.. Jahr. 平均 Mitte1. 17.7 18.0 19.6 21.8 24.8 26.7 28.1 27.6 27.1 24.7 22.3 19.4. 23.2. 最高平均. 20.3 20.8 22.6 24.8 27.8 29.5 31.2 30.8 30.3 27.4 24.8 21.9. 26.0. 最低平均. 15.4 15.8 17.3 19.5 22.5 24.6 25.8 25.3 24.8 22.7 20.2 17.4. 20.9. 147.3 151.6 137.2 178.2 246.5 298.3 219.3 269.1 166.4 184.4 173.8 166.2. 2338.2. 種別Angabe 気 温 (°C). Lufttemperatur. Maximum Minimum 月降水量(mm) Niederschlag 湿度平均(%) Humidit江t. 73. 76. 78. 82. 86. 87. 83. 84. 81. 76. 75. 79. 74. 1941−1960平均,Mittelwerte von 1941 bis 1960. Tab.4石垣島の気候年表. Meteoro1Qgische Daten fUr Insel Ishigaki. (腫山気象台Y・ey・m・、ll:ill;堪抜高Mee・e・h・h・6・m). 年 Jan. Febr. Marz Apr. Mai Juni Juli Aug. Sept. Okt. Nov・Dez・. Jahr. 17.9 18.4 19.9 22.4 25.4 27.5 28.8 28.3 27.5 ‘24.9 22.4 19.6. 23.6. ・20.8 21.7 23.0・25.5 28.6 30.5 32.0 31.5 30.7 28.1 25.3 22.4. 26.7. 15.4 15.9 17.3 19.8 23.0 25.3 26.5 25.9 24.9 22.5 20.1 17.3. 21,1. 139.6117.8156.7169.6240.2230.4173.6214.8233.0171.1196.9152.0. 2195.5. 気 温 (°C). LufttemperatUr 平均. Mitte1 “. 藷竃駕m・ t. 最低十均. Mi・i中・m. 膿沓曇h彊m) | . 湿度平均(%) Hunliditat. 76. 78. 79. 82. 84. 85. 80. 82. 80. 77. 77. 76. 1931−1960平均,Mittelwerte von 1931 bis 1960. t. 80.
(10) 93. 3.植物地理・フロラの特性. は,スダジイ林,オキナワウラジロガシ林など多層群. 奄美群島以南の琉球列島の植物相,植物地理に関し. 落については高木第1層B、(Baumschicht−1),高木. ては,A. ITow 1887,正宗1934, HARA 1959,初. 第2層B2(Baumschicht−2),低木層S(Strauchschi−. 島1971,H・WALKER 1976・前!ll 1977などによ卿. cht),草本層K(Krautschicht)の各階層に,植分に. らかにされてきている。琉球のフロラはマレーシア熱. 応じた高さで区分される。さらに,各階層毎に,出現. h 帯植物区への所属が指摘されており(HARA 1959),. する種の被度および群度について全推定法(BRAUN−. 約1800種の維管束植物うち101の固有種と26の固有. BLANQUET 1964)に基づいて総合的に量的測度が与. 変種の生育が記録されている(初島1971)b正宗1934. えられた。. は,維管束植物の属の分布域から,大隅海峡以南の八. 同時に,隣接群落,人為的影響,微地形,土壌条. 重山群島までを琉球区とし,琉球区をさらにトカラ海. 件,方位,傾斜,海抜高度など現地で判定しうる範囲. 峡と宮古一沖縄の間で植物地理学的区分を行ってい. で,できるだけ多くの立地条件について記録された。. る。前川1977は,琉球列島南端の八重山群島に多い. 2. 群落組成表の作製. 熱帯要素のフロラが北上するにつれて貧化しているこ. 現地で得られた植生調査資料は,ほぼ同一の群落に. とを熱帯生維管束植物の北限から論じている。. 属すると考えられるものごとに,それぞれの群落組成. 表に組みこまれた。素表,常在度表,部分表,区分. ll.琉球列島の植生概観. 表,総合表(常在度表),群集表(標徴種表)へと組. 琉球列島の植生の位置づけについては,日本列島の. みかえが行われた。. 植生の指摘の中などで,古くから行なわれてきてい. 植生単位の把握と区分はさまざまな見地から行なわ. る。本多1912は,沖縄本島中部を境として,琉球列島. れてきたが,現在,種類組成を基礎とした群集As−. カシ. 北部を暖帯林儲帯(亜熱帯林),南部を椿樹帯(熱帯. soziationを基本単位とする植生の把握と区分が,広く. 林)としている。相観から常緑照葉広葉樹林Lorbe−. 国際的に行なわれており(TUxEN 1937,宮脇1972. erwalder域(ScHuMITHWsEN 1961),照葉樹林帯. 他),著者もその立場に拠った。. (吉良1940),温かさの指数(吉良1945)による亜熱. 