津 軽 平 野 の 溜 池 港 概
‑ 特 に浪 岡地 区に見 られ る溜池港概 について ‑
太 田 耕 正 1. は じめに
溜池 の分布 はその規 模 と数 の両面 からみて、瀬 戸内、近券の両地却 鴫 も密度 の高 い地域 として広 く知 られてい るところで あるが、津聾平野の溜池依 存地域 につい ては、郷士 において さえも、 あ ま り知 られていない よ うに思 われ る。
溜池 の分布 は原則的 には、降水量 に対 し乾燥度 の高い地域、水量豊 富な河川 の・ない地域、 まT=は あ って も、地形的 に引水 が技術 的 にあ るいは経済的 に国難 で、利用 で きないでい る地域 に主 として 多 く見られ るのであるが、実際面 としては 日本 の河川の特徴 と、 降水量 の地形 的条件 により、 どの 地域 におい ても、永 田耕作 を中心 に農業 を営 んでい る所では、潅 概方法 に工夫 をこ らし、 その土地 にあ っT=方策 をい ろい ろ と考 え出 して きてい ると言 える.
以 前 に竹 内常行氏 に よって、 本州、四国、九州 の溜池分布 について、主 として五万分 の‑ の地 形 図 を もとにして調べ 7=論文があ り、 その中で、津軒 野の潜池 の分 布 についてふれ られた ことが あ る. しか しこの発表 は地 図の上 か らの まとめであ り、 しか も範 囲を全 国的 に拡 げてお っ7=こともあ って、各地域 の掘 り下 げた考察は省 略 されてい る。
分布論 を一歩、深 く掘 り下 げ て、
その内琴 面 について調べ る ことZjC よ り、津草平野 の溜池利用 の特殊 性 を兄い 出 したい と思い、本題 を 設定 した。
今 回は、津軽平野 の うちで も、
溜池 が最 も多 く分布 してい る浪 岡 地区 を中心 に述べ ることに LT=い。
2. 布 鞄 分 布 の概 観
薄 幸平野 における溜池 の分 布 は、
弘前盆地 の南西 よ り青緑一帯 のい わ ゆ る津牽 山塊 に源 を発す る大和 沢川 か ら相 内川周辺 にみ られ る溜 池 群 と、岩 木山麓北部 か ら東部に
I
ヽ一
かけて分布 す る溜池群、 そ して津 軽平野 の東綾部 、則ち奥 羽山脈 と中山山脈 の西 山麓お よび平 野 と の接点 にはば南北 の方向に列状 に分布 す る潜池群 と忙5分するこ とができる。
大和沢 川か ら桶内川周辺 にみられ る溜池 の大半 は扇状地湧泉帯 に成立 しT=もの と思われ るものが 多 く、規 模は比較的/il J、さい。岩 木 山麓北 部 か ら東部 にかけ て分布す る溜池群 は、 山希の谷底部 に土 手 を築い て潜池 とLT=もので、特 に北部 には廻埴木溜弛、秋 ケ館溜池 ・大沢溜鞄の よ うに規模 の大 きい ものが 目立つo奥 羽山脈 か ら中山山脈 の西 山薦部 に分布す る溜池 群は、 浪岡、 五 所川原、金 木 と北上す る把従い、溜池 の規 模が大 き く、丘 陵性地形 の谷底部 を土手 把 よ りせ き止 めて潜池 とし7= ものか ら、北部 の金木周辺 に北上 するに従い、平地 との接点 に発達 し7=大規模 な溜池 がみ とめ られ る。
5. 浪 岡地 区 の濯概 状 況 と布 地 分 布
浪岡町 は津 軽平野 の東端部 に位置 し、 昭和2 9年 12月15日、浪 岡町、女鹿 沢、大杉、 野沢、
五 細 の1町4か村が合併 して区域 を拡大 した わけで あ るが、 これ らの範 囲 を浪岡地 区 として と りあ げ ることに し7=。
(1) 地形的概観
