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西 ドイツ新会計法 におけ る ■般条項 について

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(1)

西 ドイツ新会計法 におけ る

■般条項について

一財産・ 財務・ 収益状態の実質的諸関係に合致 した写像一

        ̀

は じめに

1.一般条項 とEC第4号指令お よび旧株式法 との関連

I: 

不確定法概念「 財産・財務・ 収益状態の実質的諸 関 係 に 合 致 した 写 像」の解釈

Ⅲ。 一般条項 と正規の簿記の諸原

llj

おわ りに

は じ め に

西 ドイ ツでは,新会計法 (貸借対照表指令法)が1985年 12月 24日に公布され た ことによって,商法会計制度の全面的改編がなされた。 この新会計法に よっ ,その名称「 会社法の調整に関する

EC第

4号指令;第7号指令,第8号 令の施行に対す る法律(lJが示す ように,ヨーロッパの会計制 度の調 和 化を 図ることを名日として

,年

度決算,連結決算,監査に係わる

EC指

令が ドイツ 国内法に転換されることになった。当初,西ドイツでは

EC第

4号指令の強制 する内容を越えたすべての企業形態に関連する包括的会計法を成文化すること が予定されていたが,関係諸団体の圧力によって

,第

4号指令の強制規定のみ が商法典の中に成文化されることになったといわれる

2)。

この新会計法は商法 典第二編「 商業帳簿」 (Handelsbucherpに編 入され,1986年 1月 1日 り発効 し,それが年度決算書,状況報告書および開示に関する限 り同年12月31 日以降に始まる営業年度に適用されなければならないことになっている.。

3)

小稿では,このような西 ドイツ新会計法のうち,特,商法典第二編,第 ,資本会社に1関する補完規定における第 264条2項に掲げられた一般条項を

(14の 23

(2)

取 り上げ,その意味内容がどのようなものであるのか,ま,それは新会計法に おいてどのように地位づけられているのか,について若千の考察を行 うもので ある。一般条項における「 財産・財務・収益状態の実質的諸関係に合致した写 像」 (ein den ttts∝hlichen Vermitnissen entsprechendes Bild der VermttenSち Fh測協¬ und Ertrttsl電 e)は,EC第 4号指 令 の

「 真実且つ公正なる概観」 (true and fair view)なる表現を概ね説明した とされるが,この「 真実且つ

/AA正

なる概観」とい う英米流の実質主義思考が資 本会社の年度決算書作成の一般原則 として取 り入れ られたことは,それ自体で みれば情報開示の強化 とも受けとめられるが「『 真実且つ公正なる概観』なる ものが従来の ドイツの貸借対照表表示実務を根本的に変更するものでないとい うことについて原則的に意見が一致している

(4」

と随所で強調される主張を照 応すれば,一般条項の意味内容 とその新会計法における地位とを明確にするこ とは新会計法を理解するうえで肝要事のひとつと思われる。とりわけ,3264条 2項においてこの一般条項に「正規の簿記の諸原則を考慮して」(unter Beac‐

htung der Grunds訓″e ordnungs■ 蘭蘭iger Bucl暉thrung)と の限

t;走

与えられていることは,商法典第二編,第一章すべての商人に対する規定の第 243条1項 (および第238条)の年度決算書の一般原則「 正規の簿記の諸原則 に従って」(naCh den Grundsttzen ordnungsmttiger Buchtthrung)」

との重層規定を意味するものであ りドイツ会計制度において枢要な地位にあ る正規の簿記の諸原則 との係わ りあいで一般条項の法的地位が考察されなけれ ばならないことを示唆するものであろう。小稿はかかる視点か ら限定的ではあ るが新会計法における一般条項について考察するものである。

l.‐般条項と

EC第

4号指令および旧株式法との関連

商法典第二編,第二章 264条2項iは次のように述べ られている。「 資本会 社の年度決算書は,正規の簿記の諸原則を考慮して,資本会社の財産・財務 お 収益状態の実質的諸関係に合致した写像を伝達 しなければならない。特別の状 況によって,年度決算書が 1文 の意味での実質的諸関係に合致した写像を伝達 しない場合,付属明細書において追加的報告がおこなわれなければならない。 この規定は

EC第

4号指令の第2条3‑5項を反映させたものであるもそこで は次のようにのべ られている。

3項 年度決算書は会社の財産・財務・収益状態の実質的諸関係に合致した

(3)

西 ドイン新会計法における一般条項について 写像を伝達 しなければならない。

4項 この指令の適用が3項の意味での実質的諸関係に合致 した写像を伝達 するに十分でない場合には,追加的報告が行われなければな らない。

5項 例外において,この指令の規定の適用が3項に しめされた義務 と一致 しない場合, 3項の意味で実質的諸関係に合致 した写像を伝達するこ とを確保するため,当該規定か ら離脱 しなければな らない。当該離脱 は付属明細書に記載 され,■つその理由が十分説明されなければなら ない。財産,財務・ 収益状態に及ぼすそ の影響は表示 されなければな らない。加盟国は例外の場合を明示 し,二つ相応の例外規定を定める ことが出来る。

