• 検索結果がありません。

浅い閉鎖性水域における日成層の形成・消滅につい て

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "浅い閉鎖性水域における日成層の形成・消滅につい て"

Copied!
53
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

浅い閉鎖性水域における日成層の形成・消滅につい て

井口, 翔太

九州大学農学部地域環境工学分野生産環境情報学研究室

http://hdl.handle.net/2324/1498262

出版情報:九州大学, 2006, 学士, 学士 バージョン:

権利関係:

(2)

卒業論文

浅い閉鎖性水域における 日成層の形成・消滅について

九州大学 農学部 地域環境工学分野 生産環境情報学研究室 4年

井口 翔太

平成19年 3月

(3)

目次

第1章 序論 1

第2章 現地観測 2-1 観測対象水域 2

2-2 観測方法 3

2-3 観測条件 5

第3章 3-1 第1回現地観測 3-1-1 気象条件 6

3-1-2 水温の経時変化と鉛直分布 9

3-1-3 DO濃度の経時変化と鉛直分布 11

3-2 第2回現地観測 3-2-1 気象条件 17

3-2-2 水温の経時変化と鉛直分布 20

3-2-3 DO濃度の経時変化と鉛直分布 26

3-3 敷縄池の性格についての考察 28

第4章 日成層の形成と消滅 4-1 はじめに 30

4-2 混合層の発達に及ぼす吹送流と熱対流の効果 31

4-3 水の摩擦速度u*および対流速度wc 33

4-4 吹送流と熱対流による混合層の発達速度 35

4-5 透明度が日成層の形成・消滅に及ぼす影響 38

4-6 現地観測による日成層の形成と消滅に関する検討 40

第5章 結論 46

参考文献 47

謝辞 48

(4)

第1章 序論

貯水池やクリークなどの外界水との交換率が悪い閉鎖性水域では,底水層の貧酸素化,

底泥から溶出する有機物・栄養塩類などが停滞することによる富栄養化等のさまざまな水 質問題が発生する.このような停滞性の強い閉鎖性水域における水環境の保全・改善を図 るには,閉鎖性水域がどのような特徴を有するかを把握すること,つまり水域に付加され る種々の擾乱に対する流動特性および環境要素の応答特性を明確にすることが重要である.

水質要素として水中の溶存酸素を考えると,その濃度は移流,拡散などの物理的過程や 生物的過程に基づく酸素の生産と消費のバランスによって決まる.物理的過程を支配する 擾乱としては,潮汐流,河口,湾口からの流出入,吹送流,内部流動,また日中の日射お よび夜間の放射冷却に基づく熱対流が考えられる.また,生物的過程は水生植物,植物プ ランクトンによる光合成,呼吸等の生態活動がある.これらの物理的,生物的過程は相互 に関係しており,また各過程に水温が影響している.水の密度は水温とともに変化し,密 度変化は水温成層の形成による鉛直混合の抑制や自然対流による鉛直混合の促進をもたら す.水温にともなう密度・粘性の変化は,水域内に存在する水環境物質の沈降・浮上に大き く影響する.

流入出量が小さい閉鎖性水域では水温成層の形成に伴う物質の鉛直輸送・混合の抑制に よる水質汚濁問題が生じやすく,特に浅い水域では深刻な問題となり得る.水温成層を形成,

解消する駆動量の主因は,風の作用による機械的擾乱,および日中の日射,夜間の放射冷 却による熱的擾乱であり,この2つの擾乱に対する成層の形成,消滅過程を解明すること は,水域内の環境を管理し改善してゆくうえで非常に重要である.そこで本研究では,水生 植物の繁茂する浅い閉鎖性水域を対象として現地観測を行い,日成層の形成,消滅過程に ついて定量的な考察を行った.

(5)

第2章 現地観測

2-1 観測対象水域

現地観測は福岡県糟屋郡粕屋町に位置する農業用貯水池(敷縄池)において24時間観 測を実施した.貯水池面積は約 4.93ha,最大水深は 5m,護岸の一部がコンクリートで舗 装されている.観測中,貯水池内外の流出入量はほとんど無く,水位の変動はなかった.

つまりこの水域の水質の変動は物理的,生物的擾乱のみに支配されるものと考えられる.

図.2-1に観測地略図を示す.

図.2-1 観測地略図

(6)

2-2 観測方法

測定項目は,気象要素として気温,湿度,風速,風向および日射量,水質要素として水 温,溶存酸素濃度,pHである.測定項目および測定機器の一覧を表.2-1に示す.以下 に各項目の測定方法を記す.

測定項目 測定機器 測点数 測定間隔(分)

水温・溶存酸素濃度・pH マルチセンサプローブ

(W-23XD,堀場製作所(株)) 5,6 日中 180 夜間 240

水温 熱電対(φ0.3mm C-C線) 11~15 1

日射量 日射センサ

(IKS-37-10,小糸工業(株)) 2 1

風速 風速センサ

(MES-1307/A702,小糸工業(株)) 2 1

風向 風向センサ

(MES-1306/A802,小糸工業(株)) 2 1

湿度・気温 温湿度センサ

(MES-1101B-10,小糸工業(株)) 2 1

表.2-1 測定項目と測定機器一覧

(1)気象要素

水域内に気象観測装置を設置した.日射センサ1,2を水面上15cmに設置し,1は吸収 日射量,2は反射日射量を測定した.風速,風向,温湿度センサはそれぞれ水面上50,150cm に設置した.データ記録にはmidiロガー(GL-800-UM-102,GRAPHTEC(株))を使用 し,いずれも1分間隔で測定を行った.気象観測装置設置図を写真.2-1に示す.

(2)水温の鉛直分布

水温の鉛直分布の測定は,塩化ビニルパイプに熱電対を取り付けた水温測定器を使用し,

水面から鉛直方向20cm間隔で11~15点,1分間隔で測定し,データ記録にはサーモダッ

クEF(5020A,江藤電気株式会社)を用いた.また,マルチセンサプローブ(W-23XD,

堀場製作所(株))を用いて鉛直方向50cm間隔での測定も行った.水温測定器設置図を写真.

2-2に示す.

(7)

(3)DO濃度,pHの鉛直分布

DO濃度,pHの鉛直分布の測定は,マルチセンサプローブ(W-23XD,堀場製作所(株))

を用い,水面から鉛直方向50cm間隔で5または6点,日中180分,夜間240分間隔で測 定した.