浪 岡地 区は奥羽山脈北端 の八 甲田火山を中心 とす る山地 の西麓 に接 してお り、西 .南は十 川を境 にし、津軽平野 に続い てい る。 この地区 に関係す る主な河川 は中山山脈 に水 源を持 つ大釈 迦川 、奥 羽 山脈 に水 帝を持つ、十川、浪 岡川があ り、特 に十川、浪 岡川 は、本地区 潅概の重要 な位置 を 占め てい る。 この地区は大釈 迦川、浪 岡川沿 い に発達す る扇 状地地域 と、十川沿い に展 開す る後背湿 地 地域、潜池 群の立地す る洪積台地 か ら丘 陵性 地形 の地域と に区分 できる。
(2) 挿慨状況
浪 岡地 区の水 田耕作 浮腰状況は、 つぎの表 の よ うに まとめられ る。
表1 浪岡地区各部落 の水 田面積 と津概依存状況
部 落
(* S) 水 田 面 積也 河濯 概 依 存 の 区 分 と 需 概 面 積川▲α 溜 池LaTl
浪 岡
五 本 松
王 飴 魚 沢 182. 9417559. 70. 45 正平 津 川浪 岡 川182. 9445. 8712595. 86. 08 見 56 ∫i7 浪 岡 川 45,87 'J、板橋境 な ど9.56
‑ 9̲
ヽ
部 落
(* S) 水 田 面 /積W. 河辞 職 依 存 の 区 分 と 濯 概 面 積川La 溜 池La
北 中 野 女 鹿 沢 下 十 川
増 館
大 釈 迦
長 沼
徳 才 子 高 屋 敦
杉 沢 51915186794770862509. 80. 50.57. 15. 10. 12. 14.71.57 浪 岡 川正平津川# # J桃 里 沢大浪 岡 川52a 45沢H 17150259790.. 22. 70. 15. 76.5472 2. 68 正平 津川 175. 45
浪 岡 川 155,17 十浪 岡 川川86. 105819. 85.79
+小 阿弥堰J745IT9.80. 522779. 51. 80 次郎兵 エ埠 52. 78.68
大釈 迦川 59. 05
杉 の 沢6.514.49 大釈 迦溜池群22. 815. 78
大釈 迦J15Tl.18d.51 大沢小沢池札沢溜池15̲ 5522.090,72
大釈 迦川25. 6115. 18 大釈 迦溜池群札沢溜弛46.76141.25. 50
大釈 迦川55. 1025. 61 大沢小沢池大 野池操大 捷51. 0412575∫. 65.81̲50 浪 岡 川 24.55 惣右 エ門油池 5. 17
‑10‑
部 落
(大 字 ) 水 田 面 積ka 河濯 概 依 存 の 区 分 と 淳 概 面 積川Aa 潜 池La
銀 樽細 山 沢前 書 野 田
書 内
本 郷
相 沢
細下合 石 野川計 2,150.98054110.5410506542.2886150.8299. 60. 54. 75. 62.84.88 十浪 岡 川110106川.54.498821. 98. 58 大 境 5. ll占, 87 十浪 岡 川川 10552. 141. 19̲50 熊沢潜池ll. 595. ll 十 川 52. 14 熊沢溜池 11. 59
17. 51 155. 87 十 川 10..70 三太溜池 251 55
沢 掛 り59. 77& 81 新姥熊沢 ′′′2. 5155461. 95. 85.56
本 郷 川 58. 74 舌 内果冗′高 野上 ′姥 馳55550.82. 8840.252.514. 795.80
‑ilk‑
以 上 の資料 か らわか るよ うに、湾概用水の うち河川に依存 してい る割合 は、全体 としては約85.6 車、溜池 に よるものは、1占.4車とな ってい る. 地域的 にみて特 に、溜池 の依存度 の高い部落は、
下石川 の100車、書野 田の88,7東、長沼 の7?.5車、高屋菅の67.1帝、徳才子 の50.5%、
杉 沢の56.0車、郷山前 の22.5勿とな ってお り、浪 岡川の右岸地域 か ら大釈 迦川の右岸地域 にか け て、溜他 藩概率の高 い地 境にな ってい る∩
(3) 溜池 の分布
