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金森恒利教授「交換の貨幣的 均衡への−一考察」について

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(1)

研究ノート  

金森恒利教授「交換の貨幣的  

均衡への−一考察」について  

宮  田  煮  朗  

Ⅰ   

本稿は香川大学経済学部研究年報11(1971)に発表された金森恒利教授「交換の貨幣的  

均衡への−・考察」の考察を目的としたものである。金森教授の上記論文ほ朗の交換過程に 

おける貨幣の存在がその交換過程に.与える作用を検討する意図を経っており,非常に示唆  

に富むものであると思われる。   

教授の基本的考え方は私の理解し得たところでは次のようなものである。先ず出発点の  

期首匿任意の皇の貨幣ならびにある一種類の財な賦与された3人の経済主体が自己の所有  

せざる他の財を互に.交換することによって最大満足に到達しようと行動するものとする0   契約は月曜日紅成立し,火曜日以降その過の間はその契約の履行に費やされる。火曜日以降  

のこの契約の履行は,その週になされる財の取引がたとえその総額において支払と受取を   相等しくしたとしても(例え.ば主体1についていえば,虎1−・鴛11=方2α21+方3・方31)その支払  

と受取りが時間的量的に一・致しないため,既に月曜日の市場の成立している時点すなわち   契約の履行以前紅各交換主体に.よってその橋渡しをすべき貨幣にたいする需要の決意がな   されていなければ実行不可能である。教授は.この点に閲し「支払間隔,支払パターン等が与   えられると主体1は少くとも実質需要額の平均的な一足割合,すなわち々1(方2・%21+方3・方き1)  

に等しい実餐貨幣残高をその期のほじめにもっていなければならないし,またもとうとす  

る。.】と仮定し  

旦_=ゑ1(万拘1+瑚。1)  

♪1  

という現金残高方程式を各個人の決意の場に・もち込んで設定するのである。各期のはじめ   に各経済主体はそれぞれ同種・同量の財を威与される。しかしながら貨幣に関してほ最初   の過を除いては威与されないものと仮定される。このような仮定の下で毎期の交換関係が   

(2)

69  

金森恒利教授「交換の貨幣的均衡への−・考案」虹ついて   叫69−   

全く同じであるような静態が考えうるものとするならば,少くとも初期以外の各期のはじ  

めにおいても同額の貨幣が残存していなければならないであろうと考えるのはそれはど奇  

異なこ.とではない。そこで月曜日の市場に.おいてその期末に.同額の貨幣ストックを保有し  

ょうと考えることに.なる。したがって予算制約式は主体1についていえ.は砥=エ1すなわ   ち(虎1−ガ11)=方2鞄工+クr3・和1ということになってくる。   

以上のことよりして金森教授の体系は主体1に.関して書けほ   Ul=Ul(・方11,霊21,・方31)  

を  

(鳶1−.方11)三好2.方21十方3.方31  

=ゐ1(打2鞄1+灯さ方31)  

という2つの融約条件のもとに極大化することとして現わしうることになる。このような   2つの制約条件をもった効用函数を各経済主体紅ついて極大化し,各主体のそれぞれの財   の需要盈を導出してのち,その需要崖をもとにして3朗の苗場における需給均等式を出  

す。  

方宜ゾ=ノ■り(花2,方3)  

i,プ=1,2,3   和‡1方プ1+・ガプ2十.方紬  

これに.貨幣市場を示す式を加味するならば絶対価格♪1,♪2,♪8ならびに.各主体の均衡量   が得られることになる。しかしながら教授によればこの均衡解の背後に.は重要な前提条件  

