金沢大学附属図書館報
シリーズ・図書館を使った論文作成法(1)
論文の作成の流れと図書館の利用
■はじめに
東大教養学部のテキスト『知の技法」がベ ストセラーになったように,今,学問の方法 に対する関心が高まっています。学問の方法 は,従来は,「師の姿を見て学ぶ」といった感 じで,系統的に教えられることはほとんどあ りませんでした。が,’盾報化社会,生涯学習 という言葉がよく聞かれるようになった現 在,学問の方法を知ることは,研究者だけで なく一般社会人にとっても大切なことです。
学問の方法を具体的に展開すると,結局 は,図書館をいかに利用するか,ということ に行き着きます。現在の図書館は,昔の図書 館のように-つの図書館で完結した世界では なく,いろいろなネットワークでつながって います。資料を探すための便利なトゥールも 増えています。図書館は,世界中の学術'情報 への窓口になり,研究をすすめていく上でま ず最初に利用すべき施設ですが,そのことを 知らない人がまだ多いようです。このシリー ズでは,そういう方のために「論文の作成」
という大学に属している限り避けては通れな い大切な仕事のために図書館をどう利用する か,ということを説明したいと思います。
■論文作成の流れ
論文作成の流れとそれぞれの段階で図書館 のできるバックアップは,右ページのように なります。これば,卒論を書く人を想定しま した。ただし,文系・理系の区別をしなかっ たので多少無理な面があるかもしれません。
この流れを簡単に説明すると次のようにな ります。まず,自分の持っている大まかな研 究テーマに関する従来の研究を調べます。漠 然としたテーマは学部や学科を選ぶ時点で決 まっていることが理想ですが,そうでない場
合は,概説書や入門書等をいくつか読んでみ ます。そのうちにその分野の研究史や専門用 語がわかってきます。その研究史の中の不十 分な部分が論文のテーマになる可能'性があり ます。関心はあっても技術的・能力的にでき ない,ということもあるので具体的な論文の テーマは,卒論ゼミの指導教官と相談して決 めることになります。いずれにしても,テー マを持つと持たないでは,資料の読み方,研 究に対する態度の真剣さが違ってきますの で,早めに決めるべきでしょう。
テーマが決まったら,論旨や章立てを考え ます。論旨の進め方は従来の研究を参考にし ます。文学作品を書くわけではないので,ど うすれば論理的な説明ができるか,そのため にはどういう資料が必要か,ということを考 えます。研究史自体が研究テーマになること もありますが,通常は具体的な資料をもとに 何かを明らかにしたり,検証したりするよう な形になります。
次に論文を書くための資料を集めます。こ れには,実験データやアンケート調査結果な
ど自分で作るものと文学作品,統計資料など 既存のものの2種類があります。これらが利 用できるかどうかを早めにチェックしておく 必要があります。
それ以下は,この資料を分析し,まとめる という作業になります。この辺りは図書館と は関係ありません。指導教官のアドバイスを 受けつつ自分で考えて下さい。
以上の作業の結果,結論に達するわけです が,うまく行かない場合は(そういう場合の 方が多いのかむしれませんが),フィード バックを行いどこが悪かったのか検討します。
その後にいよいよ論文の執筆ということにな
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第116号1995年1月10曰 だま
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論文作成の流れ 図書館のできるバックアップ
豆1画※え升蟹鱒譽墓誌………華Ⅲ
2次資料(索引類)の中から参考 になりそうな文献を探す。年
:雲霧雲議欝一 ▼図書館には資料を探すための 道具がたくさんあります。
興味のある
をいくつか
‐書誌調査については,次号で紹介します。
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叩●性のある宗、まず,学内に資料がないか探す(
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…---…--.▼学内に資料がなくてもあきらめ ないで下さい。学外の資料を利 用することもできます。
‐鶏鵬亨1こついては7月号
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★明らかに
フィードバック
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論文執筆のための参考文献。▼論文には,引用文献の書き方,章立
てのパターンなどいろいろなルールがあります。
‐論文執筆の実際については10月号 で紹介します。
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