堪 航 能 力 と 海 法
︵ 2
︶
志 津 田 氏 治 幽
堪 航 能 力 担 保 の 範 囲
の 船体の適格性 船舶が堪航能力を保つためには︑船体および主要構成部分が水密で堅牢で信頼性のあることが頃
求 さ
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( 註 ‑ )
conditon,and equipment to encounter the ordinary perils of voyageとする (Carver,7th.ed.,p.23)‑ア
メリカの多数の判例でも同じようなことが確認されている︒ところで船舶の設計なり構造の適格性も︑その船舶によ
って使用される運送が︑物品運送であるか旅客運送によって異ってくるものである(特殊な運送品のときは︑特殊載貨熊
力が必要とされる)︒船舶が水密︑堅牢︑安全であることは︑堪航性保持の重要な要素であるところから︑過度の老朽
(琵2)
(老令船)︑推進装置の不完全︑汽錐などの重要な機械の欠陥などの場合は不堪航を構成するものといえよう︒アメリ
(註3)カの判例でもつぎのような場合には不堪航であると判断されている︒たとえば全船腹の三分の二を船積し︑平穏な水 面 で し か も 微 風 状 態 の も と に 漏 水 沈 没 し た と き は 不 堪 航 で あ る こ と ( L a F e r r i e r v . S o o R i v e r L .
&
W . C 0 . , 1 2 9 m
‑ i c h 5 9 6 , 8 9 , n w 3 5 3 )
︑ あ る い は ボ イ ラ ー に 泥 水 を 入 れ て 出 港 す る こ と は 不 堪 航 で あ る こ と ( S e v i l l e C o . , v . C o 1
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経 営 と 経 済
二 五
八
できる鎗口(司︒立何回︒目︒)を開放したまま︑出航することは不堪航ではないとする判例もある(∞芯己ア∞
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︒ 品
目 ︒
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間 M Z w o p m u ‑ 一 ∞
ω ω )
︒ 学説のなかにも舷門その他の閉鎖不充分の状態で出帆したような場合
に︑そのために波浪の浸入により貨物に損害を生じたときは︑不堪航ではなく船員の過失であるという見解もあるが︑
その当否は可成り疑問であるといえよう(印吉田
V H H g
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国呂田
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﹁ 包
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ア ピ ・ 西 島 博 士 ﹁ 船 荷 証 券 論 ﹂ 二 四 ニ 頁 で は 不 堪 航 で
あると解されている)︒また船舶が頭部過重つまりトップヘヴィのときも不堪航であるとされている
(O ロZ
・
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一
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仏∞∞∞)︒また船体の構造設備一般については船舶安全法が詳細な取締規定をおいているが(安全法二条)︑こ
れにもとづいて多数の諸規程つまり船舶設備規程︑船舶満載吃水線規程︑船舶機関規則等が制定されているので︑こ
れらの規格にあわないときは︑一応不堪航の推定をうけることもあろう︒蓋し船舶安全法は︑船体および機関の構造
ならびに諸設備について︑最低の基準を定めることによって︑船船の堪航性と人命の安全とを保持するために制定さ
れたものであるからである(安全法一条参照)︒そのほかに同法によれば︑船舶の安全を確保するために︑個々の船舶
につき︑その性能の最大限度を明らかにしておき︑その限度を超えて船舶を使用することを禁じている︒たとえば航
行区域︑満載吃水線︑最大塔載人員︑制限汽圧の制限等が乙れであろう︒従って︑かかることも船舶の堪航能力を判
定する重要な参考資料となろう(大浜前掲書一八頁以下︒勝呂教授﹁海上保険﹂二八二頁以下参照︒乙の点に海事私法と海事行
政 法 と の 密 接 な 関 連 性 の あ る こ と は 注 目 す べ き で あ る
︒ )
︒
1( 註
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( 註
2)
船 舶 の 機 関 損 傷 の ケ
1
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︒ た と え ば 機 関 損 傷 が 主 機 グ 一 フ ン グ 軸 の 材 質 不 良 に よ っ て 発 生 し た 場 合 ( 昭 三
0
・ 八
・ ニ
九・汽船すみれ丸機関損傷事件)︑外部から窺知できない部分の材質が疲労したことによって発生した場合(昭三
0・ 七
・
ニ 七 ・ 機 附 帆 船 時 栄 丸 洗 没 事 件 ) ︑ 主 機 第 六 グ 一 ブ シ グ ・ ピ ン 受 金 締 付 ボ ル ト の 工 作 上 の 欠 陥 に よ っ て 発 生 し た 場 合 ( 昭 三
0・八・一一・汽船日喜丸機関損傷事件)等多数をあげることができる︒機関損傷に対して機関長の過失を認めるときと︑そ うでないときとがある︒機船秋吉丸機関損傷事件(昭二四・二・審一九号)では︑受検の際船舶検査官が︑乙れに対して何.
