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派遣型スクールソーシャルワーカーと学校との連携に関する研究

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(1)平成24年度 学位論文. 派遣型スクールソーシャルワーカーと学校との        連携に関する研究.        兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 学校教育学専攻 学校心理学コース.        M10040G木村佳恵. 主任指導教員 小林小夜子.  指導教員秋光恵子.

(2) 目 次. 第1章  第1節  第2節  第3節  第4節  第5節. 問題と目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  1−13 スクS・・一一ルソーシャルワーカーの歴史的流れ. スクールソーシャルワーカL一一・iの福祉的な視点. 学校と市町村福祉との関係 派遣型スクールソーシャルワーカーの活用プロセス 本研究の目的. 第2章  研究1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  14−22  第1節 方法   1.調査協力者    (1)スクs一一・・ルソーシャルワーク導入初期の地域.    (2)スクールソーシャルワーク先行地域    (3)スクールソーシャルワ・一一・・カーとの連携がない地域.   2.調査手続き   3.調査内容    (1)スクールソーシャルワーカーに関すること    (2)市町村福祉に関すること.  第2節 結果と考察   1.スクールソーシャルワーカーに関すること   2.市町村福祉に関すること. 第3章  研究2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  23−39  第1節 方法   1.調査協力校及び協力者   2.調査手続き   3.調査内容    (1)協力者の属性に関する測定項目    (2)協力者の個別の力量に関する測定項目    (3)勤務校の学校組織特性に関する測定項目    (4)勤務校におけるスクールソーシャルワーカーとの連携及び相談活動の現状に関す      る測定項目.  第2節 結果と考察   1.調査協力者の属性   2.各尺度の因子分析結果    (1)個別の力量に関する測定尺度    (2)学校組織特性に関する測定尺度    (3)勤務校におけるスクL一一一ルソーシャルワーカーとの連携及び相談活動の現状に関す.      る測定尺度   3.学校とスクールソーシャルワーカーとの連携に影響を及ぼす要因の分析    (1)スクールソーシャルワ・・一・・カーへのニーズと期待.    (2)スクL一一・iルソーシャルワーカーの活用と連携不足.    (3)校内での相談活動における対応と抱え込み. 第4章 総合考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  40−42 引用文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  43_45. 料旨辞 資要謝.

(3) 第1章 問題と目的 論1節 スクールソーシャルワーカーの歴史的流れ  今日、子どもを取り巻く環境は厳しく、問題は多岐にわたる。学校現場において も、不登校、いじめ、問題行動、学級崩壊、さらには児童虐待への対応、障害や特 別なニーズを要する子ども達への支援等、従来のように学校だけで対応することが 困難な様々な課題を抱えている。  このような状況に際し、わが国ではスクL一一・iルカウンセラー(以下、SC)による. 派遣事業が1995年度から始まり展開されてきた。しかし、子どもが抱える課題を 見た時、その背景となる家庭、学校、地域といった環境にも目を向け、そこに介入 していく必要性が出てきた。そこで、環境や社会資源との調整・仲介・連携機能を 核とするソーシャルワL一一一クが注目され、文部科学省は全国141地域を指定地域とし てスクールソーシャルワーカー(以下、SSWr)を派遣する 「スクv・一一一ルソーシャル ワL一一一カー活用事業」を2008年度から開始した(文部科学省,2008)。.  SSWrの発祥の地は米国のニューヨーク、ボストン、ハートフォードの3都市で あり、その起源は1906年から1907年に始まった「訪問教師(visiting teacher)」. の活動とされている。その100年の歴史の中で社会情勢の影響も受け、SSWrの職 務内容や活動は変化してきている。1975年に施行された全障害児教育法が規定し た関連サービスの中にソーシャルワークが位置づけられたことにより、SSWrの活 動は米国において法的に認知されることとなった。さらに1990年には全障害児教 育法が障害児教育法として再制定され、対象となる障害項目もさらに2つ加わった. ことで、SSWrの雇用は促進されることとなり、SSWrの学校における地位は確立 した(半羽,2008a)。現在、米国では1万人以上のSSWrが主に学校内で活動を展 開しており、ほとんどは大学院修士課程でソーシャルワークの専門性を深めたソー シャルワーク修士である(門田,2009)。州によって資格要件や雇用人数は異なり、. 必要性に対する意見にも差異があるのも現状であるが、「子どもたちの教育権を守. る」という役割においては共通している。また、SSWrは教育チームの一員として 認識されており、教師、SC、スクールサイコロジスト等と協働しながら支援サL一・一・. ビスを提供している。他職種との業務のすみ分けは厳密にはされていないが、SSWr の役割として比較的明確にされているものは、家庭訪問による保護者の意向の聴取 や家庭状況の把握である。また、問題状況の改善のために社会資源と対象児童・生 徒および家族を結びつけることも期待されている。他にも子ども達の教育権を守る ために、状況に応じてグループワーク、教師や保護者へのコンサルテーション、教 員研修、ペアレンティング(親教育)、危機介入、ケアマネジメント、さらには他 職種チV一・一一ムでのコL一・一一ディネー一一ターや仲介者としての役割、場合によっては学校の運 1.

(4) 営管理や政策提言等にも携わる活動をしている(半羽,2008b)。  一方、先にも述べたように、日本においてスクールソーシャルワーカv一・一・の活用事. 業が始まったのは2008年度からである。しかし、「School Social Work」の言葉は. 既に、1958年に社会事業研究所から刊行された『社会事業用語辞典』の中で「学 校社会事業」と訳されて掲載されている。また1949年には米国と同様の訪問教師 制度が高知県等で長欠児対策として導入され、1950年忌は福祉教員が高知県で配 置されている (大崎,2008)。SSWr配置の必要性については1980年代後半頃より. 指摘され始め、1986年には米国でソーシャルワークを学んできた山下英三郎によ って、埼玉県の所沢市で米国のスクs一一一こ口ーシャルワーク(以下、SSW)をモデル. とした活動が始められた。校内暴力の頻発の後、登校拒否(不登校)が増え始めた 時期でもあり、不登校や非行の子ども達に対する継続的な家庭訪問を行い、子ども や保護者と共に問題解決を模索する活動が行われた。また、個人に対するケースワ ークに留まらず、学校との連携や調整、地域社会への働きかけなどソーシャルワー クの特性を活かした活動が積極的に行われた(山下,2003)。.  さらにその後、2000年には兵庫県赤穂市において、市教育委員会と地元の関西 福祉大学の共同研究として、SSW推進事業が開始された。半羽(2007)の実践報 告によると、この事業の当初のねらいは、学校関係者、保護者、地域住民に対する. SSWの概念の理解促進と、子ども達の生活環境の整備であった。2004年度からは. 赤穂市教育委員会でSSWrの設置要綱が策定され、1名のSSWrが赤穂市の青少年 育成センターに所属し、地域に根ざした実践活動を始めることとなった。具体的に は学級訪問、家庭訪問、保護者や児童生徒との面談、コンサルテーション等の援助 活動が展開された。さらには、学生ボランティアの派遣事業を通した地域の人的資 源の開発や、地域サポート会議の開催等による間接的な子どもの環境調整も行い、 状況の改善を図る活動が行われた。このような赤穂市の事業がもたらした大きな成. 果は、SSWの取組を全国に発信し、社会的認知度を高める役割をしたことにある と言えよう。また時を同じくして、茨城県結城市でも2000年から不登校対策要因. として、2名の市職員をSSWr(必要資格:教員免許)として配置した。結城市の SSWrは、①相談室や家庭訪問で学校現場において生徒や保護者、教師と関わる相 談員的な役割、②ケース会議等を通して関係機関と連携する橋渡しとしての役割、. ③教育支援センター(適応指導教室)の相談員としての役割、といった3つの役割 をもって活動してきた(高森,2008)。.  都道府県の自治体レベルでは、香川県が国の施策の「健康相談活動支援体制整備 事業」の一環として、2001年からSSWrを学校に派遣するようになった(浜田,2007)。. 香川県の特徴は、健康相談活動の一環ということで、主に保健室を拠点に養護教諭. とチーム支援にあたるという点であった。SSWrは週2日パイロット校に派遣され、 2.

