ここで紹介するのほアメリカ経済学協会が主催し︑その公共
問題委員会︵議長スリクター︶の小委員会︑︵委員デスプレス︑
フリードマン︑ハート︑サミュ工ルソン︑ウオーレス︶ によっ
経済不安定の問題 重要な特徴
三 基本的考え 支出の分類︑生産と購買入れの決意︑政策
の余地
四 財政々策 財政々策貨幣政策の戦略廊理︑財政々策の重
要性︑財政組織における自動安定装置︑扮衡予鈴の
原則に代るもの︑自由裁選によ藩安定滴動
五 貨幣政策 銀行政策︑質的統制ご濁統制︑公債政麓︑
貨幣の本位制︑期政々策と貨幣政策の関係
六ノ国際関係
七 市場政策 八 批 判 フリーザマシ︑スミレーズ 経済不安定の問題
虻 今 川
目 過去の記録 不況︑イシフレ︑持続的繁栄︑景気循環の
経済不安定の問題 て準備された報砦である︒これは経済欄不安定︑大法の失業や 物価水準の大巾の変動︑をどのようにしてさけるかという閥題 についての経済学者の考えを報せるために作成された︒これを 発表するのは経済学が経済の安産について貿明な政策を形成す るのに複立っという確信にもとづいている︒安定頂策ほ振動 する経済力をうも消すかとり除くかあるいほ役立つ方へ転換す ることを目的としている︒この点にノついてこの報告ではつぎの 二点を説明しようとつとめて について説明する︒つぎに安定のための政策やプログラムの 作成につい﹀て経済学者がどのように考えているかについてのべ る︑︒衰定の問題についで経済学者の見解成一致していない︒し かし︑大体一致している点をもとめることができるからそれを 中心にのぺる︒また委員会としての意見の範饉はかなり広い︒ しかしここにほ︑意見の一致のえられなかったものものべてあ る︒針たここ︑でほ枚雑な問題を簡単に取扱っている︒これを詳 細にし︑精微にすることは経済分析︑経済行政の啓門家の仕事 をまたねばならないがそれはここでほ試みてい発い︒
的 l 目
物価雇用
国内の経済的安定には二つの大きな目的1完全版用の維持L
物価水準の安定がある︒完全威用の重要性は山九三〇年代の経
験によって害調され︑一九四六年の雇用法においてほ公式にみ
︵六三九︶ 五七
第三十一巻′第六号
とめられている︒/物価水準の安定の重要性ほすでに戦前から広
く認められているが岬九四〇各代の経験によって強調された︒完
全雇用は現行の賃金で仕事を求めておりそれをする資格のある
人が余り遅れることなしに生産活動に従事できるというこ之を
意味する︒それはまたそれを本職として働こ㌢と欲している人
々にそのような仕事があることを意味する︒仕事を変えるとき
一膝仕事から離れる人があっても完全展用と考えるのである︒
物価水準の安定ほ一般物価水準がひどく上向き下向きになっ
たり短期に急激に変ることのないことを意味する︒商品の相対
価格ほ消費者の選択あは生産条件の変化を反映して変る︒けれ
どもこれは物価水準の安定と両立しうる紅のである︒事実はと
んどの経済学者は︑物価水準は安定的でありしかも相対価格は
伸縮的であるがよいと考えている︒
完全展用が望ましいことははっきれしている︒兵菜が為ると
生産可能な財が無駄に失われ失業者とその家族の生活は困難に
怖いる︒物価水準の安定が望まtいことはそれはど明らかでほ
ない︒しかし︑⊥方では物価の大巾の下落ほ大抵の場合ひどい
央兼を伴う︒他方インフレほ一部の人には都合がよいが︑現金
で入る所得が増加しないかあるいは生活費曙どにほ増加しない
人々を管しめる︒また経済的利害の対立はするどくなり︑.国家
的問題の解決紅必要な階級間の協調がえられなくなる︒
その他の醤的
経済の安定は一般に認められている社会的政策の目的−平和 ︵六四〇︶︑五八
進歩自由などーのうちめ︳づにすぎない︒ある程度までほ経済
が安定になると他の目的も促進される.︒しかし安定を促進する
方法の中にはそれと衝突するものもある︒したがっで経済の挙
定はどのような犠牲を払っても望ましいという性質のものでは
ないということを心にとめておかねばならない︒
制度的背景
われわれ曙民間企業が沢山あり︑また政府活動も多く行われ
ている社会紅住んばいる︒この報薯ほこのように混合した社会
の経済の安定の問題をとり扱う︒そこでは政府は直接孝くの経
済活動をつづけて行い︑また多くの方法で民間の活動を統制し
つづけるが∵万でほ大部分の人ほ民間企業堅雇用されるかある
いは自家営業する︒そして何を消費し︑どこで働き︑財産をど
訂ように使い︑何をいぺら生産するかについての決定は政府の
指令によってではなく︑それをする人々に影響を与えている刺
戟によって主阻支配される︒この報告は家封企業にあることを
するように指令したり︑それを禁じて他のことをするように指
令することによって経済を安定にするような提轟をとり扱うの
