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大 村 知 子・渡 邊 敬 子

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全文

(1)

̲ 

大学生男女の身体寸法ならびに被服寸法に関する認識

― 身体計測値 との比較 ―

Comizanc1 0f B6dy and GaHELent SLe alnong嗚

trsiw Students

… By Compamlg the Copized Size and the Measured Size―

大 村 知 子・渡 邊 敬 子

Tolmoko OMIIRAtand Keiko WATANABE

(平4年

10月 12日

受理)

Summary

The purpose of this study is to observe how much the standard sizing system fulfils its intended function among university students, in order to develop an improvement pla, for making ready‐ made clothing better cOnfortt to the bOdy.

The subjects of this study are university Students in Shizuoka Prefecture, Japan. The qucstionnaire about their cognizance ready‐made clothings and the standard sizing system of garments and their body size and the body measurementS Were taken 187 Studentsi l,

1990.

The results were as follows:   ヽ

       .

1. Both male and female felt ready‐ made clothing would not conform to their body,espercially on upper leg girth(about 40%male)and sleeve length(about 40%female).

2. Most students didn't knOW What clothing size labels actually referred to, even though they were purchasing their own clothes.

3. Students didn't know either their own body size or body type. It was one of the causes

of ill‐

fitting clothes.

4. Even though females didn't know thcir correct under garment sitte, only 109る  tried on gar口ents in the fitting r00m before biying them.

緒 言

被服の快適性は大別 して動体・生体 としての人体の機能特性 と美的特性 に分 け られるが

1)、

被服の身体適合性は審美性や動作性などを通 じて、 この両面に深 く関与するものである。現代 は衣生活の社会化が進み、調達行動においては既製衣料の利用が大半を占める。心身 ともに快 適な着装 を実現するためには、先ず、身体 に適合する既製衣料を選択 し、それを着 こなす能力 が重要 となる。

*静

岡大学大学 院教育学研 究科 院生

(2)

近年、大学生の衣生活意識や服飾の嗜好

"〜

0や JIS規 格 に関す る認識の実態 な ど

7)8)に

ついてはい くつかの報告がされている。 しか し、 自己の認識する衣服寸法 と身体を実測 した値

との比較を含む研究は少なく、特 に男性 も対象 とした男女揃った調査結果は見あたらない。

そ こで、本調査は JISに よって定め られた衣料サイズ規格や身体計測方法が、現在の衣生 活行動においてどのように機能 しているのかを捉 え、被服の身体適合性向上のための課題を検 討するために調査 を実施 し、考察を試みた。

調査 は静岡県に在住する大学生男女計187名 を対象に、既製衣料やサイズ表示に対す る意識 について面接法によるアンケー ト形式の質問紙調査 と身体計測調査 を実施 した。その結果、大 学生は既製衣料が自分の体に合わない部分があるという意識 を持ち、その原因は既製衣料サイ ズ規格やサイズ表示に関する認識の程度が低いこと、自分の身体寸法や衣服寸法を正確に認識

していないことによるなどの知見を得たので報告する。

方法 な らび に資料

1  方法

本報告は大学生を調査対象 として、静岡県に在住する

19歳

か ら

21歳

の男性

73名

、女性

114名

にアンケー ト形式による質問紙調査 と身体計測調査 を実施 した。調査は

1990年

7月 か ら9月 に かけて、面接調査法により質問紙調査 を実施 した直後に身体計測調査を実施 した。質問紙調査 の調査項 目は、調査対象者が認識 している自己の身体寸法、既製服の身体への適合に関する意 識、衣料サイズ表示に関する認識ならびに被検者の基本属性 などの計

46項

目である。身体計測 調査の方法は工業技術院体格調査の計測方法9に 準 じ、マルチ ン式計測器具などを用いて実施 した。計測項 目は被服設計に関わ りが深い と考えられる男性

