• 検索結果がありません。

アテの由来

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "アテの由来"

Copied!
24
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)
(2)

(3)

アテの由来

アテ造林の由来は、天然生林などから探穂して造林したという在来説と、奥州からの渡来説とがある。

渡来説には二つあって、その一つは、元祖アテにまつわる伝説である。これにも二説あって、その一つは 奥州の藤原秀衡の三男泉三郎忠衡が、文治5年(1189)に鳳至郡門前町浦上へ釆住したとき、義経が生前めで ていたヒバの苗木2本を持って来たというのと、泉家19代兵右衛が、祖先の城跡奥州唐沢山をとむらっての 帰りに、ヒバの苗木5本を携えてきたということである。

これが38代当主、泉正孝氏の庭に生育している2本の元祖アテである。太いものは目回り3.95m、樹齢 700年とも400年ともいわれている。

あと一説は、前田5代の藩主綱紀が、ヒバの苗木移出を禁じていた津軽へ藩士を農民に変装させてヒバ苗 を取寄せ、これを能登各郷に配与

したといわれるものである。

いずれにしても藩政時代に声価 の高まった輪島漆器の木地や、金 沢の小羽根などの需要増大につれ て逐次増殖され、今日のアテ造林 地となったのである。

アテは、ヒノキ科アスナロ属ア スナロの変種であるヒノキアスナ

ロTlmiopsis dolabrata(Linn.fil.)

Sieb.et Zucc.var.HondaiMakino の地方名で、能登を中心とした日 本海側にその系統の名称が分布し ている。

能登の気候風土がアテを育てる のに適し「当った」ということで、

漢字の「棺(不当)トウ」をアテと読 ませたともいわれている。

この木は本県独特の造林樹健で、

昭和41年10月に、県木に指定され ている。石川県健民運動推進協議 会がケヤキ、アテ、ウメの3種の 中から県民公募によって決定した もので応募総数5,218点の86%が アテであった。

元祖アテ

(鳳至郡門前町浦上)

(4)

品種の特性

枝葉(円内は葉裏)

クサアテ

アテ品種の特性

エソアテ スズアテ

カナアテ

瞭  ̄ ̄_轢  ̄_ 嶽 ′一凋隆  ̄′

_頚…こ礁  ̄蒸  ̄ 讃  ̄_ ̄漂 ′ 二・芳 一_

 ̄…玉 ≡一撃 ・蒸 ■ ̄泰 ̄

. ̄譲 、窯 、蒸≦莞  ̄

___類 −_紫 ̄′  姜 −_

潅 、_ 磯 糠鑑 ・・… 濃鍵 盤  _ ̄ 嬢泳 葛  − 澱 詠 一;

潮燐嫌巌 凍輯纏順類 − 磯 掠米 、′肉壊 、._架端 練 掠先 、.肉薄−_裏療 一・ノ議 拷豪 、_毎簸 肉藻 絡 東端掻 銘鶉′、滞 恕薬 ■  ̄経線浄牽裏轍軽寒地 − 法幣凍 簿湊鮮紅 轍阪摂 楽姉 蓬鋭清一肇 封 躯 整

雛 経港準領一桑′一一 簿 あ夢 ̄ 漆  ̄ 湾曲猿 象絞_

樹  ̄_濾 一

_難形 _ニ_ ぎ無閑雅 数 _…− 温 顔 軽費 ̄ 鮮 瑚 勝 一 秘 鱒 鯉 熊 鍔 … 降 級 渚 簸 葉雛祭繁華訝索漠溝 _・ 繁黍 薮薮  ̄I妾掬  ̄組 穣 − ̄

‰ ̄ 射 揉 瀞 穣 鵜 −

少な 狼._

樹 =一 ̄

養 一一 肇 =鶴巻箪_ 癒 繚 鮎 春満拳  ̄ 兼 黒褐色 _、

_ 噸灘榛東邁摂藍−灘桐禁 _東 塔 _榔 デや ノーー 憧虔  ̄凍 厳 調 績 率 ジー栄 誉産療 締    ̄ に_竜一郎阻造型 、_戴ギ す く軽造型漂準 や繁清  一、剥 けやす く‖耽 平滑 鞍奴斡斑痕揆横 を蒋 _ 厳 離 如 絞 懲登_ヌ ̄寿波に淑 も_ 凍 寒竣 革  ̄ずゎ オ さ

