小学部第○学年
自立活動学習指導案
1 単元名 「僕、上手に話せるよ」 2 指導観 ○ C児は、知的障害に聴覚障害(難聴)を併せ有し、右耳に補聴器を装用している。 C児は、コミュニケーション意欲は旺盛であるが、言葉では伝わらないと思っているのか身振り を使うことが多い。しかし、担任など特定の相手に対しては、言葉を使う機会が増えており、単語 の一部を言ったり早口で話したりするので、発音が不明瞭であるが、根気強く伝えている。 構音に関する実態は、唇や舌の動きが小さく、[ら行][か行][が行]の構音の置換がみられ る。聞き取りは、単語は音節数が曖昧で聞き取りの誤りが多いが、単音は口元を見るとほぼ正しく 聞き取ることができる。 コミュニケーションの態度面では、相手からの話し掛けに曖昧な返答をする、思い浮かんだこと を次々に話すので、何の話題で話しているのか 分からなくなるなど、やりとりに課題がある。ま た、見通しをもって行動することが難しかったり、ゲームで負けそうになるとルールを破ったりす るなど、社会的なルールの理解を図る必要があるが、絵や写真を手掛かりにしたり、話したことを 書いたりするなど、視覚的な支援を行うと理解しやすい。 ○ 本単元は、体験したことや好きなゲームを取り入れながらの構音指導を通して、発音の明瞭化を 図ることをねらったものである。これまで、C児は、国語や生活単元学習で、話したことを文章に したり、文字を読みながら話したりする学習を行っており、相手や場面によっては言葉が伝わりや すいことに気付きつつある。そこで、この時期に、抽出によるマンツーマンでの構音指導を行うこ とで、C児の話す力を高めることができるのではないかと考える。 話す力を高めるためには、聞き取りの力の高まり、構音の改善、社会的なルールの理解を図りな がら、言葉で伝えた方が伝わりやすい経験を積ませることが必要であると考える。 具体的な活動として、体験した内容を教材にした学習と、好きなゲームを取り入れた学習を設定 し、C児が苦手と感じている聞き取りや構音の学習を自然に組み込んでいく。2∼4音節の単語の 聞き取りや音節数の理解を図る学習を行った後、構音が置換している[る][ぐ]の単音・単語の 聞き分けや構音練習を行い、[ら行]のある単語の構音練習 へと広げていく。これらの学習によ り、発音の明瞭化や音節数を意識したゆっくりした話し方ができるようになると伝わりやすくな り、言葉で話す機会が増えていくのではないかと考える。 ○ 指導に当たっては、意欲を高めるために、体験したことを教材にしたり、ゲームを使った学習を しながら、構音練習を行っていく。また、コミュニケーションブックや50音表、単語カードや4 こま漫画、ゲームのルール表など、視覚的な教材を工夫することで、学習内容を分かりやすくし、 読む力や書く力を使いながら、聞き取る力や話す力を高めていきたい。 また、社会的なルールの理解を図るために、学習の流れや時間を意識させ、見通しをもって行動 できるようにしたい。そのために、1単位時間の授業の構成の基本パターンを作り、予定表での学 習内容の確認、時計を使っての時間の確認をさせる。さらに、自由課題の場面を設定し、時間内に 好きな教材を選ばせ、ルールを守りながら主体的に学習に取り組めるようにしていきたい。 教師の働き掛けの工夫としては、最初は、不明瞭な発音に対しては、自然に言い直して正しい発 音を聞かせるなど、C児の話す意欲が高まるような働き掛けを工夫し、言葉への苦手意識をなくし ていきたい。話すことへの意欲が高まったら、C児の誤った発音を、そのまま真似て返したり書い て見せたりして誤りに気付かせ、自分で正しい発音を意識してできるようにしていきたい。3 目標 (1)絵や写真や文字を手掛かりにすると、正しく聞き取ったり話したりすることができる。 (2)音節数を意識してゆっくり話すことで、発音が明瞭になる。 (3)学習の流れや時間を意識し、見通しをもって行動することができる。 4 単元指導計画(計74時間) 5 本時 (1)本時の目標 ・[ら行]を含む単語(3∼4音節)を続けて上手に構音できる。 ・ゲームのルールを守ることができる。 ・ゲームに負けたときに、泣かないで次に頑張ることができる。 (2)本時指導の考え方 C児は、11月より、中学部の「○ろ○君」と遊ぶのを楽しみにするようになり、「○ろ○ 君」と遊んだことを他の先生に伝えているが、[ろ]を構音できないために伝わらないで困って いる場面をよく見かけた。C児は、これまでの学習により、[ら行]の単音は舌を上の歯の裏に 当てて構音できるようになり、発音が聞き取りやすくなってきているが、まだ「○ろ○」など単 語になると、[らりるれろ]を[ダジグデド]と構音し、聞き取りにくい状態である。 そこで、[ら行]のある友達の名前を使ったビンゴゲームを学習に取り入れた。裏返した友達 の写真カードをめくって出てきた名前が、縦か横に4個並んだ方が勝つようにし、ゲームを始め る前やゲーム中に名前を読ませることで、単語を続けて上手に構音できるように考えた。