• 検索結果がありません。

教羲学会年報-32勷-本撇.ps [ 1 ], page Preflight ( Microsoft PowerPoint - 滱勣蟕郌.ppt )

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "教羲学会年報-32勷-本撇.ps [ 1 ], page Preflight ( Microsoft PowerPoint - 滱勣蟕郌.ppt )"

Copied!
144
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)ISSN −. ISSN −. 平成22年度 (2010) 年度 .  .

(2).    . .  .  . 皇 學 館 大 学 教 育 学 会 年 報.     

(3)        .

(4)  : 

(5). 

(6)   .    .     .   ………… ( 2 ) −              

(7) .     .   .

(8)

(9)   − #$#" % %     % . &

(10)  %  .        

(11) & .   ! ". . '

(12) .    .    ( ) #  !#!   

(13)    &. 

(14)   

(15)  .   () % *

(16)  )  . '   &.   ( )   ##"##    ) .    .  ( ) +

(17) ,##( , !  .   ) &  .   ))

(18)    )  

(19) .     

(20) .  

(21) '. .   .     ( ) " % %     %*

(22)  . (

(23)   *)     ( ) #,    , !## *

(24)    % . .    

(25)    

(26)   )     . 

(27)    .

(28)  . '.  ( )   # -#  '. 

(29)   . )

(30) &     

(31) . 

(32)   .   ( ) .  

(33)  .  . '  )/   0 .  .   #!. #

(34)   .  ( ) "  +# !  .   )-  .   )

(35)  . . % 1 

(36)  1 (

(37) ) * .     /.   .

(38) . .   

(39) .  

(40) '. .  () 

(41)     ! "       ().   .  !   ". 第  号 目. 次. . 優秀卒業論文要旨 「算数作品」 を取り入れた算数の学習 ……………大 ― 作品をもとに互いに学び合う授業をめざして ― 大学生の朝食摂取が知的作業能力に及ぼす影響…北 「きょうだい」 の特性および 「きょうだい」 間の ギャップに関する研究……………………………園 発達障害児に対する支援の研究……………………田 ― 通常学級に焦点をあてて ― 配偶者による減量協力の有無と体重減少との関係 …………………………………………濱 小学校における 「ほめる」 効果についての研究…日 企業におけるモチベーションを高める 「ほめる」 ことに関する研究…………………………………平 算数の文章題における図的表現を用いた解決……松 算数科における豊かな量感を育てる指導…………森 減量教室で用いた四群点数法の理解度と体重減少 との関係……………………………………………谷. 第 三 十 二 号. #     )

(42)  % #   %  . !   

(43)  .  .   ………………… () !    %(

(44) .    . . )

(45)  .  % .  ()   

(46)  .  .     () !  .  %  . !.          

(47). 皇學館大学教育学会年報. 平 成 二 十 三 年 三 月. 津. 美. 紀 (2) 良 ( 14 ). 崎 村 中. 亜 美. 以 ( 26 ) 帆 ( 38 ). 口 沖. 裕 彩. 里 ( 49 ) 香 ( 59 ). 松 葉 本. 美貴子 ( 72 ) 真 未 ( 83 ) 綾 香 ( 94 ). 尾. 康. 太 (105). 孝 美. 輔 (116) 紀 (117). 文 美. 音 (118) 良 (119) 帆 (120). 菜 彩 裕 彩. 津 香 里 香. 成 奈. 美 (125) 穂 (126). . 優秀ポスター発表 長距離ランナーの跳躍能力…………………………大河内 算数作品を取り入れた算数の学習…………………大 津 ― 作品をもとに互いに学び合う授業をめざして ― 絵本の読み語りが特別支援を要する子どもたちに 与える教育的効果に関する研究…………………河 村 大学生の朝食摂取が知的作業能力に及ぼす影響…北 崎 発達障害児に対する支援の研究……………………田 中 ― 通常学級に焦点をあてて ― 教材としての創作民話の紙芝居化とその実践研究 …………………………………………寺 村 脳の活性化を考えた算数指導………………………永 富 配偶者の減量協力の有無と体重減少との関係……濱 口 小学生における 「ほめる」 効果についての研究…日 沖 「赤毛のアン」 におけるアンの成長と家族の育ち …………………………………………船 木 子育て支援について…………………………………山  ― 志摩市の子育て支援センターから ―. (121) (122) (123) (124). . 彙 報 教育学会活動報告……………………………………………………… (128) 平成. 年度修士論文・卒業論文題目………………………………… (129) 教育学会規約…………………………………………………………… (135). 皇學館大学教育学会.

(48) 平成23年3月31日印刷 平成23年3月31日発行 〒516-8555. 三重県伊勢市神田久志本町1704. 皇. 発行者. 學 館 教 育. 大 学 学 会. 代表者 中 村 哲 夫 〒516-0036. 印刷所. 三重県伊勢市岡本1丁目2−24. 有限会社 青木印刷.

(49) 優秀卒業論文要旨.

(50) 「算数作品」 を取り入れた算数の学習 ― 作品をもとに互いに学び合う授業をめざして ―. 大. 津. 美. 紀. はじめに 私は教育実習で4年生を担当し、 その時にコンパスを用いて円をかく授業 を見学した。 子ども達はとてもいきいきと活動に取り組んでいた。 中でも、 算数の得意不得意に関わらず一人ひとりが自主的に、 そして何より楽しそう に活動している姿が大変印象に残った。 また、 授業後には、 できあがった作 品を担任の教師が教室に掲示していた。 すると、 掲示された自分の作品を誇 らしげに見る子や、 「わあ、 きれい」 と友達の作品に見とれる子の姿が教室 にはあふれていた。 その様子を見て、 算数で作品を作り、 教室に掲示すると いう活動に非常に魅力を感じた。 以上のような教育実習での経験から、 算数の学習における作品づくりには 多数のよさがあることを実感した。 しかし、 実際には算数の授業での作品づくりはほとんどなく、 教室での算 数に関する掲示物も他教科と比べて非常に少ない。 そこで本論文では、 算数 の学習において制作した作品を 「算数作品」 と名付け、 考察していく。 算数科の学習指導要領において、 算数的活動の充実や表現力が重要視され ている今、 「算数作品」 を作る活動は重要な意味を持つことになるのではな いか。 以上より、 本論文では 「算数作品」 の定義付けと、 算数の学習における 「算数作品」 づくりの有用性について述べることを目的とし、 算数の学習で の具体的な取り入れ方やその際の留意点、 作品例などを述べていく。. ―2―.

(51) 「算数作品」 を取り入れた算数の学習 ― 作品をもとに互いに学び合う授業をめざして ―. 第1章 第1節. 「算数作品」 とは 「算数作品」 の定義. 私は、 「算数作品」 を以下のように定義する。 ① 算数的な内容や思考を含むもの ② 目に見える形で表現したもの (展示できるもの) ③ 人に見せることを意識して制作したもの ④ 自分 (作者) 独自の工夫があるもの 私が 「算数作品」 というものを考え、 興味を持ったきっかけは、 「はじめ に」 で述べたように教育実習であった。 そして、 上のような定義を考えるも ととなったのは佐藤千帆 (. ) の 「つくってワクワク整理上手!?」 とい. う活動である。 この活動は第2学年を対象にして行われた。 単元名は 「はこ づくり」 であり、 「身の回りにあるものを入れる箱をつくろう」 という課題 に各班で取り組み、 厚紙等を用いて箱を作成した。 その後発展の課題として、 担任が 「トイレットペーパーを入れる箱は作れるかな」 と発問し、 トイレッ トペーパーを入れるための箱の制作にとりかかった。 しかし、 第2学年の子 ども達は、 この段階では円周や円周率についての学習はしておらず、 箱の側 面等に必要な長さを計算によって決定することはできない。 よって、 試行錯 誤をしながら工夫して箱を作ることになった。 これらのような活動を通して、 子ども達は教師に教えられることなく、 以 下のことに自ら気付くことができた。 ・中に入れる物と同等の大きさの箱では、 その物を箱に入れることができ ない。 ・ふたは、 箱よりも少し大き目に作らなければならない。 ・トイレットペーパーを入れる箱の底やふたとなる円の大きさは、 実際に トイレットペーパーを紙の上に置き、 形を写し取ることで決定すること ができる。 ・トイレットペーパーの箱の側面となる長方形の横の長さは、 トイレット ペーパーの円の部分に紐を巻きつけて測り、 決定することができる。 「算数作品」 を作る活動は、 図画工作の活動と類似している点もある。 そ こで、 その違いを明白にするためにも、 定義①が必要である。 また、 後に詳 しく述べるが、 「算数作品」 を取り入れた活動では、 実際に作ったものを子 ども同士で鑑賞する活動を重視する。 そのため、 実際に展示できる形で制作 ―3―.