養 転機 _ 素 棄 ある一 あ_  _ をも 轟 。 願轟形我 賽 撤 去 ̄漁 ¢■ 罪 渡部  ̄‡ 蓬 田や宗避 癒。__ 春 哀鞘 − ̄− 根元 ̄黎 _ 関一撃 ニ:− 選 簿 勢 : 長鷹混 型 _ 泳焼 野  ̄ 絵素應 一、 凍組  ̄嫁 叡 巌 _ 軽 率 弊療 養 多長、 _薮招。

耐墜糠 (_漁船 無 糖 衡 鵜 懐 蟻 環 ̄ざ ̄郵 蛭臥 鵜  ̄ 封 躯 転 乗く

諸 株 鷺 .

横 須 一難準 幾  ̄ ̄ 渡 績 蕗も.■ 癒お嬢溶巌 _ 剥 繁 酪 ; 嚢東・萎: 確 し、十 + 嫁 疾 鼓 邁強一宅ミ 蚤凝   ̄ 癖阻 摺 牽 隈 際 ・ 掛 掌 … 嘘牲 ̄__、、

鋤 絞 絆 像 率 醸 _■訝撞挑慈 変無実、帯 ̄ま 翫狼二要約 ■簡潔 豪・辟 陳翫 _ 幣 輿 粟 御 触 惟   ̄

重鎮 _準 穣 一

淡 極 寒 椿

梶液 登  ̄ 京 等 讃軽 震 藩 輔 _

(5)

伝承によれば、アテの人工植栽は約300年前から始められたといわれている。品種は、発根力 と材質に重点をおいて選抜あるいは陶汰が行われ、今日みられるものに固定されたと考えられる。

造林されているアテの品種の主な分布地は、マアテが輪島市、門前町。クサアテが穴水町。エ ソアテが七尾市江曽町である。この外、珠洲市、能都町、柳田村の一部には、エソアテとほぼ同 一の良い素性のものがあり、これを一部ではスズアテとも呼んでいる。なお、生長が恵いため造 林の少ないカナアテは、全域に分布している。

クサアテ  (スギ肌状である)  マアテ(平滑だがねじれて不正円)

エソアテ

スズアテ (平滑で正円)

カナアテ (ゴツゴツし、横線がある)

(6)

造林の推移

藩政時代における能登の山林は、製塩のための燃材と、

越中への木炭移出のための炭材の生産が主であった。ア テの造林は、主に伏条か林間直ぎしにより行われ、せい ぜい数10本ないし2、3百本くらいのものが散在してい る程度であった。大正時代、穴水町にアテ千本林といわ れ、非常に珍しがられた造林地があったことは、これを 裏付けている。

明治時代となっても、県の山林行政はアテ造林の特別 の努力がされておらず、一部篤林家による造林だけに頼 っていたようである。

アテ造林がとくに盛んになったのは、戦後からである が、一時減少気味となり昭和37年に150haまで落ち込ん だが、50年をピークにもりかえした。しかし、近年の林 業不振から、再び減少気味となっている。

アテの造林地面積は、大正初期に現在の輪島市と鳳至 郡を中心に800ヘクタールしかなかったのが、平成7年 度現在で全県で11,919ヘクタールと約15倍になっている。

県下の人工針葉樹林の面積および蓄積のうちでアテの 占める割合は、12%および14%となっている。またヘク タール当りの蓄積では、スギの295m3および、アテは300 maとなっている。

平成7年度の年間アテ新植面積は239ヘクタールで、

全オ直栽面積の30%である。新植面積が少ないのは、地域 的に限られた造林樹種であること、苗木の大量生産がで きにくいこと等による。

大径木林相

(7)

アテ造林地分布図

アテ造林地の主な分布地は、輪島市、

穴水町、門前町を中心とした、おおむね 海抜500m以下の第三紀層丘陵地帯である。

気象は、輪島測候所が観測した平均値

(1961−1990)によると、気温13.0℃、湿 度77%、年間降水量2,265mm、積雪最大 値110cm(1945年1月18日)である。

アテ造林の年度別実績

凡例

● 10ha

●100ha

S3738 39 40 4142 43 44 45 46 47 48 49 50 5152 53 54 55 56 57 58 59 60 6162 63H元2 3 4 5 6 7