第264条2項1文は第4号指令第2条 3項を反映 させた ものである。ただ し

,

1文「 正規の簿記の諸原則」と接続す ることに注意 しなければな らない。264 2項 2女2条4項を反映 し,「特別の状況」に より例外を示 し,追加的報 告を付属明細書において報告 しなければな らない と指摘する。第4号指令第2条 5項は採用されなかった。「 ドイ ッの立法者は5項の思考は既に一般原則にお いて指示されるため,余分 とみな した

5)。

」 とぃわれる。 この点について,立

法草案は明快である。「 要請される写像を伝達す るとい う義務 と例外 とが両立 しないなれば法規定が破 られ るべ きとする原則を内包する

EC第

4号指令第2条 5項の表現上の受容はドイ ツ法 の一般原則に よると法規定がその都度立法者 の授与 した意味 と目的 とを実現す るように法規定の適用が遂行 されるべ きであ るため,無視 され る

6)。

ところで,こ うした

EC第

4号指令にその生成基盤を もつ一般条項は従来の 株式法第149条1項と対位す るものであるが,それは従来の株式法 と異なるも のなのだろ うか。旧株式法第149条1項では「 年度決算書は正規の簿記の諸原 則に適合 しなければな らない。それは明瞭■つ概観的でなければな らず,評 規定の

i14内

で会社 の財産状態 と収益状態への確実な洞察を与えなければな らな い。」と規定 しているが,第264条2項の一般条項はそれ よりも二重の観点か ら厳 密に (Strenger)解 釈 され るものとなっているとい う。ひ とつには企 業の財 務状態が取 り入れ られていることであ り

,二

つには,年度決算書が「 一般 的観 点のもとで正 当でなければな らない」 (unter allgemeinen Gesichitpun‐

kten richtig zu sein)こ とである

7)。

この点 について,グロスとシュルフ 編著『 新法による年度決算』 (1986年

)で

,1983年商法典政府草案への理由

(140)25

(4)

法経研究36巻1号

(1987)       :

書をひ│いて述べている。「 商法典264条2項 1文において;年度決算書の内容上 の正当性に対 し設定された要請,つま り,企業 の実質的諸関係に合致 した財産・

財務・ 収益状態 の写像を伝達 しなければな らないは,1965年株式法第149条1項 2文の規定を上回るものであ り。その限 りで年度決算書の目標設定が債権者保 護 と社員保護との観点だけで教ていない第4号指令2条 3項に一致す る。それ に よれば,年度決算書は一般駒観点のもとでみ られなければな らず,その場合の 尺度は財産状態 と収益状態だけでな く,財務状態 も目指 さなければな らない。

株式法 (1965年

)第

149条1項 2文の従来 の文書化は,『枠内で』と『 出来るだ け確実な洞察』 とい う用語が,EC第4号指令の審議の際に

,年

度決算書がそ れに よって株主 と債権者の保護に限定され るとい う理由か ら他の参加国に よっ て拒絶された為に,収容 されえない

8)。

」っ ま り,そこでは一般的観点を強調す るため,「評価規定の枠内で」を肖1除,「出来るだけ確実な洞察」に代えて

「 実質的諸関係に合致 した写像 」を導入 し,さ らに「 財務状態」がカロえ られた ことが指摘 されるのである。 しか しなが ら,「求めるところの多い文書化にも かかわ らず,株式法第1つ条が従来,個別にはそれ程おおまかに適用された もの でない限 り,実務に とっては原則上 の変更を もた らす ものでない ことが前提 と されなければな らない 。

)。

」 との引用 もなされていることにも注 目する必要が あろ う。『 ベ ックの会計コンメンタール』 (1986年)で,第264条2項に とっ ,その生成史に もかかわ らず,「真実且つ公正なる概観」とい う原則はその 解釈になん ら意義を もたないことが指摘 されている。 とい うのは,ここでの法 の解釈に関 しては ドイ ツ流の原則 (deutSChen Grundsaレ e)が基 礎にある か らとい う10)6つ ま り,財産・財務・ 収益状態 の実質的諸関係に合致 した写像 とい う一般条項は,EC第 4号指令あるいは英米流思考に よってではな く イ ツ商法会計制度固有の在 り方に基づいて解釈 されるべ きこと,そして,こ 一般条項 の導入が ドイ ツ会計実務に とって,原則的に変更を示す ものでないこ

とが示唆されているのである。

I.不確定法概念「 財産・ 財務・ 収益状態の実質的諸関係に合致 した写像」

の解釈

『 商法典の会計法における不確定法概念中辞典』

(19860は

,不確定法概 念について述べている。「 すべての法概念は多かれ少なかれ不確定であ り,従

って,解釈 しうるし,解釈 を必要 とす る。かかる事情に も拘 らず,法学では

,

(5)

