水平対流の形成過程
東京学芸大学
森厚
(Atsushi Mori)
東京大学海洋研究所
新野宏
(Hiroshi Niino)
要旨
ヒートアイランドや海陸風循環などのような, 安定な密度成層流体中で底面の熱
的コントラストによって生じる水平対流の形成過程について理論的に考察した
.
底面の半無限領域が加熱
(
冷却
) されるとき,
水平対流の水平鉛直スケールは時
間と共に絶えず増大し定常状態は実現しない
. このとき,
密度成層の強さと時間
との兼ね合いによって, 拡散重力流内部重力波が対流の水平方向の広がりを
それぞれ支配する
3
つの異なったレジームが起きうることがわかった
.
各レジー
ムにはそれぞれ相似解が存在する
. これらの相似解の有効性は,
非線形の支配方
程式に基づく数値シミュレーションにより確認された
.
過去の研究で得られていた有限領域が加熱
(冷却)
された場合の定常な循環のス
ケールや定常に達するまでの所用時間は, 本研究の結果によって,
明確な物理的
解釈が可能となった
.
1
はじめに
地球表面の差分加熱による対流は地球流体力学の主要な問題の
–
つである
.
ヒートアイラ
ンド
(
またはクールアイランド
)
循環や海陸風循環はその代表的な例である
.
ヒートアイランド循環については
,1950
年代に海洋上の島が大気の運動に及ぼす影響が
検討されたのを始めとし, 様々な研究がなされている
.1960
年代に入り
,
より精細な理論や
実験が行われるようになった
.
例えば
$\mathrm{H}.\mathrm{T}$.
Rossby(1965)
は
,
プラントル数
$Pr$
が十分大き
く,
成層が無い場合について検討した
.
その結果
,
底面の差分加熱の特徴的な水平スケール
$L$
に対して,
運動の及ぶ範囲の鉛直スケール\mbox{\boldmath $\delta$}
は十分小さく,
アスペクト比
$(\delta/L)$
は,L
と
底面の温度差の代表値で定義されるレイリー数
$Ra$
の
$-1/5$
乗に比例することを
,
実験及び
理論的な考察で示した
. より大気の状況に似た設定として
,Kimura(1975)
は成層のある状況
を調べ
,
そのアスペクト比が, 底面の差分加熱の水平スケール
$L$
と成層のパラメタ
(鉛直
温度勾配
)
を用いて定義したレイリー数
$Ra$
の
-1/6
乗に比例することを示した
. このとき,
底面に課される温度差がある程度小さい場合を考えているので問題は温度差に対して線形
になっている
.
しかし,
いずれの研究も主として定常状態を扱っており,
その形成過程は議
論していない
.
方
,
ヒートアイランド循環に似ていながら
,
地球表面の差分加熱が周期的である流れの
例として海陸風があるが
,
これについては
Niino(1987)
が詳しく議論している
.
海陸風循環を含めて従来調べられてきた問題は,
外部パラメタとして特徴的な長さないし
は時間のスケールが含まれている問題設定がほとんどである
. 例えば, 海陸風循環の場合,
差分加熱の周期
(
周期は
–
日)
が制約となり
Niino(1987)
の示した特徴的な水平スケール
が現れてくる
.
-
方
, 定常状態を仮定したヒートアイランド循環の問題では
,
ヒートアイラ
ンドの差分加熱領域の大きさを有限に設定している.
本研究では
, 水平対流の形成過程の力学を明らかにするため,
底面の半無限領域を加熱
(冷
却)
したときの水平対流の時間発展を調べることにする
.
特徴的な時間空間スケールが無
いため,
水平対流の水平・鉛直スケールは時間と共に際限無く増加し,
定常状態は実現しな
い
.
しかしながら
,
成層の強さと加熱
(
冷却
)
開始からの経過時間に応じて
3
つのレジーム
が実現し
,
それぞれのレジームでは異なった力学バランスをもつ相似解が実現することわ
かった
.
以下では, より詳細な問題設定
(2
章
),
無次元化
(3 章),
および
,3
つの相似解を与える方程
式の導出
(4),
数値計算による検証
(5
章
)
を行い
, 最終章で議論を行う.
2
問題設定
上述のような方針に従い
, 次のような単純な問題設定を採用した. すなわち,2 次元の非回
転ブシネスク流体で
,
基本場に線形の温度成層があるとする
1.