(8)

さし穂︵左︶と二年生苗︵中︶︑三年生苗︵右︶

アテの苗木は、昔は伏条または林閉ざしによって得たものがほとんどであった。伏条による育苗は、アテ の下枝に鉱目を入れたり、地表に押しつけたりして発根させ、伏条更新または切り離して移植養成したもの である。林閉ざしは、4月か梅雨期に、20年生以下の造林木の4〜5年生枝を45cm程度に切り、林間の適度 な庇陰地にさし付けて、3〜4年養成して山出しするものである。近年、林間ぎLがあまり行われず、普通 苗畑での養成と空中取木がほとんどで、1年目の秋または2〜3年目の秋に山出ししている。

アテ苗木の増産は、採楷木仕立てが難しく、造林木からの採穂数がわずかのため、スギさし木のように大 量生産が困難である。

アテの苗畑

(9)

更 新

幼齢林相 クサアテ

空中取木による苗木作り

春に枝先50cm程度のところを環状剥皮し水 ごけで覆い、さらにビニールを被せておく。

秋には発根が完了しており、切り離すと苗木 ができる。

伏条更新林

(輪島市)

(穴水町)

アテの植栽には、皆伐跡の植栽と下木植栽とが ある。

適」也はスギに似ているが、スギより乾燥に耐え る特性があり、排水の悪いところは適しない。

(10)

育 林

枝打実施林相

枝打作業

アテの下刈は、幼齢時の生長が遅いので、10年 間ぐらい行うが、耐陰性が強いので、スギほど潔 癖な刈り払いはいらない。特に幼齢時の潔癖下刈

は乾燥害や日焼け障害を受けることさえある。

雪起しは、林分密度が高いので、下木は入念に 行わぬばならない。

枝打ちは、1回目を15年生のころ樹高の3分の 1くらい打ち落す。2回日は、その後5〜10年目 に行うのが能登での慣行となっているが、自然落 枝しないので、生産目標を定めて実施しなければ

ならない。

(11)

一斉林相(クサアテ)

アテはスギやマツ類に比/ヾ、ノ ウサギの食害を受けにく く、病害 虫にも強い。ただ、原因が判明し ていない漏脂病の被害が若干見ら れるほか、天狗巣病があるが、後 者による実害はない。

雪に対しては、粘り強い材質の ため、幹折れはほとんどないが、

浅根性のために、強風や雪によっ て倒伏することがある。

択伐林相(マアテ)

林立するマアテ大径木

10

(12)

雑木林の坪刈り跡地からの誘導

雑木林皆伐跡地からの誘導くその1)

雑木林皆伐跡地からの誘導くその2)

11

択伐林(柱材生産)

  「ヽ

侶 h  n ヽ

′ 斗ノ 二藍

石「′′ 苧 当年     8年 −15年    35年    40年       50年 宗烏紅苓淀黒基㍉針巌岩浅詫言工霊窯逃避誉誉圭をさせ藻喜キ宗㌶_※無手孝雄巨祭

雷譲操磯雄凝栄寮言嚢巌㌍識擬紅

苓㍉班登∵雛鷹㌍∵警

(13)

アテの択伐林施業は、主としてマアテ林.で 行われている。ところが、アテ林の現状は典 型的な択伐林が少なく、二段林、多段林、複 層林など様々である。これらの立木数は5,00 0〜10、000本/ha、蓄積は150〜300m3/haも あって、林内相対照度が10%以下のものが多 い。このため、一般に下層木の生長が悪い。

択伐林のうち、平均的なものの樹高曲線、

林相曲線、下図のとおりである。

これらの択伐林に対する今後の課題は、立 木本数の適正な管理と枝打ちの実施により、

林内へ陽光を入れることである。

m 18

15

12

9

6

3

二段林の伐採展示林 所在地 輪島市三井町洲衛

(JR能登三井駅より車で5分)

平均的な林分の樹高と林相の状況

林相曲線 樹高曲線

6cm    10    14    18     22

胸高直径

0000

ワ︺

ヘクタール当り ml

4cm    8     12     16     20

胸高直径

10

(14)