(52) 皇學館大学教育学会年報. 第32号 (2010年度). しなければならない。 これらの理由から定義②を設けた。 鑑賞し合うことが できるよう、 パソコン等のデータとしてではなくプリントアウトするなどし て、 実体として制作することが必要である。 さらに、 算数的な表現力を育て たいというねらいから定義③を取り入れた。 人に見せることを意識すること により、 人に分かりやすく、 伝わりやすいように表現しようという意識を持 つことができる。 そして、 「算数作品」 は、 子どもの自主性や個性を重視す る作品でありたい。 そのため、 すべてを教師が指示し、 全員が同じように作 成するものではないという観点から、 定義④を取り入れた。 第2節. 「算数作品」 のよさ. 「算数作品」 を作ることのよさは次の6点である。 ① 手を動かしながら考えることができる。 ② 積極的・自主的に活動することができる。 ③ 多くのことに自ら気付くことができる。 ④ 目的を達成するためにはどのような方法があるのかを試行錯誤を重ね て見つけることができる。 ⑤ 自分の考えを表現する力が身に付く。 ⑥ 算数と生活に結びつきがあることに気付き、 進んで生活に活用する力 を養うことができる。 先に挙げた6点のよさの中でも特に、 「①手を動かしながら考えることが できる」 が大きな特徴である。 学習指導要領の第1学年及び第2学年の目標 には、 その領域に関わらず 「具体物を用いた活動などを通して」 という記述 がそれぞれの文の冒頭にある。 よって、 低学年においては具体物を用いて手 を動かす活動が特に重視されていることがわかる。 第3節. 「算数作品」 の種類について. 1. 「算数作品」 の分類 私は 「算数作品」 を2種類に分類する。 ① 「作業型」 第1章第1節で取り上げた 「はこづくり」 のような活動である。 実際に材 料や物を用いて制作した作品がこれに当てはまる。 ② 「レポート型」 一方、 「レポート型」 とは、 ある課題についての自分の考えや解法につい て、 言葉・数・式・図・表・グラフ等を用いて紙等にまとめたものである。 「作業型」 と 「レポート型」 では、 目的が異なる。 「作業型」 の目的は、 ―4―.

(53) 「算数作品」 を取り入れた算数の学習 ― 作品をもとに互いに学び合う授業をめざして ―. 学んだことを用い実際に手を動かして活動することにより、 学習内容に対し て実感を伴った理解をすることである。 また、 実際に体験しながら試行錯誤 し、 新たな発見をしたり考えを深めたりすることである。 一方、 「レポート 型」 では、 学んだことを用いる点は 「作業型」 と共通しているが、 自分の考 えを整理することや人に分かるよう表現し伝えることも目的とする。 表1−1. 定 義 目 的. 「算数作品」 の分類. ① 作業型. ② レポート型. 様々な材料を用いて、 実際に物を. ある課題に対しての自分の考えを. 作る。. 紙等にまとめる。. ・学んだことを実際に使ってみる。 ・学んだことを実際に使ってみる。 ・実感を伴って理解する。. ・自分の考えを整理する。. ・試行錯誤し、 考えを深める。. ・自分の考えを人に伝える。. 2. 「算数作品」 の例 ここでは、 「作業型」 と 「レポート型」 の代表 的な例をそれぞれ1つずつ挙げる。 <「作業型」 の例> この活動は、 第4学年の 「つくってワクワク整 理上手 」 (佐藤. ) である。 身の回りにある. 物の中から好きな物を選び、 それを入れるための 箱を厚紙等を用いて作成する。 写真は、 トイレッ トペーパーを入れるための箱をつくる活動である。 <「レポート型」 の例> この活動は、 第6学年の 「半径 の求め方を考えよう」 (正木. ㎝の円の面積. ) である。 左側. の円を、 すでに面積の求め方を学習した他の形に 分割し、 円の面積を求める方法を考える活動であ る。 左側には図示をし、 右側には立式をして自分 の考えを表現する。 3. 「作業型」 について 先に挙げた複数の例からも分かるように、 「作業型」 のよさとして、 作業 を通して子どもたちは様々なところに隠れている算数的な内容を見つけるこ とができるということがある。 ―5―.

(54) 皇學館大学教育学会年報. 坂之上 (. 第32号 (2010年度). ) の実践例として第6学年で 「未来都市を作ろう」 という活. 動が行われた。 この活動は、 身の回りの建物を観察したことをもとにして、 自分の思い描く未来都市の設計図を作り、 実際に作るというものであった。 この活動に取り組んだ子どもの感想の中には 「ほとんどの建物が立体を組み 合わせたり切ったりしてできているなんて知らなかった (. )」 というこ. とが書かれていた。 このようにして、 生活の中に隠れている算数的な内容を 見つけることができることは 「作業型」 の大きな特徴である。 「いろいろな かたちの本を作ろう」 においても、 身の回りに隠れている様々な形を見つけ ることができる。 これらのことから言い換えれば、 生活と算数の関連を実感 することができるというよさもある。 4. 「レポート型」 について レポート型算数作品では、 2つの段階を考える。 第一段階:自分の考えを自分のありのままの言葉で表現することができる。 第二段階:自分の考えを他の人にもわかるように表現することができる。 第一段階では、 課題を自分なりに理解し、 それを出力することを目的とす る。 第二段階では、 自分だけにわかる言葉ではなく、 他の人にわかるように 伝えることによって、 自分の考えに客観性と一般性を持たせることを目的と する。 私がこのような段階を考えるきっかけになったのが、 正木 (. ) の. 活. 動する子どもたちと算数の授業 である。 この中で正木は、 コミュニケーショ ンとはイメージの共有をすることであるとしている。 またそれに関連して、 「授業は, 端的に言うなら, 集団での追究活動である (. )」 としている。. 正木は、 授業の中の 「ひとつひとつの段階でイメージの共有が成立しなけれ ば授業は展開しない (. )」 と考えている。. これらのことから、 イメージの共有を授業の中で成立させるために、 子ど もらしい 「素直」 な表現を正木は大切にしている。 一方、 子どもらしい 「素 直」 な表現は、 時に曖昧で感覚的であり、 算数・数学では排除されなければ ならないと一般的には考えられていることも指摘している。 そのうえで、 正 木は以下のように述べている。 しかし, 私は正確な表現, 一般的な表現を子どもたちに与えることをあ まり急いではならないと思う。 それは子どもたちのイメージを貧弱なも のにしてしまう。 もっと, 曖昧でもいい, 子どもたちの感覚から出た表 現をうんと聞いてやらねばならないと思う。 不思議なことに, 子どもた ―6―.