52項

目、女性

55項

目である。本報 では衣料サイズ規格における基本身体寸法である身長、バス ト、チェス ト、ウエス ト、ヒップ、

アンダーバス トの 6項 目を用いて、計測前の本人の認識 と実測値 との差などについて検討を試

み た。

資料 について

調査対象 の年齢 は19歳 か ら20歳 である。

女 の身長 な らびに体重 と比較す る と10、

ぼ若い 日本人の一般 的体 格を示す集 団 とい える。次 に、 モ リソ ンの関係 偏差折線 に よって全 国値 (1981年 実 施工 業技 術 院体 格 調 査 資 料11)、

20歳 か ら24歳 男女

)と

比較 し、今回 の対象者の体型 を概観す る と図1の 様 であ る。す なわち、10年 前 よ り男 女 ともに胴 くびれが強 く、やや ウエ ス トライ ンが高 い体型 であった。 さ らに、

JIS衣

料 品規格 の

2元

範 囲 表示規格1の と照合 した結果

(図

2、

3)は

、 男性 の80.8%、 女性 の

93.9%が

規格 の範 囲に属 した。

被検者の体格について平成

2年

度官庁報告の

20歳

男 男性はほぼ平均的集団、女性 はやや身長が高いがほ

基準線:20〜24歳全国値(1981工技院資料)

一 一 ―:男 性

 

― ― ‐:女 性

1  

モ リソンの関係偏差折線による今回の資料 と全国値

(工技院資料)との比較

き︹

¨  囲

‑2σ ‑lσ   M   lσ   2σ

(3)

180

170

160

150

190

180

170

160

150

100  11

チェス ト

男子の身長とチェストの分布と2元範囲表示との関係 女子の身長とバストの分布と2元範囲表示との関係

子 男

% 1

 

 

  

  

  

  

  

  

7‑Aホ

¬ル

   

  

  

=コ 合う     隕 分からない

衣服の部位別の身体適合 に関す る意識

{十

:資

結 果 お よび考 察

1  既製衣料の身体への適合性に関する意識

既製衣料品の身体適合感に関 して、 4段 階尺度で回答を得た結果、「やや合 わない」 と答 え た者は男性の

38.0%、

女性の 31.6%で あった。 さらに、男性 はブ レザー とズボ ン、女性 はブ レザーとズボンとスカー トに関 して服種別・部位別の適合感について合わない 。合 う 。分か ら

合わない

 

合 う

(4)

ないの選択肢で回答 を得た。結果は図

4に

示す通 りである。男性は大腿部、女性 は袖丈に不適 合感 をもつ者の割合が 4割 程度見 られるのを始め、男性は股下、腰囲、胴囲、女性は腰囲、胸 囲などを特に不適合 と感 じている。ほとんどの者が平均的体格であったのにも関わ らず、既製 衣料品の適合感は低い。 これ らのことから、不適合感の原因を検討 し、より高い適合性 を得る ための改善に向けて対策を検討する必要があるといえる。原因には被検者の衣料サイズ規格の 理解や活用に関する問題 と生産者の衣服寸法の設定の しかたや規格の基準値 自体にも問題があ ると考えられる。そこで、先ずは前者に関 して、既製衣料サイズ表示に対する理解 と自己の体 つ きに対する認識の

2点

か らさらに検討を試みた。

2  サイズ表示に関する認識

既製衣料にはサイズ表示が義務づけられているが、男性の約 99%、 女性 の 100%は 、 その 存在 を「知っている」 または「ほぼ知っている」 と回答 した。 これは、 日本家政学会被服構成 部会の全国調査の結果

