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極周回成層圏テレスコープ

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Academic year: 2021

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極周回成層圏テレスコープ

(FUJIN)

による惑星大気観測計画

田口 真・高村真央・砂口大樹(立教大学理学部)

吉田和哉・坂本祐二(東北大学大学院工学研究科)

中野壽彦(大分工業高等専門学校機械工学科)

荘司泰弘(大阪大学大学院工学研究科)

高橋幸弘・今井正尭(北海道大学大学院理学研究院)

渡辺 誠(岡山理科大学理学部)

1. 目的

我々が進めているFUJIN については、これまで何度も大気球シンポジウムにおいて講演を行っている。

同じ内容をこの集録原稿に書き記すのは冗長であるので、FUJIN についての詳細は過去の集録原稿を参 照されたい。ここでは、昨年度からの差分を記す。

昨年度、「小規模プロジェクト」に木星の大規模波動を研究対象としたFUJIN-2実験を応募した。しかし、

結果は不採択であり、我々の主張する FUJINのメリットが評価者にうまく伝えられなかった点は反省すべき ところがある。それについては昨年度の集録原稿に詳しい説明がある。その後、次の応募チャンスを待った が、残念ながら今年度は募集が見送られた。

一方で、2015 年 12月に金星探査機「あかつき」は金星周回軌道に入った。その後、順調に観測を続け ており、期待通り、新しい惑星気象学を切り拓くであろう画像を続々と送ってきている。中でも中間赤外カメ ラ(LIR)によって得られた巨大な「弓形構造」(図1)は注目を浴びている。12月7日の金星周回軌道投入直 後に撮られた画像にそれは映し出されており、その後12月11日まで、少なくとも5日間はほぼ同じ経度上 に存在していた。発生したロ

ーカルタイムは夕方側ターミ ネーター付近の日照側である。

このとき、LIR が撮像している 雲頂付近の高度では赤道上 で風速約100 m/sの西向きの 風が吹いていたことが「あかつ き」搭載紫外イメージャ(UVI) の画像からわかっている。ま た、紫外画像にハイパスフィ ルターをかけ、コントラストを強 調することで、非常にかすか ではあるが「弓形構造」が検 出された。

「弓形構造」は2016年7月 から 8 月にかけて再び出現し、

このときは複数の「弓形構造」

を合わせて 1 ヶ月以上観測さ

図1.2015年12月7日に「あかつき」搭載LIRで得られた金星雲頂輝 度温度分布。

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れた。2015年12月のイベントとの共通点は「弓形構造」がゆっくりと回転する固体惑星に固定されているよ うに見えること、「弓形構造」の中心がアフロディーテ大陸の西側の高地に対応していること、ローカルタイ ムは夕方側ターミネーター付近の日照側であることである。これまでに得られたデータを詳しく調べると、5 月6日にも同様の「弓形構造が」現れており、その特徴は他の2者と同じで、アフロディーテ大陸東側の高 地に「弓形構造」の中心が対応していた。4 月にも弱い「弓形構造」が現れていたが、これらは前出の3つの イベントとは異なる経度及びローカルタイムで発生していた。

理論的考察と計算機シミュレーションによって、この「弓形構造」は地上付近で何らかのメカニズムで発生 した重力波が上方に伝播し、雲頂高度で温度変動として見られていると解釈されている。しかし、その発生 メカニズムはまだよくわかっていない。

この「弓形構造」に着目した地上観測が計画されている。ひとつは前澤らによる ALMA を使った観測で ある。「弓形構造」の出現をねらって、地上からアフロディーテ大陸が金星の夕方側に見える2016年 11月 に観測を計画している。もうひとつは佐藤隆雄らによるすばる望遠鏡を使った赤外分光撮像観測である。

LIRと同じ波長帯域で金星を異なる方向から地上及びLIRで同時に撮像し比較することで、LIRによって 得られた絶対輝度温度精度を検証するとともに、LIRデータを補間するデータを得る。

FUJINは地上では観測不可能な波長286 nm及び365 nmのUVIと同じ波長帯域で金星の連続撮像を ねらう。これらの波長を使うと SO2及び未知の紫外吸収物質の分布がわかり、その濃淡の時間変動から風 速ベクトル場を導出することが可能である。地上の有効口径400 mmの望遠鏡でもこれらの波長で粗い風 速ベクトル場を導出することに成功している。観測はスウェーデン・キルナの ESRANGE を放球場所とし、

2018年4~5月の成層圏の風向が変わる時期を使って、スカンジナビア半島内で1~2日のフライトを目指 す。図2を見るとわかるように、この時期、金星視直径はそれほど大きくないものの、高度は十分にあり、太 陽からも十分に離れている。

図2.2018 年にキルナで金星を観測した場合の太陽離角、視直径、

高度、明るさ変化。

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現在、FUJIN-2 実験へ向けて、立教大学において望遠鏡及びゴンドラの整備を進めている(図3)。今年 度中に望遠鏡のハルトマンテストを実施し、光学性能評価及び調整を完了する。来年度はゴンドラのイン テグレーション、総合試験を実施する計画である。

参考文献

Taguchi et al., 2009-2015

年度大気球シンポジウム収録原稿.

図3.FUJIN-2用口径400 mmカセグレン望遠鏡にCFRPフードを取り付けた状態。

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参照

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