等注意をあたえない場合でも︑該部に損傷が発生したときは機関長の過失と認定している(﹁海難審判庁裁決集﹂二巻五五
九 頁
) ︒
( 註
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船舶の属具とは船舶の一部分とは別個独立の物であって︑しかも船舶の常用に供するために︑船 舶に附属させた物であり︑端舟・碇錨・帆・羅針盤・救命具・海図・曳網などがこれに属する︒竹井教授が既に指摘 されているように﹁属具の決定的素因は船舶の常用目的ロ
22 E2 5N
君︒岳にあるから︑
(2)
属具の適格性
一時的の消耗品たる食糧・
石炭・弾薬又はパラスト(底荷)の如きはこれに属しない(海商法六三頁引用)ものとみるべきである︒乙の船舶の属且パ
は商法独自の従物(民法の従物と同一の概念ではない︒森教授﹁海商法原論﹂二七頁参照)であり︑主物である船舶と海産の
一部を構成するものであるから︑それに対する堪航性の要求も当然である︒従って船舶が碇泊しようとして︑海中の・
岩石の上に投錨したために錨が折損したような場合には︑不堪航が推定される
( 加 藤 博 士 ﹁ 海 上 危 険 新 論 ﹂ 五 八 六 頁
) 0
そのほかに属具が堪航能力を欠く例としては羅針盤の破損︑海図の不足などがあげられる(西島博士﹁船荷証券論﹂二四
四 頁
) ︒
乙の海図はその航海遂行に必要なもので︑安全な航海を可能ならしめる程度のものであればよく︑必ずしも
a
最新最善のものである必要はない(勝目教授﹁海上保険﹂二八三頁)︒
( 註
1)
属兵の不備または属具を備付けても︑それに朽敗損傷その他欠陥のあるときは︑堪航能力担保義務違反と解される︒大浜
前掲二五頁︑小町谷前掲七七頁︑西島前掲二四三頁︑属具の整備不良による海難事件(いかり・シヤグルベン脱落のため走'
堪航能力と海法
ω二 五
九
経 営 と 経 済
二 六
O
錨)としては﹁機附帆船第二川崎丸遭難事件﹂︿昭三 0
・ 七
・ 一 二 函 審 ) が あ る ︒
( 註
2)
海図に関する海難審判は注目に値いしよう︒たとえば海図を使用しないで目測によるとき(機附帆船三笠丸乗揚事件昭三 0 ・七・二九横審)︑訂正不充分な海図を用いたことを職務上の過失としている(汽船竹丸乗揚事件昭二五・一 0
・ 二 六 東
高審)︒尤もなかには︑乗場が海図の欠陥によるも受審人の措置を各めない裁決もみられる(機附帆船第一海安丸乗揚事件
昭 二 三 ・ 七 ・ 九 大 審 )
︒
船舶所有者は船舶が航海に堪えうるように︑必要な燃料・食糧・飲料水などを保有 しなければならない︒従って︑乙れら必需品の不足は不堪航を構成することになろう︒加藤博士によれば︑薬剤等の 消 耗 品 が 不 充 分 で あ る 場 合 も 同 様 に 解 さ れ て い る こ 乙 で 燃 料 と は 石 油 石 炭 の よ う な 船 舶 の 原
(3)
適当な燃料・食糧・飲料水
( 加 藤 前 掲 書 五 八 七 頁
) 0
動力を意味するのであり︑食糧・飲料水とは船員なり旅客の用に供するものである︒食糧に飲料水を含める学説もあ
る(塩田環﹁船員論﹂一八九頁)が︑食糧等の適当性の有無は畢寛︑海員なり旅客の地位︑船舶の種類︑航海の状況等
により変化するものであるといえよう(大浜前掲書三三頁︑塩田前掲書一八九頁
) 0
ところで船舶は︑一航海に充分かつ 必要な分量を発航港において具備しなければならないが︑しかし長期間の航海においては︑始発港を発航する際に全 部準備することが不適当であるか︑不可能に近いことがある︒従って今日の通説によれば﹁次の燃料補給港に至るま‑
での分と︑それに幾分の余祐さえあれば足る﹂
( 加 藤 博 士 前 掲 五 八 七 頁 ) と解されている︒このように理解すれば燃料
‑食料等について︑当初から必ずしも全航海を終了させるだけのものを積込む必要はなくなる︒
1
( 註
)
小町谷博士前掲書七八頁︑大浜教授前掲書三四頁︑西島博士前掲書二四五頁︑司
Oロ ロ 仏
3 3 m o
の場合には︑船内貯炭呈
が直ぐ次の給炭港に達するに足りないときは不堪航とされる(勝目前掲書二八三頁)︒期間を定めない漁船の出漁航海では︑
船長がその準備した燃料を基準として作業なり航海を継続するので︑漁船の不堪航を搭載燃料の分量から決定した判例(同 の
N
‑ ∞o
p ω 印)もあるとされている︒勝呂前掲書二八三頁︑加藤前掲書五八七頁
( 4)
船員の適格性 船員は航海の安全と密接な関係があるので︑船舶所有者は船員についても堪航能力担保の義務が
ある︒船員には船長と海員とが含まれるが︑これらの者は︑船主の支配を中心とする有機的船舶団体への継続的な編入
と︑船上労務とを要件とされるものであり︑通常の航海危険を克服するのに適当な﹁員数﹂と﹁能力﹂とがなければ
ならない︒乙の点でイギリスの判例でも︑船舶には︑航海をするに十分な資格のある熟練と能力