(5) 子どもの抱える問題に具体的に対応すると同時に、校内の教育相談部会等の組織に 参加しチームの一員とし援助方針の検討を行なった。また、ゲストティチャーとし て授業に参加し、ソV一一一一シャルスキルトレーニングをグループワS一一一クで取り入れたり. するような活動も行っていた(浜田,2007)。.  大阪府では2005年から事業が開始され、当初は府内7市の7小学校に配置した。 その後、全市町村教育委員会にSSWrを派遣している(大塚,2007a)。大阪府のSSW 事業は教育行政と専門職の協働体制を作ってきたことが特徴であり、概ね修士号以. 上を取得している社会福祉士、臨床心理士、弁護士というSSWrとは異なる専門性 をもったスパーバイザ・一一一(以下SV)も配置されている。 SVの役割は、①SSWrへ. のスパーバイズ、②SSWrをサポートしながら学校の支援を行うことと、③SSWr・ 市教育委員会・学校との調整、の3点であり、全体的なことを把握して府の教育委 員会と共に事業進行する役割を担っている(山野,2007)。SVが学校や子どもたち. の代弁者のみならずSSWrの代弁者となっていることも注目すべき点であり、現在. はSVと地区ごとに置かれたチーフスクールソーシャルワーカーがSSWrを支える という3層構造になっている(文部科学省,2010a)。さらに大阪府では、府教育委. 員会とSVの会議や,月1回の連絡会も開催されている。この連絡会は学校関係者に. よるSSWの理解、 SSWrの学校や教育委員会の理解を深める場、問題の全体化や 全体像を把握するための場として位置づけられたものである(山野,2007)。.  また滋賀県では2006年度から、不登校への対応にSSW的視点からの支援方法 を導入するため、約20校のモデル校を指定し、SSW的不登校支援事業をスタート させた(大塚,2007a)。同年、兵庫県でも「児童生徒の安心づくりコーディネータ. ー」という名称の事業を開始し、兵庫県下に3名の人員を配置した。事業実施要項 によると、当初の配置目的は増加を続ける児童虐待への対応に特化したものであり、 対象は義務教育の子どもたちであった(兵庫県教育委員会,2006)。翌年からは「ス. クールソーシャルワーカー」に名称が変更され、各教育事務所に設置されている学 校支援チームの構成メンバーにSSWrが加入した(兵庫県教育委員会,2007)。また、. 学校や地域・家庭、関係機関との連携強化という職務内容も加わったものの、依然. として児童虐待に特化した役割が強かった。これに対して、2008年度から文部科 学省によるスクールソーシャルワーカー活用事業が展開されたことを受け、兵庫県. のSSWrも3名から6名に増員されると同時に、虐待のみではなく様々な問題に対 応することが増えてきた(兵庫県教育委員会,2008)。2009年度には兵庫県の教育. 事務所の再編がなされたが、SSWrの担当地域等には変わりはなく現在に至ってお. り、6人がそれぞれの地域の実情に応じたSSWを行っている(兵庫県教育委員 会,2010)。.  他にも、文部科学省が2007年度に全国250地域を指定して実施した「問題を抱 3.

(6) える子ども等の自立支援事業」を利用し、熊本県と群馬県の教育委員会がSSWrを 配置している(森,2008)。さらに学校独自の取り組みとしては、千葉大学教育学部. 付属小学校が2002年から、滋賀県の私立近江兄弟社高等学校も2006年からSSWr を配置している(大塚,2007a)。そして、この数年で都道府県や政令指定都市だけ. でなく、市の単独事業としてSSWrを配置している自治体も増えてきた。 SSWrは 特定の学校に勤務する学校配置型だけでなく、教育委員会長に籍を置き学校現場か らの要請によって動く派遣二等、地域の実状に合わせた形態での展開がなされてい る。このような流れの中、2010年に発行された生徒指導提要(文部科学省,2010). では、SSWrは「社会福祉の専門的知識・技術を活用し児童生徒を取り巻く環境に 働きかけ支援する専門家」として、教育現場の中に明確な位置づけがなされた。こ. こではSSWrの主な職務として、①問題を抱える児童生徒が置かれた環境への働き かけ、②関係機関等とのネットワークの構築、連携・調整、③学校内におけるチー ム体制の構築、支援、④保護者、教職員に対する支援・相談・情報提供、⑤教職員 への研修活動、等が挙げられている。. 第2節 スクールソーシャルワーカーの福祉的な視点  生徒指導提要(文部科学省,2010)に示されたように、SSWrは社会福祉(ソv一一一. シャルワーク)の専門的知識・技術を持って、学校内での活動だけでなく、子ども を取り巻く環境、家庭や関係機関といった学校外との調整・仲介・連携等の活動を 行っている。そして、それらは「福祉的な視点」のもとに行われていることが、他 の職種とは異なる特徴である。.  では、SSWrがもつ「福祉的な視点」とはどのようなものであろうか。金澤(2007) は日本の戦後から1990年忌までのソL一一一シャルワv一一一クと学校の関係を「手続き的関. 係」、すなわち就学支援や教育扶助といった、子どもたちが学校生活を送るうえで. の最低限度の生活を保障するのに必要な環境整備のための手続きを授受する関係 であったと述べている。しかしながら1990年忌以降には、「個と環境の相互作用に 焦点を当てる」というソーシャルワークの基盤となる視点から、単なる「手続き的 関係」を脱してチL一一一・ムアプローチを重要視した「協働関係」の構築が目指されるよ. うになってきた(金澤,2007)。今日の子ども達が抱える問題は、単に個々の子ども. の内面に焦点を当てるだけでは限界にきていることは明らかであろう。学校現場に おける子どもの諸問題に対して、子どもを取り巻く環境全体に着目して問題解決を. 図ることが有効であることは先行研究でも指摘されている(半羽,1998;山 下,1998;山野,2006)。この「人と環境との相互作用」に基盤を置くソーシャルワ. ークの視点は、1970年代に入りGermainによって「エコロジカルな視点」として 4.

