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大学改革を考える上で

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Academic year: 2021

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─ 225 ─

(  )

1

東医大誌 74(3)

: 225

-

226, 2016

巻 頭 言

大学改革を考える上で

政策研究大学院大学大学長

白 石   隆 Tkashi SHIRAISHI

大学改革が争点となっている。大学のミッション再定義とそれを踏まえたグルーバル化、イノベーション 創出、人材養成機能が求められ、人文・社会科学系学部の見直しが行われ、これに反対する人たちは幅広い 教養と専門的知識を備えた人材の養成こそ大学の任務と主張する。

こういうやりとりを見るたびに思うことは、「お経」をいくら言ってもだめだ、大学が養成する人材と社 会が必要とする人材の間には確かにミスマッチがある、しかし、「社会」はどういう人材をほしいか、実の ところ、よくわかっていないし、大学も、たとえ「幅広い教養と専門的知識を備えた人材の養成」を大学の 任務と主張しても、では、どういう教育をすればそういう人材が養成できるか、よくわかっていないし、現 にそういう人材を育成しているとはとても言えないことである。

いま、世界は急速に変容している。インダストリ

4.0、超サイバー社会、第四次産業革命などのことばに

見る通り、情報通信技術、

AI

、ロボットなどの進歩によって、われわれの生活を支える技術基盤は大きく 変わりつつある。たとえば、インターネット、スマートフォン、ウェアラブルの普及、IOT、クラウド、AI などの進歩によって、われわれの行動、健康状態は、個々人のレベルで、

24

時間、モニターできるようになっ ている。また、これを踏まえ、新しいビジネスが次々と生まれ、技術もますます進歩している。

こうしたことの結果、この世界が

10

年後、20年後、どうなっているか、まるでわからない。しかし、一 つ確実に言えることは、技術の急速な進歩とそれにともなう社会経済変化が常態となることである。教育に 求められているのは、急速な技術進歩と社会経済変化を常態とする世界で、世界中の同世代の人たちと競争 し、生きていける人たちを育てることである。

では、大学はそういう人を養成できているのか。わたしは大学教育のあり方を根本のところから考え直す ときだと考えている。現在、大学は、基本的に、

18

歳から

24、 25

歳くらいまでの若い人たちを教育している。

しかし、これでよいのか。技術進歩と社会経済変化が常態である世界では、人は常に学び、考え、時代の変 化に即応して行きていかなければならない。大学はそのための基礎作りの場であり、また、人生の節目、節 目で立ち戻り、学び、考えるところとなる必要がある。大学改革に取り組むにはそこから出発しなければな らないと思う。

(2)

東 京 医 科 大 学 雑 誌

226

74

巻 第

3

略  歴

白石  隆(しらいし たかし) SHIRAISHI Takashi

1950

年愛媛県生まれ。1972年東京大学教養学部卒業。同大学助手、助教授を経て

1986

年にコーネル大学よ り博士号を取得。1987年、コーネル大学助教授に就任、同大学准教授、教授を経て、1996年、京都大学東 南アジア研究センター教授。

2005

年に政策研究大学院大学(

GRIPS

)教授・副学長に就任。

2007

年より日 本貿易振興機構アジア経済研究所(IDE-

JETRO)所長を兼任。nippon.com

の編集長も務める(2011-

2014)。

2009

年に内閣府総合科学技術会議常勤議員、2011年同非常勤議員、GRIPS学長。アジアの政治、政治史、

国際関係を専門とし、著書多数。An Age in Motion : Popular Radicalism in Java 1912-

1926

(Cornell University

Press, 1990)で大平正芳記念賞受賞、『インドネシア─国家と政治』(リブロポート、1992)でサントリー学

芸賞受賞、『海の帝国─アジアをどう考えるか』(中公新書、

2000

)で第

1

回読売・吉野作造賞受賞、『中国 は東アジアをどう変えるか』白石隆、ハウ・カロライン著(中公新書、2012)、『海洋アジア

vs.

大陸アジア』

(ミネルヴァ書房、2016)。2007年には我が国学術の発展のため顕著な功績を挙げたことにより、紫綬褒章 が授与された。2015年「講書始めの儀」の進講者を務める。

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