(55) 「算数作品」 を取り入れた算数の学習 ― 作品をもとに互いに学び合う授業をめざして ―. ちどうしは, その曖昧な表現でちゃんと通じていることがある。 (. ). 確かに、 算数・数学はより一般的に用いることができ、 端的に表現できる ことを目指すものであり、 その一般性と簡潔性が算数・数学のよさである。 公式や定義がその代表例であり、 最終的にはそれらが理解でき、 式等の算数・ 数学独特の言語を用いて一般的な表現ができるような力を身に付けさせなけ ればならない。 しかし正木は、 そのような理解ができるようになるためには、 「素直なイメージ」 を前提としており、 「子どもたちが自分の言葉で伝え合い, イメージを豊かに対象に関わった後で, 数学的に整ったイメージもまた子ど もたちのものになると考える (. )」 と記している。 また、 「何かを表現し. ようとするとき, それはまず, 子どもたちが自分自身で描いたイメージがあ ることを忘れてはならない (. )」 と正木はしている。. これらのことから、 「レポート型」 の一段階目が重要であると考え、 設け ることにした。 よって、 「算数作品」 においても正木と同様に、 子ども達の ありのままの言葉を尊重していく。 自分なりに、 自分の言葉で学習内容を理 解し、 深めていくことのできる力を子どもに身に付けさせる。 そのような姿 を基礎として、 他人にも伝えることのできる、 より一般性のある表現ができ るように指導を発展させていく。 そのために、 レポート型では、 先に述べた ような2つの段階を意識して指導していくことが重要である。 このように自分の考えを表現する活動は、 先に述べた外化に含まれる。 よっ て 「レポート型」 には、 認知機能の [補完] [焦点化・確認] [共有] という よさがあるといえる。 つまり、 自分の考えを深めたり、 整理したり、 他と共 有してさらに考えを発展させるというよさである。 また、 表現力の育成にも つながる。 表現力の育成については、 また以降に詳しく述べる。. 第2章 第1節. 「算数作品」 と今日の算数の関わり 今日の算数教育. 義務教育初期段階の小学校教育における算数教育は、 算数・数学を学び始 めるという観点から、 現実世界と関連させながらより具体的に学ぶ機会が多 く保障されるべきである。 それにより、 算数が実生活に生かされていること を感じ、 算数を学ぶことの大切さに気づくことができる。 しかし、 現在の小 学校における算数教育では、 実生活と関わりのある具体的な活動が非常に少 ない。 以上より私は、 算数・数学の本来のあり方を以下の図のように考える。 ―7―.

(56) 皇學館大学教育学会年報. 図2−1. 第32号 (2010年度). 理想的な算数・数学のあり方. そして今日の算数・数学のあり方は以下のようである。. 図2−2. 今日の算数・数学のあり方. このように、 小学校における算数教育は、 現実世界から離れてしまった。 島田 (. ) は、 数学的活動を以下の図で示している。. 図2−3. 数学的活動. ―8―. 島田 (1995) p.15.

(57) 「算数作品」 を取り入れた算数の学習 ― 作品をもとに互いに学び合う授業をめざして ―. 数学的活動とは現実の世界と数学の世界を行き来しながら行われるもので ある。 しかし、 図2−2で示したように、 今日の算数・数学のあり方は、 数 学の世界の方に偏っており、 適切な数学的活動が行われているとは言い難い。 よって、 「算数作品」 を用いて現実と数学の世界の接点を増やすことにより、 島田が示したような数学的活動を行うことができる。 その図は以下に示すも のである。. 図2−4 「算数作品」 が加わった算数・数学のあり方. 「算数作品」 を取り入れた算数の学習をすることにより、 現実世界と抽象 的な世界の往来を増やすことになる。 それにより、 島田の示したような数学 的な活動が可能となり、 算数と現実世界を結びつけることができるようになる。 第2節. 小学校学習指導要領. 平成. 算数編. から見た 「算数作品」. 年度の学習指導要領では、 目標に 「表現する能力」 という文言が新. たに加えられた。 中野 (. ) は、 算数科における表現力を 「問題解決過程における自分の. 思考を図, 言語, 文章, 操作, 数式など多様な手段で表現する力 (. )」. としている。 一方、 中原 (. ) は 算数・数学教育における構成的アプローチの研究. の中で、 表現方法・表現様式・表現体系の3つの言葉を使い分けている。 表 現方法とは、 個々の具体的な表し方を意味する。 次に表現様式とは、 様々な 表現方法をある観点から分類した類型を意味する。 そして表現体系について は、 表現様式の相互関係を体系的に捉えたものとしている。 これらをふまえ た上で、 算数科における表現様式を次の5つのように分類している。 (. ) <現実的表現> (. ). 現実世界の状況, 実物による表現, 具体物や実物による実験などはこ こに含める. ―9―.

(58) 皇學館大学教育学会年報. 第32号 (2010年度). <操作的表現> (. ). 具体的な操作的活動による表現. 人為的加工, モデル化が行われてい る具体物, 教具等に動作的操作を施すことによる表現. <図的表現> (. ). 絵, 図, グラフ等による表現. <言語的表現> (. ). 日本では日本語, 米国・英国等では英語など, 各国の日常言語を用い た表現. またはその省略的表現. <記号的表現> (. ). 数字, 文字, 演算記号, 関係記号など数学的記号を用いた表現. このように分類したうえで、 それぞれの表現様式を以下の図の用に体系化 している。. 図2−5. 図2−5は、 下から上へと認知発達の順序に合わせて表現様式が並べられ ている。 表現様式の抽象性等についても同様の順序である。 双方向の矢印は、 それぞれの表現様式間及び表現様式内の相互変換性を表している。 中原は、 算数・数学の授業で図2 5を活用する場合には、 表現様式間の表現方法の 変換が必要であると述べている。 この表現様式間の表現方法の変換を、 「翻 訳 (. )」 としている。. これに関連して、 中村 (. ) は 「問題解決において, これらの表現は単. 独ではなく, お互いに関連づけられて出てくるもの (. )」 と述べている。. 以上のことから、 数学的な表現様式は5つの分類があり、 相互に関係し合っ ている。 また、 それぞれの表現様式は、 算数・数学の中では互いに 「翻訳」 ― 10 ―.

(59) 「算数作品」 を取り入れた算数の学習 ― 作品をもとに互いに学び合う授業をめざして ―. され合って用いられているのである。 これらのことから、 5つの表現様式を 相互に 「翻訳」 し合って用いることは、 現実世界と抽象的な世界を行き来し ていることになる。 なぜならば、 先にも述べたようにそれぞれの表現様式は 抽象のレベルが異なるためである。 「算数作品」では、 表現力の育成に関して、 より抽象的な表現様式を用いることができるようになることを目標とするの ではなく、 これら5つの表現様式を相互に 「翻訳」 し合いながら、 自由に用 いることができるようになることを目指す。 これにより、 算数と現実世界に つながりを持たせることに一層貢献できる。 さらに、 中教審答申では以下のように述べられている。 言葉や数, 式, 図, 表, グラフなどの相互の関連を理解し, それらを 適切に用いて問題を解決したり, 自分の考えを分かりやすく説明したり, 互いに自分の考えを表現し伝え合ったりすることなどの指導を充実する。 (傍線筆者) (平成. 年. 中教審. 答申). この文より、 具体的な表現の種類として、 言葉・数・式・図・表・グラフ などを扱うことがわかる。 また、 下線部より表現力を育成するために、 コミュニケーション活動が重 視されていることがわかる。 コミュニケーション活動のより具体的な内容と しては、 解説に 「児童が具体物を用いたり, 言葉, 数, 式, 図, 表, グラフ などを用いたりして, 自分の考えたことを表現したり, 友達に説明する学習 活動 (. )」 と示されている。 様々な方法で自分の考えを表現するだけで. なく、 その考えを人に伝えることや人の考えと比較することにより、 一層理 解を深めることができ、 多様な見方や考え方が身に付く。 さらに、 算数の楽 しさや充実感を味わうこともできる。 以上のような算数科における表現力を踏まえたうえで、 「算数作品」 の活 動を行っていく必要がある。 第1章第2節で述べた 「算数作品」 の良さに 「④自分の考えを表現する力が身に付く」 とあることから、 「算数作品」 を取 り入れた授業を行うことにより、 自分の考えを説明・表現したりする学習活 動の充実へとつなげることができる。 中原が述べている5つの表現様式を教 材や子どもの実態に応じて 「算数作品」 に取り入れていき、 その作品を互い に鑑賞しあうことによって、 コミュニケーション活動を充実させていく。 第3節. 「算数作品」 の果たす役割. (省略). ― 11 ―.

