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特集 : 肥満とやせを考える : 巻頭言

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Academic year: 2021

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特 集:肥満とやせを考える

【巻頭言】

(徳島大学医学部栄養生理学講座)

(徳島県医師会) 「食べる」ということは生命を維持するための基 本であり,摂食行動を調節することにより,正常の 体重を保っています。摂食行動は本能行動の一つで あり,厳密な生理的調節を受けています。しかし, 食欲は精神的,心理的要素によっても影響され,ま た摂食行動は社会的,文化的な側面をも持っていま す。 日本は飽食の時代といわれて久しいが,食糧供給 の増加に伴う過食,労働の機械化,家庭電化,モー タリゼーションなどの社会環境の変化にともなう消 費エネルギーの減少,人間関係の複雑化にともなう 精神的ストレスの増大による摂食行動の異常などが 複雑にからみ,肥満ややせが増加しています。 肥満とは,体脂肪が正常以上に蓄積した状態で, 単なる体重過多とは区別されます。日本肥満学会で は,body mass index(BMI)=22を標準として,肥 満の判定を行っています。国民栄養調査から,ここ 20年間の BMI の推移をみますと,男性ではすべて の年齢で BMI は上昇しています。一方,20歳代の 若い女性では逆に低下傾向にあります。 最近の調査では,20歳代男性で4−5人に1人,30 −60歳代で3人に1人が過体重か肥満です。ところ が20歳代の女性では,それを10%以上下回る「やせ」 の人が半数近くを占めています。自分の体型を誤っ て評価し,過度なダイエットを行っている者が多く いると思われます。 肥満は糖尿病,高脂血症,高血圧,心臓病,がん, 膝関節障害などの発症と密接な関係があります。そ こで,2000年に始まった21世紀における国民健康づ くり運動の「健康日本21」では,その第一に「栄養・ 食生活」を取り上げ,適正体重を維持する者の割合 を増加させること,また,量・質ともに極端に偏っ た食事を摂取する者の割合を減らすことが目標の一 つとされています。 肥満の弊害が強調されるあまり,スリムを指向す る者もいます。極端なダイエットをするものは若い 女性に多く,小学校高学年から始まることもありま す。わが国の20歳代女性に見られる BMI の減少傾 向は先進諸国ではみられない現象です。やせ礼賛, やせ願望があり,自分の体型に対する誤った認識が その背景にあると思われます。若年女性の母性とし ての役割を考えると,健康障害はその個人にとどま らない問題です。 本特集では,摂食行動の異常による肥満とやせに ついて,まず食欲の生理的調節機構の基本的なこと を解説し,ついで,徳島県小児の体格の現状を明ら かにするために行った県下の小中学生ほぼ全員の身 体計測成績の分析結果について報告していただきま す。続いて,やせを主徴とする思春期の食行動異常 である神経性食欲不振症をとりあげ,その病態なら びに治療について典型的な症例を用いて問題点を詳 細に明らかにします。また,肥満が糖尿病,高血圧, 高脂血症などの合併症を発症するメカニズムについ て,分子生物学的研究の最近の進歩を紹介します。 最後に,肥満者の食事療法について,具体的な献立 を示し,効果的な食事指導法について述べます。 徳島県は糖尿病死亡率で我が国のワーストワンに あります。その原因は明らかではありませんが,背 景に肥満があると考えられます。また,学校保健統 計によると徳島県の学童の体重は全国平均よりもか なり高いと報告されています。小児肥満は成人肥満 に移行しやすいことから,まず正確に現状を把握す る必要があります。今回の特集では,肥満とやせに ついて,食欲調節機構ならびに肥満の病態生理をは じめ,徳島県の小児の現状,肥満の食事療法にいた るまで幅広く取り上げました。日頃,肥満とやせの 治療に苦労されている先生方に少しでもお役に立て ば幸いです。 四国医誌 59巻4,5号 189 OCTOBER25,2003(平15) 189

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東北大学大学院医学系研究科の運動学分野門間陽樹講師、早稲田大学の川上