基本単位である群集の相互関係,体系化は,植物社. 帯湿潤気候帯に対応する亜熱帯降雨林帯などと区分さ. 会学命名規約(1954,1976)により,標徴種群により. れてきた。. 群団Verband,オーダーOrdnung,クラスKlasse. 植生学,植物社会学から,琉球列島は広く被う自然. にまとめられる。. 植生の常緑広葉樹林により代表してヤブッバキクラス. 域Camellietea japollicae−Gebietとし て位置づけられる。ヤブツバキクラスは,タブ群団 (中野1942),クスーヵシクラス(鈴木時夫1962)ど. N.調 査 結 果 A.常緑広葉樹林一ヤブツバキクラス林一. もいわれてきた常緑広葉樹林で,東北地方南部の沿海. Immergrilne Laubwalder−C a m e 1 1 i e t e a. 部から琉球列島にかけて広がりをもつ。. j,aponicae−Walder一. 日本の常緑広葉樹林帯一ヤブツバキクラス域一. 琉球列島は,年平均気温が20°Cを超え,年間降水. のほぼ南端にあたる琉球列島の植生は,海洋性の温暖. 量が2000−3200mmに達する海洋性の亜熱帯気候下に. な気候条件,細かな立地条件,人間活動の歴史に応じ. ある。そのため,琉球列島を広く占める自然植生,潜. て,常緑広葉樹の森林植生から耕作畑に生育する1年. 在自然植生は,ヤブツバキクラスにまとめられる常緑. 生草本植物群落まで,きわめて多様である。. 広葉樹林である。ヤブツバキクラスは,琉球列島にお いて,スダジイ,オキナワウラジロガシ,イスノキ,. 皿.調 査 法 1. 現地植生調査. ガジュマルなどが高木層に優占し,亜高木層以下には ヤブニッケイ,トベラ,サンゴジュ,ノシラン,コバ. 琉球列島に生育する,自然植生から代償植生まであ. ノカナワラビなど常緑植物が繁茂している森林植生で. るいは草本植生から森林植生まで,すべての植生が調. ある。琉球列島のヤブツバキクラス林を,北は奄美群. 査の対象とされた。調査対象とされた具体的な個々の. 島から南は八重山群島まで広く植生調査を進め,室内. 植生(植分)は,均質な相観をなし,均一と判定される. 作業による群落区分を行ってきた。さらに,日本各地. 立地で最小面積以上の拡がりをもつものが選ばれた。. のヤブツバキクラス林の比較検討を加え,群集,群団. 植生調査に際しては,調査域内の全出現種について. など植生単位の決定がなされた。. 階層別に完全な種のリストが作成される。群落階層. その結果,琉球列島のヤブッバキクラス林は,宮脇他.
(11) 94. 1971が規定しているリュウキュウアオキースダジイ群. 域の常緑広葉樹林は,スダジイ,オキナワウラジロガ. 団Psychotrio・Castanopsion siebo1−. シが優占し,リュウキュウアオキースダジイ群団にま. dii,著者ら(MIYAwAKI u. K SuzuKI 1976). とめられる。リュウキュウアオキースダジイ群団の植. の規定したナガミボチョウジークスノハカエデ. 生は,奄美大島(金作原),徳之島(三京),沖縄本島. 群団Psychotriomanillensis−Acerion. (国頭),西表島を中心に自然度の高い林分がみられ. oblongiの2群団にまとめられた。 リュウキュウ. る。筆者は,宮脇らとともに,西表島・沖縄本島(19. アオキースダジイ群団は,奄美大島,徳之島,沖縄本. 71),奄美大島名瀬(1974),奄美群島(1975)のリュ. 島北部,西表島など非石灰岩地域に生育する常緑広葉. ウキュウアオキースダジイ群団について報告を行って. 樹林であり,スダジイ,オキナワウラジロガシを中心. きている。本報では,石垣島など未発表地域,新群集. とした高木林を形成している。ナガミボチョウジーク. のオキナワテイショウソウーマテバシイ群集も含め,. スノハカエデ群団は,与論島,沖縄本島南部,宮古島. 琉球列島のリュウキュウアオキースダジイ群団の総合. など石灰岩地域に生育している常緑広葉樹林であり,. 常在度表が作成され,総合的な群落単位の検討が加え. ガジュマル,イスノキ,ヤブニッケイ,アカギ,リュ. られた。その結果,10群集2群落が区分され7こ。. ウキュウガキなどが優占する。. 1.ケハダルリミノキースダジイ群集 a.リュウキュウアオキースダジイ群団. Lasiantho−Castanopsietum. Psychotrio・Castanopsio皿siebol−. sieboldii]Miyawakiet a1.1974(Tab.5). dii]Miyawaki et a1.1977. ケハダルリミノキースダジイ群集は,奄美群島の斜. 一非石灰岩地域の常緑広葉樹林一. 面∼尾根に広く生育するスダジイ林である。高さ12∼. 琉球列島において,砂岩,頁岩,粘板岩などを基盤 とし,赤褐色にラテライト化を生じている非石灰岩地. 25mの高木第1層以下,あまり明瞭な区分ではないが,. 高木第2層,低木層,草本層の4層に大別される多層. Phot.1オキナウシキミースダジイ群集の相観(沖縄島北部).. Physiognomiedes Ilicio anisati.Castanopsietuu sieboldii (N.Teild. Inse10k三nawa)..