伐採と搬出

伐採作業 択伐木の伐採は、下木 を傷めぬためにも高度な 技能が必要である。価値 の高い択伐木の搬出には、

古来人肩によるコロカツ ギが行われていたが近年 は、林内作業車等の機械 による搬出が行われている。

馬地曳き

(15)

需給と流通

アテ材は、木材流通段階で「能 登ヒバ」と称し、平成8年度よ り発足した県産優良材認証制度 のもと県下32社の県産材認定工 場から「認証ラベル」を貼付し

たブランド品として出荷されて いる。

能登ヒバは、本県針葉樹のう ち二最良の材質であり、その需要 は他県のヒノキ同様根強いもの がある。

しかし、素材生産量は県下の 各樹種総生産量の約21%の32千 m3で価格は他県のヒノキ同様比 較的高イ直となっている。

能登ヒバの流通は、生産地を 中心とした能登地区がおもで、

一部富山・佐渡方面等へ移出さ れている。

(協)能登木材総合センター(穴水町)

叡■L■ぜ■ 淵 鵜 ・一1

14 ̄整 讃 鎧 ・U、びで 訂′    裏落選・蓑滋 鮮 鱗 鰯 銅 棒 能 楽 粁 軽 ̄語群:粋難 滞 狸.≦紹 遮没法 _ー室蘭真義綴  ̄毒勝 頼 _ ̄雑 録錐    塗 が 難 ・資・錘・接三第ノ撒 。1ミ_終葦一献瑛狭軌_啓二__ミ憂〈き…

棄 哲 浄 緩 霧燃 盛郊 こ等薄も?・ 歳 微 数 績 ・滋=7−㍊態−専・ 写真管.駕澤 ̄S 4 1 7諺㌍;4 5浦鼻燕.貰:〜 

3 7 3 3

2 0 3 1 2 9

築く冴繊毛箪去単糸登澤 1 5 4 1 1 1

3 9 4 2 7 3

2 0 ,3 4 0 2 6 ,8 2 0

3 6 ,2 0 0

1 4 ,5 8 0 1 6 ,9 7 0

_城 1 6 ,9 2 0 1 5 ,6 5 0

材 径 1 4 〜 2 6 Cヮ 県 森 連 3 市 場 平 均

5 0 2 2 8 0 7 2 1 7 4 5 1 ,1 4 0 2 8 ,5 1 0 2 0 ,2 6 0 (1) 金 沢 市 場

5 1 1 9 7 1 7 4 1 6 4 5 1 ,4 7 0 2 8 ,5 1 0 2 1 ,1 0 0 2 ) 穴 水 市 場 5 2 1 8 7 7 7 5 1 7 0 5 1 ,7 0 0 3 6 ,1 0 0 2 8 ,2 3 0 2 2 ,2 4 0

3 ) 能 都 市 場

H 3 年 4 月 以 降 は 2 市 場 平 均

(1 ) 県 森 連 金 沢 市 場

(2 ) 能 登 木 セ ン タ ー 5 3 2 0 7 1 7 6 1 6 7 8 8 ,2 7 0 3 8 ,8 0 0 3 1 ,6 7 0 2 3 ,1 0 0

5 4 1 9 7 2 8 1 1 7 2 1 0 4 ,6 5 0 4 5 ,8 0 0 4 1 ,3 1 0 2 5 ,8 3 0 5 5 1 5 8 0 8 5 1 8 0 9 0 ,5 0 0 4 1 ,1 0 0 4 5 ,0 0 0 2 3 ,9 0 0 5 6 1 9 7 1 7 3 1 6 3 8 5 ,0 0 0 3 7 ,7 0 0 3 6 ,8 5 0 2 3 ,5 5 0 5 7 1 9 7 3 7 5 1 6 7 9 2 ,7 0 0 3 9 ,0 0 0 3 1 ,2 8 3 2 4 ,0 3 3 5 8 2 1 6 9 8 2 1 7 2 8 4 ,1 0 0 3 3 ,1 0 0 3 0 ,8 5 0 2 2 ,2 5 0 5 9 1 8 6 3 9 2 1 7 3 8 3 ,5 0 0 3 4 ,0 0 0 3 1 ,2 0 0 2 0 ,9 0 0