狭義には,ただ多義的でな く漠然 とした概念が特に『 不確定法概念』(unbeS‐

timmtO Rechtsbegriffe)一 まれに不確定法律概念(unb¨timmte Gese・

tzesbegriffe)一 とみなされ るのが常である11)」。 もとより,一般条項を構成 する実質的諸関係・財産状態・財務状態・収益状態なる用語も不確定法概念た る性格をもつ。以下では,これ らの不確定法概念が現在の経営経済学において どのように解釈 されているのかを,主に中辞典に依 りなが ら考察してみよう。

(以,本稿における中辞典か らの引用は頁数のみ示す1")。

1.実質的諸関係

すでに述べたように,「実質的諸関係」概念は「 真実且つ公正なぅ概岬」概 念を概ね表現したものといわれている。 ンフソンは,「

EC第

4号指令で支配 的な概念:『真実且つ公Iなる概観』は用語的に ドイツ語に翻訳されえない。そ れにかわって選択された『 実質的諸関係』を解釈する場合,それ故,それが『 真 実ユつ公正なる概観』に対 して存在することを考慮しなければならない。 とく ,『真実』とい う概念はドイツでは明らかに容認されえない。しかし,第

4号指令は全ての用語において同一の内容を有するべ きであるため,『実質的 諸関係』の概念を解釈する場合,『公正に代替する』とい う要請が基準となる。

規定はヨーロッパ法であ り,ただ国内の承認では解釈されえない。実質的諸関 係に合致した写像は,封鎖された貸借対照表読者の場合,事実に合致した企業 状態の写像を喚起させる年度決算書としてもまた,定義 しうる。その場合,『 実』は『 真 実』を,『表 象』は少なくとも『 公正』を目指すb」 (S.96)と べている。み られるように,「実質的諸関係」概念が「 真実且つ公正なる概観」

に代替するものとして位置づけられるが,しか し,そこでは,「真実」なる概 念は受容されていないことに注意 しなければならな,いであろう。 レフソンは

,

「立法者の要請は考えられ得る最大要請のもとでみている。かれは一方での無 制限の洞察,他方での誤解を導 く情報 との妥協を試み,そして望んでいる。そ の場合,前者は必要 とされず,後者は禁止される。(S。97)と,「立 法 者 は『 実質的諸関係の写像』として明瞭で概観的で,誤りのない,もしくは隠蔽 のない積極・ 消極および費用・ 収益の作成を期待 している。その場合,写像は 法 と正肌の簿記の諸原員Jとによって内容的にも形式的にも規定される。付属明 細書の追加的報告をも含めた,そうした作成は,立法者の意見では回顧的説明 用具の言明能力の制約のもとでの実質的諸関係の十 分な情 報を通 常 示してい

(6)

る。」(S.97)としている。・つま り,「真実ユつ公 正なる概 観」 とい う意 味 で の「 実質的諸関係」の指示は,無制限の情報開示ではな く,年度決算書が誤解

(ミ

ス リーディソグ)を生みだ してはな らないことを示 ししか も,「実質的 諸関係Jの写像は法 と正規の簿記の諸原則によって限定 されるものとみなけれ ばな らない。WPKおよびIdWの共通見解 も示す ように「 客観的,絶対的真 実な年度決算書 とい うものは存在せず,従って,実質的諸関係への洞察は,常

に一定の約束事 (Konventionen)の枠内で伝達 されるにす ぎないために,正

規 の簿記 の諸原則 との関連性が,特に要請され るB)。」のである。

2.財産状態・ 財務状態・ 収益状態 tll 収益状態

収益状態なる未確定法概念について,ケーネンベル タは 目的論的解釈 と語意 か らの解釈か らアプローチ している。 まず,目的論的解釈では企業は利害関係 集団の連合体であるとい う理解に基づ き,会計情報 の受手 の情報欲求か らとき は ごしている。彼に よれば,特に重要な利害関係集団 としては持分所有者,債

権者,労働者,取引先があ り,これ らの集団はそれぞれ固 有の日標 表 象を 有 ,特有の情報欲求を有 している。持分所有者の利害は自身の選好に出来 るだ け合致 した配当および財産増加か ら生ず る所得 フローの獲得を指向 し,それに 関す る配当・ 財産増加についての準備・ 時間的構造・ 確実性への情報を要求す る。なに よりも企業の将来支払能力への情報を知ろ うとす る債権者は財務的資 金 の確保の指標 となる将来収益予測に係わる情報に関心を もつ。労働者の情報 欲求は一方で,労働場所 の確保 と契約に よる社会給付が示され ることが起点で あ り,他方で,将来 どの程度賃金 と賃金上昇機会 とが保証され るのかを指向す るとされ る。 この労働者 と取夢1先とは共に,企業の成果ある存続に関心あ り

,

ここでは供給源ない し購買者 としての企業 の確保の視点が重要 とする。か くし ,「連合体成員の利害に対応す るには,従って,過去への判断を可能にせ し め る情報 のみな らず,将来の収益動向のための指標 とみなされ るような情報 も 会 計 報 告 の 枠 内で開 示されなければな らない。(S.160)と され る。次 い ,語意か らの解釈か らは,「収益 (よ り良 くは成果)に替えて収益状態 (よ

