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総括研究報告書

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1

厚生労働科学研究費補助金

(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業(健やか次世代育成総合研究事業))

総括研究報告書

子育て世代包括支援センターの全国展開に向けた体制構築のための研究

研究代表者 佐藤 拓代

大阪府立病院機構大阪母子医療センター母子保健情報センター顧問

研究要旨

【目的】母子保健法改正により、子育て世代包括支援センター(以下、 「センター」という)

の設置が市町村の努力義務とされ、令和 2(2020)年度末までに全国展開が目指されてい る。我が国の母子保健の従来からの「リスク特定・介入」を中心とするアプローチに加え、

センターでは、全ての妊産婦・親を対象とするポピュレーションアプローチを行うことか ら、母子保健と子育て支援の融合によるセンターの運営・設置に資する事業評価システム を構築し、センターの業務ガイドラインの改定案とセンターにおける面談・支援ガイドブ ックを作成することを目的とする。

【成果】研究 2 年目である平成 30 年度は「センター未設置自治体減少と対人支援技術の 向上」を目標として研究を行った。

子育て世代包括支援センターの設置推進支援では、設置率の低い北海道、秋田県、岐阜 県、長崎県に直接的研修実施等の支援を行うとともに、同様に低い沖縄県等に間接的支援 を行った。

子育て世代包括支援センター未設置自治体における設置阻害要因の把握及び子育て世 代包括支援センター事業の PDCA の検討では、KJ 法による検討を行い、課題は「センター 設置と事業の理解不足」 「自治体内の認識・連携の不足」 「機関連携」 「支援技術の向上及び 支援プラン」 「体制・人材確保」 「対象者の継続的把握」 「PDCA サイクルによる効果的なセ ンター運営」 「その他(予算・場所・周知・使えるサービス・連携支援・情報共有のシステ ム) 」とまとめられた。また、 「この我が町がどうなったらいいか」を考え、PDCA サイクル を回す目標として検討をすすめることが有効と考えられた。

センターにおける面談及び支援技術の開発では、フィンランド国立保健福祉センター、

タンペレ大学、タンペレ応用科学大学から保健師の支援技術習得のカリキュラムや支援マ ニュアル等を取得するとともにフィンランドタンペレ大学から講師を招聘し、親子の関係 性構築のための支援について研修を行った。さらに自治体が困難と考えている支援プラン についてモデル支援プランを作成し、実際に使用して改良に取り組んだ。これらから面談・

支援ガイドブックの検討を行った。

また、未設置自治体及び設置自治体の参考になる Good Practice を行っている 30 自治

体の取組事例集を作成した。

(2)

2 A.研究目的

母子保健・医療は、昭和 40(1965)年にで きた母子保健法に則り充実が図られ、妊娠期 から乳幼児期までどこの自治体でも健診等が 受けられるとともに、医療の充実により我が 国の乳児死亡率は世界でトップレベルに改善 された。すなわち、栄養の問題や疾病の早期 発見・早期対応の問題は早期に改善が図られ たが、平成早期からの発達障害の問題や子ど もの虐待に代表される親子関係の問題は、取 り組みが開始されているもののなかなか改善 しにくく、依然として重要な課題である。

特に、子どもの健やかな育ちにおける最重 要課題は、子ども虐待の予防である。母子保 健分野ではこれまでも視野に入れて取り組ま れているが、平成 28(2016)年 6 月の母子保 健法改正で、国及び地方公共団体の責務(第 5 条)として、 「母性並びに乳児及び幼児の健 康の保持及び増進に関する施策は、乳児及び 幼児に対する虐待の予防及び早期発見に資す る」とされ、明確に取り組みが位置づけられ た。また、それまでの母子健康センターから 改められた母子健康包括支援センター(第 22 条)では、 「母性並びに乳児及び幼児の健康の 保持及び増進に関する包括的な支援」を行い、

設置が市町村の努力義務とされた。この母子 健康包括支援センターは、平成 28 (2016)年 6月3日付雇児発 0603 第1号通知の「Ⅱ

児童虐待の発生予防」で、子育て世代包括支 援センター(以下、 「センター」とする)であ るとされ、令和 2 年(2020)度末までの全国 設置が目指されている。すなわち、子育ての 最悪の事態である子ども虐待を予防するため、

通知により母子保健にとどまらず包括的に子 育て世代を支援することが明確に示されたと 言える。

厚生労働省による「子育て世代包括支援セ ンター業務ガイドライン」

1)

では、対象者は

「主として、妊産婦及び乳幼児並びにその保 護者」 、実施場所は「母子保健に関する専門的 な支援機能及び子育て支援に関する当事者目 線での支援機能を有する施設・場所」 、事業内 容は「(1) 妊産婦及び乳幼児等の実情を把握 すること」 、 「 (2) 妊娠・出産・子育てに関 する各種の相談に応じ、必要な情報提供・助 言・保健指導を行うこと」 、 「 (3) 支援プラ ンを策定すること」 、 「(4) 保健医療又は福祉 の関係機関との連絡調整を行うこと」とされ ている。運営は、利用者支援事業の基本型(相 談支援を行い、子育て支援に係る施設や事業 等の利用につなげる等)と母子保健型(保健 師等の専門性を活かした相談支援を行い、母 子保健を中心としたネットワーク、医療機関、

療育機関等につなげる等)を一体的に実施す る、それぞれが立ち上がり連携して実施する、

市町村保健センターと基本型が連携して実施 する、母子保健型又は市町村保健センターを 中心に実施する、基本型を中心に実施すると いった、地域の実情に合わせた展開が示され ている。

以上の背景を踏まえ、我が国の母子保健の 従来からの「リスク特定・介入」を中心とす るアプローチに加え、センターでは、全ての 妊産婦・親を対象とするポピュレーションア プローチを行うことから、母子保健と子育て 支援の融合によるセンターの運営・設置に資 する事業評価システムを構築し、センターの 業務ガイドラインの改定案と研修プログラム

<分担研究者>

山縣 然太朗:山梨大学大学院・総合研究 部医学域社会医学講座・教授 山崎 嘉久:あいち小児保健医療総合セ

ンター・保健センター・保健センター長 髙橋 睦子:吉備国際大学・保健医療福祉

学部・教授

横山 美江:大阪市立大学大学院・看護学 研究科・教授

福島 富士子:東邦大学・看護学部・教授

(3)

3 を作成することを目的とする。

研究年度ごとの研究活動は、研究 1 年目で ある平成 29 (2017)年度は「現状把握と活動 手法・支援技術の開発」を、 2 年目である平成 30(2018)年度は「センター未設置自治体減 少と対人支援技術の向上」を、 3 年目である令 和元(2019)年度は「支援技術の維持向上の 体制構築」を目標とする。

B.研究方法

以下の4研究内容について、研究者が分担 するのでなく連携協力して研究を実施した。

1.子育て世代包括支援センターの設置推進 支援

厚生労働省母子保健課による平成 30 (2018)