(12) 95. Phot.2西表島のケナガエサカキースダジイ群集,オキナワウラジロガシ群集の原生林 Entlang des Tales kommt gurtelartig Quercetuエn miyagiivor(lriomote Inse1).. 構造からなり,構成種のほとんどがヤブツバキクラス. く堆積をほとんどみない,弱乾性黄色土と呼ばれる森. にまとめられる常緑広葉樹,常緑植物からなる。した. 林土壌である。この群集は,金作原,和瀬,湯湾を除. がって,季観の差は少なく,開花,結実により季節の. くと,奄美群島でも残存生育が限られており,二次林. 変化が識別されるにとどまる。. のギョクシンカースダジイ群集,リュウキュウマツ林. 植生調査資料は,日本でも数少ない常緑広葉樹の原. などの生育地となっている。. 生林が広い面積にわたって残されている奄美大島の金. ケハダルリミノキースダジイ群集は,以下の2亜群. 作原(国有林)を中心に,和瀬随道付近から得られてい. 集に下位区分される。. る。ケハダルリミノキースダジイ群集は,MIYAWAKI. (i)コバノカナワラビ亜群集. u・OHBA 1963により,奄美大島(湯湾岳など)から. コバノカナワラビ亜群集は,ヤリノホクリハラン,. 報告されている。今回,金作原などの植生調査資料は. ヘッカシダ,ツルホラゴケ,コバノカナワラビ,キノ. 琉球列島全域と比較検討を行った結果,標徴種であり. ボリシダを区分種とする。草本層にリュウビンタイ,. 群集名に引用されているケハダルリミノキの常在度が. ヘッカシダ,ヤリノホクリハラン,キノボリシダ,ツ. 低いが,サカキ,ナンゴクホウチャクソウ,ミヤマハ. 1 ノ. ルホラゴケなどシダ類が特徴的に繁茂しており,山地. シカンボク,トキワガキ,オキナワキジノオを標徴種. の斜面下部,窪状地,湿潤地に発達する。出現種数28. または区分種として,ケハダルリミノキースダジイ群. −49種(平均45.9種)を数える。. 集と判定された。. コバノカナワラビ亜群集は,ヒロバノコギリシダ,. ケハダルリミノキースダジイ群集は,海抜190∼450. カツモウイノデ,ヤクカナワラビなどを区分種とする. mで調査資料が得られており,奄美群島の尾根から斜. ヒロバノコギリシダ変群集と,特定の区分種をもたな. 面にかけて広い面積を占める(潜在)自然植生である。. い典型変群集に下位区分される,. 古生層の粘板岩を基盤としており,腐植層の分解が早.
(13) 96. 2.アマミテンナンショウースダジイ群集. Arisaemo heterocephalae・Casta・ nopsietum sieboldii Miyawaki et. たっするが,小面積の島でありさまざまな人間活動の 影響台風などのため,林分の多くが荒廃しており,. 高さ6−8mの亜高木林も多い。また,比較的乾燥し た立地のため,ヤマモモ,コバンモチ,ギョクシン. Ohba 1963(Tab.5). カ,タシロスゲなどが特徴的に高い常在度で生育して. アマミテンナンショウースダジイ群集は,奄美大島. いる。林床植生は,植被率5「30%と貧弱である。. 湯湾岳,徳之島井之川岳など奄美群島の海抜600m以. アオバナハイノキースダジイ群集の生育する沖永良. 上に生育しているスダジイ林であり,リュウキュウハ. 部島,喜界島は,琉球石灰岩域が大部分を占め,100. ナイカダ,リュウキュウヤツデ,シマサルスベリ,ア. km2以下の面積しか有しない。そのため,奄美大島,. マミテンナンショウを標徴種または区分種とする。海. 徳之島と異ったスダジイ林一アオバナハイノキース. 抜600m以上は,いわゆる雲霧帯であり,日射量が限. ダジイ群集一の成立を生んでいる。. られ,空中湿度が高く保たれる立地となっている。奄. 美大島住用村(海抜350m)の深い渓谷沿いの湿潤地. 4.アマミヒイラギモチーミヤマシロバイ群集. にも,アマミテンナンショウースダジイ群集が成立し. Ilexdimorphophylla・Symplocos. ている。. confusa・Ass. MiyawakietaL 1974. アマミテンナンショウースダジイ群集は,高さ11−. 