り良 くは成果状態)について述べ る場合,二つ の異なる概念への広い理解が導 かれ るべ きである。収益への洞察は報告期間における成果 目標 の実現に関する 情報を意味 し,収益状態への洞察はそれを越えて,現在の自己の強みに基づい

(7)

会計政策上の余地の透明性 および成果へのその影響 売上高構造

利益源泉 経営・ 経営外 期間・ 期間外 費用構造 収益性指標 成果潜在能力要素

企業の強み と弱み 環境の機会 とリスク 費用 と収益 の将来動向

報 上 の 要 請 情 報 用 具

付属明細書 損益計算書 損益計算書 付属明細書 貸借対照表

状況報告書

1

出典)Ulrith Leffson/Dieter R kle/Bernhard GrOSfdd(Hrsg。

)

Handworterbuch unbestimmter Rechtsbegriffe im Bilanzrecht des HGB,1986S.163よ り作成。

て環境のチャンスを将来,成果に移行させるとい う企業の能力に関する情報を 意味 している。(S.l160)と する。そ して,上の二つの接近方■から,「収益 態」とは,a・ 過去期間での達成された成 果,b。 将 来,成 果を導 くと予 想 される報告期間に現存する成果潜在能力の視点か らの企業状態の説明と言い換 えられるとするのである。ケーネンベル クは従来の株式法ではbが看過されて おり,「実質的諸関係」に合致した写像の意味においては,報告時点に現存する

成果要因 (成果潜在能力)が十分な確実性を もって予期 され るような将来の成 果作用が収益状態 の概念に包摂 されるうると述べている。以上か ら,彼は収益 状態 の叙述への詳細な具体化は

1)過

去期間中の実質的成果動向の伝達」2) 報告期間におけ る動向変動の原因分析, 3)決算 日以降の成果の継続的動向の 見債 も りの二つの措置に より行われ るとす るのであ り,│れを改めて図示すれ ば表1の通 りである。

(2)財務状態

リュックレに よれば,「なるほ ど,財務状態 とは現在および将来の収支流列

(8)

法経研究

と収支構成要素の時期 と範囲に影響する全ての要因に依存するが,支配的見解 に よれば,それは資本・ 財産構成 と流動性を 目指す ものである。」(S.175)と い う。 まず,資e財産構成に関 しては,企業に現存する財産 と資本の全体は 252条 1項に よる個別評価が企業全体価値の評価を禁 じている故に,貸借対 照表上決定 され る資本・財産構成は,常に現実財産ない し現実資本の部分的模 写にす ぎないことが指摘される。そ して,いわゆる「 垂直の」構造格律は貸借 対照表 の一側面 め諸項 目を関連づけるのみ とい う。積極における固定資産

/流

動資産の商が 出来 るだけ小であれば,企業は弾力的であ り,従って,財務的 と

す る格律は根拠に乏 しい とされ る。消極における自己資本/他人資本比率が出 来 るだけ大であれ とい う要請は負債比率 の増大す る場合,企業 リスクが確実に 高 くなるため納得 され るとする。特に,銀行の与信決定に際 して実務では,負

債比率が強 く考慮 されるところか ら,財務状態の説明命令に対 して,貸借対照 表に明示 されない ような,特別の事情に よる負債比率 の指標の歪みが (例えば リース契約に基づ く)開示 され るべ きことが明 らかになるとされる。次いで

,

流動性に関 しては

,二

つの概念内容に区分 されるとい う。ひ とつは流動性が支 払手段に換金 され る,も lく は支払代替に利用される財産対象物が多かれ少な かれ持つ属性を意味することである。 ■の財産流動性 もしくは絶対的流動性は 財務上の負債 とはかかわ りな く示され うるとい う。ふたつには,流動性が処分 可能資金 と発生負債 との比率である相対的流動性を意味す ることである。 これ は支払能力ともよばれるが,支払不能は破産法の第 102条1項によると碑産基 礎 となるため存在意義を持つとい う。 リュックンはかかる意味での財務状態へ の写像は,貸借対照表 との係わ りでは,第268条「 貸借対照表の個別項 目への規 定」の4ないし5項で債権ないし負債に対 し一年以上の残余流通期間が分離記 載項 目のすべてにおいて記載されなければならない規定,第285条 1項での五年 を上回る残余流通期間を持つ負債の総額が付属明細書において記載されるべき とする負債の期間構造についての規定,あるいは第 266条 の分類規定等が旧株 式法 と比較し―層の改善をもた らしたとする。また,損益計算書 との係わ りで ,財務状態の判断に対 して成果状態が資本調達を保証する■と,ま,成 源泉分析は流動性要因への一定の帰納的推論を可能にすることか ら意義をもつ としている。そ して,かねてより問題であった資本流動計算書については,そ れを運動貸借対照表 と損益計算書との追加的要約書として理解するなら,そ 準備にとっての分類 も必要であろうとしている。付属明細書との係わ りでは

,

(9)