温湿度センサ

風速センサ

日射センサ 風向センサ

写真.2-1 気象観測装置設置

(8)

2-3 観測条件

観測は粕屋町の敷縄池において2回実施した.実施日は以下のとおりである.

第1回観測 : 2007年8月7日午後5時~8月8日午後4時 第2回観測 : 2007年11月21日午前9時~11月22日午前8時

観測はSt.1からSt.5の5つの観測点を設け行った.観測点を写真2-3に示す.第1回 観測では,浮葉性植物(ヒシ)が水面の1/3程度を繁茂しておりSt.2を浮葉性植物との境 界,St.3 が浮葉性植物内となるように設置した.第2回観測では水生植物は見られなかっ たが第一回観測と同地点にて観測を行った.

5 5

20m

15m 気象観測装置

1 1 22 33 44

5 5

20m

15m 気象観測装置

1 1 22 33 44

写真.2-3 観測地点

(9)

第3章 観測結果と考察

3-1 第一回観測結果と考察

3-1-1 気象要素の経時変化

図.3-1(a),(b),(c),図.3-2(d),(e),(f)はそれぞれ,第一回観測における気温,

湿度,吸収日射量(短波放射量から水面での短波放射量を差し引いた量),風速,摩擦速度 および風向の経時変化であり水域に付加される擾乱の経時変化である.気温,湿度,風速,

風向は水面から 50cmの高さにおける測定値である.摩擦速度は水面上における摩擦速度 U*aであり,次式の風速の対数法則から算出した.

( ) ( )

( )

1 2

1 2

*

ln z z

z U z U

a

= κ U

ここに,κはカルマン定数でκ=0.41である.またU(z1),U(z2)はそれぞれ水面からの高 さz1,z2における風速を表わす.

図.3-1(c)に示されているように第一回観測では8月8日午前6時から日射があり,13 時から16時の間に一時曇りと日射量は変動したが,日射量は最高0.92kW/㎡に達しよく晴 れた日であった.最高気温は15時20分の35.7℃,最低気温は4時10分の23.8℃である.

風速に関しては夜間に平均0.5m/s,日中に最高風速3m/s程度の微風状態であった.つまり 第一回観測は熱的擾乱が卓越していたといえる.

(10)

(a)気温の経時変化

20 25 30 35 40

17:00 20:00 23:00 2:00 5:00 8:00 11:00 14:00 17:00

気温(℃)

(b)湿度の経時変化

30 40 50 60 70 80 90

17:00 20:00 23:00 2:00 5:00 8:00 11:00 14:00 17:00

湿度(%)

8/8 8/7

(c)吸収日射量の経時変化

吸収日射量(kW/㎡)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

17:00 20:00 23:00 2:00 5:00 8:00 11:00 14:00 17:00

図.3-1 第一回気象観測結果

(11)

0 1 2 3 4 5 6

17:00 20:00 23:00 2:00 5:00 8:00 11:00 14:00 17:00 (d)風速の経時変化

風速(m/s)

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

17:00 20:00 23:00 2:00 5:00 8:00 11:00 14:00 17:00 (e)摩擦速度の経時変化

摩擦速度(m/s)

0 50 100 150 200 250 300 350

17:00 20:00 23:00 2:00 5:00 8:00 11:00 14:00 17:00 (f)風向の経時変化

風向(rad)

(12)

3-1-2 水温の経時変化と鉛直分布

図.3-3,図.3-4は第一回観測におけるS2(浮葉性植物の境界),S3(浮葉性植物 内)の水温および気温,風速,日射量の経時変化,また図.3-5,図.3-6はS2,S 3における受熱期と放熱期の水温の鉛直分布の時間変化を示している.なお,本研究では 各時間における熱フラックスを算出し,熱フラックスが正である時間帯を受熱期,負であ る時間帯を放熱期と定義した.熱フラックスの算出方法については第4章で述べる.また,

S1,S4,S5におけるデータは機器の不具合により正確なデータが得られなかった.

図.3-3,図.3-4から各測点とも日中の日射,夜間の放射冷却に応答する水温の 昇温,降温過程の様子が顕著に見られる.第一回観測では,熱的擾乱が卓越した条件下で の観測である.すなわち,日射が及ぶ水深では光熱により昇温し,それより下層では熱伝 導による温度変化である.日射が及ぶ水深では,水深の増加に伴い温度上昇の割合は小さ くなっている.また,水温は受熱期において上層ではS2がS3よりも急な温度上昇を示し ている.また,放熱期においてS2,S3ともに緩やかに現象しながらもS3がS2よりも

上層で0.3℃から0.4℃程度高くなる時間帯が見られた.これは,S1が浮葉性植物に被覆さ

れているために日中の日射の影響と夜間の放射冷却が抑えられたため考えられる.

図.3-5,図3-6より受熱期において日射により水温の成層化が始まり,時間の増 加とともに水温成層化が発達している.水温の昇温範囲は1.2m程度であり,それより下層 ではほぼ一定の温度を保っている.放熱期の水温分布は,上層の放射冷却に基づく密度不 安定による熱対流により水温が一様化する様子が見られるが,下層では成層が解消されて いないことが窺える.また,当日は夜間を通してほぼ無風状態であった.このことから,

熱的擾乱が卓越する日では,成層は解消されず残存するものと考察される.

(13)

水温(℃)

図.3-3 S2における水温の経時変化 26

27 28 29 30 31

17:00 20:00 23:00 2:00 5:00 8:00 11:00 14:00 17:00

0.1m 0.3m 0.5m 0.7m 0.9m 1.1m 1.3m 1.7m 2.1m 2.3m 2.5m

風速(m/s)

0 2 4 6

日射量(kW/㎡)

0 0.4 0.8 1.2

20 25 30 35 40

気温(℃)

(14)

20 25 30 35 40

気温(℃)

0 0.4 0.8 1.2

日射量(kW/㎡)

0 2 4 6

風速(m/s)

26 27 28 29 30 31

17:00 20:00 23:00 2:00 5:00 8:00 11:00 14:00 17:00

水温(℃)

0.2m 0.4m 0.6m 0.8m 1.0m 1.2m 1.4m 1.6m 1.8m 2.0m 2.2m

図.3-4 S3における水温の経時変化

(15)

図.3-5 S2における水温の鉛直分布 水温(℃)

水深(m)