15mの高木林あるいは高さ6−8mの亜高木林であ り,ヘッカシダ,カツモウイノデ,コバノカナワラ ビ,アオノクマタケランなどが草本層に高い植被率で 繁茂している林分である。. (i)コバノジュズネノキ亜群集. コバノジュズネノキ亜群集は,コバノジュズネノ キ,アマミエビネを区分種とし.徳之島井之川岳に生 育している。. 聞 ヤリノホクリハラン亜群集 ヤリノホクリハラン亜群集は,林床に特徴的に生育 するヘッカシダ,ヤリノホクリハラン,ツルホラゴケ を区分種とし,徳之島に分布している。ヤリノホクリ. ハラン亜群集は,チャボヘゴ,シマシシラソを区分種 とし土壌の堆積を多くみるチャボヘゴ変群集,ヒイラ. ギズイナ,アマミテンナンショウ,ヒロバノコギリシ ダ,ヤクカナワラビを区分種とし,平均出現種数47.1 を数えるヒロバノコギリシダ変群集とシマサルスベリ が被度・群度2・2−3・3で生育するシマサルスベリ変群 集に下位区分される。. 3.アオバナハイノキースダジイ群集’. (Tab.5). アマミヒイラギモチーミヤマシロバイ群集は,奄美. 大島湯湾岳の山頂直下に生育する高さ8m前後の常緑 広葉樹の亜高木林である。ミヤマシロバイ,クロバ イ,シバニッケイ,タイミンタチバナ,イヌガシなど 常緑広葉樹が混生して林冠を形成しており,林床には タカサゴキジノオ,エダウチホングウシダ,ミヤビヵ. ンアオイ,ヘッカリンドウ,ノシランなどが,5−40 %の植被率で生育する。この群集の標徴種または区分 種としてヘッカリンドウ,ミヤビカンアオイ,ミヤマ シロバイ,ヒメrpカラ,アマミヒイラギモチ,ハマヒ サカキ,アマミフユイチゴがあげられる。. アマミヒイラギモチーミヤマシロバイ群集の構成種 であるアマミヒイラギモチ,ミヤマシロバイは湯湾岳 特産の種であり,アマミフユイチゴ(湯湾岳・井之川 岳),ヒメカカラ (湯湾岳・屋久島)も分布域が限ら. れている。したがって,群集分布域も限られる。しか し,アマミヒイラギモチーミヤマシPバイ群集同様に. タイミンタチバナ属Myrsineとハイノキ属Symplo− COSの樹種を中心となる植生は,マレー・一一・シア,ボルネ. オ,ニューギニアなど東南アジア地域(亜高山帯)の 雲霧林またはそれ以上の高海抜地域にも分布している (追1966)。. Symploco liukiuensis・Castano・ psietum sieboldii]Miyawakiet Ohba. 5.ギョクシンカースダジイ群集. 1963(Tab.5). Tarenno・Castanopsietum siebo1・. アオバナハイノキースダジイ群集は,奄美群島の沖. dii]Miyawaki et al.1974(Tab.5). 永良部島大山および喜界島に生育するスダジイ林であ. 琉球列島各地と同様に,奄美群島に生育しているス. り,アオバナハイノキ,シロダモ,オオムラサキを標. ダジイ林の大部分は,過去に何度か伐採されている二. 徴種または区分種とする。沖永良部島大山の植生調査. 次林である。ギョクシンカースダジイ群集は,奄美群. 資料からMIYAwAKI U. OHBA 1963により群集規定. で得られたスダジイの二次林であり,ゴンズイ,ソテ. されており,今回,大山および喜界島の資料が加えら. ツ,アマクサシダ,ササバサンキライ,シャリンバ. れている。群落の高さは,発達した林分で13−14mに. イ,ツワブキ,トベラ,タシロスゲを群集標徴種また.
(14) 97 プ. は区分種とする。. 高さ10m以下の亜高木林,低木林であり,林冠はス. る高木林から5皿前後の林分までが含まれ,多くの下 位単位に区分される。. ダジイを中心にアマミアラカシ,コバンモチ,フカノ. オキナワシキミースダジイ群集は,一般にスダジイ. キ,夏緑広葉樹のハゼノキ,ゴンズイ,エゴノキなど. が高い被度で優占し,イスノキ,ヤブニッケイ,タブ. が低い被度であるが高い常在度で混生している。優占. ノキを混じえる。スダジイが厚く林冠を被っているた. するスダジイの,森林伐採後の萌芽林であり,著しく. め,下層は明確な階層構造を示さずに,リュウキュウ. 貧養立地,乾生立地ではリュウキュウマツ林の段階を. アオキ,シシアクチ,タシロルリミノキ,フカノキ,. 経てギョクシソカースダジイ群集に遷移する。