264条2項21文では実質的諸関係に合致 した写像が伝達 されなぃ場合,そこで 補足的報告が要請されるが,これは特に財務状態に妥当するとい う。 しか し

,

法本文は付属明細書の内容を明示 していない為,資本流動計算書,財務計画が 開示されて もよい。 また,第285条3項の特別規定は貸借対照表に現れ ない,も

しくは注記 されない財務状態の判断に とって重要なるその他の負債の総額が示 されなければな らない とす るが,これには賃貸借契約ない しリース契約か らの 多年度負債,着手投資計画・将来大規模修繕か らの負債,必要環境補償措置か らの負債があるとす る。 さらに,その他あ財務的負債 として,それが何を意味 す るか明 確でない としなが らも,いわゆるオフ・ バランスシー トの資 金 調 達 (例えば,ベンジオン取引リース,買戻 し義務付 き債権販売)があるとする。

いずれに しても,付属明細書に示 される情報は当該企業が監査義務を持つ限 り 317条1項 3の意味での完全な監査義務が基礎づけ られるとい う。最後に状 況報告書 との係わ りでは,それは年度決算書 とは異な り正規の簿記の諸原則に 限定されるものではな く,状態 の映像 は原貝1的に全体像への補完 としてなされ るとしとりわけ,資本会社の予見的展開を詳細するものとされる。

t31 264条の財産状態

モクスターは

,一

般的理解では,財産 とは一定時点に誰かが経済上 どれ程処 分能力あるかを意味するものであ り,この処分能力は どの程度希少財を利用し

うるかに依存 しているため,財産は利用可能財 として示 され るとす る。 この財 産は,彼に よれば全体評価 (収益評価)と個別評価 (貸借対照表評価)の二つ の根拠の異なる方法により把握されるが,財産状態に係わ るのは全体評価によ って決 定せ られる有効財産 (effektiVe Vermtte→ の状 態であるとい う。

しか しなが ら,彼に よれば,「法は有効財産状態に対する報告を言及 していな い。確かに,簿記 と年度決算書および状況報告書は有効財産状態 の判断に とっ ての若干の起点は提供するがしか し,まあまあ信頼 し うる有効財産状態の写 像 をこの法律上 の用具は保証 しない。簿記 と年度決算書は個別評価の原則によ って支配 される。(S.348)「有効財産ではな く貸借対照表財産が簡便化およ び客観化制約的に表示される。この貸借対照表財産は根本において,有効財産 近似値 ともみなされ得ない。有効財産 と貸借対照表財産には何 ら固定的関連は 存在 しない。」(S i348)と い う。 こうして,簿記 と年度決算書は有効財産状態 に関する情報を十分示す ものではな く,法は有効財産状態を明確にしようとし

(10)

ない し,また,'な しえていない こ とを彼は指摘す る。 しか しなが ら,モクス タ ーは法 の要請は有効財産へ の洞察に対 して内容 のない もので もない ことも指摘 してこう述べている。「 法は営業年度に生ずる特徴的な有効財産の変動を明確 化することを意図している。それは常に収益予測を前提とするのだが。 したが って

,法

は貸借対照表上,認識可能なものの範囲内にある。簿記と年度決算書 は確かに,有効財産の絶対値に不十分な情報を示すが,しかし,有効財産の特 徴的変動を指標化 しうる。受手の情報欲求はしたがって,確かに包括的に満足 するものではないが,法に先与される情報用具によって達成されるものは達成

される。(S.349)と

t41 財産状態・ 財務状態・収益状態の関連

ケーネンベルクは「 経済的状態 とい う上位構念のもとに設定される財産・財 務・ 収益状態への洞察は,これら三つの目標数値の誘導体とみなされ

,一

定の 様式で日標達成度を模写 しなければならない。収益状態への適切な説明は,本

質上,成果と成果潜在能力に係わる使途と由来をしめすことを収容する。限定 的範囲内ではこの二つの目標数値を介して流動性 目標への逆 推 論 も可 能であ る。より高い成果もしくは成果潜在能力は,通

,流

動性に有利に作用するた めである。財務状態は流動性とい う目標数値に直・in,結合する。しかし,そ は成果が十分の場合に通常流動性を保証するため,経済的に実現された成果と 密接に関 連する。財産状 態は収益状態 と―財務状態の結 合 帯である。したがっ ,それは三つの経営経済的部分領域すべての部分的模写 とみなされる。(S.

