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(1)

CGアニメーションを用いた施工管理支援に関する研究  

1999年 3月  

熊本大学大学院自然科学研究科  

福 地 良 彦   

(2)

次  

第1章 序 論   1  

1   

1    1   

2   3  

1.1 まえがき  

1.1.1 時代背景  

1.1.2 学術的研究動機.…....  

1.1.3 実務経験的研究動機   1.2 建設業における情報技術利用  

1.2.1 はじめに  

3  

1.2.2 情報化施工ComputerIntegratedConstruction(CIC).._…………...3   1.2.3 ComputerGraphicsAnimation(CGアニメーション)___…_. .....____.5   1.3 建設CALS/EC  

l.4 本研究の概要  

1.5 用語説明   ….…._………●●…….…._______……●●●.………▼.._.……‥…‥……….…_‥_…_._.……. 

9  

参考文献 …__.……….._……_…_….…………●_●…_……..…‥_…−……….…………...___………__…__−.…_.  10   第2章 qGアニメーション  

2.1 まえがき  

12   12   14   14   14    15   16   16   18    18  

2.2 CGアニメーションの適用分野   2.2.1 はじめに  

2.2.2 娯楽分野での利用   2.2.3 産業分野での利用  

2.2.4 科学技術分野でのの利用   2.2.5 学術分野での利用  

2.3 施工段階におけるCGアニメーション  

2.3.1 はじめに  

2.3.2 プレゼンテーションとしてのCGアニメーション   18   2.3.3 CGアニメーションによるプレゼンテーションの構成要素 …‥.….20  

2.3.4 まとめ   24   

2.4 CGアニメーションの分類  

2.4.1 はじめに  

2.4.2 録画アニメーション  

2.4.3 リアルタイムアニメーション   参考文献  

第3章 施工管理支援としてのCGアニメーションの展開   3.1 まえがき  

3.2 建設プロジェクトライフサイクルにおける適用   3.2.1 建設プロジェクト  

3.2.2 CGアニメーション適用の利点   3.2.3 まとめ  

3.3 施工管理支援システムの提案   3.3.1 はじめに  

3.3.2 システムの概要  

(3)

3.3.3 システム導入における前提条件   3.3.4 システム構築  

3.3.5 システムの適用性   3.3.6 まとめ  

参考文献  

第4章 適用事例研究   4.1 まえがき  

4.2 CGアニメーション技術の要件定義   4.3 録画アニメーションの適用事例  

4.3.1 はじめに  

4.3.2 高架橋復旧工事での適用事例   4.3.3 大規模土取り工事での適用事例   4.3.4 事例研究考察  

4.4 リアルタイムアニメーションの適用事例   4.4.1 はじめに.…..…__  

4.4.2 大規模土取り工事での適用事例  

4.4.3 事例研究考察__●…_…………●_…….……….……●…………__  

4.5 施工管理支援システム実証実験   4.5.1 はじめに  

4.5.2 田島ダムの概要と特徴………_……..  

4.5.3 施工管理支援システムの適用事例   4.5.4 周辺景観整備への適用  

4.5.5 研究事例考察  

参考文献  

第5章 結  論  

付章1 CG技術解説   1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1    1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2   7 7 7 7 7 8 8 9 9 9 0 0 1 1 2 3  

付1.1 まえがき   付1.2 モデリング技術   

付1.2.1 はじめに  

付1.2.2 ワイヤーフレームモデリング   付1.2.3 サーフェスモデリング    付1.2.4 ソリッドモデリング   付1.3 レンダリング(描画)技術  

付1・.3.1 はじめに   付1.3.2 照明技術   付1.3.3 映り込み   付1.3.4 陰影処理技術   付1.3.5 陰面処理技術  

(4)

123   123   123   124   125   125   125   125   128   付1.4.1 はじめに  

付1.4.2 キーフレームアニメーション   付1.4.3 階層リンク構造  

付1.4.4 その他の技術   付1.5 アニメーション作成手順  

付1.5.1 はじめに  

付1.5.2 ストーリーボード作成   付1.5.3 モデリング.…−__−−  

参考文献  

付章2 施工管理の現状   129  

付2.1 四大施工管理項目   付2.1.1 はじめに   付2.1.2 工程管理   付2.1.3 品質管理   付2.1.4 安全管理  

129   132   133   134   137   137   

付2.1.5 原価管理……_._.………●●……_…………‥.…●_..……  

付2.2 施工段階の現状と問題点   付2.2.1  

付2.2.2   付2.2.3   付2.2.4   付2.2.5  

はじめに  

入札段階  

施工計画段階_……_…  

施工・施工管理段階   施工段階の特徴と問題点   参考文献  

(5)

第1章 序 論  

1.1 まえがき    1.1.1 時代背景   

建設産業における情報化は1970年代に大型汎用コンピュータが設計計算や製図作業をバッチ処   

理により自動化したことに端を発する。当時、ホストと呼ばれていた大型汎用コンピュータと、ク    ライアントと呼ばれる端末機が通信回線を介して接続され、対話形式のオンライン処理を可能にし    た。この時代、経理処理や人事管理などの基幹業務がまずコンピュータ処理された。  

1980年代から1990年代にかけては、オフコンと呼ばれる小型コンピュータが普及するようにな   り、一般業務のOA化が進み、業務が効率化した。施工現場でも計測管理や建設機械の運転などが  

小型コンピュータで自動化されつつあった。さらに、工程管理や原価管理などの施工管理にも小型   コンピュータが利用されるようになった。当時は施工現場においてもようやく小型コンピュータが   施工管理業務に多用されるようになったが、まだ特定のコンピュータ担当の職員が操作することが   

多かった。  

1990年代に入ると、社内ではコンピュータネットワーク環境が整備され始め、クライアント・サ   ーバ形式といわれる処理業務の分散化が主流となった。また、施工現場でも施工管理の業務処理に   

パソコン(パーソナルコンピュータ)が利用され始めた。   

以上のような時代背景の下、著者がMIT大学院へ留学の機会を得た1992年当時、勤務していた  

建設会社の工事現場ではパソコン(パーソナルコンピュータ)はもちろん専用ワープロ(ワードプ  

ロセッサ)さえもない状態で、図面作成にCAD(Computer−Aided Design)を用いるなどは想像   もできない状況であった。一方、建設産業でも一部情報技術戦略に明るい建設会社などは、現場で   ワープロや表計算ソフトを中心とした業務処理にパソコンを使い始めていた。  