があるとされる。それはゐ1,毎,鳥∂のうち2つは窓意的紅個人の決定し得るものである  

が,残る1つほ経済の苗場闇係から従属的に決定され決して各人の「計画紅したがって安  

全と便宜」のために任意に決定しえないものであるということである。もしゐl,‰,‰を   任意碩定しうるものであるとすれば偶飢じめの鯛配分が食客=芸…  

循 ゑ8  

鶴 烏1  

=星 − という関係の成立するようなものであるときのみであるといわれるのである。かく  

JJ  

して財市場と貨幣市場の均衡関係は各主体が任意濫・ゐ1,ゑ2,烏3を決意する限り破られ,  

したがって静態実現の望みは断れること紅なる。静態が実現するためにはそこにイ可等かの   矛盾を解決するメカニズムが存在しなければならず,それには財市場の不均衡(失業を含   むモデル)あろいは貨幣市場の不均衡を認めるモデル,さらには信用を加味した体系を考   慮しなければならなくなるとされるのである。  

ⅠⅠ  

われわれは教授の論旨の要約を以上にとどめ以下それを吟味してみることにしよう。い   

(3)

簡45巻 第1号  

70  

−7(クー  

まある週の火曜日から土曜日までの時々刻々変化する収入ならびに支出を考慮しそれを示   すために布+J苧=研ぎ+エ苧(但し謁≠エ㌘である)をもっですると,これは土曜の夜に 

おいて渇ニエ1となり,総額でJl==又柁1の収入支出を終了し別の(虎1≠−・ガ11)=方2・方21+和ガal  

を取引しおえてその期を閉しることとなる。したがって金森教授のすべての記号(*を附   していないもの)は期首あるいは期末の存在塁であるか,当期間の取引総額に.のみかかわ  

るものであるということになる。この点を図示すれほ下図の如くである。  

収入  

Jl=刑1  

支払  

期末に記されたすぺての取引量ならびに存在鼠(スナック)は期首の月曜日の市場におい   て完全予想の下に.決定される。他方収入支払のパターンはその期の時々刻々変化する量に  

かかわっている。ゆえに上図の時々刻々の貨幣の需給式強十J㌘=椚㌘+エ苧のパタ丁ンを  

考慮して月曜日の市場において貨幣に対する決意を行うこととなる。しかも教授によれば  

それは取引の平均的備にかかわる決意をレているのである。したがって月曜日の市場に.お   

いてそれは  

エ苧 Jぎ   、  

碑=(1+−】−)頑  

〃J㌘ 。車  

上苧 J芋  

の平均値をとって7乃苧を∽1,1+−−−−の平均値を烏1と決意することと同じであ  

/JJ苧 ナノ〜ヂ  

る。各主体の時々刻々の貨幣需給式を上のように.予節制約式と同じものになすのは火曜′・}  

土曜のどの時点に.おいても信用を考慮しない限りその予静制約関係からのがれえないから  

である。そこで問題はこのようなパタ−ソを何故に兎=鳥.∽1となし,弼1という総支出  

工苧 J苧  

額のみの函数としなければならないのか,また何故に1+ 【 −∽という支払ならび  

川ぎ 川ヂ   

(4)

71   金森恒利教授「交換の貨酪的均衡への一項察」について   −・アJ− 

に収入,さらにはストック盈エ㌘に関わった値を彪1とひとまとめにして単純な決意催しう  

るのであろうかという点にある。換言すれば何故支払,収入ならびにストック紅関わる決   意として分けて考えてはいけないのであろうか。ひとまとめにゑ1としてもそのゐ1の他に   はエ守の平均値をエ1(=面)とする決意が入って成立していることほいうまでもない。な   ぜなら烏1が各決意の合成物であるからである。このよう紅点1の大いさの申把・期末の貨幣  

スナックをエ1=面にする決意も入っているとみれば,金森教授の体系の2つの制約条件  

式  

(元1一一方11)=花2.%21+打3光31  

些_=ゐ1(方2芳21+瑚1)  

♪1   

のどちらか1方だけで充分であるということ紅ならないのであろうか。教授の2つの制約   式はあたかも上の式が貨幣のストックに閲する決意に,下の式が貨幣のフローに関する決  