年 4 月 1 日現在のセンター設置市区町村は、

全国 1,741 カ所の内 761 カ所で設置率は 43.7%であった。自治体の種類では指定都市 100%、特別区 65.2%、中核市 83.7%、市 54.5%、町 31.6%、村 16.4%と、小規模自治 体で設置率が低かった。図1に地方別に都道 府県別設置自治体を示した。近畿地方、中国 地方では設置率が高いが、北海道、東北地方、

四国地方、九州地方、沖縄県では低く、図2 の町村では、設置率の低い県では町村の設置 率も低いことがうかがわれた。

そこで、設置率の低い北海道、秋田県、岐 阜県、長崎県及び設置率は平均程度であるが より設置を進めたい石川県の協力を得て、自 治体を対象としたセンター設置推進の研修を 行った。

2.子育て世代包括支援センター未設置自治 体における設置阻害要因の把握及び子育 て世代包括支援センター事業のPDCA の検討

1.における道県研修において、自治体の 課題、設置阻害要因、解決策等についてワー クショップ手法を用いて検討を行った。

また、設置が進んでいる大阪府ではワーク

ショップ手法による PDCA サイクルの検討を 行った。

3.センターにおける面談及び支援技術の開 発

フィンランドのネウボラ等での支援技術や、

フィンランドの児童精神医学からのアプロー チを参考に、自治体保健師等にモデル研修を 行った。

前年度のセンター未設置自治体に対する調 査から、 「子育て世代包括支援センター業務ガ イドライン」における必須事業のうち、支援 プラン作成を困難と考えている自治体が約半 数であったことから、自治体のワークショッ プ等でモデル支援プランを作成し、実際に使 用して改良に取り組んだ。

モデル研修及びモデル支援プランを踏まえ た面談・支援ガイドブックの検討を行った。

4.自治体取組事例集の作成

研究初年度のヒヤリング調査で把握した自 治体及び研究者が把握した自治体において、

他の自治体の参考になると考えられた取組の 事例集を、自治体の協力を得て作成した。

(倫理的配慮)

本研究は自治体を対象としており、配慮を 要する情報は取り扱わない。

C.研究結果

1.子育て世代包括支援センターの設置推進 支援

設置率の低い北海道(17.9%)、秋田県

(20.0%) 、岐阜県(28.6%) 、長崎県(19.0%)

に直接的支援を行うとともに、同様に低い 沖縄県(4.9%)等に間接的支援を行った。

また、設置率は平均程度であるがより設置

を進めたい石川県(47.4%)に支援を行っ

た。さらに、代表研究者及び分担研究者が

それぞれ積極的に自治体からの講師等の要

(4)

4 請に応じて研修講師を務めた。

<研修プログラムの例>

・講義「子育て世代包括支援センターと地域 保健・地域作り」

・講義「子育て世代包括支援センターの展開

~4 つの機能を中心に~」

・ワークショップ

KJ 法により、「我が街がどうなったらい いか」 「センター設置の課題」 「課題解決策」

「センター設置による評価をどうするか」

などを話し合う

・ワークショップの発表、講師のコメント、

Good Practice の紹介など

センター設置の課題は道県に関わらず、多 くの課題が挙げられ、それに対する課題解決 方法の検討を行った。センター設置が進んで いるところでは課題が変化しており、センタ ー設置前の自治体が多いワークショップでの 課題項目ごとに対応方法、設置がすすんでい る自治体において変化した課題をまとめた。

未設置自治体の課題①

<センター設置と事業の理解不足>

・何をすればよいのか明確ではない

・センターのコンセプトがわかりにくい。現 行の母子事業、子育て事業とセンター事業 の違いがわかりにくい。今の体制と何がど う違うのかどう変えたよいのか整理できて いない。個への支援か全体のベースアップ か、包括の方向性はどこか

・センター設置の道筋がイメージできない。

設置に向けての具体的な方策がわからない

・基本型、母子保健型のどの体制がよいのか わからない

・訪問、健診等母子保健事業で全数把握して いるため必要性を感じない。現在の体制で できている。病院や子育て部門との連携が とれているので、市全体としてまだ必要性 を感じていいない

・子育て世代包括支援センターを設置したと 決定するものは何か?どの時点でしたこと になるのか(4 つの必須事業ができた時?)

ワークショップで検討した対応方法

・国県による個別の設置支援

・研修等によるセンターの目指すものの理解

・センター設置自治体の情報収集

センター設置済みの自治体からの課題

・目的・目標に対する個々の認識

本研究班の対応

・自治体への研修等によるセンター設置理念、

事業内容の周知

・都道府県及び保健所の関与の推進

・参考になるセンター設置自治体の取組集の 作成

未設置自治体の課題②

<自治体内の認識・連携の不足>

・自治体としての方向性が定まっていない

(子育て支援の位置づけ)

・設置の話し合いが進まない。協議等が係内 でも不十分

・検討すらされていない(リーダーシップを とる人が不在)

・機構改革と専門職の不足で設置する係が決 まらない。母子保健と児童福祉のどちらが 担当課か、実際に動くのは母子保健である が。中心となる担当課をゆずり合っている。

予防のはずが虐待対応へひっぱられる

・センターの理念共有化、目的の共有ができ ない

・運営について共通理解が不十分

・子育て支援担当との温度差がある。母子保 健部門と子育て支援部門の連携が取りにく い

・設置する際の関係機関の役割分担(システ

ム) 、子育て支援センターとの機能の連携

(5)

5 ワークショップで検討した対応方法

・保健、福祉、子育て支援センターと定期的 に協議し、方向性を確認する。それぞれの 実施事業と課題を討議する場を設ける

・首長に妊娠・出産・子育ての母子保健事業、

子育て支援事業の現状を“見える化”して 示し、方向性を示してもらう

・まちづくり全体の中の子育て施策の方向性 を統一する

センター設置済みの自治体からの課題

・センターが設置されたが役割分担を事例が 出てくるたびに戸惑うことがある

・新規ケースを地区担当保健師へ引き継ぐタ イミングが難しい(他業務が忙しい時に先 延ばしにしてしまう事がある)

・基本型との認識の統一、役割分担

・母子保健型のセンターの業務が予防・支援 事業から、虐待対応課の業務を実施してい くような方向性であること

本研究班の対応

・現状の“見える化”を行うなど自治体内連 携の推進方策や、児童福祉法の市区町村子 ども家庭総合支援拠点との連携や役割分担 などを示すセンター業務ガイドライン(案)