1.1.2 学術的研究動機   

2年間のMIT在学中、日本以上に厳格さが要求される米国での施工管理、特に工程管理、の実   状を体験しつつ、米国における施工管理技術論(ConstructionManagement)と建設における情報   技術活用例としてのCAD関連技術の施工管理への展開事例研究1)を行った。また、当時のMITで   は学生に対してもインターネットメールアドレスが与えられ、学生が自由にインターネットや大学   データベースにアクセスできる環境が完備されていた。授業でもコンピュータは積極的に利用され、   

(6)

境の下、建設産業を含む様々な産業分野でのコンピュータグラフィックスアニメーション  

(ComputerGraphicsAnimation:CGアニメーション)の適用可能性に着目し、それはこれから   の施工管理を強力に支援しうる技術であることを確信した。そこで、著者は本研究を通じて建設業   における施工管理技術や施工管理に付随して発生する様々な問題点をあらためて整理し、その解決    手段としてのCGアニメーションの応用を提案し、実証実験を通じてその妥当性の検証を始めた。  

1.1.3 実務経験的研究動機  

本研究のもう1つの動機は、著者の1985年から1991年までの6年間の地下鉄建設工事現場での   施工管理担当者として実体験である。工事現場は大阪の都心部に位置し、最も交通量の多い一般国   道2号の直下で施工された開削トンネル工事であった。工事の全工程にわたり数十回に及ぶ道路占  

用や道路切替、迂回路設置、交通制限、夜間及び休日工事計画に関する調整などの付加的な業務が   果てしなく発生した。それに伴い、発注者や設計者、協力業者、資材供給会社などの多くの工事関   係者間での工程調整などに多大な労力を費やした。さらに警察署、道路管理者などの関係諸官庁担   当者や地域住民などとは多岐にわたる意見調整を必要とした。それぞれの調整業務には膨大な量の  

説明用文書作成や図面作成、着色作業、使用工法の説明などの技術プレゼンテーションと言った工  

事関係者と沿道住民とのコミュニケーションが必要不可欠であった。著者はその工事施工管理の内、  

工事全体の進行に関しての責任者として、関係者間での意見調整や工法変更の合意形成に多大の労   力を裂き、建設工事の施工管理上、プレゼンテーションやコミュニケーション技術の重要性を痛感   

した。  

(7)
(8)
(9)

って迅速で高品質な設計、施工におけるコスト低減と準備期間の短縮、発注者や施設管理者にとっ  

て効果的な設備管理システムの構築といったメリットが期待できる。  

1.2.3 ComputerGraphicsAnimation(CGアニメーション)   

ComputerGraphics(CG)は、CAI)により作成されたデータを、視覚的にかつ効率よく表現する   技術と言える。CADは、物体の形状を正確に表現することができるが、物体の質感、いわゆるリア  

リティという点では十分とは言えない。そのため、より現実味を持った表現を行うためには、CG    技術を用いることとなる。ここで重要な点は、   

①構造物のCADデータが存在するならば、仮にその構造物が現実に存在していなくても現実味   を帯びた表現が可能である  

②仮想空間内においては、失敗が許される  

と言うことである。つまり、CG技術を用いることで、たとえば施設の計画段階に完成後の周辺環   境との調和の検討や、危険作業のリハーサルなどが可能となる。   

CAD関連技術として知られるCGアニメーションは、建設プロジェクトの施工管理を支援する   技術として、最近になって多くの建設技術者たちに注目されるようになった。CGアニメーション  

は発注者や住民への有効なプレゼンテーション手法として、また、協力業者への工法説明用として   など様々な管理を支援する手段として有望視されている。これは近年のコンピュータ技術の進歩に  

より CGアニメーションの利用に必要なハードウェアやソフトウェアの価格対性能比が劇的に向上  

し、これまではそのコストや手間などの問題から利用不適と考えられていた建設工事施工管理とい  

った分野への適用の可能性が高まったからと考えられる。   

先に述べた米国の建設エンジニアリング会社ではCICを実現する技術として、早くからCGアニ   メーションの有効性に着目し、独自にCGアニメーションシステムを開発、実工事に適用してその   成果を報告している。11)これらのCGアニメーションシステム自体あるいはデータがハードウェア  

に相当の処理能力を要求すること、また作業領域としての十分なメモリ空間を必要とすることから、  

UNIXなどのワークステーションでの使用が前提になっていた。よってその導入、運用に人的資産    や膨大な資金をつぎ込むことのできる大手建設会社によってのみしか利用されていなかった。しか  

し、近年のパソコンの能力向上により、パソコンで利用できるソフトが登場してきた。そのため、  

ワークステーションなどを導入するのに比べ、比較的安価にCGアニメーション技術を導入するこ   

とが可能となった。  

(10)

1.3 建設CALS/EC   

CALSとは1980年代前半、米国国防総省がその兵端情報を電子化する試みに始まり、その後、  

商用利用が活発となった。その用途は軍事利用から民間利用へと変遷し、現在ではCALSは  

CommerceAtLightSpeed(光速での商取引)やContinuousAcquisitionandLifeーCyCleSupport  

(継続的な調達とライフサイクルの支援)などの略語と認識されている。これは設計、開発、流通、   

サポートといったライフサイクル(1つの製品の設計から生産、稼動、廃棄までの期間を総称した   言葉)全体に関わるあらゆる情報を電子化し、それらを企業や組織間でデータベースを中心にネッ  

トワークを組み、電子情報の形式を標準化することにより情報を共有するという概念と言える。  

CALSの導入によりコスト縮減、品質確保、時間短縮など事業の効率化を図ること目指している。  

我が国の建設産業では、建設省が中心となり1996年6月、電子化による情報の共有化、それに   伴う生産性の向上などといったことを目的に、建設CALS/ECの概念が提唱された。現在、官民の  

共同研究活動である総合技術開発プロジェクトや土木分野の業界団体である(社)日本土木工業協  

会のCALS検討部会などで盛んに研究が進められている。L4)建設省のCALS侶Cについての定義は   以下の通りである。「部門間、企業間などにおいて、設計から施工、運用、維持管理に至る土木構造   物などのライフサイクル全般にわたる各種情報を電子化し、技術情報や取引情報をネットワークを   

