研究報告 :秋 田大学医学部保健学科紀要
13(1 ):
63‑71
,2005A県内の中 ・高年者の主観的健康感 と生活満足感,健康イメージとの関連
小笠原 サキ子 渡 遣 竹 美 煙 山 晶 子
要 ヒ 日 = l
本研究は, A 県内の中 ・高年者における健康意識について, 生活に対する満足感,自分自身の健康状態の感 じ方お よび健康に対するイメージの実態か ら検討 した.
40歳
〜79歳までの
674名 ( 男性
45.5%,女性
54.5%)に質問紙によ る無記名,留め置き法による調査を行った.その結果,健康状態をよいとする中年 ・高年者は,ともに
7割以上であっ た.生活に対 して満足と回答 した割合は,中年者が 7 割,高年者は 8 割以上であり,高年者が有意に高かった.また, 健康状態をよいと感 じる人は,生活に対する満足感 も高かった.中年,高年者が健康のイメージとして 「 食事がおい
しくたべ られる 」 「 年齢に応 じた体力がある」をあげる割合が高かった.健康状態の感 じ方と健康イメージとの関連 をみると,中年者では健康状態をよい感 じるほど 「 食事がおいしくたべられる」を選択 し,高年者では , 「 年齢に応
じた体力がある」を選択 し,健康状態の感 じ方により,健康に対するイメージが異なることが示唆された.
Ⅰ. は じめに
平成
15年 の簡易生命表1 )によれば, 日本人 の平均寿 命 は,男性
78.36歳,女性
85.33歳 で あ り,
65歳 まで生 存す る者 の割合 は,男性 で
85.3%,女性 で は
93.0%,
80歳 までの生存割合 は,男性
54.5%,女性
76.3%と報 告 されている.年齢
3区分別人 口構成割合では,
65歳 以上 の老年人 口の割合 は,全国平均 で は
19.0%とその 割合 は年 々上昇 している. また,平成
15年 の死因別主 要疾患をみ ると,第
1位が悪性新生物,第
2位心疾患, 第
3位脳血管疾患 といわゆ る生活習慣病 による死亡 は, 全死亡者数
59.2%を占めて いる. これ ら死因別主要疾 患 のなかで は,高齢者 の脳血管疾患 による死亡率 の低 下が注 目されている.超高齢化社会 を迎 えた現在,長 寿健康づ くりをどのよ うにす るかが優先課題であろう.
次 に
A県 の デ ー タ
2)をみ る と, 老年 人 口の割合 は
25.6%(同県前年比
+0.6%)と全 国平 均 に比 べ は る か に高 く,全国で
2番 目に高 い割合であ る. また人 口 増加 をみ ると,平成
5年
〜15年 の
10年間の全国の人 口
2.3%の増加 に対 して, A 県 で は
‑4.03%と継続 的 に
減少 している.死因別主要疾患
(2001年 デー タ) につ いてみ ると,第 2 位脳血管疾患,第 3 位心疾患 と全国 データと比べ ると 2 位 と 3 位が運転 してお り, 3 大疾 患 によ る死 亡 は, 全死亡者 の
61.3%(同年 の全 国比
59.8%)を占めている. また,特筆すべ き点 と して は, 平成 7 年か ら
15年 までの 9 年間の自殺率が ワース トワ \
ンとい う状況が続 いている. さ らに都道府県別の通院 者率 の比較 で は, A 県 は最 も高 い県 とな っている3 ) .
WHO
で は健康 の概念 を 「 健康 とは,状態であ り, それ は完全 に,身体的,精神的そ して社会的 に良好で あ り, 単 に疾病 や虚弱 で ない とい う状態 で はな い
」4)と定義 してい る. また,健康状態 の感 じ方
5)や生活満 足感,健康 に対す るイメー ジは,健康 にかかわ るライ フスタイルや生活習慣,生活行動 に影響 を与 え る もの であると報告 されている
6・7・8・9)本調査で は,
A県 内の
40歳
〜79歳 の中 ・高年者 の 自 分 自身 の健康状態 の感 じ方 と生活 に対す る満足感,健 康 に対す るイメー ジとの関連 について検討 したので報 告す る.