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

25.0 26.0 27.0 28.0 29.0 30.0 31.0 32.0

8:29 9:29 10:29 11:29 12:29 13:29 14:29 15:29 16:29 17:29

水深(m)

0 0.5 1

1.5 2 2.5 3

25.0 26.0 27.0 28.0 29.0 30.0 31.0 32.0

17:29 18:29 19:29 20:29 21:29 22:29 23:29 0:29 1:29 2:29 3:29 4:29 5:29 6:29 7:29

水温(℃) 受熱期

放熱期

(16)

0

0.5

1

1.5

2

2.5

25.0 26.0 27.0 28.0 29.0 30.0 31.0 32.0

17:29 18:29 8:29 9:29 10:29 11:29 12:29 13:29 14:29 15:29 16:29 17:29

水深(m)

水温(℃)

図.3-6 S3における水温の鉛直分布 0

0.5

1

1.5

2

2.5

25.0 26.0 27.0 28.0 29.0 30.0 31.0 32.0

19:29 20:29 21:29 22:29 23:29 0:29 1:29 2:29 3:29 4:29 5:29 6:29 7:29

水深(m)

水温(℃)

放熱期 受熱期

(17)

3-1-3 DO濃度の経時変化と鉛直分布

図.3-7,図.3-8は,第一回観測での S1,S2,S3 における経時変化および鉛直 分布の時間変化を示している.各測点について,夜間は生物の呼吸による酸素の消費でDO が減少し,日中は植物プランクトンの光合成による酸素の供給によりDOが上昇している.

S3においてはS1,S2よりも受熱期のDO濃度の上昇が顕著であるのは,浮葉性植物の光 合成による酸素の供給によるものと推測できる.また,8月7日17時から18時に3~4m/s 程度の風による再曝気で,すべての測点においてDO濃度の上昇がみられる.ここではS3

が S1,S2 よりも上昇の度合いが小さいが,これは浮葉性植物の存在で風の影響が妨げら

れたためと推察できる.

観測日当日は受熱期に成層が形成され,放熱期に水深1.2m程度まで混合層が形成された.

混合層が発達した時間帯では,DO濃度も水深1.0mまで均一な値を示していることがわか る.さらに,下層において,変動は大きいものの DO 濃度が1日を通して上層より低い値 を示しているのは,成層の形成に伴い物質の鉛直輸送が抑制されたためと考えられる.ま た,下層のDO 濃度が低いのは底泥から溶出した還元物質による DO の消費が増加するこ とも一因であると考えられる.一般に,湖沼から農業用水として利用する際の環境基準値

は5mg/l以上である.今回の観測では下層で5mg/lを下回る時間帯が多くみられた.

(18)

DO濃度(mg/l)

0 2 4 6 8 10 12 14

17:00 20:00 2:00 7:00 10:00 13:00 16:00

0m 0.5m 1.0m 1.5m 2.0m 2.5m

0 2 4 6 8 10 12 14

17:00 20:00 2:00 7:00 10:00 13:00 16:00

0m 0.5m 1.0m 1.5m 2.0m 2.5m

0 2 4 6 8 10 12 14

17:00 20:00 2:00 7:00 10:00 13:00 16:00

0m 0.5m 1.0m 1.5m 2.0m DO濃度(mg/l) DO濃度(mg/l) 2.5m

8/7 8/8

図.3-7 S1,S2,S3におけるDO濃度の経時変化

(19)

水温(℃)

DO濃度(mg/l)

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

0 2 4 6 8 10 12 14 17:00

18:00 19:00 20:00 22:00 0:00 2:00 4:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

0 2 4 6 8 10 12 14

17:00 18:00 19:00 20:00 22:00 0:00 2:00 4:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

0 2 4 6 8 10 12 14

17:00 18:00 19:00 20:00 22:00 0:00 2:00 4:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00

DO濃度(mg/l) DO濃度(mg/l)

(20)

3-2 第2回観測結果と考察

3-2-1 気象要素の経時変化

図.3-8,図.3-9はそれぞれ,第2回観測における気温,湿度,吸収日射量,風 速,摩擦速度および風向の経時変化であり水域に付加される擾乱の経時変化である.図.

3-8に示されているように第2回観測では観測開始の午前9時から午後 5時まで日射が

あり最大0.79kW/㎡に達したが,午後12時以降は雲が広く覆ったため日射は大きく減衰し

た.最高気温は14時の13.2℃,最低気温は6時10分の6.7℃であった.風速に関しては

日中に2~4m/s程度,夜間に1~2m/s程度の微風状態であった.つまり,第2回観測は熱

的擾乱と機械的擾乱が共存する条件下で観測を実施したことになる.また,午前 3 時前後 に気温,湿度,風速が急変する現象が見られるが,西南西の方角からの風であることから 福岡都市域からの暖かく乾燥した大気が観測地まで流れてきたためと推測できる.

(21)

6 8 10 12 14

30 40 50 60 70 80 90

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

9:00 12:00 15:00 18:00 21:00 0:00 3:00 6:00 9:00

気温(℃) 湿度(%) 日射量(kW/㎡)

11/21 11/22

(22)

0 2 4 6

0 0.2 0.4 0.6 0.8

0 100 200 300 400

9:00 12:00 15:00 18:00 21:00 0:00 3:00 6:00 9:00

風速(m/s) 摩擦速度(m/s) 風向(rad)

11/21 11/22

図.3-10 第二回気象観測結果

(23)

3-2-2 水温の経時変化と鉛直分布

図.3-11から図.3-13は第2回観測におけるS1,S2,S3の水温および気温,

摩擦速度,日射量の経時変化,また図.3-14,図.3-15はS3における受熱期と放 熱期の水温の鉛直分布の時間変化を示している.

図.3-11から図.3-13より各測点において日射による受熱期,夜間の放熱期に おける各水深での水温の昇温,降温過程が窺える.第2回観測では観測開始から12時まで 日射があり,それに伴い水深1.5mより上層では最大0.6℃の水温の上昇がみられるが水深 1.5mより下層では日射の影響が及ばずに冷却過程が進行している.図.3-14,図.3

-15からこの時間帯に上層と下層で水温差1℃程度の弱い成層の形成がみられるが,風速

2~4m程度の風により徐々に混合層が発達し,容易に成層が破壊された.2時間後には全層

混合となる様子がわかる.また,夜間の放熱期は一様に降温しているが,鉛直方向に水温 が高くなる現象が起こっている.