でほない︒
二 過去の記録
この節では合衆国の歴史の記録から不安定についての竃要な
事実をとり出してのべる︒この事実にもとづいて︑つぎの節で二︑
三の基本的な考えにつ小てのべ︑後で政策紅ついて論ずるため
OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
の基礎をつくっておく︒
経済の不安定は他の国の経済と同じように合衆国匿おいても
慢性的︑であ︑った﹂物価は少くとも十年毎にかなり大きく振動し
ているご﹂の
をみると南北戦争までさかのぼって不況と好況が数多くみられ
る︒生産能力の限度まで生産されたことも時々あった︒雇用と
失業についてめ記録ほ最近まで断片的にtかないが︑そのかぎ
りでは不安定であった︒
この不安定の記線は意気循環として分析されている︒不況の
ときから順に考えよう︒願力月の回復の局面に物価雇用生産の
多くのものが上昇にかわる︒その後拡張の局面になる︒それほ
数年にわた︑ることもあるが︑そこでは産出畳ほ多いかあるいは
上昇しており︑物価も高いか上昇すそその双方が起をことも
ある︒それにつづいて景気の後退の局面となる︒これは劇的に
来るこどもある︒ノ数九月の問に多くの価格多くの産業紅おける
生産雇用が下落に向う︒これに収縮の局面がつづき︑.生産雇用
物価が吏紅下落することが多い︒
不 況
山九三〇の大不況においては大袋の失業を生み﹂○年もの長
い間選際の生産高ほ労働力および工場が生産できる水準よりほ
るかに下であった︒生産できるのに生産しなかったために失わ
れた凌出物の総合計ほ肇土次隠兇大敵に投じられた生産物の総
合計に阻敵するとみられている︒しかこの長期の心どい不況は
経済不安定の問題 ほじめででほなか.った︒ た︒.その中で庵一八七〇と一八九〇の不況ほ長いはげしいもの であった︒
これら大きな不況の他に小さいが.ひどい沈滞が劃八八四−八
五︑一九〇四︑一九〇八︑一九∵四︑⊥九二〇1二二︑劇九三
七にみられる︒一九二四や二七の生産故の減退ほひどい長期の
失菜にほなら兼かつたがこれも景気循環の分析者の記録にはと
りあげられているか
生産凡愚が沈滞するときにはその前の段階にあらかじめ必ず繁
栄になっているとは限らない用不況においで更にひどい不況が
起ることもある︒実際一八九五卜九六と一九三七仁三八ほそ
うなった︒
イ ン フ レ
インフンが完全にその猛威を発揮しひどくなったのは︑いい
かえると物価が広い範幽にわたって急速にしかもほじめより五
割以上も上昇することが起ったのは戦争中と戦争後だけであ
った︒この種のインフレほ独立戦争︑一八一九の戦争︑南北戦
争︑第一次大戦︑第二次大戦とむすぴついている︒︵メキシコ
戦争︑米西磯争紅はインフレが起るまでにほならなかった︶し
かし平和時にも︑これはどひどくほないが物価が上昇した時期
があった︒たとえば一八九四と山九〇九に卸売物価廷二分の劃
はど上昇した︒
持続的繁栄
︵六四一︶ 五九
、
第三十一巻 第六号
記録には持続的繁栄は振とんどない︒一入七〇と一八九〇の
大不況の間︑一八八〇代の十年間ほ大部分繁栄の時代であ一つた0
ただしそ秒間に一八八四の恐慌二年が含まれている︒一八九九
−一九一三虹ほ大体繁栄が支配的であった︒もっ
一九〇七には恐慌また一九﹂四紅ほ短期間ほげしい生産の不技
があった︒両大戦間にはもっとも長期の繁栄があった︒
にほ最慈の不況もあるが一九二三−二九は全体として繁栄の憧
代である︒一九二四と二七紅は一時捗折したがこれは大したも
のにはならなかった︒
景気循環の重要な特長
景気循環にお小て一様にみられるむののうち重要なものはつ
ぎの通りである︒
一︑価格と生産は農産物以外は通常共に上ったり下ったりし反
対¢方向にほ動かな小︒
二︑耐久財に対する支出額は非耐久材に対する支出額よりも変
動の割合が大きい︒︵工場設備住宅などの︶資本財疫対する
民間支出の変動の割合は消費支出よりも大きい︒
三︑総産出鼠と雇用の振動の割合は非耐久財産業におけるより
耐久財産業における方が大きいれたとえば自動思の生産は石
油精製よりも不安定で住宅建設は部屋の賃貸よりも不安定で
あ
四︑∵産出塾雇用ほ消費財におけるよりも建築や資本設備におい
てずっと大きい割合で変動する︒
、
︵六鱒二︶ 六〇
五︑事業の在膵打ための支出額は総売上甘同よりもずっと大きい
割合で変動する︒
六︑総産出量や雇用物価の大巾の変化は通常貨幣数鼠すなわち 通貨と銀行予金の数肌凪の同じ方向への大巾の変化および貨幣
の流通速度の変化を伴う︒
七︑扁縮性の廠めて敵い価格もあるが極め
脊硬直的庵ものほ工業製品に多く︑′伸縮的なものほ農産物
食料品紅多いⅧ
八︑総利潤ほ他秒形熊の所得よ㌢もずつと大きい割合で変動す