の検討

・センター設置の検討プロセスを含めた参考 になるセンター設置自治体の取組集の作成

未設置自治体の課題③

<機関連携>

・連携の仕方がわからない。関係機関との連 携(会議、情報交換の場)をどうしたらよ いか。今ある連携機関とどのような連携体 制のしくみを作っていくか

・連携に対する温度差がある。考え方の違い がある

・他機関との連携が不十分。母子保健分野だ

けでなく、福祉、教育分野の関係者との情 報共有ができていない

ワークショップで検討した対応方法

・定例会議の場を設置、顔が見える関係づく りをする

・率直にケースに関して検討(ケース検討会 等)する

センター設置済みの自治体からの課題

・子育てに関わる機関が同じ目標をもつ

・助産師との連携

・住民、地域にいる多くの支援者への周知と 連携

本研究班の対応

・関係機関から連携の取りやすい窓口と機関 連携の推進を行うマネージメント機能を示 す業務ガイドライン(案)の検討

未設置自治体の課題④

<支援技術の向上及び支援プラン>

・人員(専門職不足)質の向上。相談対応の技 術、知識が必要

・利用者目線が足りない。上から目線、指導 などお母さん、子どもを変えなきゃとつい 思ってしまう。支援プランは作成している が、当事者に内容は伝えていない

・母子健康手帳交付時は面接しているが、そ の後の個別のアプローチが難しい。妊婦訪 問できるか

・職員研修をどうするか

・支援プランのイメージがわからない

・支援プランの作成をどのように行っていく か

・アセスメントをどうしたらよいか。要フォ ロー者の基準がない

・支援プランの内容どこまでを子育て世代包

括支援センターで検討して、どこから要対

(6)

6 協にあげるのか

ワークショップで検討した対応方法

・理解を深めるための学習会、研修の実施・

参加

・人を理解するためのスキルを意識的に学習 し、実践する(事例検討会、研修、プライ ベートを充実)

・既に設置している自治体の実践報告を聞く、

学ぶ

・保健師の認知度を漫画やドラマ等で向上を 図る

センター設置済みの自治体からの課題

・妊婦への支援方法の検討(訪問、電話がつ かまらない)

・ニーズの把握ができない、

・妊産婦、子育て中の家族と寄りそうスキル の習得

・支援プランの作成ができない

・保健師のケースワークで、特定妊婦も担当 であり、今後包括支援センターでの支援を 求められる、支援プラン必要ケースまで対 応できない

本研究班の対応

・モデル支援プランを含めた面談・支援ガイ ドブックを作成

・面談・支援技術に係る研修の実施

未設置自治体の課題⑤

<体制・人材確保>

・母子健康手帳交付時、専門職の面接が出来 ていない

・業務が多忙。母子保健分野での業務量の増 加→特定妊婦、今の事業で精一杯、困難事 例が増える一方で保健師は個別対応で大幅 に時間が必要

・調整や支援状況の全体把握を行う人材が必 要。人材確保(育成)関係機関と連携できる、

地域を理解できる、マネージメント力のあ る専門職が必要。統括する保健師がいない。

コーディネーター不足

・必要とされる技術を持った人材不足。専門 職(保健師・助産師・臨床心理士)の確保。

募集しても応募がない

・マンパワーが不足

ワークショップで検討した対応方法

・人員(保健師)確保の必要性を上司に訴え る。できていない状況を訴える(他市町と の比較など) 。自治体全体の問題として理事 者の理解を得る

・在宅助産師、保健師の発掘。人材バンク情 報など民間の情報を集める

・働きやすい雇用形態にする。賃金アップ、

給料増

・人件費について使える制度の活用

・スクラップアンドビルドで事業の見直し。

活用できる財源(事業)や今の人材を工夫し て、体制を考える(他市町村からヒントを 得たり、説明をしてもらう)

・保健師以外の職種の採用

・業務を効率よくこなす力をつける、事務処 理能力をあげられるようがんばってみる

・保健師を何でも屋と思われないよう仕事、

役割をはっきりさせる

センター設置済みの自治体からの課題

・人材確保

・業務多忙。ケース対応、事業に追われてい る、業務整理が必要。

・人員の配分確保が難しい

・助産師が必要

・専任保健師が必要

本研究班の対応

・多職種連携による面談・支援ガイドブック の作成

・体制整備及びマネージメントについて業務

(7)

7 ガイドライン(案)で検討

・参考になるセンター設置自治体の取組集の 作成

未設置自治体の課題⑥

<対象者の継続的把握>

・支援対象者が多く全体の把握難しい

・妊婦の継続的把握ができない

・就学前までで本当によいのか?(切れ目な い支援はどこまでを考えればいいのか)

ワークショップで検討した対応方法

・面談時に次回の予約をする。気軽に妊婦と 会えるしくみを考える

・関係機関に出向いて情報交換を行う

センター設置済みの自治体からの課題

・特に言及されていなかった

本研究班の対応

・継続的把握の工夫を含めた参考になるセン ター設置自治体の取組集の作成

設置自治体の課題⑦

<PDCA サイクルによる効果的なセンター運 営>

設置が進んでいるところの課題

・PDAC サイクルができていない

・評価して(数値化)しにくい。事業評価が できない

本研究班の対応

・ PDCA サイクルサイクルと評価について言及 した業務ガイドライン(案)の検討

未設置自治体の課題⑧

<その他(予算・場所・周知・使えるサービ ス・連携支援・情報共有のシステム)>

・予算がない。財政不足

・落ち着いて面談できる場所がない、個室が 確保できない

・自治体の施設が高齢者向けで母子に向かな い

・住民への周知をどうしたらよいか。

・利用できるサービスが少ない

・サービスを依頼できる所がない(産後ケア 事業等)

・情報の共有方法をどうしたらよいか

・記録・台帳管理等のシステム化をどうした らよいか

ワークショップで検討した対応方法

・財源等の情報を集め首長に理解してもらい、

施設改修等の優先度をあげる

・さまざまなことについて工夫している自治 体の取組を知る

・初めの関わり時に個人情報共有の同意を得 る

センター設置済みの自治体からの課題

・施設の利便性。利用しやすさ、参加しやす さ

・集うスペースのママ同士をつなぐ役割配置

・プライバシーの守られるスペース作り

・利用者がわかりやすい窓口設置、利用しや すい事業。相談窓口の周知、センターを知 ってもらう。中学、高校生の親や子ども世 代への周知

・利用者がわかりやすい窓口設置、利用しや すい事業

・妊娠中、産後使えるサービスが少ない

・妊娠中に使えるサービスが少ない

・うまく使えるサービスが少ない

(8)

8 本研究班の対応

・参考になるセンター設置自治体の取組集の 作成

2.子育て世代包括支援センター事業のPD CAの検討

大阪府はセンターの設置率が 55.8%と高 く、自治体メンバーのワークショップに府保 健所がサポートに入り、 PDCA サイクルの検討 を行った。 「我が街がどうなったらいいか」で 抽出された項目と、 「1.子育て世代包括支援 センターの設置推進支援」のワークショップ から抽出された上位項目は同様な内容であっ た。

これらの下位項目としてさまざまな地域実 情に沿った内容が出されていた。

これを目標として、地域の人口動態や事業 の実施状況等を評価して地域の実情に合わせ たセンター事業を計画し(Plan) 、事業の見直 しや連携した事業や独自事業の実施と並行し て情報を収集・共有し(Do) 、サービス利用者 の当事者と事業実施側がともに評価・検討し