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之をもっ員数の乗組員争用意しなければならないととを要求している(∞ぎ円︒ア悶
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( 註
1)
とを指摘している︒ところで︑ここで注意を要するのは︑既に瀬戸博士が指摘されるように︑適当な員数は︑当時の技
術的な性格をもっ海事行政法規の観点より此較的容易に判断できるが︑適当な能力についてはその判断が容易ではな
い︒蓋し適当な能力とは﹁肉体的(司
F M
訪g
ロ可)及び精神的
問(B gZ
己可)に当該航海に耐え得る能力﹂(瀬戸博士﹁堪
航担保義務論﹂国経三四巻四号九九頁)をいうからである︒しかし︑いずれにせよ両者とも究極的には事実に従って判断
するより外はないことになる︒すなわち現在の船舶職員法によれば︑質として海技免状の受有を要求しており︑数と
して船舶トン数に応じた職員の数を定めているが︑海技免状の受有︑所要の法定員数の具備は︑単に堪航能力がある
( 註
2)
ことを推定するに止まり︑それ以上をでるものではない︒堪航能力は前述のように事実性の問題であり︑各航海の性
( 註
3)
質なり個々の航海段階の状況に照らして決められるべきものであるからである︒不堪航と判断された例としては︑船
長が重病に躍ったときに︑適当な船長代理をおかないで発航したことをあげている(のご内向 oE4
52p
・ 出
呂 町
﹀ ︒ 適 当
な代理人の在否は︑形式的資格の面から決めうるものではなく︑その職務を適当に処理できる事実上の能力の面から︑
乙れを捉えなければならない︒ことに漁船の場合に船長が乗船しないで︑漁携長がこれに代ったときにも︑乙の方面
( 註
4)
♂
に着目して地航能力の在否を判断しなければならない(加限博士によれば︑漁掛長が永年の経験に基づいて船舶の採るべき行
堪 航 能 力 と 海
法
ω一 一 六
経 営 と 経 済
一 一 六
動を判定し︑若年の船長はこれに従ってその指揮をなすに過ぎない場合が多いから︑か﹀るときには一応船長の不在は︑かかる船舶
の不堪航をなさないとされる︒前掲書五八八頁)︒そのほかに残酷で不正を働く乗組員の蟻装(﹀弓白隠∞思円四倍ロ?の己包
ω・
E ‑ 同 ︐
N U O )
︑あるいは継続的に暴行を加える一等航海士に従属している海員には不堪航の申告権があたえられている
0
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・
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また船員が伝染病菌を保有しそれが船舶全体の安全に影響がある限り不堪航を構成する
ものと解される(国包
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H Y ‑ O・スグラットンによればこの無資格をつぎのように捉えてい
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( 註
2)
西島博士前掲書二四二頁
︿ 註
3)
法定の船舶職員の不在による海難審判事件は可成り多い︒昭和二三年十二月には機関長不在のまま発航した﹁機船千栄丸
機関損傷事件﹂(小審)があるが︑そのほかに﹁機付帆船第十二太平丸機関損傷事件﹂(昭二・三・一八・小審)︑﹁機付帆
船 富 士 丸 安 全 阻 害 事 件
﹂ ( 回 二 四 ・ 六 ・ 一
0 ・門審)︑﹁機付帆船第十一東丸遭難事件﹂(昭三 0
・ 九
・ 八
・ 東 高 審 ) が あ る
︒
とくに﹁機付帆船第五十三興安丸はしけ天十三号衝突事件(昭=二・六・二五・東高審)では︑機関長欠員のまま無資者に
機関の運転を任せて航行したことを︑船長の職務上の過失としている︒
4
( 註
)
無資格の漁踏長に運航を委ねた船長の責任(機付帆船大吉丸機付帆船龍神丸衝突事件・昭二六・二審三五 O 号)︑濃審運
航を有資格者の漁掛長に放任した船長の責任(機付帆船第五喜久丸乗揚事件・昭三三・二審三 O 号)等多数のケ
1ス が み ら
れ る
︒
(5)特定の航海では︑水先人を
( 1 T )
け )
ととが多い︒そこで水先人を使用しないということは︑船舶の安全な航海手続をとらなかったという点で︑不堪航と 水先人の適格性
要求することが︑
法令なり慣行のうえで是認されている
なることが考えられる︒また水先人は水先業務に適任者であればよく︑必ずしも形式的資格者であることを要しないと
いうことは船舶乗組員の場合と同様である︒イギリスでも︑かつては水先人を乗船させない事実を不堪航として捉え
( 註
1)