る︒
つぎにのべるものは景気循環を示す重要な指標であるが︑そ
れがすべての循環紅山桜に見られるとほ限らない︒そうではあ
るがそれは同じょう紅重要である︒
一︑循環の周期ははぼ三年津であるがこれほ大巾に変る︒谷か
ら谷へ数えて一九二七−三二の五年間の循環︑山から山へか
ぞえて一九二九−三七の八年間阻循環がふる.一九山九1二
二および一九二〇−二三ほ三年間の循環であつた?またもっ
と短い期間のものも観察されている︒そのためにある過去の
出来事から何カ月通過しているかを数えて現在循環のどの位
置紅あるかを知ることほできない︒
二︑変働の振幅ほ非常に不規則である︒
四の下向振軌は工業産出高を約一朝減らした︒一九三七﹂三
八のそれは半分近ぐ減らした︒それでどの振幅もづ標準﹂で
OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
あると考えることほできない︒そのうえ樽がたつにつれて循
環がはげしくなつているのか︑・ゆ渇くなっ
ての償拠も明らかでない︒ 三︑ある循環における拡張期にほ産出盛を完全雇用水準町史で
ひき上げしばらくの間その状熊にとどまっていたこともあっ た︑その例は一九二五トニ七である︒また他の循環において
ほ拡張期になっても不況のひどさが少し煩和されただけで失 稟がひどいままであったこと鴻あっ.た︒患たたと 点や山九三七のように完全な回復を示す循環において建物の
建設が拡張にと・つて非常匿看献したことがあっ寵が︑一方少
んだけよぐなった循環においてはそうでほなか.ったという証
拠がある︒
四︑どの二 価格▲在鮮品・外俄あるいほ建役のような興った要素の演ず
る相対的な役割がちょうど同じであるというものはない︒在 膵を増すことと商品価格の投機中一九一九﹂二〇の好況の特
徴であった︒それにつづいて価格の崩汚がちった︒株式市場 の投機と外国債が一九二九の下降の前のブームの重要な要素
であった︒
五︑すべての意気循環虹共通なものがあるという知識を用いて 事業活動の将来の経路せ予測しょうとする試みについては非
常に多くのことが庵されてい︑る︒経済の予測恨まだ余つ進歩 していないので国の政策を決定す
経済不安定の問題 けるはどにほなっていない︒出来事が起ったときあるいはす ぐその後でさえそれが循環の局面のどこであるかを見分ける ことは決して容易でない︒ 過去の知識滋使用するに当って現在の知識に対しても適当な ウエイトをおくよう注意しなけれぼならない︒政治的あるいほ 経済的制度の変化ほ過去の経験を部分的にでほあるが陳腐なも のにする︒記録の示すところによると平和な時代紅も経済ほデ フレになる傾向よりもインフレになる傾向の方が多かった︒ま た冷い戦争において政府が要求する生産物の蛍︑.人々が今後満 たしたいと思い国家に対し要求している社会保障は非常広大き いことが考えられるので︑それほ近い将来インフレ的圧力を創 り出す新しい要素であると考えられる︒そのうえ労働組合の勢 力が事菜において増すためにインフレの傾向がもち込まれるか もしれない︒
もしインフレの傾向がいま以上に増えないとすればそれはお
そらく国際的緊張がゆるみ︑今後見たされるべきであると考え
られていた要求がいま考えられているより庵急を要さないこと
がわかったからであろう︒虻の場合kほ民間投資や財用役の政
府の購買が数年のうち濫非常に減退するということを考慮紅入
れて適当紅調盛しなければならない︒実際経済学者の中にほ︑
こめような減退を広汎な政府の計画によって克服するのでなけ
れば︑長期にわたって大塩の失業が慢性的になる前ぶれ紅なると
いっておそれている人がある︒また慢性的失業と頑固なインフ
︵六四三︶ 六∵
罪三十一巻 第六号
レ傾向の双方の危険が結び合っていると考えている経済学者も
ある︒
三 基本的考え
景気循環の研究ほいま述べた歴史的知識のうえに有益な分析
を沢山生んだ︒同時にこれら二種の知識が一諸で激しい失業と
激しレインフレを除く安定政策を形成するのに適当な基礎とな
った︒この節では景気変動の分析にとって有益な考えを二三略
述しておこう︑しかしその前に一般におちいり易い誤りを指摘
しておこう︒
経済学者の意見ほ非常に対立しているので政策にとって健全
な指針となることはできないという印象が広く行われている︒
これほ間違っている︒実際意見の不一致は沢山あるが専門以外
の人がみるよサはほるかに少い︒経済学者は意見が一致してい
る主題についてほ古い
他の分野の学問と同じように専門的な議論ほ主に知識の境界を
押しひろげることについてなされるバそこでは論争と批評が進
歩紅とって欠くべからざるものである︒そしてジャーナリズム
の注意をひぐのは最も基本的な議論でほなぐ最も寛容でないも