介して交換及び共有化し、建設プロジェクトの工期の短縮、コストの縮減、生産性の向上などを図   

ろうとする活動であり、概念である。」15)  

土木工事の多くは公共事業であり一般に、  

(D発注者、設計者、施工者、協力業者、資材納入業など、関係者が多くかつ情報交換の頻度が高  

い、   

②文書、図面、設計計算など多様な内容でかつ多量な情報が交わされる、   

③施設のライフサイクルが長く情報量が多くなりその役割も大きい、  

といった特徴があり、CALS導入の効果が高いと考えられる。建設CALS侶Cが導入されると、正   確で迅速な情報交換が可能となり品質向上、事業執行の迅速化・効率化やコスト削減といった利点   がある16)。その中でも、施工段階においては入札、調達管理、進捗管理、設計変更と最も参画者が   多く、交換される情報も多量である。情報の共有はすべてのサイクルで行わなければ意味を持たな   いが、施工管理段階では特に重要であり、その効果も大きく導入の効果が期待される。  

(11)

1.4 本研究の概要   

本研究の主な目的は建設工事ライフサイクルの内、その施工管理段階に着目し、現在の施工管理   手法の問題点を抽出し、施工管理を効率化、支援する目的でのCGアニメーションの役割や将来へ   

向けての適用可能性を検証することである。欧米を中心に、建設産業でのCGアニメーション適用   事例を参考にしつつ、実際の建設工事への適用を通して、その適用効果や問題点を抽出することに    ある。  

本研究の概要を各章ごとに記述すると以下のようになる。  

第1章では、本研究が著者の建設現場での施工管理の実践から得られた経験に端を発したことを    述べ、情報技術の産業移転に積極的なMTでの事例研究活動を通して得られた知見を応用し、建設    分野における高度な情報技術活用例として、施工管理を支援するためのCGアニメーション利用の   

目的と意義を示す。  

第2章では、施工管理を支援する目的での利用を前提とするCGアニメーション技術を確立する   ことを目的として、他の産業での活用事例の調査する。さらに、実際に施工管理への適用を前提と    して、プレゼンテーションの定義や目的、技術などに着目し、効果的なCGアニメーションの作成  

や具体的なCGアニメーション利用局面の抽出を試みる。結果としてCGアニメーションを2つに    分類し、それらの作成手順や、要素技術について詳細に述べ、実用性の高いCGアニメーションの    利用法の提案を試みる。   

第3章では、現状での施工管理上の問題点と CGアニメーションが効果的であると考えられる点   を明確にする。そして、施工管理を支援するためのCGアニメーションの役割と適用効果を考察し、  

インターネットのWEB技術を取り入れた施工管理支援システムを提案する。さらに、施工管理を   支援する目的で作成されるCGアニメーションが建設プロジェクトのさらに上流段階に当たる企画、   

設計段階での適用可能性を示す。  

第4章においては、第3章において提案した施工管理支援システムの要素技術としての録画アニ    メーションとリアルタイムアニメーションをそれぞれ建設工事に適用することで提案の妥当性を検    証する。まず、録画アニメーションについては、阪神大震災復旧工事において被災した高架道路橋   の復旧施工計画策定を支援する目的で適用し、大規模土取り工事においては土取り方法の決定や施   工法、土取り跡地利用法の決定過程へ適用する。これらの適用事例から録画アニメーションを利用   

しての工事現場の再現や施工手順の確認業務が可能であることを示す。一方、リアルタイムアニメ    ーションについては大規模土取り工事において、広範囲な施工現場のみならず、地理情報まで包含   

した施工計画策定への適用可能性に言及する。最後に、ダム建設工事において、CGアニメーショ   

(12)

て、今後の本研究テーマのさらなる展開に道筋をつける。   

第5章では、本研究で得られた成果を総括するとともに、本研究では絶えず更新される情報技術   を積極的に取り入れ、施工管理支援システムに改良を加え、引き続き実証実験を重ねながら、施工   管理での情報技術の利活用を最重要課題としていることに言及する。   

最後に、付章として、本研究展開上必要となるCGの利用変遷や、CGアニメーションを構成す   る要素技術についての調査結果を紹介し、施工者における建設マネジメント手法及び施工管理項目  

について整理する。  

(13)

1.5 用語説明   

本論文中で用いられている用語の内容を以下に示す。論文中で特に断りがない場合、ここで示し   た内容を意味しているものとする。  

CAD(Computer・AidedDesign)   

コンピュータ支援による設計システムのことである。本論文では3次元CADのことを意味し、  

設計するものを正確に3次元表示することが出来るため、設計時に正確な形状把握が可能となる。  

3次元CADを利用することによって設計、生産過程全体を見直し、速くかつ信頼性のある設計が   

可能となり、建設工事全般の生産性を改善することが可能となる。  

CIC(ComputerIntegratedConstruCtion)   

コンピュータ支援により建設プロジェクトライフサイクル全般に適用することで、発注者、設計   

者、施工者などの工事関係者間の情報共有化及び情報交換能力を促進させることができる。それに    より迅速かつ高品質の設計、施工におけるコスト削減と準備期間の短縮だけでなく、発注者や施設   

管理者にとって効果的な設備管理システムの構築などのメリットをもたらし、生産性の改善を行う   

ことを目的とした概念のことである。  

CICC(CollaborativeIntegratedCommunicationsforConstruction)   

遠隔地に散在する工事関係者間でのコミュニケーションの円滑化を図り、ネットワーク関連技術、   

CAD・CG関連技術を核に、建設プロジェクトにおける各段階(計画、設計、施工、管理)及び工    事の各作業における情報の共有と再利用を行い、協調作業のための枠組みを作っていくことを目的   

とした研究のことである。  

CALS(ContinuousAcquisitionandLife・CyCleSupport)   

一般に「生産・調達・運用支援続合情報システム」と訳され、情報の電子化を行うことで、他の   

組織・機関との情報交換や共有を円滑にし、コスト削減や納期短縮、品質の確保・向上、事業全体   

の効率化を図ろうという概念である。我が国の建設産業へのこの概念の導入は、建設省土木研究所   

が中心となり進めている。これは、公共施設の設計・調達・生産・維持管理のライフサイクル全般   

を通じて発生する情報の電子化と、複数の企業間あるいは事業間での情報の共有、共同利用を可能   

とすることで、公共施設の品質の向上、工期の短縮、工事の安全、適切な維持管理など、総じて公   

(14)

参考文献  

l)代表的な例として、Brazier;Jonathan: The ConstruCtion Simulation System of   

Bechtelmerson−Brinckerho圧AnApplicationofInformationTbchnology&ItsPotentialRole    intheFirm sCompetitiveStrategy: TbrmPapersubmittedtoStrategicInformationSystems   

andCentralArteryrnlnnelclass,MITMay1993.   