5 3 ・5 4 年 の ア テ 材 価 6 0 2 0 6 4 7 9 1 6 3 8 7 ,1 0 0 2 8 ,0 0 0 2 8 ,2 0 0 1 8 ,8 0 0

6 1 1 9 5 9 8 3 1 6 1 8 8 ,0 0 0 2 9 ,0 0 0 3 0 ,9 0 0 2 1 ,0 0 0 基 準 は 6 2 2 7 7 0 7 3 1 7 0 7 6 ,6 0 0 3 7 ,5 0 0 3 2 ,9 0 0 2 0 ,0 0 0 村 長  3 .0 m

6 3 2 7 7 1 8 5 1 8 3 7 4 ,0 0 0 3 8 ,9 0 0 2 8 ,5 0 0 2 3 ,8 0 0 材 径  1 4 〜 1 8 c m H 元 2 7 7 0 8 7 1 8 4 7 7 ,3 0 0 3 5 ,7 0 0 2 6 ,8 0 0 2 3 ,1 0 0

2 2 4 6 2 8 8 1 7 4 8 7 ,9 0 0 3 2 ,9 0 0 2 5 ,3 0 0 2 9 ,2 0 0 3 2 6 6 8 8 4 1 7 8 7 5 ,4 0 0 2 9 ,4 0 0 2 7 ,3 0 0 2 3 ,9 0 0 4 3 6 7 7 6 2 1 7 5 5 2 ,5 0 0 1 5 ,6 0 0 1 8 ,5 0 0 2 2 ,3 0 0 5 3 3 7 8 5 7 1 6 8 5 5 ,6 0 0 2 1 ,5 0 0 2 1 ,3 0 0 2 4 ,3 0 0 6 3 5 7 6 5 6 1 6 7 6 0 ,1 0 0 2 2 ,0 0 0 2 1 ,3 0 0 2 1 ,6 0 0 7 3 2 7 7 4 1 1 5 0 6 0 ,3 0 0 3 0 ,3 0 0 2 1 ,9 0 0 2 1 ,5 0 0

14

(16)

アテ林業の経営

アテ林を背景にした農家林家

アテ林の経営には、二つの方式がある。一つは、比較的耐陰性の弱いクサアテによる、皆伐一斉林施業の 方式である。これは、大規模面積の施業に適し、主として穴水町を中心に行われている。

いま一つは、耐陰性の強いマアテによる、いわゆる択伐林施業の方式である。これは、保続的経営が容易 で、農家の余暇労力を利用しての比較的小規模面積の経営に適している。

アテの経済性は、40年生のものでスギと比較すると、総生長量は70%程度であるが、価格はスギにくらべ て比較的高く、粗収入の比較ではアテが有利と思われる。

また、択伐林施業は、ここではいわゆる「なすび伐り」

サビ付けを行なった能登ヒバ(マアテ)

15

であるが、生長率は相当高くてしかも投入費用が少ない ので、スギの皆伐施業より有利である。

アテの伐期は、近年、柱材など建築構造材の需要が多 くなってきて、普通50〜60年となっている。また、大径 材は、70〜80年以上である。また、小径材の利用として 輪島市三井町では、梅雨期において床柱などに使用され るサビ丸太を生産している。

(17)

アテ林業の今後

アテ林業の将来性

1. 近年、林業は地力維持と保続的生産のために、非皆伐施業が注召されるようになってきた。非皆伐施 業には、アテの択伐林施業が最もふさわしく、今後の理想的な林業といえる。

2. 成林後の保育、更新等の投下労力は、スギその他の皆伐施業に比べて格段に少なく、小規ヰ莫な農家林 家の経営に最適な施業である。

3.アテは、排水が良好であれば、やや劣った土地でも生育する、いわゆる適地幅の広い樹種である。

このためスギの造林がやや困難な場所でも、アテを植栽すれば成林が可能である。

4. 白アリの被害がほとんどないこ とや腐朽に強いため、建築用材と しての評価が一段と高まっている。

また、材質の特性を活かした加工 の高度化により、さらに需要が増

大するものと期待される。

能登ヒバの加工(ハ軸モルダー) 能登ウッド アテ林分収穫表(主・副林木合計)地位2等

能登ヒバの乾燥

繹な甑 丈■ 葦定雄 滴 ミ為‡ 廉 、単 鮭 鐸 ㌶ 塞 ㌍ 窺 書 簿 渋

滋、  ′ 鎮 華 ′㌘や 覇 烹

髭㍊㍗静繚簿翌 薮笑事績が 梁.淡.滋酢、1′器 量 草 書 整 呵:

