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「研究者のより有機的な連携を」

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Academic year: 2021

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研究者のより有機的な連携を

片 山 葉 子 環境バイオテクノロジー学会ホームページの会告にあるように,2014 年度大会は私達の学会とも繋がり のある日本微生物生態学会・日本土壌微生物学会の 3 つの学会が,浜松のアクトシティー浜松コングレスセ ンターを会場に「環境微生物系学会合同大会 2014」として開催することになりました。本学会の金原和秀 編集委員長が中心となって着々と準備が進んでいます。我が国には,微生物を研究対象に含む数多くの学会 がすでに設立され,独自性を携えて基礎研究や応用の場面で重要な役割を果たしてきていますが,これらの 情報や意識を共有することを目指して,環境微生物学の複数の学会が席を同じくすることになったのです。 幸いに,日本菌学会,極限環境生物学会,日本ゲノム微生物学会の協賛も得られ,これまでにない意欲的な 大会になるものと期待しています。 環境バイオテクノロジーは実用を目指した研究開発を行うものであり,環境問題に関心を持つ学生さんに とってはひときわ魅力ある分野ではないでしょうか。私の場合は,大学の学部 3 年生の夏休みに,東京大学 の当時の応用微生物研究所にお世話になる機会があり,そこで「活性汚泥」という,何やらあまり清潔そう ではない名前の微生物が,フェノールやシアン化物といったとんでもない化合物を栄養としてしまう云々の お話をはじめて聴き,大変驚くと共に微生物の魅力に引き込まれてしまった記憶があります。「活性汚泥」 の微生物はあまりに複雑過ぎて,どのような微生物がその中にいるのかといった解析よりは,むしろそこか ら分解に携わる細菌を分離して,その機能を調べることが研究の中心となりました。一方,「活性汚泥」に ついて教えてくださった恩師の倉石衍先生は,キノン系や菌体脂肪酸組成といった細胞を構成する化学成分 を基に,大まかな分類群ではありますが活性汚泥の微生物叢を追うことをはじめて可能としました。 環境バイオテクノロジーは環境の微生物を対象とするわけですから,そのテクノロジーを実用化する上 で,それらの微生物の中身がどのような種類であるのか,どのような機能を持った微生物で構成されている のか,それらは環境の変化に対応してどのような変遷を辿ることになるのかを把握することは,最重要項目 のひとつであることは確かです。近年は,次世代シークエンサーを用いた遺伝情報の解析を行うことによっ て,地球上の環境に生息するさまざまの魅力的な微生物群集についての調査がものすごい勢いで進展し,そ の成果は環境バイオの分野にも影響を与え,実用化に向けた研究の速度をさらに加速させつつあります。こ のような最先端の技術を既存の基盤的研究とリンクさせるには,多様な研究者間の活発な議論と交流を行う ことに尽きるといえるでしょう。たとえば,ある硫黄酸化細菌から精製した新規の分解酵素を詳細に調べて みると,それが既知のよく知られた,しかし機能は全く異なる酵素タンパク質と構造の上では類似するとい うことを,私は二度経験しています。このような場合,メタゲノム解析ではそれぞれを識別するほどの「解 像度」は得ることはできるのであろうか,どなたかと議論できる時が楽しみです。 私達の周囲を眺めてみますと,環境に関わる深刻な問題を抱えている場所はあちらこちらにあります。こ れらを解決に導く技術を開発する環境バイオテクノロジーは,これからもっともっと発信力を高めて行かな ければなりません。そのためには,研究者自身のモチベーションを高めるとともに,若手の研究者の育成が 重要であることは明白です。研究の現場に学生さんが参加し,魅力ある研究に直に触れる機会を準備するこ とが大事であるといえるでしょう。「環境微生物系学会合同大会 2014」がそんな場になることを期待してい ます。 (東京農工大学大学院農学研究院 物質循環環境科学部門・教授)

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