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現所属:香川県庁農政水産部土地改良課

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法政策的解決手法の考案

小久保祐樹(首都大学東京都市教養学部都市政策コース

要   約

小笠原における所有者不明土地問題について、行政が行うべき法政策的対応について政 策提言を行った。はじめに、小笠原における所有者不明土地問題についての現状の調査を 行った。次に、所有者不明土地に対する法政策的手法の事例紹介を行い、小笠原における 所有者不明土地問題に対する法政策的対応策の提案を行った。この提案では、条例の制定 が適切であると結論付けた。最後に、条例制定の際に問題となる財産権規制に対する学説 分析を行い、具体的な条例の内容に関して考察した。

Ⅰ.はじめに

小笠原において自然保護を行う上で障壁となっている問題の一つに所有者不明土地問題 がある。小笠原においてアカギ等の外来種を駆除する際に、東京都や小笠原村が管理して いる公有地や所有者が分かっている土地については、所有者の了解の下、外来種を駆除す ることができる。しかし、所有者不明の土地においては、無断で外来植生物の駆除を行う と、外来植生物に係る所有者の財産権を侵害することとなる恐れがあることから、外来植 生物の駆除が思うように進んでいない。

平成 23 年度(2011 年度)に行われた、小笠原諸島世界自然遺産地域科学委員会(以下、

科学委員会という)第 1 回会議においても、「アカギやモクマオウの駆除が進んできたこと は非常に評価できる。ただ、所有者が不明の土地では駆除に手が付けられないという問題 が残っている。東日本大震災を受けた震災復興特別措置法案には、所有者不明の土地でも 管理ができるよう盛り込まれた。世界遺産登録を機会に、小笠原諸島でも所有者不明の土 地での外来種駆除ができるように法制度整備ができると良い。」との発言があった。

外来植生物の駆除は全島中で行って初めて意味があるものであり、駆除を行うことがで きない地域が存在すると、その地域から他の地域に繁殖が進んでしまい、完全な外来種駆

現所属:香川県庁農政水産部土地改良課

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除が実行できない。

所有者不明土地の問題は現在のところ、ほとんど解決手段がとられていない。所有者不 明土地問題が解決されずに、外来種駆除が滞ると、小笠原の固有種の生態に影響を及ぼす 危険があり、世界自然遺産の取り消しに直接関わる問題ともいえる。

この所有者不明土地問題の現状について詳しく検討し、行政が行うべき法政策的対応に ついて政策提言を行う。

Ⅱ.小笠原における所有者不明土地問題の現状

1.所有者不明土地問題の現状

小笠原においては、所有者が不明となっている土地において外来種の駆除を行うことが 出来ず、世界自然遺産を保護する際の障壁となっている。環境省が進めるアカギ対策事業 は、国立公園区域内の私有地を対象としている。私有地でアカギ対策を行うに当たっては、

土地を事業用地として確保する必要がある。そのため、土地の立ち入り調査への承諾とア カギ駆除についての承諾を取るために、土地利用者との連絡をとる必要があるが、小笠原 においては地主が特定できない箇所が多くあり、このような土地においてアカギの駆除が 実施できない状況にある。私有地で外来種の駆除をおこなうための土地所有者への連絡は 土地登記簿をもとに行われる。しかし、土地登記簿に記載されている情報は最新のものと は限らず、転居等による住所変更や地権者の死亡による相続の発生などで、現在の地権者 への連絡手段が断たれている場合もあり、所有者の特定は容易ではない。

さらに、小笠原においては地籍調査も十分に進んでいない。図 1 は小笠原における地籍 の調査状況を示した地図である(国土交通省ホームページ、2014)。地図上の白色の部分が 地籍調査未実施地域である。父島や母島を中心として、地籍調査の未実施地域が点在して おり、多くの地域で地籍調査が行われていないことが分かる。

土地所有者への連絡が困難になっている状況は次のような理由から発生している(環境 省、2007)。

第二次世界大戦において小笠原が戦地になったことが一つ目の理由である。第二次世界 大戦中、小笠原の島民は内地に強制疎開をした。終戦後もアメリカの占領下であった小笠 原では、終戦直後から昭和 43 年(1968 年)の本土復帰まで、日本人は帰島することを許 されなかった。これらの戦時下の強制疎開および戦後の米国統治により小笠原では、農地 を含む多くの土地が荒廃した。強制疎開から返還までの空白は、荒地を増やしただけでは なく、各土地の形状や境界を曖昧にしたうえ、その後の所有者の世代交代や権利関係の輻 輳とあいまって、土地の流動化や利用に大きな影響をもたらした。戦前の小作権者の営農

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を保護する目的で定められた特別賃借権に基づく権利の行使や拡散等に関する問題も、時 の経過とともに解決を困難なものにさせている。本土復帰後も多くの島民が帰島しておら ず、不在地主は全国各地に散在し、終戦から約 70 年経った今日でも消息が不明となってい る。父島、母島では、宅地、農地を問わず島外地主の所有地が多く、管理不足の土地や低 未利用地、所有者が不明となっている土地が数多く存在している。

固定資産税の仕組みに起因する理由もある。小笠原の山林の固定資産税評価額が低く、

村内に山林のみを所有している場合、課税の対象とならない限度額が 30 万円のため、固定 資産税が課税されない場合が多い。納税通知書の送付も行われず、地権者の所在について、

村で把握をしていない。

また、相続登記にかかる費用や手間のため相続登記がなされていない土地もある。

1944 年(昭和 19 年)の内地への強制疎開からおよそ 70 年が経過し、この問題を解決す ることはますます難しくなっている。

図 1 小笠原における地籍調査状況

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すべての土地においてアカギの駆除を行う必要があるため、土地の境界を確定させるこ とが必要である。国有林と民有地との境界は、国によって標識が設置されているので問題 がないが、民有地同士の境界は標識などの設置はなく、戦前に農地の周囲に植栽されたタ マナが散見される程度であり、境界確定は容易ではない。そのため、土地の境界を確定さ せるためには、すべての土地の所有者を明らかにする必要がある。

また、土地所有者全員からアカギ駆除に関しての承諾が必要である。1 件でも承諾を拒 否されたり、黙秘されたりすると有効なアカギ駆除を行うことが出来ない。なぜならば、

承諾拒否などによって残ったアカギが母樹となって、駆除が完了した土地へも継続してア カギの侵入が続くことになるからである。

所有者すべてに連絡を行うことができれば、外来植生物の駆除も行うことができるが、

それは容易なことではない。その理由として以下の点を挙げることができる。まず、非常 に多くの地権者を相手に探索し承諾を得ていくという膨大な作業量が必要である。国立公 園の 6099ha 中、私有地は 1010ha を占めており、その割合は約 16% である。筆数自体も多 くなり、対象となる地権者の人数は多数にのぼる。連絡の手がかりは土地登記簿記載に記 載されている住所・所有者の情報くらいしかない。土地登記簿の情報で連絡が取れない場 合、所有者の所在の探索が行われることとなる。探索の過程で所有者の死亡が確認された 場合は法定相続人の調査を行わなければならない。不在地主の特定には多額のコストと手 間がかかり、現実的ではない。

