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スギにおけるフラクトメータで測定したコアサンプルの圧縮強さと実大短柱材の圧縮性能との関係

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Academic year: 2021

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(1)

スギにおけるフラクトメータで測定したコアサンプルの圧縮強さと

実大短柱材の圧縮性能との関係

Relationship between compressive strength of core samples measured

by Fractometer and compressive properties of full size short columns in

sugi (Cryptomeria japonica D. Don)

石栗 太1,松本かほる1,桑野将志1,大野英克1,2,3, 亀山雄搾3,飯塚和也1,横田信三1,吉澤伸夫1 Futoshi ISHIGURI1 , Kahoru MATSUMOTO1 , Masashi KUWANO1 , Hidekatsu OHNO1,2,3,

Yusaku KAMEYAMA3, Kazuya IIZUKA1, Shinso YOKOTA1, Nobuo YOSHIZAWA1

1

宇都宮大学農学部 1

Faculty of Agriculture, Utsunomiya University, Utsunomiya 321-8505, Japan 2

東京農工大学大学院連合農学研究科 2

United Graduate School of Agricultural Science, Tokyo University of Agriculture and Technology 3

栃木県林業センター 3

Tochigi Prefectural Forestry Research Center

要 旨  供試木にスギ丸太を使用し、フラクトメータで測定した成長錐コアサンプルの圧縮強さ(σc) と実大短柱材の圧縮性能との関係について調査した。σcの平均値は、JIS 無欠点試験片の圧縮 強さ(σs)及び実大短柱材の圧縮強さ(σf)の平均値より、4 割以上低い値を示した。これは、 各試験片における試験時の含水率が影響したためと考えられる。容積密度とσc、σs、σf及び 実大短柱材の圧縮ヤング率(E)との間に、それぞれ有意な高い正の相関関係が認められた。また、 σcとσf及び E との間に有意な正の相関関係が認められ、σcによって、立木の状態でσf及び Eを推定できる可能性が示唆された。 キーワード:フラクトメータ、スギ(Cryptomeria japonica)、圧縮強さ Summary

Relationship between compressive strength of core samples measured by Fractometer (σc) and compressive properties of full size short columns was investigated for sugi (Cryptomeria japonica D. Don) logs. Mean values of σc which was measured under green condition were more than 40% lower than those of compressive strength of JIS small clear specimen (σs) and compressive strength of full size short column (σf) which were measured under air-dried condition. These differences in compressive strength among the testing methods might be caused by the moisture content of specimen at testing. There were signifi cant, high, and positive correlations between basic density, and σc, σs, σf, and Young’s modulus of full size short columns (E). According to signifi cant positive correlation between σc

and σf or E, the prediction that σf and E could be evaluated by σc was found. Keywords: Fractometer, sugi (Cryptomeria japonica), compressive strength

(2)