(60) 皇學館大学教育学会年報. 第3章. 第32号 (2010年度). 第1節. 「算数作品」 を取り入れた算数指導 「算数作品」 のある教室環境作り. (省略) 第2節. 「算数作品」 を用いた鑑賞の活動. 「算数作品」 を取り入れた算数の授業では、 作品を制作した後に子ども同 士の作品を用いて鑑賞の活動を行う。 学習指導要領の 「内容の取扱い」 には、 「説明したり, 互いに自分の考えを表現し伝え合ったりするなどの学習活動 を積極的に取り入れるようにすること (. )」 とある。 ここで重要なのは、. ただ自分の考えを表現すればよいのではなく、 それを相手に説明したり伝え 合ったりすることが求められているという点である。 志水 ( ついて、 「話し合う力の育成が求められている (. ) はこれに. )」 と述べている。 また. 志水は話し合う活動について、 「子ども一人一人の考えを外化し, 共感・共 有することと, 共感・共有すると新しい創造知が生まれる (. )」 として、. その重要性を述べている。 これらより、 私は 「算数作品」 を取り入れた算数 の学習の中に 「鑑賞」 の活動を位置づける。 第3節. 「算数作品」 の評価方法. (省略). おわりに 本研究では、 教育実習等で感じたことをもとに 「算数作品」 を開発し、 定 義した。 研究を始めた段階では、 「算数作品」 の有用性については漠然とし たものであった。 しかし研究を重ねるにつれて、 算数科の目標及び改訂にあ たり重視して求められるようになった内容から見ても、 様々な良さが期待でき るということがわかった。 「算数作品」 を用いることによって、 小学校にお ける算数教育の在り方を見直し、 子ども達により確実に身に付けることので きる力が多数ある。 特に表現力の育成に関しては、 大きな効果が期待できる。. ― 12 ―.

(61) 「算数作品」 を取り入れた算数の学習 ― 作品をもとに互いに学び合う授業をめざして ―. 【引用・参考文献】 ・佐藤千帆 ( 月号. ) 「つくってワクワク整理上手!?」. 明治図書 (. ・文部科学省 (. ). 小学校学習指導要領解説. ・美術教育を進める会 ( ・正木孝昌 (. 楽しい算数の授業8. ). ). ). 算数編. 東洋館. 手しごと・工作と美術教育. シリーズ・. あゆみ出版. 年代算数科授業の新研究⑭. 活動する力. を育てる算数授業 ・正木孝昌 (. ). ・島田茂 (. ). 活動する子どもたちと算数の授業 新訂 算数・数学科のオープンエンド. 業改善への新しい提案― ・志水廣 (. ). 治図書 ( ・中原忠男 (. アプローチ―授. 東洋館出版社. 小学校算数科の指導. ・中野洋二郎 (. 東洋館出版社. 建帛社. ) 「算数における表現力」. 楽しい算数の授業7月号. 明. 算数・数学教育における構成的アプローチの研究. 聖. ) ). 文社 ・中村享史 ( 月号. ) 「特集解説. 明治図書 (. 算数における表現力」. 愉しい算数の授業7. ) (卒論指導教員. ― 13 ―. 杉野裕子).

(62) 大学生の朝食摂取が知的作業能力に 及ぼす影響 北 緒. 崎. 良. 言. 朝食を摂取すると食事誘発性熱生産により、 体温が上昇する1)。 また、 脳 へのエネルギー源はグルコースが大半を占めるとされており、 糖質摂取が空 腹感を軽減し、 知的作業能力を高めること2) や、 血糖値や体温、 血圧に影響 を及ぼし、 数字の判別時間を高めること3)、 暗算作業能力を高めること4) な どが報告されている。 朝食は、 午前中を中心に日中の学習や労働、 その他の 生活習慣を栄養的に支持する食事として推奨されてきた。 しかしながら、 推 奨されてきた朝食が、 特に若年者を中心に欠食する割合が増加傾向にある5)。 朝食の欠食は、 単に必須栄養成分の充足率を低下させるだけでなく6)、 低体 温や、 疲労感などの不定愁訴の発生・増悪に関連するとの報告7∼9) や、 知的 ). 作業能力を低下させる 平成. と指摘されている。. 年度の国民健康・栄養調査2) によると、 男女共どの年代においても. 現在の欠食率が平成. 年度よりも高くなっていることがわかる。 朝食を欠食. する原因として挙げられるのが、 食の意識の変化、 食のファッション化、 社 会構造の変化、 コンビニエンスストアの普及に伴う食生活の簡便化などがあ る。 現代の社会では、 睡眠時間や食にかける時間の減少など時間に対するゆ とりがない。 平成9年国民栄養調査では、 食に対する規則性に焦点を当てた 調査を行なっており、 夕食の時刻が遅い時間帯に夕食を摂る人の割合が増加 している )。 特に. 歳代男性. 様に、 朝食の欠食率も男性. 歳代男性で 、. %と他の世代よりも高い。 同. 歳代で高いことから、 夕食の時刻が遅くな. るなどの生活習慣の変化が、 朝食の欠食など不規則な食生活に関連している のではないかと考えられる。 さらに、 不規則な食生活は肥満を引き起こす可 能性があることが中村ら. ). によって指摘されており、 不規則な食生活を正し. ていくことが健康的な生活を送るための課題ともなっている。 このような背 景をうけて、 次世代を担う子どもたちの教育が変化している。 学童期は正し い食習慣を定着させる大切な時期であるが、 近年は、 体型を意識しはじめる ― 14 ―.

(63) 大学生の朝食摂取が知的作業能力に及ぼす影響. 年代でもあり、 極端なダイエット志向による栄養障害が問題視されている )。 これらの食生活の障害を回避するため、 規則正しい食生活を身につけること ができるよう、 食育に重点をおいた取り組みが実施され、 朝食摂取を推進す る活動が行なわれている。 また、 朝食を毎日食べる児童生徒の方が、 学力テ ストの正答率が高い傾向が見られることも報告. ). されていることから、 朝食. 摂取が知的作業能力に影響することが考えられる。 しかしながら、 これらの結果は、 全国学力・学習状況調査を代表に横断的 な研究によって明らかにされたものが中心である。 朝食を欠食する習慣のあ る者へ長期間介入をし、 朝食摂取による影響を縦断的に検討した研究は行な われておらず、 実際に長期間朝食を摂取させることで知的作業能力や、 身体 にどのような影響を及ぼすのかは明らかにされていない。 そこで本研究では、 朝食を欠食する習慣のある大学生に4週間にわたって朝食を摂取させ、 朝食 摂取が知的作業能力および生活習慣に及ぼす影響について検討した。. 方. 法. 1. 対象者 対象者は、 毎日の朝食摂取習慣がない男子学生 学生2名 ( ±. ±. 名 (. ±. 歳)、 女子. 歳) と、 毎日の朝食摂取習慣がある男子学生4名 (. 歳)、 女子学生2名 (. ±. 歳) であった。 朝食摂取習慣のない対象. 者をそれぞれ、 朝食摂取習慣がなく朝食を摂取する群 (. :. 群)、 朝食摂取習慣がなく朝食を欠食し続ける群 ( :. 群) に分け、 朝食摂取習慣がある者はコントロール群 (. : 群) とし3群に分けた。 なお、 対象者には本研究の目的および測 定内容を説明し、 研究参加への承諾を得た。 2. 研究デザイン 研究スケジュールを図1に示した。. 群へ朝食を摂取させる介入期間は4. 週間とした。 ただし、 摂取する食品や、 摂取する時間に制限を設けなかった。 群と. 群には、 介入前と4週間の介入終了直後に知的作業能力に関す. る測定を行なった。 また、. 群のみ、 1回の朝食摂取が知的作業能力に及ぼ. す影響を検討するため、 介入初日の朝食摂取直後に測定を行なった。 は、 他の群と同じ測定と調査を介入前のみ行なった。. ― 15 ―. 群に.