どうしても所有者本人や相続人の消息が分からないケースもある。このような事態にな ると、不在者財産管理制度や相続財産管理制度等により対応を図ることも考えられる。こ れらの制度の活用に関しては、後述する。

2.小笠原村母島におけるケーススタディの紹介

平成 17 年(2005 年)~平成 18 年(2006 年)にかけて、環境省の請負業務として、社団 法人日本森林技術協会によって、「小笠原地域自然再生推進計画調査アカギ対策検討調査」

が行われた。本節ではこの調査の中で行われた、母島におけるケーススタディについて紹 介する。

この調査は、平成 14 年度(2002 年度)~平成 16 年度(2004 年度)に行われた、小笠原 地域自然再生推進計画調査の検討結果を踏まえ、早急な対策が必要であるアカギ駆除に関 する技術的手法について必要な調査や試験を現地において実施し、具体的な技術手法の有 効性と本格実施に当たっての課題、手法等を整理検討するとともに小笠原におけるアカギ 対策の基本的な計画案の策定を行ったものである。

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この調査では、民有林における駆除実施を行うときに課題となっている土地所有等の事 項について、母島東台地区において、ケーススタディを兼ね、事業実施に当たって実際に 必要となる土地所有者情報の把握が行われた。これにより、土地所有に関する課題への対 応方法などについての具体的検討がされている。把握したデータに関しては、登記簿情報 ではなく、不在地主を含む実際の地権者を追跡することで、出来る限りその所在を明らか にするなど、実際の事業に用いることを前提として必要な整理を行っている。

(1)ケーススタディ概要

①実施場所

このケーススタディの実施場所は小笠原村母島の東台地域である。実施場所の選定は

「小笠原におけるアカギ対策基本方針」に沿って検討された。この基本方針では「外来種対 策の一般則として言われているように、アカギについても、侵入が少ない林分、侵入箇所 の外縁部から駆除していくことが効果的であり、こうした箇所を優先して実施していくこ とが基本である。侵入が少ない林分は、今後の侵入余地がまだ多く、短期間でアカギが増 加するおそれがある。また、こうした林分は、まだ多くの在来種が残存していることから 自ら再生する能力を残しており、処理すべきアカギの量自体が少ないので、より少ない時 間と経費で広い面積でのアカギ対策が可能である」とされている。この基本方針に照らし て、外来種駆除にあたっては、侵入の外縁部、初期段階での駆除が基本則であり、東台は これに該当すること、また、東台は半島状の地形であり範囲が明瞭であることから、事業 実施の際に施工管理がしやすいということから東台地域が選定された。

②土地所有状況

図 2 と図 3 は、母島東台地区における、土地の所有状況を表したグラフと地図である。

この東台地区には 214 の筆が存在している。そのうち、約 8 割強にあたる 180 筆が私有地 となっており、大きなウェイトを占めているといえる。また、図 3 を見ても分かるように、

私有地が非常に広い範囲に分布していることが分かる。

③住民票等による探索調査結果

所有者の捜索は図 4 のようなフローによって行われた。アンケート調査の際、登記簿住 所への送付で不達や回答がなかった者については、住民票・除票の公用請求を行った。住 民票が存在していた場合は、所在の確認を行い、住民票除票が存在していた場合は転出先 を調べ、転出先が判明していた場合はアンケートを送付した。名義人が死亡していた場合

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図 3 東台地区の所有者状況

私有―共有者有 私有―共有者無

差押 28 5 1 36

144

図 2 東台地区 214 筆の所有状況

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は法定相続人の捜索を行った。住民票・除票の該当が無いときはまずは小笠原村に戸籍が あるか調査を行うが、戸籍がない場合には所有者の発見がきわめて困難になる。

また、アンケート調査の際、回答が有った者の中でも、それが子孫などの土地登記簿記 載とは違う名義人の場合は、名義人が死亡しているか存命しているかを確認し、死亡して いる場合は法定相続人の捜索を行い、存命している場合は所在の確認を行った。

図 5 はアンケートに返送のない人に対し、所在の確認調査を行い、土地登記簿記載住所 への居住状況を行った結果である。

④土地所有者の把握状況(平成 18 年(2006 年)8 月現在)

図 6 は平成 18 年(2006 年)8 月現在の土地所有者の把握状況である。調査開始(平成 17 年(2005 年))から約 1 年間経っているにもかかわらず、死亡していて所有者が不確定 な土地や、行方不明となっている土地が数多く存在していることが分かる。

図 4 所有者探索のフロー

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図 6 土地所有者の把握状況

登記簿住所

住民票等も 入手不可 転出

住所表記変更

死亡 51%

6% 3%

25 15%

図 5 所有者探索調査の結果

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⑤アカギ駆除に対する意識調査

この土地所有者探索のケーススタディにおいて、「あなたの土地にアカギが生えていた場 合、環境省がアカギ対策を行うことについて、地権者としてご賛同いただけますか。」とい うアンケートも同時に行った。この調査によると回答者 30 人のうち賛同すると答えたのは 26 人(87%)であり、賛同できないと答えたのは 0 人であった(図 7)。残りの 4 人は無回 答か分からないと回答した人であった。

(2)ケーススタディから分かること

母島東台地区の場合、全体に占める私有地の筆数は約 8 割強であり、アカギ駆除事業に おいて私有地の所有者を特定することは必要不可欠な施策であることは明らかである。そ の一方、土地登記簿住所へ現在居住しているのは 51%となっており、約半数の土地所有者 に対し、居住地の更なる調査を行う必要があり、大変な労力がかかる。このことがアカギ 駆除事業の大きな障害となっていることは言うまでもない。

また、先述したようにすべての土地所有者を明らかにしないと、土地の境界線がわから ないという問題もある。だが、土地登記簿の情報は最新ではなく、土地所有者が死亡して いたり、調査しても行方不明であったりするケースも多くある。ケーススタディの報告書 では「今後も引き続き所有者の探索を続けていく必要がある」と述べているが、母島の東 台地区というこの狭い範囲だけでもこれだけの労力がかかっており、いまだに行方不明で ある土地所有者が多くいるという現状を鑑みるとすべての土地所有者を明らかにするのは 非常に困難であり、現実的ではないのではなかろうか。

前述したように、アカギ駆除に賛同すると答えた土地所有者は約 9 割であり、世界自然 遺産保護を目的とするアカギ対策への賛同という点に関しては理解が得やすいと考えられ

賛同する 無回答 分からない 4 人

26 人

図 7 質問への回答結果

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る。アンケート調査や住民票による調査を行うだけでも大変な費用と労力がかかる。これ らの調査を実施せずとも、土地の所有者が不明である場合にも、一定の手続きを経て承諾 を得ずに外来種の駆除を可能にする仕組みが必要ではないだろうか。