秋 田大学医学部保健学科看護学専攻
KeyWords:中 ・高年
主観的健康感
健康イメージ
(64)
小笠原 サキ子
/A県内の中 ・高年者 の主観的健康感 と生活満足感,健康 イメージとの関連
Ⅱ.調査方法
1 .調査対象
調査対象 は,
A県 の住民基本台帳か ら
69市町村 の人 口に比例 し,無作為抽 出 した
15歳
〜79歳 の
2000名 と し
た .
2.
調査期間
2003
年
10月.
3.
調査方法
1
)健康 とライフス タイルに関連す る意識 ・行動要 因 と して,健康状態 の感 じ方 ( 以下, 「 主観 的健 康感」 と記す),生活 に対す る満足度 ( 以下,「 生 活 の満足度」 と記す),健康 に対す るイメー ジ( 以 下,「 健康 のイメー ジ」ノ と記す),健康づ くりの態 度,生活習慣,身体観,性格観,対人関係,寿命 観 に関す る意識 など
13項 目と回答者 の属性 を現す
12
項 目の計
25項 目か らなる調査票 を作成 した.
2
)調査票 は,
A県総合健康事業団および各地域 の 食生活改善推進協議会 の調査員等 の協力 を得 なが ら,
58市 町村
1021名 に配布 し,留 め置 き,
1008名 か ら回収 した ( 回収率
98.7%).3
)調査 は無記名 と し,調査 の主 旨につ いて書面 を もとに説明を行 い,対象者 の自由意志 に もとづ き 同意 の得 られた人か ら回収 した.
4.
分 析
本調査 は,調査実施対象者 の うち
40歳
〜79歳 の
674名 を分析対象者 と した.年齢層が
40歳代 か ら
70歳代 と 幅があるため, この年代 の心身 ・社会面 の加齢的変化 を考慮 し,
674名 の対象 を さ らに
40歳
〜59歳 を中年者,
60
歳
〜79歳 を高年者 と して集計 し比較検討 した.統計 処理 には
SPSSforWindowsVersin10.0を用 い,年 代差,性差 につ いて は,
x2検定,相 関関係 は単相 関 係数 を用 いた.
0% 25%
40
歳代 50 歳代
60歳代 70 歳代 全 休
Ⅲ.結 果
1 .対象者の基本属性 1 )年齢層 および性別
対象者
674名の年齢層 は,
40歳代
186名
(27.6%),
50
歳代
197名
(29.2%)で あ り, これ を中年者 と し,
60歳代
197名
(29.2%),
70歳代
94名
(13.9%)を高年者 と した.性別 は男性
307名
(45.5%),女 性
367名
(54.5%)であ った ( 図
1).2 )通院の状況
持病 などによ り定期的 に医療機関を受診 して い る人 は, 中年 者
120名
(31.5%), 高 年 者
183名
(64.1%)
と高年 者 が高 く, 年代 と通 院割合 には 関連性が認 め られた ( 表 1).
3
)入院経験状況
病気 あるいはけがで 1週間以上 の入院経験 のあ る人 は, 中年 者
193名
(50.5%), 高 年 者
181名
(63
. 4%) と高年 者 が高 く,年 代 と入 院経験 の有 無 には関連性が認 め られた ( 表 2) .
4
)健康診断の受検状況
健康診 断 を毎年受 けて い る もの は, 中年者
3()8名
(80. 4%),高年者
256名
(88.3%)と高年者 が
表 1 年齢層別の通院状況 人数 ( %) 通院 してい る 通院 していない 計 中年者
120(31.7) 259(68.3) 379(56.7)高年者
183(63.3) 106(36.7) 289(43.3)計
303(45. 4)
365(54.6) 668(100)df‑1 x 2
値
65.029p
<0.001表
2年齢層別 の入院経験状況 人数 ( %) 入院経験 あ り 入院経験 な し 計 中年者
193(50.5) 189(49.5) 382(56.9)高年者
181(62.6) 108(37.4) 289(43.1)計
374(55.7) 297(44.3) 671(100)df‑1 x 2値9.774 p<0.