(7) 整理され、理論化された。「エコロジカルな視点」とは、子ども本人に関わるだけ でなく、人と人、さらには人と周囲のシステムとの相互作用に着目し、その相互に. 影響しあう関係において仲介や調整、連携等の機能を重視する考え方である (Germain,1979)。そして「エコロジカルな視点」は、ソーシャルワ・一一一クにおける. ミクロ、メゾ、マクロ全ての実践レベルにおいて求められるものである。.  ソーシャルワークでは、「人と環境との相互作用」という基本的な考え方である 「エコロジカルな視点」だけでなく、「エンパワメントの視点」(Solomon,1976). や「ストレングスの視点」(Weick,Rapp,Sullivan&Kisthardt,1989)も理論化さ. れ取り入れられてきた。エンパワメントの概念は、社会的な差別を受けていたアメ リカ黒人社会に対し、スティグマを負わされた集団のパワV一一一減退を改善していける. ような諸活動の取り組みのプロセスを「エンパワメント」と定義づけたことに端を 発している(Solomon,1976)。エンパワメント実践では、クライエントに対して、 自身を不幸な存在として認識するのではなく、自らの持てる潜在的な能力を引き出. し、問題を解決することのできる主体者として認識していくことを促す (Solomon,1976)。また「ストレングスの視点」は、個人が抱える病理や問題に焦. 点を当てたいわゆる医学モデルや、人間の弱さに注目する過去のソーシャルワーク 実践に対する批判から始まり、人間が本来有する強さや可能性に焦点を当てた考え 方である。つまり、個人の弱さではなく強さへ、問題ではなく可能性へと視点を変 えていくことを提起する理論である(Weickら,1989)。.  個々の子どもや保護者への支援だけでなく、学校内におけるチーム援助の構築や. 地域の関係機関との仲介・連携促進を職務とするSSWにとって、上記のような「エ コロジカルな視点」は欠くことのできない基盤となるものである。また、「エンパ ワメントの視点」や「ストレングスの視点」も、子どもや家族、学校の有するリソ ースに注目して様々な取組みや努力を充分に引き出すと同時に、彼らのネガティブ. な発想をポジティブな支援の発想へと転換させるというSSWの拠り所となってい る (大塚,2007b)。このようなソーシャルワークの理論からは、 SSWrがもつべき 「福祉的な視点」とは、「子どもの問題を個と環境との相互作用として捉えること」 「子どもを取り巻く多様なリソースを支援に活かすこと」 「支援の実践を通して、. 支援者にポジティブな発想をもたらすこと」等が考えられる。.  このような福祉的な視点をもつSSWrが配置されるようになったことで、学校 現場における支援の幅に広がりが出てきたのも事実であろう。しかし、SSWが現 在の学校現場に十分に周知・理解され浸透しているとは言い難い。また、日本にお. いてSSWrが導入されてまだ日が浅いことから、 SSWr自身も業務や経験、スキル アップといった点に不安や課題を多く抱えているにも関わらず、所属する機関に必. ずしもSVの配置をはじめとしたバックアップ体制が整っているわけでもない。そ 5.

(8) のような中で、SSWrが学校と協働体制を構築し、子どもに充実した支援を提供す るためには、まず学校現場がSSWrや関係機関である市町村福祉に対してどのよう な意識やニーズを持ち、どのように活用しているのかを明らかにする必要がある。. それらを踏まえたうえで、SSWrと学校との協働を促進する要因について検討する ことが求められよう。. 第3節 学校と市町村福祉との関係  現代社会において、子どもを産み育てることは容易ではない。今日の不況下にお いては貧困の問題も子どもに大きな影響を及ぼしている。出生率の低下、離婚率の 増加、さらには児童虐待の対応件数の激増等は、子どもたちを守り育ててきた地域 コミュニティーが崩壊しつつあり、もはや地域の力だけでは社会的な弱者である子. どもたちを支援していくことが困難な状況にあるということを示していると言え よう。.  そのような中で、子どもを育てる家庭や地域コミュニティーを行政の職権も関与 する社会的養護につなげるために、2000年に「児童虐待の防止等に関する法律(以 下、虐待防止法)」が施行された。この法律によって子ども虐待の発見・通告の機 能が強化された結果、これまで唯一の通告窓口として職権行使を期待されていた児 童相談所への一極集中型体制に限界が見え始めた(澁谷,2008)。こうした背景の中、. 2003年の児童福祉法の改正によって、児童家庭福祉相談の実施体制は大きく変化 した。従来の児童家庭福祉施策では、都道府県の機関である児童相談所がその実施 体制の中核とされていた。一方、市町村は戦後一貫して、保育や子どもの健全育成. と市民の積極的かっ自発的な利用に対するサービスの提供という役割を担ってき た。その延長として、家庭における健全な人間関係の構築と適正な児童の養育等、. 家庭児童福祉の向上のための相談援助指導の強化充実を掲げた1964年の厚生省事 務次官通知によって福祉事務所内に家庭児童相談室が設置され、子ども福祉に係る 相談援助がスタートした(厚生省,1964)。さらに2003年の児童福祉法改正により、. 市町村に子育て支援事業が業務に加わり、2004年の改正では児童家庭相談に対す る第一義的相談窓口となることが明確に規定された。具体的には、市町村には児童 及び妊産婦の福祉に関する「必要な実情の把握」 「必要な情報の提供」 「家庭その. 他からの相談に応じた必要な調査及び指導」「要保護児童の通告先となること」が. 求められるようになった(児童福祉法第10条第1条及び第25条)。そして受け付 ける相談の種類・内容も、「養護相談(児童虐待相談、その他)」「保健相談」「障害. 相談」「非行相談」「育成相談(性格行動相談、不登校相談、適性相談、育児・しっ. け相談)」という幅広いものとなった。さらに、要保護児童及びその保護者に関す 6.

(9) る情報の交換や支援内容の協議、確認を行う協議会(要保護児童対策地域協議会、 通称「子どもを守る地域ネットワーク」)を置くことができるとされ、児童虐待を. はじめとする要保護児童に対する市町村が果す役割と第一義的な通告窓口として の責任も明確化された。2005年の市町村児童家庭相談i援助指針においても「緊急 かつより高度な専門的対応が求められる一方で、育児不安等を背景に、身近な子育 て相談ニーズも増大しており、こうした幅広い相談全てを児童相談所のみが受け止 めることは必ずしも効率的ではなく、市町村をはじめ多様な機関によるきめ細やか な対応が求められている。」と明記されている。これら一連の法改正の中で、都道 府県の設置する児童相談所は、児童家庭相談への市町村の対応について技術的援助 や助言の後方支援を行うとともに、立入調査や一時保護、児童福祉施設への入所措 置、家庭裁判所への申し立てといった支援を担当することとなった。そして市町村 に対しては、一般の子育て層を対象とする子育て支援全般と、その中にある地域ネ ットワークによる見守り、相談が必要となる育児不安層、また、要保護児童対策地 域協議会での対応協議、さらには宅支援が可能なハイリスク家庭や要養護・要保護 家庭等のグレーゾーン・イエローゾーンのケースへの対応、及び緊急性の高いレッ. ドゾーンのケースや行政権限の発動が必要となった場合には児童相談所への連絡 等の進行管理を担うことが求められるようになったのである(加藤i,2008a;Figure 1 を参照)。. 児童相談所. 児童相談所領域. ン). (レ. ・立ち入り調査. 要保護児童対策 協議会担当領域. ・一. 域. 桾ロ護. ・入所措置. ハイリスク家庭 (グレーゾーシ). 後方支援. ・家庭裁判所への 申し立て. 育児不安層 市町村領域. ・市町村の対応へ. 一般子育て層. の技術的援助 ・助言. 市町村子ども家庭福祉. :Figure1加藤(2008a)の図をもとに筆者改変 7.