のあるいは最も極端なものである︒をのうえすべての経済学者
がまけ入れるものでほあるがそれをど
いうとと︑あるいほ誰もが重要であることを否定しない要素紅
っけるウエイトの大きさ濫っいての意見がちがう紅すぎないこ ︵六四四︶ 六二
とふ多 意見の相異の多くほ経済分析におけるものでなくむしろ哲学匿
おける相異を反映したものである︒けれどもこれほ彼らの見解
を無視してよいと︑いっているのではない︑民主主義に必須の点
ほ公共政策虹関する意見の相異を認めたうえで実行可能な政策
や封画の採用を可能にするような選択や妥協の手段を提供する
ことである︒そのうゝ且経済学著聞の意見が.劇致していないこと
ほ政策の将来の進展や効果が特に不明確な領域を図取りし︑そ
しで情勢が進展するにつれて適応して働けるように政策に伸縮
性を残しておかねほならない点を示すのに役立つ︒
別の誤りほ︑効果のある安定政策を企画することは振動の原
因をすべて十分に理解しないとできないという考えである︒し
かし︑不安全な知識でもどのように行動すべざかを決定するの
に役立つ︑洪水に対処する防禦策を講づるのに家雨がなぜ降る
かいつ降るかを知っておることは好都合があるが︑必ずそれを
知っておらねばならないのでもない︒経済忙おいてはたとえば
簸設活動が縮小しているときに一般経済が崩壊しないような対
策をたてるのに建設の契約最を変えるものが何であるかを知る
必要はなト虻それについて一層完全な知識をもとめる努力をす
ることは政策釘改良に価値あるものであることほいう釘で鴻な
い︒しかしわれわれが現在もっている知識を効果的に利用する
ことによっても相当のことができる︒
三つ目の誤解は近い将来に起る経済変動を精確に予想できな
OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
いために出来事を制禦する力がないということである1現在原
因を完全に理解する能力が欠けていそ﹂と予測能力に限界があ
ることのために経済の不安定を﹁予防澄だけで治すことは不
可能である︒しかしノ︑このこと埠経済が何時から本当に病気に
なったか︑治療をしなければ悪くなるときが何時であるかがわ
からないとか︑効計めのある治療をすることが不可隠であをと
いうことを意味するのではない︒実際われわれは其.の閑適を十
分早く診断してその治療をすることができる︒そして執るい且麒
気後退やインフレまで防ぐことができるとはぃゝ見ないとして
も︑それが進展して長期にわたる大慶の東栄あるいは激しいイ
ンフレにならないようにしておく政策を立てのことについては
十分知っている︒
支出の分類と決政
経済全体の総支出がかなり変動することほ総雇用ないし価格
水準がかなり変動することを意味している︒
変動経路の桝究あるいは政策案の分析に当って経済学者は通
常総支出を四つの項目に分類する H消政文也′目新しい建物
設備在膵品の追加に対する国内民間投資支出︵資本形成︶臼財
牌役笹対する政府支出 佃国際収支︑これはわが国が他の国に
売るすべての財用役が外国から買ったものを越える額である︒
︵正であったり負であったりする︶これらの項目ほ更に細分剖
で︑ぎる︒
消費支出ほ家剥が消費のために所得を使ったものを表わす︒
経済不安定の問題 これほ囲貝ったものの耐久性によって細分劃される︒用役や非耐 久財宝貝㌢のに将泉の見通しにもとづいですることはほとんど ない︒他の極端においては新しい家の買入れは事業の決定と同 類のものとみなされ投資紅分頬される︒その他の耐久財の購買 ほある程度将来を見透して膚なわれるがこれは投資でほなく消 費檻分類される︒ 国内民間投資ほ事業が銀行預金︑手持現金︑留保利潤あるい ほ証券の新規発行による収入を支出して事漁用に追加的に商品 を買うことをあらわす︒その主な構成要素は新しい機械設備の 買入れ在膵品の追加新しい建物の買入れである︒
財用役に対する政府支出には公務員の俸給や民間事業からの 事務用品︑設備︑建物などの買入れ代を含む︒そのうえ政府は
利子や軍人恩給を支払い︑社会保障給付などに資金を出す︒そ こでは政府はそれと引かえに今期生産された用役財をえない︒
これらほ﹁移転支出﹂とよばれ々イデヌ符号の租税と同じよう
に扱われる勺
生産と買入れの決意
政府はどく限られた部門においては直接雇用するが︑それを
除くと生産と雇用は︑Yまず罪﹂に民間の決定によって定められ
る︒事菜の生産決意薩事業以外の購買者−消費者・政府・外国
人1によって構成されている販売市場および原料︑土地労働資
本を獲得するための購買市場にもとづいてなされる︒ 消費支出の大計さほ生産物の売上げから人々がうける所得匠
︵六四五︶ 大三
第三十一也∵第六号
左右される︒トい
