Wnlows環境における制御教材の開発
一VisualBASICによるパラレルポートの制御一
DevelopmentofT℃achingMaterialibrSignalContmlunderWindowsEnvironment 一ControlofPalallelPortsbyVisualBASIC-
山本利一/服部昌博/河合勝清/牧野亮哉
●
日本教育情報学会誌「教育情報研究」
第13巻第3号1997,p41-46別刷
一VisualBASICによるパラレルポートの制御一
DevelopmentofTもachmgMatelialfbrSignalContrO1underWindowsEnvimnment -ContmlofPamUelPortsbyVisual-BASIC-
*1 *2 *3 *4
山本利一/服部昌博/河合勝清/牧野亮哉
中学校技術・家庭科の「櫛鴎礎」領域で利用する ことを目的とした制御教材を開発した.本教材は,
Windows環境のもとでプリンタ端子(パラレルボート)
を利用して,電圧を測定することを目的としている.
V鱈ualBadcでは直接にI/Oボートをアクセスすること はできないので,I/Oボートアクセス用のダイナミッ ク・リンク・ライブラリを作成して利用した。また,
電圧測定時にAC変換の仕組みを学習できるようにす。-,b・・・.
るために。耐変換された8ビットのデータの状態をCRT
画面に表示して?パソコンとのデ秘のやり取りが視
覚的に目で観察霜・確認でき,その内容が理解しやすい ようにエ夫してある.本教材を利用して,福井市内の 中学3年生を対象にして授業実践を行い,その効果を 調べた.
ステムなどの操作を経験させ,日常生活や産業におけ るコンピュータの役割やシステムについて考えさせる ことも大切である.」とある[']6またが中学校技術・家 庭科の教科書を調べると,「マイクロコンピュータを 内蔵した洗濯機,炊飯器,電話,VIR」,「センサの役
割,自動制御(温度,圧力,明暗速度などの制御)」
「ホームセキュリティでのセンサの例,エアコンの制 御(温度センサ→コンピュータ→制御対象)」,「回路 と信号,センサ→入出力インターフェース‐データ処 理装置」,「簡単な模型の制御」,「インタフェース,す なわちコンピュータと制御されるものとの間でデータ をやりとりする」などが記載されている121【31.このよ うに制御に関する学習項目が多く扱われるようになっ てきている.
これまでの中学校技術・家庭科の「情報基礎」領域 では,MS-DOS上のBASICなどによってプリンタ端 子やRS-232C端子などを利用して制御学習(-部はプ ログラム学習)を行うことが一般的であったI41I5Lし かし,ハードウェアの進歩に伴って,学校に導入され るパソコンもマルチメディア化が進んでいる.OSも MS-DOSからWindowsへと変わりつつある.そこで,
Windows上からも制御できる教材の開発を試みたソ フトウェアはVisualBasicを使用して,プリンタ端子 を介して電圧を測定する教材の開発を行った.
くキーワード>情報基礎,制御教材,Windows,
V尼ualBASlQA/、変換
1.はじめに
文部省の中学校技術・家庭科指導資料の「情報基礎」
の制御に関する項目を調べると,「簡単なインターフ ェースの組立て,動くおもちゃの制御,簡単な通信シ 論文受理日:1997年10月30日
*1YAMAMOTO,Tbshikazu,*2H/YrmRLMasahiro,*3KAWAI,Katsukiyo:福井県教育研究所(〒918n8O45 福井県福井市福新町2505)
*4MAInNO,I、'oya:福井大学教育学部(〒9100017福井県福井市文京391)
41
教育情報研究第13巻第3号
2.開発した教材 を0.625Vと2.5Vに切り換えができるようにしてあ
る.このICはレギュレータを内蔵しているので,VCc2
に加える人力電圧は8~18Vの範囲であれば,VCcl端子には5Vの安定した電圧が出力される.そのため,
回路の電源としてOO6P〈9V)を利用した…本教材の 本体部は,A/D変換回路とプリンタ端子を硬質の塩化 ビニール板に取りつけてある.その表側の面には各種 の設定条件を印刷して,LEDの点滅状態を見れば設定 状態が分かるように工夫してある.図2に本教材の表 側の面を示す.本来,プリンタ端子はパソコンとプリン タ間のデータ通信を行うために準備されたものである が,このように汎用的な入出力ポートとして利用すれ
ば,各種の測定装置の接続も可能となる.図3にA/D
変換用IC・MB4052を用いた回路構成を示す.(1)A/D変換装置
図1に示す教材は,測定する電圧をA/D変換して,
パソコンのプリンタ端子から取り込むものである.