浪 岡地 区 の溜池 の数は大小 あわせて80を数え ることがで きる。現在 まで調べのついてい る範 囲 で、 まとめ るとつ ぎの表 の通 りとな る。
表2
地 図
上番号 溜 池 名 所 在 地 辞 概 面 療 貯 水A.α n量f 舞高7〝† 疑長m . 滞水面 芳
1 五 細 ダ ム 浪岡町大 字本郷 0.5 220,580 15.5 92 525.000 2 又 坂 溜 池
′
本部 5,858 5.0 60 2,800 5 舌 内 溜 池,
書 内 2.51 5,205 4.8 49 2,60口 4 サ ック境 (‑) ′ 北 中野 0.7 1.001 5,0 42 8005 サ ック堤 (二) ′ 北 中野 44の補充の建 君rO.7) 526 2.1 15 600 6 サ ック疑 (≡)
′
北 中野 85 1.0 21 200 7 太 平 堤 (‑ )・
北 中野 0.54 515 1.5 50 5008 太 平 境 (二 )
′
北 中野 浪 剛補 助 水 流775
の補 充TioPi1i5#.A) 400 1.6 29 6009 花 山 隼
・
北 中野 1,147 2.5 45 1,100 10 す ず め 倉 境・
北 中野 15,622 5.5 280 9,900 ll 小板庵境 (‑)′
五本松 ま54 1,578 2.7 51 1,40012 小板僑堤 (二)
′
五本松 50.(.54508.5ー 667 1.6 45 1,00015 山 田 疑
′
五本松 SOD 1.2 19 60014 五 本 松 疑
′
五本松 576 1.8 41 500 15 小 板 橋 潜 池′
五本松 5,880 5.0 80 4,700 16 小板橋疑 (上)′
松 山 275 2.2 55 500 17 大板橋碇 r‑ )′
羽黒平 0.5 100 1.2 28 200 18 基 次 郎 境′
羽黒平 1̲8 905 5,1 57 700 19 Lu B] * (‑)′
羽黒平 (1.8) 1,084 2.0 59 1.500 20 山 田 境 ⊂⊃・
羽黒平 0.4 54 1.5 28 100 21 山 田 堤 ∈∋・
羽黒平 0.4 21 0.5 10 100‑12‑
地 図
上番号 溜 地 名 所 在 地 港 滑 面 積 貯 水 量kJL 〟 堤高†〝. 堤長〝一 満水 面琴7TZ
25 大板橋溜弛 (i浪岡町大字五本松 2 4の補充化.22) 6,667 5.9 40 4.100
2 4 大坂掃海池 ⊂⊃
′
五本松 6.22 25,577 5.9 140 14,500 25 ネ ム 堤 ′ 板橋 (14.4) 250 1.2 25 500 2 8 山 下 溜 弛′
杉沢 2 8の補充(10.0) 5,878 5.0 58 5,100 27 大板橋海池 ∈三一′
五本松 (155.0) 8,804 1.6 175 1,500 2 8 山 下 溜 池 ⊂⊃ ′ 杉沢 10.0 21,428 4.6 148 ll,200 2 9 ス ネ ム 軽 ⊂⊃′
板橋 14.4 550 1.2 55 1,1ロ0 5 0 大 野 池 埠 ′ 高屋敦 15.81 55,995 5.5 291 25,508 5 1 大 埠′
長沼 51.97 51,858 5.8 556 20,1005 2 鎌 田 堤 d Rq 0.2 567 1.1 55 808 55 大 沢 溜 弛 (‑) 〝 長南 20.0 8.208 4.1 74 4,800
54 大 沢 溜 池 ⊂⊃ 〝 長沼 55の補充(20.(12.0)0) 12,111 4.4 58 6,600 5 5 小 板 橋 堆 甘 〝 松山 1,751 5.0 80 1,400 5占 大 沢 潜 弛 ∈∋ V 長南 1,565 2.5 55 1,500