賃金給料配当等の形で所得滋うる︒そして企業が販売する消費
財用役の産出物は家計の所得からの支出七引かえ鱒売られる︒
しか七この生産−所得−支出−農産の単純な循環は家討︑事業
の貯蓄や機械設臓在膵に対する投資支出のため監修正される︒
︑ 事菜の投資支出は将来を見透して行なわれ︑したがって現在の
事業活動の状熊だけでなくその他多くの要因によって影響をサ
ける︒政府の財政操作は租税政府支出によってその循環を修正
する︒前者ほ可処物所得を減らし︑後者は俸給移転支出などと
して所得を増す︒
所得全体の流れほ会計的にその年の産出物の全価値に等しい
と¢︶ことが示される︒ここに所得は課税前のものでしかも事
某所石窟に分配されない事業留保利潤も含めたものである︒ま
た産出物価値にほ事業の在膵や機械設備虹追加された品目を含
みコストで見積った政府用役を含む︒しかしこれほ消費者︑企
業︑行政機関が支出として取扱うものが他の経済単位風は収入
として扱われるという事実をあらゎす会計上の恒等関係にすぎ
ない︒しかしながらそれほ現在の産出袋や雇用の水準がどのよ
うなものであろうと︑々れが特続するであろう‡をではな
い︒過去の記録はそれが決して長つづきし庵いもので為ること
を示している︒たとえば所得と産出物の価値との間に会計上の
恒等が成立していても︑それほ消費支出が予想外に下汚したた
め事業家が欲しくないの紅多くの在麻を蓄積したときであるか ︵六四六︶︑六四
もしれな烏この場合その恒等関係鱒ほ所得の低下を助長する
力がかくされている︒あるいは隠等関係が成立して心ても︑そ
れほ滴費支出が予想外に上昇tたために専業家の手に思いがけ
禿い利潤が入っているとであるかもしれない︒との場合には
こ︑虻恒等関係に所得の上昇を助長する力がかぐされてい鳶
総支出と所得の変動ほ経済単位︑家討企業などのどれかの支
出の変動を反映している︒消費支出は生産によって生れた所得
の流れと関係しながら変わるであろう︒それほたとえば人々が
貯蓄しょうとする割合の変化税率の変化政府の移転支払の変化
配当率の変化など鱒影響をうける︒事業は機械設備在膵に対す.
る支出を増減する打に将来の見込み1技術の変化︑利子率の変
化その他の要因の変化にもとずいているかもしれない︒よれは
経済全体の支出と所得を増減する九を発動させるであろ㌢︒′現
税制度や政府支出の水準の変化国際収支の変化もまた全支出と
所得の水準に影響をおよぼす︒外国の政治上の変革も軍事上の
計画や外国援助封画に対する政府支出を拡大させたり縮少させ
たサする︒
一般に収入に比べて支出を増そうとする決意は総支出と所得
を拡大させる力でぁり︑収入に比べて支出を減らそうとする決
意は総所得を減むそうとする力となる︒消費者企業政財の決意
の純効果が総支出む所層とを引上げる場合には露出螢麓用庵い
し物価水準を引あげる︒同様に支出と所得を少なくする場合に
は産出掻雇用ないし物価水準を引下げるであろう︒総所得の膨
OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
張収縮を助長する家計企業の決意は所得の流れだけでなく貨幣
的要図によっても諺響をうける︒成金流動資産︵公債その他容
易に現金化できる証券︶の保有高︑信用の費用や貸出し可能額
︵アベイラビリティ︶によって影響をうける︒r家計企業の持っ
ている現金流動資産の量がその富とくらべて大ぎいときには︑
彼等は山部を他の形熊のか品に琴且ようとサる︒すなわち彼等が
現に得でいる以上のものを支出し︑ぞれによって経済界におけ
る総貨幣所得を増す傾き餌ある︒同様にもしお金を借りること
ヽ 個人ほその資金をまかなうことが容易であ㌢﹂とを知る︒それ が比較的容易で安価であるなら︑投資しょうとしている企業や
は所得をおしあげるのであろう︒逆に家計企業がもっている現
金その他の流動資産が比較的小さいと考えるなら︑彼等ほ受取
るより少しのものを支出しようとする︒・借りることが比較的難
かしいとき紅ほ投資はさまたげられる︒とのいずれも貨幣所得
を減らす傾きがおる︒
この考察かち決のようにいえる︒収縮させている九を反対に
することは︑一企業の保有する現金その他の流動資産の量な臆
し信用の費用を減らし貸出し可能額を増すことを目論んだ貨幣
上の行動によってなされる︒同様に拡大への力をうち消すこと
ほ︑・家討企業の保有している現金その他の流動資産を減らすこ
とを目論んだ貨幣上の行動によってなされる︒
事業活動や物価が上昇しているとき紅ほ借手ほ大抵危険を贋
︑際よりよい方に解釈し事業や消費者の購阿見は銀行の金融によっ