る判例もあったが︑最近ではこれと反対の見解を支持する判例があることも注目すべ︑きであろう︒このように水先人
使用の有無からする堪航性判定の問題も︑西島博士が指摘されるように︑
であって︑一概に論ずることはできない﹂
あるいは顧問として捉える限りでは︑船長の事実上の能力と航海上の必要の度合(任意水先か強制水先かでその必要性の ﹁それぞれの場合に応じて決せられる問題
(前掲書二四三頁)のである︒すくなくとも水先人を船長との関係で助言者
程度も変わってくる)とを考慮して判定すべきであろう︒そのことは水先法一七条二項からでてくる当然の帰結である︒
1
( 註
)
不 堪 航 と す る 判 例 と し て は
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・ そ う で な い と す る 判 例 と し て
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ま た 水 先 人 の 一 雇 入 が 可 能 で あ る に も か か わ ら ず
︑ こ れ を 一 雇 入 れ な か っ た こ と を 不 堪 航 と 解 す る 学 説 も あ れ ば
( ω g u
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︑ あ る い は ︑ そ う で は な い と す る 見 解 も み ら れ る ( ﹀
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403m州0
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)
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必要書類の備置
とは堪航能力担保の一つとなるものであるかどうかという乙とである︒学説のなかには︑これを担保範囲の一つとし 航海に必要な書類を備えつけないことは︑堪航能力を欠くかどうか︑つまり︑それを備置く乙
て 明 示 す る も の と ( 東 前 掲 書 三 三 頁 ︑ 大 浜 前 掲 書 六 四 頁 ︑ 加 藤 博 士 前 掲 書 五 九 二 頁 ︑ 勝 呂 前 掲 書 二 八 五 頁 ︑ 今 村 前 掲 書 一 七 五 頁 ) ︑
そうでないものとがある︒前者によれば︑ 一般に船長が法律上具備すべき書類を備えつけないときは︑不堪航として
取り扱われることがあるとされている︒ここで法律上具備すべき書類とは︑商法七
O九条および船員法一八条にもと
づいて船長が船内に備置かねばならない書類を指すものである︒それには属具目録・運送契約に関する書類・船舶国
籍証書または命令の定める証書・海員名簿・航海日誌・旅客名簿・積荷に関する書類などがある︒しかし船舶の航行
性との関連で必要な書類とは︑船舶関係法規のうえで︑その備置を要求しているすべてのものを指すものではない
D堪 航 能 力 と 海
法
ω一 一 六
経 営 と 経 済
二六 四
有力学説が触れるように︑航海を無事おこなうに関して通常必要とする書類を意味するものである(東前掲書三三頁︑
( 註
1)
加 藤 博 士 前 掲 書 五 九 二 頁 ︑ 外 国 で は
k r g o F
昌
ω
己2ESなどがある)︒たとえば船舶国籍証書なり船舶検査証書などを具備
しないときは︑船舶が全捕されることもあり︑あるいは航行を停止されることもあるので︑船舶所有者にとっては︑
船舶の安全な航行に必要な書類ともいえよう︒このような観点から︑上記の書類を備えないときは一応不堪航である
と解する乙とができよう︒
( 註
1)
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会∞・イギリスの判例
で は 健 康 証 明 書
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︑ 積 荷 証 明 書 ( 日 自 民
23
の 具 備 を 要 求 す る
︒ 詳 細 は 島 谷 英 郎
﹁ 英 法 に お け る 堪 航 能 力 ﹂ ( 法 学 研 究 三 三 巻 二
O
号
) 一
O
八
頁 ︑ 付 記 す べ き こ と は
︑ 船 積 港 で あ た え ら れ る 積 付 証 明 書
(8 25 2Zえ己
04
司 お
0)
は ︑ 航 海 に 必 要 な 書 類 で は な い か ら ︑ こ れ を 欠 い て も 不 堪 航 に は な ら な い と す る 判 例 が あ る ︒ 当 ロ
8ロ ア
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開凶
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円 ロ o