5 7 ′J、沢 溜 池 (‑) 〝 長沼 10.0 1.1,851 4.5 98 6,200 58 小 沢 溜 弛 ⊂⊃ p 長府 5 7(10.の補充0) 4,965 5.4 56 5,5DO 59 札 沢 布 地 〝 長南 2.02 5.968 2.8 52 5,4DD 40 カ マ グ 捷 r 長 2.0 1,518 2.6 58 1,400
4 1 冗 溜 池 ・ 銀 補 助 水 源浪岡川‑の21.0 46,557 4.0 65 27,900 42 長 瀞 鞄
〝
銀 15,420 4.5 100 8,600 45 六 郷 溜 池′
銀 5,441 2.9 90 4,50〔j 44 宮 田 布 鞄 〝 銀 12,406 5.2 140 9,50〔j45 有 馬 堆 ・ 銀 250 1.0 55 60〔j
46 長 笠 溜 弛 (‑)
′
野尻 2,801‑ 5.2 62 2,10047 長 笠 溜 池 ⊂⊃ 〝 野尻 46r2140の補充..0)8 671 2.5 26 708 48 新 港 池 〝 野尻 49,685 5.6 196 55,100 49 宝 海 池
・
細 山前 81,640 8.0 91 55,520 50 態 沢 藤 池 ∫ 舌野 田 61.06 255,980 7.0 185 144,840 5 1 新 溜 池〝
樽沢 1.0 65,759 5.2 296 29.400 5 2 対 馬 溜 池(‑)′
樽沢 1. 1 7,651 5.0 150 6,100 5 5 対 馬 潜 池 ⊂⊃′
樽沢 1.0 500 1.2 41 600‑15‑
地 図
上番号 溜 地 名 所 在 地 漕 液 面 靖Aa 貯 水 〝量㌔埠高m,姥長m , 満水面喝7n
5 5 次郎兵衛 潜敵 う 浪 岡町大 字杉沢 5757の補充((1510,5#左̲n 887 1.8 58 1,5【】0
58 次郎兵衛 溜池コ 〝 杉沢 578 1.8 27 SOD
57 次郎兵 衛溜 池:∋ 〝 杉沢 15̲0 44,055 8.0 96 17,占00 58 I 藤 溜 池 (‑1 〝 杉沢 1̲5 1,914 2.7 85 17,DUO 59 工 藤 溜 池 ⊂⊃ p 杉沢 (1̲5ー 954 2.8 55 800
80 惣 衛 門 溜 池 (‑) 〝 杉沢 5.17 55,485 5.7 124 21,700 8 1 惣 衛 門 溜 池 ⊂⊃ 〝 杉沢 (5.17) 4,594 5.8 45 2,900 62 次 郎 堤 〝 杉沢 0.05 108 1.5 9 200 65 新 海 池 ・ 舌 野田 55̲85 225,840 占.4 144 100,452 64 三 太 溜 弛 〝 舌 野 田 29.55 587,590 12.0 155 117,986
6 5 堀 〝 下石川 2一口 628 2.5 48 6口口
dd 姥 溜 弛 ・ 下石川 5.19 96,259 4̲5 528 51,SOD
87 六 万 潜 弛 (下) ・ 徳 才子 (42..00) 995 5.4 58 7口0 8 8 六 万 溜 池 (中) 〝 徳 才子 671 2.5 52 700 89 六 万 溜 池 LE) 〝 徳 才子 888 5.5 27 500 70 十 内 海 池
∫
徳 才子 828 5.0 245 5007 1 青 谷 堤 (上) 〝 徳 才子 (0.4) 175 1.4 57 500 7 2 荒 谷 堤 (中)
′
徳 才子 ロ.4 200 1.8 26 500 75 荒 谷 堤 m ・ 徳才 子 0.5 188 1.5 20 500 7 4 新 谷 埠 ト ) 〝 大釈 迦 0.8 8,024 5.7 24 5,2007 5 新 谷 旋 ⊂ ) 〝 大釈迦 ro.8) 2,890 5.5 45 2.100 7 8 荒 谷 堆 ・ 徳 才子 0.4 1,口15 2.7 50 900 77 カ ン ツ カ 堤 ・ 徳 才 子 0.5 1,459 5.5 87 1,000 7 8 後 藤 疑 ・ 大釈迦 0.5 901 2.7 54 800 79 丸 山 堆 ト ) 〝 大釈迦 0.4 2,189 5.5 55 1,500