(10)  児童家庭相談援助の展開における市町村の具体的な役割は、①予防・早期発見に 視点をおいた市町村活動の推進、②相談・通告への対応、③調査、④援助方針の決 定、援助の実施、再評価、⑤施設此所後の相談・支援(アフターケア)である(厚 生労働省,2005)。予防・早期発見に関しては、従来から実施されている乳幼児健 康診査、2007年にスタートした「こんにちは赤ちゃん事業」の母子保健事業や「育 児支援家庭訪問事業」等の子育て支援事業において、児童虐待防止の視点を強化し た支援活動を行うことが必要となる。相談・通告への対応としては、周囲の情報と 子ども、保護者等の自然な話の流れの中から必要な情報と事実を把握し、ケース検 討会議ではその子どもと家族に関わる機関から多角的な見地を求め、一つの機関に 支援の負担が集中してしまうのではなく、役割分担によって各機関が支援への意識 を高め体制を整えることが必要となる。いずれにせよ、市町村は地域の実情に応じ て広く関係機関等とネットワーク体制を構築した上で、それぞれの役割を明確化し、. 連携を図ることが重要であると言えよう。その中でも、特に子どもの福祉を考えた 場合、市町村と学校との連携は極めて重要なものと位置づけられる。虐待防止法で は、市町村のみならず、学校現場も虐待の早期発見に努め、通告義務を持つことが. 明記された。さらには2010年改正の「市町村児童家庭相談援助指針」では学校及 び保育所から市町村又は児童相談所への定期的な情報提供に関する内容が盛り込 まれている。加えて、2010年に虐待が疑われる児童の死亡事件が発生したことか ら、学校と市町村、児童相談所等の関係機関の連携が注目されるようになった。そ してこの事件をきっかけにして厚生労働省によって、学校及び保育所から市町村又. は児童相談所への定期的な情報提供を行なうための指針も作成された(厚生労働 省,2010a)。.  市町村に設置された要保護児童対策地域協議会の2010年度の設置件数は全国で 1,673件であったが、そのうちの91.0%に小学校が、また88.0%に中学校が参加し ていることが報告されており (厚生労働省,2010b)、学校及び保育所と市町村との. 情報交換の場が浸透しつつあると言えよう。この参加状況からも、学校現場におい. ても福祉機関との連携は既に不可欠なものとして位置づけられていることが分か. る。このような状況を鑑みて、文部科学省は2008年度よりSSWrの配置事業を開 始した。しかしながら、市町村福祉と学校とのつながりは増していく中にあっても、. 市町村福祉課の児童家庭相談業務において積極的に学校を視野に入れた相談体制 作りがなされているとは言い難い(山野,2006)。また、学校現場においても、SC. をはじめとした外部との協働体制の構築の必要性や抵抗感は少しずつ軽減されつ つあるものの、新たな職種であるSSWrとの連携においては双方共に手探りの中の 協働であり、SSWrの役割や存在すら知らないという教師がいることも確かである。. SSWrとの連携のみならず、十分に福祉の活用を想定した相談体制とはなっていな 8.

(11) いのが現状であろう。.  市町村福祉と学校現場の双方において協働体制が求められながらもそれが進展 しないということは、両者にいくつかの隔たりが存在しているということを示して いよう。加藤i(2008b)は、市町村福祉が学校と連i携を進めるためには、業務の流. れについて市町村福祉側が学校に十分説明を行うことが重要であると指摘してい る。学校を通じて保護者や子ども等に市町村への相談を勧める場合は、あらかじめ. 学校が保護者や子ども等に市町村の役割や業務の流れ等について十分説明するこ とが必要であるが、そのためには、学校が市町村の福祉業務の流れだけでなく、そ の他の知識についてもある程度知っておくことが求められよう。しかし、市町村福 祉が学校に対して業務の内容や流れを説明する機会は多くない。加えて、厚生労働. 省(2010b)の調査によれば、2010年4月現在において家庭児童相談室(あるいは 窓口)を児童福祉主管課又は福祉事務所に設置している市区は、人口規模30万人 以上では87.5%、10万人以上30万人未満では90.4%、10万人未満では86.4%と、. かなり高い割合を示している。しかしながら、市区町村相談窓口の主たる担当職員 の属性を見てみると、社会福祉士・精神保健福祉士だけでなく保健師・助産師・看 護師等の保健系資格や教員免許、保育士資格等も含む一定の専門資格を有する者は. 65.3%にすぎない。言い換えれば、主たる職員の約35%は業務に関連した専門知 識をもたない者によって構成されていることになる。何らかの専門資格を持つ者で あっても、社会福祉士・精神保健福祉士を含む児童福祉司と同様の資格を有する者 は16.4%であり、社会福祉士・精神保健福祉士といった国家資格を有する者に限れ ばわずか5.2%に留まっている(厚生労働省,2010b)。児童相談所等からの後方支 援があるとは言え、児童家庭相談に対する第一義的相談窓口である市町村において、 福祉に関する国家資格保持者がわずかに5.2%という現状は、質の担保の視点から 見てもあまりにも低い。市町村福祉に求められる専門性が増し、社会福祉士・精神 保健福祉士といった専門資格を必要とする専門職化が不可欠である一方で、専門職 配置には課題が残っていると言えよう。.  このような現状の中、学校現場に入りソーシャルワークを展開していくSSWrは、. 今後ますます重要な役割を担うことが考えられる。そこで次節では、SSWrが学校 で有効に活用されるためには何が必要であるかについて、あらためて考えてみたい。. 第4節 派遣型スクールソーシャルワーカーの活用プロセス  学校がSSWrを活用するためには、どのような要因が必要であろうか。まず福祉 的な支援を必要とする子どもに「気付く」ことが不可欠であろう。そのような気付. きがあって初めて、支援の必要な子どもをSSWrにつなげることが可能になるから 9.

(12) である。「気付く」という段階は担任や子どもに関わる個々の教師等個人レベルで. あり、SSWrに「つなげる」という段階は校内で検討され管理職の指示等が出され ることが必要であることから、組織レベルであると考えられる。つまり、学校内に. おけるSSWr活用の促進に影響を及ぼす要因は、個々の教師の特性という個人レベ ルと学校内のシステム・環境という組織レベルの2側面から検討する必要があるだ. ろう。そこで次に、SSWr活用の促進に影響を及ぼす個人レベルと学校組織レベル の要因について具体的に考えてみることにする。SSWrだけでなく、今日の学校現 場では子どもの抱える問題の複雑化・多様化に伴い様々な支援人材が色々な形態で. 導入されている。SCはその代表的な例と言える。このような中で、支援における 連携の重要性については既に多くの指摘がなされており(大野,1997;石心,1999; 文部科学省,2010等)、その促進要因も検討が加えられている(大野,1997;田村・ 二二,2002;瀬戸,2000;秋光・岡田,2010;西山・淵上・迫田,2009等)。そしてこ. れらの研究を概観すると、学校内における連携の促進も個人レベルと学校組織レベ ルの要因から検討がなされていることが分かる。個人レベルの要因については、大 野(1997)は学校内で教育相談活動を活発化するためには、担当者に統合・定着役、. 相談役、推進役といった様々な資質が必要であることを指摘している。同様に、担. 当者のコーディネーション能力の必要性を指摘した研究もある(瀬戸・石 山,2002,2003)。さらに支援の受け入れには教師の被援助志向性が影響しているこ とも明らかにされている(田村・石隈,2002)。また学校組織レベルの要因について は、瀬戸(2000)が学校組織の「学習充実」「協働性」「職場満足」といった特徴が. SCとの連携に影響を及ぼしていること、また協働性には管理職の指導力も関連し ていることを指摘した。さらにSC連携の有効度には、教師の期待感とともに組織 的支援活動も影響していることを示した(瀬戸,2000)。また、秋光・岡田(2010) は学校組織を「個業性」「協働性」「統制性」「同調性」から特徴づけ、「協働性」が. 教育相談活動における教師間の連携だけでなく学校組織全体の相談活動も促進す るものの、「統制性」を欠いた学校組織では外部人材であるSCの有効活用が抑制 されていることを示した。さらに西山ら(2009)は、学校教育相談の定着に影響を 及ぼす諸要因を教師個人の力量と学校組織特性の両面から捉え、両者の関連性につ いて検討している。この研究では教育相談活動の定着に直接的に影響を及ぼす要因 は「教育相談システム」と「学校の協働的風土」であり、間接的な要因は「校長の 変革的リーダー一・一シップ」「校長の配慮的リーダーシップ」「教育相談担当者の力量」. 「学校の同調的風土」であることが明らかになった。間接的な要因である校長のリ. ーダーシップは他の要因を下支えるものとなり、教育相談の定着に影響を与える重 要な存在となっていることが報告された。山口・吉田・石川(2009)も学校内にお けるチーム援助の促進要因を面接調査から検討し、「リーダーシップ」「組織」「雰 10.