低木層. カクレミノ,コバンモチ,ヤブツバキなど常緑広葉樹. ・は,林冠を形成することもあるが,トベラ,ヤマモ. が,限られた被度であるが高い常在度で生育してい. モ,シャリンバイ,モッコクなど,九州以北のヤブコ. る。. ウジースダジイ群団,あるいはアカテツーハマビワ. (i)ツワブキ亜群集. 群集など海岸風衝低木林に高い常在度で生育し,ケハ. ツワブキ亜群集は,タシロスゲ,ツワブキ,リュウ. ダルリミノキースダジイ群集など琉球列島の常緑広葉. キュウハナイカダ,クワズイモを区分種とする。河川. 樹の自然林,高木林にあまりみられない種群が特徴的. 沿いなど小暗部岩礫地に分布する。ツワブキ亜群集. に生育する。また,ササバサンキライ,サツマサンキ. は,ヘゴ,アカメイヌビワ,リュウビンタイを区分種. ライ,トゲナシカカラなどつる植物の繁茂がみられ. としたヘゴ変群集と,ヤブニッケイが優占し,タマシ. る。. ダ,オキナワシャリンバイ,ヒトツバ,ススキを区分. 乾生立地あるV)は表層土が流出している立地には,. 種とする亜高木林のタマシダ変群集とに下位区分され. コシダ,クロガヤが特徴的に高い被度で生育するスダ. る。タマシダ変群集は,ヘゴ変群集の二次林として,. ジイの低木林(群落高2−4m)が成立し,コシダー. 土壌の流出があり岩礫が露頭してきた立地を中心に生. スダジイ群落として区分される。コシダースダジイ群. 育する。. 落は,出現種数が25種前後とギョクシンカースダジイ. ㈲ ナンバンアワブキ亜群集. 群集の平均31.7種より少ない。. ナンバンアワブキ亜群集は,タイミンタチバナ,ヒ メサザンカ,イスノキ,オニヘゴ,オオシイバモチ,. 6.オキナワシキミースダジイ群集. ナy.バンアワブキ,ヤマヒハツ,ミヤマシキミを区分. 11icio anisati已Castanopsietum. 種とする。沖縄本島に生育するオキナワシキミースダ. sieboldii]Miyawaki etaL 1971 (Tab.5). ジイ群集は大部分がナンバンアワブキ亜群集である。. オキナワシキミースダジイ群集は,筆者ら(MIYA−. ナンバンアワブキ亜群集は,さらに,カクラン,オキ. WAKI et al.1971)により沖縄本島のスダジイ林とし. ナワスゲ,オオバチヂミザサを区分種とし,タブノキ. て発表されており,リュウキュウナガエサカキ,ヤン. の優占するカクラン変群集と,サクラツッジ,アデ. バルマユミ,ホザキカナワラビ,オナガエビネ,ビシ. ク,トキワガキ,サクラランを区分種とするサクラツ. ソジュズネノキ,オキナワシキミを標徴種または区分. ツジ変群集に下位区分される。カクラン変群集は,沖. 種とする。. 縄本島北部で,東海岸に面した沿海域の斜面下端に生. 奄美群島のケナガエサカキースダジイ群集は,高さ. 育する。サクラツツジ変群集は,マテバシイ,ヨゴレ. 20mをこえる林分も多くみられた。しかし沖縄群島の. イタチシダ,コバノミヤマノボタン,バケイスゲを区. スダジイ林であるオキナワシキミースダジイ群集は高. 分種とするスダジイ低木林,亜高木林のヨゴレイタチ. 木第1層が15mをこえることがない。さらに南の八重. シダ亜変群集,オキナワウラジロガシ,タカサゴキジ. 山群島のスダジイ林(ケナガエサカキースダジイ群. ノオ,アマミエビネ,ヌカボシクリハラン,クサマル. 集)も,同様に,15m以下の高さに限られている。定. ハチを区分種とするオキナワウラジロガシ亜変群集と. 期的に訪れる台風強風かつての伐採,スコール的. 特定の区分種をもたない典型亜変群集とに下位区分さ. な降雨により有機物の流出などさまざまな要因が総合. れる。オキナワウラジロガシ亜変群集は,沖縄本島の. 的に働いている。. 最高峰である与那覇岳(480m)の山頂付近(海抜410. 植生調査資料は,沖縄本島の名護岳,西銘岳,与那. ∼440m)に生育しており,群落の高さも11−15mに. 覇岳,伊部岳から得られており,高さ8m前後のスダ. たっするスダジイの高木林である。出現種数も53−64. ジイ低木林(二次林)も含まれる。オキナワシキミー. 種を数え豊かである。典型亜変群集は,沖縄本島北部. スダジイ群集は,残存する林分が立地的あるいは人為. のオキナワシキミースダジイ群集の自然林として広い. 的に撹乱を少なからず受けており,高さ15mにたっす. 面積を占め,群落の高さも9−11mにたっする林分を.