底面の境界条件は粘着条件
で,
紙面向かって右側
$(y_{*}>0)$
は断熱とする
. 初期には流体は静止しているが, ある時刻
$t_{*}=0$
に左側
$(y_{*}<0)$
の温度が
$\triangle T$だけ下げられ
,
以降一定に保たれるとする
.
図 1:
問題設定の図
支配方程式は次のように書ける
;
$\frac{\partial\zeta_{*}}{\partial t_{*}}=-\frac{\partial(_{*}}{\partial y_{*}}\frac{\partial\psi_{*}}{\partial z_{*}}+\frac{\partial(_{*}}{\partial z_{*}}\frac{\partial\psi_{*}}{\partial y_{*}}+\alpha g^{\frac{\partial T}{\partial y_{*}}}*+I\text{ノ}\nabla^{2}\zeta_{*}*$
’
(1)
$\frac{\partial T}{\partial t_{*}}*$
$=$
$- \frac{\partial T}{\partial y_{*}}*\frac{\partial\psi_{*}}{\partial z_{*}}+\frac{\partial T}{\partial z_{*}}*\frac{\partial\psi_{*}}{\partial y_{*}}+\tau\frac{\partial\psi_{*}}{\partial y_{*}}+\kappa\nabla_{*}^{2}\tau_{*}$.
(2)
1
基本場の温度構造は外部的な強制によって維持され続けるとする
.
大気の場合は温度を温位とみなせば,
ここで
$\zeta_{*},$$\psi_{*},$ $\alpha,$$g,$
$\mathcal{U},$$\Gamma,$$\kappa$は, それぞれ
, 渦度, 流線関数, 体膨張率, 重力加速度
,
動粘度
,
成層
のパラメタ
(
基本場の鉛直温度傾度
),
熱拡散係数である
$T$
は基本場の温度
$(T_{B})$
からのず
れを表す
.
また
,
渦度は流体力学の習慣によって
,
$\zeta_{*}\equiv-\mathrm{v}_{*}^{2}\psi_{*}$
と定義する. なお
,
添字
$”*$
”
を
用いて次元量であることを現すことにする
.
底面での運動学的な境界条件と力学的な境界条件は次のようになる
.
$\psi_{*}$$=$
$0$
(3)
$\frac{\partial\psi_{*}}{\partial z_{*}}$$=$
$0$
(4)
3
無次元化
与えられた外部パラメタから作れる独立な無次元量は二つである
.
ここでは,
次のようなスケーリングを採用することにした
.
これらのスケ
$-$
リングの意味
は後程明らかになる.
$t_{*}$
:
$( \frac{\sqrt{\kappa}}{\alpha g\triangle T})^{\frac{2}{3}}$$(y_{*}, z_{*})$
:
$( \frac{\kappa^{2}}{\alpha g\triangle T})^{\frac{1}{3}}$$\zeta_{*}$
:
$( \frac{\sqrt{\kappa}}{\alpha g\triangle T})^{-\frac{2}{3}}$$\psi_{*}$
:
$\kappa$(5)
このとき,
無次元方程式は次のようになる
;
$\frac{\partial\zeta}{\partial t}$
$=$
$- \frac{\partial\zeta}{\partial y}\frac{\partial\psi}{\partial z}+\frac{\partial\zeta}{\partial z}\frac{\partial\psi}{\partial y}+\frac{\partial T}{\partial y}+Pr\nabla^{2}\zeta$,
(6)
$\frac{\partial T}{\partial t}$
$=$
$- \frac{\partial T}{\partial y}\frac{\partial\psi}{\partial z}+\frac{\partial T}{\partial z}\frac{\partial\psi}{\partial y}+\Gamma’\frac{\partial\psi}{\partial y}+\nabla^{2}T$.
(7)
方程式に現われる二つの無次元量は,
プラントル数
$Pr$
と無次元成層パラメタ
$\Gamma’$であり,
$Pr$
$=$
$-I^{\text{ノ}}$(8)
$\kappa$’
$\Gamma’$$=$
$\Gamma\frac{(\frac{\kappa^{2}}{\alpha g\triangle T})^{\frac{1}{3}}}{\triangle T}$
$=$
$\alpha g\Gamma(\frac{\sqrt{\kappa}}{\alpha g\triangle T})^{\frac{4}{3}}$(9)
と定義される
.
また底面での無次元の境界条件は
$\psi$$=$
$0$
(10)
$\frac{\partial\psi}{\partial z}$$=$
$0$
(11)
となる
.
相似解を求める前に
,
まずこれらの基礎方程式を簡単化する
.