2)恥ichoIz,Paul: Integration of Microcomputer Applications:Current and Future    Approaches, in Proceedings ofConstruction CongressI−Excellencein the Constructed    Prqject,SanFrancisco,CA,1989.   

3)Stowe,Kenneth: ComputerIntegratedConstruction, ConstructionBusinessReview,PP・70,   

Marc旭pril1993.   

4)国島、庄司他:建設マネジメント原論、山海堂、pp.112−114、1994年    5)社団法人土木学会、土木工学ハンドブックⅠ、技報堂、pp.896、1989年   

6)Kangari.Etal., ExperiencingComputerIntegratedConstruction, JournalofConstruction    EnglneeringandManagement,PP.307,June1993・   

7)たとえば、Nevins,DanielandZabilski,Ronald: AnIntegratedSystemforFossilPowerPlant    Construction and Retrofit Pr可ects, FirstInternationalConference on FossilPlant    Construction,ElectricPowerResearchInstitute,1998.   

8)たとえば、Cleveland,A.B.,Jr.andFrancisco,Vbrnon, TheUseofReal−TimeAnimationin    Construction Process,けProceedingsfrom aTransportation Research Board67th Annual   

Meeting,Januaryll・14,Ⅵなshington,D.C,1988.   

9)Rodriguez,Walter, ⅥsualSimulation:ConsideringtheDynamicNatureofConstruction,    

CONSTRUCTIONBUSINESSREVIEWpp.57−61,July/August1992.   

10)Bradford,Altonetal., COMPUTERAIDEDENGINEERING(CAE):APROMISINGTbolfor    ImprovingConstructionSiteProductivity,,,CERFTbchnicalReportSeries,No・92−N6001,  

October1992.   

11)浜島鉱一郎他:マルチメディアを利用した工事計画の住民説明、第20回土木情報システムシン    ポジウム講演集、pp.101−110、土木学会、1995年   

12)浜島鉱一郎他:マルチメディアを用いた明石海峡大橋橋台工事のプレゼンテーション、第18回    土木情報システムシンポジウム講演集、pp.17−20、土木学会、1993年   

13)Stowe,Kenneth: ComputerIntegratedConstruction, ConstructionBusinessReview,PP.71,   

March/April1993.  

(15)

14)(社)日本土木工業協会CALS検討WG:建設CALS侶Cの実践、山海堂、1997年    15)塚田幸広、青山憲明他:総合情報活用による建設事業の高度化、土木学会論文集,No.581/Ⅵ−37、   

pp.1−15、1997年   

16)建設省土木研究所他:統合情報活用による建設事業の高度化技術に関する共同研究報告書(そ    の1)1998年  

(16)

第2章 CGアニメーション  

2.1 まえがき   

日本工業規格の用語定義によると、CGとは「計算機によってデータを図形表示へ、または図形表    示をデータへ変換する技法」と表記されている。図形処理にコンピュータが用いられた最初の例は  

1951年にMITで開発されたNC工作機械であり1)、1963年には同校のSutherlandによりコンピ   ュータを用いて「Sketch−Pad」なる図形処理システムが発表された。このシステムはコンピュータで  

図形処理が出来るだけでなく、コンピュータとの対話も可能であった。また、SJtberlandはキーボ  

ードやライトペンを使って、点打ち、描画などを使う技術も開発した。これらの技術は今日でも利    用されでいる。また、これらのほかにも現在利用されているCGに関する数多くの基本概念や技術   

を開発した。  

それとほぼ同時期、コンピュータを使い自動車工学や航空宇宙工学での技術開発などで、CADや    コンピュータ支援による製造工程での利用が始まり、製図作業や描画にその有効性を発揮した。た   とえば、米国GM社は自動車の設計におけるDACシステムにおいて、工学分野での技術計算結果   の可視化技術を実用化した。当時、コンピューターの入出力(Ⅰ/0)は、パンチカードを使ったバッ   チ処理形態が一般的であり、現在主流のGUI(GraphicUserInterface)は存在しなかった。  

1960年代、多くの科学者は様々な分野にCG技術を応用してきたが、グラフィック画像表示に特  

化したコンピュータは当時非常に高価であった。利用分野としては、航空機操縦訓練のためのフラ   イトシミュレーションにおける 3次元でのリアルタイム陰影アニメーションの作成などが挙げられ    る2)。   

1970年代はレンダリングやモデリングなどの技術研究が盛んに行われ、CGアニメーション技術    は本格的な商用目的にも使われ始めた。たとえば、建築設計における景観検討、3次元CADによ    る可視化、グラフィックデザインなどである。しかし、当時のインターフェースはコンピュータ科   学者自身で使うために設計されたものであったため、コンピュータ利用者にとっては非常に使いに   

くいものであった。  

1980年代の前半は、このようなCGアニメーション技術は、メインフレームやスーパーコンピュ    ータ上でしか利用できなかった。その後、ハードウェアとソフトウェアの急激な進歩もあってCAD   やOpenGLのようなグラフィックライブラリに代表される図形モデルの記述言語の開発や処理手順   の技術開発など、その応用へと進展していった。  

本章においては、施工管理を支援する目的での利用を前提としてのCGアニメーション技術の確  

(17)

立を試みる。まず、他産業での活用事例を調査し、さらに、実際に施工管理への適用を前提とした   プレゼンテーションの定義や目的、技術などに着目し、効果的なCGアニメーションの作成方法や   