(15) 98 なす。. ビワ,オオタニワタリを区分種とする。リュウキュウ. エビネ亜群集は,さらに,アリモリソウ,ヘッカシ 7.ケナガエサカキースダジイ群集. Arundinario yaeyamensis・Ca・ stanopsietum sieboldii Miyawaki et al.1971(Tab.5). ケナガエサカキースダジイ群集は,八重山群島に生 育するスダジイ林であり,ツルアダン,タイワンルリ ミノキ,ヤエヤマシキミ,タイワンオガタマノキ,ケ ナガエサカキ,アカハタノキ,オモロカンアオイ,オ. オバルリミノキを標徴種または区分種とする。調査資 料が得られた西表島は,斜面中部から尾根筋にかけて 広く,自然度の高いケナガエサカキースダジイ群集が 生育している. 琉球列島の南端,八重山群島に生育しているケナガ. エサカキースダジイ群集は,一般に8∼15mの高木 林,亜高木林を形成し,御座岳(420m),古見岳 (470m),於茂登岳(石垣島526m)などの山頂付近. では4∼6mの風衝形をなしている。林冠をなすスダ ジイの被度・群度は4・4−3・2でシバニッケイ,ピサカ. キサザンカ,コバンモチ,アデク,タブノキ,イスノ. ダ,キノボリシダ,アカメイヌビワを区分種とし,最 も湿潤な立地に生育するアリモリソウ変群集と,やや. 湿潤な立地に生育し,特定の区分種をもたない典型変 群集に下位区分される。. 8.オキナワウラジロガシ群集. QuercetummiyagiiMiyawakietal. ]971(Tab.6,7,8). 琉球列島の非石灰岩地域で,海からの影響を直接受 けない内陸部には,オキナワウラジロガシを標徴種と. する常緑広葉樹の高木林,オキナワウラジロガシ群集 が自然植生として生育する。. オキナワウラジロガシ群集は,発達した林分(徳之 島)で22∼24mの高木林をなし,高い被度でオキナワ. ウラジロガシが繁茂する高木第1層以下,高木第2 層,低木層,草本層の4層構造からなる。高木第2層 および低木層は,フカノキ,リュウキュウアオキ,シ シアクチ,モクタチバナ,タイミンタチバナなど多く. の種類の常緑広葉樹が低い被度であるが,高い常在度. キを混生する。林内は,スダジイなど高木林を中心に. で多くの個体数の繁茂がみられる。草本層は,ヘッカ. ハブカズラ,トウズルモドキ,オオタニワタリなどが. シダ,コウモリシダなどの群生がみられる林分もある. 多くからみつき,着生しており,オキナワシキミース. が,アマミエビネ,アオノクマタケラン,コバノカナ. ダジイ群集,ケハダルリミノキースダジイ群集など宮 古群島以北の常緑広葉樹林と林内相観に著しい差異が ある。リュウキュウアオキ,リュウキュウモクセイ,. ワラビ,コウモリシダ,オオヘヅカシダ,オオバチヂ ミザサ,常緑広葉樹の幼木などが高常在度で繁茂して いる。. シシアクチ,シロミミズ,ピサカキサザンカ,コバン. オキナワウラジロガシ群集は,非石灰岩地域の内陸. モチ,ヤマヒハツ,タイミンタチバナなど亜高木層お. 側で,斜面中部以下の湿潤な立地,有機質に富む土壌. よび低木層に高い常在度で繁茂している常緑広葉樹. の集積する立地に生育する。この群集の分布域は,筆. は,いずれも枝があまり広がることはなく,細長い幹. 者ら(1971,1975)が報告を行ってきてる西表島,徳. をまっすぐに延ばしている。. 之島に加え,沖縄本島北部での生育が新たに確認され. 定期的降雨があり,年中温暖な気候のため,落葉の. た。しかし,非石灰地域でケハダルリミノキースダジ. 分解が早く,未分解層の堆積は限られている。. イ群集などが生育する奄美大島を始め,琉球列島の各. ケナガエサカキースダジイ群集は,以下の2亜群集. 島では,上記3島以外に,オキナワウラジロガシ群集. 4変群集に下位区分される。. \. の生育が確認されなかった。単木的にはオキナワウラ. (i)モッコク亜群集. ジロガシの高木の生育がみられるが,群集の成立は徳. モッコク亜群集は,モッコク,シマイヌツゲ,ヤマ. 之島,沖縄本島北部,西表島にとどまる原因として,. モモ,オキナワサルトリイバラなど乾生立地を指標す. 温暖多湿が恒常的に保たれ,海からの塩分を含んだ強. る種群を区分種とする。モッコク亜群集は,南斜面や. い風の影響がほとんどない立地条件が,琉球列島北端. 尾根状地を中心に生育し,最も貧養地,風衝地にはサ. の奄美大島などに有しないためと考察される。. クラツツジ変群集が生育する。. オキナワウラジロガシ群集は,琉球列島の内陸側. (ii)リュウキュウエビネ亜群集. で,もっとも安定した立地に生育しており,奄美群. リュウキュウエビネ亜群集は,第三紀層の砂岩を基. 島,沖縄群島,八重山群島と広い分布域をもつ。オキ. 盤iとし細かな起伏に豊む西表島の小暗部,窪状地を中. ナワウラジロガシ群集は,各群島によって種組成の若. 心に生育し,タシロルリミノキ,リュウキュウエビ. 干の変化,下位単位の区分の差が生じている。それ. ネ,コウモリシダ,トクサラン,バリバリノキ,イヌ. が,各群島の特性も示している。.