経済不安定の問題 て膨張させられる︒恩気の後退期乾は反対のこ′とが起る︒この 銀行信用の不安定は銀行業界がその予金債務に対して一部しか 準備しない慣習のために大きくなる︒銀行は全体として準備金 の数倍の購買力を予金の形で創造できる︒現在の法律や慣習匠 よると銀行業界ほ超過準備の四倍五倍の預金を創造できる︒景 気後退時紅は銀行はその準備を増そうとするために預金を収解 させる︒上昇の場合ほ反対である︒種々の要素のため事菜が拡 大しでおり進備を減らさないことが望ましいとき減らす傾きが ある︒
銀行信用の膨張収縮ほ一部ほ景気循環の反映である︒しかし
男気循環の研究者は大抵いまのぺた理由のために銀行業界はこ
れらの振動をひどくすると信じている︒もっともこの要素の数
畳的重要性紅ついての意見は分れる︒三〇年代の大不況ほ信用
拡張軋よってひどくなった︒多く紆経済学者ほ現在の銀行組繊
は自動的な安定披乱装置であるとみなしており︑それは効果の
あがる方法で統制しなければならないと考えている︒
経済学者は上に概説した分析用具を用いて威張あるいは収縮
へ導くことの出来る安東を探す︒彼等はまた推論に矛盾がない
ことを検ぺるために国民経済勘定の原理を用いている︒われわ
れほ経済の構成要素の多くは将来よい方へ変化するとい︑之別ぶ
れをみることができる︒戦後の住宅建築や自動尊のブームほ早
かれおそかれ衰えるであろう︑国際的緊張がゆるむと軍備を難
少できるであろう︒原子力D発展ほいつかほ資本投下額を一時
︵六四七︶・六五
第三十一客 第六号
的にふくらますであろう︒安定政策の目的ほ総支出を構成する
すべての要素に波動が起らないようにするのではなくて︑波動 が互に強化されるよりもむしろ埋め合するよう笹注意すること である︒経済安定の基本的戦略は経済の特定の部門あるいは構
成要素における上向きあるいは下向きの変化が総支出に与える 聾響をやわらげ埋め合すことである︒
政策の余地
労働者の大部分が民間で雇用される制度においては︑政府の 安定政策は一般経済の環境をかえ民間産業紅おける振動が大き
くなることをやわらげ埋め合わすことである.︒政府がこれをす
るため紅用いるヱとができる手段の種類は非常虹広汎紅ひろが っている︒そのうち重要なものはつぎのものである︒
一︑個人や企光の所得から政府が取あげる租税収入の変化︒所
得の変化ととも紅白動的に起る変化もある︒税率の変化︑租 税構造の変化はもっセも大きい変化をひ乳おこすことが出来 る︒ 二︑矢数手当︑農業所得の援助のような移転支払による所得の 拡れに対する政府の貢献の変化︑日動的に起る贋化もある が︑その率構造移転支払が変るともっと大きな変化が起る︒
三︑公共事業その政府の買うものに対する支出の額の変化︒ 四︑租税移転支払の率や構造の変化︑あるいは政府支出の種板
の変更などが個人に考える刺戟の変化︒︑ 五︑貨幣当局の統制によっ七起る銀行信用の費用と貸出し可能 ︵六四八︶ 六六
額の変化︒
六︑貨幣政策あるいは公債管理政策によっで生ずる公共財政の
資産負債の構成上の変化︒
七︑政府の告示や将来の行動についての見込みが経済状勢に影
響を与えることを通しで投資決定あるいは今期の生産計画匿
与える影響諭
八︑価格形成機構︑賃金形成機構に与える政府の影響︒
九︑国際経済政策
四 財政政策
財政政策貨幣政琴の戦略原理
この節および次節で財政政策と貨幣政策紅ついてのべる︒こ
の分野において経済学ほ安定達成のための政策原理を提供す
る︒最も重要なことほ次の点である︒
一︑雇用水準の高い時期には政府の租税収入は政府支出払比べ
て大きくなければならない︒
二︑高い雇用水準のときにほ貨幣信用は引締め︑かなり爽菜が
ある時期にほゆるめなければならない︒
これら二つ.の原理は総貨幣需要の振動をさまたげ︑それによ
って価格の振動を抑制し︑︑安定した高い雇用水準を促進するこ
とを意図している︒政府の租税収入と支出の正常な望まし小水
準や関係︵とれは安定その他の考慮にもとずいて決められる︶
がどのようなものであろうと︑雇用水準の高い時期にほこの程
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税収入ほ支出ようも高く︑またかなり失業がある時期紅ほ低く
庵けれぼならない︒正常な望ましい貨幣政策︵これは安定その
他の考慮にもとづいで決められる︶が何であろうと雇用水準の
高い時期には貸幣信用を比較的引締め︑かなり失業がある時期
軋は比較的ゆるめなければならない︒
これが操作できる戦略である︒議会政府中央銀行はこれを動
かすことができる︒
はとんどすべての経済学者ほこの経済安定の戦略原理に同意
する︒反対意見がのぺられるのほ主とし七戦術すなわちこれら
の戦略原理を実瞭に行うれめの特殊な手段についてである︒
財政政策の重要性
民間企菜が経済虹おいて主要な役割を果しているのでほある