(Check) 、Check に基づいた改善を行い改善 策を実行する(Do)ことが、センターの効果 的な展開に必要である(図3) 。

しかし、 「4.自治体取組事例集の作成」に おいて、 「取組の評価」としてアウトプットと アウトカムの記入を依頼したところ、どのよ うな項目を記入するかという問い合わせが多 かった。これまでの母子保健事業は実施する 内容が乳幼児健診のように定められたものが

多く、評価することになじみが薄かったこと によると考えられた。中にはきちんと評価し ている自治体もあり、これを共有し、全国自 治体共通のアウトプット、アウトカム等の評 価項目として示す必要がある。

<図3>PDCA サイクル

3.センターにおける面談及び支援技術の開 発

フィンランドのネウボラ等での支援技術や、

フィンランドの児童精神医学からのアプロー チを参考に、自治体保健師等にモデル研修を 行った。

<研修>

「親子の関係性発達とコミュニケーション支 援における専門職の役割と技能~フィンラン ドの乳幼児精神保健に学ぶ~」

・日時及び会場

平成 30 年 12 月 16 日(日)東京会場 平成 30 年 12 月 18 日(火)大阪会場

・対象

子育て家族支援に携わる専門職(保健師、

助産師等)

・内容

講演「親子コミュニケーション支援の実際」

及びモデルロールプレイ

講師:フィンランド国立タンペレ大学医学 部(児童精神科医)カイヤ・プーラ教授・

吉備国際大学保健医療福祉学部髙橋睦子 教授

前年度のセンター未設置自治体に対する調 査から、 「子育て世代包括支援センター業務ガ 我が町がどうなったらいいか

①安心して子育てができる

②孤立せずひととのつながりがある

③相談しやすい窓口と、利用しやすいサ ービスがある

④関係機関の連携した取組がある

⑤子どもが持てる力を発揮できる

⑥子ども虐待がなくなる

(9)

9 イドライン」における必須事業のうち、支援 プラン作成を困難と考えている自治体が約半 数であったことから、自治体のワークショッ プ等でモデル支援プランを作成し、実際に使 用して改良に取り組んだ。モデル支援プラン を表1に示す。これは妊娠届出時のプランの 例であり、さらに妊娠経過中、新生児期、乳 幼児期のモデルプランを作成する。

以上から面談・支援ガイドブック(案)を 作成中であり、項目案を示す。

<面談・支援ガイドブック(案)項目案>

【現状の課題】

①面談者の質の確保

・母子保健・福祉のそれぞれの専門性を 踏まえた関係性構築

・乳幼児精神医学に基づいた親子の愛着 問題把握と愛着形成支援

③面談後のカンファレンス等事例の共有・

評価

④父親及び祖父母との関係性把握

⑤父親及び祖父母の子育ての把握と子育て 促進

⑥母子保健事業とセンター事業の連携

⑦人的資源 など

【内容】

①今求められている親子関係・アタッチメ ント構築の支援とは

②面談の環境整備

③面談の支援技術(傾聴と相談支援)

④妊婦・家族のアセスメント

関係性構築を阻害しないアセスメントと は

⑤妊婦・家族への支援

⑥母子保健事業や関係機関との連携支援

⑦セルフプラン(全妊婦対象)

⑧支援プラン

⑨支援の評価・カンファレンス等

⑩望ましい支援者数

4.自治体取組事例集の作成

センター未設置自治体のみならず設置自 治体の参考になるよう、取組事例集を作成 した。研究初年度のヒヤリング調査実施自 治体や、研究者が研修等で把握した参考に なる取組を行っている自治体 35 カ所に依 頼し、30 カ所の報告が得られた(図4) 。

内容は、取り組みの特色(キャッチフレ ーズ的に) 、自治体概要、センター設置の経 緯、センターの取り組みメニュー、工夫し たこと、自治体の事業の評価(アウトプッ ト及びアウトカム等) 、利用者の評価、課題 と対策とした。事業の評価は自治体により さまざまな書きぶりであり、特にアウトプ ット、アウトカムはどのような項目を記入 するかといった問い合わせもあった。セン ターが効果的に展開されるためには評価が 重要であり、 「2.子育て世代包括支援セン ター事業のPDCAの検討」で検討を行っ ていくとともに、さらに自治体取組報告に 追加をしていく。

<自治体取組事例>(図4)

①北海道滝川市

②山形県酒田市

③山形県東置賜郡高畠町

④山形県西村山郡朝日町

⑤福島県伊達市

⑥群馬県桐生市

⑦埼玉県秩父郡東秩父村

⑧東京都東村山市

⑨神奈川県平塚市

⑩静岡県富士宮市

⑪富山県富山市

⑫福井県大飯郡高浜町

⑬三重県名張市

⑭奈良県磯城郡川西町

⑮京都府亀岡市

⑯滋賀県近江八幡市

⑰大阪府吹田市

⑱大阪府豊中市

(10)

10

⑲大阪府泉南郡熊取町

⑳和歌山県御坊市

㉑和歌山県有田郡湯浅町

㉒兵庫県加古郡稲美町

㉓香川県高松市

㉔岡山県津山市

㉕山口県山口市

㉖山口県山陽小野田市

㉗福岡県春日市

㉘福岡県久留米市

㉙福岡県直方市

㉚佐賀県唐津市

D.考察

研究 2 年目である平成 30 年度は「センター 未設置自治体減少と対人支援技術の向上」を 目標とし、センター設置推進の研修等を研究 班として 5 道県で行うとともに、分担研究者 が依頼等を受け多数の自治体に対して設置推 進の支援を行った。講義と共に自治体の情報 交換やセンターに関するグループディスカッ ションが設置推進に有効と考えられた。

子育て世代包括支援センター未設置自治体 における設置阻害要因の把握及び子育て世 代包括支援センター事業の PDCA の検討では、

課題は「センター設置と事業の理解不足」 「自 治体内の認識・連携の不足」 「機関連携」 「支 援技術の向上及び支援プラン」 「体制・人材確 保」 「対象者の継続的把握」 「PDCA サイクルに よる効果的なセンター運営」 「その他(予算・

場所・周知・使えるサービス・連携支援・情 報共有のシステム) 」とまとめられ、それぞれ に対応策が検討された。「この我が町がどう なったらいいか」を考え、 PDCA サイクルを回 す目標として検討をすすめることが未設置 自治体のセンター設置の推進と効果的なセ ンター事業の推進に有効と考えられた。これ らの内容を、厚生労働省の「子育て世代包括 支援センター業務ガイドライン」を現在の自 治体の状況に合わせたセンター業務ガイド

ライン(案)に反映させる必要がある。

センターにおける面談及び支援技術の開発 では、フィンランド国立保健福祉センター、

タンペレ大学、タンペレ応用科学大学から保 健師の支援技術習得のカリキュラムや支援 マニュアル等を取得するとともにフィンラ ンドタンペレ大学から講師を招聘し、親子の 関係性構築のための支援技術に関して知見 を得た。さらに自治体が困難と考えている支 援プランについてモデル支援プランを作成 し、実際に使用して改良に取り組んだ。これ らから面談・支援ガイドブックの検討をすす める。