(64) 皇學館大学教育学会年報. 図1. 第32号 (2010年度). 研究スケジュール. 3. 測定・調査項目とその方法 (1) 身体的特徴 身長は身長計 ( 重は、 体重計 (. ヤガミ社製) を用いて −. (. タニタ社製) 用いて. ㎝単位で測定した。 体 ㎏単位で測定した。. ) は体重(㎏) を身長( ) の2乗で除すことで求めた。. (2) 質問紙調査 A) 生活習慣に関する質問紙調査 睡眠時間、 疲労感、 健康への意識等、 生活習慣に関する調査には、 質問紙 を用いた。 この調査は、 対象者全員に対して実施した。 B) 朝食摂取による生活習慣の変化に関する質問紙調査 朝食摂取による生活習慣の変化に関する質問紙調査には、 質問紙を用いた。 この調査は、 生活習慣の変化について調査することから、 朝食を摂取する介 入を行なった. 群にのみ実施した。. (3) 知的作業能力に関する検査 A) 内田クレペリン検査用紙を用いた単純計算作業 知的作業能力検査には、 内田クレペリン検査用紙 (日本・精神技術研究所) を用い単純計算作業を行なった。 本研究では、 1分間の座位安静後に、 1分 間の暗算計算を5回繰り返し、 1分あたりの暗算計算の正解数と平均値から 知的作業能力を評価した。 入後に検査した。. 群は介入前のみ検査し、. 群は、 介入前と介. 群のみ介入前、 介入初日の朝食摂取直後、 介入終了直後. に行なった。 測定作業の慣れによる影響を除外するため、 1分間の暗算計算 を5回行い練習とし、 本検査を実施した。 B) 百マス計算用紙 内田クレペリン検査用紙を用いた単純計算作業に加えて、 百マス計算用紙 ― 16 ―.

(65) 大学生の朝食摂取が知的作業能力に及ぼす影響. による知的作業能力検査を行なった。 百マス計算用紙とは縦. マス×横. の. マスの左と上に0から9の数字をランダムに並べ、 それぞれ交差するところ の数を乗法で暗算計算し、 答えを記入しながらマスを埋めていくものである。 百マス計算を3枚連続で行い、 1枚あたりの暗算テストの正解数と時間の平 均値から1秒あたりの暗算計算の正解数を求め知的作業能力とした。 また、 暗算する順序による作業効率の差を除外するため、 暗算する順序は全対象者 で統一した。. 群は介入前のみ検査し、. 群は介入前と介入後に検査した。. 群のみ介入前、 介入初日の朝食摂取直後、 介入終了直後に行なった。 4. 統計処理 結果は全て平均値±標準誤差で示した。 統計処理には. を用いた。. 群のみ実施した介入直後の値と、 介入前の測定値との差を検定するために、 対応のある 検定を施した。 朝食摂取が知的作業能力に及ぼす影響を検討す るために介入方法 ( 群、. 群) と時間 (介入、 介入4週間後) を要因と. する二元配置の分散分析を施し、 交互作用の有無を検討した。 いずれの解析 においても、 統計的有意水準は5%未満とした。. 結. 果. 1. 身体的特徴 対象者の身体的特徴を、 表2に示した。 対象者の身体的特徴を、 同年代 (. 歳) の日本人の身体的特徴の平均値. ). と比べたところ、 平均的な身体. 的特徴であった。 表2. 身体的特徴 群. (男性 女性) 年齢(. (. 群 ). (. ). 群 (. ). ). ±. ±. ±. 身長(㎝). ±. ±. ±. 体重(㎏). ±. ±. ±. ±. ±. ±. (㎏. ). ― 17 ―.

(66) 皇學館大学教育学会年報. 第32号 (2010年度). 2. 朝食摂取が生活習慣に及ぼす影響 (1) 生活習慣に関する質問紙調査結果 生活習慣に関する質問紙調査結果を、 表4に示した。 睡眠時間に有意な群 間差は見られなかった。 余裕をもって起きていると回答した者が、 群を合わせて (. 名中1名 (. %) に 対 し て 、. 群は6名中4名. %) であった。 午前中に身体がだるいと感じる者の割合は. 群 (. %) のほうが. の割合は、. 群 (. 群 (. 群と. 群と. %) に比べて高かった。 生活習慣が、 朝型. %) のほうが. 群と. 群 (. %) に比べ高かった. が、 3群とも、 夜型の割合が高かった。 健康に気を遣って身体を動かしてい 群 (. %). に比べて高く、 健康的な食事を心がけていると回答した割合も、. ると回答したものの割合は、. 群. (. %) が、. 群と. 群 (. %) のほうが. 群と. 群 (0%) に比べて高かった。 朝食を欠食する習. 慣がある者に対して、 何歳まで毎日朝食を摂取していたのかを尋ねたところ、 ±. 歳との回答を得た。 朝食の欠食理由を、 表5に示した。 表4. 各群の生活習慣に関する質問紙結果. グループ. 群・. (男性:女性). (. 睡眠時間(平均値±標準偏差). 群 ). 群 (. ). ±. ±. :. :. 余裕を持って起きている( ) 午前中に身体がだるいと感じる( ) 朝型か夜型か(朝:夜) 健康的な身体活動ができている( ) 健康的な食生活が送れている( ). 表5 朝食の欠食理由 (N=12) ※複数可 ●一人暮らしになったから。 ( = ) ●朝起きるのが面倒だから。 ( = ) ●朝食をとる時間的余裕がない。 (. ). ●食べ物がない。 ( = ) ●食欲がない。 (. ). ●毎日同じようなメニューだから。 ( = ). (2) 朝食摂取による生活習慣の変化に関する質問紙調査結果 群のみを対象とした朝食摂取による生活習慣の変化に関する質問紙調査 結果を、 表6に示した。 朝食を摂取することにストレスを感じたと回答した 者は、 6名中2名であった。 ストレスを感じた理由は、 「起床して、 すぐに 朝食を摂取することが辛い」、 「朝食を摂取するということに身体が慣れない」 ― 18 ―.

(67) 大学生の朝食摂取が知的作業能力に及ぼす影響. というものだった。 しかし、 2名とも、 介入当初は辛かったが、 慣れると辛 くなくなったと回答した。 朝食を摂取したことで 「お腹がすぐに減るように なった」、 「食欲が増えた」、 「慣れたらすぐに朝食を食べることができるよう になった」、 「体重が増加した」 と回答した者がいた。 最後に朝食を摂取する ことを続けますかという質問に対しては、 3名の者が続けると回答し、 残り の3名は、 わからないと回答した。 (3) 介入中の食事内容 介入中に朝食において摂取するものは設けなかったが、 対象者が主に摂取 していたメニューを表7に示した。 表6. 朝食摂取による生活習慣の変化(N=6). 睡眠時間 (平均値±標準偏差). 表7. 対象者の食事内容(N=6). 介入前. 介入後. ±. ±. ②たまごかけご飯1杯、 おにぎり2個. 5. ③ご飯1杯、 パン1個、 おかし. 余裕を持って起きている( ). ①バナナ1本とパン1個、 パン1個. ④ご飯1杯と納豆と味噌汁、 パン2枚. 午前中に身体がだるい(Y). ⑤菓子パン1個 ⑥シリアルと牛乳、 ご飯1杯と納豆. 3. 朝食摂取が知的作業能力に及ぼす影響 (1) 1回の朝食摂取が知的作業能力に及ぼす影響 介入前と介入直後1日目に暗算作業による知的作業能力を測定した結果を 図2、 3に示した。 内田クレペリン検査用紙を用いた単純計算作業 (介入前 ± ±. ;1日目. ±. )、 百マス計算 (介入前. ±. ;1日目;. ) とも、 介入前と介入直後1日目の知的作業能力に、 有意な差は見. られなかった。 ただし、 内田クレペリン検査用紙を用いた単純計算作業では 3名、 百マス計算では4名の知的作業能力が微増した。 (2) 4週間の介入が知的作業能力に及ぼす影響 介入前と介入4週間後に暗算作業による知的作業能力を測定した結果を図 4、 5に示した。 介入前と介入4週間後の知的作業能力と群間差に、 有意な 差は見られなかった。 ただし、 内田クレペリン検査用紙を用い単純計算作業 は向上傾向がみられた (. )。 正解率は、. リン検査用紙を用いた単純計算作業で 増加し、 どちらの測定においても、. (. 群 (. 群のほうが、. 増加した。. ― 19 ―. 群) の内田クレペ. )、 百マス計算では、. (. ). 群に比べて正解率が.