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ロ ・
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・ ∞ ∞
同 耐空能力担保義務との比較
海上運送契約において︑海上運送人が堪航能力を担保する義務を負うように
送法五条)︑航空運送契約でも航空運送人が︑傭機者︑荷送人または旅客に対じ航空機が出発の当時︑安全に航空をす
るに堪えることを担保する義務つまり﹁耐空能力﹂(﹀可
48 2F Eg
♂ F
え立 位︒ 宮山 m w
o
広)の担保義務があるものと
1
( 註
)されている(小町谷博士﹁空中運送法論﹂二一七頁)︒ととろで︑乙の耐空能力担保義務の法的な性質であるが︑それは結果
責任主義にたつものではなく︑過失責任主義に立脚するものであると解する︒蓋し航空機利用者の保護という観点か
ちすれば︑運送人はその不耐空について知ると否と︑また過失の有無を問わず責任を負担させることが望ましいが︑
( 商 七 三 八 条
・ 七
八 六
条 ・
国 際
海 上
物 品
運
しかし今日のように複雑な構造をもっ巨大船舶についてさえもその検査が容易ではなく︑隠れたる取庇の発見が困難 であると乙ろからも(大橋博士﹁海上物品運送法論﹂七九頁)︑その機構が一段と複雑精激な航空機の場合には︑その発 見が愈々困難であるといわ︑ざるを得ない︒この点からも航空運送人に結果責任を負担させることは苛酷きわまるもの
( 註
2)
である︒イギリス法でも﹁航空運送人は人として可能な範囲の注意力と技能とを尽して当該運送に適合する航空機を
提供すべき義務を負っている﹂(伊沢教授﹁耐空能力担保義務﹂
任の構成をとっている︒スイス法︑アメリカ法も同様である︒
(法学論集二巻二号七五頁)ものと解されていて︑過失責
( 註
1)
伊沢教授﹁航空法﹂六一頁︑小町谷博士﹁空中運送法論﹂一二七頁には﹀可
43 2E
ロ
2切の観念を確認されている︒池
田文雄﹁国際航空法概論﹂にも﹁航空機には︑所定の標識をつける必要があり︑正規の乗員と装備を備え︑法規に従って運
航し︑所定の携帯書類を常備しなければならない﹂(六五頁引用)とされている︒同・巧・
25 fd HO Fω
当 え
﹀ ﹂
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困 ・
3A∞
b・ 勾
M
・アメリカでも航空運送人は︑適当に航空機を装備する義務︑熟練の乗組員を配乗させる義務︑適当で安全
な着陸場所を準備すべき義務を課し︑とりわけパイロットは︑その航空機が旅客を運送するについての安全性を確認すべき
ことを義務づけている
( E M O
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勾 ∞ ) ︒
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2)
過失責任の根拠として伊沢教授は公平の精神によることを指摘されている(前掲著一一八頁)︒冨
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に無過失責任を負担させても︑危険の発生を防止できないので︑これを認めることは無意味であるとする(叶ZFω者︒同
50
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︒しかし乙の実質的な根拠は航空機のもつ技術的特性に求めるのが適切であろう(それはあた
かも海運の領域において︑木造船より鋼鉄船への技術的変遷が絶対的注意より相当な注意応変佑してきた近来の趨勢をみれ
ば よ り 明 瞭 で あ ろ う ︒
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1 会議でも耐空性についての
絶対的担保義務を剥除している(管原菊志﹁ワルソ 1 条約における
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印私己空法五号五五頁)︒イギリスでも航空運送
人には耐空性についての黙示担保は寄在せず︑ただ運送目的のために航空機が適当であるという相当の注意を払うべき明白
な制限があるのみであるとする︒戸岡山岳ミ・叶
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つぎに航空運送人の支払うべき注意義務の程度は︑ー伊沢教授によれば︑航空の危険性に鑑み︑相当高度のものとさ
れており︑また速力の担保ということが極めて重視されている
oしかし速力の担保は運送法一般に要求されているこ
航空運送の場合にだけ限られるものではない︒従って伊沢教授