(13) 囲気」「意識」の4カテゴリーをまとめている。.  これらの要因は、学校とSSWrとの協働体制の構築を考えるうえでも重要なもの であろう。しかし、ほとんどのSCが配置型で活用されていることを考えると、こ れまでの研究はあくまでも学校内での連携促進を検討したものであると言える。主. に派遣型で導入・活用がなされているSSWrとの連携を考える場合は、 SSWrの派 遣要請に関わる変数を明らかにすることも必要であろう。そこで学校がSSWrの派 遣要請に至るプロセスについて考える。先述したように、このプロセスではまず教 師が気になる子どもに福祉的な支援が必要であることに「気付く」ことが必要であ る。この「気付き」は他の教師や管理職に相談する等の「学校内で検討」という方 向に向かう場合と、それをしない「担任の抱え込み」に向かう場合があると考えら れる。そして「学校内で検討」された後には「学校内で対応」される場合と、「SSWr の活用」につなげる場合があると考えられる。また「学校内で対応」した場合には、. その対応が功を奏して問題が好転することもあるだろうが、状況によっては「学校 の抱え込み」が生じる場合もあると思われる。また、いったんは「学校内で対応」. しても事態が好転せず、改めて「SSWrの活用」に進むこともあろう(Figure2)。.     ノ コココ り も        ノリロ    ロ     ロコロの コロココロも.     :好転:   : 学校の抱え込み :     ’●●’\.….. _、ご鷺\  . 『∼三輪1:::筆鰍←劇置装膿i :担任の抱え込み:. Figure2 学校におけるSSWr活用までの流れ.  このようなプロセスにおいて、教師の「気づき」には個々の教師レベルの要因が 関連していると考えられる。教師が気になる子どもに対する福祉的な支援の必要性 に気付くには、子どもの発達や問題行動の背景を「子どもと環境との相互作用」と. いう視点から捉えようする『福祉的な視点』と、福祉制度・機関やSSWrに関する 基礎的な『知識と関心』が必要であろう。そして、気になる子どもの存在に気付い た後にそれを一人で対応しようとせず学校内で検討するように動くための『連携・ 協働力』も求められる。これらの個人レベルの要因がある程度備わることによって、 11.

(14) 「担任の抱え込み」を予防することができるであろう。さらに、気になる子どもに ついて他の教師や校内での検討の場に相談・報告されるためには、個々の教師が気. 軽に他の教師や検討の場に自分の学級の子どもについての相談することのできる 環境も必要である。これらは『校内システムの存在』および『協働的な組織風土』 という学校組織レベルの要因であると考えられる。これらの要因が整っていること により、気になる子どもの対応は学校全体で検討されることが可能になるであろう。.  しかし上述のように、個々の教師が検討の場に相談をあげてもSSWrの活用につ ながらずに校内での対応に留まることもあるとすれば、そこにはどのような要因が 影響しているのであろうか。これまでの研究では、学校内における協働的風土は校 内連携を活性化することが指摘されている(西山ら,2009;秋光・岡田,2010等)。. その一方で秋光・岡田(2010)は校内の協働性がSCの有効活用には影響を及ぼし ていなかったことから、協働性の高さは教師同士が連携した取り組みを促進するも のの、外部人材を活用することのない“閉じた”学校組織となりうる危険性を指摘 している。このことは、校内システムに関しても同様であろう。個々の教師の気付 きを校内で共有し問題解決のために協働する時に、学校外の人材・機関も援助資源 として位置づけられたシステムでなければ、場合によっては学校全体で問題を抱え. 込むという事態を招きかねないであろう。またSSWrの派遣要請を最終的に決定す る権限をもつ管理職のリーダーシップも必要となるであろう。これらが欠如した学. 校組織では外部への要請により可能となるSSWrの活用は困難となる。さらに、そ のようなシステムに則り、管理職が派遣要請を行なったとしても、外部人材である. SSWrとも協働するような学校風土がなければ、一見つながったように思えても相 互のやり取りが促進されず、実際のところ“連携不足”が生じるであろう。また、. 開かれた外との連携システムや協働性は“SSWrへの期待”にも影響しそれらは間. 接的にSSWrの活用につながるであろう。つまり、学校のSSWrの活用に影響を及 ぼす組織レベルの要因としては、『学校内の協働性』『学校内の連携システム』『管 理職のリーダL一一・Eシップ』そして『学校外に開かれた協働性』『学校外との連携シス テム』が考えられる(:Figure3)。. 12.

(15)  校内 システム.  学校内の 連携システム.  ’・校内で対応 :    ____..__。..  鵯え込み三....・梶.SSW「への期待i .....・=∵;∵‘脚●. 学校外との・ 連携システム. @ ヌ…..…●’….            ●●. ミ                      ●    ●            ・.     ミ                              の      ミ                              ロ.        ミミr4一, r薩 . 連携不足  i.                    ロ                  .          !  ’i”…….’……          ●●         .●        ____.__         ●          :        ・ 1/. ..・・. 福祉的な視点 個別の. //. 協働的 組織風土. ●.. 連携・協働力.   .・●. 学校内の 協働性.     ●●       ●・. 力量   知識と関心. iSSWrの活用i.      .  学校外に.  管理職の. 開かれた協働性. リーダーシップ. Figure3 SSWrの活用に影響を及ぼす要因モデル. 第5節 本研究の目的  以上のことから本研究では、SSWrが学校と協働体制を構築し、子どもに充実し た支援を提供するために、研究1及び研究2で次の点を明らかにする。まず研究1 では、学校現場のSSWrや関係機関(市町村福祉)に対する意識及びニーズについ て、面接調査により明らかにする。今後、SSWrが学校と連携・協働を進めるため には、学校現場がSSWrや関係機関(市町村福祉)をどのように認識し、どのよう な意識やニー一・ズ・期待を持っているのかを把握することが不可欠であるからである。. さらに研究2では、SSWrと学校の協働を促進する要因を明らかにする。ここでは. SSWrが派遣型で導入・活用されている場合に焦点を当て、学校によるSSWrの活 用に影響を与える学校特性について個人レベルおよび学校組織レベルから検討す るものとする。なお、研究2で仮定したモデルにおける個人レベル及び学校組織レ ベルの要因の測定項目は、先行研究及び研究1の結果に基づいて作成する。.  これらの結果から、今後SSWrが学校現場に対してどのような働きかけをしてい くことが必要であるかについて検討することを目的とする。 13.