(68) 皇學館大学教育学会年報. 第32号 (2010年度). 図2. 介入1日目における内田クレペリ ン検査用紙を用いた単純計算作業の 正解率の変化 (N=5) n.s., not significant; B 群, 介入によ る朝食摂取群. 図3 介入1日目における百マス計算の正 解率の変化 (N=5) n.s., not significant; B 群, 介入によ る朝食摂取群. 図4. 介入4週間後における内田クレペ リン検査用紙を用いた単純計算作業 の正解率の変化 (N=12) B 群, 介入による朝食摂取群;WB 群, 朝食欠食群; * , B 群は介入前 後で有意な向上. 図5 介入4週間後における百マス計算の 正解率の変化 (N=12) B 群, 介入による朝食摂取群;WB 群, 朝食欠食群. ― 20 ―.

(69) 大学生の朝食摂取が知的作業能力に及ぼす影響. 考. 察. 1. 生活習慣と朝食摂取との関係 ・. 群と. 群の睡眠時間に、 群間差は見られなかったことから、 朝食. の欠食は、 睡眠時間に影響を及ぼさないことが示唆された。 朝食を欠食する 理由として最も多く挙げられたのが、 「一人暮らし」 であった。 平成. 年度. 国民栄養調査において一人世帯の者の欠食率が高いと報告されており、 先行 研究においても一人暮らしの大学生は実家から通う大学生よりも欠食率が高 いとの報告がされている2)。 一人暮らしになると、 食事提供者であった親元 を離れることによって、 食事の支度などを自らが行わなければならない状況 になり、 食事の支度の面倒さ、 生活習慣を自らコントロールする力の未確立 から、 次第に朝食の欠食率が増加していくことが推測される。 奥田ら. ). は、. 大学生の生活習慣は夜型化し、 夕食が不規則となり、 朝食の欠食に波及して いることを指摘している。 本調査においても、 朝食摂取の有無に関係なく、 対象者. 名のうち. 群と. 群よりも 「余裕を持って起きている」 と回答した者の割合が高かっ. た ( 群. 名が夜型の生活習慣であると回答し、. %; ・. 群. 群のほうが. %)。 他に 「時間に余裕がない」 「起きる. ことが面倒」 との回答があったことからも、 生活習慣の夜型化は、 夕食後に 夜食を摂る機会が増加し、 就寝時間も遅延することで、. 群、. 群、. 群. の睡眠時間が同じであっても睡眠時間を確保するために、 朝食を摂取する時 間が削られてしまうことが考えられる。 起床時間の遅延など、 朝に時間的余 裕がないことが朝食を欠食する大学生を増加させているといえる。 健康を意識した生活習慣を送れている者の割合が、. ・. 群よりも. 群. が高かったことから (表4)、 健康維持への意識が生活習慣へと表れ、 朝食 を摂取することにつながっているものと考えられる。 これらのことから、 朝 食摂取と健康維持への意識の高さは、 関係性があるものと示唆される。 一方、 介入後の. 群に対する質問紙調査では、 介入前後の睡眠時間に有. 意な変化はなかったものの、 介入前より、 余裕をもって起きていると回答し た者の割合 (介入前. %;介入後. %) が増加した。 この結果から、. 朝食の摂取を習慣化することによって、 余裕を持って起きる生活習慣に変わっ たことが考えられる。 このように、 縦断的な結果からも、 朝食摂取は良好な 生活習慣へと変化をもたらす可能性が示された。 河嶋ら3) によると、 朝食摂取の有無が身体的・精神的自覚症状に影響を及 ぼすことが認められおり、 朝食を摂取した日の身体的・精神的な調子は 「全 く問題はない」 と回答する者が多いのに対して、 朝食を摂取しなかった日は、 朝食を摂取した日よりも 「ボーっとする」、 「集中力がない」、 「疲れやすい」、 ― 21 ―.

(70) 皇學館大学教育学会年報. 第32号 (2010年度). 「気力がない」、 「昼食をたくさん食べてしまう」 等を回答する者が多かった。 本研究では、 1回限りの朝食摂取では、 効果が認められなかったが、 朝食摂 取を継続した結果、 午前中にだるいと感じる人の割合が減ったことから (表 6)、 朝食摂取習慣は、 自覚症状に影響していることを報告した河嶋らの結 果を裏付けているといえよう。 朝食を摂取することがストレスを感じたという者は、 6名中2名であり、 「起床して、 すぐに朝食を摂取することが辛い」、 「朝食を摂取するというこ とに身体が慣れない」 との回答を得た。 これらは、 慣れると解消され、 また ストレスを感じない者もいたことから、 朝食の摂取を習慣化すると朝食摂取 自体が負担にならないことがわかった。 朝食を欠食することが習慣化してい た者が朝食を摂取することにより朝の生活習慣に変化をもたらした。 生活習慣が. 群の. 群の生活習慣に近づいたと考えられる。 このことから、 健康. 的な生活習慣を身につけさせるためには、 朝食摂取のアプローチが効果的で ある。 2. 知的作業能力と朝食摂取との関係 朝食は、 空腹感を軽減させて知的作業能力を高めることや. ). 、 グルコー. スの補給が中枢神経系に作用して知的作業能力を高めるなどと報告されてい る )。 しかしながら、. 群における介入直後1日目の知的作業能力は、 介入. 前の知的作業能力と比べに有意な差は見られなかった (図2 3)。 本研究で は、 摂取する内容に制限を設けていないため、 糖質の量までは把握できてい ない。 対象者が摂取した朝食には、 十分な量の糖質が含まれていない可能性 がある。 また、 十分な糖質が含まれていても、 朝食を摂取する時間に制限を 設けていないため、 グルコースが知的作業能力の測定時に十分機能するまで の時間を確保できていない可能性も否定できない。 これらのことから、 1回 限りの朝食摂取では知的作業能力に有意な変化を示さなかったと考えられる。 同様に、 1回限りの朝食摂取では、 知的作業能力と関係性のある自覚症状に 影響しなかったと考えられるため、 有意な変化を示さなかったと思われる。 先行研究4) においても、 朝食欠食群と朝食摂取群の知的作業能力を比較した 結果、 朝食の食事内容 (おにぎり、 洋風パン食、 栄養調整食品、 無摂取) の 違いによって知的作業能力の変化に差が生じた。 栄養調整食品を摂取した群 のみ介入前後で知的作業能力に有意な変化が認められ、 それ以外の食品を摂 取した群は、 有意な変化がなかったことを報告している。 この結果から、 食 事内容や摂取時間を制限せずに行なった1回の朝食摂取、 つまり朝食を摂取 するという行為は、 知的作業能力に及ぼす効果が小さいものと考えられる。 一方で、. 群へ朝食を4週間摂取する介入を行なった結果、 内田クレペリン ― 22 ―.

