上 野 恒 明*
Estimate of Reliability for Electronic Equipment Tuneaki Ueno
l. ま え が き
宇宙時代,情報化時代 とゝもに電子機器に対す る性能上の要求は高度 とな り,その構成は 複雑化 してきた。 これに対応 し如何に して機器の信頼度を所定の倍に維持す るかについての 信頼性管理に関す る研究が旺んになっている。 こゝでは信頼度の設計段階に必要 とされ る予 測法について検討するため,汎用 の TV 受信機を対象 とし信頼度の予測を行なった。得 られ た結果は平均故障間隔時間 ( MTBF) 約 4 , 6 0 0時間で予想 よ り幾分短いが, これは真空管の 動作状態を解析す ることによ り一応納得の得られ る値である0
2. 電子機器の信頼度 2 ‑1 信頼度 の定義
主観的な信頼性の概念からは機器の信頼度を科学的に管理す ることはできない。 このため 重要な品質特性の一つ として撰器の信析度はつ ぎのように定義 される0
「装置 またはシステムが与えられた条件のもとで,与え られた期間中,意図された機能 を遂行する確率」
したが って信頼度は他の晶質 と同 じように設計され,製造 され,かつ検査 されねばならな い晶質であ り,つ ぎの確率で表わ され る。
R (
,
)‑些 =里坦 Ⅳ
こゝで Ⅳ : 使用開始時の機器数
n ( i ):時間 tまでに故障 した機器数 R( i ):時間 tの残存確率 ( 信頼度)
残存機器数 N‑n( i )の うち引続 く単位時間に故障する割合,すなわち故障率を l( i )とす ると,
( N‑n( i ) )i( i )・ dl ‑n( i +di )‑n( i ) N・ R( i )・ )( i )・ dt ‑Nt R( i )‑R( i +d t ) ‡ i( i )・ di ‑ ‑R( i +dt R( )‑R( i ) i ) ‑一
驚・ R( i )‑e xP〔一丁 : i( i )・ di 〕 ( 1 )
*電気工学科
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長野工業高等専門学校紀要 ・第3 号
2 ‑2 電子機器の寿命特性 曲線
同一工程で製造 された同 じ機器を多数同時に動作 させた とき,故障率 と動作時間 との関係
11故障率(,也
時 間 (
日. 一 ・ 一 ・ 一 一
図
1 寿命特性曲線
を表わす曲線を寿命特性曲線 またはその形から浴槽型曲線 と 呼ぶ ( 図 1)
初期故障期間で故障率が高いのは,部品の中に低品質の も のが湿 っているためでエ‑ジングとかナラシ運転で除去 (デ バ ッギング)される。正常動作期間では故障率 )は一般に小 さ くほ ゞ一定であ り発生す る故障は ランダムで管理できない 性質のものである。 この期問の長 さが耐用寿命でこれを長 く 故障率を低 くす ることが信頼性管理の一般的努力 目標である。
磨耗期間では部品の命数がきてだんだん と故障率が増大 して くる。
2 ‑3 枚器信頼度の構造 と信頼度指数
機器は非常に多 くの部品か ら構成 され るが,構成部品個々についての信頼度がわかれば機 器全体の信頼度は定 まる。 いま機器を構成するどの部品が故障 しても機器 として故障がお こ るとすれば,機器の信頼度 R ( i )は各部品の信頼度 R. ・ ( i )の積 となも。
′ 一 R( i )‑HR. I ' ‑1 ・ ( i )
また機器の故障率を }( i ),部品の故障率を ), ・ ( i ) }( i )‑ i n ∑ z
)11, A (
i)
機器の故障率は部品の故障率の総和に等 しい。寿命特性曲線か ら正常動作期間における扱 器 の故障率は一定である。 したが ってこの期間中の機器信頼度 R( i )は式( 1 ) か ら故障率 i( i )‑}一定の指数分布に従い次式で表わ され る。
R( i )‑e ‑ I L ‑e ‑ 読 ∫ ( 2 ) こゝで l: 一定の故障率.個 々の構成部品故障率の総和に等 しい
∽ : 平均故障間隔時間 MTBF( Me a nTi meBe t we e nFa i l u r e )
t . '機器の動作時間
機器の信頼度を定量的に示す尺度 として通常 MTBF を用いる。 したが って信頼度の予測 もこの MTBF の推定によって行なわれる。一方構成部品の信頼度指数 としては故障率を用 いるが,通常 これは非常に小さい値であるか ら扱い易 くするため 1 ㈱ 時間当 りの%故障率で 表わ され,標準状態における各種部品についての権威ある故障率表が用意 されている。
3. 信索 頁度の予測法
信頼度の予測には各種の方式が提案されているが ,2,3 の代表的方法はつ ぎのとお りであ る。