相似解に対応して
3
通りの
簡単化を行うこととする
.
3.1
初期の段階
:
拡散レジーム
ごく初期の段階では
,
流れの振幅は小さく
,
移流の効果は重要ではない
. また
,
同様の理由
で温度の式の
\Gamma /
が現われている項も無視できる
.
すると
,
基礎方程式は次のように簡単化さ
れ, 現れる無次元量は
$Pr$
のみとなる
.
$\frac{\partial(}{\partial t}$$=$
$\frac{\partial T}{\partial y}+Pr\nabla^{2}$(
(12)
$\frac{\partial T}{\partial t}$
$=$
$\nabla^{2}T$
(13)
この方程式から明らかなように
, 初期の段階では温度場は熱伝導のみで決定されている.
す
なわち, 特徴的な長さは無次元の熱伝導距離
$\sqrt{t}$である
.
また
,
渦度方程式も右辺第
–
項をい
わば外部強制とする拡散方程式の形になっている
.
どちらの式も拡散の過程が重要であるこ
とを示しているので, 流れ場温度場がこれらの方程式で近似的によく記述されるレジーム
を
,
「拡散レジーム
(diffusion regime )
」 と呼ぶことにする.
さて
, このレジームでの各物理量の大きさの時間依存性を検討してみよう, 渦度方程式
(12)
の傾圧項の大きさは
,T
の大きさが 1 程度
$(T_{*}\sim\triangle T)$
であることから
,
渦度の大きさ
は
$1/\sqrt{t}$
程度と見積もられる.
これが釜あるいは
$Pr\nabla^{2}\zeta$
と同程度でなければならない.
後
者の大きさも
,\mbox{\boldmath $\zeta$}/t
程度と見積もられることから, どちらの場合でも
,\mbox{\boldmath $\zeta$}
の大きさは諺程度
と見積もられる
. したがって,
$\psi$の大きさは t3/2
程度である
.
ちなみに,(13)
では省略された項
\Gamma /
残の大きさは
\Gamma /t
と見積もられる
.
これに対して
$\nabla^{2}T\sim$
$1$
程度であるので
,t
が十分小さい場合には
\Gamma /
需を省略することは妥当である
.
3.2
発達段階の基礎方程式
上で示したことから、拡散レジームでは流速は
$t$
に比例して発達する
. したがって,
時間
と共に拡散レジームの成り立つ仮定が破綻し
,
非線形効果あるいは成層の効果が重要である
ような
,
別の発達段階へ移行することが予想される
.
この移行は
,
成層が弱い場合と強い場
合で分類される
.
3.2.1
成層が弱い場合
:
重力流レジーム
成層が弱い場合には成層に関係した項は無視できる.
ここでも無次元パラメタは
$Pr$
の
みであることは注目に値する.
$\frac{\partial\zeta}{\partial t}$$\frac{\partial T}{\partial t}$
$=$
$- \frac{\partial T}{\partial y}\frac{\partial\psi}{\partial z}+\frac{\partial T}{\partial z}\frac{\partial\psi}{\partial y}+\nabla 2T$,
(15)
この問題設定は
,
時間依存性を除けば
$\mathrm{H}.\mathrm{T}$.
Rossby のそれと似ており,
その結果からアスペ
クト比が 1 より十分動くなると仮定することは妥当である.
すると方程式は次のように更
に簡単化される
.
$\frac{\partial\zeta}{\partial t}$
$=$
$- \frac{\partial\zeta}{\partial y}\frac{\partial\psi}{\partial z}+\frac{\partial\zeta}{\partial z}\frac{\partial\psi}{\partial y}+\frac{\partial T}{\partial y}+Pr\frac{\partial^{2}\zeta}{\partial z^{2}}$(16)
$\frac{\partial T}{\partial t}$
$=$
$- \frac{\partial T}{\partial y}\frac{\partial\psi}{\partial z}+\frac{\partial T}{\partial z}\frac{\partial\psi}{\partial y}+\frac{\partial^{2}T}{\partial z^{2}}$,
(17)
ここで
$\zeta$$=$
$- \frac{\partial^{2}\psi}{\partial z^{2}}$(18)
である.
議論の章で示す通り, 水平方向の広がりを規定するのは重力流の力学である
.
その意味で
この方程式系で表現されるレジームを
「重力流レジーム」
と呼ぶことにする
.
3.2.2
成層が強い場合:
内部重力波レジーム
成層が強い場合には別の無次元化が適当となる
.
次のスケーリングを導入する
.