Ⅲ.所有者不明土地問題に対する法政策的手法の事例紹介

本章では、所有者不明土地問題に関しての事例及び法政策的手法に関して、事例研究を 行う。

1.空き家等の適正管理条例

所有者不明土地への対処方策について検討する際の参考とするために、空き家に対する 施策についての調査を行った。所有者が転居した後も適正な管理が行われず、廃墟と化し た空き家が問題となっている。空き家に関する条例の保護法益は大きく 3 つに分けられる。

一つは「防犯・防災」、二つ目は「生活環境の保全」、三つ目は「防犯・防災と生活環境の 保全の両方」である(北村、2012)。比較的三つ目の「防犯・防災と生活環境の保全の両 方」のパターンが先行事例としては多い。

(1)空き家社会問題化の背景

空き家が社会問題化している背景としては、認識的理由、経済的理由、税制的理由、行 政的理由がある(北村、2012)。認識的理由は、空き家の持ち主が、その街に居住していな いときはコミュニティの目は気にならないため、空き家を放置する傾向にあることから発 生する。経済的理由は、空き家の維持・管理にはお金がかかるという問題から発生する。

草刈りなどは業者に委託すれば年間数万円でできるが、リフォームするとなると桁違いに お金がかかる。将来特に住むつもりもないものにそれだけのお金をかける動機は普通起き ないことから空き家は放置される傾向にある。税制的理由は固定資産税の仕組みに起因す る。固定資産税は家屋が建っていると、住宅用地特例が適用されて税制が 6 分の 1 となる。

上物を取り払ってしまうと固定資産税が大幅に上がる。固定資産税は地方税であるので、

地方自治体で改善を考える余地があればこの問題は改善する。行政的理由は個人情報保護 に起因する。行政では空き家カルテのようなものを持ってチェックをしている。しかし、

個人情報の壁が厚いという問題がある。権利関係は登記簿を見るのが早いが、固定資産税 の課税台帳は個人情報保護のこともあり、調べにくい。

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(2)空き家に対する自治体の条例対応―強制的アプローチと協調的アプローチ(北村、2012)

①強制的アプローチ

強制的アプローチとは、助言・勧告をした後、命令・行政代執行をするといった行政権 力を用いて目的を実現する手法である。空き家に関する条例のほとんどがこのアプローチ 手法をとっている。しかし、自治体の行政の在り方、実情を考えると、行政代執行まで規 定しても実際に行うことはそう多くはない。行政権限の発動のインパクトは強いからであ ると考えられる。

②協調的アプローチ

住民と行政とのお互いの合意の中で協力しながら取り組んで進めていこうというパター ンが、協調的アプローチである。足立区の「老朽家屋等の適正管理に関する条例」が例と して挙げられる。

ただし、どちらの解決手法も土地の所有者が不明である場合、所有者不明土地に関して の条文が無く、また、改善についての指導をすることが出来ないことから、その対策が非 常に困難になる。個人情報保護の壁が厚いことも影響が大きいと考えられている(前田、

2012)。所有者不明事案への対応として公示送達で対応するといった論文もある(北村、

2012)。これは一定事項を一定期間表示するものである。横須賀市のパブリックコメントに も「不明事案に対しては、公示送達で行う。」とある。平成 21 年(2009 年)に行われた、

国土交通省第 5 回中長期ビジョン策定検討小委員会の配布資料の中には、「相続等により所 有者が不在・不明で管理が困難となっている空き地・空き家も多く、不動産の適正管理の ためには、こうした問題について検討していくことが重要。」との言及もあり、今後所有者 不明土地においての本条例の扱いに関して検討する必要があることが分かる。

2.沖縄県における所有者不明土地問題

明治 32 年(1899 年)に制定された沖縄県土地整理法に基づき作成された沖縄本島及び 周辺離島の公図、公簿類は、第二次世界大戦における沖縄戦において焼失した。戦後、米 軍は占領政策を遂行する上で土地所有権を中心とする公図、公簿類の再製の必要性から布 令・布告等を発し、公有地・私有地の土地所有権を確定するための土地所有認定作業を昭 和 21 年(1946 年)から昭和 26 年(1951 年)にかけて行った。所有権認定作業時に、何ら かの事情により所有者から申請のなかった土地や、申請はされたが所有権証明書の受領が なかった土地、所有権証明書を受領したが土地登記所への登記申請がなされなかった土地

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が所有者不明土地となり現在に至っている。所有者不明土地については、「沖縄の復帰に伴 う特別措置に関する法律」62 条の規定に基づき沖縄県が管理を行っている。土地の地目が

「墓地、社寺用敷地、霊地、聖地」等に属する場合は当該不明土地の所在する市町村が管理 を行っている。

沖縄県は所有者不明土地に関して、第二次世界大戦以前は所有者のいた私有地の性格を 持つものであり、真の所有者へ返還すべき県民の大切な財産であるとして、当該土地の真 の所有者への返還を促進するための実態調査にも取り組んでいる。沖縄県のウェブサイト 上には県管理の所有者不明土地の一覧が公開されており、平成 24 年(2012 年)3 月 31 日 現在、所有者不明土地のうち県管理の土地が 1479 筆 727,121 ㎡、市町村管理の土地が 1204 筆 81,492 ㎡存在している。沖縄県では所有者不明土地のうち一部を賃貸しているが、所有 者が現れた時にすぐに原状回復できるように用地を駐車場や農地に限っている。管理には 人件費や除草費用もかかり、年に 700 万円の赤字である。昭和 47 年(1972 年)の本土復 帰からの 40 年で県が所有者を確認できた土地は 363 筆 167000 ㎡(平成 24 年(2012 年)6 月現在)にとどまっている。

3.あき地の除草に関する条例

少子高齢化や人口減少等に伴い、空き地・空き家における雑草の除去に関して適正な管 理がされず、周辺に外部不経済をもたらす土地利用を行っている不動産が全国各地で発生、

増加している。国土交通省土地・水資源局が全国の市区町村を対象に行ったアンケート調 査によると、全国の約 7 割の市区町村で空き地、空き家、廃屋などの外部不経済をもたら す土地利用が発生し、空き地・空き家の管理等を問題としている市区町村も数多くみられ る(国土交通省、2009)。空き地の雑草等の除去に関する条例は全国各地に存在している。

条例などで所有者に空き地の適正管理を義務付ける市区町村は 300 近くあるが、「持ち主に 電話や手紙で指導する」という対応が一般的で、改善に至らないことが多い(日本経済新 聞電子版ホームページ、2010)。

三重県名張市は昭和 62 年(1987 年)に「名張市あき地の雑草等の除去に関する条例」

を制定し、この条例に基づき空き地の適正管理の指導等を行ってきた。しかし、一部の空 き地において雑草等が除去されず、長年にわたり放置された状態になっていたため、平成 20 年(2008 年)4 月に行われた条例改正により、行政代執行を盛り込んだ条例に改正した。

条例改正後は、毎年固定資産情報を基に空き地台帳を作成した。この台帳に基づいて毎年 6 月ごろ、空き地の所有者等に対し、空き地の雑草等の除去について、通知書を出してい る。通知書には行政代執行を可能とした条例を制定していることのほか、雑草等の除去と