3 ‑1 Ba l l pa r k 法
最近の電子枚器では真空管が トランジスタにお きかえられつ ゝあるが,真空管の信頼度は
通常他の部品に比べてけた違いに低いO したが って概器の信顔度を殆 ど真空管が左右すると
考えられ るとき,信頼度の概略値を得る式 として次式が示 されている 。( RADC. No t eBo ok)
‑
‑旦
荒 壁‑1 2・ 4 ×( 6・ n 6×
10
4) 一 旦i#
05( hr ) こゝで 〃 ; 真空管の総数
n: 構成部品の総数
3 ‑2 MI L‑ R‑2 6 4 7 6 の方法
仕様書の要求事項 として MTBF が明示されていない ときは ,MTBF の実績値が次式に より計算 した値以下ではならない ことを規定 し生産段階の信頼性管理を義務づけている。
m‑( 3 0 ×1
01
6×Nt + 1 5 ×T
O 6×Nm+2 ×1
0‑
6×Ns +0. 5+ 1
01
6×Nc ) ‑ 1 ( h, ) こゝで ⅣJ: 真空管の総数
Hm: モータと リレーの総数 Ns ;半導体の総数
Nc; 残 りの部品総数
3 ‑3 RADC の精密予測法
機器の動作状態で各部品が受けるス トt /スの影響を考慮す る方法で,精度 の高い予測が可 能 となるが一方解析は繁雑で手数を必要 とす る。その手順 としてほ
( 1 ) 部品の故障率を電気的,熱的ス トレスの両方を考慮 して計罪する。
( 2 ) ( 1 ) の手順か ら求めた各部品の故障率を集計すればその逆数は MTBF となる。
7 】 J
m ‑( lT )
1‑∑ 巧 t ・ ‖ ( ) , + ). +lm)
El‑1( h, )
こゝで IT: 指定の回路条件,環境条件下での機器の総合故障率 ),:部品の公称故障率
Ie;回路条件に よる補正分,主 として電気的ス トレスに よる故障率の変化 lm:環境条件による補正分,主 として熱的ス トレスによる故障率の変化
4. 予 測 結 果
4 ‑1 供試 機器
本予測の対象 とした機器は,真空算方式の 1 6 型 白黒テ レビ受信機で,実験用器材 として若 干部品配置が変更されている他は最 も一般的な回路構成である。回路図の詳細は省略するが 主要なユニッ ト別部品集計表は表 1 とお りである。
表
1
部品集計表1 6 0
長野工業高等専門学校紀要 ・第3 号
4‑2 部 品 故 障 率 の 決 定
動作状態における各部品の周囲温度,動作電圧,電流を実測 し,電気的お よび熱的ス トレ スに よる故障率の補正を行な う。 この補正には M IL‑HDBK‑21 7 を利用するが真空管, 抵抗, コンデンサについて例示するとつ ぎのとお りである。
( 1 ) 真空管.公称の故障率 1%/ 1 ∝氾h r の MT 管 6 EW7 が 定格電力の 7 0 % ,バル ブ温度 1 4 0 o C で使用 され ゝば,その故 障率は図 2 か らバル ブ温度 1 4 0o C と 動 作 電 力比パラメータ 0. 7 との交点 A から修正係数は 0. 7 とな り ,0. 7 %/ 1 0 0O hrが 得 られる。同 じ真空管を定格電力の 5 0 %,バル ブ温度 1 2 0O C で使用すれば故障率は 0. 6 %/ 1 0 0 0 h r となる.
. パルプ粗野( o n l 図2 動作条件一故障率修正係数 ( 2 ) 抵抗.被膜抵抗を定格電力 ( 1 / 2 W) の半分 ( 1 / 4 W) ,周囲温度 4 5o C で使用すれば,故 障率は図 3 を用いて, 周囲温度 4 5 0 C と電力比パ ラメータ 0. 5 との交点 A か ら 0. 0 4 %/ 1 0 0 0 h r
が求められる。
コソポジション抵抗を定格電力 ( l l y)の 8 0 % ( 0. 8 Ⅳ) 周囲温度 4 0o C で使用すれば,故
障率は図 4 か らB . 点として 0 . 0 0 3 %/ l o o) hrが得 られ る.
‑ ' Z
) 30 40 50 a ) 7 0 1
月Dili止肢 (o C)
図3 被膜抵抗故障率
2 0 3 ) 4 0 5 0 a ) 7 0
周 囲温度(' C)
コンポ'ジシ℡ン蕃抗故障率図4 コンポジション抵抗故障率
( 3 ) コンデンサ.セラ ミックコンデンサを定格電圧,周囲温度 4 0o C で使用すれば, 故障率 は図 5 か ら 0. 0 0 4 %/ 1 0 0O h r となる。 べ‑パ コンデンサを定格電圧の9 0%,周囲温度 6 00 C で使用すれば故障率は図 6 か ら 0. 0 6 %/ 1 0 0 0 h r となる.
∴恥 放 伽8 鉢 A JXI5
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