$t_{*}$:
$(\alpha g\Gamma_{*})^{-\frac{1}{2}}$$(y_{*}, z_{*})$
:
$\sqrt{\kappa}(\alpha g\Gamma_{*})^{-\frac{1}{4}}$$\zeta_{*}$
:
$\frac{\alpha g\triangle T}{\sqrt{\kappa}(\alpha g\Gamma_{*})^{\frac{1}{4}}}$
$\psi_{*}$
:
$\sqrt{\kappa}\alpha g\triangle T(\alpha g\Gamma_{*})^{-\frac{3}{4}}$(19)
この無次元化を採用し
,
$\Gamma’$が十分大きい
$(\Gamma’arrow\infty)$
とすると
,
支配方程式は次のように簡
単化される
.
$\frac{\partial\zeta}{\partial t}$
$=$
$\frac{\partial T}{\partial y}+Pr\nabla^{2}\zeta$(20)
$\frac{\partial T}{\partial t}$
$=$
$\frac{\partial\psi}{\partial\tau)}+\nabla^{2}T$(21)
この状況は
Kimura(1975) のそれと良く似ており,
その結果から
,
ここでもアスペクト比は
十分小さいと仮定するのは妥当である
. すると支配方程式は更に簡単化されて次のように
なる
.
$\frac{\partial\zeta}{\partial t}$$=$
$\frac{\partial T}{\partial y}+Pr\frac{\partial^{2}\zeta}{\partial z^{2}}$(22)
ここでも無次元パラメタは
$Pr$
のみである.
これも議論の章で示すが
,
この場合の水平方向の広がりを規定するのは内部重力波の力学
である.
その意味でこの方程式系で表現されるレジームを「内部重力波レジーム」
と呼ぶこ
とにする
.
4
相似解
前節で各レジームの支配方程式系を準備した
.
それぞれの方程式が
,
物理量
\eta (
具体的には
$\zeta$あるいは
$T$
)
について,
次のような相似解を持つことを仮定する
.
$\eta$
$=$
$R(t)\eta 0(Y(y, t),$
$Z(z, t),$
$Pr,$
$\tau)$
$=$
$R(t) \eta_{0}(\frac{Y}{\ell(t)},$
$\frac{z}{\delta(t)},$$Pr,$
$\Gamma \mathrm{I}\cdot$ここで,\eta 0 は時間
$t$
[
こ陽に依存しない無次元関数である
.
そこで次のような座標変換を行い,\mbox{\boldmath $\zeta$}(y,
$z,$
$t$
)
$=R(t)(0(Y, Z),$
$\tau(y,$
$z,$ $t\mathrm{I}=T_{0}(Y, z)$
として
,
$\zeta_{0}$
,
To
の満たすべき式を求める
.
ここで
$T$
の大きさは境界条件から
1
なので時間によらない
ことを仮定した
.
$(y, z, t)$
$arrow$
$(Y(y, t),$ $z(Z, t),$
$t)$
(24)
$Y$
$=$
$\frac{1}{\ell(t)}y$(25)
$Z$
$=$
$\frac{1}{\delta(t)}z$(26)
.
$t$
$=$
$t$(27)
4.1
初期段階の相似解
:
拡散レジーム
この座標変換を式
(6)
と
(7)
に適用する
. すると
,
次のようになる.
$(- \frac{\ell’}{\ell}Y\frac{\partial}{\partial Y}-\frac{\delta’}{\delta}Z\frac{\partial}{\partial Z}+\frac{\partial}{\partial t})R\zeta_{0}$
$=$
$\frac{1}{p}\frac{\partial T_{0}}{\partial Y}+Pr(\frac{1}{\ell^{2}}\frac{\partial^{2}}{\partial Y^{2}}+\frac{1}{\delta^{2}}\frac{\partial^{2}}{\partial Z^{2}})R\zeta 0$(28)
$(- \frac{\ell’}{p}\mathrm{Y}\frac{\partial}{\partial Y}-\frac{\delta’}{\delta}z\frac{\partial}{\partial Z}+\frac{\partial}{\partial t})T_{0}$
$=$
$( \frac{1}{\ell^{2}}\frac{\partial^{2}}{\partial Y^{2}}+\frac{1}{\delta^{2}}\frac{\partial^{2}}{\partial Z^{2}})$To,
(29)
ここで’ は時間微分を表している.