157)と して財産・財務・収益状態の関連を図示している(図1参

)。

キュティ ングとヴニーバーの編による『 会計報告辞典 貸借対照表作成 と監査に関する コンメンタール』でも,同様の趣旨を述べている。そこでは,年度決算書におけ る財産・財務.ふ 収益状態の説明にとって,序 (Rangfolge)は存在せず,そ れ らは一特に時間の経過を考慮した場合―相互に依存 しあ うことを指摘してい 10。 また,『ベ ックの会計 コンメンタール』でも財産・ 財務・収益状態には 一般妥当的な順位

CRaコ

verhaltnis)は存在せず,三つの状態の全ての写像

が実質的諸関係に合致した様式で伝達されるべきことを指摘しているlD。 従っ ,三つの状態は相互の関連のもとに捉えられなければならないであろう。し かも,そこでの状態の表示は特定の個別の報告用具によって模写されるもので ないことは注意を要するだろ う。全体としての「相応の写像」(angemessenes

(11)

西ドイツ新会計法における一般条項について Blll)1°

る実質的諸関係に合致した写像が重要である。モクスターは「営 業年度に特徴的な財産・財務・収益状態が示されたならば,その変動は簿記と 年度決算書あ全体に基づいて認識可能でなけれぼならない。(S.351)と 先のキュティングとヴェーバー編著もこう述べている。「企業の財産・財務・

収益状態の実質1的諸関係に合致した与像,したがって

,年

度決算書利害関係者 に対する報告責任は貸借対熊表,損益計算書並びに付属明細書における,そ ,林況報告書における情報の『 総体』(Summe)によってはじめて,達成さ れる。17)       ,

` ` ` こ 、

` ` ヽ 、 ´ ″´ ´

財産状 態

\ bl /

経 済 的 状 態        :

1

出典)●

lr

h LeffsOn/Dieter Rickゃ /Bernhard Gr03feld(Hrsg。 ),

HandwOrterbuch inbestimmter Rechtsbegriffe im Bilanzrecht deS

̀HGB,1986,S.158よ り作成。

さて,以上みたように不確定法概念たる収益状態,財務状態,財産状態は

,

1個にではな く相互の関連のもとに捉えられ,それ らは年度決算書と状況報告 書における情報の全体によって模写されるものとい う。そこでは,経済的に実 現された成果ないし成果潜在能力としての収益状態が流動性

,従

って財務状態 を保証 し,財産状態はそれ ら二つの状態のいわば架橋として位置づけられるも のとなっている。その場合,そうした状態が総 じて,予測要素を取 り入れて将 来関連的に解釈されていることは注 目されるだろう。それは

'現状適合的解釈

経営経 済的 目標

(12)

法経研究36巻1号 (1987) 

 .

がなされているともいえるだろう。先のキュテイジグとィェー′ドー編者では

,

今回の改正にあたって,特に選択した貸借対照表計上問題として

'賃

貸借おょ びリース関係,信託関係,フ ァクタリング関係,外国為替取31の換算,ベンジ

オン取31等を挙げて,その詳細な検討を行っているが,これ ら取引は不確実性 要因を内包するものであ り,こ うした新 しい会計実務をとりこむ上での現状適 合的解釈がなされているとも思われるのである。 しか しなが ら,先にみた よう に状態 の写像,従って実質的諸関係に合致 した写像は無限定なものではな く

,

法と正規の簿記の諸原則によって制限されるものと捉たられなければならな い。では,かかる制約のもとで「財産0財務・収益状態の実質的諸関係に合致 した写像」を提供すべ きとする一般条項は どのように地位づけ られるのだろ う か。 もとより,それは「 ドイ ツ流の原則」にそ くして考察されなければなるま い。節を改めて考察 しよう。

.一般条項と正規の簿記の諸原則

商法典第二編第一章第234条1項では「 年度決算書は正規の簿記の諸原則に 従 って作成 しなければな らない。」と,すべての商人の年度決算書に対する一般 規定を設けている。従 って,この規定は資本会社に も妥当する。しか し,第二章 の資本会社あ年度決算書の一般規定たる第264条2項でも年度決算書は「正規 の簿記の諸原則を考慮して」作成されなければならないと規定する。この「正規 の簿記の諸原則」の重層規定は何を意味するのであろうか。グロスフェル トは

,

「 諸原則によって」は「諸原則を考慮して」よりもより厳格な適用を意味 して おり,そして,後者の場合

,正

規の簿記の諸原則を「 実質的諸関係」に関連づ けることによって正規の簿記の諸原貝Jの意味も相対化されるとする(S.199)。

グロスとシュルフは,こ うした正規の簿記の諸原則と一般条項従って「 実質的 諸関係」との相互関係を明確に図示 している (図2参

)。

先にみたように,正

規の簿記の諸原則は―般条項に限定的に作用する。では,この限定的に作用す るとはいかに解釈すればよいのだろうか。まず,一般条項が新会計法において いかに適用されるのかを考察した上で,その点について考察してみたい。

ンフソンは,一般条項の適用につしヽ,次の四点を指摘 している。

ひとつには,貸借対照表法に設定された法規範が立法者の観念 と意図とを完 全に一義的に問題な く実現することは他の法律と同様 うまくい くも の で は な

,一

般規範(一般条項)は目標と個別規定との背馳を出来るだけ補填するため

(13)

図 2

出り) Gerhard G■oss/Lothar Schruff 3〕Der Jahresabschu3 nach neuem Recht:Aufstelhng―

Prtifung―

Offenlegung, 1986. S.70よ り作成 。

に役立つとする。すなわち,新会計法では,明瞭性・構観性 0完 全性・安定性

(比較可能性)とその離脱の開示・正 しい期間限定・未実現利益の排除・上限と しての調達原価 と製作原価・不平等原員J・相殺の禁止・一定の部分数値の開示・租 税上の影響の開示・重要な評価変更の開示等の諸規定が「法 と正規の簿記の諸原 則に従い,実質的諸関係の模写を意味するものとして広範に具体化された」(S.