具体的なCGアニメーション利用局面の抽出を行う。結果としてCGアニメーションを2つに分類   し、それらの作成手順や、要素技術について詳細に述べ、実用性の高いCGアニメーションの利用   法の提案を行う。  

(18)

2.2 CGアニメーションの適用分野  

2.2.1はじめに  

CGアニメーション技術は常に発展し続けている。新しいアプリケーションは、従来の技術に対す    るコスト削減のため、実用的なコンピュータ関連技術としてあらゆる産業において導入され始めて   いる。産業分野におけるCGアニメーションの典型的な適用例としては、解析結果や実験結果の可視   化や実験過程のあらゆる場面でのシミュレーションなどである。米国の国防産業や航空産業におけ  

るCGアニメーションによる戦略シミュレーションでは、実際の地形をCGで作成し、パイロットは  

それを利用して訓練する。このようなパイロット達は、身体的なリスクを負うこともなく種々の環   境下で離陸や着陸などを体験することができる3)。さらに建築家たちはすでに設計段階での設計コ  

ンセプトの提示などにCGアニメーションを利用しており、現在では実際の建設工事に着手する前の   

段階にCGアニメーションを用いて設計に対する施工性の検討を行っている。   

伝統的なセル画アニメーションと比較すると CGアニメーションの歴史は浅い。しかし、CGア   ニメーションの可能性はその短い発展期間において、多数の異業種での適用事例によって実証され   ている。本節ではCGアニメーションの様々な分野での適用例を紹介する。  

2.2.2 娯楽分野での利用  

CGアニメーションは広く娯楽産業で使用されてきた。たとえば、放送業界においては番組タイト  

ルの表示やニュース報道、天気図説明などに使用さている。従来、これらは、実物を実際に用意し    たり、プラスチック、紙などでできた実寸の模型などを作成したり、セル画によるアニメーション、   

紙製のカードなどによって作られていた。   

映画産業においては、近年、興行収入ランキング上位にはCGを使った大作が数多く登場している。  

これらの映画では実物大の撮影用セットを製作することなく、モーションコントロールシステムや  

縮小モデルとの動画合成技術、クロマキー技術により現実世界と錯覚するようなシーンを合成する  

ことを可能にしている。また、火炎、煙、爆発といった物理現象や、ヒューマノイドや液体で構成   された人間などをも作り出すことに成功している。最近では、「ツイスター」4)において、パーテ   

ィクルシステムを利用して竜巻をも表現することが可能であることを証明した。   

広告産業においては、缶入り清涼飲料水が所狭しと踊りだしたり、登場人物の顔が全くの別人に   変化したりといったCGアニメーションによってもたらされる様々な利点が実証されている。このよ  

うに、CGアニメーションによる3次元仮想空間を表現する能力を利用し、物理的に不可能な視覚的   

効果を生み出している。  

(19)

2.2.3 産業分野での利用   

建築分野では、CGアニメーションを使うことで、設計対象物を周囲から見回すフライバイアニ   メーションや内部を実際に歩いているように見せるウオークスルーなどが利用されている。これを   建築家たちは建設や建築計画を評価、もしくは提案するための視覚的効果を期待して使用している。  

たとえば、巨大で複雑な建築計画を視覚化するために使われているCGアニメーションによって、  

その計画により新規ビルや工場がどの様に見えるか、また、それらの建物が環境に対してどの様に   影響を与えるか、などを顧客に理解してもらうことができる。また計画図や立面図などの図面だけ   では理解しにくい範囲を明確にすることができる。ここでは、仮想カメラの位置付けに関して物理   的制限は全くない。したがって、 

顧客は計画されたビルの内部のあらゆる細部に至るまで詳しく見  

ることができる。また、計画されたビルの周りを飛び回ることさえも可能となる。CGアニメーシ  

ョンでは、どんな視点でも選択して見せることができる。また、作成期間の短縮や品質管理、デー  

タの使いまわしが可能といった利点もある。   

近年、カーナビゲーションシステムをはじめ、地図情報の電子メディア化が急速に進展した。こ   れらのほとんどが2次元での画面表示を利用しているため、交通機関や道路、電力、ガス、水道な  

どの施設、地下街などが立体的に入り組んでいる大都市のビル街の複雑な情報は表現しきれていな  

い。しかし、このような地図データの3次元化を目指した研究も始まっており、すべての地図製作   会社は、将来3次元地図が有望なマーケットになることを想定している5)。   

また、人間工学に基づく精密なパラメータを備え、動作が人間の動作、振舞いに忠実な3次元モ   デルである「バーチャルヒューマン」の活躍の場が広がってきた6)。自動車メーカーなどが、製造   ラインにおける作業効率の向上や保守コストの削減などを目指してこの技術を利用している。CG  

アニメーションは、危険な作業のシミュレーションを実行したり、また、色々な体形のモデルを使   用することでペダル、ノブ、レバーなどに手足が届くか、自動車の乗り降りができるか、バックミ   ラーが見えるかなどの点について、自動車メーカーに貴重な情報を提供している7)。ネットワーク   上でのアバターを利用して多人数が参加できる防災訓練VRシステムなども登場した。最大20人   までネットワーク上に登場することが可能で、同時に訓練に参加することができる。また、アバタ   ーを使ったシステムは、パソコンに備え付けたマイクから他の参加者と会話ができる双方向性が特  

徴である。たとえば、駅ビルの地下街に火災が起きた時の状況を想定して訓練するということなど   が可能となる。これは一般の人の非難訓練に使うだけでなく、消防隊員の教育、誘導訓練などにも  

使われる軋9)。  

(20)

2.2.4 科学技術分野での利用  

科学技術分野においてもCGアニメーションは積極的に利用されている。CGアニメーションを利   用することによって、複雑な現象が簡単に理解できるようになる。CGアニメーションは、ある現象   の可視化時に科学解析特有の時間に依存したデータを用いることができる。たとえば、物体が網目   状で立体的に表現される有限要素法(FEM)は、仮想の力やモーメントがかかって起こる内部圧力  

やひずみ、たわみなどを計算する際に用いられるが、この解析結果はCGアニメーションにより可視  

化できる。柔軟性や振動特性といった構造特性をシミュレートしたり、擬似的着色技術を用いて最  

も圧力の作用している点などを明確することができる。同時に、科学者たちはそのモデルをどの視   点からでも検証できる。   

さらに、CGアニメーションは流体力学において物体表面の風の流れや水面の流れを表現すること   に用いられる。これまでは巨大な風洞実験施設で、実物大あるいは数分の1の模型を作成して空気    の流れや物体への障害といった要因を解析するのに用いられていたが、CGアニメーションによるシ   