(71) 大学生の朝食摂取が知的作業能力に及ぼす影響. 検査用紙を用いた単純計算作業は有意な向上が認められた (図4)。 1回限 りの朝食摂取では、 知的作業能力に及ぼす影響は小さかったが、 朝食を摂取 する行為を習慣化すると、 知的作業能力を向上できることが明らかになった。 また、 グルコースなど栄養素以外の要因が、 知的作業能力に影響を及ぼした 可能性が示されたといえよう。 内田クレペリン検査用紙を用いた単純計算作業にのみ有意な向上が見られ、 百マス計算では有意な変化がみられなかった。 本研究と同様に、 朝食摂取の 有無による知的作業能力への影響を検討した先行研究においても、 測定方法 によっては、 有意に変化したものとしなかったものがある3, 4)。 作業の複雑 さなど、 測定方法が異なると、 脳の作業部位が異なり、 知的作業能力に影響 し、 差が生じると推察される。 また、 複雑な方法ほど成績向上には訓練が必 要とされるため、 変化しにくい、 または効果が得られるにくいと考えられて いる。 本研究で用いた内田クレペリン検査用紙を用いた暗算計算作業は、 単 純計算を行なう作業であり、 百マス計算は、 暗算計算作業であるが、 計算式 を確認し、 計算結果をマスに入れていく作業を伴うことから、 内田クレペリ ン検査用紙を用いた暗算作業よりも作業が複雑であるといえる。 したがって、 内田クレペリン検査を用いた単純計算作業にのみ、 有意な知的作業能力の効 果をとらえられたと考えられる。 本研究においては、 食事内容に制限は設けなかったが、 脳の主要エネルギー はグルコースであり )、 記憶力と血糖値の関連を示唆する報告. ). もあるこ. とから、 知的作業能力への効果の一部は朝食摂取によるグルコースが担って いると考えられる。. 群が朝食に摂取した主な食事内容を調査したところ、. 対象者全員がグルコースを含む食事を摂取していた (表7)。 しかし、 グル コースが含まれていても食事内容により知的作業能力に及ぼす効果が異なる との報告1) がある。 これは、 食品によって摂取された糖質が消化されグルコー スとなるまでの時間や、 血中のグルコースが脳に運ばれ、 利用されるまでの 時間に差があるためと考えられる )。 朝食を摂取するという行為と知的作業 能力との関係だけでなく、 効率よく知的作業能力の向上や健康づくりを支援 していくためには、 朝食の食事内容の違いが知的作業能力に及ぼす影響に関 しても、 今後詳細に検討していく必要があると思われる。 さらに、 本研究に おける各測定は、 同じ時間帯に大学研究室で行なわれたが、 大学研究室に来 室するまでの活動を十分考慮したり、 制限を設けるなどの監視は行なってい ない。 朝食を摂取してからの身体活動の違いが、 測定結果に影響することが 考えられるため、 摂取する時間、 摂取してからの測定までの時間、 登校方法 を制限することなどさらに詳細な条件を考慮した調査・検討をしていくこと も必要である。 ただし、 本結果は、 知的作業能力の向上には、 まず朝食を摂 取するという習慣の確立が大切であることを示唆している。 ― 23 ―.

(72) 皇學館大学教育学会年報. 結. 第32号 (2010年度). 論. 縦断的に朝食を摂取するという行為および習慣化は、 知的作業能力を向上 させることが示唆された。 また、 朝食を摂取するという習慣が対象者の生活 習慣へ良好な変化をもたらし、 知的作業能力を向上させた可能性があること から、 朝食を摂取するという習慣は、 健康的な生活を送る上で大切であるこ とが示唆された。 さらに、 朝食の摂取は、 食生活だけでなく、 生活習慣や健 康への意識の良好な維持に貢献している可能性がある。. 文. 献. (1). (2). (3) 河嶋伸久ら:大学生の朝食摂取に関するアンケート調査及び朝食摂取 が判別時間, 数字記憶, 全身反応時間に及ぼす影響. 横浜国立大学人間 科学部紀要, (4) 樋口智子ら:朝食欠食および朝食のタイプが体温, 疲労感, 集中力等 の自覚症状および知的作業能力に及ぼす影響. 日本臨床栄養学会誌, (5) 厚生労働省:平成. 年国民健康・栄養調査結果の概要. (6). (7) 長井千鶴ら:児童・生徒の朝食欠食状況と自覚症状との関連. 北海道 公衆衛生学雑誌, (8) 富田勤ら:児童生徒の食習慣と疲労に関する研究 ( ) ― 中学生の朝 食摂取と疲労感, 及び生活背景との関連 ―. 北海道教育大学紀要 (9) 苫米地孝之助ら:都市生活者の疲労自覚症状と健康及び食生活状況と の関連. 栄養学雑誌 (. ). ― 24 ―.

(73) 大学生の朝食摂取が知的作業能力に及ぼす影響. (. ) 久世真規子ら:朝食摂取の有無による作業率の変化. 岐阜県母性衛生 学雑誌,. ,. ,. (. ) 厚生労働省:平成. (. ) 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 「健康日本. 年国民健康・栄養調査結果の概要 」 中間評価報. 告書 (. ) 農林水産省総合食料局, 日本人の食卓. (. ) 中村和輝ら:就寝前の夕食が睡眠時のエネルギー消費量に与える影響.. (. ) 戸谷誠之ら:応用栄養学, 南江堂, 東京,. (. ) 国立教育政策研究所: 「平成. 肥満研究,. , ,. 年度全国学力・学習状況調査報告書・集. 計結果」 について (. ) 健康・栄養情報研究会:国民健康・栄養の現状−平成 国民健康・栄養調査報告より−, 第一出版, 東京,. (. 年厚生労働省 ,. ) 奥田和子ら:夜型食行動と生活習慣がもたらす朝食の欠食への影響. 日本食生活学会誌,. ,. ,. (. ). (. ). (. ). (. ) 山田和彦ら:ネオエスカ基礎栄養学, 同文書院, 東京, (卒論指導教員. ― 25 ―. , 片山靖富).

(74) 「きょうだい」 の特性および 「きょうだい」 間のギャップに関する研究. 園. 村. 亜. 以. はじめに 「きょうだい」 というのは、 同じ環境で育ってきたにも関わらず、 不思議 と性格が異なる。 筆者のきょうだいだけでなく、 友人のきょうだいの話を聞 いていても、 年上と年下では性格が異なるという。 このようなことからきょ うだいの違いに興味を持ち、 きょうだいに関する研究を調べていった。 そこ から、 同じ環境で育ってきたと考えていたきょうだいが、 構成や男女比、 出 生順位、 また親の養育態度により性格が分類され、 きょうだいのなかでも小 さな環境の違いができていることに気づいた。 そこで、 この研究を通して、 きょうだいの特性やきょうだい間の相互関係を調査し、 きょうだいというも のの重要性を考えていきたいと考える。. 第1章 第1節. きょうだいについて きょうだい間の感情. きょうだい間の感情は、 プラスの感情として、 仲間意識をもったり、 団結 力を高めたり、 協力しあったり、 理解し合おうとする感情があると考えられ る。 また、 マイナスの感情として、 競争相手であったり、 親の愛情を獲得し ようと対立したり、 嫉妬したり、 憎悪を感じたりすることがあると考えられ る。 このプラスの感情とマイナスの感情は短時間で、 また、 ちょっとした出 来事を契機に簡単に入れ替わっていくものと考えられる。. ― 26 ―.

(75) 「きょうだい」 の特性および 「きょうだい」 間のギャップに関する研究. 第2節. きょうだい関係のライフサイクル. このようなきょうだい関係の移り変わりを、 きょうだい関係のライフサイ クルと呼ぶことにする。 このきょうだい間のライフサイクルは、 その後の友 人関係にも影響され、 さらには、 社会性の発達の基礎となると考えられてい る (藤本,. )。 実際、 筆者がきょうだいのなかで喧嘩したことや、 助け. 合った経験は、 友人とうまくやっていくための大きな糧となった。 したがっ て、 きょうだい間で行われる感情の相互作用は非常に重要視されるべきであ る。 しかし、 今日では少子化が進んでいる。 平成 生労働省, の. 年国民生活基礎調査 (厚. ) によると、 児童のいる世帯数は. % (このうち一人っ子を持つ家庭は. 世帯で、 全世帯. %) である。 この事実は、 きょ. うだい間で人間関係の基礎を身につけていくことが困難な時代となってきて いることを示すものである。. 第2章 第1節. きょうだいについての研究 出生順位や生育環境によるきょうだいの人格傾向の研究. 先行研究を調べていくと、 依田明を中心にきょうだいの研究をしているこ とが分かった。 依田ら (浜崎・依田,. ;依田・深津,. ;依田・飯嶋,. ) の一連の研究では、 出生順位による人格傾向の差は、 長子と次子の生 育環境や生育した国の文化によって差が生じると述べている。 また、 依田 (. ) は日本において、 「長幼の序」 という文化が残っていることも示して. いる。 第2節. 二人きょうだい、 三人きょうだいの研究. 依田 (. ) は、 きょうだいの性構成、 出生順位、 きょうだい間の年齢間. 隔が、 きょうだい関係の認知に及ぼす影響について研究している。 そして、 ①きょうだい関係の基底には対立関係があるり、 ②男子は女子より対立的で、 女子は男子より親和的であり、 ③長子は次子よりも専制的で、 次子は長子よ り分離的であるということを明らかにしている。 また早川・依田 (. ) は、. 年と同じような研究で、 対立関係・専制関係の減少と調和関係・分離関 係の増加を見出した。 これは、 人間関係の葛藤を基礎としない外面的・表面 的な親和であり、 希薄なきょうだい関係であるといわれている。 浜崎ら (. ) は、 三人きょうだいにおけるきょうだい関係の調査から、 ― 27 ―.