註 (1) この表 は県土地改良区事務所 で昭和5占年度 に調査 し7=資料 を もとに して作成 しT= ものである。
(2) 酢滑面積 の欄 で牢欄なのは、聞 き取 り調査 の赤黒が不確定な ことを意味 してい る。 ま7= (トづきの難字は櫓 の溜池 と連結 してい る補 助的潜池 で あ r)、 軒概地域が同一地境であ る
こ とをあ らわす。 ●
(31地 図番号1は分類上一応藤池 に入れ7=が、 これは川 の上流部 にダ ムをつ くって設けられ た典業用水貯水池 であ る。
‑ 14‑
以上 あげた滑池 の うち所在地 と受益 弛 とが農 ってい るものは地 図番号 の15, 25、24、2 5、 '2 6、27、2 8、 2 9、5 1、5 2、5 6、5 9、4 0、4 6、4 7、占・4の溜鞄 であ rl、 それ
ぞれの受益地 は、 つ ぎの よ うにな ってい ろ.
15ー 羽黒平 、25、2 4、27‑杉 沢、2 5、2 6、2 8、29、5 1、5占一高 屋 敷、、5 2 2 9、4 0‑徳 才子 、48、4 7‑松枝、8 4‑下石 川
浪岡地 区の溜池 を歴史 的背景 お よび、地 形 的位 置、費益地域 等 か ら総合 して考 え てみ ると、 四 つ の潜弛群 に分類 で きると考 え られ る。
LD下石 川、舌 野 田 の場 合
これ らの部落 は、地形 的位置 としてほ、浪 岡川の水 を利用 で きる範囲 にあ りなが らも、浪 岡川 の 用永供 給 容量 の限界 か ら、利 用 で きない地域 とな ってい る. そのため怒池 の必要 性 の最 も高い所 と な り、藩政 時代 に専管 事業 と して、大規模 な暫池 が建 設 され る ことにな っ7=地域 であ る. 地 図番 号
5D、占5、64が代 表 的 な淘池 であ り、 これ らは、 いずれ も浜 野 台地 の谷 底部 に土手 を築 い てつ くられた ものであ る。
② 銀、樽 沢、郷 山前 の場 合
これ らの部落 は、 浪岡川 、 お よび十川、 よ り用水 堰で引水 し、 辞滑で き る地域 で あ り、基本的 に は溜池 に依存 しな くとも何 とか、切 りぬ け られ る地域 と考 え られ る. しか し、 田植 え時 の用水需要 が 集 中す る場合 に、下流 部 に位置す る7=め、用水不足 の恐 れが あ るT=めに、 その補 充的 役割 として 溜池 が設 け られてい る地域 であ る. 成立年代 も当地域 と しては、新 しい方 に属 し、 明治以 降 の もの と考 えられ る。溜鞄 の水 は主 として融雪水 が大 部分 であ り、浪 岡川 に直接放流 され、各用水堰 に導 か れ るよ うにな ってい る.
地 図番号5 1、52、55の溜他 は、 これ らを利用 してい た水 田が畑作 に転用 され7=、た め に現 在 は利用 され てお らず放置 状態 にあ る.
@ 徳 才子 、長 府、高屋敦、杉沢 の場合
杉 沢 は浪 岡川から も用水 を一部引いてい るが、 ほかの部落 は、す べ て大釈 迦川の水 不足 を補 うた め に、大 巾に源池 に依存 してい る地域 で あ るo 溜池 の規 模 は′J、さ く、 か って、地主 が 中心 にな って、
つ くらせた ものが ほ とん どで ある。 これ らの溜池 は、丘陵性 山地 の谷底部 を土手 でせ き止 めて、 つ くられT=ものであ る。
地 図番号71、72、75の溜池 は、 コカ コー ラ工場 か らの排水利用 で受益地が、 まにあ うこと にな っT=T=め、現在 は利用 され ていない.