志に関わっている如くであるが…。更に附言すれば月曜日になされる貨幣に対する決意が  

その期の平均値であるとする必然性ほないのであるから,そ・の値を・決める函数がどうして  

も必要とされるであろう。しかもそれをゐとしてひとまとめにする理由もないとすれば  

収入,支出ならびに.スナックに.関わる決意のそれぞれな快める函数ということに.なるであ  

ろう。これは金森教授も示唆せられているよう紅貨幣を効用函数の申に.導入してくること   紅なるであろう。   

さて教授のいわれるように.貨幣に関する決意が月曜日に各主体によってなされるもの  

とする。市場を完全競争市場とみる限り各主体は現存する価格を所与とみて行動するも  

のと考えなけれぼならない。したがって各主体紅とり九,♪2,♪8は所与でありこれを基   準として貨幣に対する詔要,財に対する需要・供給盈等を決定していることとなる。財  

紅対する需給の決定は反面で貨幣に・対する決意に関わ 

Ul=ぴ1(.ガ11,・方21,一方31)を極大にするように虎1−・方11=汀2・方21+汀3・方31な満たす財の需給量を  

決定するとその反面で同時に・画=ゑ1♪1(汀2∬21+汀8触)の鳥1を決慮することになっている  

筈である。謁は所与であり,Aも主体1に・とり操作しえないものと考えて行動するので  

あるから,財の需給を決めた段階では々1は勝手に決められるべき性格のものではないこ  

とになる。それほ個人に関して設定した現金残高方程式を満たすような値に決定済みのも   のであるとみねばならない。したがって教授のいわれるように・烏ほ各主体が慈恵的紅決   定しえず   

(5)

・−−72 −・  

発45巻 第1葛  

尾2(ェ12+花・3方∂2)  

72  

1_ゐ1(打2方21+方3.方31)  

♪1   謁  

麺1地  

砲  

砲   

の成立するような値紅決められることになるのである。しかしながら注意すべきはこの関  

係式がすでに各主体の行動の段階で成立済みのものであって,換言すれば各主体がこの関   係式を・乱さないよう紅して別の需要巌(主体1についてほ.一方11,方21,%al)をきめ,そして   その結果出てくる屈を市場に要求して行くのであり,その需要屈が寄り集.。て成立する苗   場の需給均衡式の段階を考慮したのちに.成立する関係を示すのでほないということであ  

る。ところが金森教授はこの関係式があたかも市場における貨幣の需給均衡式であるかの  

ごとく紅取扱い,財の市場における需給均衡式  

虎1こ=方11+.方12十方18=.方1(方2,方3)  

元2=芳21+芳22十方23=.方2(〝,〝)  

禿3=.方31十%82十方38=∬s(〝,〝)  

と上記の式  

1_烏1(方2∬㍗十町㌻動1) ゐ2(∬12+方3∬32)= 点3(先18十方2ぷ23)  

♪1  

砺   碗   礪   

の合計6ケの式から♪1,βゎ 一如∴が決定されるものと考え,この6つの式のうち3つが独   立でないことをのべて,例えば  

= 

雛「ト和解佃13  

尤12←ト方3方32=7r2(.方ヱ1+.方23)  

紅よって解の存在を説かれるのである。もしわれわれがいうように上記貨幣に潤する関係   式は市場濫懐ける貨幣の需姶均等式でないとするならこのような取扱いは誤っていること  

になる。そして債幣市場の均衡式は別に存在しなければならず,事実砥+亮一ト亮=〟㌘  

+〟g+礪という形の式が存射するのである。金森教授のいわれる貨幣市場の関係式は   実は各主体個人の行動式の間の関連を示したものであってそのような行動の結果各財の需  

給盈並びに貨幣需要藍が決められてくるのであるから,その関係ほ何時如何なる時紅も既   紅成立しているのであって市場で需給を等しくするよう紅動かされることを示す市場の均   衡式ではないのである。   

しかしながらこの行動式の間の開通式を市場の均衡式としてみうる場合がただ1つある  

ようである。それは各主体が点を悪意的に・決め,そして個人の現金残高方程式によって   

(6)