(16) 99 ”f. (i)徳之島のオキナワウラジロガシ群集. 徳之島では,三京の国有林を中心に犬布田岳,天城. 9. ヤマビワソウーホソバタブ群集. 岳,喜念権現にオキナワウラジロガシ群集が残存生育. Rhy皿chotecho discoloris−Machi−. している。沖縄本島以南の林分が15mをこえることが. 1etum japonicae ]Miyawaki et al.. 少ないのに対し,徳之島の林分は22−24mの林分も多. 1971(Tab.5). く,オキナワウラジロガシが被度・群度5・4−4・4で優. ヤマビワソウーホソバタブ群集は,西表島のホソバ. 占している。植生調査資料が得られた生育域ほ海抜. タブーフカノキ林であり,イリオモテソウ,ヤマビワ. 70−380mである。地域的下位単位として,スダジ. ソウ,サキシマホラゴケ,シロヤマゼンマイを標徴種. イ,タイミンタチバナ,イスノキ,ヒメユズリハ,シ. または区分種とする。オキナワウラジロガシ群集に接. マミサオノキ,ヨゴレイタチシダ,タシロルリミノ. した斜面下端で,土砂の厚い堆積がみられる湿潤富養. キ,サカキカズラ,コバノジュズネノキを区分種と. な安定した立地である。ヤマビワソウーホソバタブ群. し,ケハダルリミノキースダジイ群集との接点域に生. 集は,リュウキュウアオキ,マルバルリミノキ,リュ. 育するイスノキ亜群集と,エダウチチヂミザサ,ノシ. ウキュウモチ,ホソバタブ,フカノキなど多くの常緑. ラン,ユウコクラソ,リュウキュウガキ,クロツグ,. 広葉樹を主な構成種とし,林床にイリオモテソウ,ヤ. ヤブニッケイを区分種とし渓谷林的なユウコクラン亜. マビワソウ,サキシマホラゴケ,アリモリソウ,キノ. 群集とに下位区分される。. ボリシダ,トラノオホングウシダなど草本植物,シダ. ㈲ 沖縄本島のオキナワウラジロガシ群集. 植物が特徴的に生育する。ヤマビワソウーホソバタブ. 沖縄本島のオキナワウラジロガシ群集は,漢那岳,. 群集は,MIYAwAKI et al.1971が,マルヤマシュウ. フクウ川沿いで植生調査資料が得られており,群落の. カイドウーアカギ群落などとともに,西表島の植生調. 高さが15m前後である。海抜225−400mの斜面下部の. 査資料から群集規定したものであり,新納ら1974も八. 富養地に生育している。地域的下位単位として,ヤマ. 重山群島での生育を報告している。. モモ,シャリンバイ,ギイマ,ギョクシンカなど乾生. 立地を指標する種群を区分種とするヤマモモ亜群集. 10. マルヤマシュウカイドウーアカギ群落. と,コウモリシダ,ヒリュウシダ,オニヘゴが特徴的. Begoniαlaciniαta var. formosanα・Bis−. に林床に繁茂しているコウモリシダ亜群集が区分され. choffiα javanica・Gesellschaft. る。高木層にオキナワウラジロガシを中心とし,ナン. マルヤマシュウカイドウーアカギ群落は,西表島の. バンアワブキ,イジュなどを混生し,林床にはコウモ. 内陸域に生育し,マルヤマシュウカイドウ,アカギ,. リシダが高い被度をなすのが沖縄本島の特徴である。. クログキシダ,ヤソバルミョウガ,アワダンを区分種. 圃 西表島のオキナワウラジロガシ群集. とする。オキナワウラジロガシ群集やヤマビワソウー. 西表島のオキナワウラジPガシ群集は,仲間川,浦. ホソバタブ群集に接した河川沿いの岩礫地に生育する. 内川,クイラ川など各河川に沿った内陸側に広く分布. 渓谷林である。したがって,種組成,相観など林分に. している。オキナワウラジロガシ群集の生育面積は,. よる差が多く,得られた地点の資料からの群集規定は. 西表島の林分が最大である。西表島のオキナワウラジ. なされなかった(MIYAwAKI et al.1971, Tab.1参. ロガシ群集は,ヤマビワソウーホソバタブ群集,マル. 照)。マルヤマシュウカイドウーアカギ群落は,日射. ヤマシュウカイドウーアカギ群落と共通種として,マ. 量の限られるやや不安定な渓谷林であり,オキナワウ. ルヤマカンコノキ,、ホソバリュウビンタイ,コウトウ. ラジロガシ群集,ヤマビワソウーホソバタブ群集の林. イヌビワ,トラノオホングウシダ,ハブカズラが高い. 床に群生しているオニヘゴ,7ウモリシダを欠く。. 常在度で生育する。また,地理的分布が八重山群島以 南に限られるツルアダン,アカハダノキ,オオバルリ. 、.i1.オキナワテイショウソウーマテバシイ群集. ミノキ,タイワンオガタマノキなども高木第2層,低. Ainslio okinawaensis−Pasa−. 木層に生育する。西表島のオキナワウラジロガシ群集. nietumass・nov.(Tab.9). は,シロミミズ,イヌガシ,イリオモテムラサキ,マ. 沖縄本島北部の西銘岳,伊部岳の山頂付近,尾根筋. ンリョウを区分種とするシロミミズ亜群集,タカワラ. の南向斜面には,マテバシイの風衝低木林が生育して. ビ,フウトウカズラ,ヌカボシクリハラン,サクララ. おり,マテバシイ,オキナワテイショウソウ,コバノ. ン,ハマイヌビワを区分種とするタカワラビ亜群集,. ミヤマノボタン,バケイスゲを標徴種または区分種と. 特定の区分種をもたない典型亜群集とに,地域的に下. してオキナワテイショウソウーマテバシイ群集とし. 位区分される。. て,新たに区分される。.