(16)               第2章 研究1. 第1節 方法 1.調査協力者  関西地方におけるSSW導入初期の地域、 SSW先行地域、 SSWrとの連携がない 地域、という3地域で面接調査を実施した。各地域及び調査協力者の詳細を以下に 示す。. (1)SSW導入初期の地域  SSW導入初期の地域の協力者として、 H県西部地域でSSWrと協働経験のある. 教師5名に協力を依頼した。H県は2006年に3名のSSWrを導入したものの、数 年が経過した現在でも県内6ヵ所の教育事務所に所属する6名のみの派遣型体制に. 留まっている。さらに、H県西部地域では2000年にSSW推進事業を開始したA 市を除いて自治体独自のSSW活動も行われていないことから、導入初期の地域と みなした。この地域からは、A市以外の市町村に勤務する中学校教師3名(生徒指 導担当、養護教諭、担任)と小学校教師2名(養護教諭、児童支援担当)の協力を 得た。. (2)SSW先行地域  SSW先行地域として、H県に隣…接する0府の教師に協力を依頼した。0府は2005. 年から府内7地区に学校配置型で7名のSSWrの導入を開始し、2011年では29 名のSSWrが活動を行っている (日本学校ソーシャルワーク学会,2011)。また、. SSWrに対するスーパーバイズ体制も確立している。さらに、0府内の政令指定都. 市や中核市を含む各自治体でも国庫補助や市の単独事業によるSSWrの配置が進 められている。これらのことから、0府をSSW先行地域とみなすものとした。協 力者は、SSWrと協働経験のある中学校教師(特別支援コーディネーター)と小学 校教師(特別支援コーディネーター、高級指導担当、教育相談担当を兼任)各1名 であった。. (3)SSWrとの連携がない地域.  H県K:市はH県HM教育事務所の担当管内ではあるが、政令指定都市であるた め他の市町村とは異なる独自の相談体制を持っている。但し、市独自でもSSW活 動は導入していない。県の教育事務所に所属するSSWrとも積極的な関わりがない ため、SSWrとの連携がない地域とみなした。 SSWrとの協働経験が全くない中学 校教師2名(生徒指導担当、担任)と小学校教師2名(担任)の協力を得た。. 2.調査手続き.  H県西部地域では2011年3.月から4,月、H県K市では2011年8」月、0府では 2011年10月と2012年2月に実施した。1人あたりの面接時間は40分∼60分で、 14.

(17) 面接内容は協力者の同意を得て、ICレコーダーに録音した。. 3.調査内容  以下の質問を中心とする半構造化面接を実施した。. (1)SSWrに関すること  i.SSWrが学校現場に入るにあたって、あらかじめ知っておいて欲しいこと・    望むこと.  ti.SSWに対する最初の印象・イメージ  iii.学校にとってのSSWrの存在  iv . SSWrに動いて欲しいケL一一・ス・実際に相談したケース.  v.SSWrに対する動き方への要望 (2)市町村福祉に関すること.  i.福祉的な対応が必要となるケースで学校がまず相談するところ  i.学校にとっての市町村福祉課の存在  血.市町村福祉との連携において分からないこと・困ること.  拉.市町村福祉との連携にあたって、SSWrの動き方への要望. 第2節 結果と考察  H県西部地域及び0府、H県K:市の教師の面接内容をまとめたものがTable 1. とTable2である。これら3つの地域はSSWrの配置状況や背景、また、それぞれ の地域の福祉の特色や課題において違いがある。したがって、それぞれの地域ごと の特徴があるのは当然である一方で、いくつかの共通点も確認された。以下では、. そのような地域ごとの特徴と共通点について、SSWrに関すること(Table1)と市 町村福祉に関すること(Table2)に分けて整理していく。. 1.SSWrに関すること  「SSWrと協働するにあたり、あらかじめ知っておいて欲しいこと・望むこと」. としては、SSWrと協働した経験のあるH県西部地域と0府からは、『SWとして の専門性』と共に『学校の仕組み』が指摘された。『学校の仕組み』としては、“学. 校のタイムスケジュール”といった極めて具体的なことも挙げられた。専門性に関 しては“学校が知らない福祉面の専門的なことを教えてくれることが助かる”“学 校だけだと同じ視点になるので新しい視点を持って、違う角度から話を聞きたい”. 等、SSWrが学校に入ってくることへの意義や期待感の表れと言えるような要望が みられた。これに対し、:K市では『学校そのもの立場』や『守秘義務に対する理解』. 等、学校に新しい職種が入ってくることに対する警戒心とも取れる発言が見られた。 15.

(18)  「SSWrに対するイメージ」については、協働したことのある2つの地域では、 “当初は違う立場や専門性がもたらす違和感や、そもそも何の専門家か分からない 等の戸惑いがあったが、一つの成功事例でそれが払拭されていった”ことが指摘さ れ.た。ただ、“同じ校内でもSSWrと連携したことのある教師は再び協働しようと. なるが、そうでなければ…”という発言も見られ、新たにSSWrが加わることそ のものに負担を感じる教師もいることが示された。これは、今では協働している地. 域でも、SSWrの導入初期には現在のK市と同様の警戒感があったことを示唆して いる。さらに、ある学校でSSWrとの協働が行なわれていたとしても、その学校の 全教職員がそこに参加しているのではないだろう。このことを考慮すれば、上記の. ような負担や警戒を感じている教師と感じていない教師が一つの学校内に混在し. ている状況があると考えられる。したがって、今後さらに学校とSSWrの連携を深 めていくためには、校内でSSWrとの具体的な協働の内容、特に成功事例をどう共 有していくかが重要なポイントになると考えられる。例えば、成功事例を用いた校 内研修を行う等も一つの方法であろう。.  「学校にとってのSSWrの存在」については、K市は導入がされていないため、 H県西部地域と0府の2地域のみで尋ねた。その結果、『意識面・視点』と『専門 性』に大別されるような意見が得られた。『意識面・視点』としては、従来の学校 現場になかった視点の導入や、特に小学校においてはチーム支援、役割分担がもた. らされ、安心感につながったことが述べられた。また、0府の教師からは“SSWr と出会ってアセスメントの大切さが勉強になり、視点が違うと感じた”“今まで学 校では社会全体、家族全体を含めたアセスメントはなかった”という発言があった。. SSWにおける“アセスメントの大切さ”は子どもを支援する上で重要な視点であ り、アセスメントの共有はケース会議が有効と感じられるための前提となるもので ある (金澤,2011)。SSWrと学校の効果的な連携につなげるためには、具体的な支. 援の手立てを検討する前に、家族全体、社会全体をアセスメントしたうえで、なぜ この子どもはこのような状態になっているのかといった、ケースの根幹となる見立 てを丁寧に行なうことが不可欠であろう。この「家族全体」「社会全体」に対する アセスメントこそが、まさにソーシャルワークならでは「エコロジカルな視点」で ある。また、アセスメントは一回のケース会議で完了するものではなく、新たな情 報が加われば随時修正を図りながら継続的に行われるものである。その作業を通し て、教師を含めた支援に関わる関係者がチームとして機能するようになる。このよ うなチーム援助は支援の質を高めるだけでなく、援助チーム内おける関係者が、お 互いに評価しあうことでエンパワメントされることになろう。この「エンパワメン ト」もソーシャルワークの重要な視点である。教師が課題を抱える子どもやその家 庭に関わることは当然のこととして扱われがちであり、それらが評価される機会は 16.

