誤 答 分 析 の 実 際
― 中 学 生 の 主 語 把 握 に つ い て ― ( I I ) ( I I I )
諏 訪 部 真
(II)主語が後方から修飾される場合
1. は じ め に
この調査は本校紀要第10号に発表 した 「誤答分析の実際一中学2・3年生の主語把握につ いて‑(Ⅰ)」の続報である. 先行調査においては 日本人中学生が英文の主語把握に困難 して いる点に着 目し,その具体的実態を誤答を通 して解明しようとした.実際の調査では生徒た ちに英文の骨借 とも言 うべ きS+Ⅴ の関係, 言いかえれば主語 と述部が対応す ること,主 語の後に動詞が続 くとい う語順に注 目させて,問題文のどの位置に動詞をそ う入す るかをテ ス トした.また集団テス トの他に誤 りを した生徒個人に対 しても実際に英語を教えている英 語の担任が面接をす る方法 もとった.その結果次のような事が明 らかになった.
1 テス ト文中の主語を構成する語数が増す と困難度が増す.2 主語 として把握 されや すい語 (秤)把捉 されに くい語 (秤)がある (とくに名詞前置修飾形).3 文頭に ある 語 (秤)に注 目してその語が どのように使われてい ようともそれを主語 とす る誤 り (これが大 部分の誤 り) と,述部である文末の語に注 目してその直前に動詞をそ う入す る誤 りの2炉型 があった.3 正答率に関 しては2,3年生による差はあまりなかった.
2.調 査 2.1調査の日的
先行調査のテス ト文 (30問)では修飾語が主語の前方に位置す るものが大部分で,修飾語 が名詞の後にある名詞前置修飾の文は3問だけであった. しか しこの3問の正答率は きわめ て低 く,名詞を前方か ら修飾するテス ト文の正答率が76%であるのに対 して28%であった.
また この3問の主語を構成す る語数は4語以上であ り,主語が2語3語の場合は学年が進む につれ正答率 も上昇す るが, この場合はほ とん ど変化を示 していない.
以上の点か ら今回の調査では生徒に困難だと見 られ る名詞前置修飾を とりあげ,主語を修 飾す る修飾語の種拐 (前置詞句,現在分詞句,過去分詞句)お よび述語を構成す る種項 (名
*昭和55年6月中部地区英語教育学会第10回 (長野)大会及び55年8月全国英語教育学会第6回 (広 島)大会において発表.
** 上記中部地区英語教育学会において発表. なお この研究は先行調査と共に文部省科研費 「英語学 習における学習者の誤答分析と教育方法への応用」の補助を受けたものの中間発表である. また小森 忠 (長野市立裾花中)西沢照夫 (同)中村安男 (同篠ノ井東中)書沢邦夫 (飯山市立第1中)堀内‑
穂 (長野市立桜ケ岡中)和田宏一 (同)氏との共同研究である.
*** 一般科英語 教授
原稿受付 昭和55年9月30日
82 長野工業高等専門学校紀要 ・節11号
詞句,形容詞句,前置詞句,現在分詞句,過去分詞句)に よって生徒たちの困難が どのよう に異 るかを調査 しようとした. また生徒が どの点に着 目して英文に動詞をそ う入す るか, 2 つの誤答の短型 とも関係 して考察 しようとした.
2.2 調査方法
被験者は長野市内公立中学校5校の3年生368名, 予備テス トは54年12月に 行い本テス ト は55年1月に実施.テス ト文は生徒たちが使用 してい る教科書 (東書 New Horizon)を参 考に して作成, テス トはペーパーテス トで errorprovokingタイプである. 動詞が予め抜 かれている30問 (主部に前置詞句があるもの10問,同現在分詞句10問,同過去分詞句10問) に指示 されている動詞を適当な位置にそ う入 させ るものである.個 々の生徒の反応は コンピ
ューターで処理 し,個人別反応一覧表,集計表,相関関係表,反応別分布表などを作成 した.