73   金森恒利敵授「交汝の鎗幣的均衡への一・考察」について   

−73「 

財の需要畳にみあうような各経済主体の九を見出しその九を市場に持ち出して行くとす  

1_烏1r方2∬21十方8∬飢)一 点2(ズ12十方3一光さ2)  

る場合である。この場合紅ほ満場は  

♪1  

豆1  

鳩  

=旦趣二嘘一が成立するように∴各主体のこの相異なる九を調整し共通な♪1を成  

砥  

立させる場と見ることができることになる。ゆえにそこでは上記関連式は相異なるAlを   市場で調整する関係式としてみることが出来る。換言すれば各主体個人の現金残高方程式   ほ各個人が満足する♪1の値を決める行動式であるとみ,他方上記の関連式  

/−・・− 、・_ −‥・−、・_.ト・・−・・・・・  、 

ユJl   ▲†ナ=   1Jこく  

ほ貨幣市場を示す式とみ  

うるのである。しかしこれは非常にありえそうにもない想定を必要とせねはならぬようで  

を所与として行動し   方2=告,クr3  

ある。この場合主体1は月曜日の頂場に.おいて   

財の需給屈を決定し,そこに.決まる方2.方21+花3.方Blをもとにして叫を考慮しながら彪1を   慈恵的紅決し,自己の取引紅みあう♪1を市場に持ち出すということ紅なる。々1の決意に   は方2,冗・3,.方21,方alは関与するが,絶対価格として少1は関与しないのである。しかも♪1  

だけはその主体にとって自由に操作可能のようである。これは完全競争の仮定と矛眉して  

くるであろう。したがってこのような矛盾に陥入らずしかも彪1の決定に・九,♪2,動の絶   対価格の関与する状態を考えるにjま,♪1をも所与として行動する主体を考えねばならな  

いであろう。そこで上記の貨幣市場を示すとせられた関連式は各主体の行動式の間の関連  

を示したものにすぎず,決して貨幣市場の均等式を現わしてはいないことになる。なおも  

し貨幣がヴェールでありそのとき成立する財の取引患と相対価格が分っているとするなら  

ば,上記開通式より金森教授のいわれるようなま−=箸=箸=が得られ吼  

砺わ砥とゐ1,点2,点3の間に比例関係が存在せねばならなくなる。このことを逆紅いえば   貨幣グェ⊥ルの世界が成立する条件は点1,点2,ゐ8と初期貨幣配分愚との閲にこのような  

比例関係があることである。しかしながらこの条件は各主体がゐをそのように決めるとき  

古典派のいうような掛界が戊立するということであって金森教授のいわれるように.市場関  

係を通じて出てくるものではないのである。また他方ゑ1,ゐ2,烏8の相互の従属関係も市  

場関係を通じて出てくるものではなく,価格を所与として行動するとそうなる紅すぎな   

い。  

ⅠⅠⅠ  

以上のようにわれわれは各主体の現金残高方程式の間の関係を示す関連式を市場の均衡   式と考えない。それでは貨幣市場をどのよう紅考えるべきであろうか。前節ですでに・のべ   

(7)

第45巻 貸1葛  

ー 74 一−   74  

たようにわれわれは残された唯一・の方程式,乗+魂卜砲=〟㌘+噂+〟gを貨幣市場の   均衡式とみ.る。そしてこの均衡式の右辺貨幣市場の需要を当期の期末のストックの合計  

∫iエ慮であるとするか,その期の契約履行に必要な期首に.おける需要であるとするかに.よ   って高田博士の言葉「現金残高数量説匿おける貨幣需要ほ−時点におけるものであるが,  