A/D変換用ICとしてMB4052(F社製)を利用し,簡 易のA/D変換回路を製作したI61I7LMB4052は,バイ ポーラプロセス技術を用いて製作された4チャンネル 入力,8ビットデータ長の汎用A/D変換用ICである.
変換は逐次比較方式を採用しているので,変換速度が 速く,短時間に多数のアナログ量の処理が可能である.
また,全てのデジタル入出力端子はⅡTTLレベルコン パチブルであり,マイクロプロセッサとの接続も容易 に行えるので,幅広い用途に活用できる[81.このA/D 変換装置は,パソコン本体からのデータ出力線を利用 して制御信号をプリンタ端子へ送る.そのうちの下位 4ビットを次のように各種の信号設定に利用してい る;①4つのアナログ入力チャンネルを指定する信号 (CO,Cl)!②A/D変換を開始するための信号(Cs),
③A/D変換処理のためのクロック信号WDCCIn、
この時の設定状況は,各端子にIEDを取りつけて,そ の点滅状態から確認できるようにしてある.A/D変換 されたデータは,8ビットのシリアル信号として送り 出すので,プリンタへのBUSY端子に入力できる.入 力は4個の端子をもうけてⅢ各端子ごとに測定レンジ
麟尹鑑!|鑿鑿鍾議
図1開発した教材の本体部の外観
Printer
。sT:…。…。1..W
臘士.[±」.;器
。 。
D3-DOへの信号出力
OUT&H40.データ
A/、変換開始・終了開始:Cs(、2)に1-0信号を出す 終了:Cs(D2)にO→1信号を出す
データ入力
CL(D3)に1-0信号を出すと
二れにE2J01して。、◎(BUsy)に
1ビットずつデジタルi目を返し段す り0(Busy)信号取得INP(&H42)AND&hO4
レンジの82足
Z5V硯S=1):dJT&H46b&hOF q625vO弓s=o):dJT即4a&hoE 入力チャネルの設定
gVGNDCH3CH2CH1CHO o。。。。◎
図2開発した教材の上面の構成
42
プリンター用A/、変換実習回屋3
CH 3 2 】 0
C1(D11 1 1 0 0
CnfDnl 1 0 1 0
(2)I/Oポートを制御するためのプログラム
MSDOS上のBASICやDISKBASICの場合には,直 接I/Oポートの入出力を行うコマンドとして,our命 令とⅢP命令が用意されている.しかし,Windows版
のVisualBASIC(以下,VBと記す)では,I/Oポー トを直接アクセスするための命令は標準としては用意
されていない.そこで,Windows環境のもとで,VB
からもI/Oポートをアクセスできるための命令を作成 する必要がある.このためにⅢダイナミック・リンク・ライブラリ(以下,DILと記す)を作成し,VB で利用できるようにした.VBからは,簡単に
WindowsAPIやDILの呼び出しが可能となっているの で,作成したDILを読み出すことでI/Oポートのアク
セスが可能となるI9LVBにおけるDILの呼び出しの
宣言は,Dedare宣言をしたファイルをエディタなどで先にモジュールbasとして作成しておき,ファイル
図3A/、変換用IC・MB4052を用いた回路構成■、
リスト1DLLによる萱百部のリソースリスト
リスト2Windows95用のDLL作成のソースプログラム
●
/WisualCl-卜Ver4xWindows95io32.C坪
#include〈conio.h>.
declspec(d11坪ort)illtOutS(Imsignedshortadrbintdata)
( return=d1tp(a土bdata0;
}
declspec(dlledKport)unsi印edShortOutWhmsmedshorta士,Imsi即edsllomFtdata)
( rBtunl-OutpW(a。[idata);
ョdeclspec(dllemort)intmSqmsmedshortadr)
)(
retlm1-inp(adr);
}
declspec(dlleXport)unsi印edshortlnPW(Imsi印edshortadbP)
( retum-inpW(a士);
)
43
教育情報研究第13巻第3号
追加機能により必要なプログラムに追加することによ って可能となる.リスト1にそのソースリストを示す.