また、未設置自治体及び設置自治体の参考 になる Good Practice を行っている 30 自治 体の取組事例集を作成した。自治体が入手し やすい方法で提供したい。

E.結論

センターの設置は進みつつあるが、規模の 小さい自治体では設置が進まず、設置の課題 や対応する解決策等を各種研修等において周 知を図るとともに、設置が特に進んでいない 道県に対して研修等の支援を行う必要がある。

地域住民の妊娠期から乳幼児期までの切れ 目のない包括的な支援を行うセンターの効果 的な事業展開には、 PDCA による地域作りの考 え方が重要であり、センター業務ガイドライ ンの改定案を作成する予定である。

自治体の取組事例集は未設置自治体及び設 置自治体においても、効果的なセンター設置 に有効と考えられることから今後も事例収集 に努める。

センターの利用者目線に立った支援は、既 存の母子保健事業に加味すべき内容であり、

モデル支援プランはこれを具体化しているこ

とから支援プランの例を充実させ、センター

における面談・支援ガイドブックを作成する。

(11)

11 F.健康危機管理情報

なし

G.研究発表 1.論文発表

1)佐藤拓代:妊娠・出産・子育ての切れ目の ない支援。小児保健わかやま、2019;11:

11-14

2)佐藤拓代:子育て世代包括支援センターの 現状・概要・目指すもの。小児保健研究、

2019;78(2):98-102

3)佐藤拓代:支援の切れ目に落とさない利用 者目線、当事者目線の関わりを。子どもの 虐待とネグレクト、2019;20(3):259-261 4)佐藤拓代:周産期に発見・発生した障害へ

の早期の支援。子どもの虐待とネグレクト、

2019;20(3):268-273

5)佐藤拓代:産科退院後の虐待予防―地域保 健との連携。周産期医学、 2019 ; 49(5) : 775- 777

6)佐藤拓代:子育て世代包括支援センターと 切れ目のない支援。とやま小児保健、 2018 ; 16:30-32

7)佐藤拓代:子育て世代包括支援センターに 求められる 4 つの機能。母子保健情報誌、

2018;3:12-17

8)佐藤拓代:子育て世代包括支援センターと ネウボラの理念。大阪市立大学看護学雑誌、

2018;14:36-39

9)佐藤拓代:子育て世代包括支援センターと 切れ目のない支援とは。小児保健研究、

2018;77(4):319-321

10)佐藤拓代:子育て世代包括支援センター の目指すところ 業務ガイドライン策定の 目的。日本小児科医会会報、 2018; 56:89- 89

11)佐藤拓代:子育て期における医科歯科連 携のお節介型支援のスゝめ。日本歯科医師 会雑誌、2018;71(9):736-737

12)佐藤拓代:子育て世代包括支援センター

の動向と母子保健との関わり。保健師ジャ ーナル、2018;74(6):61-66

13)佐藤拓代:子育て世代包括支援センター。

小児内科、2018;50(6):903-904

14)佐藤拓代:保健機関における母子支援の 現在。育ちの科学。2018;30(4):2-5 15)佐藤拓代:子どもの虐待予防。健康づく

り。2018;2:12-15

16)佐藤拓代:切れ目のない子育て支援で虐 待の予防を。家族と健康、2018;772:6-6 17)Mitsuya Yamakita, Miri Sato, Kohta

Suzuki, Daisuke Ando, Zentaro Yamagata:

Sex differences in birth weight and physical activity in Japanese schoolchildren. Journal of Epidemiology 28(7): 331-335, 2018.7

18) Reiji Kojima, Shigekazu Ukawa, Wenjing Zhao, Koji Suzuki, Hiroya Yamada, Kazuyo Tsushita, Takashi Kawamura, Satoe Okabayashi, Kenji Wakai, Hisashi Noma, Masahiko Ando, Akiko Tamakoshi:

Association of adiponectin with cancer and all-cause mortality in a Japanese community-dwelling elderly cohort: A case-cohort study. Journal of Epidemiology 28(8): 367-372, 2018.8

19)山﨑さやか,篠原亮次,秋山有佳,市川香 織,尾島俊之,玉腰浩司,松浦賢長,山崎 嘉久,山縣然太朗:乳幼児を持つ母親の育 児不安と日常の育児相談相手との関連:健 やか親子 21 最終評価の全国調査より.日本 公衆衛生雑誌 65(7) :334-346.2018.7 20)山崎嘉久: 「健やか親子 21(第 2 次) 」に

おける乳幼児健診の意義.小児内科 2018:

50(6):890-895

21)山崎嘉久:県内統一の妊娠届出書を活用 した支援 ~小児科医の立場から. 日本周 産期・新生児医学会雑誌 2018 : 53 : 5:1343- 1345

22)Ritei Uehara , Ryoji Shinohara, Yuka

(12)

12 Akiyama, Kaori Ichikawa, Toshiyuki Ojima, Kencho Matsuur, Yoshihisa Yamazaki, Zentaro Yamagata:Awareness of cardiopulmonary resuscitation among parents of 3‐year‐old children.

Pediatrics International 2018 : 60(9):869-874

23)山﨑さやか,篠原亮次,秋山有佳,市川 香織,尾島俊之,玉腰浩司,松浦賢長,山 崎嘉久,山縣然太朗:乳幼児を持つ母親の 育児不安と日常の育児相談相手との関連:

健やか親子21最終評価の全国調査より.

日本公衆衛生雑誌 2018:65(7):334-346 24)山崎嘉久:乳幼児健診の現状と課題.こ

どもと家族のケア 2018:12(6):56-59 25)山崎嘉久:健診事業と地域連携.三重医

報 2018:687:14-15

26)山崎嘉久: 「健やか親子21」を軸とした

乳幼児健診の現状. 原 朋邦編:みんなで 取り組む乳幼児健診. 南山堂,東京 2018 年:2-6

27)橋睦子:フィンランドの子ども. 新版 世 界の社会福祉 第3巻 北欧(分担執筆) . 旬 報社 (印刷中, 2019.3 刊行予定)

28)髙橋睦子:あなたの心配ごとを話しまし ょう―響き合う対話の世界へ(訳書).

2018.7 日本評論社.

29)高橋睦子:子育て世代包括支援センター の理念とこれまでの歩み.母子保健情報誌 2018.3.(3)8-11

30)高橋睦子:フィンランドのネウボラに学 ぶ. 教育と医学. 2018.3. 66(3) 36-43 31)高橋睦子:フィンランドの子育て家族支

援「ネウボラ」の展開. 外来小児科. 2018.3.

21 (1) 45-50

32)髙橋睦子:フィンランドの出産・子育て 支 援 「 ネ ウ ボ ラ 」 . チ ャ イ ル ド ヘ ル ス.2018.2. 21(2) 34-37

33)Mutsuko Takahashi: Policy narratives in formation of comprehensive support

systems for parenting and childcare in Japan. International Journal of Public and Private Perspectives for Healthcare, Culture, and the Environment. 2018.1.