相似解の存在を仮定すると, 各項の時間依存性は同じでなければならないことから次のよ
うな条件を得る;
$\frac{\ell’}{p}$ $\frac{\delta’}{\delta}$
$\frac{\partial R}{\partial t}$ $\frac{1}{p}$ $\frac{1}{\ell}$ $\frac{R}{l^{2}}$
,
$\frac{p/}{\ell}$ $\frac{1}{l^{2}}$.
(31)
(32)
(33)
式
(30)
から
,
$\frac{\partial}{\partial t}\ln\ell=$ $\frac{\partial}{\partial t}\ln\delta$
$\ln\ell-\ln\delta$
$=$
$c$
$p$
$=$
$c\delta$となり
,l
と
$\delta$は同程度の大きさとなる
.
式
(33)
から,
$\ell l’$$=$
1
$\frac{\partial}{\partial t}\ell^{2}$$=$
2
となり
, 以上より,
$\delta(t)\sim\ell(t)$
$t^{\frac{1}{2}}$(34)
$R(t)$
$t^{\frac{1}{2}}$(35)
を得る
.
これから
, 相似解を与える方程式は次のようになる.
$(- \frac{1}{2}Y\frac{\partial}{\partial \mathrm{Y}}-\frac{1}{2}z\frac{\partial}{\partial Z}+\frac{1}{2})\zeta_{0}$
$=$
$\frac{\partial T_{0}}{\partial Y}+Pr(\frac{\partial^{2}}{\partial Y^{2}}+\frac{\partial^{2}}{\partial Z^{2}})\zeta_{0}$(36)
$(- \frac{1}{2}Y\frac{\partial}{\partial \mathrm{Y}}-\frac{1}{2}Z\frac{\partial}{\partial Z})\tau_{0}$
$=$
$( \frac{\partial^{2}}{\partial Y^{2}}+\frac{\partial^{2}}{\partial Z^{2}})T_{0}$.
(37)
4.2
発達段階の相似解
42.1
成層がない場合
:
重力流レジーム
同様の手続きによって
,
重力流レジームの相似解を与える式が式
(16)
と式
(17)
から得ら
れる
.
$- \frac{5}{4}Y\frac{\partial}{\partial Y}-\frac{1}{2}z\frac{\partial}{\partial Z}-\frac{1}{4})\zeta_{0}$
$=$
$- \frac{\partial\zeta_{0}}{\partial Y}\frac{\partial\psi_{0}}{\partial Z}+\frac{\partial\zeta_{0}}{\partial Z}\frac{\partial\psi_{0}}{\partial Y}+\frac{\partial T_{0}}{\partial Y}+Pr\frac{\partial^{2}}{\partial Z^{2}}\zeta 0$(38)
$5_{\mathrm{Y}\nearrow}\partial$1
,
フ
$\partial)_{m}$
$\partial T_{0}\partial\psi_{0}$.
$\partial T_{0}$ $\partial\psi_{0}$.
$\partial^{2}$$-Y—z\overline{4}\overline{\partial Y}\overline{2}\overline{\partial}-Zl^{T_{0}}$
$=$
$-_{\overline{\partial Y}^{\frac{-t\mathrm{u}}{\partial Z}}}-- \cup\cdot.+\vee\overline{\partial}\wedge Z^{\cup}\overline{\partial Z^{2}}\frac{\vee\backslash r\cup}{\partial Y}+\vee T0$,
(39)
このとき
,
$p(t),$
$\delta(t),$
$R(t)$
は次のように与えられる
.
$\ell(t)$
$=$
$t^{5/4}$
(40)
$\delta(t)$
$=$
$t^{1/2}$
(41)
$R(t)$
$=$
$t^{-\frac{1}{4}}$(42)
4.2.2
成層が強い場合:
内部重力波レジーム
同様にして式
(22), (23)
から次のように得られる
.
$(- \frac{3}{2}Y\frac{\partial}{\partial Y}-\frac{1}{2}Z\frac{\partial}{\partial Z}-\frac{1}{2})\zeta_{0}$
$=$
$\frac{\partial T_{0}}{\partial Y}+Pr\frac{\partial^{2}}{\partial Z^{2}}\zeta 0$(43)
$(- \frac{3}{2}Y\frac{\partial}{\partial Y}-\frac{1}{2}Z\frac{\partial}{\partial Z})T_{0}$
$=$
$\frac{\partial\psi_{0}}{\partial y}+\frac{\partial^{2}}{\partial Z^{2}}T_{0}$,
(44)
ここで,
各量の時間依存性は次の通りである
.