3. 結 果 と 考 察 3.1主語として把握 されやすい語群
表1 主語修飾部の種穎別正答率
表1か ら主語を修飾す る部分が前置詞句の場合,正答率が もっとも高 く,続いて現在分詞 句,過去分詞句 となっている. この差は同時に行 った 本校1年生165名の場合にはもっと大 き く.それぞれ86.9%,71.3%,60.3%であった.この原因については学習の順序, (中学 では この正答率の高い順で学習が行われ る)学習頻度,進行形,受身形の干渉などい くつか のことが考え られ る.
3.2 主語修飾部と述語部との関係
表2か ら主語修飾部が同 じ種類であっても述語部を構成す る語句によってかな り正答率が 表2 主語修飾部と述語部との関係からみた正答率 (%)
45.0 51.8
誤答分析の実際 83 違 って くることがわかる.例えば ThelioncaughtinAfricaissleepinginthecage.の
ように述語部分に現在分詞が きているものは概 して正答率が 高 く (平均63%), A student from Americaisinourcity.のように前置詞句が きているものは正答率が低い(39.6%). 主語修飾部が前置詞句で, 述語部分が 現在分詞の場合, 例えば Thedogwithlongears issleepingatthegate.では正答率は最高で (71.7%), 主語修飾部が過去分詞, 述語部 分が前置詞句,ThelanguagesspokeninCanadaareEnglishandFrench.の場合は最 低(25.1%)であった.また主語修飾部 と述語部が同 じ種類のものThechurchbuiltonthe islandiscalledNotreDame.などはそれぞれの正答率がほぼ同 じであ り, 全体の平均正 答率に近い.
これ らのことか ら生徒たちは前置詞の前には動詞をそ う入 しない傾向があ り,一方現在分 詞の前には動詞をそ う入す る傾向があると言えそ うである.また,過去分詞 と名詞の前に動 詞をそ う入す る慣向はほぼ同 じ程度 と考え られる.
3.3 主語を構成する語数と正答率
表3 主語の語数と正答率 (%) 先行調査の場合,又(Ⅲ)の調査の場合,主語の語数 が増すに従 って正答率が低下 したが,今回の名詞前置 修飾の場合,主語を構成す る語数によって正答率にそ 59.6 れほ どの変化は見 られない (ここでは冠詞 +名詞は1
語 と見なした).
3.4 誤答の類型
表4の368名 の誤答の中の誤答率8%以上の誤答例40文を見て気付 くことは上位の25位 ま で,全体では31例がすべて文頭にある語を主語 として捉え,その直後に動詞をそ う入 してい る. また誤答順位26,31,33,34,39の誤 りは,文頭ではな く文尾に注 目して,文尾 の述語 にな りそ うな語の直前に動詞をそ う入 している.我 々は先行調査において前著を 「Thisis 型誤 り」 とし,後者を 「isnew型」 として2つの典型的な誤 りとした. これ以外の誤 りの 型は文末に動詞を置いている,順位38番 目の文他2例を数えるに過 ぎない.誤 りが この2つ の型に集中す るだろ うとい うことは前回の名詞を前方か ら修飾す る場合の調査の結果か らも 予想 された ことであるが,表4の誤答例か らもはっきり示 されている.
学習者が英文の文頭の語 (句)を主語 と考えてその直後に動詞をそ う入す るのは当然であ ろ う. しか し♯ ThewomanisworkinginthelibraryMrs.Green.とい う誤文で,坐 徒がその位置にisをそ う入 したのは文頭のWOmanに よったのか,後にあ るworkingと い う現在分詞がひきがねになっているのか, それ ともThewomanとworkingの両方が 標識 となっているのか,語順や語形 よりも,単語の意味か ら生徒たちがそ う判断 した のか,
この資料だけで結論づけ ることはできない.
3.4 Thisis型誤 LJの誤答率 と正答率か ら
表5か ら正答率 とThisis型誤 りの 誤答率の和が 高ければ高いほ ど, 生徒の この問題に 対す る反応は正答 とThisis塾誤 りに集中してい るとい うことになる.
その集中度を見 ると,最高は主語修飾部が現在分詞,述語部が前置詞句の場合の92.3%で, 最低で も過去分詞句の組み合せの81.5%であ り,平均は86.4%である.このことか らも,坐 徒の反応がいかに 「Thisis塾誤 り」 と正答に集 してい るか理解す ることが できる.
