〔「 I)C 620 193.8 691 15 620 168 東急我と設技術研究D子報No 26
小川
渉
*生 崩 壊 性 炭化 物 ボ ー ドに関 す る研 究
(そ
の
4)
一 炭化物 ボー ドの調湿性 ―
柴野
―則
*
椿
泰徳
* 要 約1
は じめに 地球温暖 化 を引き起 こす C02を 樹木 に吸収 させ る森林 固定化 が進 め られてい る。しか し、樹木 は C02を 吸収す るが、朽 ち果てまたは燃焼 させ る と固定化 していたC02 は再び 自然界に放 出 され て しま う。 そ こで炭化 に よる完 全固定化が必要 とな り、 この大量 に炭化 され た材料の新 たな用途開発が重要 となる。成型体 に用 いるバイ ンダー は、天然繊維 系廃棄物 をサブ ミク ロン単位 まで解繊 した 複合パル プであ り、炭化物の細孔 を塞 ぐこ とな く成型 で きるため、調湿性、吸着性 な ど炭化物が持つ特′性を保持 してい ることが特徴である。本材料 は、再使 用できるこ とは勿論、廃棄 した場合 もバイ ンダーは生分解 し、残 る 炭化物 は土壌改良材 とな り乗境 問題 を生 じない。 これ までは、炭化物ボー ドの諸物性 について報告 して きた(I)∼⑪。本報告では、炭化物成型体の吸湿効果の仕上 げに よる影響 お よび壁 面 に使用 した場合 の調 湿 作用 に ついて検討 した結果 を報告す る。2
吸湿実験21
表面仕上 げの検討 炭化物 ボー ドは、表面仕上げを しない と壁面 として用 い る場合、意匠性に問題 がある。そのため、炭化物ボー ドの吸湿性能 を損 なわない仕上げ方法 を選択す るため吸 湿試験 を実施 した。仕上げ材の影響 を把握す るため、仕 上げを施 さないポー ドの吸湿量お よび吸湿速度 を基準 と し、壁紙お よび接着斉1について検討 した。 地球環境問題 、資源枯渇問題、建設公害・莞本オ問題、室内環境問題などか ら、持続可能型、再生・循環型社 会の形成に役立つ、環境、健康に配慮 した材料が求められている。環境公害を起こさない地球環境に優 しい建 設材料の開発を目的 とし、天然繊維をバインダー として木炭などの炭化物を成型 し、環境保全 と健康に配慮 し た建設材料の開発研究を行 つている。この炭化物ボー ドは、吸湿、吸着など炭化物 自体の性能を保持 している ことか ら様々な建物に使用することが望まれる。 これまでは、炭化物ボー ドの諸物性について報告 してきた。本報告では、炭化物ボー ドを壁面に施工 した実 験居室の調湿効果について検討 した。その結果、炭化物ボー ドによる効果が確認できた。 午ワド:
生崩壊性,炭化物,吸湿性 目 次 1はじめに2吸
湿実験 3調湿実験 4まとめ22
測定方法 炭化物 ボー ドは、炭化物/セル コラー ズ(C/F)=8/2,
セル ロー ス/コラーゲ ン(Ce/Co)=9/1,比
重0.4を使 用 した。図1に試験体の断面 を示す。寸法100x150mln、 厚 み12nlnの炭 化物ボー ド表面 に接着剤 を塗布 、または 接 着剤 と各種壁紙 を貼 り付 けた。 ただ し、小 口面 か らの吸湿 を抑 えるた め、エ ポキシ 樹脂 にて密 封 した もの を試験体 とした。 なお 、吸湿性 能 は、温度 20℃ 一定相対湿度95%の
重量変化 よ り算 出 した。 エ ポ キ シ ェ ポ キ シ 図1
試験体断面23
接着剤 の影響 図2に
接着剤 を表 面塗布 したボー ドの吸湿試験結果 を示す。 平衡 吸湿量 は、澱粉 系接着剤 を塗布 して も減 少 す る こ とはな く。接 着剤 で あ る澱粉 自体の吸湿 が あ るため、面積 あた りの吸湿 量 は増加す る。 この こ とか ら平衡 吸湿量 に は、殻 粉 系接着剤 の影 響 はほ とん ど見 られない。 吸湿性 能 は、平衡 吸着量 だ けでは影 響 を判 断 で きな い ため、初期 の吸湿速度 を比較 した。吸湿速度 は、24 時間後 の吸湿 量 (g/m2)か ら算 出 した。 ボ ー ド の :終着 却「*建