(24)

6 8 10 12 14

気温(℃)

0 2 4 6

風速(m/s)

0 0.2 0.4 0.6 0.8

摩擦速度(m/s)

0 0.10.2 0.3 0.40.5 0.6 0.70.8 0.9

日射量(kW/㎡)

11 11.4 11.8 12.6 13

9:00 12:00 15:00 18:00 21:00 0:00 3:00 6:00 9:00

0m 0.2m 0.4m

12.2 0.6m

水温(℃) 0.8m

1.0m 1.2m 1.8m 2.0m 2.4m

図.3-11 S1における水温の経時変化

(25)

6 8 10 12 14

気温(℃)

0 2 4 6

風速(m/s)

0 0.2 0.4 0.6 0.8

摩擦速度(m/s)

0 0.1 0.2 0.3 0.40.5 0.6 0.70.8 0.9

日射量(kW/㎡)

11.0 11.4 11.8 12.2 12.6 13.0

9:00 12:00 15:00 18:00 21:00 0:00 3:00 6:00 9:00

0.15m 0.35m 0.55m 0.75m

水温(℃)

0.95m 1.15m 1.35m 1.55m 1.95m 2.35m

(26)

図.3-13 S3における水温の経時変化

日射量(kW/㎡)

0 0.1 0.2 0.3 0.40.5 0.6 0.70.8 0.9

摩擦速度(m/s)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 0 2 4 6

風速(m/s)

6 8 10 12 14

気温(℃) 水温(℃)

11 11.4 11.8 12.2 12.6 13

9:00 12:00 15:00 18:00 21:00 0:00 3:00 6:00 9:00

0.23m 0.43m 0.63m 0.83m 1.03m 1.23m 1.63m 1.83m 2.03m

(27)

水温(℃)

0 0.4 0.8 1.2 1.6 2 2.4

10.0 10.5 11.0 11.5 12.0 12.5 13.0 13.5 14.0

9:27:28 10:27:28 11:27:28 12:27:28 7:27:28 8:27:28 9:27:28

水深(m)

0 0.4 0.8 1.2 1.6 2 2.4

10.0 10.5 11.0 11.5 12.0 12.5 13.0 13.5 14.0

13:27:28 14:27:28 15:27:28 16:27:28 17:27:28 18:27:28 19:27:28 20:27:28 21:27:28 22:27:28 23:27:28 0:27:28 1:27:28 2:27:28 3:27:28 4:27:28 5:27:28 6:27:28

水深(m)

図.3-14 S2における水温の鉛直分布の時間

(28)

水深(m)

水温(℃)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 2.2

10.0 11.0 12.0 13.0 14.0

9:27:28 10:27:28 11:27:28

水深(m)

12:27:28 7:27:28 8:27:28 9:27:28

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 2.2

10.0 11.0 12.0 13.0 14.0

13:27:28 14:27:28 15:27:28 16:27:28 17:27:28 18:27:28 19:27:28 20:27:28 21:27:28 22:27:28 23:27:28 0:27:28 1:27:28 2:27:28 3:27:28 4:27:28 5:27:28 6:27:28 7:27:28

図.3-15 S3における水温の鉛直分布の時間

(29)

3-2-3 DOの経時変化と鉛直分布

図.3-17は第2回観測でのS4における経時変化および鉛直分布の時間変化を示して いる.第2回観測では浮葉性植物の繁茂が無く,各測点での違いがみられなかったためS4 を代表して示している.

第2回観測では,日中の日射により一時弱い水温成層の形成がみられたが,風の作用で 成層は解消されて水域内は混合されている.しかし,表層においては風による再曝気でDO が供給され,1日を通して表層の DO 濃度が中層,下層に比べ高いことがわかる.表層の DOは混合により中層,下層へと供給されるため,中層,下層のDO濃度の増減は表層と同 じ傾向を示している.夜間は生物,プランクトンの呼吸や有機物の分解で DO は消費され 減少していくが,今回の観測では増加する時間帯もみられた.つまり風の作用が水域内の 水質改善に大きく寄与していることが分かる.図から,上層の最高値が 11.5mg/l,下層で の最低値が8.9mg/lであり,これは飽和に近い状態であった.

(30)

8 9 10 11 12

9:00 12:00 15:00 18:00 21:00 0:00 3:00 6:00 9:00

0m 0.5m

DO濃度(mg/l) 1.0m

1.5m 2.0m 2.5m

0 0.5 1 1.5 2 2.5

6 8 10 12 14

9:00

10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 23:00 1:00 3:00 5:00 7:00 8:00

水温(℃)

DO濃度(mg/l)

図.3-16 DOの鉛直分布と経時変化(上)と鉛直分布(下)

(31)

3-3 敷縄池の性格についての考察

夏季に実施した第1回観測は熱的擾乱が卓越し,冬季の第2回観測では熱的擾乱と機械 的擾乱が共存する条件下での観測であった.観測対象地である敷縄池は水深2.5m程度と浅 い水域であるが,第1回観測では密度界面はみられないものの明確な成層が形成され,夜 間の放射冷却では成層は解消されず,低層の水温は 1 日を通してほぼ一定であった.この ような無風,または微風状態の日が続けば,底層での貧酸素化を生じ水域の水環境に悪影 響を及ぼすことが考えられる.第2回観測では,日射により弱い成層がみられたが微小な 風の作用で水域内が混合され数時間で全層循環に至ったことから,冬季の間は定期的に水 域内が混合され,底層の貧酸素化の問題はないものと考えられる.