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除去を求める時期(7 月・10 月ごろの年 2 回)を明記し、注意を喚起している。その後、

不良状態の空き地について住民や自治会の代表者から苦情があった場合は、条例に基づき 指導、勧告及び命令等を行い、それでも雑草等が除去されない場合は、市独自の基準採点 票で現地調査を行い、状況に応じて行政代執行を実施し、その費用を空き地の所有者等か ら徴収している。行政代執行は平成 21 年(2009 年)以降、8 件実施した(坂元、2013)。

所有者が自治体に有償で除草を依頼するようになるなどのケースも出ている。

一般の行政執行過程では、不適正管理状態の場合に空き地の指導・勧告をするまでにと どまることが多い。名張市の空き地の雑草等の除去に関する条例の特徴的な点は、措置命 令や行政代執行を実際に行い、支払い義務者に対して代執行費用命令書を送付し、行政代 執行にかかる費用を支払わせていることにある。また、行政代執行を行った場合の義務者 に対して代執行費用の請求は業者に頼むよりも高い費用を請求している点も特徴的である。

これは、放置していても市が除草をしてくれると思われないための対策である。

名張市の他にも行政代執行について条例の中に規定し、その費用を空き地の所有者等か ら徴収する条文を規定している自治体がある。小笠原村もその一つであり、環境保全条例 の中に空き地の保全に関しての規定が存在する。しかし、実際に行政代執行を行い、その 費用を土地所有者に請求したのは、平成 26 年(2014 年)2 月現在、名張市と千葉県流山市 に限られている。千葉県流山市の条例も名張市とほぼ同じ条文で構成され、行政代執行に ついての規定が明記されており、かつ行政代執行にかかった費用を義務者から徴収できる としている。

しかし、いずれの条例も所有者が不明の場合の規定が存在しないため、空き地の所有者 が不明な場合、その対応は困難である。

Ⅳ.所有者不明土地問題に対する法政策的対応策の提案

本章では、Ⅱ.2.で取り上げたアンケート調査や住民票による調査などの詳細な所有者 調査を行わずとも、国や都、村などの行政主体が小笠原における所有者不明土地において アカギなどの外来種の駆除を行うことができるような法政策的対応を考える。

1.不在者財産管理人制度の活用

不在者財産管理人制度は民法 25 条から 29 条に定められている。不在者とは従来の住所 又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者をいう。不在者がその財産の管理人を置かな かったとき、つまり財産を管理する者がいない場合において、家庭裁判所に財産を管理す る者(不在者財産管理人)の選任を申し立てて不在者財産管理人を選任してもらう。不在

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者財産管理人は、民法 103 条に規定する保存行為及び代理の目的である物又は権利の性質 を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為を行うことが出来る。ま た、家庭裁判所から権限外行為の許可を得たうえで処分といった行為も行うことが出来る。

不在者財産管理人は不在者の財産を管理するために選ばれるものであるから、職務を適 切に行えることが必要である。通常、不在者との関係や利害関係の有無などを考慮して、

適格性が判断される。公共事業のための用地取得を目的として不在者財産管理人の選任を 申し立てる場合、当該事業主体である自治体は利害関係人に該当すると解されている。し かし、復興事業における用地取得を目的とする不在者財産管理人事件については、財産の 調査や相続関係の処理に専門的知見を要することや、対象土地の売却について中立性が要 求されることなどから、弁護士や司法書士を不在者財産管理人とすることを原則としてい る。自治体や自治体の職員を管理人に選任することについては、売却の公正性について所 在の判明した所有者や一般国民から疑念を抱かれないようにする必要があることから、消 極的である(盛岡家庭裁判所、2013)。

この制度は家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立て、審理、審判を行う必要が あるため、手続きに時間がかかる(通常は 1 ヶ月)。また、不在者財産管理人は所有者が分 かっているものの、その所有者が所在不明である場合に選任するものであるから、そもそ も誰が所有者であるか分からない土地については不在者財産管理人を選任することができ ない(盛岡家庭裁判所、2013)。

東日本大震災により、被災地では土地の所有者が不明となる事例が発生した。これを受 け、復興庁は東日本大震災の被災地における用地取得の迅速化策である「住宅再建・復興 まちづくりの加速化措置」を平成 25 年(2013 年)4 月に発表した。これは土地収用手続き の効率化や民法の財産管理人制度の活用など、用地取得の迅速化策を具体化させたもので ある。この中で所有者不明等の土地の処理の迅速化のための対応策として、円滑な財産管 理人制度の運用に向けた自治体と地域の弁護士会、司法書士会等の関係団体との連携強化 を挙げている。具体的には財産管理人選任の申し立てを行う場所や提出書類への柔軟な対 応、財産管理人の選任手続等の期間短縮(通常 1 か月の選任手続を 1 ~ 2 週間に)、財産管 理人の候補者(弁護士・司法書士)の確保(3 県で約 500 名)が挙げられている。

被災地では防波堤の建設事業などで土地収用手続きが必要になる。しかし、岩手、宮城、

福島 3 県では先例がなく、長期化が懸念されていた。このことから、復興庁は平成 24 年

(2012 年)11 月から岩手県釜石市の防潮堤建設事業をモデルに、審査の迅速化に着手した。

岩手県は当初、国に提出する申請書を作成するまでに 1 ~ 2 年程度かかるとみていたが、

国の指導などにより、1 ヶ月程度で完了させた。復興庁は、このモデル事業で得たノウハ

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ウを 3 県の起業者や関係行政機関に通知し、活用を促している。住んでいた人が震災で亡 くなったり、行方不明になったりして所有者が確定できない土地に関しては、財産管理人 制度を利用し、取得を早めている。財産管理人に選任された弁護士や司法書士らは家庭裁 判所の許可を得て土地を処分することができるため、土地取得までの期間は収用手続きよ り大幅に短縮することができる。処分した後、所有者が現れた場合には管理人が所有者に 売却代金を渡すことになっている。家庭裁判所は東北沿岸部の支部を中心に書記官を増員 し、管理人に対応する態勢を整えている。

小笠原の所有者不明土地での不在者財産管理人制度を考えた場合、樹木の伐採を伴う行 為が「保存行為又は代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その 利用又は改良を目的とする行為」に該当するか、それとも、権限外行為に該当するかどう かは検討の必要があり、権限外行為に該当すると解される場合は家庭裁判所から権限外行 為の許可を得たうえで外来種駆除を行う必要がある。外来種駆除を行うことが、保存行為・

利用行為・改良行為に該当すると解される場合は、小笠原村や東京都などの自治体が財産 管理人となることで所有者不明土地において外来種の駆除を行うことはできると考えられ る。また、手続きが煩雑である上、不在者財産管理人の選任の手続きに時間や費用がかか るため、多くのコストが伴う。さらに「住宅再建・復興まちづくりの加速化措置」のよう な特別措置も困難であると考えられる。なぜならば、東日本大震災の様な逼迫した緊急事 態では無く、小笠原のためだけに特別にコストをかけたり、人員を用意したりすることは 出来ないと考えられるからである。