(17) ●. 100. Tab.9 オキナワテイショウソウーマテバシイ群集. Ainslio okinawaensis−Pasaxlietum 1 2 3 4 5. 調査番号 調査面積. Nr. d. Aufnahme:. Gr6Be d. Probeflache(M2):. H6he廿. Meer(m): Exposition: Neigung(°):. H6he d. Strauchschicht(m): Deckng d. Strauchschicht(%): H6he d. Krautschicht(m): Deckung d. Krautschicht(%):. Artenzah1:. 50 100 160 120 100. 海 抜 高 方 位 傾 斜 低木層の高さ 低木層植被率 草本層の高さ 草本層植被率. 340 355 160 180 360. 出現種数. 24 27 25 28 30. SWESWS S. 20 25 20 20 15. 5 5 6 6 7 90 90 90 90 85. 0.80.80.80.80.8 25 30 30 30 40. Kenn−u. Tren’narten d. Ass.: 群集標徴種および区分種. Pasania edulis マテバシイ Ainsliaea macroclinidioides var・okinawensis オキナワテイショウソウ Bredia okinaωensis コノミノミヤマノボタン. Carex warburgiana バケイスゲ. S. 4●44・44・44・43・3. K K K. 1.21●21・21●22.2 十 十●2 ● ● 十●2. ・ 十 ・ 十 ・. Kenn, u. Trennarten d. Verb.: 群団標徴種および区分種. ∬licium religiosum㍗ar・masa・ogataz. オキナワシキミ. S S S. Trachel・sPermum asiaticu〃z var・liukiuense. リュウキュウテイカカズラ. K. Sy吻》060S S彦ellaris. ヤンバルミミズバイ. Euonbl mus lutchuensis. リュウキュウマユミ. Randia sinθηsis. Hydrangea soandens ssp. liu為iuensis. シマミサオノキ リュウキュウコンテリギ. Tarenna gracili es. ギョクシンカ. S S S S S. Dα〃znacanthUS angastzf・liUS var. luchuensis. オキナワアリドウシ ツゲモチ. ∬ex goshiensis. 十 ・ 十. 十 十. ・ 十 1.2. 十 十. 1・2十・2 ・ 十 ■. 十 ・. 十 ・. 十 十 十 十. ■. ●. ●. ■ ●. 十 ●. 十 十. 十 十. 十 十 ・ 十. ●. 十 ・. 十. Kenn.. u. Trennarten d. Ord. u. Klasse:オーダー・クラス標徴種および区分種 CastanQカsis sieboldii. スダジイ. Myプ5仇θseguinii. モチノキ タイミンタチバナ. S為immia元と㌘onica. ミヤマシキミ. Ilex integra. Camellia元Oi2》oni‘α. ヤブツバキ. Psychotria 5¢rPens. シラタマカズラ. Alpinia intermedia. アオノクマタケラン ヤブニッケイ. Cinnamomz〃z元aPonicum Viburnz〃z aponicum Elaeocarl)us元aPonicus. ハクサンボク コバンモチ. DZs砂Z仇ηz race〃zosu〃z. イスノキ. Eurorα元aponicα. ピサカキ. S S S. K S S. KS K K. 十 1.2. 十 十 十 十 十 十 十 十. 十 十 十 十. 十 十. ● ■. ●. 十 ・. 十 十 十 十 十 ・. 十 ・. 十 十. 十. S. ・ 十. 十. 十. 十. S S. 十 十 十 十. 十. 十 十. 十. S. ・ 十 十・2十. K. モッコク. Dendrof)anax trzfidus. カクレミノ. オキナワシャリンバイ. S. Dror op teris sordidipes. ヨゴレイタチシダ. 乃1(酩)horα元aponica. トキワカモメズル. K K. Persea彦hunbergii. タブノキ. S. Begleit er:. 随伴種. Rhododendron tashiroi. サクラツツジ リュウキュウチク. PleioblastUS Iin earis. 十1.2. 十十・2. Ternぷtroemia gymnan thera. .liμkiuensi:s. 1.21.2. 十 十 十. S S S. Raphiolepis indica ssp. umbellata var・. 十 十. 1.2 十. S S. K. 十 ・ ・ 1・2. 十 十 ・ 1・2 ●. ●. ●. ●. 十. 十. ●. ●. ●. ●. 十・2. ●. ●. ●. 十 十. ●. 十. ●. 十. 十. 十 ・ .. ・ 十・2十 十 . 十 . 十.2 十・2. 十 十 ・ ・ ・ :十 ・ ・. 十 十・21.21.2十. 十 十 十 十 十 十 ・ ….
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