$\ell(t)$
$=$
$t^{3/2}$
(45)
$\delta(t)$
$=$
$t^{1/2}$
(46)
$R(t)$
$=$
$t^{-\frac{1}{2}}$(47)
これらの物理量の時間依存性については後程議論するが
,
いずれのレジームにおいても
$\delta(T)$
が
$t^{1/2}$
で与えられることは
,
スケーリング
(5),(19)
を考慮すると
,
循環の鉛直スケール
が熱拡散距離
$\sqrt$
\mbox{\boldmath$\kappa$}t
に対応していることを指摘しておく
.
5
数値計算
これらの相似解が実際に実現するかを検証するために
,
基礎方程式
(6) (7)
に基づく初期
値問題の数値シミュレーションを行った
.
非線形項の空間差分には温度偏差
$T$
,
渦度
\mbox{\boldmath$\zeta$},
エネ
ルギー
, エンストロフィ一が保存するようなスキームを用いた
.
計算領域は循環の大きさに
比べて十分広い領域をとり,
図のような境界条件を採用した
.
5.1
相似解の検証
.
もしも相似解が実現するならば
,\psi (y,
$z,$
$t$
)
と
$T(y, z, t)$
に対して前節で求めた適切なスケー
リングを行うことにより,
その分布を時間に依存しないようにできるはずである
. たとえば,
拡散レジームの相似解では
,y,
$z$
を
$t^{1/2},\psi$
を
$t^{3/2}$
(
あるいは
$\zeta$を
$t^{1/2}$
)
でスケーリングして
得られた分布は時間変化しない形
$\psi_{0}(Y, z)$
として表せるはずである
. 以下各レジームが実
図 2:
数値計算の境界条件
1.
拡散レジーム
拡散レジームの結果
(流線関数)
を図
3
に示す
. スケーリングの前の流線関数
\psi
のパ
ターンは大きく変化しているが
,
理論的な考察に基づいてスケ
$-$
リングしてやるとほ
とんど時間変化しない.
2.
重力流レジーム
同様の結果を図
4
に示す
. スケーリングの前の流線関数\psi は振幅だけではなく
,
アスペ
クト比も時間変化するが
,
スケーリング後はほとんど時間変化しない
.
3.
内部重力波レジーム
同様の結果を図
5
に示す
.
スケーリング後の
$t=10,$ $t=20$
の結果はややいびつに見
えるが, これはスケーリング前の循環のスケールが小さく
,
十分にこれを解像する格
子嚢がないためである.
以上見たように
, 全てのレジームについて適当にスケーリングすることで流線関数の形がほ
とんど変わらないことが示され,
各レジームの相似解が実現可能であることが示された
.
6
議論
6.1
物理的な解釈
各レジームの循環の水平スケールも時間の幕乗に依存する単純な形で書き表されること
がわかったが
,
それぞれの水平スケールに対して物理的な解釈が可能か考察したい
.
先に呼
べたように,
循環の鉛直スケール
\mbox{\boldmath $\delta$}(t)
は全てのレジームで熱拡散距離
$\sqrt$
\mbox{\boldmath$\kappa$}t
によって与えら
$\mathrm{P}\mathrm{r}=1,$
$\Gamma’=0$
Not Scaled
$\emptyset$
Scaled
$\emptyset$
$\mathrm{z}$
図 3:
拡散レジームの流線関数の時間変化
左側はスケーリングを行っていないもの
.
右側は理論的な考察にしたがってスケーリングを
行ったもの.
$\mathrm{P}\mathrm{r}=]_{\ovalbox{\tt\small REJECT}}$
,
$\Gamma$$’=0$
Not
Scaled
$\emptyset$
Scaled
$\emptyset$
図
4:
重力流レジームの流線関数の時間変化
同様に左側はスケーリングを行っていないもの
.
右側は理論的な考察にしたがってスケ
$-$
リ
$\mathrm{P}\mathrm{r}=1,$
$\Gamma’=1$
図 5:
内部重力波レジームの流線関数の時間変化
同様に左側はスケーリングを行っていないもの
. 右側は理論的な考察にしたがってスケーリ
ングを行ったもの. 左側の等値線が等間隔ではないことに注意
.
1.
拡散レジーム
拡散レジームでは流れは弱く移流の効果は無視できるので
,
水平スケールも熱拡散距
離
$\sqrt$
\mbox{\boldmath $\kappa$}tで決まる. このため垣よ
$t$
の
1/2
乗に比例する
.
2.