84 長野工業高等専門学投紀要 ・第11号
表4 テス ト文 と誤答率 *印は動詞描人位直を示す.
順位闘 テ ス ト 文 憎 募
40位以下略 8%未満略
誤答分析の実際
表5 thisis型誤りの誤答率と正答率 *( )内はthisis型誤答率
名 詞 句 lM*嗣 l前置詞句 麿 分詞 麿 分詞 l平 均
85
さて生徒たちの誤 りの中で大 きな割合を占める「Thisis型誤 り」は どうして生 じるのか.
理由はい くつかあるにしても名詞前置修飾の構造の理解が不十分であることがその大 きな原 因であると思われる. しかし我 々は この誤 りを他の「isnew型誤 り」や, 文尾に動詞を置 く塾の誤 りと区別 したい. そ して この誤 りは生徒たちが 名詞前置修飾を 理解す る過程での
「発展的誤 り」 として位置づけたい.仮 りに主語把握に第1次主語把捉 と第2次主語把捉が あると考えるならば,Thisis型の誤 りを した生徒は少な くとも第1次の主語把握はできて いると思 うのである.
4.結論 と今後の間額
1 同 じ名詞前置修飾であっても主語を修飾するものの種塀により,また述語を構成する ものの種塀により正答率にかな りの差があ り,主語 として把握 Lやすいものとしに くい もの を生 じさせている.2 名詞を前方か ら修飾す る型を主 としてテス トした先行調査に くらべ て,今回の調査では主語の語数 と困難度にはあまり差が見 られなかった.3 昨年の調査 と 同様, この調査においても生徒の誤 りは,我々が 「Thisis塾」 と呼ぶ誤答の炉型に集中し ていることが理解された.主語の把捉のステップに仮 りに第1次 と第2次があると仮定すれ ば,第1次把握 とも言えるこの 「発展的誤 り」をどのよう隼 して第2次把撹 (正答)に到 ら せるか.研究課題であ り,実際の指導上の問題でもある.4 生徒たちがどうしてその場所 に動詞をそ う入 したか.教師側の視点 (文法,語形,意味など) と生徒側の視点はかな らず Lも同 じものではないようである.5 関係節による名詞前置修飾などについては今後の調 査課題 としたい.
(Ⅲ) 先 行 調 査 の再 検 証 と音 声 に よ るテ ス ト
1. 先 行 調 査 の 再 検 証
1.1調査の目的 この調査は先行調査 (誤答分析の 実際一中学2・3年生の 主語把握‑
(Ⅰ))で行ったテス トを, 1年経過 した同一時期,昨年の約2倍の被験者を対象に再度実施
86 長野工業高等専門学校紀要 ・第11号
して昨年の調査で明 らかになった事実を再検証 しようとす る.
1.2調査の方法 被験者 長野市内公立中学校4校 の生徒 2年生241名(125)3年生243 名(122)計484(247).( )内は54年 の調査人数.テス r時間15分.テス ト問題は先行調査の際 に使用 した ものと同 じ
1.3結果と考察
1.3.1調査問題 とその結果 表1か らも54年 の調査 と今回の調査では それぞれの問題の 正答率にそれほどの差がない ことがわかる.問題全体の正答率を見 ると昨年 の71%に対 して
本年 のそれは70.5%でほ とん ど差がない.2年生 と3年生の正答率の差を見 ると昨年の2年 生70%, 3年生72%,その差2%に対 して今回は67%対74%, 7%の差であった.
前回テス トと今回のテス トの個 々の問題の正答率の差を調べ ると,最大6%が1問.以下 5%が3間, 4%が1問, 3%が5問で他は同 じか1‑ 2%の差に過 ぎない.6%の差を示 した問題は Thiscarisnew. 5%はThatboy ismy brother.Mike'sbatison the
表1 テス ト問題の1部と結果
設問 :次の各文の中へ,うしろにある ( )内の単語を入れるとしたら,文のどこに入りますか.
その入る部分の番号を‑ 上に書きなさい.