が政府の収入支出ほ民間経済あ活動に決定的な影響を与えるよ
うになっている︒一九四九にほ政府に国民所得の三分の一近く
惚使った︒そして予想しうる将来に政府支出が大巾に減る見込
ははセんどない︒明らかに政府の財政政策およびその時磯ほ雇
用生産価格の状熊に大きな影響を与ゝむる︒それほその効果を目
標と七ているかどうかにはかかわり軋ない︑
政府は予算の両側で事業活動に影響をおよぼす︒公務員の俸
給養老年金軍人恩給失業手当公債利子の支払ほすべて個人所得
とな
が商品を調達サれぼそれほ企業紅とっで退路の販路となる︒予
算の他の側でほ租税が資金をとりあげるがそれほ租税がかけら
経済芥安定の問題 =〟れなければ消智者や事業が支出できたものである︒租税はそれ
感洋紅ついてみると事業の販路あ縮少し︑雇用を減らし価格を
引下げる傾きがある︒また政府支出ほそれだけをとってみると
販路を拡大し雇用を増し価格を上昇させる傾きがある︒
重要なのは収入支出の大きさだけではない︒
である︒セとえば移転支払の効果は誰がそれを受けとるかそし
てどのような条件でケけ七るかによって左右される︒またある
方法で徴集した一〇億の租税は他の方法で徴集した一〇億とは
興った経済的効果をも1ている︒というのは刺戟が異るからで
ある︒たとりぇば税法において企業損失を特定の方法で取扱うよ
う規定すると︑それほ資本を新しい事業に投じようとする意欲
紅静響を与えるであろう︒
また道路建設のための支出ほ自動車︑黄障等への民隠投資を
盛んにするであろう︒公共支出の中には民間投資に対してよぐ
ない効果を与えるものがある︒
財政組織蔽おける自動安定装置
政府がこのような効果を生むためには政府がいつでもそのよ
うな手を打庭ねばならないというものではない︒
今度の戦争の前頃から財政の自動安定作用が大きくなってき︑
た︒それは安定装置の増加︑財政規模の拡大の結果である︒大
部分の経済学老は自動安定装置の増加は経済の安定にとって好
ましいと考えているり
国民所得が増えると計現在の租税支出の仕組みは自動的に政
︵六四九︶
ノゝ
第三十一巻 第六号
府支出に此ぺて収入を増す傾きが偽り︑国民所得が減る甘封た は収入に比べて支出を増す傾きがある︒︒れらの変化はインフ レやデフレを少くとも部分的にやわらげ埋合わす作用をもっ七 いる︒ 支出の面では失業補償︑救済︑農兼救済などは失巣の凡恩とと もに上ったり下ったうする傾きがきり︑そのため不況虹は好況 のときよりも多額になる傾きがある︒その他の政府支出は大部 分所得水準が変化しても邑動的に変ることはない︒ 収入の面でほ︑租税収入は国長所待と同じ方向にはげしぐ動 く︒現在最大の租税でぁる個人所得税ほ国民所得の変化紅つれ て変化する︒しかも租税構造が累進的になっているために変化 の割合は大巾である︒つぎに大きい租税︑事業所得に対する租 税もまた国民所得上り大きい割合で変る︒というのほ事業所得 ほ国民所得自白身よりずつと激しく贋動するから︒給料からの 社会保障への払込みほ国民所得にはぼ比例して動く︒ 一九四九の国の財政組織の自動的な安定化の影響を要約する とつぎのようになる︒議会あるいほ政府のうち消すような行動 がないときには︑国民所得が減るとき租税収入ほその三割減り︑ それだけ現にある剰余金を減らすか赤字を増す︒国民所得が増 えるときも同様である︒そのうえこれらの影響は支出の自動的 変化によって強化される︒上匠説明したように国民所得が低下 する毎に政府支出は引あげられ国民所得が増える毎に政府支出 を引さげる傾きがある︒多くの経済学者は自動安定装置をもっ ︵六五〇︶ 六八
と沢山経済システムにはめ込むことができるし︑またそれが望
ましいと考えている.︒ 必要なもの︑均衡予算の原則に代るもの 自動的安定装置は啓葉状態の変化紅反応してとられる法制上 行政上の活動によって補足されたり妨げられたりする︒所得が
増加したために租税徴収額が支出を超えるとき立法機関が税率 を切さげて︑あるいは向う見ずの支出をすることによって日動
的反インフレの効果がうち消されるかもしれない︒同じょうに 自動安定装毘の反失業的効果が︑不況で税収入が減るとき政府
が支出′を削減したり税率を引あげるため粧失われるかもしれな
い︒予算を年々均衡させるときにほそれと同時に安定を目標に
する財政々策たてることはでせない︒この点についてほはとん ど全ての経済学者が一敗している︑均衡予算の伝統転したがう
ときには現在の経済システムに組み込まれている眉動安定装置 の効果を忠地悉く打消すような行為をとることが多い︒
均衡予算の方式を放棄するときには財政政策の他の標準を採
用しなければならない︒ぞれは議会や選挙民が支出の増加胞対 応して租税の増加をするときが何時であるか︑支出の減少を租 税の減少によってうめ合わせても安全であるときがいっである