101)が,それ らの構 想に一般条項は補完規範 として挿 入されるといわれる。

第二には,一般規範は貸借対照表作成者と決算監査人に対 して個別規定の遵 守を尊重させるだけでな く,年度決算書が全体として読者に実質的諸関係の間 違った表象を呼び起こさないような写像を伝達するか否かを結局問題にせ よと

正 規 の 簿 記 の 諸 原 則

財産・ 財務・ 収益状 態の実質的

諸関係に合致 した写像

全ての商人簿記に 対する―

fa規

§

238 Abs.lS。

lHGB

243 Abs。

lnGB

る限定 として のGoB

簿記方法の逸脱に

対する限定

239 Abs.4S.lHGB 資本会社の年度決算書

に対する一般規範

264 Abs.2 HGB

§241 Abs.1‑3 HGB

6.A44oazv swF

297 Abs.2S.2HGB

§257 Abs.3HGB

一定のコンツエルン規定の 未適用に対する限定

1撫::鞭

(14)

法経研究36巻1号

(1987)       

強いるとす る。すなわち,「一般規範に要請 される実質的諸関係の写像は第一

,年

度決算書の示す全体に相当する。 しか し,規定は個々の決算項 目が間違 った表象を伝達す る場合にも有効 となる。」(S.97)。 この点を上 の第 一の指摘 との係わ りでみれば,一般条項は個別規定の調整者 として作用するとともに

,

個別規定は一般条項 の中で作用するとい うことである。 この場合,全体 として の年度決算書が重要であ り,グロスフェル トもい うように「 一般条項 と個月1規 定 との間には,基準一例外関係が支配」 CS.196)し,「通 常,個別規定に従 うことで十分であるが,しか し,全体への洞察は特別の状況が存する場合,修

正機能を保持する。」(S.196)こ ととなる。

第二に

,一

般規範は貸借対照表作成者が自身の推量余地を原則上束縛すると い う意味で,かれの選択権に干渉するものでない とする。貸借対照表作成者に とっては,選択権を利用す ることによって誤解を回避す る自由な選択が存在 し つづける。 しか し

,一

定の選択権の利用の結末は報告 しなければな らない。 こ の レフソンの指摘は,明示的選択権は (計上選択権・ 評価選択 権・

4明

選 択 権一新会計法において大幅に制限 された一のみな らず,計画的減価償却

,年

31当金等 の見積 もりに対す る,いわゆる暗黙的選択権への推量余地が一般条項 に東縛 され るわけでないが委ね られていることを示唆するものと思われる。 ジ ーゲルは「 選択権の一般的判断への基準は貸借対照表作成 目標 との無矛盾性に あ る」 CS.421)と ,「年度決算書 目標は,選択権の利 用が 一般規範 と係留 す る場 合にのみ妥 当する。」CS.421)と しているが,ンフソソも,「推量限界 は理性ある商人の判 断 と一般規範の命 令に よって境 界づけ られ る。推 量は

,

推量依存的項 目の評価に よつて実質的諸関係の写像が伝達 されない ところに

,

そ の限界をみいだす。(S,98)と している。

第四に,見,分類・ 評価規定な らびに正規の簿記の諸原則は,年度決算書 が情報 の受手に対 して実質的諸関係 の相応の表象を伝達すること,従って,状

態が法 と正規の簿記 の諸原則の意味で正 しく情報報宛先に「 公正に」模写 され ることに通常,作用す るが,この目標が,そうした規定だけでは「 例外状況」

に よって達成 されない場合には,一般 規 範が干 渉す るとい う。 これは既に述 べた第264条2項 2文の例 外 規 定を意 味す るものであろ う6しか し,この場 ,グロスフェル トも述べ るように,「すべての従来の怠慢に対す る修正報告 書 として,付属明細書を教なす ことができない。従 って,なに よりも先ず,貸 対照表 もしくは損益計算書において相応の表示が可能であるか否かが吟味され

(15)

西ドイツ新会計法における一般条項について なければならない。予 め,付属明細書に回避することはできない。CS.204‑

205)こ とが考慮されなければならないだろう。

さて,以上みたごとく,一般条項は個別規定を調整,補完するものとして適 用されると主張される。しかし,それは無限定に適用されるものではなく,正

̀

規の簿記の諸原則によって限定されるものといわれる。この場合,正規の簿記 の諸原則が重層 して規定されてしヽるのは既にのべたところである。ではこの重 層化はどう解釈iしたらよいのだろ うか。先ずこの点についてみてみよう。キ ュティングとヴェ‐バー編著はのべている。「 規定において把握される企業の 法形式とは係わ りなく,GoBはすべての一般規範において

,一

定の上位目的を 達成すべき手段として設定される。第238条1項1文および第264条2項の一般規 範において,しかも,1980年商法典第38条1項,1965年株式法第149条1項におい

