埼玉大学紀要 教育学部 ( 教 育科学 ) (Ⅰ Ⅰ)
第3 2 巻 ( 1 9 8 3)1 1 1‑1 2 0 頁
柔道 における競技分析的研究
野瀬
Ⅰ 目 的
近年, ヨー ロ ッパ諸 国を中心 に海外 におけ る 柔道 の普及が進み,毎年, ヨー ロッパ選手権大 会 を始め多 くの国際大会が,盛大 に開催 されて いる。 これに ともない外 国柔道選手 の競技力 も 飛躍的 に向上 し,我が国 と肩 を並べ るに至 って いる。 この よ うな状況 の中で,最近 開催 された 世界選手権大会, 国際大会 をみ ると,監督 , コ ーチの他 に専門的 に分化 された ス コアラーの存 在が多 く見受 け られ る。 ス コアラーは,競技内 容,得点等 の経過記録 を全 て記録 しコーチに手 渡す とい う役割を果た し,映像 を記録す る者 と は全 く別個 の働 きを している。 この諸外国のス コアラーによる敵密 な競技分析が, 国際大会 に おける 日本選手 の不振 と関わ りがあ ることが, 最近,指摘 され るよ うにな って きた。 しか し, 我が国では, い まだ に このシステ ムの内容が明 らかに されていない。 ビデオ,1 6m m 等の視覚を 通 してのみの対策 は,技術分析的 な傾 向が強 く, 技術発現の/ くターンを構造的 に解析 した り,運 動経過 を全般 的 に と らえ るに は,時 間的 な制 約 を受 け困難 な面 が多 い。 これ まで数多 く行わ れて きた柔道 の競技分析的研究 は,試合内容 を 1 6 m 皿カメラ,Ⅴ. T. 良 . 等 に記録 させ,後 日分析す る とい う研究が多か った。例 えば大滝 ( 1 9 53 )1 ) は,施技数 と技 の傾 向を分析 し,体格 と試合成 蘇,得意技 の関係が大 きい ことを報告 してい る.
松本た ち ( 1 974) 2 ) 紘,全 日本選手権大会 におけ る施技数,防禦法,試合場 の使 い方,左利 きの 実態, ロスタイムを明 らかに している。川村た ち ( 1 977) 4 ) は,世界選手権大会 における競技分
* 保健体育学科
H 筑波大学体育専門学群 書 = 山形大学教育学部
清書 *・竹 内 善徳 **・辻原謙太郎 ホ**
折 を行 い,上位 国間の力 は急速 に接近 して きて い るが,依然下位 国 との差 は大 きい と指摘 して いる。杉 山 (1 977) 3 ) は,投技 における微細動作 分析 を行 い,試合場 での移動 の方 向,組み方等 の研究 よ り,技術水準が高 まるにつれ多様 で複 雑 な動 きが多 くなることを報告 している。比較 的最近 では,竹 内たち ( 1 9 80 ) 5 ) の嘉納治五郎杯 国際大会 の施技数,組み方,防禦法 の分析があ り,外 国選手の方が 日本選手 よ り施技の種類 も 多 く,組 み方 も多様 であ り,体力 を利用 して防 禦す る者が多 い との報告 がなされている。
以上 をみ る と,総体的 な傾 向をみた研究が多 く,個 々の選手 の特徴 を とらえた競技分析 は全 く行われていない。そ こで,本研究では, ヨー ロ ッパ柔道の上位 国であ り, オ リンピ ック大会, 世界選手権大会 で常 に入賞者 を出 してい るポー
ラン ド・ナシ ョナルチームの使用 しているス コ ア用紙 ( 表 1)を参考 に,‑ ッ ドコーチ ,Ry s z a r d Zi e ni a wa 氏 よ り指導 を受 けた方法を用 いて,国 内主要大会 の競技分析を行 い,外 国の競技分析 法を知 る一助 としよ うとした。
また,1 9 80 年 5 月 1 日付で国際試合審判規定 の影響 に よ り改正 された,講道館柔道試合審判 規定 の ロスタイムの問題 について も取 りあげた。
この改正 に よ りロスタイムの取 り扱 いが大 き く 変わ り,全 日本選手権大会,国民体育大会等 の 国内主要大会 の試合時間 も次 々に改正 されたが, その後 ロスタイムの分析 は, ほ とん ど行われて お らず,試合 内容 に も大 きな影響 をあた えてい る とい う観点か らも興味が持たれ るものであ る。
Ⅰ Ⅰ 方 法
1 9 83 年 4 月2 9 日, 日本武道館で開催 された全 日本柔道選手権大会 に出場 した36 選手の3 5 試合 お よび1 9 83 年 6 月 6日, 日本武道館 で開催 され
‑ 1 1 1‑
表 1 ポーランドチームのスコア用紙
Ar ku s zobs er wac J IWal kj udo
( Naz wI S ko‑ kr ol ) Lp. Na zwat e c hni ki 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 C2 ; a S 0 Sumo 1 2 Cz as Sumo
3 4 5 6 7 8 9 1 0 1 UCHIMATA
2 O SOTO GARⅠ 3 SEOINAGE 4 HARAlGOS H l 5 TSURlKOMlGOS HⅠ 6 TAⅠOTOS H Ⅰ 7 O U C HⅠGARl 8 KOSOTO GAR
Ⅰ9 KO U C HIGARI 1 0 ASHⅠWAZA l lTOMOE NAGE 1 2
1 3 1 4
1 5 OSAE KOMI 1 6
1 7 SHl MEWAZA 1 8
1 9 UDEHⅠ SHⅠ GlJUJlGATAME 2 0
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ko ii mi e Dr atPI SI T 2
: am.1 9 5n .5 000
た全 日本学生
柔道体重別選手権大会9 5k g超級に 出場 した
2 5 選手の 2 4 試合を対象に表 2 のスコア 用紙
,表 3 の ロスタイム用紙に競技内容を記入 す る方法を とった。同時に Ⅴ. T. R . に両大会を収 録 し後 日スコアの検定,分析を行 ない,結果を 松本 らの 1 9 7 0 ,1 9 71 年全 日本選手権
の分析 と比
較 した。 また,全 日本選手権で決勝戦に進 出 し
階 級 /60 , 65, 71 , 78 . 86 , 95. 95 超,蘇
表 2 スコア用紙
日 時 年 月 日 記 録 者
N u 技 名 選手名 ll 対戦
著名
時 間 ( 分) 施 技 数 時 間 ( 分)
【施 技 数
1 2 3 4 5 6 7
1 2 1 3 4 5 6 7 1 背
負投
2 体 落
3 釣 込 腰
4 払 腰
5 内 股
6 支 釣 込 足 7 大 外 刈 8 大 内 刈 9 ′ J ヽ 内 刈 1 0 小 外 刈 l l 巴 投 1 2
1 3
‑1 4 1 5 抑 技 】 1 6 1 7 絞 技 l 1 8 1 9 関節技 卜 2 0
反 則
合
計
右 技 =l
左 技 ‑ i
教育 的 指導
KS効 果 +
有 効 ≒
技 有W 一 本 p
指 導
S
注 意C 警 告 K
反則負 H 表 3 ロスタイム用紙
選手名
()選手名 1 試合時間
】副牛 糞査
・ まて ‑ は じめ