それは初期におけるものである」を理解ナベきであると思われる。貨幣需要を期首に関わ  

るものと考え,かつ現金残高方程式を用いるものとすれは貨幣苗場は金森教授のいわれる  

「−・般紅いわれる現金残高数量説の主張する」ものとなる。すなわち九(ゑ1(方2.晦1十方3方31(+  

十鳥2(.方12+方3ズ82)+烏3(.方1る+汀2.方28)=扉となる。そして既掲の財市場の均衡方程式とこの貨   幣市場の均衡式とによっで♪1,♪2,♪8の均衡解が得られるとみねばならないのである。  

貨幣の供給について「最初に所与でほなく,貨幣当局が劇指して総貨幣蔓廊=砺+瓦毎+  

鶉を保有し,火曜日の朝,契約履行の開始前に貨幣市場を開き貨幣の需給の調整を行   い,♪1と貨幣の配分∴晩,砲,砲とを決定しそれを無償で与えるシステムを仮定」す  

ると考えるよりも,彪1,ゐ2,鳥3を各主体が砺,瓦毎,礪の任意の賦与鼠に.比例するよう   に決意しなければ,古典派の掛界の実現は望みえないと考えるのが妥当のように思われ   る。   

しかしながら古典派の隠男の実現条件である々1,点2,ゑ8の初期貨幣配分崖との比例関  

係は各主体の効用函数紅現金残高方程式を制約条件として設けるところから生じたもので  

ある。−・般にいわれる貨幣数愚説は貨幣筒場における関係であって∴必ずしも個人の行動庭   同種のものを設けていると確言することほ.出来ない。しかも前説でのべた如く個人の貨幣   に.たいする行動式を扉1=烏1∽1としその期の総支払に関する一次同次式として描く必然性   は何もなく,またこのように仮定すべきだとレても各種の決意から合成されるものをひと   まとめにして烏1と挙純化する必要性もないのである。他方期首における貨幣の需要は火   曜〜土曜の間の収入と支払パタ−ンに依存し,各時点のそれらの一・種平均的値であるとし   ても,その需要の間妃ほ詔1とJ苧に関する平均値の和が研ぎに関する平均値とエ苧に関  

する平均値に等しいという予算制約関係が必ず成立するであろう。したがってその予第制   約式を個人の効用に関する制約条件式として設けて極大化する七とが可能である。前節で  

のべたようにゑ1の中にすでに貨幣ストックにつV、ての決急が入っているのであるから制   約条件式を2種類設定するのは無駄である。したがってわれわれは,  

ぴ1=ぴ1(.訂11,.γ12,.方13)  

材戸棚1一/1十エ1   

(8)

75  

金森恒利教授「交換の貨幣的均衡への一考察」紅ついて−75−   

〔但し〝71,1J,エ1はそれぞれその契約履行期間の貨幣支出,貨幣収入,貨幣ストックの   平均値であり,その期間の♪2.方21+如31,九(虎1−一方11),エ苧の平均値である。〕をもって貨   幣を含むモデルを設定したいのである。上記の分析は月曜日から土曜日を1期間とする期   間分折である。いまこれを連続分析で考えるとすると期首,期末の区分はなくなってく   る。そして∴現在の財の供給量ならびに価格が将来も継続するであろうと予想されるならば  

効用函数に設けられる制約条件式は砿=∽1+エ1−Jlとして現わすことが出来るであろ  

う。   

金森教授の♂の取扱いほ各主体の点の値の修正として考えて行くならば非常紅示唆に富   む分析であると思われる。そして貨幣をどのような形で効用函数に・導入するかという問題   は今後に放された課題だと思われる。♂を効用函数に導入するという試みは烏を変数とし   て導入するということを意味することに.なる。ゑを効用函数に.導入することは,ゑが貨幣   収入・支払および貨幣ストックに関係した値であるからそれらを導入することと同じこと  

であろう。そこでわれわれのモデルは試みに書けば   ぴ1=抽11,・ズ21,・芳81,,)  

を 

叫=〃Jl−/l÷エl  

(但し∽1=♪2∬21+♪8.%31,Jl=九(和一一方11))の制約条件の下に極大化するということに.な   

る。  

¢=〃1(一方11,・尤21,・恥1,若,意卜入(∽1−ん+エ1一面)  

のラグラン汐.ユ乗数を用いて効用極大の条件を求めると  

1 ∂〃1  

九 

∂(芸)  

(1)  

一入=0  

(2)   

.・=  

ー 

.   