00 1
50% 75% 1 00%
田男性 ロ女性
図 1 性 ・年齢層別分析対象者数
表
3年齢層別 の健康診断受検状況 人数 ( %) 毎年受 けている
2‑ 3年毎 不 定 期 全 く受 けていない 計 中年者
40歳代
50
歳代 高年者
60歳代
70歳代
144 (77.6) 164(83.2) 174 (88.3) 82(88.2)
ー
) )
ヽtノ911
345441し′̲\/̲\′し90841 23,
(12. 4 )
9(4.9 )
185(27・5) 19(9.6) 4(2.0) 197(29.3) 8(4.1 )
7(3.6) 197(29.3) 6(6.5) 1(1. 1 )
93(13.8)計
564 (83.9) 31(4.6) 56(8.3) 21(3. 1 )
672(100)df
‑ 1 x2値
9.774 p<0.001表
4年代別の生活 の満足度 人数 ( %)
満 足 群 非 満 足 群
大 変 満 足 ま あ 満 足 やや不満足 大 変 不 満 計
15(4.0) 245(64.6) 102(26.9) 17(4.5) 379(56.7) 30(10.3) 215(74
. 1 )
39(13. 4 )
6(2.1 )
290(43.3)計
45(6.7) 460(68.8) 141(21. 1 )
23(3. 4 )
669(100)df
‑ 3 x2値
29.040 p<0.001表
5年代別の主観 的健康感 人数 ( %)
健 康 群 非 健 康 群
よ い ま あ よ い あま りよ くない よ̲く 計
38(10.0) 247(65.0) 89(23
. 4 )
28 (9.7) 192(66.7) 60(20.8)ヽノヽノ6812
′し
(68 380(56.9) 288(43. 1 ) 計
66(9.9) 439.(65.6) 146(22.3) 14(2.1 )
668(100)df
‑ 3 x2値
1.697高 く,年代 と健康診断の受検状況 は関連性が認 め られた. また,中年者 で,健康診断の受検が 「 不 定期」 と回答 した人 が
42名 ( l
l.0%)で あ った
( 表
3).2.
生活の満足度
現在の生活の満足度 は,「 大変満足」 と 「まあ満足
」を合わせた ものを 「 満足群」,「やや不満
」「 大変不満」
をあわせた ものを 「 非満足群」 とし,比較 した.満足 群 は,中年者が
260名
(70.6%),高年者 は
245名
(84.4%) と高年者が高 く,年代 と生活の満足度 には関連性 を認 めた ( 表
4).3.
主観的健康感 1 )主観的健康感
主観的健康感 につ いて,「よい
」「まあよい」 を 合わせ た 「 健康群」 と 「あま りよ くない
」「よ く ない」 を合わせて 「 非健康群」 と し,比較 した.
健康群 は,中年者で
285名
(75.5%),高年者で は
220名
(76. 4%) で あ ったが,統計 的 には,年代 と主観 的健康感 には関連性 が認 め られなか った
表
6年齢層別の健康群 ・非健康群の割合 人数 ( %) 健 康 群 非健康群 計 中年者
40歳代
143(77.3) 42(22.7) 185(27.7)50
歳代
142(72.8) 53(27.2) 195(29.2)高年者
60歳代
144(73.5) 52(26.5) 196(29.3) 70歳代
76(82.6) 16(17. 4)
92(13.8)計
505(75.6).163(24.
4)
668(100)df
‑ 3 x2値
4.038( 表
5).表
6に,年齢層別 の健康群 ・非健康群 の 割合を示 した.健康群 の割合が高か ったのは,
70歳代であった. また,健康群の割合が低下 した年 代 は
50歳代 であ った.性別でみ ると,健康群 の 割合が高か ったのは,男性,女性 ともに
70歳代で あ った. また,健康群 の割合が低下 した年代 は, 男性では
50歳代,女性では
60歳代であった ( 表
7, 表
8).2
)主観的健康感 と通院の有無
主観的健康感 による通院の有無をみる,中年者,
高年者 ともに主観的健康感 と通院割合 には関連性
が認め られた.それぞれの特徴 をみ ると,中年者
(66)
小笠原サキ子
/A県内の中 ・高年者の主観的健康感 と生活満足感,健康イメージとの関連
で は,健康群 で通院 して い る人 は1
9.7%,非健康群 で通 院 して いない人 は
12.8で あ った.高年者 で は,健康群 で通院 して い る人 は42.
3%,非健康群で通院 して いない人 は20 . 4%であ った ( 表
9) .