㌢巌雛掠 苓 第 渡 来 漆

没 落漂流

長ミ洋:立、滋′ 学審 歓 楽 静 雄 弊 深 こ1競 泌 盤÷げ、 ≡′湾姜三㌔

纂;肇祭′窯、

W 苓凄繁駁 潜 鮮 魚 轟 沈 ※ 塞 灘 溺

澤 領兼 舶 来 寮 滋、瀕 、款 …

㍊ 署 ・敷魚 洋 楽 巌 繋 寮 蛛 慈 姑 J、 賢二沸 潔、

浴 室 へ

淡 撚 鞍 藩

無 凍 結 潜 ㌍逮巌謡寮誉 黒 磯 寮 駁 鮭 ク 雄 謀 隼 霧

薫 露 巌 薫

容疑 詫然

窄 漱 丼 鐙 幸 招 請 好 餌

無 禄凄鮭簿 簿鴻ノ

巌 照 耀 荻 無 頼 東 鶉 黙 読凝 無

料 雄 揖

隼 鏑 木

途某刻頼打殺 藩 漱 擁 黒 涌:変′

葦㌶浄洋学茂 謙 譲 楢 葉 標 準 准 巌

朱筆 整禁 教衷

16

(18)

利 用

漆器製品

能登ヒバの材質はきめ細かで粘り強く、耐久性に富んでいる0 また光沢と香気があり、心材、辺材ともに帯黄白色で優美で ある。ヒノキ材より堅いが加工容易で、伸縮が少ない。なお、

シロアリの食害や腐朽に強い特長があり重用される。

漆器用木地製作

能登ヒバ(クサアテ)

材質は、マアテに比べて軟らかく、耐湿性、強度ともにやや弱い0木理は比較的粗いが、通直完満で節が 小さいため、とくに柱材に賞用されている。

能登ヒ′く(マアテ)

材質は、堅く、湿気に耐える。削 り面は、美麗で光沢があり伸縮が少 ない。反張しないが、ややねじれ気 味である。

昔から漆器の膳、盆、重箱、硯等、

パネル、卓、薯等の木地に使用され ている。

一般には、建築材、建具材、造作 材として算用されている。樹皮は、

ヒワダ(桧皮)としても利用されて いる。

建築内部

(19)

木製サッシ

能登ヒバ(三三妄言)

材は通直、完満であり、断面は正円に近い。弾力性に富み、ねじれがなくたわんでも折れず復元力が強い ので、エソアテは明治期以前の和帆船、北前船の帆柱に利用されていた。帆柱の需要は、昭和10年頃まであ った。

現在は、建築材として柱、土台等に広く利用されている。

能登ヒバ(カナアテ)

材質は、地域によって差があるが、比重、強度、耐湿性は比較的大である。耐久性があるので、土台、床 板等に算用されるが、生長が遅いので造林寸封種としては、あまり用いられていない。

(20)

能登ヒバ(アテ)の材質

○曲げの強度はヒノキより強く耐湿・耐朽性に富んでいる。

○相中に含まれるヒバ油の成分であるヒノキチオール・β−トラプリンが優れた抗菌力を有し、腐朽菌の 繁殖を抑えるため、シロアリやゴキブリなどの住居害虫に対しても強い忌避作用を有する。

★ ヒノ牛に勝る強さ

樹 種 別 曲 げ 強 度

幾完走睾器薫蕉霊定嘉業賢簸窯烹 章 謳 読 豪 憲 莞 ㌫ 寮 ※吉議薫圭気宇浅喜子字 蓑※慈毒薫塁窓※誉 吉 宗 烹 幣 貴 幸 粟 繁 栄 喜 幾 摂凄染㌍笈塗