2(2) 22-32

34) Yokoyama Y, Jelenkovic A, Hur YM, Sund R, Fagnani C, et al. : Genetic and environmental factors affecting birth size variation: a pooled individual- based analysis of secular trends and global geographical differences using 26 twin cohorts. International Journal of Epidemiology.2018. 47(4) 1195-1206 35)Jelenkovic A, Mikkonen J, Martikainen

P, Latvala A, Yokoyama Y, et al. : Association between birth weight and educational attainment: an individual- based pooled analysis of nine twin cohorts. Journal of Epidemiology and Community Health.2018. 72(9) 832-837 36)Heikkilä K, Van Beijsterveldt CEM,

Yokoyama Y, et al. : Triplets, birthweight, and handedness.

Proceedings of the National Academy ofSciences of the United States of America.2018. 115(23) 6076-6081

37)Jelenkovic A, Sund R, Yokoyama Y, et al.:Birth size and gestational age in opposite-sex twins as compared to same- sex twins: An individual-based pooled analysis of 21 cohorts. Scientific Reports.2018. 8(1)6300

38)Jelenkovic A, Yokoyama Y, Sund R, et al. : Associations between birth size and later height from infancy through adulthood: An individual based pooled analysis of 28 twin cohorts participating in the CODATwins project.

Early Human Development.2018. 120, 53-

60

(13)

13 39)Yokoyama Y, Hakulinen T, Sugimoto M,

et al.:Maternal subjective well-being and preventive health care system in Japan and Finland. European Journal of Public Health.2018. 28(4) 652-657 40)横山美江, Tuovi Hakulinen 編著:フィ

ンランドのネウボラに学ぶ 母子保健のメ ソッド. 医歯薬出版.2018

41)横山美江:フィンランドのネウボラで活 躍している保健師から学ぶ子育て世代包括 支援センターの在り方 . 保健師ジャーナ ル.2018. 74(6) 452-457

42)横山美江:ネウボラで活躍しているフィン ランドの保健師と日本の保健師活動の未来.

大阪市立大学看護学雑誌.2018.14.31-33 43)横山美江:フィンランドのネウボラと日本

の子育て世代包括支援センター. 地域ケア リング.2018. 20(9) 43-47

44)岸田久世, 横山美江:豊中市の取り組み 地区担当保健師の活動強化と妊娠期からの 多 職 種 と の 連 携 支 援 . 保 健 師 ジ ャ ー ナ ル.2018. 74(6) 472-477

45)畠山典子, 朝比奈青里花, 大崎和江, 芝 岡美枝, 田村美智, 福島富士子, 横山美 江:梼原町の取り組み 地区担当保健師制 の強化 切れ目ない支援の実現へ.保健師 ジャーナル.2018. 74(6) 478-483

46)福永淑江, 横山美江:大阪市港区の取り 組み ネウボラのエッセンスを取り入れた 地区担当保健師による継続支援システムの 構 築 . 保 健 師 ジ ャ ー ナ ル .2018. 74(6) 484-489

47)福島富士子:産後ケアを充実させるとき.

特集「子育て」.潮.2018.12.第 718 号 60- 65

48)福島富士子:子育て世代包括支援センタ ーのこれから。横山美江, Tuovi Hakulinen 編著フィンランドのネウボラに学ぶ母子保 健のメソッド 2018 医歯薬出版

49)福島富士子:産後産前ケアとソーシャル

キャピタル~今、歯科医師に期待するもの。

ケア小児歯科臨床大 2018.23(12):92-100

2.学会発表

1)山崎嘉久:フィンランドのネウボラから学 ぶ母子保健活動の評価と我が国における母 子保健システムの検討。第 77 回日本公衆衛 生学会総会。シンポジウム。座長。2018 2)佐藤拓代:子育て世代包括支援センターと

母子保健活動。第 77 回日本公衆衛生学会総 会。シンポジウム。シンポジスト。2018 3)横山美江:ネウボラのエッセンスを取り入

れた自治体における母子保健システムの構 築。第 77 回日本公衆衛生学会総会。シンポ ジウム。シンポジスト。2018

4)山崎嘉久:子育て世代包括支援センターと 地域保健システムの構築。第 77 回日本公衆 衛生学会総会。シンポジウム。座長。2018 5)高橋睦子:子育て世代包括支援センターの

理念―対話と信頼を目指して。第 77 回日本 公衆衛生学会総会。シンポジウム。シンポ ジスト。2018

6)佐藤拓代:子育て世代包括支援セン設置・

未設置自治体の状況。第 77 回日本公衆衛生 学会総会。シンポジウム。シンポジスト。

2018

7)仁木敦子・植田紀美子・佐藤拓代:総合周 産期母子医療センターの社会的ハイリスク 妊婦~地域関係機関との連携から。第 77 回 日本公衆衛生学会総会。一般演題。2018 8)佐藤拓代:妊娠を他者に知られたくない女

性への支援。第 24 回日本子ども虐待防止学 会学術集会おかやま大会。シンポジウム。

座長。2018

9)佐藤拓代:我が国における思いがけない(予 期しない)妊娠に関する相談窓口の状況。

第 24 回日本子ども虐待防止学会学術集会 おかやま大会。一般演題。2018

10)Takuyo Sato, Mutsuko Takahashi,

Yoshihisa Yamazaki;A study on the

(14)

14 difficulties of the establishment of the Comprehensive Support Centers for the Child-Rearing Generation in Japan:

For the population approach of child abuse prevention. 22nd International Congress on Child Abuse and Neglect.

Poster presentation. 2018

H.知的財産権の出願・登録状況 なし

<参考資料>

1)厚生労働省: 「子育て世代包括支援セン

ター業務ガイドライン」

http://www.mhlw.go.jp/file/04- Houdouhappyou-11908000-

Koyoukintoujidoukateikyoku-

Boshihokenka/senta-gaidorain.pdf

2)厚生労働省: 「子育て世代包括支援セン

ターの実施状況」

https://www.mhlw.go.jp/content/11900

000/000371561.pdf#search=%27%E5%AD%9

0%E8%82%B2%E3%81%A6%E4%B8%96%E4%BB%A

3%E5%8C%85%E6%8B%AC%E6%94%AF%E6%8F%B

4%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%B

C%E5%AE%9F%E6%96%BD%E7%8A%B6%E6%B3%8

1%27

(15)

15

<図 1>都道府県別子育て世代包括支援センター設置状況:平成 30(2018)年 4 月 1 日現在 (厚生労働省母子保健課調査)

<図2>都道府県別町村における子育て世代包括支援センター設置状況:

平成 30(2018)年 4 月 1 日現在(厚生労働省母子保健課調査)

(16)

16

<表1>モデル支援プラン

支援プラン

No.1

(妊娠届出時)

(出産予定日:2019年 3月 10日) 期間:2018年 8月 ~ 2019年 3月

<連絡先>○○市子育て世代包括支援センター TEL:○○○ー□□□ー△△△△

面接者(母子保健コディネーター):保健 医子 地区担当保健師 :小児 総子

応援プラン作成の目的

例)*これから、安心して妊娠生活を送り、出産を迎え、産後も安心して子育てができるように、できる支援な どについて○○さんと一緒に考えていきます。お母さんになるあなたをいつでも応援しています!