3)主観 的健康感 と健康診 断 の受検状況
主観 的健康感 によ る健康診断 の受検状況 をみ る と, 中年者 において,健康群 で毎年健康診断 を受 検 して い るの は
60. 4%,非健康群 で毎年健康診 断 を受検 して いるのは20.
1%であ った.高年者 で は,表
7男性の年齢層別の健康群 ・非健康群の割合 人数 ( %) 健 康 群 非健康群 計 中年者
40歳代
67(75.3) 22(24.7) 89(29.3)50
歳代
61(67.8) 29(32.2) 195(64.1 ) 高年者
60歳代
64(75.3) 21(24.7) 196(64.5) 70歳代
34(85.0) 6(15.0) 92(30.3)計
226(74.3) 78(25.7) 304(100)df‑ 3 x2
値
4.497表
8女性の年齢層別の健康群 ・非健康群の割合 人数 ( %) 健 康 群 非健康群 計 中年者
40歳代
76(79.2) 20(20.8) 96(26. 4 )
50
歳代
81(77.1 )
24(22.9) 105(28.8)高年者
60歳代
80(72.1 )
31(27.9) 111(30.5) 70歳代
42(80.8) 10(19.2) 52(14.3)計
279(75.6) 85(24.
4)
364(100)df‑ 3 x2
値
2.147表
9主観的健康感による通院の有無 人数 ( %) 通院している 通院していない 計 中年者 健康群
74(19.7) 209(55.6) 283(76.3) n‑376非健康群
45(12.0) 48(12.8) 88(23.7)df‑ 1 x2
値
16.003 p<.001高年者 健康群
120(42.3) 97(34.2) 217(76. 4)
n‑284非健康群
58(20. 4 )
9(3.2) 67(23.6)df‑ 1 x 2
値
21.395p
<.001健康群で毎年健康診断 を受検 して いるの は69.
0%,非健康群 で毎年 健康診 断 を受検 して い るの は
19.5%であ った.統計 的 には中 ・高年者 ともに主観 的 健康感 と健康診 断 の受検状況 には関連性 が認 め ら
れ なか った ( 表
10).4
)主観的健康感 と生活 の満足度
表
11に,主観 的健康感 によ る生活 の満足度 を示 した.中年者,高年者 ともに主観 的健康感 と生活 の満足度 に関連性 が認 め られた.
中年者 にお いて,健康群 で満足群 は
57.7%,罪 健康群 で満足群 は
11. 1%であ った.高年者 にお い て,健康群 で満足群 は71.
1%,非健康群 で満足群は1
3.6%であ った.表
12は,主観 的健康感 と生活 の満足度 との単相 関係数 で あ る. 中年者,高年者 ともに有意 な比較 的高 い相 関関係 がみ られ,主観 的健康感 と生活 の 満足度 は相互 に関連 し合 って いた.
4.
健康 のイメー ジ 1 )健康 のイメー ジ
中年 ・高年者 が健康 のイメー ジと して選 んだ割 合 とその順位 を図
2に示 した.順位 につ いて, 両
裏目
主観的健康感による生活満足度 人数 ( %) 通院している 通院していない 計 中年者 健康群
218(57.7) 66(17.5) 284(75. 1 )
n‑378非健康群
42( l l . 1 )
52(13.8) 94(24.9)df‑ 1 x2
値
36.930p
<.001高年者 健康群
204(71.
1)
15(5.2) 219(76.3) n‑287非健康群
39(13.6) 29(10.1 )
68(23.7)df‑ 1 x2値55.453 p<.001
表
12主観的健康感と生活の満足度との相関係数 (ピアソ ンの相関係数)
中年期
n‑378高年期
n‑287r
.345**
.483* *表
10主観的健康感による健康診断の受検状況
人 数( %
)毎年受 けている
2‑ 3年毎
中年者 健康群
229(60. 4)
12(3.2) n‑379非健康群
76(20.1 )
7(1.8)不 定 期 全 く受けていない
計33(8.7) 11(2.9) 28
5
(75 . 2 )
9(2. 4)
2(3.7) 94
(24. 8 )
df‑3 x2値
2.353高年者 健康群
198(69.0) 9(3.1 )
n‑287非健康群
56(19.5) 3(1.0)9(3.