1.That boy my 22 30
16 20
brother
0
O 2 00
1 0 119 25 2.Mike'8
7 11 7 5 3.You
0
1 1 1t
bis (is)12 13.
34 31 7 8
and 2 0 2 3 3 0
(is)
3 2 1 2
4.Which
l o n g e r 813
1 61 1
5. Those
5 4 4 3
5407books9 8 2 2
6. This
数字は百分率% 四捨五入
上‑‑‑ 2年生 中・‑‑・・3年生 下‑・‑‑全体の平均 □‑・・・・正答の位置 ( )‑‑無答 左側・‑‑昨年度 右側・‑‑今年度
誤答分析の実際 desk.A girlfrom Americaisinourclass.である.
1.2.3 主語を構成す る語数 と正答率 表2 主語の語数と正答率(%)
( )内は54年度の結果
87
昨年 の調査で も そ うであったが, 主語を構成す る語 数が増すにつれて正答率は下 っている. とくに前置詞 句に よって主語が後方か ら修飾 され,語数が4語以上 の場合にその傾向が著 しい.2年生 と3年生の差を見 ると,主語が1語で構成 されている場合,その差がほ とん ど見 られないが, 2語の場合9%, 3語の場合15
% と差が大 きくなってお り,語数が 2, 3語の レベル では学習が依然発展 していることを示 している.4語 以上であま り差がないのはすでに触れた ように これ ら の構文は3年生に とっても困難 なことを説 明してい る.
なお2年生 より3年生の正答率が低かった ものに Mike'scameraisthis.のテス ト文があ るが(2年75%, 3年65%), これは3年生が感嘆文を学習 していることか らくる影響 もある と考え られ る.
1.3.3 主語 として把握 されに くい語群 表3, 表4か ら生徒たちは文頭にあって 主語にな 表3 誤答率が高かったテスト文
テ ス ト 文 *は動詞そう入場所 誤答率 l 正答率
♯What*bookonthedesk? 80% 1 20%
♯A girl*from Americainourclass.
♯Tllebook*onthedeskTom'S. 1 61%
♯Tlle丘rstday*oftheweekSunday 45% 1 34%
表4 語答率と主語を構成する語 (誤答率19%以上)
主 語 を 構 成 す る語
I
誤 答 例 文 l2年l3年l謬 名詞*前置詞句 A girlisfromAmericainourclass.Thebookisonth占deskTom'S. Tl10Se辛books
I
Thosearebookshis.What/Which/Whose*名詞 IWhichispencillonger,mineory
o u r
s?
That*形容詞/That*名詞
I
Thatistallboymybrother.This*名詞
I
Thisiscarnew.That+形容詞*名詞/That+名詞*名詞 tThatschoolhaslibrarygoodbooks.
りそ うだ と思われ る語,いいかえれば動詞 (この場合は be動詞,have動詞)に対応で き そ うだと思われ る語を反射的に主語 と把える傾向があることがわかる.確かに英文で主語は 文頭に立つ ことが多い. しか し,極端な例では問題文24で2年生の約10%が♯ Theiscap new.とい う誤 りを犯 している.同 じく20%が♯ Mike'sisbaton thedesk. とい う誤 り
88 長野工業高等専門学校紀要 ・第11号
を, さらに35%が♯ Thisiswatch new. とい う誤 りを してい る. この誤 りは3年生では さすがに2%, 7%,26%と減少 しているが,いずれに しても初学者が文頭にある語の直後 に動詞 とそ う入す る傾向が強い ことが理解できる.なぜ このようなことが起 るか.その大 き な原田は This,That,W hich,W hatなどが指示代名詞,疑問代名詞 として用いられない で,形容詞的に用い られ る場合の理解が不十分であることによるのであるが,それと共に反 射的 とも言えるThisis,Thatis,W hichis とい うパターンが 生徒たちの 中にできあが
っているように思える.我 々は このような誤 りの採型を Thisis塾誤 りと呼んでいる.