あなたが困っていること・心配なこと:

・父母が遠方で高齢、夫も帰りが遅く、何かあったら と思うと心配

・産休に入ってから出産の準備でいいのか、子育て用 品はどのようなものを用意したらいいか

・近所に同じような年齢の妊婦がいない

担当者が心配しているところ:

・気軽に相談・利用できる人や場所を知らない

・出産・子育ての準備

・仲間作り

あなたがこうなったらいいと思うこと:

・妊娠中や出産後にいつでも相談できる人や場所を確 保する

・出産までに子育て用品をそろえる

・これから出産する妊婦の友達ができる

担当者が目指したいこと:

・担当者に気軽に相談できること

・子育て世代包括支援センターの妊娠中からの利用

・産前・産後ケア事業の導入

・産後ケア事業の導入

スケジュール 年月日

妊娠週数 あなたの行動等 参加や利用する事業等 担当者からの連絡 2018年8月

12-15週

2018年9月 16-19週 2018年10月 20-23週 2018年11月 24-27週 2018年12月

28-31週

2019年1月 32-35週 2019年2月 36-39週 2019年3月 出産~

産後2週

応援プラン作成日:

2018

8

16

日 あなたの氏名: 大府 森子

次 回 の 約 束:

2018

9

20

日 担当者の氏名: 小児 総子

出産・育 児用品の 準備 健診受診

(1/4W)

健診受診

(1/4W)

健診受診

(1/4W) 健診受診

(1/4W)

健診受診

(1/2W)

健診受診

(1/2W)

健診受診

(1/1W)

両親教室

両親教室

子育て世代包括支援 センターでの相談

産前・産後サ ポート事業

教室での面談 または電話

教室での面談 または電話 妊婦訪問

妊婦訪問

新生児訪問 産後ケア事業

(17)

17

<図4>自治体取組事例

①北海道滝川市

母子保健を基盤に、

子育て部門との連携強化 による切れ目ない子育て 支援体制を目指す

設置時期:平成30年10月

設置場所:滝川市保健センター1カ所

(子育て部門が同施設内に移転)

利用者支援事業:母子保健型と基本型 を⼀体的に実施

地域の概要

概況

滝川市

〇 総人口 40,294人 (平成31年1月末現在)

〇 世帯数 21,461世帯 (平成31年1月末現在)

〇 高齢化率 33.6% (平成30年1月1日現在)

〇 出生数 239人 (平成30年12月末現在)

〇 合計特殊出生率 1.43 (平成20年~平成24年)

〇 設置開始時期 平成30年10月1日

〇 設置名称 滝川市子育て世代包括支援センター

〇 設置場所 滝川市明神町1丁目5番32号(保健センター内)

〇 実施体制

・事業形態 直営

・担当者 保健福祉部子育て応援課

保健福祉部健康づくり課予防推進係母子保健担当

・人数 保育士(専任)1名、保健師(専任)1名、

母子保健担当3名、助産師1名

〇 組織改編 無

〇 産前・産後サポート事業実施 無

〇 産後ケア予防事業実施 無

【面積】 115.90㎢

【地勢】

北海道のほぼ中央部、石狩川と空知川に挟ま れた平野部に広がっています。土地はおおむね 平坦で、ゆるやかな丘陵地帯となっています。

気候は、夏と冬の気温の差が激しい内陸性気 候で、年平均気温は7度前後。雪は11月下旬か ら降り始め、4月上旬まで続きます。

グライダー

そらぷちキッズキャンプ

(難病小児支援)

5月 菜の花まつり 2月ランタンフェスティバル

(18)

18

滝川市

取り組みの経過 〇健康づくり課と子育て応援課の協働 <H29年11月事業開始準備ワーキング開始>

〇組織改編 <H30年度準備室兼務発令>

〇予算確保 <H30年度補正予算確保>

人員確保~子育て支援・母子保健各コーディネーター増員 設備改修~子育て・妊婦専用相談室「たきかわっこルーム」設置

〇子育て世代包括支援センター事業開始 <H30年10月1日から>

たきかわっこちゃ

〇気軽に立ち寄ることができ、相談できる場を提供

・個々の母子に対するきめ細やかな相談を行うため、保健センター内に専用相談室

「たきかわっこルーム」を設置。

〇⼀人ひとりに丁寧に関わり、出会いを大切に寄り添ったサポート

・妊娠期に全員と2回面接実施(母子健康手帳交付時と妊娠24~28週頃)し、不安や疑問、悩み を見逃さないよう、丁寧な対応に配慮している。

支援の必要な妊婦には、電話、訪問等でより細やかな支援を継続的に実施。

〇切れ目ない子育て支援の充実のための健康づくり課母子保健担当と子育て応援課の協働

・従来事業の評価、新規事業計画のための事業企画評価ワーキング 月1回開催

・妊産婦の必要な支援検討や情報交換のためのコーディネーター連携会議 月1回開催

・健康づくり課母子保健担当による妊婦ケース検討会議 月1回実施

○従来の子育て支援事業案内冊子を見直し、新たに「子育てガイド」を編集

取り組み内容

( 平成

30年度実施状況

滝川市

工夫点

課題

取り組みの評価

(利用者からの評価含む)

母子健康手帳交付時マニュアルの見直し

母子保健部門と子育て部門合同による事業企画 評価ワーキング、コーディネーター連携会議の

定期開催利用者目線に立った子育てガイドの再編集

わかりやすいネーミング、ちらし、広報

○支援者の質の向上

・コーディネーター、及びそれをサポートする健康づ くり課 母子保健担当保健師、子育て支援センー保 育士の支援技術向上のための研修等が必要。

・健康づくり課は世代交代が進み、母子保健の経験が 浅い者が半数以上のため、計画的な人材育成

〇産後ケアが必要。

未婚、家族関係等により、産後の育児協力がないこ とによる育児不安等、支援の必要な産婦の増加がみ られ、産後ケア等のきめ細やかな事業が望まれるが、

財政事情、受け入れ施設やマンパワーの問題で実施 が難しい状況である。

〇関係機関連携

保育所、幼稚園、療育現場等との連携推進。

〇切れ目のない子育て支援のための事業評価

利用者の満足度や相談件数等を評価し、PDCAサイク ルによる事業展開を意識する。

1.コーディネーター相談実績 (平成30年10月~平成31年2月末現在)

①母子保健コーディネーター

・妊婦面接数

母子健康手帳交付時108名、妊娠中期85名 計193名

・支援プラン作成人数 23名

・母子保健関係来所相談数24名

②子育て支援コーディネーター(延人数)