( 道 路 運 送 法 一 九 条 ︑ 海 上 運 送 法 一 四 条 参 照 ) ︑
のように﹁耐空能力担保義務を︑予定された速力を維持して具体的な当該航空に耐えうる能力を航空機に持たしめる
義務であるから︑ただ一般的抽象的に航空に耐えうる適格を有せしめていただけでは不充分であると解される﹂(法
学論集八二頁引用)乙とは疑問であるといわざるをえない︒およそ速力の担保義務は︑耐空能力の観念中に含ましめる
ものではなく︑運送契約法上︑運送人の別個の義務として捉える万が妥当であろう︒つぎに相当高度の注意義務とい とであり
うことであるが︑これは航空運送人として払うべき業務上の注意ということであり︑その度合は当時の航空技術上の
( 註
1)
水準によって絶えず変佑していくものである︒
また航空運送人が担保する時期であるが︑海上運送の場合と同様に出発の瞬間だけを指すのではなく︑それよりも
以前つまり旅客の搭乗または積荷の積込の時からと解すべきである︒蓋し︑ この時点から旅客なり積荷は航海上の危
険にさらされるからである︒ここでいう出発とは最初の搭乗地または積込地の発航を指すのであって︑途中の各寄港
地の発航を意味しない︒乙の意味において海法とおなじくり
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を認めないのである︒尤も︑乙の義
務と関連して注目を要するのは︑船長の堪航能力検査義務と同様の趣旨で︑機長に耐空能力検査義務が職務上認めら
2
( 註
)
れていることである(航空法七三条の二︑船員法八条
) 0
乙の検査義務は事実上の検査義務であり︑機長は乙の検査を相
当の注意をもってすれば足りる︒いわゆる過失責任をとるものである︒また︑この検査義務は航行の安全を目的とす
る以上︑単に出発港の発航に止まらないで︑各寄港地の発航を含むと解すべきである(竹井﹁海商法﹂一六八頁)︒
︿ 註
1 ) ωの 同 三 件
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小町谷博士﹁統一船荷証券法論﹂七九頁
発 明 改 良 さ れ た 場 合 に は ︑ そ の 技 術 を 利 用 す る 必 要 が あ る ︒
︿ 註
2)
寄港地で不耐空の事実を発見したときは︑機長
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の職務上の注意義務により耐空能力を回復せしむ べきものとされている(航空法七三条の二)︒伊沢教授前掲論集八一頁機長の法的地位については船舶の船長の地位(とり
わけ運航法上の)に準ずる規定を各国の航空法はもうけている︒詳細は池田前掲書六八頁参照 その航空機の建造後に航空の安全率を増加する技術が
つぎに耐空能力の担保物の範囲について航堪能力との関連で若干考察してみよう︒
ω航空機の耐空性の具備
当事者の申請により航空機について耐空証明をおこなうものである(航空法一 O 条︑乙の耐空証明は︑日本の国籍を有する
およそ航空機は法令の定めるところにより耐空性を有しなければならない︒運輸大臣は
航 空 機 に 限 る の で あ り ︑ そ れ は そ の 航 空 機 の 用 途 ︑ 速 度 ︑ 最 大 離 陸 重 量 ︑ 最 大 着 陸 重 量 ︑ 重心位置及び発動機運用限界を指定してな
される︒耐空証明の有効期間は一年とされる)︒耐空証明がなされると申請者に耐空証明書が交付されるが(航空法一 O
条 五
項)︑航空機はこの耐空証明を受けたものでなければ︑航行の用に供してはならないのである(航空法二条)︒またわ
が国の航空法の五九条二号によれば耐空証明書の備え付けを要求している︒それは︑まさに船舶の場合に船舶検査証
書の具備が要求されるのと同様の目的を有するものであろう(船舶安全法施行規則一三二条
) 0
乙の点シカゴ条約でも︑
航空機はその国籍を有する国より耐空能力証明書を受けて︑これを備付けることとしている(条約二九条刷三一条
) D
従って耐空証明書さえ具備しておれば一応航空機自体が︑安全に当該航空をおこなうに充分な適格を有していたこと
の有力な証拠となる︒蓋し耐空能力も堪航能力のような形式性の問題ではなく︑事実性の問題であるからである︒
( 註
1)
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航空機乗組員の適当な配乗適当な乗組員の配乗は耐空能力担保のうえで極めて必要なととである︒機長︑操縦
士︑航空士などの航空機乗組員(航空従事者)は︑その業務の執行を適当におこないうる技能を有するものでなくては
ならない(航空法二三条以下
) 0
シカゴ条約でも国際航空に従事する操縦士その他の乗組員は︑航空機の登録国が発行
し︑またはその効力を確認した技能証明書(航空法三ニ条
l三