1 )
4(
1.4) 220(76.7) 5(1.7) 3(
1.0) 67(23.3) df‑3 x2値
2.9440
25
50 75 100%表 1 3 主観 的健康感 による健康 のイメー ジ 人数 ( %)
健康群 非健康群 計 df
x2値
p値
年齢 に応 じた体 力 激 しい運動 がで きる体力 気持 ちの‑ リ
中年者 悩 み ス トレスが少 ない n
‑376よ く眠れて 目覚 めが良 い
食事 がお い しく食べ られ る 健康診 断で異常 な し
持病 があ って も生活支障 な し
185(65.8)
②
57(20.3)⑦
154(54.8)④
119(42.3)⑥
171(60.9)③
232(82.6)①
124(44.1 ) ⑤
56(19.9)⑧
62(65.3)
②
22(23.2)⑦
57(60.0)③
57(60.0)@
54(56.8)⑥
65(68. 4)①
56(58.9)⑤
22(23.2)⑦
247(65.7) 79(21.0) 211(56.1
)
176(46.8) 225(59.8) 297(79.0) 180(47.9) 78(20.7)11111111 733243960220800953202002
03846580157875450378452400080860
年齢 に応 じた体力 激 しい運動 がで きる体力 気持 ちのハ リ
高年者 悩 み ス トレスが少 ない n
‑2 8 8 よ く眠れて 目覚 めが良 い
食事 がお い しく食べ られ る 健康診断で異常 な し
持病 が あ って も生活支障 な し
172(78.2)
@
70(31.8)⑧
136(61.8)④
115(52.3)⑤
152(69.1 ) ③
205(93.2)①
102(46. 4)⑥
78(35.5)⑦
44(64.7)
②
ll(16.1 ) ⑧
30(46.2)3) 30(411
.1 )⑤
31(45.6)④
48(70.6)①
30(44.1)( 9
25(36.8)3
)216(75.0) 81(28.1
)
166(57.6) 145(50.3) 183(63.5) 253(87.8) 132(45.8) 103(35.8)1 5.031
1 6.287
1 6.665
1 1.382
1 12.386
1 24.837
1 0.106
1 0.039
088011762005002700010044
○内の数字 は選択率 の順位 を示す
(68)
小笠原サキ子
/A県内の中 ・高年者の主観的健康感 と生活満足感,健康 イメージとの関連
者 ともほぼ同様の傾向を示 してお り, 1 位 は 「 食 事がお い しくたべ られ る」,
2位
〜 4位 まで は, 同順であ った.「 年齢 に応 じた体力がある
」「ある 程度激 しい運動がで きる体力が あ る
」「 食事 がお い しくたべ られ る
」「 持病 などが あ って も社会生 活 に支障がない」 は, いずれ も高年者で選んだ比 率が高 く,年代 と健康 のイメー ジには関連性が認 め られた.
2 )主観的健康感 と健康 のイメー ジ
主観的健康感 と健康 のイメー ジに関連性が認 め られた ものが あ った. 中年者 で は, 非健康群 が
「 悩みやス トレスが少 ない
」「 健康診断で異常な し」
の選択率が高 く,健康群 は 「 食事がおい しくたべ られる」の選択率が高か った.一方,高年者では, 健康群 が 「 食事がおい しくたべ られ る
」「 年齢 に 応 じた体力がある
」「よ く眠れて 目覚 めがよい」
「 気持 ちの‑ リ
」「 激 しい運動がで きる体力」 の選 択率が高か った.
Ⅳ.考 察
1 .主観的健康感 と通院,入院経験,健康診断受検状 況 との関連性
1
)健康状態の感 じ方
本調査 における主観的健康感の結果を他県のデー タと比較 し,
A県 内の中・ 高年者 の主観 的健康感 の特徴 を明 らかに したい.
地域性 は異 なるが,
20歳以上 を対象 とした東京 都 の調査
10)では,健康状態 を 「よい」 と回答 した 割合 は
1990年
(27.0%),
1994年
(31.6%),
1997年
(37.8%)と増加 し,
2001年 は
34.6%である.
