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応用生物科学専攻 食資源科学講座 食品機能化学 野田耕太

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2019 年 2 月 7 日

Caco-2 細胞をモデルとした消化管α - グルコシダーゼ量低下成分の 探索と機能評価

応用生物科学専攻 食資源科学講座 食品機能化学 野田耕太

1. はじめに

消化管α-グルコシダーゼは糖質の消化吸収過程において,二糖から単糖への分解を担う小腸上 皮細胞上の酵素である。この酵素の阻害剤は糖の体内への吸収を緩やかにし,食後の急激な血糖値 上昇を抑えることができるため,糖尿病の予防や治療に利用されている。α-グルコシダーゼ阻害 剤は,その機能上食前もしくは食中の摂取が必須であり,定められた利用方法を守らなければ十分 な効果が発揮されない。一方で,α-グルコシダーゼの『量』を減少させることでも同様の効果が期 待でき,かつ阻害剤よりも効果が持続的であるため摂取回数が減り,摂取タイミングも摂取者の任 意となる。そこで本研究では消化管α-グルコシダーゼの『量』に着目し,その発現量を低下させる 生物活性の測定法を構築し,α-グルコシダーゼ量低下活性成分を天然より探索した。

2. 方法

α-グルコシダーゼ量低下活性試験には腸管上皮細胞モデルである Caco-2 細胞を用いた。被験物 質存在下で分化した Caco-2 細胞を 2 日間培養した。被験物質を洗浄除去後,蛍光基質を加えて酵 素反応を行った。酵素量と酵素反応速度は比例することから,蛍光量の増加速度を酵素量の指標と し,簡便にα-グルコシダーゼ量低下活性を測定した。

3. 結果と考察

簡易評価系を構築し,食品素材に対してスクリーニングを行うことで,ヘザーフラワー及びアカ ジソに α-グルコシダーゼ量低下活性を見出した。この 2 種の素材の添加により mRNA 及びタンパク 質レベルにおいてもグルコシダーゼ量の低下が確認されたことから,構築した簡易評価系が活性成 分探索に有効であると判断した。

簡易評価系を指標とした分画によりヘザーフラワーの活性成分がプロアントシアニジン(CV-P)

であることを明らかにした。CV-P は Caco-2 細胞に対して 50 μg/mL で 29%の α-グルコシダーゼ 量低下活性を示した。また,CV-P はグルコシダーゼの一つであるスクラーゼ―イソマルターゼ(SI)

の mRNA 発現量とタンパク質量を有意に低下させた。また,単量体であるフラバン-3-オールについ ても試験を行い,ガレート型カテキンに同様の活性を見出した。

α-グルコシダーゼ量低下活性成分の SI 以外の遺伝子への影響を調べるため他の糖消化吸収関連 遺伝子の mRNA 発現量を解析した。CV-P 添加により GLUT5,SGLT1,LPH の mRNA 発現量の低下が確認 された。そこで,LPH と SI 遺伝子に共通の転写活性化因子である HNF-1 と CDX-2 の mRNA を測定し たところ, HNF-1 は発現量が低下し,CDX-2 では増加していた。HNF-1 と CDX-2 は協調して働くこ とから,CV-P 添加による HNF-1 の減少が SI 遺伝子の転写を抑制し,α-グルコシダーゼ量を低下さ せていると推測した。

4. まとめ

本研究においてプロアントシアニジンと EGCG,ECG の摂取により消化管のα-グルコシダーゼ量

が低下することが示唆され,新たな機能をもつ抗糖尿病食品の開発につながる可能性が拓けた。

参照

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