これらの事由により私は不在者財産管理人制度を小笠原の所有者不明土地問題に適用す るのは現実的ではないと考える。

2.相続財産管理制度の活用

相続財産管理制度は民法 951 条から 959 条に定められている。相続財産管理制度では相 続人のあることが明らかでないときには、相続財産を当然に法人とすることによって、法 律上の帰属主体を創設し、その管理を相続財産管理人に委ね、相続財産管理人が、相続財 産法人の法定代理人として相続財産の管理と清算を行うこととしている。この相続財産管 理人の選任は、利害関係人又は検察官が家庭裁判所に請求することによって行われる。相 続財産管理人の権限としては、不在者の財産管理人と同じ権利義務を持つとされており、

保存行為及び代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又 は改良を目的とする行為を行うことが出来る。

自治体が相続財産管理人の選任を申し立てるための準備としては、戸籍を精査して相続

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人がいないことを確認する作業が中心となる。相続人が 1 人でもいることが判明した場合、

相続人が外国に居住している等で容易に連絡を取ることができない場合でも、相続財産管 理制度を利用することはできない(盛岡家庭裁判所、2013)。

相続財産管理制度は相続人のあることが明らかでないときについて規定されており、小 笠原の所有者不明土地問題に対してこの制度を適用することを考えた場合、相続人がいな いことを確認する作業が中心となり、莫大な時間と費用がかかることが予想される。その ため私は現実的な手法ではないと考える。

3.土地収用法の不明裁決制度

日本国憲法 29 条 1 項は、「財産権は、これを侵してはならない。」とし、私有財産制度を 保障している。一方、29 条 3 項では、公共の福祉との調整を図るため、「私有財産は、正 当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」と規定している。この規定を 受けて制定された法律が土地収用法であり、「公共の利益の増進と私有財産との調整を図 り、もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする。」として、土地など を収用又は使用するための手続や補償の内容などについて規定している。

土地収用法では土地を収用し、又は使用することができる事業が定められており、自然 公園法による公園事業、自然環境保全法による原生自然環境保全地域に関する保全事業及 び自然環境保全地域に関する保全事業が含まれていることから小笠原の外来種駆除におい ても適用が可能と考えられる。

土地収用法に基づく収用裁決手続きにおいて、本来は土地所有者の氏名及び住所を明ら かにして行うことが原則である。しかし例外的に、起業者が過失が無くて知ることができ ないものについては土地所有者等の氏名や住所を明らかにしないまま裁決申請の手続きや 裁決等の一連の手続きを行うことを認めている。過失が無くて知ることができないものと は、「登記簿の調査、登記名義人への照会、戸籍簿・住民票の調査、周辺住民への照会、占 有関係などの現地調査などにより起業者が真摯な努力をしても知ることが出来ないことを いう。起業者は登記簿や戸籍簿の写しなど関連資料を整えて真摯な調査を行ったことを証 明すればいい」と説明されている(小沢、2003)。

土地収用法申請から裁決まで、例えば大阪府の場合、最近 5 ヶ年の平均処理日数は 382 日であり、最長処理日数は 972 日、最短処理日数は 161 日であった(大阪府収用委員会事 務局ホームページ、2014)。土地収用法申請から裁決までは多くの時間を必要とすることが 分かる。

外来種の駆除は、完全な駆除のためにできるだけ迅速に行わなければならない。また、

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外来種駆除を行うに当たっては、土地に立ち入って駆除作業を行えばよく、土地を収用す ることまで必要としない。これらの理由から、土地収用法の不明採決制度を小笠原の所有 者不明土地問題に対して利用することは適当ではないと考える。

4.「小笠原村生態系保全条例」(仮称)の制定

小笠原村では、土地登記台帳による調査ではその行方を把握できない地権者が所有ある いは占有している土地に対しても、一定の妥当かつ合理的な手続きの下での外来種除去対 策の実施を行えるようにすることを目的として、平成 19 年(2007 年)に「小笠原村生態 系保全条例」(仮称)の検討が行われていた。しかし現在、条例は制定されずとん挫してい る。

この条例案の旧案第 6 条において、地権者等が所在不明の場合の私有地使用手続につい て書かれている。ここには「村長は、外来植物対策を私有地内で実施しようとするに際し て、対象となる土地の地権者の所在が土地登記台帳記載の住所等では判明しない場合は、

当該土地の地権者が通常であれば了知し得ると考えられるに足りる周知措置を講じた上で、

当該土地内での外来植物対策を実施することができる。」とある。また、新案の第 5 条にお いては、「村長は、外来生物種対策の実施に際し、必要があると認める場合には、対策に当 たる者を私有地に立ち入らせることができる。また、村長は、早急に対応を講ずる必要が あり、かつ他に有効な手段がない場合には、当該私有地内に生育あるいは生息する外来生 物の駆除や侵入防止等の措置を行うことが出来る。」とある。旧案では、外来植物対策を行 う際に、対象となる土地の地権者の所在の捜索と、捜索で判明しない場合の周知措置の実 施について明記されている。しかし、新案ではこのことについては明記されておらず、早 急に対応を講ずる必要があり、かつ他に有効な手段がない場合には外来植物の駆除などを 行うことが出来るとされている。

平成 19 年(2007 年)に検討された条例が現在も制定されていない最大の理由は、土地 所有者から財産権の侵害を主張された際に、法的に許されるものであるかの判断がつかな かったからである。小笠原村の自然は島民全ての財産であり、この貴重な財産を脅かすア カギ等の外来種について、地域の財産保全の観点から地域条例を制定しこれに対応するこ との法的有効性は法学者等の学識経験者から言及されている。しかし、木材は基本的に財 産価値があるという日本人的考え方が根底にあることと、不在地主の了承なく地域条例を 作ることの妥当性から現在の状況になっているという(小笠原村へのヒアリング調査、

2012)。

しかしながら、小笠原においては迅速な外来種駆除が必要なことから、所有者不明土地

(18)

に関しては、必要最低限の外来種駆除を所有者の了承を得ずとも行える内容を含めた小笠 原村外来種駆除条例を制定することが最も現実的かつ有用な手段であると私は考える。

加えて、条例の特徴を踏まえても条例制定が適当な手段であると考える。対象となる効 力の及ぶ地域的範囲が限定されているため、地域の実情を踏まえ、その特性に対応した条 例を制定できる点、法律と比較して制度の簡潔性、柔軟性があるといえる点、住民に身近 であることから、応答性が高く、機動的で効果の見えやすい点が条例の特徴として挙げら れる(川崎、2011)。この点からも小笠原において地域的に特殊な事情を受けての法政策的 解決手法を考える上では、先述した民法上の不在者財産管理人制度や相続財産管理人制度 を利用するよりも、条例制定が妥当であるといえる。

