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はじめに 京都産業大学 タンパク質動態研究所長

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Academic year: 2021

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はじめに

京都産業大学 タンパク質動態研究所長 永田 和宏

京都産業大学・タンパク質動態研究所は、平成 28 年(2016 年)4月に発足 したが、一年を経過したところで、初めての年報を出すことになった。

京都産業大学に総合生命科学部が創設されたのが、平成22年(2010年)4 月であった。学部開設の折り、当時の学長から研究力のある学部にしてほしい旨 の依頼があり、そのような陣容を目指して教員の募集を行った。発足時から6年 を経て、京都産業大学の総合生命科学部は、学会や研究者のあいだでは、そして 文部科学省、日本学術振興会(JSPS)などにおいても、よく認識され、高く評 価される存在となった。

そのような評価を基礎として、京都産業大学の特色をさらにアピールできる 組織構築が模索され、タンパク質をベースにした研究所設立の依頼が私にもた らされた。一私学が、基礎研究のために研究所を設立する、ありがたい話であり、

意味と意義の大きな事業である。残念ながら建物や新たな人員の補充などのな い、謂わばバーチャルな研究所ではあるが、それはともあれこのような形でタン パク質研究に従事する研究者が一堂に会して、研究を行なえる場が与えられた ことは大きな喜びである。

研究所のホームページなどを見ていただけるとよりわかりやすいが、本研究 所は、個々のタンパク質の働きや性質を研究するのではなく、どのタンパク質に も共通する性質として、その動態にフォーカスを置いたところに特徴がある。ど のタンパク質でも、それが合成され、成熟(フォールディング)して機能を獲得 し、本来働くべき場所まで細胞内を輸送され、他のタンパク質との相互作用など を通じて、その機能を発揮する。また、働きを終えたり、構造が壊れたりすれば 速やかに分解される。このような謂わば「タンパク質の一生」を動態として理解 しようとするのが本研究所設立の目的である。タンパク質動態に焦点を絞った 研究所は、国内だけでなく世界にも例がないのではないかと思っている。

もう少し詳しく述べると、本研究所ではタンパク質の動態を3つの角度から 研究しようと考えている。第一はタンパク質を誕生から死までの〈時間軸〉で理 解しようとするものであり、第二は、タンパク質が細胞内あるいは細胞外へ輸送

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される〈空間軸〉に沿った研究である。さらにタンパク質の機能発現には、必ず 他の分子との相互作用が必要であり、このような謂わば〈組織化〉の側面を明ら かにすることも本研究所の使命である。

本研究所は、あくまで基礎研究を志向する研究所である。しかし、その基礎研 究のなかから、社会へ発信したり、産業界へ還元したりすることが可能な研究が 出てくれば、それらを応用研究として展開することも、本研究所に課せられた大 切なミッションであると考えている。発足したばかりであり、その本当に大きな 成果がでるまでには、いま少しの時間が必要であると思われるが、口はばったい 言い方を許していただければ、「タンパク質と言えば京都産業大学」と言われる ような研究所を目指して、所員一同研究を推進していく覚悟なのである。

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