※紫外線予測分布図
• SPF (Sun Protection Factor) → UV-B • PA (Protection grade of UV-A) → UV-A
気象庁 http://www.jma.go.jp/jp/uv/ UV-C: <280 nm
UV-B: 280-315 nm UV-A: 315-400 nm
4
§7. 成層圏オゾン層
• オゾン (O
3) とは?
– ギリシャ語 ozein (臭いがする) の現在分詞 ozon に
ちなんで 1840年 C.F. Schonvein (クリスティアン・
シェーンバインが名前を付けた)
– 雷, 古いコピー機
– 大気中のオゾンの約9割が成層圏 (1割が対流圏)
– 成層圏ではオゾン層
、
対流圏では OH の生成源
– 強い酸化力
→ 生物組成 (人間・植物) を酸化 → 大
7-1. オゾン
大気中のオゾンの役割
• 成層圏オゾン:
有益
(紫外線から生物を守る)
善玉オゾン• 対流圏オゾン:
有害
(直接的に植物・生物にダメージ)
悪玉オゾンLiou, 2002
オゾンによる太陽光の吸収
– 1880年代シャピュイ (J. Chappuis) と ハートリ (W. N. Hartley) 1Å = 10−10 m= 0.1 nm UV-C: <280 nm UV-B: 280-315 nm UV-A: 315-400 nm 気象庁オゾンの吸収帯
オゾンの鉛直分布 (緯度・高度断面)
• 極大は熱帯下部成層圏
→ 中緯度は熱帯から極方向の輸送により支配
◎ 混合比と密度で極大となる高度が異なる
※ オゾンの測定方法 (例)
①紫外吸収光法
• 水銀線の 253.7 nm の吸収 (まさにオゾン層)
②オゾンゾンデ
• ヨウ化カリウム (KI) 溶液 → オゾン → 電流
• 気球に搭載し、鉛直分布を測定 → ECC オゾンゾンデ
③ドブソン分光器
• 対流圏積算量 (地表から大気上端までのオゾンすべ
ての積算量。このオゾンを 1気圧、0℃に集めたとき、
1mm = 100
DU
(
ドブソンユニット
)
④人工衛星による観測
※紫外吸光法によるオゾンの測定
• (上) オゾン
• (下) 一酸化炭素
• オゾンゾンデ (Ozonesonde) は気球に取り付けて
オゾンの鉛直分布を測定できる (地上~35 km)
• 現在の主流は ECC (Electrochemical
Concentration Cell) オゾンゾンデ [
Komhyr ,1969
]
• 濃度の異なるヨウ化カリウム (KI) 溶液を二つの
白金電極を入れた容器に入れる (Ion Bride)
• 大気中に含まれるオゾンが溶液に取り込まれる
と電荷を放出し、電流が流れる。電流量からオゾ
ン濃度を算出する
※地上からのオゾン全量観測
ドブソン分光光度計 ブリューワー分光光度計
人工衛星 (Aura/OMI) によるオゾン全量観測
7-2. オゾン層とチャップマン機構
① O
2+ ℎ𝜈 → 2O
𝑗
1(𝜆 < 242 nm)
② O + O
2+ M → O
3+ M (𝑘
2)
③ O
3+ ℎ𝜈 → O(
1D) + O
2𝑗
o3→O(1D)(𝜆 < 320 nm, Hartley bands)
O(
1D) + M → O + M
O
3+ ℎ𝜈 → O + O
2𝑗
o3→O(𝜆 = 400 − 600 nm, Chappuis bands)
𝑗
3= 𝑗
o3→O+ 𝑗
o 3→O(1D)④ O
3+ O → 2O
2(𝑘
4)
• 上記4つの反応をチャップマン機構 (Chapman Mechanism) (純酸素大気の理 論) といい、成層圏オゾンの生成・消滅の理解の基礎となっている。 ※ チャップマン (英国人物理学者. 1930年にオゾン層のメカニズムを提唱 ) 18➂の反応で生成された酸素原子は 三重項状態 (基底状態) O(3P) と一重項
状態 (電子励起状態) O(1D) があり、O(1D) は三体反応によりエネルギーを
失う。
𝑑 O
3𝑑𝑡
= 𝑘
2O O
2M − 𝑗
3O
3− 𝑘
4[O][O
3]
𝑑 O
𝑑𝑡
= 2𝑗
1O
2+ 𝑗
3O
3− 𝑘
2O O
2M − 𝑘
4[O][O
3]
ここで、 O + 2 O2 + 3 O3 = 一定、であることに注意 • O𝑥 ≡ O + O3 とすると、 𝑑 O𝑥 𝑑𝑡 = 𝑑 O 𝑑𝑡 + 𝑑 O3 𝑑𝑡 = 2𝑗1 O2 − 2𝑘4[O] O3 となる。 • 定常状態 (時間変化しない → 時間微分がゼロ) を考えると、 𝑘2 O O2 M = 𝑗3 O3 + 𝑘4[O][O3] 𝑗1 O2 = 𝑘4 O O3 となる。 20• 成層圏では、𝑗
3≫ 𝑘
4O が知られており、
[O]
[O
3]
=
𝑗
3𝑘
2O
2[M]
となり、2つの式を解くと、
O
3= [O
2]
𝑗
1𝑘
2[M]
𝑗
3𝑘
4となる。
𝑗3 𝑗3 𝑗1 𝑗1(オゾン層破壊の科学, 北海道大学出版)
• チャップマンメカニズムを用いると、現実のオゾンよりも多い
→ オゾンを壊す反応があるはず。
7-3.