相談件数 相談内訳(重複)

来所 電話 傾聴 情報提供 関係機関

連絡 育児方法

伝達 子育て関係の

相談 28 1 29 16 21 15 0

母子保健コー ディネーター から紹介

22 0 22 10 8 5 0

児童福祉窓

口から紹介 8 0 8 2 2 6 1

58 1 59 28 31 26 1

2.利用者・担当職員の感想

・個室の専用相談室は好評である。

特に子ども連れの相談者 は子どもを遊ばせながらゆったり相談ができる。

・来所相談の勧奨に対する受け入れがよくなったと感じる。

・母子健康手帳交付に来所した方から、「 「保健師と子育てコーディネーターの 連携で丁寧に対応していただけてよかった」と感想をいただいた。

・乳幼児健診に子育てコーディネーターが参加し子育て支援事業へ勧誘する ことで、子育て支援センター事業への参加者が増えた。

・母子保健と子育て支援の連携がスムーズかつタイムリーになった。

・支援が必要な妊婦についても、ケース会議、コーディネーター連携会議で検討 することで、産後まで支援が切れ目なくつながることを実感。

(19)

19

②山形県酒田市

妊娠期の全数面談と産後支援の充実

設 置 時 期:平成29年4月

設 置 場 所:酒田市民健康センター内 1か所 利用者支援事業:母子保健型を実施

地域の概要

概況

酒田市

〇総人口 105,045人 (平成29年3月31日現在)

〇世帯数 41,943世帯 (平成29年3月31日現在)

〇高齢化率 34.0% (平成30年1月1日現在)

〇出生数 552人 (平成30年12月31日現在)

〇合計特殊出生率 1.36 (平成24年 )

〇設置時期 平成29年4月1日

〇設置名称 酒田市子育て世代包括支援センター

“ぎゅっと”

〇設置場所 酒田市船場町二丁目1番30号

(酒田市民健康センター内)

〇実施体制

・事業形態 直営

・担当者 健康福祉部健康課母子保健担当

・人 数 保健師(現職)2名 助産師1名 看護師1名 計4名 全て専任

〇組織改編 無

〇産前・産後サポート事業実施 有

〇産後ケア事業実施 有

【 面積】 602.97㎢

【市の紹介】

酒田市は最上川が日本海にそそぐ 山形県西北部の湊町。北には鳥海山 がそびえ、周囲には肥沃な庄内平野 が広がります。日本海の良好な漁場 が近いことから、ズワイガニ、タラ、

イカなど年を通じた海産物のほか、

イチゴ、メロン、梨などの果物、高

品質のコメや水源を活かした日本酒

が特産品となっています。

(20)

20

酒田市

取り組みの経過

主な取り組み経過

○市内産科医療機関へ事業説明、産後ケア事業委託内容検討<H28年度 2施設、計3回>

○庁内関係部署ワーキング(母子保健、子育て、政策)→方向性、ビジョン<H28年度 6回>

○妊娠出産包括支援事業ネットワーク会議(小児科医、産婦人科医、NPO、関係部署)<H28年度 1回>

○先進地視察(三島市、古河市)<H28年度 1回>

内容

母子健康手帳交付時相談 手帳交付数 594件  個別面談による交付。ぎゅっとの紹介、今後も継続して相談出来る窓口としての周知。

随時相談

(母乳ミルク相談含む) 件数 ※2,991件 来所・電話による総合相談窓口。必要に応じ適切な相談機関へつなぐこと、地区担当保健 師と連携しながら切れ目ない支援が継続するよう心がけている。

さかたすくすくベビーギフト 配付数 322人 妊娠後期にぎゅっとに来所し面談とギフト贈呈。産後協力、体調、保育園入園等確認しな がら、産前産後の相談やサービス紹介を行う。

訪問型産前・産後サポート 訪問者数 28人 主に新生児訪問後に、地区担当保健師と連携し在宅看護職が家庭訪問を実施、育児相談支 援を行う。

母乳ミルク相談室(再掲) 相談件数 234件 ぎゅっとに来所し助産師の個別相談。セルフケア方法の助言を行う。月2回実施のほか随 時相談対応。

妊婦  28人 親子 116組

産後の骨盤ケア教室 参加者数 116人 産後の体の回復とリフレッシュと、ママ同士の交流を行っている。託児有り。月1回実 施。

利用者数 1組  委託先の病院に宿泊し、休養や育児のアドバイスが受けられる。最長4泊5日。

開催数 32回

会議は妊婦・産婦隔週で実施。妊婦は母子健康手帳交付時の状況をふまえ、要支援妊婦に ついて妊娠期支援プラン作成、支援後に評価。産婦は新生児訪問後、児の状況も含め継続し た産婦支援を行い、3か月児健診担当へつなぐ。

開催数 2回 小児科医・産婦人科医・NPO・庁内関係部署が出席し、本事業の方向性や役割、連携につ いて意見交換。

※相談件数について平成28年度は1,526件であり、ぎゅっと開設後は約2倍となっている。

産後ケア(宿泊型)  事業委託先1件

妊産婦支援会議

妊娠出産包括支援事業ネットワーク会議

顔なじみのぎゅっとスタッフが子育て支援センターへ出張、支援センターデビューを応 援。妊娠期からママ同士の交流や赤ちゃんとのふれあい、相談の機会。年9回実施。

項目 平成29年度実績

ぎゅっとサロン 参加者数

取り組み内容

( 平成

29年度実施状況

酒田市

工夫点

課題

取り組みの評価

(利用者からの評価含む)

アウトプット

アウトカム等

○社会資源の不足

・産前産後サポート産後ケア等事業委託が少ない

○経済的困難を抱える方への支援

○関係機関との連携、役割

○ポピュレーションアプローチの強化

・いつでも誰でも立ち寄ることができる場

・状況は常に変化、リスクの有無にとらわれず 寄り添う支援

○ギフト贈呈時に妊娠後期面談

・産前産後の相談やサービス紹介を行う

○顔の見える関係づくり

・専任スタッフ4名が対応

・必要に応じ、地区担当保健師へつなぎ、切れ目 ない支援を継続

○分かりやすいネーミングと専用ルーム

「お母さんが子どもをぎゅっと抱きしめる」「地域 全体で家族をぎゅっとサポート」という思いを込めた

・専用ルームは相談しやすさ、オープンな雰囲気を 持ちつつもプライバシーへの配慮を工夫

相談時期と内容に変化

相談件数の増加→ぎゅっと開設後は前年度の約2倍

・要支援妊婦の妊娠期支援対象者のうち、面談・訪問・電話によ る支援実施率が95.9%

・妊娠期や産後直後 から3か月児健診前 までの支援が手厚く なり、お母さんの小 さな不安や疑問が相 談できている。

・妊娠期、産後、3 か月児健診前の相談 が増加し全体の7割。

・乳児(3か月児健 診前)は体重、授乳、

睡眠、あそび等、

育児一般に関する 内容が8割超となっ ている。

参照

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