④ 五 本松 の場合
こCL周5港 の布鞄 の依 存奉 は約2 1虜程 度 で、8 0車近 くが浪岡川 の水 を利 用 してい るところで あ
‑15‑
るが、 この#̲,域 の溜池群 は谷底部 に古 くか ら開かれ7=水田 を帝概す るにめに、谷褒部 の近 い位置に 土手 を築 いてつ くられ7=溜池 である.沢掛 りと違 って水 はい っ7=ん、溜池 に貯 え られ て、流 され る ので、幾分 、水温 は高 吟 られる ことになると考 え られ る。 しか し、河川水 と違 って谷川 の隻 ま りで あ る7=めに、水温 は平 地 の もの と比べて低 く、谷底部 の水 田におい ては、上 位段よr)は下位段 の方 が単位収量は延 び る ことにな る.
書内の場合、 書 内周辺 の布鞄 は2.5Abの水 田を辞滑 してい る程度 であ り、 ④の地 域 と同 じよ うに 谷底部 の水 田 を評概す るにめ に設け られT=もので、分類 としては、五本松 の溜池群 のパ ター ンに含
め ることがで きる。
以上四分 類 しT=よ うに、河川水 を利用 できる地形的位置 にあ りなが ら、河川 のI下流 部 に位置 して い る7=め、河川の水 の供給容量か ら恩 恵 にあづか ることが で きず、溜池 に大 き く依存 してい る地域 と、基本 的 には河 川水 に依存 してい るが、用水需要期 の用水不足 に備 えて溜池が設 け られてい る地 域 、河川 の上 流部 にあ りなが ら、河川 の用永供給 容量が′J、さいT=め、布鞄 を併用 し、 その依存度 の 高い地域、谷底部 を段 状 に開田 して成立 しT=永 田を燕概す るT=め に、山間部 に背馳 がつ くられ、 用 水 はすべて潜鞄 に依 存 してい る地域 とに分 け られ る0
5. 布 地 濯概に 関 す る慣 行
溜池 の受益者 によ り、 それぞれ各溜池 ごとに紐がつ くられてお り、溜池 の維 持管理 につ とめ て き てい る.一 溜池 に所属す る受益者数 で最 も多い ものは、2 62戸、最 も少ない ものは8戸 とな って い る。 この組がつ くられてか ら最 も古い年代 を経 てい るものは、500年以上 と答 えてい る組 もあ
り、 100年 前後 の ものが多い よ うに思われ る.
組 の名称 については、組 に よりまち まちで、熊沢水利組合 の よ うな現代的 な呼 び名か ら、銀地 区 の水下、羽黒平 の溜池 の寄 り合い、 そのはか、潜弛係、別 に何 もつけてい ないとい う場合 な どい ろ い ろあ るよ うであ る。
溜池 の管理 の7=め に、設 け られ てい る役員 としては o組 会長1、副会長 1、会計 1、書記1、監事5、班長5 0責任者一粒係1、副責任者‑副捉係 1、会計 1、理事者S o監事4、理事 9
0堰役 2、水利委 員5
0水利委員長 1、副1、書記 1、 会計 1、水 盛1、監事2、他5 0組合長 1、副 1、会計1、庶務1、水 門係2、理事4、監事5 0世話 人l
o組 合長 1、水守2
‑16‑
o組合役員 と水 管理人5 0組合長1、副1、庶務 1
な ど、 その組 の規模 、成立 の歴 史的背 景 の違 いな どに より、 い ろい ろな役 員 の組 み合 わせが あ る よ うである。 これ らの役員 の任期 は2年 、5年 、任期 な しの 5通 りが あ り、 その きめ方は、 総会 で 組合 員 の選挙 に よる もの と、梓営 面積 の多い者 がな る場合 とが あ る。
す もり
直 接、暫池 を管理 す る者 を、水 守 (水 盛 とも書 くよ うであ る) とか、水 門係、堤 係 な どい ろいろ な呼び方を してい るが、 これ らの係 の仕事 のt内容 としては毎 日、朝、 夕、最低2回、 溜池 を見回 り、
水 お とし、 の調 整 を行 うはか、共 同作業 の召集、姥 の修理な どの相談 な どが あげ られ る. 管理 人に 対 す る報酬 は地r2(に よって、全 くない組、年 間1万 円、 5万 円、5万 円、 占万 円、8万5千 円、
1 0万 円 の組 な ど、 まち まちであ る。
受益 者が、溜池維 持 の7=め に納 め る額 は、 10a当 り、200円、500円、55口円、5 5 0 円、占50円.7 0 0円な どい ろい ろな ケースが ある.