触媒反応サイクル (オゾン破壊連鎖反応)
• オゾンの破壊触媒反応サイクル (𝜒: 触媒)
𝜒 + O
3
→ 𝜒O + O
2
𝜒O + O
3
→ 𝜒 + 2O
2
(正味)
2O
3
→ 3O
2
• 触媒の例
– OH (水酸化物ラジカル: OH
𝑥)
– NO (窒素酸化物ラジカル: NO
𝑥)
– Cl (塩素ラジカル: ClO
𝑥)
24(問)
① 成層圏が上空ほど気温が高い理由を述べよ。 ② オゾン混合比とオゾン数密度の極大となる高度が異なるのはな ぜか? ③ チャップマン機構において、オゾンの存在量はどの反応によって 決まるか? ④ 何らかの理由で成層圏オゾンが減少した場合、成層圏オゾン量 および気温はどのように変化すると考えられるか?チャップマン 機構のみが成り立っているものとして考えよ。 ⑤ 触媒反応サイクルとは何か説明せよ。7-4. 極域でのオゾン消失&オゾンホール
• 1970年代 南極上空でのオゾン濃度の減少
– 南極ハレーベイでのオゾン減少 (
Farman et al.,
1985
)
– 昭和基地でのオゾン減少 (
Chubachi, 1985
)
• 人工衛星観測での確認
– TOMS は当初異常データとして処理していなかっ
たが南極での観測事実から再計算
★オゾンホールの発見★
26昭和基地におけるオゾンの変動 (オゾンゾンデ)
昭和基地におけるオゾンの変動 (オゾンゾンデ)
オゾンホール (Ozone hole) とは?
• 南極 ・北極でのオゾン積
算量の減少
• 人工衛星画像から穴が
開いたように見えるので
オゾンホールと呼ぶ
人工衛星観測 (TOMS, OMI)
人工衛星によるオゾン観測 (北極の
オゾンホール) Aura/OMI
オゾンホール面積と南半球のオゾン全量の最小値
O
3
と ClO の人工衛星による観測 (MLS )
塩素系触媒反応サイクル
★ O
3と ClO が強い逆相関 → 塩素ラジカル
Cl + O
3
→ ClO + O
2
極渦
(極域の低気圧性循環)
• 極渦の内側は極低温
極成層圏雲
PSC (Polar Stratospheric Cloud)
• 極渦 → 極低温
→ PSC 生成
– タイプI ~ 1μm
– タイプII 数μm –
100μm
– NAT (HNO
3・3H
2O)
40(※参考)
CALIPSO/CALIOP によ
る PSC 観測
オゾンホールの形成
① 下部成層圏 (通常期の塩素を含む化合物)
ClO + NO
2+ M →
ClNO
3+ M
Cl + CH
4→
HCl
+ CH
3② 極低温下
→ PSC → PSC 上での
不均質反応
ClNO
3+ HCl →
Cl
2+ HNO
3ClNO
3+ H
2O →
HOCl
+ HNO
3HOCl + HCl →
Cl
2+ H
2O
BrNO
3+ HCl → BrCl + HNO
3→
Cl
2, HOCl が生成 & NOx 除去
(
PSCで硝酸として “脱窒”)
③ ClOラジカル, ClOOCl の生成
Cl
2+ hν → 2Cl
HOCl + hν → Cl + OH
Cl + O
3→
ClO
+ O
2(NOx は大気から取り除かれる。 O の濃度も低い)
→ClO 濃度増加 → ClO 自己反応
ClO + ClO + M →
ClOOCl
+ M
ClOOCl + M → 2
ClO
+ M
④ 春のオゾン破壊 (太陽光照射)
ClOOCl + hν → ClOO + Cl
ClOO + M → Cl + O
2+ M
Cl の再生 → オゾン破壊
• Br (臭素) の触媒反応
BrCl + hν → Br + Cl
Br + O
3→ BrO + O
2BrO + ClO → Br + Cl + O
2→ BrCl + O
2 44南極のオゾンホール形成過程 (まとめ)
極低温
脱窒
※北極 ”初の” オゾンホール(2011年)
46
※オゾンホールの対策
• 成層圏のオゾン破壊をもたらす CFCs (クロロフルオロ
カーボン; 日本ではフロンという)
• 1985年3月22日、オゾン層保護を目的とした国際協力
ための基本的な枠組みを設定する「オゾン層保護の
ための
ウィーン条約
」が採択 (172カ国とEC(欧州共同
体)
• 1987年9月16日、上記のウィーン条約の下、オゾン層
を破壊するおそれのある物質を特定し、その生産と消
費と貿易を規制して、人の健康および環境を保護する
「オゾン層を破壊する物質に関する
モントリオール議
定書
」が採択 (171カ国とEC)
48
フロンガス (CFC-11) の増加
参考文献 (さらに勉強するために)
• オゾン層破壊の科学 (北海道大学出版会) • 大気科学講座3 成層圏と中間圏の大気, 松野太郎・島崎達夫著, 東 京大学出版会 • 大気化学入門 (東京大学出版会, D.J. ジェイコブ著、近藤豊 訳) • 地球環境の事典 (朝倉書店, 吉崎正憲・野田彰他編) 「成層圏光化学 とオゾン層」 「オゾン層破壊」 • 越境大気汚染の物理と化学 (藤田慎一 他, 成山堂書店) • 環境省 webpage• The Stratosphere: Dynamics, Transport, and Chemistry (Polvani et al Edit., AGU)
• Atmospheric Chemistry And Physics , John H. Seinfeld and Spyros N. Pandis, Wiley-Interscience
• Mathematical Modeling of Atmospheric Chemistry, GP Brasseur and DJ Jacob