(76) 皇學館大学教育学会年報. 第32号 (2010年度). 長子的性格 (自制的・控えめ・聞き手)、 中間子的性格 (突発的)、 末子的性 格 (甘えん坊・おしゃべり・嫉妬心が強い・活動的) を見出している。. 第3章 第1節. 調査の実施 研究の目的. 本研究では、 「心理・性格の違いがわかる本 謎を探る会,. きょうだいの不思議 (心の. )」 の項目を参考にし、 実際にきょうだいでどのような特. 性や特徴を持つのか調べていくことにする。 また、 「自分」 の性格ときょうだいから見られる 「自分」 の性格の違い (ギャップ) を調べていく。 なお、 「自分」 とは、 回答者であることを示す。 第2節. 調査項目. 調査項目は、 心の謎を探る会 (. ) の姉型・兄型・弟型・妹型・中間子. 型・一人っ子型の特徴の項目を参考にした。 これらの項目を混合させて並べ、 偏りがでないように設定した(表1)。 表1. 調査項目の内容. きょうだい 項 目 名 の型 姉型 親から大きな期待を受けて育った. 兄型. 弟型. 項目 きょうだい 項目 項 目 名 番号 の型 番号 妹型 親から甘やかされて育った 父親に溺愛されている 面倒見がよい ブリッ子である 世話好きである 甘え上手である 控えめで気配り上手である したたかである それとなく場を仕切る 親をとても慕う リーダー的資質がある 小悪魔タイプであると言われる 異性を出自、 学歴、 ルックスなどで査定しがちである 我慢が苦手である 親から大きな期待を受けて育った 恋愛は奔放で計算高い どこかオットリしている 中間子型 寂しがり屋である きまじめである 独立独歩である 放浪癖・漂泊癖である 保守的である 熱しやすく冷めやすい 慎重である 協調性に富む 堅実である 恋人を次々と変える傾向がある プライドが高い 結婚適齢期や相手の国籍に無頓着である 異性に対しては消極的である 一人っ子型 親の愛情を一身に受けて育った 自分を犠牲にしても家庭を守ろうとするタイプである マイペースである 自由気ままに育った 唯我独尊的なタイプである 表にでない抜け目のなさがある 芯がある 大胆な行動力と発想力を持つ 頑固で融通が利かない 意中の異性は積極的にアプローチする 理想の相手が見つかるまで単身を貫くと思う 異性の両親に取り入るのが早い 恋愛に対して臆病である. ― 28 ―.

(77) 「きょうだい」 の特性および 「きょうだい」 間のギャップに関する研究. また、 この心の謎を探る会 (. ) の 「きょうだいの型」 の分類による調. 査を行うのではなく、 「第1子」 「第2子」 「第3子」 というきょうだいの型 で調査を行った。 例えば、 回答者が第1子の場合、 第1子の項目に回答すれ ば自分自身のことを考えて回答し、 第2子の項目に回答するときは、 弟や妹 はこういう特性や特徴を持っていると考えて回答することになる。 また、 同 時に第1子は第2子から評定されていることになり、 自分自身の評定と他者 (第2子) からの評定が第1子の評定の項目に入ることになる。 そこで、 自 分の評定と他からの評定の差を調べることにより、 きょうだい間の評定の違 い (ギャップ) をみることができる。 第3節. 研究の方法. 調査対象者・調査日程・調査方法・調査内容 調査対象者は、 皇學館大学2年生と4年生の. 名。 教育心理学の講義・. 教育哲学演習・臨床心理学演習を受けている学生で、 講義の始まり (調査日 程:. 年. 月5日・6日・9日) に回答してもらった。 全回答者のうち、. 明らかな虚偽回答を含むと判断された回答者 館大学2年生. 名、 4年生. 名、 合計. 名は除いた。 最終的に、 皇學. 名 (男子. 名、 女子. 名) と. なった。 また、 調査方法は、 質問紙調査で実施された。 回答者はいずれも無 記名で、 実施時間は約 第4節. 分であった。. 分析結果と考察. 1) 第一子、 第二子、 第三子の特徴① 結. 果 調査項目の結果を因子分析によりまとめると、 一人っ子を除いた第1子・. 第2子・第3子の特徴は表2のようになった。 第1子、 第2子、 第3子の各因子の平均の検定 第1子の因子、 第2子の因子、 第3子の因子のそれぞれの因子の得点を合 計し平均を出し、それを得点として一元配置分散分析を行い有意差をみた。 これにより、 因子間の順位がわかる。 ● 第1子の因子 第1子は、 世話因子 (平均得点. )、 愛情獲得因子 (平均得点. ) の. 順で値が高かった。 また、 各因子間の平均の差を検定したとこところ、 全て の平均に有意な差がみられた。. ― 29 ―.

(78) 皇學館大学教育学会年報. 表2. 第32号 (2010年度). 第一子、 第二子、 第三子の因子分析結果. 一子の因子. 項. 目. ブリッ子である 愛情獲得因子. −. 甘え上手である. −. 小悪魔タイプであると言われる. −. 恋人を次々と変える傾向がある. −. 恋愛には奔放で計算高い. 自己統制因子. −. きまじめである. −. 保守的である. −. 慎重である 堅実である 世話好きである. 世話因子. −. それとなく場を仕切る リーダー的な資質がある. −. 面倒見が良い 二子の因子. −. 項. 目. きまじめである. −. 保守的である 自己統制因子. 慎重である. −. 堅実である. −. 控えめで気配り上手である. −. 面倒見が良い 世話因子. 恋愛因子. −. −. 世話好きである リーダー的な資質がある. −. それとなく場を仕切る. −. 意中の異性は積極的にアプローチする. −. 小悪魔タイプであると言われる 恋人を次々と変える傾向がある. −. 恋愛には奔放で計算高い 三子の因子. 自己統制因子. 項. 目. きまじめである. −. 保守的である. −. 慎重である 堅実である. リーダー因子. −. −. それとなく場を仕切る リーダー的な資質がある. −. 頑固で融通が利かない 自己中心因子. プライドが高い 我慢が苦手である. −. 親から甘やかされて育った 両親愛情獲得因子. −. −. 父親に溺愛されている. −. 親の愛情を一身に受けて育った. − −. ● 第2子の因子 第2子は、 世話因子 (平均得点 愛因子 (平均得点. )、 自己統制因子 (平均得点. )、 恋. ) の順で値が高かった。 また、 各因子間の平均の差を. 検定したとこところ、 恋愛因子と自己統制因子、 恋愛因子と世話因子のそれ ぞれの平均の間に有意な差がみられた。 ― 30 ―.

参照

関連したドキュメント

▶原子力をめぐる各領域の関心 環境: 汚染,リスク 医学: 被ばく.

注2)

[r]

First three eigenfaces : 3 個で 90 %ぐらいの 累積寄与率になる.

LPガスはCO 2 排出量の少ない環境性能の優れた燃料であり、家庭用・工業用の

READ UNCOMMITTED 発生する 発生する 発生する 発生する 指定してもREAD COMMITEDで動作 READ COMMITTED 発生しない 発生する 発生する 発生する デフォルト.

図 キハダマグロのサプライ・チェーン:東インドネシアの漁村からアメリカ市場へ (資料)筆者調査にもとづき作成 The Yellowfin Tuna Supply Chain: From Fishing Villages in

・大都市に近接する立地特性から、高い県外就業者の割合。(県内2 県内2 県内2/ 県内2 / / /3、県外 3、県外 3、県外 3、県外1/3 1/3