蓑だ雷墨字潔隼憲盤率

歳渥草炭㍉改憲禦※※誉 漆終寮薫誤電藻巌

詰㌶賞※㌫畿豊演技揉整 狼盗燕渥穂楽音盤拶蛮 露狩溝治憲岩雄窯鴛慾燕

擢寮煎猶燕渓睾霜揮苓悪霊嵩 冨窯 霊墓誌豪豆 霊欝幾※墨Ⅹ鐙

誉毒薫音盤烹愁隼禦揉㌣※

摂欝㌻器だ誉気韻巌寮深澤藻語法ぷ㌫雷摂 言栄才窯憲栄誉圭塞

M、V.V、− ・

※㌣ジ毀誉※㌫緩翌㌍誉莞筏錆滋※疫蔦寮黒憲㍊ 憲烹裏慕昔簗㌫誉窯や

注 ヒノキ、スギのデータは「木材工業ハンドブック」による。

能登ヒバ(マアテ)のデータは石川県林業試験場石川ウッドセンターの実 験結果による。

石川森林文化ホール

能登ヒバ材の湾曲大断面集成材を使用

○建物の特徴・構造

(1)構造躯体は能登ヒバ材の湾曲大断面 集成材による三校節及び円形ラーメン 構造との組/合せによる一体化構法を取 り入れ、屋根部分は在来軸組構法を用 いた全国で初めての建物です。

(2)建築面積 1,022.84mZ

(3)延ン床面積   999,93m2

(4)敷地面積  6,690.65m2

(5)木材使用量   278.90m3 0所在地

金沢市東蚊爪町1丁目23−1

19

(21)

★ 優れた耐久性

4年間地中埋設した木製杭の被害度及びシロアリ被食害率

… 無 恩

紘績 裳 や 滝揉 給 料 ・三等

;′扇−、

黙沼津弊 墾娯掛 率鱒や 軍澤誓

注 杭の断面寸法:3cmX3cm X40cm

被害度の観察状況 1=部分的軽度被害、2=全面的軽度被害、

3=全面的軽度被害に加え部分的教書、4=全面的に激しい被害、

・5=崩壊状態

被食害率:全数に対する被食害個体の割合

資料:石川県林業試験場研報15号 林業技術No.516号

★ 能登ヒバは、青森ヒバと同様にヒバ油が 採取され、このヒバ油の中にヒノキチオー ルを含有している。

ヒノキチオール含有率:5−6%

(アテ100年生)

資料:青森県工業試験場 青森ヒバ油開発

プロジェクトチーム 岡部敏弘博士による 分光分析調査

能登ヒバ木製風.呂

20

木タイル

(22)

建築事例

青少年野外活動研修施設

○所在地:羽咋郡富来町地頭町荒木ヶ丘

21

能登ヒバ材による内装

●建物の特徴・構造

(1)青少年野外活動研修施設として 山小屋風の素朴さを取り入れ構造 材・造作材・内壁材に能登ヒバ材 を使用し暖かい温もりを与えてい る。

(2)木造二階建

(3)在来軸組工法

(4)建築面積 258.32mZ

(5)延床面積  296.47mZ

(6)木材使用量  66.77m3

能登ヒバ内壁材

(23)

鹿波小学校

●所在地:鳳至郡穴水町字鹿波

●建物の特徴・構造

(1)能登ヒバの特徴である音数密な材 質と肌の美しきによって校舎全体 に温もりが感じられる。

(2)外壁・腰板・天井はよく乾燥し た能登ヒバ小幅板の相ジャクリ仕 上げになっている。

(3)在来軸組工法

(4)建築面積 609.93mZ

(5)延床面積  626.85mZ

(6)木材使用量 145,00m3

(24)

1997

石川県農林水産部

参照

関連したドキュメント

日歯 ・都道府県歯会 ・都市区歯会のいわゆる三層構造の堅持が求められていた。理事 者においては既に内閣府公益認定等委員会 (以下

平成3

 本計画では、子どもの頃から食に関する正確な知識を提供することで、健全な食生活

平成 27

平成 27

あった︒しかし︑それは︑すでに職業 9

世界中で約 4 千万人、我が国で約 39 万人が死亡したと推定されている。 1957 年(昭和 32 年)には「アジアかぜ」 、1968 年(昭和 43

1989 年に市民社会組織の設立が開始、2017 年は 54,000 の組織が教会を背景としたいくつ かの強力な組織が活動している。資金構成:公共