表.3-1,表.3-2はそれぞれ,第1回観測,第2回観測の水質調査結果を,また 表.3-3,表.3-4は湖沼における一般基準を示している.敷縄池は農業用水用貯水 池であり,調査結果を農業用水基準と比較したところ,第1回観測の上層のpHを除きすべ ての項目が基準範囲内の値を示している.第1回観測における下層の DO に関しても特に 問題は無いものといえる.

pH DO(mg/l) T-N(mg/l) T-P(mg/l) 上層 6.38 11.47 0.32 0.019 中層 6.70 11.43 0.35 0.025 下層 6.59 7.34 0.40 0.031 表.3-1 第1回観測における水質調査結果

pH DO(mg/l) T-N(mg/l) T-P(mg/l) 上層 7.00 10.27 0.49 0.021 中層 7.11 9.81 0.55 0.027 下層 7.12 9.83 0.66 0.024 表.3-2 第2回観測における水質調査結果

(32)

表.3-3 湖沼に関する一般基準(pH,DO)

水素イオン濃度 (pH)

溶存酸素量 (DO)

AA

水道1級 水産1級 自然環境保全

およびA以下の欄に掲げるもの

6.5以上

8.5以下 7.5mg/l以上

A

水道2,3級 水産2級 水浴

およびB以下の欄に掲げるもの

6.5以上

8.5以下 7.5mg/l以上

B

水産3級 工業用水1級 農業用水

およびCの欄に掲げるもの

6.5以上

8.5以下 5mg/l以上

C 工業用水2級

環境保全

6.5以上

8.5以下 2mg/l以上 利用目的の

類型 適応性

基準値

全窒素 全リン

Ⅰ 自然環境保全およびⅡ以下の欄に掲げるもの 0.1mg/l以下 0.005mg/l以下

水道1,2,3級(特殊なものを除く)

水産1種

水浴およびⅢ以下の欄に掲げるもの

0.2mg/l以下 0.01mg/l以下

Ⅲ 水道3級(特殊なもの)およびⅣ以下の欄に

掲げるもの 0.4mg/l以下 0.03mg/l以下

Ⅳ 水産2種およびⅤの欄に掲げるもの 0.6mg/l以下 0.05mg/l以下

水産3種 工業用水 農業用水 環境保全

1mg/l以下 0.1mg/l以下 利用目的の適応性

類型 基準値

表.3-4 湖沼に関する一般基準(T-N,T-P)

(33)

第4章 日成層の形成と消滅

4-1 はじめに

現地観測(気象観測データ,水温観測など)の結果を概観すると,日射が強く風が弱い 場合には,日成層が残り,日射が弱く風が強い場合日は,日成層が消滅することがわかる.

また,この日成層の消長が,水質観測結果に影響を及ぼしていることもわかる.

つまり,日成層の影響は,とくに水質悪化が顕著になる夏季に大きい.日成層が消滅せ ず残存することにより,運動量および物質の下層と上層の間の鉛直輸送は抑制されことに なり,この状況が長時間持続すると,水域内の水質にとっては劣悪な環境となる.

すなわち,日成層の形成・消滅の日サイクル運動によって,混合層が発達しないために 成層が消滅せず,躍層が残ることは水域の水質環境に大きな影響を与えることになる.

したがって,閉鎖性水域内における流動の主たる駆動力である水面への風の作用に基づ く吹送流や,日中の日射により形成された温度成層場が夜間の水面からの熱の放射に基づ く熱対流による日成層の形成・消滅過程を明らかにすることが極めて重要である.日成層 の形成・消滅の規模は,日射量や吹送流および熱対流の規模と密接に関係する.すなわち,

水面に作用する風応力および水面に付加される熱量・水面からの熱の放散量に強く依存す ることになる.

(34)

4-2 混合層の発達に及ぼす吹送流と熱対流の効果

水面に作用する風応力に基づく吹送流,水面からの熱放散による熱対流の作用によって,

混合層内の乱流が発達して混合層の厚さが発達する場合のそれぞれの効果について考察す る.

いま,混合層内の水温を

T

,混合層の厚さを とし,混合層と下層(混合層下端から底 面までの層)との水温差を

h

Δ T

,密度差をΔ

ρ

,下層の密度を

ρ

0とすれば,水の熱膨張率

α

は,以下のように表すことができる.

( )( Δ Δ T )

= ρ ρ

α 1

0

座標軸の原点を水域水面におき,

x, y

軸を水面内に,

z

軸を鉛直下方にとり,

x , y , z

方向の 水域内流動の流速変動をそれぞれ とし,その大きさを

q

,圧力,密度の乱流による変 動をそれぞれ

w v u , , ρ

,

p とすれば,躍層境界(混合層下端)におけるエネルギー収支式は,

( ) ε

ρ ⎟⎟ = α

⎜⎜ ⎞

⎛ +

∂ + ∂

p q g wT

z w t q

2 0

2 (1)

となる.ここに,

ε

はエネルギー消散を表す.

いま,上式の各項は速度スケール

σ

を用いて次のように表すことができる.

左辺第1項

t h C h

t q h q z

t T

= ∂

− ∂

∂ =

2 2

σ

2 (2)

左辺第2項

C h p q

z w

F

3 2

0

σ ρ ⎟⎟ =

⎜⎜ ⎞

⎛ +

(3)

右辺第1項

( )

t h wT g

g

− Δ

= ρ

0

α ρ

(4)

右辺第2項

2 1

0

2

⎟⎟

⎜⎜ ⎞

= ⎛ Γ σ ρ

ε C

D

g

(5)

ここに,

h

は混合層の厚さであり,∂htは混合層の発達速度を表す.Γは混合層形成前の 水域内の密度勾配でをあらわす.また,CT,CF,CDは定数である.

まず,成層が強くて混合層の厚さが薄いときは左辺第 1項と右辺第2項は,他の項に比 べて近似的に無視できるので,左辺第2項と右辺第1項は等しくなる.すなわち,

R

i

gh t

h 1

1

0 2

Δ =

∂ ∝

ρ σ ρ

σ

(6)

となる.ここに,

R

i

= g Δ ρ h ρ

0

σ

2 はリチャードソン数である.上式は,混合層の発達速

(35)

度はリチャードソン数に逆比例することを示している.

次に,成層が弱く,躍層の厚いときは,すべての項を考慮することになる.つまり,

2 1

0 2 0

3 2

⎟⎟ ⎠

⎜⎜ ⎞

− ⎛ Γ

− Δ

=

∂ −

σ ρ ρ

ρ σ

σ g

t C h g C h

t h

C

T

h

F D (7)

の関係が成立する.前述のリチャードソン数を用いると,上式は

( )

i t

i D F

R C

R C C t h

+

= −

∂ 2 21

1

σ

(8) となる.

(6)式,(8)式より,混合層の発達速度は,速度スケール

σ

を用いたリチャードソン数の関

数として表すことができることを示している.

いま,閉鎖性水域内の混合層内の乱流混合の主たる原因は吹送流および熱対流であり,

この場合の速度スケールは,それぞれ水の摩擦速度 および対流速度 を用いることがで きる.

u*

w

c

したがって,閉鎖性水域内における混合層の発達速度,つまり,日成層の消滅過程は速 度スケールu*

w

cを用いたリチャード数の関数として表すことができる.