GoBが

存在するとい う脈 略は,GOBが会計報告の目的適合性 (Zweck‐

gerechtigkeit)を 確 保しなければならないことを意 味しているlD。」そ して

「 簿記 と年度決算書の法目的は,ここで論 じられた探究にもとづけば,記

,

報告責任,資本維持である。その場合,簿記におけ る記録は報告責任,資本維 持の実現のための前提である。報告責任と資本維持の目的を具体化する場缶 客観化要請を考慮 しなければならない19。(図3参)と,「243条により

,

GoBに

従って年度決算書を作成しなければならず,それ故,第一に法目的に 合致して会計報告 しなければならない企業にとって,このことはその企業の作 成する年度決算書が上述 したすべての目的を考慮しなければならないことを意 味する20D。」としている。また,11の箇所では「 第264条2項,第243条1項に代 わるものではな く,並立するものである。第264条2項の文書イヒは,一般規範と の関連でもまた,GoBが違 反されてはならないことを示している。従って

,

実質的諸関係に合致した写像への要請は

GoBを

考慮してへの指示によって相 対化される。

GoBが

年度決算書を作成する場 合,法上の個別規定と同様に

,

すべての事 例に,すなわち,実質的諸関係が 主観的に悪 化される場 合にもま ,考慮されなければならない為に,年度決算書は絶対に『 真実且つ

/At正

』と なることはない。す般規範の適用領域は

GoBの

考慮 とい う指示によって制限 される。勿論,場合によっては,企業状態に対する実質的諸関係に合致した写 像が伝達されないならば第264条2項 2文に従い,付属明細書において説明が必 要 となる21D oJと。みられるように,重層規定は,新会計法全体に わたる法 目 的への適合性の貫徹であ り正規の簿記の諸原則の徹底化にあるとい え るだ ろ

(128)37

(16)

コ蜃灘奮 でヽ﹁ト

塾雌辞薄 F ゛薔羊さ ドン蟄颯蒲臀 ︵塾疇溝奎 ︶ 書 疇  輝 籠

36巻1号(1987)

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(17)

う。 しか も,正規の簿記 の諸原則の適用は,かな らず しも,実質的諸関係に合 致 した写像を保証す るものでな く,その場合の説明が付属明細書にゃいて琴ね

られるのである。

ところで,このように正規の簿記の諸原則の適用は実質的諸関係を相対化す るといわれ る。しか し,グロスフェル トは実質的諸関係 も正規の簿記の諸原則を 相対化す るのであって,両者は相互に補完 しあい,一体 とみなければな らない という

(S・

199)。 すなわち,ラ ングもいうように「真 実且つ公正なる概観J

(実質的諸関係)は一般拘束的な

GoBの

構成部分ではない (S.225),の で あって,両者の補完関係をぃかに解釈するかは重要であろう。

GoBの

実質 的

諸関係合の相対化について, レフソンの指摘は明快である。「要請される写像 ないし『真実且つ公正なる概観』への要請の限定は,  ドイツ立法者の権限年ふ されるものでないであろう。しかし,GoBへの指示は,われわれが実質的諸 関係の模写という事柄を考慮するなら,徹底してその意義をヽつ。年度決算書 の伝達する写像とは,第一に簿記勘定への取引の模写,その後,年度決算書の そ の要約と形成に よる

,二

重の抽象化の結果である。費用測定の場合の一牢の 将来考慮を度外視すれば,写像は回顧的であ り,決算 日の状態 の叙述に関 して 十分なものでない。模写は法典化 された,も しくは法典化されない正規の諸原 ,と りわけ

,実

現原則・ 調達価値原則・ 獲得 され るパテン トの積極計上 の禁 ,そして全 く特別には上の基準を満たす限 りの用心の原則によって,制限さ れる。(S.99‑10の 「 正規の簿記の諸原則は確かに制限するが,しかし,実 的諸関係の写像 も客観化する。実質的諸関係の写像の過度の要請が設定される

ことを防 く

,正

規の簿記の諸原則への指示が意義あることは明らかである。 (S.100)と 。これに対 して,実質的諸関係の正規の簿記の諸原貝Jへの相対 化は 必ず しも明快ではない。この点,バイエルン銀行協会による『 新貸借村照表指 令法による年度決算書』ではこう述べている。「 もし

,年

度決算書が正規の簿

記の諸原則を考慮して,財産・財務・収益状態の実質的諸関係に合致した写像を 伝達しなければならないなれば,こ の要請は正規の簿記の諸原則の展開に影響 を及ぼしうる。というのは,正規の簿記の諸原則は法の意味と目的から演えき されるべきであり,明確な輪郭を何ら持たないために真実̲E?公正なる概観と ぃう思考の観点での進歩を可能としないだろうからである。危険は動的貸借対 照表観のルネッサンスであり,従って客観的で慎重な利益算定の放棄にある。

真実且つ公正なる概観という原則は羊の皮を着た狼とみなされ るだ ろ う。今

(126)  39

参照

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