O条)︑航空機乗組員免許証(航空法三一条
l三三条)とを
有しなければならないとする︒それは︑まさに船舶職員の資格を規整する船舶職員法と同一の精神によるものである︒
尤も耐空能力の問題は︑資格問題ではなく事実問題であるので︑乗組員の﹁数﹂だけではなく﹁質﹂の面でも充分で
( 註
1)
あることを要求されるのである︒従って﹁当該航空路と航空機並びに該物品または旅客の運送に経験があり︑かつ適
当な機長その他の乗組員を乗組ますことである﹂
(伊 沢前 掲論 集一 二六 頁)
︒
1
( 註
)
西島博士﹁船荷証券論﹂二四二一良
適当な装備・燃料・書類の具備
ずシカゴ条約の二九条によれば国際航空に従事する締約国のすべての航空機が携行すべき書類(登録証明書・耐空証明
書 ・ 各 乗 組 員 の 適 当 な 免 状
・ 航 空 日 誌 ・ 無 線 機 を 装 備 す る と き は 航 空 機 局 免 許 状
・ 旅 客 を 運 送 す る と き は ︑
航空機の安全な航行を図るためには適当な践装がなされなければならない︒ま
そ の 氏 名
︑ 乗 組 地
︑ お
よ
ぴ目的地の表︑貨物を運送するときは積荷目録および貨物の細目申告書)の細目をかかげている︒この条約をうけるわが航空
法も航空機登録証明書︑耐空証明書︑航空白誌を備付けることを命じている(五九条
) 0
似の書類の備付けを要求されているのである︒また船舶の場合には海図・羅針盤・救命胴衣などの救助の具備を要求
しているが︑航空機の場合でも無線設備(航空法六 O 条)︑救急用具(落下さん︑救命胴衣︑非常信号灯)のような属具の このように航空機も船舶と類
具備を要求しているほかに︑航空安全のための特別装置として︑凍結防止装置︑外気温度計︑酸素吸入器︑航法計器
も必要とされている(航空法六二条
) 0
なお航空機の場合にも船舶と同じく燃料︑水︑食糧その他の給養品を準備する
ことが必要である︒尤も長期間の航行では出発港発航の当時︑全部準備することが不可能であることも多いので︑寄
航港において補給をすれば足りるものと解する(小町谷前掲書七八頁)︒
( 註
1)
船 舶 が 積 付 万 法 の 不 完 全 に よ り 船 舶 自 体 の 安 全 を 害 す る 限 り 不 堪 航 と な る ( 西 島 前 掲 書 ニ 四 六 買 ︑ 冨
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︒ 航 空 機 も 運 送 品 の 積 付 方 法 の 如 何 に よ り ︑ そ の 安 定 性 を 害 す る こ と が あ れ ば 不 耐 空 に な
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る (
伊 沢
前 掲
論 集
二 一
六 頁
) ︒
最後に耐空能力担保義務と挙証責任との関連性を捉えてみよう︒船荷証券統一条約では﹁航海に堪えない状態から
滅失または損害を生じたときは︑この条に定める免責を主張する運送人その他の者は︑相当の注意をしたことを立証
挙証責任を海上運送 しなければならない﹂
( 条
四
I )
とし︑国際海上物品運送法も同趣旨の乙とを定め(法五
I E
)
︑
人に負担させている︒これと同様に航空運送人も︑耐空能力担保義務が過失責任にもとづく限り︑自己が無過失を主
張して免責をえようとすれば︑無過失を挙証しなければならないのである︒尤も運送人が相当の注意を尽したかどう
かは︑運送人個人についてのみらず︑運送人の履行補助者についても︑これを判断しなければならない︒従って運送
人は相当の注意を欠歓して︑運送ロ聞に生じた損害に対して賠償の責任がある(この場合にその損害と不堪航との間に相当
堪 航 能 力 と 海
法
ω二六 九
経 営 と 経 済
二七
O
因果関係があることを要する)︒なお如何なる証拠があれば︑相当の注意をなしたことの立証があったとなしうるかは︑
各具体的な事情において裁判官の自由裁量にまつほかはない︒既に乙の点小町谷博士も指摘されるように官庁
検 査 官
M または権威的な船舶検査施設(ロイド・ピュ
IP‑‑dyェリタス)の検査合格証明書と雄も︑事実上有力な証拠で
はあるが︑法定証拠力を有するものでないから︑やはりその証拠力の認定は︑裁判官の自由裁量によるほかはない︒
( 耐 空 一
( 註
1)
船 級 協 会 に よ る 検 査 上 の 過 失 に つ い て 運 送 人 は そ の 責 に 任 ず る も ( 船 級 協 会 は こ の と き は 運 送 人 の 履 行 補 助 者 )
︑ 船 舶 検 一 査 官 吏 の 過 失 に つ い て は 運 送 人 は そ の 責 に 任 じ な い ︒ 後 者 は 法 的 強 制 に よ る か ら で あ る ︒ わ