1.はじめに  立木の材質を調査する方法については、これまでに 多く報告されており、立木の非破壊検査が検討されて いる。代表的な手法としては、応力波伝播速度やピロ ディンによる打込み深さを測定する方法が挙げられる 5-7,15,16,20)。例えば、池田・有馬6)は、立木状態の応力 波伝播速度から、最終製品における曲げヤング率が推 定可能であることを明らかにしている。また、山下ら 20)は、ピロディンによる打込み深さと容積密度の間に、 高い相関が得られることを報告している。このように、 非破壊検査による、立木の材質評価に関する研究が進 められている。  フラクトメータは、成長錐を用いて樹幹から得られ る直径 5mm のコアサンプル用強度試験機である。こ のフラクトメータは、コアサンプルの曲げ及び圧縮強 さを測定することができ、樹木の腐朽度の判定に用い られてきた2,12)。一方、フラクトメータは持ち運びが 可能であり、立木の状態で樹木から直接採取したコ アサンプルの強度を測定できることから、立木の材質 評価への応用が試みられている3,4,10,11)。Eckstein ら4) は、ヨーロッパナラ(Quercus robur)、ヨーロッパブ ナ(Fagus sylvatica)及びボダイジュ(Tilia sp.)にお いて、DIN に準じた無欠点試験片の曲げ強さと、フ ラクトメータを用いて測定したコアサンプルの曲げ 強さの間に、いずれの樹種においても有意な正の相 関が見られたことを報告している。一方、松本ら11) は、スギ(Cryptomeria japonica)及びアカマツ(Pinus densiflora)において、JIS に準じた無欠点試験片の曲 げ強さと、コアサンプルの曲げ強さとの間に、両樹種 とも相関が見られなかったことを報告している。この ように、無欠点試験片の曲げ強さと、フラクトメータ により得られた曲げ強さとの関係について、一定の傾 向が得られていない。これは、フラクトメータを用い た曲げ試験は、片持ち梁の方式によってコアサンプル の横断面へ荷重を与え、横断面のせん断強さを測定し ているためと考えられる11)。一方、コアサンプルの 圧縮強さと無欠点試験片の縦圧縮強さの関係について は、松本ら11)が、スギ及びアカマツにおいて、コア サンプルの圧縮強さと JIS に準じた無欠点試験片の縦 圧縮強さとの間に、高い正の相関が得られることを報 告している。このように、コアサンプルの圧縮強さを 用いて、木材の縦圧縮強さの材質評価が可能であるこ とが明らかにされてきた3,10,11)。すなわち、コアサン プルを、樹木を伐倒せずに採取することが可能である ことから、コアサンプルの圧縮強さによって、立木状 態での木材の縦圧縮強さを推定と評価することが可能 であることを示唆している。  木材の強度は、樹木を伐採し、実際に破壊しなけれ ば精度よく測定することができないと考えられてい る。立木の状態で、木材の強度などの木材性質に関す る情報を得ることが可能ならば、樹木を伐倒せずに、 材質の優れた樹木を選抜することができる。これに対

して、Ishiguri ら7)は、カラマツ(Larix kaempferi)立

木において、応力波伝播速度及びピロディンの打込み 深さを測定後、2 × 4 実大材試験体を作製し、実大材 の曲げヤング率及び曲げ強さを測定している。その結 果、立木の応力波伝播速度は、曲げヤング率と相関が 得られ、一方、ピロディンの打込み深さは、曲げ強さ と相関が得られることを見出している。しかしながら、 応力波伝播速度またはピロディンの打込み深さの値の どちらか一方のみで、実大材における曲げヤング率及 び曲げ強さの両方を推定することは難しいことを報告 している。従って、これらの手法を用いた立木の材質 評価に関して、更なる検討が必要であると考えられる。 一方、前述したフラクトメータを用いた場合、フラク トメータで測定したコアサンプルの圧縮強さにより、 立木の状態で木材の縦圧縮強さの材質評価が可能であ ることが示唆されている3,10,11)。しかしながら、フラ クトメータにより測定したコアサンプルの圧縮強さと 実大材の圧縮性能との関係は明らかにされていない。  本研究では、スギ丸太 15 本を用いて、フラクトメ ータで測定したコアサンプルの圧縮強さと実大短柱材 の圧縮性能との関係について調査し、フラクトメータ により測定したコアサンプルの圧縮強さに基づく、実 大材の縦圧縮強さ及び縦圧縮ヤング率を推定し評価す る方法を検討した。 2.材料と方法 2.1 供試木  供試木には、栃木県産の直径約 21㎝、長さ約 3 m のスギ丸太を 15 本使用した。各丸太は、35㎝及び 255㎝の長さに玉切りした(Fig. 1)。また、基礎的木 材性質を測定するために、厚さ 5㎝の円盤 2 枚を採取 した。長さ 35㎝の丸太を、髄を中心として軸方向に 2 分割し、片方からコアサンプルを樹皮側から髄方向に 向かって採取し、他方から無欠点試験片を作製した。 また、長さ 2.55 mの丸太から心持ち正角材を作製し、 実験に供した(Fig. 1)。 2.2 供試木の基礎的木材性質  採取した厚さ 5㎝の円盤を用いて、基礎的木材性質 として年輪幅及び容積密度の半径方向変動について調 査した。  年輪幅は、0.01mm 精度のデジタルノギス(CD-15CP ミツトヨ)を用いて、4 方向について 1 年輪ごとに測 定した。

Fig. 1. Illustration of sample preparation.