ミュレーションの登場で自動車、航空機、宇宙産業ではそれらの巨大な実験施設を建設する必要が  

なくなり、大幅なコスト縮減が可能となった。  

2.2.5 学術分野での利用  

(1)コンピュータ支援による手術(Computer−AidedSurgery:CAS)   

Ⅹ線CTやMRIなどの医療用機械を用いれば、人間の体を輪切りにしたような画像を得ることが   できる。これらの画像から患者の臓器をCGアニメーションで再現させることで、事前にコンピュ   ータ上で臓器の形や患部の位置の確認が可能となる。このCGアニメーションを用いた手術のシミ   

ュレーションにより、困難な手術の手順を事前に把握することが可能となる。また、事前にコンピ    ュータ上で失敗を繰り返し体験することで、実際の手術における失敗がなくなったり、コンピュー   タ上での腫瘍などの切除シミュレーションにより、切除部分が最適化され、切り取る部分が少なく  

て済むことから患者の退院を早め、後遺症の心配も減らすことが期待できる。   

手術経験の少ない医者の教育にも、CGアニメーションの利用が可能である。一般に医師は免許  

を取得した後、動物実験や臨床経験を積んで初めて人間の手術に携わる。しかし、動物と人の体と   の内部構造の違いや実際の患者で練習を行いがたいという問題がある。そこでCGアニメーション  

を利用し、コンピュータ上に再現した人体で手術の練習をする。さらに、「力覚フィードバック」と   いう効果を用いることで、手術において非常に重要である「触感」を得ることも可能となる。コン  

ピュータが患者となるので万一の失敗のときでも問題にならない。以上のようなCASシステムは、  

実用化しているものもあれば、まだ開発途上のものもあるが、今後、さらなる発展が期待されるCG  

(21)

アニメーションの適用分野でもある10)。  

(2)軍の訓練シミュレーション  

CGアニメーションによるシミュレーション技術を軍事訓練に応用する利点として、以下の事が  

挙げられる。現有のシミュレータを単独で個人の技術のために使用するだけでなく、それぞれのシ   ミュレータをネットワーク上で結び、同じ仮想空間内において共同で行動、あるいは敵対すること   により、協調作戦の展開、戦術や戦闘訓練を危険なしに行うことが可能となる。また、そこで使わ   れている仮想空間の地形、建物や気候などの空間データを、局地に限定せず、全世界の空間データ  

をデータベース化することで、行ったことのない地域での戦闘にも事前訓練が可能となる。さらに、  

使用する側も、同じようにシミュレータを使っている友軍、または団体と共通の通信手段やデータ    交換プロトコルを決めることで、データを共通して使用することが可能となる。   

米国防総省は、現在この軍事シミュレーションを実現するため、国防関連企業数社と共同でDIS   という 3次元シミュレーション用プロトコルを作成し、コンピュータ技術と軍事的データを生かし   

て米国軍の次世代シミュレータ(訓練システム)の開発を行っている。それは、米国の衛星から、   

全世界の地形データを読取ってデータベース化し、また各国のシミュレータとそのデータを共通の   

プロトコル(DIS)でつなぐことで、仮想空間でありながら実践的戦闘訓練を可能にする双方向性  

分散ネットワーク型シミュレーションシステムである11)。  

(3)数学、物理学における可視化  

数学、物理学における CGによる可視化の適用例としては、測地線、波動関数、マンデルブロー   

集合、重力レンズ効果、剛体のひずみなどを数学的に可視化した事例や、かみなり、結び目、クラ   

インの壷、音などを芸術的に可視化したものが挙げられる。測地線のCG化では、地球という球面   

上空間での測地線は直線にならず、必ずしも最小値にならない。そこで2次元曲面上での測地線を   

具体的に図示することを試みたものである。重力レンズ効果の可視化においては、ブラックホール   

が作る強い重力場は空間を曲げ、背後にある映像は曲がって見える現象の具体的な様子を図示する    ことを目的としたものである。波動関数の可視化では、波動関数の位相を色で表示し、振幅を明る   さで表示することで、定常状態の時間的発展状況を確認し易くしたものである。また、剛体のひず    みの可視化では、剛体に外力を加えると力はテンソルとして、物体内部に分布する。その分布の様    子はCGアニメーションを交えて図示できる。一方、芸術的な可視化表現としては、音を見る試み  

がなされている。音楽の波形データをフーリエ変換するという古典的な方法もCGを用いて表現法   

(22)

2.3 施工段階におけるCGアニメーション   2.3.1 はじめに   

建設プロジェクトにおいて、設計(デザイン)段階ではCGを用いたプレゼンテーションの利用   が一般化しつつあり、実用例も数多く報告されている13)、14)、15)。しかし、施工段階での適用はほと   んど見受けられない16)。そこで本節においては設計段階におけるCGの利用に着目し、施工段階に   おけるCGアニメーションを利用したプレゼンテーションの在り方について考察する。   

′J、谷ら17)によると、プレゼンテーションとは、「認知、理解、確認、承認、同意、合意形成など  

の目的のために表現、提出、提示、発表などを行うこと。あるいはそれが行われている状態、また   はプレゼンテーションされたものやこと。」と定義されている。しかし、その利用分野によってはプ  

レゼンテーションという言葉が違った意味合いとして解釈されている。たとえば、ビジネスの分野   では特に説得のための手段として、また建築分野では、特に視覚的な表現による伝達手段として、  

それぞれ捉えられている18)。また、プレゼンテーションの目的も認知、理解、確認、承認、同意、  

合意形成など数多く存在し、プレゼンテーションの目的が曖昧であると、その効果が薄れ、場合に   よっては逆効果となり、目的を達成できなくなる恐れもある。そこで、建設分野においてプレゼン   テーションを行なう際にも、目的を明確にしておく必要があると考え、施工段階におけるプレゼン   テーション実施の目的と効果をCGアニメーションの利用を前提として論じる。  