C児は ゲームが好きなので、意欲的に構音練習を繰り返しているが、ゲームに負けそうになると不安定 になり、構音練習に集中できなかったりルールを守れなくて泣き出したりすることがあった。 そこで、本時では、ビンゴゲームを通して、楽しく構音練習をするとともに、ルールを守る、負 けても泣かないで次に頑張るという目標を加える。目標を達成させるために、「げーむのるー る」を作成し、ゲームを始める前にルールを確認し、ルールが守れたらシールをはるようにす る。また、ゲームを2回繰り返し、1回目はC児に勝たせ、2回目にC児が負けることを経験さ せることで、ゲームには勝ち負けがあり、負けても次に頑張ることが大切であることに気付かせ たい。 月 4 5 6 7 配時 8 8 11 7 内容 ・ルーレットゲーム ・音節数のあてっこ ・無意音節の聞き取り (2∼3音節→4音節の聞き取り) ・[か]の異同弁別の ・文字チップ並べ(2∼4音節) 聞き取りゲーム ・社会見学の作文 ・4こま漫画を見ながら ・交流学習 の作文 ・学校や家でのこと 話そう 月 9 10 11 12 配時 11 10 10 9(本時5/9) 内容 ・[る][ぐ]のある単語の聞き分けゲーム ・音探しゲーム ・ビンゴゲーム (2∼3音節→4音節) ([ら行][か行] (友達の名前探し) ・[る][ぐ]の単音の構音練習 [が行]の単音) ・乗り物や動物、楽器の名前や音の聞き取り ・ビンゴゲーム ・[ら行]のある単語 ゲーム ([ら行]の単音の の構音練習 構音練習)
(3)学習指導過程 配時 学習活動・内容 支援の工夫 教材・教具 5分 1 始めのあいさつをする。 ・始めのあいさつカードを読ませる。 あいさつカ ード 2 自由課題を決める。 ・タイマーを1分間にセットし、好きな教材を選ばせる。 自由課題 タイマー 3 学習の終わりの時間を確か ・学習の予定表を読ませた後、時計を終わりの時刻にセット 予定表 め、時計をセットする。 させる。 時計 ・予定表を読ませるときは、正しい構音に気付くように、C 児の不明瞭な言葉を正しく言い直して聞かせる。 4 名前探しのゲームをする。 ・視覚的に分かるように 「げーむのるーる」を見せて確認 「げーむの 30 分 、 ( )「げーむのる ーる」を読み1 させる。ルールの一部を空白にしておき、自分で書かせて確 るーる」 ながら、空欄に約束を書き込 認させる 分からないときは 50音表を見ながら書かせる。 、 。 50音表 む。 ・ルールが守れたら シールをはることを確認し 黒板に げ、 、 「 シール ( )ビンゴゲーム表に自分の名2 ーむのるーる」をはる。 ビンゴゲー 前を書く。 ・見通しがもてるように、ゲームを2回することを伝える。 ム表 ( )写真カードを見て、友達の3 ・正しい構音に気付くように、まずC児の誤った構音をその 友達の写真 名前を一つずつ読んで、正し まま真似て間違いに気付かせる。次に、教師が正しい舌の動 カード い構音を確認する。 きで発音して見せ、舌の位置に注目させる。 ( )じゃんけんをする。4 ( )ビンゴゲームをする。5 ・[ら行]のある名前や、C児と親しい友達の名前を書いた ゲーム表を準備する。 、 。 ①裏返した写真カードの中 ・負けそうになっても 1枚しかめくらなかったら賞賛する から1枚を選んでめくる。 ・負けそうになってルールを破りそうなときは 「げーむの、 ②ビンゴゲーム 表の友達の るーる」を見せて約束を確認し、落ち着かせる。 名前に○を付ける。○が4 個並んだら勝つようにする。 ・めくった写真カードの名前を読ませて構音練習につなげる が、ゲーム中の構音指導は最小限にする。 。 *①と②を交互に繰り返す ③4個の○が早く並んだ方 ・1回目はC児に勝たせて、教師が我慢する様子を見せて、 シール が勝ちになる。 「げーむのるーる」にシールをはってみせる。2回目は、教 師が勝って、C児が負ける体験をさせる。 ・負けても泣かなかったら賞賛し、シールを選ばせる。 5分 5 終わりのあいさつをする。 ・終わりのあいさつカードを読ませる。 あいさつカ ード 6 自由課題をする。 ・最初に選んだ自由課題をさせる。 自由課題 ・自分で気付いて教室に帰れるように、時計のベルを鳴らし て、学習時間の終了を知らせる。
○参考資料 予定表 (4)評価表 評価項目 評価基準 評価 備考 [ら]の構音 単音 単語 [り]の構音 単音 単語 [る]の構音 単音 単語 [れ]の構音 単音 単語 [ろ]の構音 単音 単語 ルールを守る 写真カードを1枚ずつ取る ○を付ける所がなかったら、 もう1枚取る 負けたときに泣かない できる 少しできる 難しい ◎ ○ △ 「げーむの るーる」 ( ) 。 きょうは の げーむを します ぼくは げーむが だいすきです。 げーむでは かつことも まけることも あります。 ぼくは まけそうに なっても とちゅう で やめません 。 ( )といって つぎに がんばります。 だいじょうぶ。 ぼくは おにいちゃんだ もの。 がつ にち なまえ ( ) まもれたら しーるを はろう