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立小町谷博士海商法研究二巻四二三頁以下参照
国 船舶不堪航と海上運送法
予定の航海をでき得る限り相当の速力で(速力担保)︑ 離路との関係 海上運送人は︑傭船契約であると箇品運送契約であるとを問わないで︑発航港から目的港に至る
航行する義務を負うものである︒従って航海の途中予定の航路
を変更すること︑ つ ま り ﹁ 離 路 ﹂
でいう離路つまり航路の変更は(各自問︒︒片岡
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︑海上保険から海上運送法に取り入れた概念であるが(石井教授
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凶
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片 山
︒ ロ )
する乙となしに︑目的港まで直航することを要求されている︒ここ
﹁海商法﹂二三五頁)︑乙れは到達港には変更がなく︑そこに至るまでの予定の正常航路
( g 円
自己
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から離れて
航行し︑あるいは正常でない寄港をすることである︒乙の予定の正常佑航路とは︑特約による航路である︒特約がな
いときは海上運送人が慣習的に通常とる航路は︑海上危険を著しく変更増加させることにもなるので︑船舶の堪航性
とも関連して重要な意味をもつものである︒ところが現行商法では離路に関する直接的な規定はない︒たピ船員法の
九条に﹁船長は航海の準備が終ったときは︑遅滞なく発航し︑且つ必要がある場合を除いて︑予定の航路を変更しな
(罰則二六条参照)ことを明示して︑船長の職務内容として直航に関する斗義
務づけをしている︒同様の乙とは運送契約の場合にも︑その契約の性格上肯定する乙とができよう(小町谷博士によれー いで到達港まで航行しなければならない﹂
ば ︑ 船 員 法 九 条 は 船 舶 所 有 者 の 直 航 義 務 の 反 映 と 解 し て 差 支 え な い と さ れ て い る
︒ 統 一 船 荷 証 券 法 論 二
O 二 頁 ) ︒ し か し ︑ 乙 の 直 航 の
義務を絶対不変の義務であると理解すれば︑かえって運送航海のうえで諸般の支障を来たすものであるから︑必要が
あるときに限り離路を認めている︒問題なのは必要性の捉え方であるが︑これは具体的事実に即して決めるべきもの
であり︑国際海上物品運送法にいう﹁海上における人命若しくは財産救助のためにする離路﹂および﹁正当な理由に
( 註
1)
基く離路(四条二項八号) と同意義に解釈されるべ︑きであろう(条約四条四項参照)︒ では船舶の不堪航による離路が正
当なものであるか否かが問題となる︒イギリスなりアメリカの判例では︑船舶所有者の過失により船舶が不堪航であ
っても︑その堪航能力を回復するための離路は︑正当祝されるのであって︑不当な離路としての不利益をうけないも‑
( 註
2)
のとされているのである︒しかし上述のように離路が海上運送人の責に帰すべき事自による場合︑すなわち船舶が発'
航の当時運送人の過失つまり運送人が相当の注意を欠く乙とによって不堪航であったときは︑その責を免れないと解
すべきである︒しかし船舶が発航後︑ つまり航行の途中暴風雨に遭隅し︑不堪航に陥った場合には︑それを回復する
( 註
3)
ための離路(船舶の修理・燃料の補充)は許されるベェきであろう︒尤も乙の場合でも︑堪航能力回復のための離路に限ら
れるべきであり︑必要以上に離路をなすことはできないものと解すべきである︒
1
( 註
﹀ 円g目
05 20
含 己 主 目 ︒ ロ つ ま り 相 当 な 理 由 に よ る 離 路 の 場 合 に ︑ 相 当 な 理 由 の 立 証 責 任 者 は ︑ 別 段 の 特 約 を し な い 限 り 免
責を主張する運送人の側にあるものとされている(従って運送人の側で堪航能力回復のための離路であることを証明すべき
で あ る )
︒ 小 町 谷 博 士 前 掲 書 一 二 六 頁 ︑ 山 戸 教 授
﹁ 国 際 海 上 物 品 運 送 法
﹂ 八 一 頁 同
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の 判 定 は 各 種 の 事 情 を 劃 酌 し
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て な す べ き で あ る が ︑ 船 舶 積 荷 全 体 の 共 通 利 益 を 考 慮 に 入 れ て 決 め る べ き で あ り
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