築研究室 89接 着剤 を塗布 しない炭 化物 ボー ドに比べ 吸湿速度 吸 湿速度 は殻粉 系接着斉1の影響 はほ とAノどない。 また 、酢 酸 ビニル エマル ジ ョンが含 まれ る接着剤 で も吸湿 速 度 に はほ とん ど影響 してい ない。 従 つて、調 湿 実験 で は、接着剤 と しては澱粉接着剤 を用い るこ と と した。 表
3
接着斉Jによる吸湿速度 g/m2.h う竜化中勿ホヾ―卜・ 85 ボー ド十澱粉 93 酢酸 ヒ・ョウエマルデ ョン 8824
仕上 げ材の影響 炭化 物 ボー ドに殻粉接 着剤 を用 い、仕 上 げ材 料 を貼 り付 けた場合 の吸湿量 を図3に
示す。 平衡 吸湿 量 は、 和紙 、 ケイ藻 土 ともに大 きな差 は な く。 また 、 ビニル ク ロス も 7日 後 の吸湿 量 は、他 の仕上 げ とほ とん ど変 わ らない。 また、炭化物 ボー ドの吸湿速度 を24時間後 の吸湿量 (g/m2)か ら算 出 した結果 を表4に示す。仕上 げ材 に よって 、炭化物 ボー ドの吸湿速度 が低 下 し、 ビ ニル クロスを用いると吸湿速度は、1/3以 下 となる。仕 上 げ材 の影響 が大 きい こ とが確認 できる。 表4
仕上げ材 による吸湿速度 g/ド・h 炭化物ボー ド十澱粉十 和 紙 87 炭化物ボー ド+澱粉+
ケイ 4,6 炭化物ボー ド十澱粉+
ヒ`コレクロス 温 度 :20℃ 相対湿度:95% ―` 炭化物ホ・―ド 多` ァンフ°シ ー F・ンフ°シ+酢ビ 0 50 100 150 時 間(h) 図2
接 着斉1による吸湿 へ の影 響 200 温 度 :20℃ 相対湿度:95路 ― 和紙'
ケイ藻土紙 ― ヒ・ニルクロス 命 E ゝ ︶哨 明 さ 700 600 500 400 300 200 100 0 700 600 500 400 300 200 100 0 ド十 命 E ゝ ︶咽 哨 答 0 50 100 150 時 間(h) 図3
仕 上 げ に よ る吸湿 へ の影 響 200 23 以上 の吸湿試験 の結果 、調湿試 験 では卜蜀湿 効果 に影 響 が少 ない和 紙壁紙 お よび澱粉 系接着剤 を使 用す る こ ととした。3
調 湿実験31
実験居室の概要 実験居室 の概略図 を図4に条件 を表5に示す。No l は、石膏 ボー ド下地 、No.2は
炭化物 ボー ド下地で あ る。 施 工 した炭化 物 ボー ドは、455x455mln、 厚み=12「ll l比重02で
あった。また、仕 上 げ材 は、和紙壁紙 お よび澱粉 接 着斉Jを用 いた。炭化物 ボー ドは、3面(2面 :W3.6xH2 4m,1面
:V18×H24m
ただ し、扉 を除 く)に
施 工 し た。設置 面積 は、合計 20m2で ある。 表5
実験居室の条件 仕上 げ No l 和紙壁紙+澱
粉 No 2 和紙壁紙 十澱粉32
測 定方法 測定項 目は、室 内空気温度 、相対湿度 であ る。 また、 炭化物 ボー ドの吸放湿量 を推 定す るため、No 2に 455×455nl「l、厚 み=1 2mlnの炭化物 ボー ドを水平 において、 No.1 No 2⑤
下 地 石膏 ボー ド 炭化 物 ボー ド 90 図4
実験 居室概 略図〇
重量 を電子天秤 にて測定 した。温湿度 の測 定 は、サー ミス タ温度セ ンサーお よび電気抵抗式湿度 セ ンサー (タ ド イエスヘ'ックRS-10)を用い、 10min間 隔、室 中央 の高 さ
1,2mで