溜弛管理 の7=めの労働 力の提供 は年に 1日、2日、 5日、全 然な しの・4つ の場合 が あ るが、 1日 の場 合が最 も多 く、 その仕草 の内容 と しては、 どろ上 げ、溜池周 囲の草取 り、碇 止 め、 土手 の修理 な どが あげ られ る. 最近 は特 に肉体 労働 をす るとい うことが、 少な くな り仕事 の壬 な る もの として は、秋 の終 わ りに行 う、埠止 め、即 ち水 を止 め、 来年 に備 えて水 を貯 え るT=め に杭 を水 戸 口の穴 に 打 ち込む ことに立 ちあ うことが、 ほ とん どの よ うであ る. 尚、 この 日に出席 できない場 合 は、1,500 円、2000円、5 ロ 0 0円、10a当 り200円程度 をそれぞれの組 の定 め 把 よ り納 め るこ とに な ってい る。
6. ま と め
地 形 図、 青森西部 の 図副 をみて、特 に浪岡周辺 に大′J、の溜鞄 が集中 して分布 してい るのを見て、
溜池 を調べ る ことにな っ7こ.
浪 岡地区は山東部 に位置 しなが ら、水 量豊富な河 川が ない ので、 長 い間、水 不足 に悩 まされ、永 の確保 とそ の管理 の7=めに、 い ろい ろな くふ うが、考 え 出され てきてい るO水利系統 の複 雑 さ、 今 も生 きてい る水利慣行な どを調べ るこ とに よ り、水 をい かに、 無駄 な く最後 の最後 まで、 有効 に利 用 してい るかを知 る ことが で きた. いわ ゆ る一 滴た りとも、 無駄 に しない とい う精 神が徹 してい る
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のが窮われ る思いであ る.岩木 川流域 で生活 してい る論者 に とっては、 身近 か な地域 に もこの よ ラ な例が あ るこ とを、 あ ら7=めて認識 しTC次第 であ る. 7=だ、 この よ うな旧態依然T:る藩政方法 と、
水利秩序 は、農業 の合 理化 と、 生産 性 を一 層高 め る必要 にせ まられた場 合 に、当然、 それ を根本 的 に改善す る必要 が あ る と思 う. 浪岡 を中心 と LT=自然 もまTC、 昔 と同 じよ うな状態 に維 持 され てお らず、山地 の開畑 と森林 開発 の結果、水源は一 層、枯渇化 され てい る現象 を呈す る よ うにな ってお
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り、特 に規 模 の小 さい溜池 におい てほ、直 接そ の影響下 にさ らされてい る と言 え るO この よ うな間 雷 を解 決 し、浪岡地区 の農業生産 性 の向上 の ため に、長年 のゆめ であ った浪 岡ダ ムの建設が 実現 さ れ るこ とにな った ことは、 当地域 に とって画期的 な ことと思 う。 た だ、 そのダ ムの恩 貴を受 け る こ とがで きず、在来 の溜地溝概に依 然 として頼 らなければな らない地区 も出る こ とにな るので、 そ の 点が、今後 に残 され る問題 にな るもの と考 え る.
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