混合層内の乱流混合の主因が吹送流による場合には,したがって(6)から(8)式における速度 スケールとして水の摩擦速度 をとり,熱対流の場合には,対流速度 をとる.さらに,

吹送流と熱対流の寄与が同程度の場合には,速度スケール

u*

w

c

σ

としてはそれぞれの作用の和 として次式で与えることができる.

(

u*3+wc3

)

31

σ

= (9)

(36)

4-3 水の摩擦速度u*および対流速度

w

c

水面に作用する風速の分布が対数分布する場合,次の対数則が成立する.

( )

0

*

1 ln z

z u

z U

a

= κ

(10)

ここに,U

( )

z は水面からの高さ における風速,

z u

*aは空気の摩擦速度,

z

0は粗度定数,

κ

はカルマン定数である.水面からの2高度の高さz1,z2

(

z2 >z1

)

における風速 を実測すれば,上式から

( ) ( )

z1 ,U z2

U

( ) ( )

1 2

1 2

*

1 ln z z

z U z u

a

U

κ

= −

(11)

で,空気の摩擦速度が求められる.

風の作用による水面に働く剪断応力

τ

aと吹送流の水面における剪断応力

τ

wが連続である

と仮定すると,

2 a a

a

ρ u

τ =

*

w * w

u

2

ρ τ =

より,吹送流の速度スケールである水の摩擦速度は次式で求められる.

a w

a

u

u

*

2 1

*

⎟⎟

⎜⎜ ⎞

= ⎛ ρ

ρ

(12)

ここに,

ρ

a

, ρ

wはそれぞれ空気,水の密度である.

2高度における風速の観測値はないが,高度10m での風速 を用いることができる場合 には,吹送流の水面における剪断応力

U

10

τ

wは以下のように求められる.

水面が滑らかな場合には,

2 10

10

-3

8 .

0

a

U

w

ρ

τ = ×

水面が粗い場合には,

2 10

10

-3

6 .

2

a

U

w

ρ

τ = ×

である.滑面と粗面は風速の大小によるもので,臨界風速は6.6m/sである.

混合層の水温低下速度および水平対流の平均速度を用いて混合層の発達速度の推定を試 みる.混合層内における鉛直 1 次元の温度保存式は,密度不安定に起因する対流による輸

(37)

送が拡散による輸送に比べて大きいと仮定すると,次式のようになる.

( w T

z t

T

f

ˆ

− ∂

∂ =

∂ )

(13)

ここに,

w

fは水平方向に平均化された対流塊の沈降速度,Tˆは冷水塊の水温

T

と周囲水の

温度

T

との差を表す.

w

上式を混合層内,すなわちz=0から

h

まで積分すると,

{ ( ) ( ) ˆ ˆ

0

1

T w T

dt w

h dT

f

f h

= }

(14) 境界条件を

z=0 ;

( )

p

f

c

T Q

w ˆ

0

= ρ

(15) と仮定して

w

f(

h

)について整理すると,

( )

( )

⎜ ⎜

⎛ +

=

p

f

c

Q dt h dT h T h

w ˆ ρ

1

(16)

いま,躍層面近傍における速度wf(h1)の対流塊の有する運動エネルギーが位置エネルギーに 変換されるものと考えると,エネルギーのバランスは次式で与えられる.

w

f

( ) h T ˆ ( ) h gh 2

1

2

= α

(17)

これより,躍層面における対流塊の速度は,

( )

3

1

2 ⎪⎭

⎪ ⎬

⎪⎩

⎪ ⎨

⎟ ⎟

⎜ ⎜

− ⎛

=

p

f

c

gh Q h

w α ρ

(18)

となる.

(38)

4-4 吹送流と熱対流による混合層の発達速度

図.4-1は,水面での熱の出入りがなく,風の作用による機械的擾乱で混合層が形成 される場合,図.4-2は,水面からの熱放散により自然冷却に基づき混合層が形成され る場合の模式図である.いずれも初期の水温分布は

T = T

0

− β z

とする.ここに,

T

0

t = 0

の水面の水温,

β

は温度勾配である.時刻tにおける混合層の厚さを とし,その水温を とする.図.4-1において,風が水面になす仕事は単位時間当たり

h T

s

(

*

)

3

* 0 2

* 0 2

*

u u u u u u

u

u

s a a s s s

a

ρ ρ ρ

τ = = =

(19)

である.ここに,

u

sは水面流速である.

いま,これの一部分

(

*

)

0 *3

3

*

0

u u u m u

m

W = ′ ρ

s

= ρ

(20)

が水中のポテンシャルエネルギーを変えることになるので,混合層の厚さが増加する.す なわち,「

Wt =

ポテンシャルエネルギーの変化」が成立する.

h

図.4-1(左),4-2(右) 混合層形成の模式図

(21)

( ) ( )

∫ {

= h s Ts T gzdz

Wt 0

ρ ρ }

ここに,

ρ

は水の密度で,

T = T

0

− β z

に対応して,

ρ ( ) T = ρ

0

( ) T

0

+ bz

の関係が成立し,

> 0

− ∂

= T

b β ρ

である.また, s

bh 2 1

0

− ρ

ρ

であるから,

(39)

(22)

∫ (

= h s bz gzdz

Wt 0

ρ ρ

0

)

2

12 1 bgh

=

となる.これより,

13 0

* 13

12 12

⎟⎟⎠

⎜⎜ ⎞

= ⎛

⎟⎟⎠

⎜⎜ ⎞

=⎛

bg t u m

bg

h Wt

ρ

(23)

となる.この式は,混合層の発達は,風速に比例し,時間 の1/3乗に比例することを表し ている.この式を時間tで微分し,書き直すと

t

0

*

2 1

Ri m dt dh

u =

(24)

こ こ に ,

Ri

0

= ( )( 1 2 g ρ

0

) bh

2

/ u

*2 は 混 合 層 の 層 平 均 リ チ ャ ー ド ソ ン 数 で あ り ,

( z )

0

b = ∂ ρ ∂

での密度勾配である.この式は,風の作用に基づく混合層の発達速度 は の逆数に比例することを示している.