I/Oポートをアクセスするためのコマンド用DILを作・
成する方法は,WindowsalとWindows95では異なって いる.Windows3.1の場合は,DelphiVer,1(B社)と VisualC++Ver、1(M社;以下,VC1と記す)で作成 する.Windows95の場合は,DelphiVer2とVisual C++Ver、4.0(以下,VC4と示す)で作成する.学校 現場のコンピュータ環境は様々なので,Windows3.1 用とWindows95用の両方のDmLを開発した110]・開発プ ログラムソースリストの一部(Windows95用のDIL をVC4で作成)をリスト2に示す.
しかし,本プログラムでは;シリアル通信状況を観 察・確認させるために,あえてクロック信号速度を,
クロック/秒と遅くして,ゆっくりと電圧データの A/D変換の状態を表示するようにしてある.
(3)VisuaIBASICによる制御プログラム
A/D変換用回路を制御して,電圧を測定するための プログラムを2種類開発した.
第一はシリアル通信状況確認プログラムであり,図 4にそのプログラムによるcRr画面例を示す。レンジ の切り替え,チャンネルの切り替えをマウスで行い,
シリアル通信状況の観察・確認と測定電圧を表示する ものである.操作方法は次の通りである.
①レンジの設定
②チャンネルの設定
③A/D変換開始
④Dataの取込みまたはシリアル通信状況の観察.確 認
⑤A/D変換終了または表示のクリヤ
上記の手順を取ることによって電圧を測定できる.
シリアル通信状況の観察・確認のために,8ビットの データがどのような状態で戻ってくるかを表示するよ
うにしてある.
具体的には,MB4052がデータを逐次比較変換する 様子をoと1で表示している.この表示状態を見るこ とにより,電圧データのA/D変換の原理を学習するこ とができる・これはクロック信号に応じてA/D変換さ れたデータの結果をパソコンに戻しているが,クロッ ク信号を高速にすれば電圧測定も短時間にできる.
図4シリアルデータ通信状況確麗 プログラムによるCRT画面表示例
図5A/D変換計測実験プログラムによる CRT画面表示例
44
-屯 A、蕊奥(MB4052) ‐ ▲
電圧 V
StaMsb・・・LsbSlb UDD111D101 '0010101011
●
A、関奥徽合
、at5国繭ム A、愛換終了
、838235
"アル通信稲認
表示のクリア
-lPrmtemf-卜用A、麺;h計鯛嘱国験謬謹1-1△
□。
0
■
R■
Ⅲ四0q
●醐醐翻珂
因因因図蜘叩醗醜
因口西口翻狐
副川正 呵叫 c》
唾顕》 』
1.』 』
PP●。●●■。●●●●0CCC●OSDqP●●の、be▲●●-口● ̄●■●●GQ
八/、'V、~、ハヘノ~
もう一つはA/D変換計測実験プログラムであり,図 5にそのプログラムによるCRT画面例を示す.チャン ネルの切り替え,レンジの切り替えおよび信号制御を マウスで行い,測定電圧の時間変化をグラフ表示する
ものである.操作手11頂は,次の通りである.
①チャンネル設定(同時に4チャンネル測定可能)
②レンジの切り替え
③測定開始(各電圧の値を1秒ごとにグラフ表示する)
④D4-D7端子への信号制御
この信号制御は手動で行うものである。制御信号の 設定をすることにより,入力信号制御だけに止まらず1 出力信号の制御学習も可能となる.このプログラムで は,手動で制御信号のON/OFFを行っているが,特定 の電圧であれば自動的にD4-D7端子信号のON/OFF 制御ができるようにプログラムを改善することも可能 である.