かをきめることができるような標準である︒そうでなければ湛
費や効率の低下をさけたり人々が本当に欲している額以上に支
出が増えそ﹂とをくいとめ慢性的インフレをくいとめることが
で︑ぎないであろちノ︒
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重要な提案ほ年々均衡にするのでほなく長い期間を単位にし で予算を均衡配すそ﹂とである︒季節︑的変動一にらいて考慮する ことなしに月々均衡しなければならないと主張する人ほないで
あろう︒景気が循環するの紅年々の予算を均衡にすることに特
別の魅力があるのはなぜであろうか︒スエトヂシ式の予鈴奏で ほ景気循環︑にわたって予鈴を均衡にしょうとする︒追加的支出
紅ほ追加的租税をかけなければならないであろうが︑それは必
ずしも同じ年にかけなくてもよい︒ある年の予鈴の黒字で他の
年の赤字をうめてもよい︒循環の長さや不況と繁栄とをくらべ たときどちらが長いかということが確実にわかっていないため にこれを適用するにほ難しい点がある︒七かしこの由来ほ注目
するに催する︒
もう一つ可能な提案は﹁目標′の﹂.あるいは﹁正常な﹂予静に
おいては車兼状熊とともに変化する項目︵租税収入失業補償救
済支出など︶には高い雇用でしかもインフレのないときの国民
所得の水準における額を記入しておく︑政府活動が一般的に拡 大するときには税率を増さなければならない︒しかし︑事業が
不振のために救済支出が増加したり租税収入が下落するときに ほそかしなくてもよい︒インフレにともなって租税収入が増七
ても税率を切りさげなくてもよい︒多ぐの経済学者ほこの計画
ほ伝統的な均衡予算のルールより著しく改良されたものである と信じている︒しかし︑亘れを適用するに当ってほ難かしい問 題が伴う︒特にどの水準の国民所得が租税収入救済支出などの
経済不安定の問題 基準となる目標のあるいほ正常な数値であるを決める問題があ る︒
三つ目の提案は均衡予算の原則を修正したもので︑それは経
濁が繁栄しており安定しておりしかもインフレデフレどちらへ もゆれでい
この状況のもとにおいては新らんい政府支出の増減に対応して
租税収入の変化を生むよう紅税率を変える︒このように政府支
出を増す提案ほ租税を増すという形でのその費用だけの価値が
あるかどうかという伝統的なテストをうけることになる︒この
点に関する限りでほこ.の提案ほおそらく多くの経済学者の賛成
をうるであろう︒しかしそれは政府の現在の支出と収入との関
係が赤字であるか黒字であるかを知るための標準にはならな い︒ 経済学老の中には厳重な規則や方式はなくてもよいと考える 人もある︒彼等は政府収入の総計を支出との関係において変え
経済に安定的影響を与えようとする︒このような方法によると きには次年度に巨大な黒字や公偵の減少が生ずるか赤字支出が
支配的掟なるかを告げることが不可能紅なる︒ 自由裁鼠虹よる安定活動 経済学者の中には自動安定装置に全く頼る人もある︒彼等は この装置ほ経済の振動を我慢できる程度にまで減らすであろう と信じておサ政府の自由の裁量の活働庭害はあっても益ほない とおそれでいる︒′それは予想能力の欠陥のため︑政府活動の不
︵六五一︶ 六九
第三十一巻 第六号
確実性の安定挽乱的効果のため︑′および特別の利害関係者を有
利にしようとする政治的圧力のためにそうなる︒たいていの経
済学者は自動安達装置を利用できる可能性がきわめて大きいこ
とを認めるが︑それにだけ頼ることほ慎重でないと考えてい
る心失業やインフレがある点を過ぎるなら追加的に安定化の方
集を用いることがよいと考えている︒
自由裁鼠によって財政政策で安定のためのものには主につぎ
のものがある︒
H税率および租税体係の変更缶移転支払の変吏 臼公共番
兵への支出の変更 鋤政府の活動一鹿の拡張縮少︑
不景気なときにほ家計事業の支出を助長する目的で税率を削
減することによって租税体系の安定虹対するカを増すことがで
きる︒また貨幣支出が過剰であるため紅インフレ的であるとき
には税率を引きあげてそれを削ることがで計る︒免税額をかえ
﹈ることもできる︒
景気の憩いときに移転支払を増す提案の底にほ同じ考えがあ
る︒たとえば地方自治体が貧民救済を行うための負担を助ける
ために交付金を増したり︑大畠の失業がある時期には政肝がこ
れらの人にお金を送るこ■とを主張する経済学者も計る︒また掛
得を提供する手段としての救済事業にほ賛成が多いであろう︒
公共建造物の建設︑河川改良︑発電施設︑公共住宅の建設など
の開始する博期を変えることほ︑大した害にはならないであろ
う︒したがって問題はこのような﹁重い﹂公共事業を︑景気の沈
、ヽ