また,健康群 の割合 は
84.0%,非健康群 は
16%で あった.本調査の対象 は中 ・高年者 に限定 してい るが,健康状態を 「よい」 とす る割合 は,中年者
10.0%, 高年者
9.7%と大 き く落 ち込 んで い る. . また,健康群の割合 は,中 ・高年者 ともに
70%台 であ り,本調査の対象 のほうが健康群 の割合 は低 い傾向にあるといえ る. しか し,隣県であ り,高 齢化が進み,平均寿命が最下位 とい う青森県内の 対象者 にお ける調査
(20歳代 か ら
60歳代
)6)の
40歳代 と
50歳代 にお ける健康群 の割合 は,
67.1%,
60歳代 で は
65.6%であ り,本調査 の当該年齢層の
ほうの,健康群の割合が高 い.
さらに,
A県の過去 のデータをみ ると,年齢区 分が異 なるため,単純 に比較で きないが,
2002年 の
A市 内
20歳以上 の男女 の調査結 果
(45‑64歳
75.2%)ll)と本調査 の中年者 の結果 は, 同 じよ う
な傾向を示 している.
本調査 の主観的健康感 について,男性,女性 と もに年齢層 による主観的健康感 に統計的には関連 性 はみ られていない. しか し,健康群 の割合 は. , 男性では
50歳代 の減少が 目立 ち,女性で も
50歳代 で減少,
60歳代で さらに減少 している. この点 は, 主観的健康感の特徴 として考え られないだろうか.
男性,女性 とも
50歳代,
60歳代で健康群 の割合が 減少 した理 由 と して,中年期 において,如実 に認 識 させ られ る体力 の衰えの 自覚
12),更年期 のおけ る身体的不調1 3 )なども要因 としてあげ られ る.岡 本 は
2),人生半 ばを越 え る心理 と して 「 将来 に対 す る時間的展望 のせばま り」や 「 生産性や限界感 の認識」 は, 自己に否定的な認識をさせ るという.
主観的健康感 も,心身の変化 の体験 と認識 に影響 を受 け,加齢 による変化 を示 していると考え られ る. しか し,
70歳代で健康群 の割合が,再 び増加 していることに注 目したい.下仲
14)は,高年 になっ て も健康 の 自己評価が高 く維持 され,長寿者 はど 自分の行動 を統制す ることによ り,不安 を適切 に 処理 していることがその理 由と報告 している∴ 本 調査の高年者 の結果か らも,同様 な ことが類推 さ れ る.
2 )主観的健康感 と通院,健康診断受検状況 との関 連性
平 成
13年 の
A県 全 体 の通 院者 率 は人 口千 対
354.7と全国第
1位である
3).本調査 において は, 年代が高 くなると通院す る人が多 くな ってお り, 中年者が
31.5%,高年者が
64.1%であ る. 日本人 の
65歳以上 の
6割以上 が通院者 であ るとす るデ ー タ
3)と類似す る結果である.
青森県 内の
20歳代 か ら
60歳代 を対象 と した調 査
6)で は,通院者割合 は
40歳代が
31.4%,
50歳代 が
45.0%,
60歳代 が
56.3%であ り,本調査 の当該 年齢層で は, それぞれ
26.9%,
36. 4%,
63.3%で あ った.単純 に比較す ると,通院者率 は,中年者 で は A 県のほうが低 いが,高年者 は, A 県 のほう が高 いといえ る.
次 に,主観的健康感 による通院の有無 の割合 を み ると,中 ・高年者 ともに主観的健康感 による通 院の有無 には関連性が認 め られ る.詳 しくみてみ ると,中年者で は,非健康群であ って も
1割以上 が通院を していないこと,高年者では,健康群で 通院 しているのは
4割以上である.
1割 とはいえ, 中年者 において,健康状態 をよ くないと感 じて い
る人 の健康 の維持,回復 に向けて通院以外 の対処
行動 について探 ることが課題である
.A県 にお い
ては,「 健康」1 5 )の観点 として,病気や障害の有無 にかかわ らず,社会生活での自己実現,生活の質 の向上 とい うことが示 されている.高年者 にとっ て,通院 も健康の回復,維持 のための対処行動の ひとつ とす るな らば,健康群 の高年者 の通院率の 高 さにつ なが ると考え られる.