(3)

 容積密度(BD)は、円盤から、髄を中心とした角 度約 30 度の扇形の試験体を切り出し、髄から 3 年輪 毎に試験片を作製した。試験片の生材容積を浮力法に より測定後、全乾重量を測定し、全乾重量を生材容積 で除することで容積密度を求めた。 2.3 フラクトメータによる圧縮試験  軸方向に 2 分割した長さ 35㎝の丸太の一方から、 内径 5mm の成長錐(Haglöf 製)を用いて、欠点を含 んでいない場所から生材状態のコアサンプルを各丸太 から 5 本ずつ採取した。得られたコアサンプルは、髄 から順に長さ 5mm で切断し、圧縮強さ測定用の試料 とした。切断した生材状態のコアサンプルを、フラク トメータⅡ (IML-Instrumenta Mechanik Labor) の圧縮試 験部位に設置し、コアサンプルの繊維方向に対して平 行に両側からゆっくりと荷重をかけた。その後、破壊 時の圧縮強さを中央のメータから読み取った。コアサ ンプルの圧縮強さ(σc)は、丸太毎に平均値を算出 した。 2.4 JIS 無欠点試験片を用いた縦圧縮試験  軸方向に 2 分割した長さ 35㎝の丸太の一方から、 無欠点試験片(20(R)× 20(T)× 60(L)mm)を 作製し、気乾状態にした後、JIS Z 2101-1994 に準じて 縦圧縮試験を行った。縦圧縮試験は、万能材料試験機 (DCS-5000 島津製作所)を用い、荷重速度 0.5 mm/ minで行った。JIS 無欠点試験片の縦圧縮強さ(σs)は、 最大荷重を試験片の断面積で除することで求めた。 2.5 実大短柱の圧縮試験  長さ 2.55 m の丸太から、心持ち正角材を作製した。 製材後、屋外で 45 日間天然乾燥を行い、さらに 10 日間、 人工乾燥した。乾燥後、4 材面をモルダー加工し、断 面を 105 × 105 mm とした後、材長 450 mm の短柱縦 圧縮試験体を作製した。圧縮試験は、複合型実大強度 試験機(IPA-100R-F 前川試験機製作所)を用い、標 点距離 300 mm、荷重速度 3 mm/min で行った。また、 全体の圧縮変位量を変位計(SDP-200D 東京測器研究 所)で測定し、歪み量を算出した。縦圧縮強さ(σf) 及び縦圧縮ヤング率(E)は、次式により算出した。 σf(MPa)= P / A E(MPa)= ⊿ PL / ⊿ YA   こ こ で、P は 最 大 荷 重(N)、A は 断 面 積(mm2)、 ⊿ P は比例域における上限荷重と下限荷重の差(N)、 Lは標点距離(mm)、⊿ Y は⊿ P に対するスパン中央 のたわみ(mm)を示す。また、算出したσf 及び E は、 ASTM D-2915 1)に準じて、含水率 15%の場合の値に 補正した。 3.結果と考察 3.1 供試木の基礎的木材性質  Fig. 2 に、スギ丸太 15 本の年輪幅の半径方向変動 を示す。一般に、スギ材における年輪幅は髄付近で最 も大きく、その後急激に減少し、安定することが知ら れている8,18)。本研究において、年輪幅は、髄から 3 年輪目まで増加した後、12 年輪目付近まで急激に減 少し、それ以降安定する傾向を示した。この傾向は、 一般に知られているスギ材における半径方向変動と同 様の傾向であった。なお、15 個体の年輪幅の平均値 は 2.2mm であった(Table 1)。  BD は、髄から樹皮側まで、0.33 ∼ 0.35 g/cm3の範 囲でほぼ一定の値を示した(Fig. 3)。また、15 個体 の BD の平均値は 0.34g/cm3であった(Table 1)。一般 に、スギ材における BD は、髄側で高く、樹皮側に向 かうに従って減少し、10 ∼ 15 年輪目付近から安定す ることが知られている13,14)。本研究で得られた結果は、 一般に知られているスギ材における半径方向変動とや や異なる傾向を示した。 3.2 各指標の平均値  Table 1 に、 各 指 標( σc、 σs、 σf及 び E) の 平 均値を示す。σs及びσfの平均値は、それぞれ 36.9 MPa 及び 36.0 MPa であり、ほぼ同じ値を示した。一 方、σcの平均値は 21.0 MPa であり、σs及びσfの 平均値より、4 割以上低い値を示した。一般に、圧縮 強さは、繊維飽和点以上の生材状態では、ほぼ一定の Fig. 2. Radial variation of mean value of annual ring width in 15

sample logs.