そこで、小笠原村生態系保全条例による外来種駆除が法的に許されるかどうかの検証と 具体的な条例案の検討を次章以降で詳しく行うこととする。

Ⅴ.所有者不明土地問題に対する提案の分析

1.財産権規制に関する学説分析

外来種の駆除には、例えばアカギを薬剤によって枯らすといった、土地定着物の除去を 行うものもある。このため、条例には土地所有者の外来種に対する所有権を侵害する条文 が含まれることとなる。行政が条例により外来種駆除を行うことは憲法 29 条に定める財産 権の侵害にあたり得るため、本節では、この条例が法的に許されるかものであるかを考察 する。

憲法 94 条では「地方公共団体は、(中略)法律の範囲内で条例を制定することができる」

としている。また、地方自治法 14 条 1 項には「普通地方公共団体は、法令に違反しない限 りにおいて地方自治法 2 条 2 項の事務に関し、条例を制定することが出来る」とある。

憲法 94 条の「法律の範囲内で」ないしは地方自治法 14 条 1 項の「法令に違反しない限 りにおいて」の文言について、法律が条例の所管事項を指定するという意味に解し、地方 自治法をこの条例所管事項を指定する法律と解する学説も皆無ではないが、通説は、「法律 の範囲内で」とは、法律に違反しない限りという意味に解し、地方公共団体は、委任条例 にとどまらず、法律に反しない限り、法律の委任なしに自主条例(固有条例)を制定する ことが可能であるとする立場をとっている(宇賀、2011)。小笠原における生態系保全条例 を考える上で最も問題になるのは、それが法律に違反しない条例であるか否かであり、特 に条例による財産権の規制、具体的には所有者の承諾無しでの外来種の駆除、は憲法 29 条 2 項に定める財産権の侵害にあたるのか否かは最も重要な検討事項である。以下では、複 数の文献を参考に、条例と財産権に係る規制について考察する。

(19)

財産権の規制については刑罰や租税についてのように明示的・包括的に条例に委任する 法律の規定がないため十分には解決されていないといわれている(吉田、2013)。

かつては、条例による財産権規制に消極的な見解が有力であった。その理由としては、

日本国憲法 29 条 2 項は、「財産権の内容は公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定 める」と規定していることや、財産取引は全国的に行われること、地方分権一括法による 改正前の地方自治法も「建物の構造、設備、敷地及び周密度、空地地区、住居、商業、工 業その他住民の業態に基く地域等に対し制限を設けること」・「地方公共の目的のために動 産及び不動産を使用又は収用すること」について「法律の定めるところにより」と言う留 保を付していなかったことなどが挙げられる。裁判例の中にも、条例による財産権規制を 明示的に否定するものもあったし、行政解釈の中にも条例による財産権制限に否定的なも のがあった。ただ、現在は、地方分権一括法による地方自治法の改正により、旧 2 条 3 項 による地方公共団体の事務の例示は廃止されたため、地方自治法上の問題はなくなってい る(宇賀、2011)。

財産権の条例規制を肯定したものとして有名な判決に、奈良県ため池保全条例違反事件 判決がある。ため池の破損・決壊等による災害を未然に防止するため、ため池の管理に際 し必要な事項を定めることを目的として制定された奈良県の「ため池の保全に関する条例」

について、最高裁は、「ため池の堤とうを使用する財産上の権利を有するものは本条例 1 条 の示す目的のため、その財産権の行使を殆んど全面的に禁止されることになるが、それは 災害を未然に防止すると言う社会生活上のやむを得ない必要から来ることであって、ため 池の堤とうを使用する財産上の権利を有するものは何人も、公共の福祉のため、当然これ を受忍しなければならない責務を負うというべきである」と判示している。そのため、災 害防止の必要がある場合には財産権を条例で規制することを認める趣旨と解する学説もあ る。ただし、この判決は、「ため池の破壊、決壊の原因となるため池の堤とうの使用目的 は、憲法で民法でも適法な財産権の行使として保障されていない」と述べており、そもそ も、条例による財産権の制限が可能か否かの問題自体が生じないと解しているようにも読 める(宇賀、2011)。

また、この判決は正確に言うと「(自分の土地であっても)ため池の破損、決壊の原因と なるため池の堤とうの使用行為は憲法でも民法でも適法な財産権の行使として保障されて いないものであって、憲法、民法の保障する財産権のらち外にあるもの」と判示したもの である。つまり、財産権自体を外側から条例で規制できるとしたものではなく、財産権に 内在するような制約自体を災害防止等の消極的な行政目的により条例で規制し得るとした にとどまるものと考えるのが妥当である(吉田、2013)。このため、積極的な行政目的によ

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り、条例で財産権規制を行う外来種駆除に関しては、この判例をそのまま当てはめること はできない。

しかし、憲法 29 条 2 項に言う「公共の福祉」は、各人の権利の公平な保障をねらいとす る自由国家的公共の福祉のみならず、各人の人間的な生存の確保を目指す社会国家的公共 の福祉を意味する。つまり、財産権は、内在的制約のほか、社会的公平と調和の見地から なされる積極目的規制(政策的規制)にも服するのである。財産権の内容が「法律」で定 められるとは、条例による財産権の制限を許さない趣旨であるかどうか、判例でも問題と なり、学説でもいろいろの意見がある。財産権は全国的な取引の対象となる場合が多いの で、統一的に法律で規定すべきであるという説も有力である。しかし、条例は地方公共団 体の議会において民主的な手続によって制定される法であるから、とくに地方的な特殊な 事情の下で定められる条例については、それによる財産権の規制を否定することは妥当で はない。現在では、各地の公害規制条例などにみられるように、条例による財産権の規制 は「法律の範囲内で」という制約の下で実際に頻繁に行われており、憲法上の疑義は事実 上解消している(芦部、2011)。また、財産権よりも制約に厳格でなければならない表現の 自由については条例で規制が可能であり、これとバランスが取れないことからも条例によ る規律も認められると解されるのが一般的である。さらに、条例制定に伴う地域間の法の 下の平等について付言すれば、憲法が条例制定権を認めた以上、地域間で異なった取扱い がなされうること自体は予定されていると考えられる(中川、2008)。

条例で財産権に係る規制を行うことができることは通説であり、その根拠としては 3 つ の学説がある。一つ目は憲法 29 条 2 項の「法律」に「条例」が含まれると解する説、二つ 目は憲法 92 条及び 94 条の 2 項の規定を特則として根拠とする説、三つめは憲法 29 条 2 項 の「財産権の内容」に関する定めと「財産権の行使」に関する定めを区別し、財産権の行 使については憲法 29 条 2 項の問題ではないとする説である。いずれにしても、その内容が 公共の福祉に適合し、かつ、比例原則に反しない限り、条例で財産権の行使の規制を行う ことが出来ると解されている(松本、2009)。

条例による基本権の制約が可能だとしても、どの程度まで可能かは別の問題である。こ れは、基本権の種類ごとに個別に判断する必要があるが、原則は法律による基本権の制限 の場合と同様である。実際に裁判所も条例の合憲性をそのように審理している。自治立法 権の行使の際には、裁判所が用いる審査基準に留意しながら、制約される基本権が人格権 や精神的自由か、あるいは経済的自由かといった権利の性質、その際に目指された目的の 性質や正当性、そして手段の必要性・合理性・明確性等を、個別具体的に判断する必要が ある(中川、2008)。このことから、小笠原の外来種駆除条例の行使の際には、外来種に対

