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人生100 年時代におけるデータ活用

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Academic year: 2021

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人生

100 年時代におけるデータ活用

 日本セキュリティ・マネジメント学会 代議員 加藤 美治   人生100 年時代.最近新聞やテレビでこの言葉をよく聞くようになった.しかし人々が 100 歳まで生きる と仮定した場合,どのような生き方を想像するだろうか.私が主査をしている勉強会で東京情報大学松下先生 から「人生10 万時間バランス説」のお話を伺った.簡単に纏めると,就職中の労働関連時間と,定年後の時 間がそれぞれ10 万時間でバランスしているというものだ.労働関連時間は,22 歳で大学を卒業してから 65 歳で定年退職するまでの43 年間を 1 日 9 時間で 250 日働いた場合の時間である.一方定年後の時間は,生活 時間を1 日 9 時間割り当てて残る自由に活動できる時間を 1 日 15 時間として,年間 365 日期間を 15 年から 20 年間として計算したものである.全ての人が正規就業者ではないため当てはまらない部分もある.また, 健康的な生活を何歳まで過ごせるかも人によって異なる.このように当然1 人ひとりの状況は異なるが,これ まで働いてきた時間と同等な想定を超えた時間が定年後に残されていることを示したものである. このような背景を踏まえ,本稿ではシニア層における情報サービス,特にパーソナルデータの活用について 考えてみることとする. シニア層の変化 「シニア」とはいろいろな捉え方があるが,世界保健機構(WHO)では 65 歳以上の人と定義している. 総務省統計局[1]によれば,日本の 65 歳以上の人口は,3617 万人と過去最高であり総人口に占める割合は 28.7%と過去最高である.この割合は今後も上昇を続け 2040 年には,35.3%になると見込まれている.総務 省情報通信白書の年代別のインターネット利用率[2]によれば,13 歳~69 歳までの各階層で 9 割を超えており, 特に60 歳以上のインターネット利用率が昨年と比較して大きく上昇している.利用目的としては,60 歳以上 になるとメールの送受信や情報検索が上位を占めているが,ソーシャルネットワーキングサービスの利用も特 に60 歳以上の増加が著しい.今後若い世代同様にシニア層のソーシャルネットワーキングサービスや商品購 入などの各種サービスの利用が高まると考えられる.このように若者層とシニア層との差は縮まりつつある. データから示されているようにこれからのシニア層は,普段から情報機器の利用に慣れ親しんでいた人達の割 合が増えることになる.これまでシニア層は,情報弱者として認識されサービスの利用が少ないと考えられて いた.しかし,これら状況を踏まえると今後シニア層のサービス利用は益々高まると考えられる. ― 1 ―

(2)

日本セキュリティ・マネジメント学会誌 Vol.○○, No.○

シニア層をターゲットとした情報サービス

これまで企業は,シニア層を情報弱者として考えていたが,今後シニア層をどのようにしてビジネスに取り 込むかを考えなければならない.特にシニア層は,健康に気を使う年齢である.健康,予防医療,医療,介護 への関心が高く,PHR(Personal Health Record)への関心も高まることが想定できる.本人の同意を得た 上でPHR が普及していけば予防医療への適用が期待できる.医療情報,薬処方箋情報との連携により,健康 的に活動できる期間が増えれば,健康保険財政の悪化を食い止める可能性を持っている.しかしながら,日本 ではパーソナルデータの活用に対する不安[3]が根強く残っている.例えば,企業等が提供するサービスやア プリケーションを利用するに当たり,パーソナルデータを提供することについて不安を感じる人は 78%と高 い.このような不安をいかに解消していくかが喫緊の課題である. これらの不安を取り除くためには,リスクマネジメントの考え方が必要だと考える.日本社会では,安全管 理においてリスクゼロを求める傾向がある.一方欧米ではリスクをゼロにできることはあり得ないと考えてい る[4].安全管理と同列に扱うことができないかもしれないが,日本では各事象においてリスクゼロの考え方 が拡大していると考えられる.パーソナルデータの利活用に対する不安は,データの流出や悪用に対するセキ ュリティリスクに対する考え方が影響している可能性もある.いずれにしてもリスクをゼロとすることはでき ないため,リスクマネジメントの観点から対応していく必要があると考える.そのためには,リスクに関する 正確な情報を,行政,企業,ユーザーなどのステークホルダー間で共有し,相互に意思疎通を図らなければな らない.パーソナルデータの利活用に対する不安に対しては,リスクコミュニケーションを積極的に実施する ことが必要ではないだろうか.パーソナルデータの利活用は,単にシニア層向けサービスに限ったものではな く,今後日本の情報サービスの発展において重要な課題である. 「人生 100 年時代」に求められるもの 今後情報弱者ではないシニア層がこれまで以上に増えていくことから,シニア層をターゲットとした新しい 情報サービスの構築,特にパーソナルデータの利活用に着目した.これら情報サービスは1人ひとりの生活様 式が異なるように,求める価値も個々に異なるものになる.そのためサービス構築にあたっては,自治体や企 業との更なる連携も必要となるに違いない.経済・社会のデジタル化の進展により,生活はより豊かに利便性 が向上していくであろう.一方で,これらデジタル化の進展によりセキュリティリスクへの対応の重要性は 益々高まっていくと考えられる.人々が今後のデータ利活用による恩恵を受けるためにも,セキュリティリス クに対する尚一層の取り組み強化が必要となろう.  参考文献 [1] 総務省統計局,高齢者の人口,2020 年 9 月 15 日現在推計 http://www.stat.go.jp/data/topics/topi1261.html  (2021 年 3 月 28 日アクセス) [2] 総務省,『令和2 年版情報通信白書』,第 5 章 ICT 分野の基本データ 第 2 節 ICT サービスの利用動向 属 性別インターネット利用率 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/pdf/n5200000.pdf [3] 総務省,『令和 2 年版情報通信白書』,第 3 章 5G 時代を支えるデータ流通とセキュリティ 第 3 節 パー ソナルデータ活用の今後 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/pdf/n3300000.pdf [4] 中村昌允,『安全工学の考え方と実践』,平成 25 年 5 月 25 日,オーム社,pp184-186 ― 2 ― 日本セキュリティ・マネジメント学会誌 Vol.35, No.1

参照

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