また表3には正答率 より誤答率が高かったテス ト文があるが, 1間を除いてすべてが主語 が前置詞句によって修飾 されている名詞前置修飾の型である. この種頬の問題は30間中3問 だけであったが 3問すべて正答率が とくに低 く, 2年生 と3年生 との間の誤答率の差 もほ と ん どない.他の構文の場合には3年生になるに従 って誤答率が改善されて学習が進んでいる ことがわか るが,前置詞句に よって後か ら主語が修飾 されている文の場合はそれがない こと は注 目をひ く.後か ら修飾する形が 日本語の構文に存在 しないか らか,主語を構成す る語数 が多いか らか,いずれに しても中学生には困難なパターンである.
2. 音声テス トによる調査
2.1調査の日的 54年の調査 の結果を学会で発表 した際, 生徒たちが 反射的に文頭の語の 後に動詞をそ う入するThisis型誤 りを す るのは, 音声指導 に問題が あるのではないか.
また,音声指導に よってこの誤 りが訂正できないか.生徒のペーパーテス トに よる誤 りと音 声的な誤 りと関係がないか.な どの問題が指摘 された.
表5 音声テスト a.(2)
1Mike'siscamerathis. 2Mike'scameraisthis. 3Mike'scameratIlisis.
b.(ll)
1Thatistallboymybrother. 2Thattallisboymybrother. 3Thattallboyismybrother.
C.(13)
1Ourhasschoollibrarygoodbooks. 2Ourschoolhaslibrarygoodbooks.
3Ourschoollibraryhasgoodbooks. d.(15)
1ThisiswatchMike'S.
2ThiswatchisMike'S. 3ThiswatchMike'sis.
e.(16)
1Mike'siscameraonthedesk.
2Mike'scameraisonthedesk.
3Mike'scameraonthedeskis.
( )は問題番号 f.(21)
1Thisiswatchnew.
2Thiswatchisnew.
3TIliswatchnew is. g.(23)
1A girlisfrom Americainourclass. 2A girlfrom isAmericainourclass. 3A girlfrom Americaisinourclass.
h.(24)
1Theiscapnew.
2Thecapismew.
3Thecapnew is. i.(26)
1The丘rstisdayoftheweekSunday.
2The丘rstdayisoftheweekSunday.
3The丘rstdayoftheweekisSunday.
]'.(29)
1Thisisanew watch.
2Thisanew iswatch.
3Thisamew watchis.
誤答分析の実際 89
そ こで文字によるテス トで Thisis型の誤 りをした生徒は 音声上で 何かの 特長を示す と 考え, 生徒1人づつに 誤答率の高かった♯ A girlisfrom Americainourclass.と♯
Thatistallboymybrother.♯ Thisiscarnew.などの正答文をできるだけ普通の速 度で音読 させた. この場合, 上に述べたような 誤 りをした生徒は,例えば A girl,That, Thisの直後にポーズを置 くとか,girl,tall,Thisなどに必要以上にス トレスを置 くとか何
らかの音声的特長を示す と考えた. ところが実際に生徒に音読 させてみると個 々の語の発音 に困難があった りして,文全体の リズム,イン トネーションなどの差を表現するレベルにま で到 っていないことがわか り, こちらが期待した音声的特長をチ ェックすることができなか った.そのため聴取テス トに変更せざるを得なか った.
2.2 調査の方法 問題は表5で示 され るような聴取テス トで, 米人が 2回読む中で3間中 正 しいと思 うものを選ばせた.問題はすでに行ったべ‑パーによるテス トの結果か ら,そ う 入された動詞の位置が問題文の 1,2,3に分布 してお り,その分布が比較的平均 しているよ うなものを選んだ. また This,TIlatが形容詞に用い られているもの, 主語が1語以上 よ りなるもの,主語を前置詞句が後方か ら修飾するものなど,正答率が低いものを選んだ.チ ス トは55年5月下旬,被験者2年生78名, 3年生83名.
2.3結果と考察
2.3.1動詞そ う入位置および正答率の比較 文字に よるテス トのこれ ら10問に対する正答 率は66% (2年62, 3年71)に対 して 音声の場合は72% (2年69, 3年75)で6%の上昇であ
り, 2年生の方が 3年生 より伸びが高いのが注 目をひ く.