2.3.2 プレゼンテーションとしてのCGアニメーション  

CGアニメーションのプレゼンテーションにおける有効性に絞ってその対象となる情報の種別を   考えると、プレゼンテーションによって与えられる情報としては以下の2種類に分けることができ  

る。それらはシミュレーションと視覚化である。前者のシミュレーションは、3次元可視化により   表現対象がどのように見えるか、つまり見え方のコマ送りとしての模擬と言える。一方、後者の視   覚化は、物事の視覚的の認識を目的とした現象そのものやその本質の視覚情報を通しての直観的理   解を目指すものである。施工段階においては、主として後者の視覚化として利用されることが多い。   

本研究におけるCGアニメーションによるプレゼンテーションの流れを図2・1に示し、施工者が   行う CGアニメーションによるプレゼンテーションの位置付けについて述べる。施工段階において  

プレゼンテーションを行なう側を施工者、受ける側を対象者と定義できる。施工者はまず、要求な   どを受け、プレゼンテーションの必要性を認識する(図2・1段階①)。次に、それらの視覚化対象の  

現象や属性、過程を視覚化する。つまり、施工現場や仮設資材、施工機械を含めて、施工状況を視   覚化する(図2・1段階②)。この施工状況の視覚的表現はCGアニメーションの特徴から、現場内の  

状況把握といった空間的表現と作業工程や工事の進捗状況といった時間的表現の2つに大別される  

(23)

(図2−1の段階③)。同時にそれらの視覚化対象のオブジェクトをどのように表現するか、つまり、  

施工者がどのような目的を持って視覚化を試みるかといった施工者の意図の表現方法あるいは表現  

形式を決定しなければならない。これによって、作成するオブジェクトの対象やモデル作成範囲な  

らびに現実感などが決定される(図2−1段階④)。この施工者の意図の表現や形成を加え、CGアニ   メーション作成(3次元モデル化)(図2・1段階⑤)が行われる。この作成されたCGアニメーショ   ンは、プレゼンテーションを行なう対象者(作業員、発注者、地域住民)に対し、情報の伝達及び   説得のための手段として利用される。対象者はCGアニメーションの視聴や疑似体験(3次元モデ   ルの読解)を通して、施工者の示す3次元モデルを読解することになる(図2−1段階⑥)。そして対   象者は以下の事項を理解する(図2・1段階⑦)。   

①空間的表現から空間的関係の認識として、構造物の形状や相対位置   

②時間的表現からは時系列の認識として、施工方法・手順や関連する作業(工程上の制約条件)   

③意図表現・形成から、施工者の意図   

これにより、対象者は何らかの反応をアウトプットし、施工者へとフィードバックすることにな   る。このフローを繰り返すことにより、最終的には同意、合意形成、承認、確認、動機付けなどが  

円滑に行なえるようになると考えられる。  

(24)

ここで、先に述べた合意形成、動機付け、確認、承認、同意といったCGアニメーションによる    プレゼンテーションの目的は、非常に似かよったものであるため、表2−1に本研究における目的の    意味について1つずつ例を挙げ、その違いを明確にしておく。  

表2・1プレゼンテーションの目的  

複数の人により複数の意見を合理的な1つの意見にまとめること。たと   合意形成     えば、工事現場での施工計画立案の際、複数の代替案からその現場固有  

の条件の下で、より合理的かつ経済的な計画を立案すること。   

相手に対し行動をさせるようなきっかけを与えること。たとえば、安全   動機づけ     教育のように、作業員がそれをきっかけとし、安全に気を付けて作業を  

行うようにすること。   

不確かなことが何かを見たり行うことにより、確かにそうだと認めるこ  

確認   と。たとえば、CGアニメーションにより事前に構造物の形状を見て、そ   の形状を把握すること。それに対し、理解や認知は、ただその現象や属  

性、過程などを気付いたりわかったりすることである。   

相手の意見や考えが正当、妥当であると認めること。たとえば、設計変  

承認   更の承認の場合、発注者は施工者に対してその変更が正当・妥当である   と認める必要がある。   

同意    他人の意見に賛成すること。たとえば、作業員に対して危険箇所を説明  

する際に、技術者の考える危険であることを、納得してもらい賛成して  

もらうこと。   

2.3.3 CGアニメーションによるプレゼンテーションの構成要素  

CGアニメーションはCGによる表現を駆使し、情報の伝達や説得などの目的を達成するもので    ある。違った角度からみると情報換作あるいは合意誘導といった側面を持つため、CGアニメーシ  

ョンを用いてのプレゼンテーションを構成する要素は正確で、かつ信頼のできる情報を提供するも    のでなければならない。この信頼性は、CGアニメーションを用いてプレゼンテーションを実施す    る者(本研究では施工者にあたる)の倫理性によって導かれるものであり、信頼できるCGアニメ    ーションを作成するには、CGアニメーションの持っ特性について熟知している必要がある。  

CGアニメーションを用いてプレゼンテーションを行うときに求められる要件として、図2・2 CG   

アニメーションによるプレゼンテーションの構成要素に示すように、利用性能、技術性能、表現性   

能、伝達性能の4つの性能が挙げられる。これらの性能は幾つかの要素により構成されているが、   

これらの要素はCGアニメーションによるプレゼンテーションの目的によりそれぞれ重要性が異な   

るため、4つの性能を表す要素について知る必要があると考える。そこで、以下にそれぞれの性能    を構成する要素について述べる。ここでは、施工段階の利用を前提としての説明を加える。  

(25)

図2・2 CGアニメーションによるプレゼンテーションの構成要素  

(1)利用性能   

利用性能の構成要素としては、典型性、正確性、容易性、そして説得性が挙げられる。以下にそ   れぞれについて詳細に述べる。  

a.典型性  

CG表現を取り扱う情報と表現の仕方の2つに分けて考える。まず、施工段階において発生する   すべての情報をCG表現することは不可能である。さらに、作業時間や費用対効果を考えると、情   報を限定する必要がある。次に、ある限定された情報においても、そのCG表現の方法は極めて多   いにも関わらず、実際に必要であるのは、一定の限られたCG表現の仕方だけである。したがって、   

CG表現は対象とする情報についても、表現の仕方についても、重要でかつ典型的なものでなけれ    ばならない。たとえば、発注者に対し設計変更の承認を得るためのCG表現は、設計変更の妥当性    だけを伝えることのできる表現でよいので、その妥当性が分かる程度の情報と、表現の仕方さえす   