−♪1入.=0  

−♪2九=0  

(9)

第45巻 籍1号  

ー76−   76  

(5)   

ー♪8入=0  

となる。(1),(2)両式は貨幣の需給についての経済主体の態度を示している。そこにおい  

∂ぴ11  ∂ぴ11  

て入は∂(芸)♪1および  ∂は)九蛸しく,貨暇出と貨幣ストック闊のどら  

らであろうともその貨幣1単位の実瑠湘儲からえられる限界効用を現わしている。他力  

(3)〜(5)式よりしてこの体系たぉいても加重限界効用均等の法則が成立していることが  

判る。そしてそれは入に等しい。したがって  

∂ぴ1 ∂ぴ1 ∂抗  

∂れ1 ∂ズ21_∂ガ81   β1  少2   ♪8   :=入  

よりして入は通常いわれるマ−ジャルの貨幣の限界効用でもある。支出紅関する貨幣の限  

∂ぴ1  

糊用唯) 

は負値であろうから鮒の限界効用を統劇的に正値で表わすためには(り   式の両辺に・−1を乗しておかなければならない0他方かりに効鯛数蛸幣収入ま一−・が導   入されているならばそこに導通されるであろう極大条件式症+入=0であろ  

う。したがってこの両者は   1 ∂ぴ1  

♪1∂(若)  

一  入  

= ̄ 

1∂抗   す砺y入  

となり,ともにマージャルの貨幣の限界効用の入に対して絶対値では等しいが正負の符号  

を異にしていることを知る。このことは貨幣が朗と交換される局面紅おいて代替関係にあ   るという事実を示しているのである。あれわれの貨幣の効用は各財からえられる財の効用   をあきらめるところから発生するのである。貨幣の効用函数が与えられると(1),(2)両式  

の貨幣1単位の実質価値からえられる限界効用が,たとえ古典派の考えるように一億不変  

の値であろうとも与えられること紅なる。そして貨幣の需要は,(1)(2)式と(3)〜(5)  

式とを併せ考えると貨幣1単位の実負価値からえられる限界効用が各朗の加患限界効用に  

等しくなるまでなされるであろう。ゆえに貨幣の需要は各経済主体がその貨幣の限界効用   

(10)

77   金森恒利教授「交換の貨幣的均衡への−、考察」について  

−77一−  

∂ぴ1∂ぴ1  

∂(討,∂(告)をどのような大いさの値と考えるか鴫右苧れることになってくる0この  

ことはその貨幣の限界効用を一・定不変と仮定しても同じである。したがって各経済主体が  

∂びi∂ぴ1  

∂(賢),∂(告)の値を決めることは金森教授のいわれる拍値の決定の別の表現吋ぎな  

いこととなっているのである。かくして上記(1)〜(5)式の解を出すに当りエ1=詔1,招1=Jl  

となるように貨幣の限界効用の値を決め,しかもそれが貨幣の保有額に関係なく一・定であ  

るとするなら貨幣ほ財の需給に.影響を与えず期末紅は砺に等しい貨幣ストックをもって  

いるような古典派の世界が出現すると考えてよいであろう。効用函数がレフトしない限り  

毎期首に周与される財の愚が不変であると各財に対する各経済主体の需要慮朋毎期同一・と  

なり,そこに蝕する価格も同じになるといえる0なお効踊数の中に一,意を入  

れ一を省いているのは桝1とエ1について忠志決定を行え舶動的碇」1に関する龍  

決定を行ってしまっていると考えたからである。また貨幣を効用函数に導入するにあたっ   て数多くの困難な問題が残存する。したがって上記の分析は一つの試みにすぎないことを  

汚度お断わりしたい。   

参照

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