次に正答率が上昇 した問題でベーパ‑テス トと音声テス トでは動詞そ う入位置が どう変る かを調べてみ る.例えば問題番号23のAgirlfrom Americaisinourclass.の正答率が
23. Agirl from America inourclass. 72 11
30 16
‑42 + 5
26.Tlle丘rst day oftheweek Sunday.
11 47 22 16 +11 ‑31 21.Tllis watch new.
ll.That tall boy 30 11 22 6
‑ 8 ‑ 5
1 3 +2
mybrother.
上段一文字 中段一音声 下段一差 ロー正答の位置
音声テス トで上昇 したのは,音声テス トでは選択肢の数が少ないにしても, A girlの後に 動詞をそ うする生徒が72%か ら30%に液少 したか らである.このように音声テス トによると 我 々の言 うThisis型誤 りがかな り改善されているのがわかる. 問題26では47%‑16%,
90 長野工業高等専門学校紀要 ・第11号
21では28%‑ 9%,11では30%‑22%とい うように.また文字によるテス トで とくに正答率 が低い問題23,・26,11で正答率が急激に高 くなっているのは興味深い.音声 テス トに よって 正答率が低下 したのは16番だけであるが♯ Mike'siscameraonthedeskで この文を正
16.Mike's camera onthedesk 80
1 8‑32
答 とす るものがなぜ こんなに増 した のか.Mike'Sの'Sを動詞の短縮 4 形 と聞 きとったのか もしれない.
言古 2.3.2 同1問題 での 正答 ・誤答の 変化 同 じ問題について文字 と音声 では正答,誤答に どのような変化があ るかを調べ るとお よそ次のようになる.
a文字,音声共に正答 2年48% 3年59% b文字正答,音声誤答2年15% 3年12% C文字誤答,音声正答 2年21% 3年16% d文字,音声共に誤答2年15% 3年12% dに関 して,文字,音声 とも同一のものを選んで誤答 した生徒は2年42%, 3年54%,文字 音声 ともに異 った ものを選んで誤答 した生徒は2年58%, 3年46%であ った.
これ らをみても3年生に比較 して2年生の方が主語把捉 (動詞のそ う入位置)に 「ゆれ」
があ り,未定着であることが推察され る.
2.3.3文字 と音声 の正答数の相関 一般的に見て 音声 テス トに よる 場合の方が正答数が のびている.授業などで成賃の悪い生徒*(表6)も音声テス トの方が 正答数が 伸びている のが注 目され る.
表6 文字と音声の正答数の相関(161人)
10987654321文字テストにょる正答数
l ll 1 ll I
ll
l8 5 回 6I
回
9巨 ・116 13l 回 3 6巨 ・213 L2
I ・回 巨2 5
回
2l 2 日 2.615 ・回
I
・ 回
3 412 ・ l ll
l1日 い 2回l
l l l 巨 ll
2 3 4 5 6 7 8 9 10 音声テス トによる正答数 (人)
文字テストによる正答致
ー12 3 4 5 6 7 8 910
音声テス トによる正答致
図1 文字と音声の正答数の相関(161人)
音声テス トについてはまだパイロッ トテス トの段階であ り,まだまだ考慮すべ きことがあ る.音声 と文字に関 して誤 りに どうい う相関があるか, また この調査 日的で意図 した ことな どに対 してはっきりした回答を用意す ることがで きなか ったが,ペーパーテス トに くらべて 3年生 よりも2年生,できる生徒 よりで きない生徒にこの レベルのテス トでは正答率が伸び 誤答が減 っているのは指導上何かの手がか りにな りそ うである.
誤答分析の実際 91
参 考 文 献
Cancins,H.,Rosanky,E.J.,Shumann,J.H.,1978.Acquisition ofEnglishnegative andinterogativesbynativeSpanishspeakers.InHatch(ed)SecondLanguageAcqui・ sition.Rowley:NewburyHouse.221.
SelinkerL.,1972.Interlanguage.InRicllards(ed)ErrorAnalysis. London:Longman.
3ト54.
諏訪部 ・小森 ・中村 ・吉沢 ・堀内 ・和田 1979,「語答分析の実際‑ 中学2・3年生の主語把握につ いて‑ 」「長野高専紀要」10.67‑74.