= 0 t

Ri

0

一方,図4-2においては,水面からの熱放散による水面近傍での密度不安定に基づく 対流混合により,混合層が形成され,発達する.水面から単位時間あたりに放出する熱をQ とし,それが一定とすれば時刻0からtまでに失う熱と水温の関係は

(25)

( )

tQdt= 0hCp 0 T Ts dz

0

ρ

となる.これより,

2

2

0

1 C h

Qt =

p

ρ β

(26) を得る.

したがって,熱対流による混合層の発達に関して,

2 1

0

2 ⎟ ⎟

⎜ ⎜

= ⎛

β

p

ρ C

h Qt

(27)

を得る.この式は,熱対流に基づく混合層の発達は,熱量の1/2乗,時間 の1/2乗に比例 することを表している.この式を時間tで微分し,速度スケールとして,対流速度 を用 いて書き直すと

t

w

c

1 1 1 dh

=

(28)

(40)

を得る.ここに,

Ri

0

= ( )( 1 2 g ρ

0

) bh

2

/ w

c2である.この式は,熱対流の基づく混合層の 発達速度は

Ri

0の逆数に比例することを示している.

(41)

4-5 透明度が日成層の形成・消滅に及ぼす影響

富栄養化の進行ならびに表層プランクトンの高濃度化は,水域の透明度を減少させ,日 中には強い水温成層化,夜間には混合層発達速度の減少など,日成層の形成・消滅過程に 影響を及ぼすものと考えられる.ここでは,透明度の減少が日成層の形成・消滅に及ぼす 影響について考察する.

いま,一様な濁度の水中を透過する光量は,深さ方向にほぼ指数関数的に減少すると考 えられている(Lambert-Beerの公式).減少した分は熱に転換されて水温を上昇させるが,

その率も指数関数的に減少する.水温上昇量が僅かであれば,それに比例して密度が減少 するので,水の相対浮力の時間的変化率も深さ方向に指数関数的に減少する.したがって,

初期の水温が深さ方向に一定であれば,日射による相対浮力の生成量は次のように書くこ とができる.

⎟ ⎠

⎜ ⎞

⎝ ⎛−

Δ =

= D

g z g

g

0

exp

0

ρ ε

ε ρ

(29)

ここに,

ε = Δ ρ ρ

0

ρ

0は水の密度,Δ

ρ

は,仮に無風としたときに日射により生じる であろう密度の変化量,

g

は重力の加速度,

ε

0は水面における

ε

の値, は水面から下向 きに取られた座標,

z

D

は相対浮力の重心で透明度

( )

Tr D=Tr 1.9の関係にあるといわれ ている.

上式のような相対浮力分布が形成された場へ風が作用して,水深 の位置に躍層が形成さ れたとする(図.4-3参照).

h

その間,熱量は保存されていると仮定すると,相対浮力の積分値は次のようになる.

⎭ ⎬

⎩ ⎨

⎧ ⎟

⎜ ⎞

⎝ ⎛−

⎟ =

⎜ ⎞

⎝ ⎛−

= ∫ g D z dz gD D z

B

h

exp

0

1 exp

0

ε

0

ε

(30)

躍層が形成される前の相対浮力の重心を

z

0とすると

⎭ ⎬

⎩ ⎨

⎧ ⎟

⎜ ⎞

⎝ ⎛−

⎟ −

⎜ ⎞

⎝ ⎛−

⎟ =

⎜ ⎞

⎝ ⎛−

= ∫ gz D z dz gD D h D h D z

Bz

h

exp

0 2

1 exp exp

0 0

0

ε ε

(31)

を得る.躍層が

z = h

にあるときz=

[

0~h

]

の相対浮力の重心はD 2であるから,躍層が

に形成されたことによるポテンシャルエネルギーの増分

h

z = P

は次式で与えられる.

⎥⎦

⎢ ⎤

⎭⎬

⎩⎨

⎧ ⎟

⎜ ⎞

⎝⎛−

⎭−

⎬⎫

⎩⎨

⎧ ⎟

⎜ ⎞

⎝⎛−

+

⎟ =

⎜ ⎞

⎝⎛ −

= D

h h

D D

gDh h B

h z

P 1 exp 1 exp

2 1

2 0

ε

0 (32)

いま,日射条件と水深が等しく,透明度が異なる場合を考え,躍層が水底に到達する,す なわち日成層が消滅するまでに必要なポテンシャルエネルギーの増分を比較する.水温上 昇量が僅かであれば,等しい日射条件の下では水面を透過する光量は概ね等しいから,

(42)

⎟ ⎠

⎜ ⎞

⎝ ⎛−

Δ =

= D

g z g

g

0

exp

0

ρ ε

ε ρ

z=

[

0~

]

で積分した

[ ε

0

gD ]

は概ね等しい.また躍層が 水底に到達したときの躍層の厚さ(混合層厚さ)は水深である.したがって,次式で示さ れる無次元のポテンシャルエネルギーの増分を比較すれば,透明度の減少が日成層を消滅 させるのに必要なポテンシャルエネルギーを知ることができる.

⎭ ⎬

⎩ ⎨

⎧ ⎟

⎜ ⎞

⎝ ⎛−

+

⎭ −

⎬ ⎫

⎩ ⎨

⎧ ⎟

⎜ ⎞

⎝ ⎛−

+

= D

h h

D D

h ghD

p 1 exp 1 exp

2 1

ε

0 (33)

日射のみ

h

風による混合後

εg

図.4-3 風による混合にともなう相対浮力の変化

(43)

4-6 現地観測による日成層の形成と消滅に関する検討

ここでは,気象要素(風速,気温,日射量)および水温の観測結果に基づき,観測を行 った敷縄池の日成層の形成・消滅について考察する.図4-4~図4-7は,現地観測結果をも とに考察に必要な諸量を算定した結果を示したものである.なお,吹送流の速度スケール である水の摩擦速度 は,2高度における風速を用いて,前述の(11)式と(12)式から算定し,

熱対流の速度スケールである対流速度 は前述の(18)式から算定した.また,熱量および ポテンシャルエネルギーの経時変化は,各測定時刻における水温鉛直分布を用いて,水面 から水底までの単位目面積の水柱が有する熱量およびポテンシャルエネルギーとして算定 した.さらに,水面における熱フラックスは,熱量の経時変化から算定した.

u*

w

c

一般に,日中の日射により形成される日成層は,風の作用に基づく吹送流と水面からの 熱放散に基づく熱対流の規模に強く依存する.すなわち,吹送流の速度スケール ,熱対 流の速度スケール の大きさに密接に関係する.また,放熱期には,通常 であり,

温度成層場の乱流混合に対する熱対流の影響は風の作用に基づく吹送流の影響に比べて大 きい.受熱期には,表層の顕著な水温に基づく温度成層場が安定度大きいので熱対流はな く, とみなされる.

u*

w

c

w

c

> u

*

= 0 w

c

まず,第1回目観測である8月の敷縄池の日成層の形成と消滅について考察する.