A/D変換プログラムによる画面(自動的にA/D変換
された結果のデータをグラフ表示している)では,「パ
ソコンを使えば測定が簡単になる」,「パソコンを使う とデータ記録を自動的に取ることができる」など,計測にパソコンを利用する利点を体験的に理解できるよ
うになっていたまた,パソコンの外部へ命令を出せ ることから,入出力の考え方や,「温度がある一定値 になるように制御できるなら,これを使ってヒーター スイッチのON/OFF制御ができるのではないか」など,自動制御機構への興味・関心を持つ生徒も多く現れて
きた.
4゜まとめ 。◆
本教材は,これまでのDOS上からプリンタ端子への
信号を制御するものではなく,Windows上からVBを
利用して,GUI環境のもとでプリンタ端子への信号を制御するものである.本教材では,各種操作を全てマ
ウスのボタン操作で行うことができるようにしてい る.したがって,操作も容易であり,生徒の理解も比較 的に早いという結果が観察された.また,通常のやり
方では,パソコンと教材のデータのやり取りはブラックボックス化して省略することが多いが,本教材では,
データ信号のA/D変換について,データ信号のやり取 りをCRr直面に表示することによって,より深く学習 することが可能となった.また,データ信号の入出力
についての観点から,自動制御の大切さや便利さを生.徒たちが本教材による測定実験を通して感じ取ってい
たことが観察された今後はハードウェアの進歩に伴って,Windows環境
のパソコンを設置する学校が増加することが予測され る.したがって,本教材のような新しい環境に対応した教材開発は不可欠となってくると考えられる.今後
は,教材の改善とともに効果的な指導方法の研究を進めていきたい.
3.授業実圏
1997年9月に福井市内の中学3年生(32名)を対象 に!「パソコンで電圧を測定しよう」という学習課題 で授業実践を行った使用機器は,パソコン(PC‐
9821)10台Ⅲ本教材10セットの環境で行った授業の 流れは,①教材の仕組み,②データ信号の逐次変換の 仕組み,③CdSの電圧測定,④センサーからの入力信 号のA/D変換処理(制御の原理)についての学習の手 順を取った.
生徒たちは,WindowsのGⅢ環境のもとで,マウス を使って「明るさの変化に対する,CdSの電圧の変化」
を比較的とまどいなく測定していた.データ信号の逐 次比較方式による変換の学習をする前は!どうして,
1本の入力端子で電圧が測定できるか分からなかった が,ほとんどの生徒がシリアル通信状況の観察・確認 プログラムによる画面WD変換された8ビットのデ ータを表示している)を見ることによって]BUSY端 子1本を介して電圧を測定することができることを理 解できるようになっていた.
45
教育情報研究第13巻第3号
参考文献 における入出力信号処理用学習教具の制作一プリン
ター端子を利用した入出力ボードおよび制御用簡易
ソフトの制作一,福井大学教育学部紀要第V部応用科学技術編‘No31,pPl-13
[7]伊藤康明(1991):生徒実験用簡易型A/D変換器の 開発,科学技術教育研究紀要,第1号ppl-12 [8】鈴木隆(1991):代表的なA/Dコンバータの特徴と
使い方,トランジスタ技術spec血、,No.1qCQ出版社
[9]富士通半導体ディバイスDAmSHEET:A/DコンバータMB40520996)
[10]渡辺明禎(1996):特集Windows時代のハードウエ ア,トランジスタ技術,1996年12月号,CQ出版社
[11]服部昌博(1997):VisualBasicでI/Oポートを制御
するプログラムの作り方,TRYrC,No5,CQ出版社
、文部省:中学校技術・家庭科指熱資料一指導計画の 作成と学習指導の工夫p型(1991)
【2】鈴木寿雄他:「技術・家庭科上・下」(文部省検定教科 書),開隆堂出版(1997)
旧]石田晴久他:「新編新しい技術・家庭科上・下」(文部 省検定教科書),東京書籍(1997)
[4]例えば,亀山寛(1998):プリンターインターフェ スを利用した制御教材の検討,日本産業技術教育学 会誌’Vol鍋No3ppl85~l98
I5]例えば,但馬文昭,武揮陸(1994):プリンターイ
ンターフェスを使用したり/A変換。A/、変換教材,
日本産業技術教育学会誌,Vol36,No4pp291-296
[6]山本利一,牧野売哉〈1996):中学校技術・家庭科■●