(19) 多くはないと思われる。したがって、外部人材であるSSWrが教師に、支援できた ことや子どもの変化を言葉にして客観的に伝えていくことで教師自身がエンパワ ーされ、結果的に子どもの支援に還元されることになるだろう。これらのようなソ. ーシャルワークの「視点」を新たに学校に導入することが、SSWrの役割であると 言えよう。.  『専門性』としては、“ケース会議に入ってエコマップを書いてもらったことで 明らかになる部分も多かった”“福祉関係、行政への働きかけ、窓口をよく知って いる”“裁判になった時パソコンでの記録は証拠として弱いから全部鉛筆で書いて と言われた”等の極めて具体的な例が挙げられた。既に学校でも行なわれていた引 き継ぎや情報交換にも『カンファレンスシート』や『引き継ぎシート』等のツール. をSSWrが導入することで、対象の子どもの実態がよりいっそう整理され、体系化 されやすくなったことも述べられた。このような新しいツールを学校に提供するこ. とも、外部人材としてのSSWrの存在を価値づけていることが分かった。また、 SSWrの専門性については、協働経験の多い0府の教師によってより多く語られた。 このことは、個々のケース対応やケース会議等を通してSSWrとの協働を重ねるこ とで、様々なメリットが実感されるようになることを示していると言えよう。.  「SSWrに動いて欲しいケース」としては、 H県西部地域とK市からは『実態が 掴みにくい児童虐待』や『ネグレクト環境における不登校』が、0府からは『貧困. 問題』が挙げられた。また、H県西部地域と0府の中学校教師からは、進路と密 接に関連する家庭の経済状況の問題に関するケースへの要望があった。これら以外 にも、それぞれの地域の特色や協力者自身が経験した困難なケースを反映した事例 が出された。.  「SSWrに対する動き方への要望」としては、大きく『ケース全般への対応』『家 庭・保護者への働きかけ』『子どもへの働きかけ』『校内組織で動く』の4つに分け ることができた。いずれにおいても、状況の整理や情報提供、外部機関への仲介や つなぎ等をSSWrに期待しているという点が共通していた。但し『校内組織で動く』. ことに関しては、H県西部地域と0府からは信頼関係づくりの重要性が指摘され たことに加え、“校内で効果的に活用してもらうためにも、研修を行ったり管理職 と動きについて練る等、システム作りの部分に参加して欲しい”という要望も述べ. られた。またK市では、“先生・学校の味方として存在して欲しい”という要望が あった。これらのことからは、常に外部(保護者)の目や要求等にさらされながら 教育活動を行っていることによる学校や教師の疲労感や緊張感が読み取れよう。.  さらにH県西部地域では、『福祉的な視点からの子どもへの教育的関わり(SSWr という職業の紹介や福祉的観点からの社会情勢の解説等)』にも要望があった。. 17.

(20) Tablel−1 SSWrに対する学校現場の意識(1) H県西部(SSW導入初期の地域). K市(SSWrとの連携がない地域). ・様々な家庭のケース ・児童養護施設. ・先生というのはいい方法やアドバイスがあって ・学校そのものの立場 も取り入れにくい人種。また、一般常識や福祉的 ・キーパーソン なことは知らない。だから専門的なアドバイスが ・守秘義務(学校でしか知らない情報を保護者と. ・SWの専門性. 欲しい。. SSWrにあらかじめ知ってお ・学校のタイムスケジュール いて欲しいこと. 0府(SSW先行地域). 3地域のまとめ(共通意見・・O個別の意見・・△). OSSWの専門性 O学校の仕組み・立場・教師という人種の特性. o事例. の聞でどう扱うか). →SSWの専門性.      煽 ュその他〉. △児童養護施設 ムケース対応をする上での守秘の問題 SSWrに対する最初の印象・ ・協働初期にはSSWの専門性、違う立場と角度 イメージ. がもたらす違和感があった。. ・最初は何の専門家か分からなかった。→分かつ たら専門ごとに頼んだら良いことが分かった。 一つ成功事例が出たら早い。ただ、使ったことの ある人が使う。使ったことのない人は、人に動い てもらうことは説明を要したり仕事が増えるように. 〈ない〉 ・活用の仕方が分からない ・福祉の専門職であることもピンと来ない ・スクールが頭につくが、学校に入ってきている 印象もない. 感じている。.  顧                                                   の 卿. ュある〉・福祉的なことで動くのはわかる. O学校と異なる立場・専門性に対する違和感. O認知度の低さ ⇒SSWrの専門性 ⇒活用の仕方 △他職種と協働することの負担感(協働経験の ない教師にとって). 「知識としてのSSWr. ・具体レベルで分かる(コーディネーター的、直 接家庭に関わり学校との間に入る) ・福祉課の相談員とイメージが被る ・長期的な視点で見てもらえる. 〈意識面・視点〉 ・中学校では教師と連携して、家庭訪問もして、 ・複りになる存在…精神的に楽になる。 ・足りないところを補いながら家庭の状況を的確 生活全般にわたって保護してくれる人という捉え 方。家庭支援、本人支援。 に判断し、方向付けてくれる。 ・SSWrと出会ってアセスメントの大切さが勉強に. 学校にとってのSSWrの存在 〈意識面〉 ⇒意識面・視点 HQo. ⇒専門性 ⇒その他. なり、視点が違うと感じた。 ・傷などを見ても、みんなが当たり前のようにどう. したのかと聞く。従来は親の反応を恐れて跨路し ていた。親に叩かれたとか、辛い思いをして傷つ けてきたのではという視点が弱かった。SSWが来 てから、学校の先生だからこそ「あなた大事だ」と 言ってあげられ、それが子どもに必要だと学ん だ。結果、保護者への抑止力になり、教師が敏 感になった。. ・学校は安心・安全を提供してあげられる場。 ・銘記全体、社会全体を含めたアセスメント. ・親の支援=子の安定 ・従来小学校では、担任+管理職の対応で役割 分担の視点がなかった。 ・役割り分担があるとチーム支援になり、1人でな い安心感があり、うまくいった時、お互いを評価し 合えて、エンパワメントしてもらえる。. ・子どもをみる感度があがってその視点で子ども に関わっていけば子どもは変わるし親は変わる。 絶対に変わると教えてくれたのはSSW. ・学校の中で、自分の家の事情をこの人は知って いるということを子どもが知っているかどうか。そ れで子どもは安心し、困った時にこの人に言お うって人を作っておくことが大事。それも役割分 担で。. 〈意識面・視点〉. O教師と連携して家庭支援、本人支援 ムアセスメントの重要性と視点を得た ⇒家族全体、社会全体を含めたアセスメント. ⇒親の支援=子の安定 ムチーム支援(小学校)役割り分担 ⇒一人でない安心感とエンパワメントしても らえる. △学校は安心・安全を提供してあげられる場で ある. ⇒親の反応に躊躇することもあったが、当た り前のことを当たり前に聞く。それが子ど もを守るということ。. △子どもを見る感度が上がった △子どもや親は絶対に変わると教えられた.