図4-4において,気温と表層水温の経時変化から日没後18:30頃から翌朝7時頃までは,

表面水温が気温より3℃から5℃ほど高い状態であり,この期間は放熱期にあたり熱対流 に基づく混合層の形成・発達し,日成層の消滅に寄与する.吸収日射量の経時変化からは,

日の出の午前6時以降順調に日射が起こっていることがわかる.日射最盛期の13時以降に 雲の発生による日射量の低下が見られるが,ほぼ十分な日射量が水面に付加されているこ とがわかる.風速の経時変化からは,観測開始直後の午後5時頃から約2時間半の間,平

均風速で3.5m/sの風が吹いている.この間は熱対流はほとんど起こらず,吹送流による混

合層の形成・発達おこり,日成層の消滅過程に寄与している.また,午後 8 時前から翌朝 の日射開始時刻までは,0.5m/s 程度の風が持続している.この期間は吹送流による日成層 消滅過程への寄与はなく,日成層の消滅過程はほとんどが熱対流によるものである.翌日 は,日射開始後 2 時間ほど経過した後から日常的な風が吹き始め,平均風速 1.2~1.5m/s の風が日没まで継続している.この期間は,真夏の強い日射による顕著な水温成層化過程 であるが,風の吹送により表層の成層強度が若干弱められるものと考えられる.

さて,図4-5の速度スケール , において,まず, は観測開始直後に1.5cm/sの値 を示しているが,それ以降3時間程度の間0.5~1cm/sの値で推移している.また,夜間の 熱対流が卓越する時間帯はほぼ0で推移し,翌日は日射による日常の風に基づいて0.5cm/s の大きさで推移している.つぎに, は日没後数時間0.6~0.9cm/sの値であるが,その後

u*

w

c u*

w

c

(44)

以上のことより,第 1 回目観測では,等温線図およびポテンシャルエネルギーの経時変 化からわかるように,観測開始 1 時間後から混合層の発達,つまり日成層の消滅過程が始 まり,翌日午前8時頃までこの過程が継続していることわかる.

そこで,この時間帯のポテンシャルエネルギーの経時変化を詳細に見ると,その変化率 のことなる3つの時間帯に区分することができる.すなわち,観測直後1時間後から3時 間程度の時間帯(領域Ⅰ),この時間帯以降翌朝日射開始時刻の6時頃までの時間帯(領域

Ⅱ),この時間帯以降8時頃までの時間帯(領域Ⅲ)の3領域である.領域Ⅰは吹送流が卓 越する時間帯であり,ポテンシャルエネルギーの増加率が一番大きい.ついで領域Ⅲのポ テンシャルエネルギーの増加率が二番目に大きい.この時間帯も弱いが吹送流が熱対流よ り規模が大きい時間である.領域Ⅱのポテンシャルエネルギーの増加率が最も小さい.こ の時間帯は風の作用がほとんどなく,熱対流が卓越する時間帯である.いま,水温鉛直分 布の経時変化図.3-5をもとに,混合層厚さの変化率を算定し,吹送流および熱対流の 日成層消滅過程に対する寄与の評価を試みた.その結果,領域Ⅰでは∂ht =0.12m/h,領

域Ⅱでは∂ht=0.033m/h,領域Ⅲでは∂ht =0.05m/hを得た.敷縄池での8月の日成

層の消滅過程では,3.5m/s の風が吹く場合,その間の混合層厚さの増加率は,夜間の表層 水温と気温の差が3~5℃のもとでの熱対流による混合層厚さのそれに比べて約4倍ほどの 大きさであることがわかった.

また,(23)式および(27)式を用いて混合層深度

h

h/H

を求め,その結果を図.4-8 に示 している.図.4-8(b),(c)は,それぞれ(23)式における摩擦速度u,層平均ブルントバ イサラ振動数の値を変化させ予測したものである.現地観測結果より,図.4-8(b)では

N

2

=

0.0038,図.4-8(c)でu=0.32 に固定している.夏季の敷縄池では,朝までに全層循 環に達するには最低 0.7cm程度の摩擦速度が必要であり,ブルント・バイサラ振動数が 0.0005 程度であれば,今回の風速条件においても全層循環に達することができるというこ とが推定される.図.4-9 は水の摩擦速度および初期成層状態が混合層の発達速度に及ぼす 影響に関して,全層循環に達するまでの時間でまとめたものである.

第2回目観測である11月については,観測開始時点での水温鉛直分布がほぼ一様であっ たことと図.3-15,気象要素等の観測結果(図.3-9,図.3-10)から,日中 の成層化も弱く,日成層は存在しなかったため,日成層の形成・消滅過程については考察 することができなかった.

(45)

0 1 2 3 4 5 6

17:00 20:00 23:00 2:00 5:00 8:00 11:00 14:00 17:00

風速(m/s)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

吸収日射量(kW/㎡)

22 26 30 34 38

表面水温 気温

温度(℃)

-2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 (×10-2)

17:00 20:00 23:00 2:00 5:00 8:00 11:00 14:00 17:00 熱フラックス(cal/cm2・s)

参照

関連したドキュメント

ここで,図 8 において震度 5 強・5 弱について見 ると,ともに被害が生じていないことがわかる.4 章のライフライン被害の項を見ると震度 5

うのも、それは現物を直接に示すことによってしか説明できないタイプの概念である上に、その現物というのが、

 この論文の構成は次のようになっている。第2章では銅酸化物超伝導体に対する今までの研

および皮膚性状の変化がみられる患者においては,コ.. 動性クリーゼ補助診断に利用できると述べている。本 症 例 に お け る ChE/Alb 比 は 入 院 時 に 2.4 と 低 値

汚染水の構外への漏えいおよび漏えいの可能性が ある場合・湯気によるモニタリングポストへの影

このような環境要素は一っの土地の構成要素になるが︑同時に他の上地をも流動し︑又は他の上地にあるそれらと

目的の温度測定は達成できたが、水蒸気量が多く、水滴や放射線によるノイズの影