健康診断の定期的な受検 は中年者,高年者 とも に
8割以上である.統計的には,主観 的健康感 と 健康診断受検状況 との関連性 は認 め られていない が,特徴的な点 をみると,高年者 において,健康 群が定期的な受検率が高か った. また,中年者 に おいて健康診断の受検 が 「 不定期
」「 全 く受 けて いない」 と回答 した人が
1割以上であ った点 につ いて, その要因の分析 が必要であろ う.
2.
主観的健康感 と生活の満足度 との関連性
生活 の満足度 は, 「満足群」 は, 中年者 が
70.6%, 高年者 は
84.
4% と高年者 の ほうが高 く年代 と活 の満足 度 には関連が認 め られた. これは,中年者 と高年者 の 社会的経済的 に求め られ る役割課題が異 なることも理 由のひとつであろ う. さ らに,「 満足 とす る」基準 が 中年者 と高年者では異 な り,高年者 はその基準 を修正 す ることで,生活の満足度 を保 っていると考え られる.
青森県内の
20歳代か ら
60歳代を対象 とした調査
6)では,
「満足群」 は
40歳代 と
50歳代 を合 わせて
61.3%,
60歳 代が
69.2%である.本調査 の当該年齢層 で は, それぞ れ
68.6%,
85.7%であ り,単純 に数字 だ けを比較すれ ば,
A県内の中 ・高年者 のほうが現在 の生活 に対す る 満足度が高 いといえ る.
中年 ・高年者 ともに,主観的健康感 と生活の満足度 とは比較的高 い相関関係があ り,健康がす ぐれないと 生活満足度 に大 きな影響 を与えることが明 らかにな っ た.社会経済的な要因が生活 の満足度 に大 きな影響を 与 えることは報告 されて いるが
6), よ り直接的 には主 観的健康感が生活の満足度 に大 きな影響 を与えている
といえよ う
6).3.
主観的健康感 と健康のイメー ジとの関連性 健康のイメー ジと して中年者 と高年者 で選ばれた順 位 に着 目す ると,
1位か ら
4位 までは共通 してお り, 1位 は 「 食事がおい しくたべ られ る」,
2位 は,「 年齢 に応 じた体力がある」,
3位 は 「よ く眠れて 目覚 めが よい」,
4位 は 「 気持 ちに‑ リがある」 である.
20歳 以上を対象 と した
2001年 の東京都 の調査
10)で も,
1位 か ら
3位 までは,同様 な順位である. また,中年者 の 順位 は,青森県 を対象 と した調査
6)とま った く同 じで ある.
本調査で年代 と健康 のイメー ジとに関連が認め られ たのは,「 年齢 に応 じた体力がある
」「ある程度激 しい 運動 がで きる体力が ある
」「 食事がおい しくたべ られ る
」「 持病 などがあ って も社会生活 に支障がない」 と いずれ も高年者で選んだ比率が高か った. これは,高 年者が加齢 によ り,失われてい く体力,持病があ って も,現実の生活 において,食事がおい しく食べ られ る こと, あま り支障のない社会生活 を送 っていることか ら健康 のイメージとしてあげ られていると考え られ る.
主観的健康感 による健康 イメージとして,中年 ・高 年者 に共通 していることは,健康群 は 「 食事がおい し
く食べ られ る」 ことを健康 のイメー ジとしていること で あ る.詳 しくみてみ ると, 中年者 で は, 健康群 は
「 食事がおい しくたべ られ る」 を選択 し,非健康群 ほ ど 「 悩 みやス トレスが少 ない
」「 健康診断で異常 な し」
を選択 している. これ は,中年者の現実 の生活 におけ る,体力の低下 の自覚,悩みやス トレスの体験が逆 に 期待す る健康 のイメー ジとして選択 された可能性 もあ げ られ る.高年者で は,主観的健康 と健康 のイメー ジ とに関連性が認 め られ る項 目数が
5個 と多 く,主観的 健康感 に健康のイメー ジが影響 を受 けていることが伺 える.
Ⅴ.
おわ りに
本研究 は, A 県内の
40歳か ら
79歳 までの中 ・高年者 を対象 に主観的健康感 と生活の満足度,健康 のイメー ジにつ いて調査 した.その結果,以下 の ことが明 らか にな った.
①中 ・高年者 の
7割以上 は,健康状態が 「よい」 と
「まあよい」 と感 じていた.