(21) Table1・一2 SSWrに対する学校現場の意識(2) 0府(SSW先行地域). H県西部(SSW導入初期の地域). 学校にとってのSSWrの存在 〈専門性〉. K市(SSWrとの連携がない地域). 〈専門性〉. 3地域のまとめ(共通心見・・O個別の意見・・△). ⇒意識面・視点. ・ケース会議のメリット. ・記録の取り方(鉛筆で書く意味). ⇒専門性 ⇒その他. ・関係機関への働きかけ、窓口的存在 ・家庭への働きかけ、橋渡し ・支援を方向づけてくれた. ・記録を残す意味. 〈専門性〉 ムケース会議 △関係機関、家庭へのつなぎ. ・引継ぎシート・カンファレンスシートなどのツール. △記録(取り方、ツール・意味合い). △支援の方向付け 〈その他・校内体制〉 ・今では、こういうケースはすぐにSSWrにつなご. 〈その他・校内体制〉 △専門性に応じて外部人材を使い分けている。 △そのためにも、校内で整理していく必要があ. う、このケースはSCにつなごうってなっている。た だ、ケースが多くなってくると校内でそれを整理す. る。. る人が必要。現在はその整理とかが暖昧。そこ を整理しておかないとSSWやSCが戸惑うことにな ると思う。担当者や、支援委員会の人が思ってい るだけでは進まない。. ・貧困、生活困窮家庭 ・不登校(家庭環境が影響している) ・児童虐待(*事実が掴みにくいケース) ・離婚から派生する問題(偽装離婚など). 要望 動いて欲しい ケース. 動き方 H㊤. 般① ・ケースを絞る(SSWがいいかSCを主にするかな ヘケ ど、支援の主担当の段階から一緒に検討する). の1. 対ス 応全. ・ケースのつなぎ ・福祉課と一緒に動く ・情報収集、実態把握. 家. ② ・第三者的立場であることが重要. の庭 働 ●. ・情報収集 ・自ら相談されない人への介入 ・保護者と一緒に問題を整理したり、説明や後押. き保 しする か 護 け 者. ・経済的なこと(貧困・生活困窮)中学は進路があ. ・児童虐待(*事実が掴みにくいケース). る。. ・ネグレクト. ・教育に無関心なケース(*親へのアプローチ). ・民事裁判、刑事裁判などの弁護士、法律が絡. ・地域によっては、SSWrが発達相談的な検査を. んでくるレベル. ・情報収集. O情報収集、実態把握. したり、資格持っている人がいたら助かります。. かも けへ. いう相談にも乗ってもらえるということで、そういう 使い方もしていた。. △地域によっては発達検査など. ・情報提供(将来を見通した) ・先生は、保護者との間に距離がある。話をして ・客観的なアドバイス いると実際には立場を超えており、越えるという 視点も必要だと思う。でも、教師と親という立場は →専門性を活かす ・SSWrの所属先と役割が示す存在感・説得力 消えない。本音の部分はSSWなど専門の方に 入ってもらったえたらいい。 ・学校との仲介役. O話を聴く ⇒第三者的立場であることが重要 ⇒情報収集も含む O保護者と一緒に問題を整理したり、情報提供、 説明や後押しする ⇒専門職であることが説得力になる △自ら相談されない人への介入 △子育て支援額集会. ・卒業後を含めた支援(学校から手が離れた時. ・継続的な支え. O将来を見通した支援. に地域に繋いでくれた). ・訪問活動(家庭、教室) ・声かけ. O情報提供. ・行動観察 ・予防的関わり(連鎖を断ち切る) ・情報提供. △社会の情報など福祉的観点からの教育 △訪問活動 △行動観察 △保護者と子どもの仲介役. ・信頼関係作り ・保護者の味方でもあり、学校をサポートする味. 0信頼関係作り. 方の存在. O管理職と体制作り 0校内研修、事例検討. ・社会の情報など福祉的観点からの教育. の. ④ 校 内. 織. 組. で ︿. 動. ・信頼関係作り(⇒築けるシステムの仕組みも必. ・協働するに際し、あまり専門的なことでかけ離. 要). れていると、学校はシャッターを下ろしてしまう。 ・校内に、コーディネートできる人がいたらいいが. ・校内研修、事例検討 ・SSWrが自分の職種について分かりやすく説明 ・管理職と動きについてよく相談する. △離婚から派生する問題 △特別支援 ムケースを絞る △福祉課と一緒に動く. SSWrの中には持っている人もいる。最初はそう. へ ・家庭的な問題の話を聴く. O不登校(家庭環境が影響) △民事裁判、刑事裁判などの弁護士、法律が絡. んでくるレベル ・特別支援(*情報提供や親との仲介). →専門職であることが説得力になる ・子育て支援学習会. ③ ・保護者と子どもの仲介役 働子 ・状況の整理・情報提供(⇒不安の軽減) きど ・職業としてSSWという仕事があることを伝える. O貧困問題 o児童虐待. そうでなければ、結局SSWrをどう使っていいかわ ・若手、経験の無い先生のサポート ・教員の勘の後押し(=安心感) からず置物になってしまう。そのためにも早い段 階で研修してもらうと良い。 ・校内で発信の後押し ・新人SSWrならベテランとセットで動く。 ・教師、SSWrそれぞれの専門性を活かした連携 ・引き継ぐ時も前任者としばらくセットで動く。. ・SSWの研修(事例・仕組み). △職業としてSSWという仕事があることを伝える. (但し、それを築けるシステムの仕組みも必要). △教員のサポート →校内で発信の後押し →若手、経験の無い先生のサポート. △引継ぎ等の工夫.

(22) これはSSWrとの協働によって、学校がSSWやその重要性に対する理解を深めた ことを示していると考えられる。0府からは『卒業後の支援』に関する内容が述べ られたが、これも、かつてSSWrと協働したその教師の体験が根底にあるようであ った。“あまり専門的なことでかけ離れていると学校はシャッターを下ろしてしま. う”という0府の教師の発言からも分かるように、SSWrに対しては、 SSWrなら ではの専門性と同時に「学校と共有できること」が求められていると言えよう。こ. のことは、SSWrが学校を基盤にして活動するにあたって十分に理解しておかなけ ればならない基本的な部分であると考える。SSWrとしての専門性は必要であるが、 それを一方的に学校へ持ち込むのでは“シャッターを下ろされてしまう”ことにな るだろう。学校と福祉の連携とは、異なる言語を共通言語に変え、お互いの専門性. を相互に理解し合いながらそれぞれの専門性を子どもの支援に活かし合うことで ある。そのためには、SSWrが「学校」を理解して、学校側のニーズに沿って動く ことも必要であろう。. 2.市町村福祉に関すること  市町村福祉課に対する質問に対しても、3つの地域それぞれの実情が反映された. 回答が得られた。数年前に市町村合併が行われたH県西部地域では、それに伴う 市の福祉課に対する心理的距離感が吐露された。一方、政令指定都市のK市では市 が独自で設置している児童相談所への信頼度が高く、区の福祉課に対しては“学校 の味方ではないが、お互いに協力するところ”と表現された。ただ、両地域とも福 祉課との連携における成功体験は乏しいようであり、学校が抱えるケースの連携先. として信頼するまでは至っていないようであった。また、0府においても、“関わ るポジションにいる教師でないと児童福祉に関する課が何をする場か分からない” ということが指摘された。一方で、親・当事者支援の中心機関としての関わりや福 祉課の専門性の担保等の要望を述べた協力者もおり、同じ府内でも福祉課との連携. が密な地域とそうではない地域があることが窺えた。このような結果は、SSWrが 学校と市町村福祉の相互の機能や役割を有効に生かすために、今以上に動く必要が あることを示していると考えられる。.  また、「市町村福祉との連携で分からないこと」としては、“何を、どこに、どの. レベルで相談するべきか戸惑いがある”ということが3つの地域での共通点であっ た。これは、『相手(福祉課)が見えないこと』が不安をもたらしていると考えら れる。「何を」「どこに」という部分は、窓口になる担当教師は知っていても他の教. 師にまでは情報が入っていないことも考えられる。このことに関しては、関係機関. に情報を学校へ広報してもらうと同時に、SSWrが積極的に学校と福祉課の橋渡し をする必要もあるだろう。さらに、「どのレベルで」ということの背景には、“福祉 20.

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