重力流レジーム
成層が弱い場合に移流が重要となってくるときの水平スケール
$p(t)$
は
,t
の
5/4
乗に
比例したこれは,t の指数から,
熱拡散距離を鉛直スケール\mbox{\boldmath $\delta$}(t)
としたときの重力流の
到達距離
$\int\sqrt{g’\delta_{*}(t_{*})}dt_{*}$
にあたると予想される
.
ここで
$g’$
は
reduced gravity
$(\alpha g\Delta T)$
である
.
実際,
次元量
で水平スケーノ垣
(
科を書き直してみると次のようになって
,
重力流の到達距離として
解釈できることを裏付けている.
$\ell_{*}(t)$
$=$
$( \frac{\kappa^{2}}{\alpha g\triangle T})^{\frac{1}{3}}p(t)$$=$
$( \frac{\kappa^{2}}{\alpha g\triangle T})\frac{1}{3}t^{5/4}$.
$=$
$( \frac{\kappa^{2}}{\alpha g\triangle T})^{\frac{1}{3}}(\frac{\sqrt{\kappa}}{\alpha g\triangle T})^{-\frac{2}{3}\cdot\frac{5}{4}}t_{*}^{5/4}$$\propto$
$\int\sqrt{g’\delta_{*}}dt_{*}$
(48)
このように, 成層がない場合には
,
重力流の物理が水平方向の広がりを規定している
$\sim$ことがわかる
. これが
, このレジームを重力流レジームと呼ぶことにした理由である
.
式
(38)
$,(39)$
は,
拡散によって連続的に浮力の生成される場合の重力流の相似解を与え
る式とみなすことができる
.
3.
重力波レジーム
成層が強い場合についての水平スケーノ垣
(t)
はどうであろうか
.
これを次元量に書き
直してみると次のようになる
.
$l_{*}(t)$
$=$
$\sqrt{\kappa}(\alpha g\Gamma*)^{-\frac{1}{4}\iota l}e(t)$
$=$
$\sqrt{\kappa}(\alpha g\Gamma*)-\frac{1}{4}t3/2$
$=$
$\sqrt{t\mathrm{i}}(\alpha g\Gamma*)^{-}\frac{1}{4}(\alpha g\Gamma_{*})^{\frac{1}{2}\frac{3}{2}}.t^{3/2}*$$\propto$
$\int N\sqrt{\kappa t_{*}}dt_{*}$
,
(49)
ここで
$N$
はブラントバイサラ振動数
$(\sqrt{\alpha g\Gamma})$
である.
これは, 水平スケ
$-\mathrm{K}\triangleright$が鉛直
スケール
$\sqrt$
\mbox{\boldmath$\kappa$}t
の内部重力波の到達距離で表されることを示す
.
したがって
,
成層が強
く
,
基本場の温度場の鉛直移流が重要な場合の場合レジームを内部重力波レジームと
呼ぶことにしたのである
.
6.2
ヒート
(
クール
)
アイランド
/
海陸風循環のスケール
底面の温度偏差のある領域
(
長さ
$L$
)
が有限であるようなヒート (クール)
アイランド場
合
,
両端の境界から発生した擾乱が,
本研究で示したような相似的な関係を満足しながら広
がっていき
, 両者の領域が重なるようになると定常状態が形成されると予想される
(図 6).
$L$
図
6: ヒートアイランド形成過程の模式図
重力流レジームであれば
,
そのときの鉛直スケールは次のように評価できる
.
$\delta(t)$
$\sqrt{\kappa}t^{1/2}$
締
$( \frac{\text{し}{\sqrt{\alpha g\triangle T\sqrt{\kappa}}}})^{\frac{4}{5}\frac{1}{2}}$$=$
$( \frac{\text{し}\kappa}{\sqrt{\alpha g\triangle T}})^{\frac{2}{5}}$$=$
$( \frac{\alpha g\triangle T\text{し^{}3}}{\kappa^{2}})^{-\frac{1}{5}}$L.
(50)
この結果は
$Pr$
依存性を除き
,H .T.Rossby
の示した結果と –
致する
.
また
, 内部重力波レジームの場合は次のように評価できる.
$\delta(t)$
$\sqrt{\kappa}t^{1/2}$
$\sqrt{\kappa}(\frac{L}{\sqrt{\alpha g\Gamma}\sqrt{\kappa}})^{\frac{2}{3}\frac{1}{2}}$
$=$
$( \frac{\alpha g\Gamma \text{し^{}4}}{\kappa^{2}})^{-\frac{1}{6}}\text{し}$.