実施 した。室内の暖房 には、 ヒー ター を使用 し、 室 内の加 湿 は、スチー ム式力口湿器 (加湿能 力 :300g/h) を用 いた。 ま た、室 内の空気 をか くはんす るた め、 フ ァンを使用 した。換気量は、トレーサーガ ス (C02)の 濃度変動 か ら換気量 を算 出 した。33
実験条件 実験条件を表6に
示す。放湿実験 として①の暖房に よる影響、吸湿実験 として②∼⑤の各条件 について行 つた。②暖房・加湿なし、③力日湿、④力日湿お よび加湿、 暖房 、⑤加湿、暖房を連続的に実施 し、炭化物ボー ド による効果を検討 した。 表6
実験条件 加湿量 300g34
放湿実験結果 炭 化物 ボー ドの調湿性 を把握 す るた め、① の暖房 に よる放 湿状態 を測定 した。冬季 に暖房 を使用 した場合、 加 湿 を しない と極度 の乾燥状態 とな る。 この乾燥状態 に よる湿分の放湿状態 を確認 す るこ ととした。図5に
No l,2の
両実験居室の温度 を示 し、相対湿 度 変化 を図 7に、炭化物 ボー ドの重量変化 を図8に示す 。 両室 の温度履 歴 は、同 じで あ つた。 炭化 物 ボー ドの 重量変化 か ら放湿速度 を算 出 した結果 を表7に
示す。 ① の放 湿速度 は、19.3g/m2.h〔=116(g/m2)■ 6h:暖
房 時 間 〕 で あ る。 壁 面 の施 工 面積 か ら総 放 湿 量 は 、 2,320gであ った。 この放湿過 程 の後 、炭化物 ボー ドの 有無 に よ り、各居室の相姑湿度 は、10%の差 が生 じてい る。炭 化物 ボー ドの吸湿効果 に よ り湿 度 の抑 制 が確認 で きる。35吸
湿実験結 果 条件 ②∼⑤ の相射湿度 変化 を図 8∼Hに
示 す。放湿 実験 と同様 に温度履歴 は、両室 とも同 じで あ つた。 炭 化物 ボー ドの重量変化 よ り吸 湿速 度 を求 め 、各吸湿 条 件 にお ける吸湿速度 は表7に示す通 りであ る。 図8の
条件② の場合 、加湿 がな く、炭化 物 ボー ドの 平衡 吸湿量 に達 していないた め、相対 湿度40%維
持 し てい る。 図9に示す よ うに条件③ の加 湿量 300gで は 相 紺湿度 が80%ま
で急激 に増加 し、 この時 、ボー ド の吸湿速度 は 26.Og/m2.hで ぁった。温湿度 条件によ り 0 3 6 9 12 15 18 21 24 時刻 図6
条件 ① 放 湿 実験 (相対 湿 度 変化)036912151821
時刻 図7
条件 ① 放 湿 実 験 (炭化 物 ボー ドの重 量 変 化) 24 100 4 3 3 2 2 1 1 一 ︵ p ︶ 製 唄 10外気3 6 9 12 15 18 21
時刻 条件① 放湿実験結果 (温度履歴) 束急チ1.設技 府TT究 所報籠,26 ◆ 石膏ポード下地 主,炭 化物ポード下地 │ 24 図 5 G 超 明 萩 早 g ① 900g ② ③ ① ⑤ 命 E ゝ ︶ 翠 駕 引 側 9 0 80 70 60 50 4 0 3 0 20 1 0 0 0 ︶ 超 明 積 早 0 3 6 図8
条件②9 12 15 18 21
時刻 吸 湿 実 験 (相対 湿 度 変 化) E υG 000^ 鴫 。。。。__ 。 ー 黎 平破 ℃醐
h
発 生速度 放 湿 30℃設定 吸湿1 13-16 吸湿2 17-19 300g/h 吸湿3 30℃設定 300g/h 300g/h 吸湿4 30℃設定 300g/h … つ ミ塩 Oo ◆ 石育ポー ド下地 ゛ 炭化枷ポード下地 0外気 ◆◆ i◆ボードニ量 ◆ 石 吉 ポ ー ド下地 癬 91 24吸湿速 度 は異 な る。図
10,11の
条件④,⑤
の加 湿・暖 房 を行 った後 の各居 室 の湿度 は、石 膏 ボー ド下地 では 相対湿度 が70%を
越 えるの に対 し、炭化物 ボー ドの吸 放湿 に よ り、No 2は
、相姑湿度 60%を 維持 している。 炭化物 ボー ドの調湿効果 を確認 で きた。 表7