②通院者率 は,中年者が
3割以上,高年者が
6割以 上 であ ったが,中年者で は,非健康群で通院 して いないのは
1割以上であ り,高年者では,健康群 で通院 している人 は
4割以上であ った.
③生活の満足度 は, 中年者が 7 割,高年者 は 8 割以 上 と高か った. また,主観的健康感が,生活 の満 足度に影響 を与えていることが示唆 された.
含健康のイメー ジは,中年者では健康群が 「 食事が お い しくたべ られ る」 を選択 し, 高年者 で は, 食事がおい しくたべ られ る
」「 年齢 に応 じた体力 がある
」「よ く眠れて 目覚 めがよい
」「 気持 ち・ のハ リ
」「 激 しい運動がで きる体力」 の選択率が一貫 して高 く,主観的健康感 によ り,健康 のイメー ジ が異 なることが示唆された.
主観的健康感が, ライフスタイルや生活習慣,生活
行動 に及ぼす影響が大 きい. したが って,今後 は,主
(70)
小笠原サキ子 /A県内の中 ・高年者の主観的健康感と生活満足感,健康イメージとの関連
観 的健 康 感 と健 康 づ く り, 生 活 習 慣 , 実 際 の生 活 行 動 との関連 の分 析 が必 要 で あ る.
本調査 は,埼玉県立大学,青森県立保健大学,沖縄 大学,長野県世論調査協会 ,秋 田大学 によ って実施 し た共同研究 の うち, A県 のデータを もとに報告 した.
文 献
1 )財団法人厚生統計協会編 :国民衛生 の動 向 ・厚生 の指 標臨時増刊,第51 巻第
9号,財団法人厚生統計協会, 東京,2
004,pp67‑852)秋 田県企画振興部統計課編 :わが まちわがむ ら100
の 指標.秋 田県統計協会,秋 田県,2
003.pp1‑200 3)前掲1)
,pp714)WHO
( 世界保健機構) の健康 の定義.入手先
(http://www.who.int/about/definition/en/)( 参照2
005.1.31 )
5)松 田正 己 :地域看護 の理念 と活動分野 (
公衆衛生 の理 念).地域看護学概論.奥山則子他著,医学書院,秦 京,2
004,pp15‑166)
坂井博通,佐藤秀絶 ・他 :健康 と寿命 にかわるライフ スタイルの要因研究一青森県 と長野県 の生活習慣 とラ イフス タイルの比較‑.青森県,2
004,pp1‑44 7)渡追竹美,吉崎克明 :健康 と寿命 にかかわ るライフスタイルの要因研究一健康 とライフスタイル報告書一秋
田県データの分析‑.青森県,2
004,pp45‑63 8)荻原忠,高橋恵子 ・ イ也:職場保健へのアプ ローチ ( 第
1 報)一職業別の健康意識 ・食生活‑,秋 田農村医会 誌,第43 巻第
1号
2号合併号 :
42二42,19979)加藤育子,富永祐民 ・他 :職業別 にみた健康 ・生活習
慣, 日本公衛誌,第39 巻第1 1 号 :
830‑837,1992 10)都民 の声部調査広報課世論調査係 :「健康 に関す る世
論調査」の調査結果 ( 詳細).東京都.( オンライン),入 手先
(http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2001/01/60BIJIOO.HTM)(
参照2
005.1.18)ll)秋 田市保健所保健総務課 :市民の健康状況 と健康課題
( 第 2 節意識調査から見た市民の健康).秋 田市.( オンラ イン),入手先
(http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2001/0
1
/60BIJIOO.HTM)( 参照2
005.1.17) 12)岡本祐子 :人生半ばを越える心理.講座生涯発達心理学
5老いることの意味.初版,無藤隆 ・他編,金子 書 房,東京,1
995,pp41‑8013)下仲順子 :中年期の発達.発達心理学入門 Ⅱ青年 ・成
人 ・老年.
3版,無藤隆 ・他編,東京大学 出版会, 東 京,1
993,pplO 1
‑11814)下仲順子 :高齢イヒ社会 における新 しい老人像.講座生
涯発達心理学
5老 いることの意味.初版,無藤隆 ・他 編,金子書房,東京,1
995,pp81‑11615)