ヒト (歯根膜・歯髄) 由来細胞の分離培養方法
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(2) 42. T. Asakawa and others. Dental Med Res. 34. 図 1 培養液に浸漬した第一小臼歯. 図 2 コラゲナーゼ上での歯根膜の分離. 図 3 ヒト永久歯を分割. 図 4 H ファイルによる歯髄の分離. 図 5 培養したヒト永久歯歯髄由来細胞. 図 6 培養したヒト永久歯歯根膜由来細胞.
(3) Dental Med Res. 34. 43. Method for Isolation of Periodontal Ligament Cells. 歯冠を分割(図 3) ,滅菌した歯科用 H ファイルにて歯. 背景 歯根膜,歯髄には間葉系幹細胞が存在し in vitro にお 1, 2). 髄組織を分離(図 4),替え刃メスにて細断する.採取. ことが知られている.また. した歯根膜細胞と歯髄細胞は 30 分間 CO2 インキュベー. 近年歯髄由来の間葉系幹細胞が in vivo において神経細. タにてコラゲナーゼ処理を行う.コラゲナーゼ処理後. いて骨様組織を形成する. 胞を誘導することも報告 されており,歯由来細胞の分. の細胞培養用ディッシュに α MEM を加え,遠心菅に移. 化万能性に非常に期待ができる.さらに,歯周疾患や外. して 4℃,1000 回転,5 分間遠心分離を行う.上澄みを. 傷,矯正治療における歯周組織の再生および恒常性の維. 破棄後,再度 10% FBS 含有 α MEM を加えて細胞培養. 2). 持には,ケモカインファミリーの一つで CXCL12 とも. 用ディッシュに撒き CO2 インキュベータにて静置する.. 呼 ば れ る SDF-1α (stromal cell-derived factor 1α ) が 関. 約 7 日後に組織片周囲より細胞が確認でき,初期の細胞. 与しており,これらを解析することで再生に関与する間. を確認後 4 日に一度の頻度で 10% FBS 含有 α MEM を. 葉系幹細胞の遊走制御機構や recruitment の解明につな. 交換する.その後, 数日間 CO2 インキュベータにて培養,. 3). がると考えられる .また,ヒト紡錘形付着細胞(いわ. confluent の状態であることを確認し継代培養を行う(図. ゆる繊維芽細胞)は,そのほとんどが何らかの分化能を. 5, 6).. 有していることが判明している4).なかでも歯由来細胞. 今後の展開. は,①歯髄細胞が歯牙という硬組織に保護されているた. Down 症候群は,染色体異常の中でも頻度の高い疾患. め外的刺激を受けにくい環境にあり遺伝子損傷が少な. であり歯科的特徴の一つとして,急性進行性歯周炎を認. い.②歯科検診や定期診査の重要性の一般認識は高まっ. める.これが Down 症患者の歯芽が早期に損失してしま. ており,細胞を採取するチャンスが多い.③歯科治療時. う最大の原因であり,専門家による歯周治療,プラーク. において,従来は廃棄されていた抜去歯を利用できる.. コントロールを行っても病状の進行を止めることが困難. ④細胞増殖能がきわめて高い.など細胞ソースとして非. である.その原因として,サイトカインやケモカイン異. 常に有利な点が多く,ヒト乳歯の中にも幹細胞が存在. 常,好中球遊走異常や酸化ストレスと抗酸化物質のアン. 2, 5). .すなわち,これら歯髄・. バランスなどの報告があり,免疫応答やストレス応答に. 歯根膜由来細胞は,間葉系幹細胞も含まれた分化能を解. 特異性が認められると考えられる.しかしながら,早期. 析されていない細胞集団であり,この歯髄・歯根膜由来. 老化,心疾患や特定の白血病,口腔内の特徴的な症状そ. 細胞の分化能を解析することにより,歯科治療の際に従. れぞれが起こる詳しいメカニズムは,いまだよくわかっ. 来廃棄されていた抜去歯を有効に再生医療に活用するこ. ていない.現在 Down 症候群患者からも歯由来細胞を分. とが可能である.本稿では,ヒト永久歯からの歯(歯根. 離・培養を行い,それらの細胞と健常者の細胞と SDF-. 膜・歯髄)由来細胞の分離培養方法について報告する.. 1α の発現や分化能について比較解析を行っている(昭. することが発見されている. 和大学歯学部医の倫理委員会申請番号第 2013 007 号) . 方法. これらの研究により,歯科疾患の治療効果を高めうる方. 1.資料採取. 法を解明し,将来的には口腔内管理の難しい障がい者の. 歯科矯正のために抜歯が必要となった歯や晩期残存の. QOL 向上に少しでも寄与するため臨床応用に繋げてい. 乳歯など,治療のために抜去が必要な歯が対象となる.. きたいと考えている.. 抜歯の前準備として,スケーリングや機械的歯面清掃に より,十分に口腔内清掃を行った後,歯科用ヨード・グ リセリンなどにより歯冠周囲を消毒する.浸潤麻酔を奏 功させた後,歯根膜組織を付着させた状態で抜歯する. 抜歯後,ただちに培養液 Penicillin-streptomycin Mixture 10% FBS 含有 α MEM(5 ml)へ浸漬する(図 1) . 500 μ l, 2.歯由来細胞の分離 抜去歯は,Penicillin-streptomycin Mixture 500 μ l,10% FBS 含有 α MEM への浸漬を 10 分ごとに 4 回繰り返した 後,60 mm の細胞培養用ディッシュに 500 μ l のコラゲ ナーゼ(2 mg/ml)を使用して歯根膜を替え刃メスで分 離する(図 2) .次に歯冠を分割するためのニッパと歯を 70%エタノールにて清掃後,同様にコラゲナーゼ上で. 文 献 1) Seo BM, Miura M, Gronthos S, Bartold PM, Batouli S, Brahim J, Young M, Robey PG, Wang CY, Shi S: Investigation of multipotent postnatal stem cells from human periodontal ligament. Lancet, 364: 149 155, 2004 2) Miura M, Gronthos S, Zhao M, Lu B, Fisher LW, Robey PG, Shin W: Stem cells from human exfoliated deciduous teeth. Proc Natl Acad Sci USA, 100: 5807‒ 5812, 2003 3) Asakawa T, Chosa N, Yoshimura Y, Asakawa A, Tanaka M, Ishisaki A, Mitome M, Hasegawa T: Fibroblast growth factor 2 inhibits the expression of stromal cell-derived factor 1α in periodontal ligament.
(4) 44. T. Asakawa and others. cells derived from human permanent teeth in vitro. Int J Mol Med, 29: 569 573, 2012 4) Gronth S, Mankani M, Brahim J, Robey PG, Shi S: Postnatal human dental pulp stem cells(DPSCs)in vitoro and in vivo. Proc Natl Acad Sci USA, 97: 13625 13630, 2000. Dental Med Res. 34. 5) Sudo K, Kanno M, Miharada K, Ogawa S, Hiroyama T, Saijo K, Nakamura Y: Mesenchymal progenitors able to differentiate into osteogenic chondrogenic, and/or adipogenic cells in vitro are present in most primary fibroblast-like cell populations. Stem Cells, 25: 1610 1617, 2007.
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