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する財産権の性質や、外来種駆除の目的の性質や正当性、手段の必要性・合理性・明確性 等を個別具体的に判断しなければならない。この点、外来種に対する財産権をめぐっては、

外来種は、その性質上、他の地域から植生したものであり、元来からその土地に付着して いたとは考えにくいこと、世界自然遺産保護という正当な目的や必要性を有していること、

外来種の駆除という必要最低限の措置を行うことに鑑みて、違法性は阻却されると解する ことができる。

条例による財産権の規制(外来種の駆除)は許されるのかという最初の問いについて考 える。財産権の制限に対し、通説は、公共の福祉に適合し、比例の原則に反しないもので あれば、条例で財産権の規制の行使を行うことが出来るとしている。条例は地方公共団体 の議会において民主的な手続きによって制定される法であるから、地方的な特殊な事情の 下で定められる条例についてはそれによる財産権の規制を否定することは妥当ではない

(芦辺、2011)、とあり、小笠原固有の問題である、世界自然遺産保護のための外来種駆除 という目的の下行われる財産権規制については、違法性は認められないと解することもで きる。

また、積極目的規制を含む財産権の条例規制も実務上は一般化してきている。空き家等 の適正管理条例やあき地の除草に関する条例などで、住環境の保全を目的とした財産権規 制を含む条例はすでに全国で広く制定されている。三重県名張市や千葉県流山市では行政 代執行による雑草の除去を実際に執行した例もある。

さらに、小笠原における所有者不明土地における外来種は小笠原の外部から侵入したり、

人為的に移入されたりして繁殖したものである上に、基本的に長年放置されてきたものが 多い。加えて、Ⅱ.2.で紹介した「土地にアカギが生えていた場合に、アカギ対策につい て地権者に賛同できるか」についてのアンケート結果によると、賛同すると答えたのが 30 人中 26 人、賛同できないと答えたのが 4 人、無回答かわからないとの回答であったのが 4 人であった。このことから多くの地権者から協力を得られると考えられる。これらの事由 から、外来種に対する財産権保護の必要性は低く、それを駆除した場合においても土地所 有者の財産権の侵害の程度は低いと考えられる。

以上の理由より、小笠原において外来生物種対策を行う際に私有地におけるアカギ等の 外来生物種の駆除(伐採等)を行った場合において、それは世界自然遺産である小笠原固 有の生物種の保護を目的とする公共の福祉に適合する積極目的規制であり、講じる手段も 必要最小限のものであれば、憲法 29 条に反することはないと解する。

ただし、その場合であっても、事前に所有者の捜索をいっさい行わずに、無断で外来種 の駆除を行うことが許されるわけではない。そうはいっても、Ⅱ.2.で紹介したケースス

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タディによる所有者の特定の方法では非常に時間がかかり、現実的ではないことから、よ り迅速で、かつ、適正な手続きを検討する必要がある。

東日本大震災で発生が予想される所有者不明土地の問題に関して、自治体の対応手法を 提言している論文がある(澤村、2011)。具体的内容は以下のとおりである。はじめに所有 者を捜索するための個人情報収集を行い、所有者を発見できなかった場合にはその旨と関 係権利者に名乗り出るよう依頼する公告を行う。次に、一定期間公告しても権利者が出現 しない場合には職権で当該自治体の所有地とする権能を自治体に与える。さらに、公有地 とする場合に、その地価相当額を基金とし、将来に向けて補償可能とする措置を行う、と いうものである。

小笠原においてこの手法を用いる際は職権で当該自治体の所有地とする必要はないため、

地価相当額を基金とした補償は必要ない。小笠原においては初めに所有者を捜索するため の個人情報の収集を行い、所有者を発見できなかった場合にはその旨と権利関係者に名乗 り出るよう公告を行ったうえで、一定期間公告しても権利者が出現しない場合に、小笠原 村が外来種駆除を行うのが手段として妥当である。先述した母島におけるケーススタディ で行われたような、アンケート調査・住民票による調査を通しても土地所有者が分からな い場合は、その旨と権利関係者に名乗り出るよう公告を行ったうえで、土地所有者の承諾 なく行政が土地に立ち入り、アカギの駆除を行ったのであれば、財産権侵害の問題は回避 できると私は考える。

次節以降で具体的な条例の内容について示したい。

2.具体的な条例に関しての考察

本章 1. では、条例における外来種の駆除を行っても違法ではないが、そのためには、所 有者の捜索が不可欠であると述べた。本節では、平成 19 年(2007 年)に行われた、小笠 原地域自然再生事業アカギ対策調査私有地での事業用地確保に係る研究会の中で示された、

小笠原村生態系保全条例案も参考にしながら、具体的に本条例の内容について言及してい きたい。

本条例の名称であるが、条例案においては条例の名称は「小笠原における外来生物種対 策の実施に関する条例(略称:外来生物種対策条例)」あるいは「小笠原村生態系保全条 例」が案として示されていた。この条例は、固有種を保護することを目的として外来種を 駆除するものである。このことから、外来生物種だけではなく、生態系全体の保全を目的 とするという意味を明確にするために、小笠原村生態系保全条例が妥当であると私は考え る。

(23)

第 1 条に目的、第 2 条に用語の定義、第 3 条に責務が述べられているのは、先述した

「あき地の雑草等の除去に関する条例」や「空き家等の適正管理に関する条例」等をはじめ とした条例と共通している。

条例案第 1 条では「小笠原諸島の特徴ある固有の生態系を将来にわたって保全するため に、小笠原村の行政と住民、地権者および来訪者が負うべき責務と取るべき対策について 定める事」を目的としている。ここで注目したいのは、この条例案では行政と住民だけで はなく、地権者や来訪者に関しても対象としていることである。所有者不明土地問題を解 決するためには、地権者に対する所有土地に関しての管理規定を置くことが望ましいと思 われ、このことからも、地権者が負うべき責務に関して第 1 条で定めていることは評価で きる。また、観光客が多く来訪する小笠原という特異性に鑑みると、来訪者が負うべき責 務に関して定めることは必要不可欠であると考えられる。

第 2 条では用語が定義されている。第 1 項では「固有の生態系」、「保全・再生」、「外来 生物種」、「駆除」に関して、第 2 項では「住民」、「地権者」、「来訪者」に関しての用語が 定義されている。この中で「「地権者」とは、その現在の居住地が小笠原村の内部であるか 外部であるかに関わらず、小笠原村に土地を所有または占有する権利を有する者をいう。」