(51)
これも
Pr
依存性を除いて
Kimura
の結果と –
致する
.
つまり,H .T.Rossby
の結果と
Kimura
の結果は,
それぞれ
,
重力流レジームと内部重力波レジームの性質で説明できることがわ
かった.
また,Niino
は海陸風循環の水平スケールを
,
回転が無い場合には
$\frac{N}{\omega}(\frac{\kappa}{\omega})^{1/2}$と評価した
.
これはちょうど
,
–
日
$(t= \frac{1}{\omega})$
に伝搬できる内部重力波レジームの水平スケ
$-$
)
$\triangleright$に相当する
.
6.3
レジーム間の遷移
各レジームが加熱
(冷却)
を始めてからの時間と成層パラメタによってどのようにに実現
するかを整理しておこう
.
1
1. 拡散レジームから重力流レジーム
初期段階の拡散レジームから重力流
/
重力波レジームへの移行はいつ起こるのだろう
か
.
拡散レジームでは流線関数
\psi
の振幅は十分小さいとした
.
温度の式
(13) に着目し,
これまでで得られた各物理量の時間依存性を考えると,
線形項の大きさはどれもおお
よそオー
1
程度であり
,
非線形項は t1/2
程度と見積もられる
. したがって
,t\sim l
程度で大
きさが同じくらいになることがわかる.
翻って基礎方程式
(6),(7)
のスケーリング
(5) を考えると, ちょうど線形項と非線形項
とが同じ大きさになる時刻を時間のスケーリングとし
,
その時刻の熱拡散距離を長さ
のスケーリングとしていることがわかる
.
2. 拡散レジームから内部重力波レジーム
同様に成層の項が支配的になる時刻を見積もる
.
温度の式
(13) で省略された
\Gamma ’
性
は
$\ovalbox{\tt\small REJECT} t$
\iota
こ比例する
. したがって
,
おおよそ次の時刻にレジームの遷移が起こると考えら
れる.
$\Gamma’t$
$t^{-1}$
オ
$\frac{1}{\sqrt{\Gamma’}}$(52)
次元量では次のようになる.
$t_{*}$$=$
(53)
$\sqrt\alpha g\mathit{1}^{1}$この時間は浮力振動の周期に対応している
.
式
(9) 中の無次元の成層のパラメタ
\Gamma /(よ
次のように解釈できる
.
$\Gamma’=\frac{}(^{\text{非線形項が効}いて}\langle \text{る時刻})^{2}}{\text{浮力振動の周期}$
拡散レジームから重力流レジームと重力波レジームそれぞれへの移行の時刻を考え
ると
,
無次元パラメタ
$\Gamma’$がどちらのレジームヘ移行するかを決める重要なパラメタに
なっていることがわかる
. すなわち,\Gamma ’
$\gg 1$
のときには
重力波レジームへの移行が先
に起こり
,\Gamma /
$<<1$
のときには重力流レジームへの移行が先に起こるのである.
3.
重力流レジームから内部重力波レジームへの遷移
これまでの結果は,
水平方向の広がり方が速い方が支配的になるという観点で整理で
きる.
すなわち,
各遷移の時間について以下のようにまとめられる.
(a)
拡散レジーム
$arrow$
重力流レジーム
$\sqrt{\kappa t_{*}}$
$<<$
$\int\sqrt{\alpha g\triangle T\sqrt{\kappa t_{*}}}dt_{*}$
$( \frac{\sqrt{\kappa}}{\alpha g\triangle T})^{\frac{2}{3}}$
$<<$
$t_{*}$重力流による水平方向の広がりが拡散による広がりよりも大きくなる時刻が
,
遷
移の時刻に対応している
.
(b)
拡散レジーム
$arrow$
内部重力波レジーム
$\sqrt{\kappa t_{*}}$
$<<$
$\int\sqrt{\alpha g\Gamma}\sqrt{\kappa t_{*}}dt_{*}$
$\frac{1}{\sqrt{\alpha g\Gamma}}$
$<<$
$t_{*}$このような観点から,
成層が弱い場合には重力流レジームから内部重力波レジームへ
’
の遷移が起こると予想することができる
.
(c)
重力流レジーム
$arrow$
内部重力波レジーム
$\int\sqrt{\alpha g\triangle T\sqrt{\kappa t_{*}}}dt_{*}$
$<<$
$\int\sqrt{\alpha g\Gamma}\sqrt{\kappa t_{*}}dt_{*}$
$\frac{\triangle T^{2}}{\Gamma^{2}\kappa}$