各条件 にお け る吸湿 ・放湿速度 ︵p ︶ 悩 四 枚 甲 ︵p ︶褪 四 夜 早 ︵p ︶悩 四 夜 甲二
_ L
浮。
ず
18 21 24 193 12 26 0 25 090
1504
ま とめ 炭化 物 ボー ド表面 を仕 上 げ る場合 、澱 粉 系接 着剤 を 用 いて和紙 の施 工を行 えば、吸湿性 能 に大 きな影響 を 与 えな い こ とが確認 で きた。 材料選 択 と して は表 面 に 用 い る仕上 げ材 の影響 が大 き く依存す る。 炭化 物 ボー ドを施 工 した壁 面 は、吸湿 ・放 湿す るこ とが確認 で きた。 この調 湿効 果 ばか りで な く吸着 な ど 炭 化物 の特性 を生か した炭化 物 ボー ド設 置方 法 な ど検 討 して い く予定である。 12 15 時 亥け 図9
条件③ 吸湿実験 (相女、す湿度変化) 1 : : 駐 =ス 中 411ム : 争_^υ∞ : ●石百ポード下を 時 刻 図10
条 件 ④ 吸湿 実 験 (相対 湿 度 変化) 吸放湿 速度 g/m2.h ① ③ 24 0 3 6 9 12 15 18 21 24 時 刻 謝 辞図
11
条 件 ⑤ 吸 湿 実 験 (相 対 湿 度 変 化) 本 研 究 を行 うに際 して,多
くの御 指 導 ・ 御 協 力 を戴 いた 元農 林 水 産省 技 術 技 官 村 山敏 博 博 士 に 深 く感 謝 致 します 。 参 考 文 献 1)村 山敏 博:天然 繊 やヽ佳高 分子 を用 い た 複 合 ′ヽ°ルア・製 品 の 開発 (1)(5)。ECO INDUSTRY,1997510 2)柴 野 一則・小川 済:生崩 壊 性 炭 化 物 ホ・ 卜゛に関す る研 究(その 1).東 急 建 設 技術 研 究 所 所 報,No 23,pp 227 230,1997,9 3)柴 野 一 則・小)│1済 :生崩 壊 性 炭 化 物 ボS―卜`に 関 す る研 究(その2)・東 急 建 設 技 術 研 究所 所 報,No 24,pp 183 186,19989 4)椿泰 徳・柴 野 一 則・小 川 済:生崩 壊 性 炭 化 物 ホ'卜・に 関 す る研 究(その 3)。東 急 建 設 技 術 研 究 所 所 報,No 25,pp 125-128,1999 9A STUDY ON BIODEGRADABLE CARBIDEBOARD
一 Part4.The humidity controlling effcct of thc carbideboard 一
K Shibano and Y Tsubaki,Y Ogawa
This research is for the purposc ofthe development Oftthc construction matcrial that does not causc envirOnmcnt pollution We repoft about the humidity controning effect oftthe cxperilnent sitting room that executcd thc carbidc
board to the 、vall in this report The 、vall that cxecutcd a/the carbide board was able to conflrJュ thc hunidity
controlll■g effect, Wc are going to examine Carbonizcd Composite Board establishment mcthod ctc that only this
humidity contr01ling effect is not and madc thc most ofthe characteristic of the carbidc such as adsorption