れば十分である。逆に言えば、設計変更の妥当性を説明する上で、関係のない情報や表現は、さほ   

ど意味を持たない。  

b.正確性   

視覚化された現場の状況と実際の現場の状況との相似性であり、プレゼンテーションの目的を達   成するためには、「正確」であることが必要である。目的によってその要求される度合いも異なる。  

たとえば、重機と構造物との物理的干渉の有無を確認する際には、確認の対象となるCGオブジェ    クト(部品)は非常に正確に作成する必要がある。一方、物理的干渉に関係しない部分については、   

(26)

c.容易性  

視覚化したある構造物の形状から現場全体の状況に至るまで明確に区別できる、あるいは認識で  

きるといったわかりやすさの度合いである。CGアニメーションによるプレゼンテーションでは、  

「わかりやすい」、「わかる」ということは重要であり、理解不可能なものや難解なものは価値がな   い。また、その度合いは目的や対象者により異なる。  

d.説得性   

説得性とは、プレゼンテーションの間、対象者を引きつけ訴えかける度合いである。表現性能(描   写性・暗示性)や伝達性能に関係する。たとえば、沿道説明会において地域住民からのクレームに   

対する説明をする際には、クレームに対する対策をしていることを訴えかける力が必要となる。反    対に、技術者が施工計画立案の検討をする際には、正確な情報が得られればよいので説得性の必要    性は低くなる。  

(2)技術性能  

技術性能の構成要素としては、操作性、機能性、そして生産性が挙げられる。以下にそれぞれに   

ついて詳細に述べる。  

a.操作性  

利用者に対する使いやすさの程度である。CGアニメーションを作成する場合には、施工者が操    作するものであっても、複雑なコマンド入力や一貫性のない操作手順は避け、「利用者本位」かつ、   

「容易に扱える」といった操作性に優れたものでなければならない。  

b.機能性  

CGアニメーションを作成する場合には、要求された情報を作成可能であるという機能性を備え    ていなければならない。特に表現という事に着目すると、要求された表現が可能か否かがCGアニ    メーションによるプレゼンテーションの効果に大きく影響する。多くの機能性を備えたメディアを    利用するとその利用可能性は広がる。  

c.生産性  

プレゼンテーションの費用対効果を考慮した場合、より少ない作業量、作業時間、そしてコスト  

(27)

でCGアニメーションを作成する必要があり、生産性が高くなくてはならない。  

(3)表現性能  

表現性能の構成要素としては、暗示性、描写性、そして情報性が挙げられる。以下にそれぞれに   ついて詳細に述べる。  

a.暗示性  

目に見えない事柄の可視化の程度であり、間接的表現法である。施工段階においては、主として   視覚化として利用されると述べたが、可視化された情報が対象の状況を的確に指し示し、そこから   

直感的理解を可能にすることが重要ある。たとえば、作業員に対する安全教育において、CG表現   から施工状況が危険であることが読みとれるか否かが重要となる。  

b.描写性   

CG表現により視覚化されたものは、ある表現意図に対応したオブジェクト配置や視点位置とい  

った構図や構成、オブジェクトの遣り込みの程度といった精度などのいわゆる「描写」がなされて  

いることが必要である。また、同時に複数の画像を構成する場合(原案と代替案との比較を行なう    場合など)、それらの構図や配置構成、ストーリー性が重要となる。特にCGアニメーションでは、  

ストーリー性が問題となり、シナリオの重要性が高い。たとえば、設計変更の承認の場合などには、   

設計変更の妥当性を認めてもらうために、標準設計と代替案をうまく比較検討できるようなシナリ   

オや、画面の構成が必要となる。  

c.情報性  

表現対象の状況を示す情報が過不足なく示されていること、また、表現対象の状況を示す情報の   

全体と部分との関係などが示されることが必要である。こういった目的に応じて、必要にして十分   

な情報を示しているかという程度のことである。たとえば、工事現場を表現して作業スペースを確    認する際には、広さの程度は基準となる情報が必要となり、その作業スペースに人や重機などが再   

現されていると分かり易い。  

(4)伝達性能  

伝達性能の構成要素としては、提示性と通信性が挙げられる。以下にそれぞれについて詳細に述   

(28)

a.提示性  

画面のハードコピーやパソコンモニタ、プロジェクタなどのCGアニメーションを提示するメデ  

ィアの種類や、多人数同時提示能力、個人提示能力などといった提示能力、また一方向あるいは双   方向などの応答性などの特性である。CGアニメーションを作成するあるいは呈示するパソコンの  

操作に関する容易性や調達、維持のためのコストも提示性を左右する。  

b.通信性   

インターネットなどのネットワーク上でCGアニメーションを用いてプレゼンテーションを行う   場合、そのアクセスの容易性(通信速度や多人数同時アクセスの可能性など)などの通信性は利便   性や効率性に影響を及ぼす。  

2.3.4 まとめ  

CGアニメーション作成手順の最初の段階であるストーリーボード作成とは、上記に述べた構成   要素をCGアニメーション作成時に適切に組み合わせることであり、CGアニメーションの利用価   値を左右する作業となることは言うまでもない。ゆえに、ストーリーボード作成時において、より   効果的なCG表現を行うには何らかの指針や基準を明確にする必要がある。そこで、ストーリーボ  

ードを作成し易くするために、これまで述べたCGアニメーションによるプレゼンテーションに必   要な要素が有する条件や規定要因について整理し、表2−2にCGアニメーションによるプレゼンテ   ーション作成指針としてまとめた。著者は施工段階におけるCGアニメーションの実用化という点   において、上記に挙げた4性能すなわち利用性能、技術性能、表現性能、伝達性能の内、利用性能、  

技術性能、表現性能の3つが重要であると考えている。これらの中で、CGアニメーションでの表   現力を左右する性能を考えた場合、利用性能と表現性能に着目すべきである。よって、表2−2にお   いてはこれらの利用性能と表現性能に限定して、各性能特性に対応するプレゼンテーション作成指   針とそれぞれの特性を効果的に具備するための条件、ならびにその特性を支配する具体的要因につ  

いてまとめた。  

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