Note: Bars indicate standard deviations.

Property Minimum Mean Maximum SD

ARW (mm) 1.9 2.2 2.6 0.2 BD (g/cm3) 0.28 0.34 0.40 0.03 Vc(MPa) 19.1 21.0 24.6 1.8 Vs (MPa) 31.3 36.9 47.1 3.9 Vf(MPa) 23.1 36.0 53.7 7.5 E (GPa) 6.72 7.99 13.21 1.64 Table 1 Descriptive statistics of wood properties and compressive properties.

Note: SD, standard deviation; ARW , annual ring width; BD , basic density; Vc, compressive strength of core samples measured by Fractometer; Vs, compressive strength of small clear specimen according to JIS; Vf, compressive strength of full size short column;

E , Young's modulus of full size short column. Number of sample = 15.

TheVc and Vs were determined under green condition and air-dried condition respectively. Values of Vf were adjusted values at 15% moisture conent according to ASTM method1).

(4)

値を示し、繊維飽和点以下の場合、含水率が低いほど 高い値を示すことが知られている19)。本研究において、 σs及びσfは、気乾状態で測定したのに対し、σcは、 生材状態で測定した。そのため、σcに比べて、σs 及びσfは高い値を示したと考えられる。一方、E の 平均値は、7.99 GPa であった。 3.3 各指標間の相関関係  一般に、材の密度と圧縮強さの間には、高い正の相 関関係が認められることが知られている19)。Table 2 に、BD とσc、σs、σf及び E 間の相関係数を示す。 BDとσc、σs、σf及び E の間に、それぞれ有意な高 い正の相関関係が認められた。松本ら11)は、スギ及 びアカマツにおいて、BD とσcの間に高い正の相関 が得られることを報告している。また、小田ら17)は、 スギにおいて、成長と木材性質の関係について調査し、 気乾密度とσsの間に高い正の相関が得られることを 報告している。さらに、石井ら9)は、スギにおいて、 実大短柱の圧縮性能について調査し、気乾密度とσ f の間に高い正の相関が得られることを報告している。 本研究の結果は、これらの結果と一致していた。  Table 2 に、各指標(σc、σs、σf及び E)間相互 の相関係数を示す。いずれの指標間においても、有意 な正の相関関係が認められた。松本ら11)は、スギ及 びアカマツを用いて、σcとσsの関係について調査 した。その結果、いずれの樹種においても、両者の間 に高い正の相関関係が認められ、σcを用いて、木材 の縦圧縮強さの材質評価が可能であることを報告して いる。本研究においても、σcとσsの間に正の相関 関係が認められ、松本ら11)と同様の結果が得られた。 さらに、σcとσf及び E の間にも有意な正の相関関 係が認められた。これらのことから、σcによって、 σf及び E を推定できる可能性が示唆された。また、 コアサンプルは、樹木を伐倒せずに採取することが可 能であり、このことから、σcによって、立木の状態 でσf及び E を推定できる可能性が示唆された。 4 まとめ  本研究では、スギ丸太 15 本において、フラクトメ ータで測定したコアサンプルの圧縮強さσcと JIS 無 欠点試験片の縦圧縮強さσs、実大短柱材の圧縮性能 (σf及び E)との関係について調査した。得られた結 果は、以下の通りである。 1) σcの平均値は、σs及びσfの平均値より、4 割 以上低い値を示した。これは、各試験片における、 試験時の含水率が影響したためと考えられる。 2) BD とσc、σs、σf及び E の間に、それぞれ有 意な高い正の相関関係が認められた。 3) σc、σs、σf及び E と対応する指標間に、それ ぞれ有意な高い正の相関関係が認められた。  これらのことから、フラクトメータにより測定した コアサンプルの圧縮強さと実大材の圧縮強さ及び圧縮 ヤング率との間には有意な相関関係が認められ、フラ クトメータを用いることにより、実大材の圧縮性能を 立木の状態で評価できる可能性が示唆された。 引用文献

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sample logs.

(5)

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Fig. 1. Illustration of sample preparation.

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