とされている。

第 3 条では行政と住民、地権者および来訪者の責務が掲げられている。条例案では「小 笠原村の住民と村長は、小笠原諸島の固有の生態系を積極的に保全・再生する責務を有す る。住民および地権者は、生態系保全のために村が行う施策に積極的に協力するように努 める。また来訪者は、村の施策を理解し協力しなければならない。」とある。住民や地権者 が生態系保全のために村が行う施策に積極的に協力することは義務規定ではなく、努力規 定であることが分かる。この点、名張市あき地の雑草等の除去に関する条例では、「あき地 の所有者、管理者又は占有者(以下「所有者等」という。)は、当該あき地が不良状態にな らないよう常に適正に管理しなければならない。」という、義務規定である。外来種の駆除 を行う際は、全ての地域で行う必要性があることから、外来種の駆除の拒否はあってはな らない。このことから、地権者に対する外来種駆除に関しては努力規定ではなく義務規定 であることが望ましいと考えられる。「住民および地権者は、生態系保全のために村が行う 施策に積極的に協力するように努める。」の部分に加え、「地権者は、当該土地において生 態系保全に関して常に適正に管理しなければならない。」等の条文を設けるべきであると考 える。

第 4 条では外来生物種対策への住民等の協力が定められており、第 1 項では「村長は、

小笠原固有の生態系を保全・再生するために、その生態系に悪影響を与えている、あるい

(24)

はそのおそれのある外来生物種を駆除し、また新たな侵入を防止するために、必要な対策

(以下「外来生物種対策」という)を講じなければならない。また村長は、対策を講じるに あたっては、国や東京都等の関係諸機関と協力するものとする。」とある。この条文では外 来生物種を駆除することを小笠原村に義務付けている。

第 2 項では「村長は、外来生物種対策の効果的な実施のために、住民および地権者なら びに来訪者に対し、必要な協力を求めることができる。」とある。先述したように、外来種 の駆除は最終的には強制力を伴うものであるべきである。「協力を求めることができる」と いう条文では、外来種の駆除の拒否の可能性があるため適当ではない。「村長は…(中略)

…必要な協力を求めることができる。」という条文に変えて、「村長は、外来生物種対策の 効果的な実施のために、地権者に対し、外来生物種対策に関しての実施要請を行うことが できる。地権者は村長からの外来生物種対策に関しての実施要請を受けたときは、従わな ければならない。」等の強制力を伴うものにすべきである。

第 3 項では、「村長は、外来生物種対策の対象となる動植物種および対策の具体的内容

(別表参照)を、住民の意見を聴取した上で決定する。その際、村長は、東京都や国等の関 係諸機関および学識経験者、その他、小笠原諸島固有の生態系の保全・再生に関心を有す る者の意見も聴取し参考とする。」とある。この条文では村が外来生物種対策条例の対象と なる動植物種および対策の具体的内容を決定するとある。また、学識経験者等の意見を聴 取し、参考とするとある。しかしながら、外来生物種対策の具体的内容については、専門 的知識を必要とするため、国の関係諸機関や研究機関、大学教授等の専門家が主体となっ て検討することがふさわしいと考える。そのため、外来生物種対策のための調査会を設け、

具体的な外来生物種対策について総合的に検討することが望ましい。「村長は…(中略)…

決定する。」という条文よりも、「村長は、東京都や国等の関係諸機関および小笠原諸島固 有の生態系の保全・再生に関する学識経験者を主体とした、外来生物種対策調査会(以下

「調査会」という。)を設ける。調査会は、住民の意見を聴取した上で、外来生物種対策の 対象となる動植物種および対策の具体的内容に関して検討を行う。村長は、調査会におけ る答申を尊重しなければならない。」という条文を設けたうえで、第 4 項に「村長は、外来 生物種対策の対象となる動植物種および対策の具体的内容を、調査会における答申を踏ま えて、決定する。」という条文を加えた方が良いと考える。

第 5 条では私有地の使用承諾について規定されている。第 1 項では「村長は、外来生物 種対策の実施に際し、必要があると認める場合には、対策に当たる者を私有地に立ち入ら せることができる。また、村長は、早急に対応を講ずる必要があり、かつ他に有効な手段 がない場合には、当該私有地内に生育あるいは生息する外来生物の駆除や侵入防止等の措

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置を行うことが出来る。」とある。この条文では外来生物種の対策に際し、対策にあたる者 の私有地への侵入と外来種駆除対策の措置について記している。問題点としては条文中に は「必要があると認める場合」に関しての説明が無く、基準が曖昧である点が挙げられる。

先述した外来生物種対策調査会において具体的な基準等を検討することが必要である。

第 1 項後半では所有者が不明かどうかに関わらず、早急に対応を講ずる必要があり、か つ他に有効な手段がない場合には、外来生物の駆除や侵入防止等の措置を行うことが出来 るとされている。所有者への周知や、所有者不明の場合の手順について明記されていない ことから、所有者への周知を行わずとも村長は私有地内での外来種駆除を行うことができ るとも読める。外来種駆除は財産権の制限を伴うことから、最低限、所有者への周知につ いては、明記した方が良いと思われる。また、本条例案では所有者が不明である者に対し ての記載がない。条例の検討途中の中で示されていた、旧案では地権者等が所在不明の場 合の私有地使用手続が定められていた。この中では「村長は、外来植物対策を私有地内で 実施しようとするに際して、対象となる土地の地権者の所在が土地登記台帳記載の住所等 では判明しない場合は、当該土地の地権者が通常であれば了知し得ると考えられるに足り る周知処置を講じた上で、当該土地内での外来植物対策を実施することができる。」とあ る。所有者が特定できなかった場合には、旧案第 6 条で示されていたように当該土地の地 権者が通常であれば了知し得ると考えられるに足りる周知処置を講じた上での外来種駆除 を行うのが良いと私は考える。ここで考えなければならないのは、「地権者の所在が土地登 記台帳記載の住所などで判明しない場合」と「当該土地の地権者が通常であれば了知し得 ると考えられるに足りる周知処置」についてである。地権者の所在の捜索についてはⅡ.

2. で紹介した、母島におけるケーススタディで行われたものが適当であると考える。この 捜索は、土地登記台帳記載の住所にアンケートを送付し、不達である場合には住民票・除 票の公用請求を行うというものである。この捜索を行った上で所有者が発見できない場合 には、「当該土地の地権者が通常であれば了知し得ると考えられるに足りる周知処置」を講 じることになる。本章 1.で述べたように、所有者を発見できなかった場合には、その旨 と関係権利者に名乗り出るよう公告を行うのが望ましいと考える。

第 2 項では「地権者は、自己の所有あるいは占有する私有地内における外来生物種対策 の実施に対して、それらを拒否する正当な理由がある場合にはその旨を村長に申し出るこ とが出来る。」とある。地権者自身が駆除を行う場合などに外来生物種対策の拒否を行う必 要があり、この条文は必要であると考える。

第 6 条では外来生物種対策の実施に関する周知措置について規定されている。これまで に行われてこなかった財産権の制限を伴う外来種の駆除を含む条例であるため周知措置を

図 3 東台地区の所有者状況 私有―共有者有私有―共有者無都村差押285 136144図 2 東台地区 214 筆の所有状況
図 6 土地所有者の把握状況 登記簿住所住民票等も入手不可転出住所表記変更死亡51%6% 3%2515%図 5 所有者探索調査の結果

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