13)を

やや上回る結果であ り、今回の対象者がサ イズ表示の存在 を知覚

している割合は高いといえる。

次に、男女にそれぞれ具体的に

6例

のサイズ表示を示 してそれぞれの表示内容に対する回答 を得た結果を表 1に 示す。「

S.M.L.」

2元

表示 を「わか らない」 と答 えた者 は他 の項 目に比 べ ると少ない。 これは学生にとって最 も日にする機会が多い表示のためである と考 え られる。

しか し、正 しく理解 している者は全体の半数程度であった。「

1lBR」

94B5」

などの 3元 表示 については、女性の体型 を表す「 B」 を除いて正解者の割合が 10%以 下 と非常 に低か った。

「 ワイシャツについている 38‑78な どの数字」については、身体部位の名称 を正 しく知 って いないことが原因と考えられる誤答が多かった。 また、実際に着用する機会が多い男性の正答 率が、女性の正答率を約

5%上

回った。このことや「

S.M.L.」

の正答率が高いことか ら、実際 に自分が利用する機会が多いサイズ表示に関する方が認識 している割合が高いといえる。すな わち、大学生は衣料サイズ表示について経験的に知覚 しているために、利用頻度が高い表示は 知っている割合が高い。その一方で誤った認識のまま利用 している割合 も高い。大学生は衣料 サイズ表示に対 して、明確な認識をもって判別で きる知識を持つに至ってお らず、多 くの者は サイズ表示の意味が読み とれないまま被服 を選び、着装 している実態が明 らかになった。

3  自己の身体寸法 と衣料サイズに対する認識

大学生が基本身体寸法 としての身体寸法をどの程度認識 しているかを分析するために、本人 が認識 している自分の身体寸法 と実測値 との差を求めた。サイズビッチを参考に身長は

5 cmを

1ビ ッチ、周径項 目は

3 cmを

1ビ ッチ として、差の絶対値 をビッチ単位で検討 し、その出現率

で示 した。結果は、図

5に

示す通 りである。身長について「分か らない」 と回答 した割合は男

女平均すると

7.8%で

あるのに対 し、胸囲、胴囲、腰囲について「分か らない」 と回答 した者

は男女の平均で

48%、

54%t71%で あ り、周径寸法を知 らない者の割合が高かった。 身長

の認識 と実測値の差が ±

5 cm以

内の者は全体で 90%で あった。 これ に対 し、 図 5で 示 した よ

うに胸囲、胴囲、腰囲についての認識値 と実測値の差が ±

3 cm以

内の者の割合は、胸囲は男性

10%、

女性

45%、

胴囲は男性

12%、

女性

54%、

腰囲は男性

3%、

女性

30%で

ある。 大学生

は周径の寸法を正確に認識 していないことが分かった。 これは赤根 14)ゃ ミセスを対象 とした

山名

10の

結果 と一致する。特 に男性の腰囲の認識が低かつた

(内

11.0%の 者 は実際 よ り

6 cm

以上小 さく認識 していた )こ ととこの部分の不適合感が特 に高かったことなどか ら、 自己の身

体寸法 を正 しく把握せずに被服を調達 していることが、既製衣料が身体に適合 しない と判断す

(5)

1  

サ イズ記号 に対す る認識

(%)

正 答

誤答   分か ら ない

正答    誤答   分か ら

 

ない

Tシ

ャ ツの

Yシ

ャ ツの

11lB R」

11lB R」

「 1lB R」

「94B5」

「94B5」

「 11]BR」

S,L/1,L」

「 38‐

‑78」

11

R

B

94

B

R

49.3

15。1

6.9 2.7

1.4

24.7 35.6

4.1 4.1 2.8

26.0 49.3

89.0 93.1 95.8

49.1 9.7 9.6 7.9 22.0

26.3    24.6

34.2    56.2 34.2    56.2

20。2    77.0

15。8    62.3

一  一 一 

一 一 

る要因であるといえる。著者 らの調査

16)で

は、中学生は学校における定期的な身体計測 の結果によって、 自分の身体寸法 を認識 して いることが分かっている。これは今回の身長 の認識値が実測値 より高かったこととも一致 するといえる。 しか し、健康管理のための身 体計測方法 と衣服寸法基準のための計測方法 とはバス トやヒップにおいては異な り、学校 での健康管理を目的 とした計測値 を知ってい て も基本身体寸法を知っているとはいえない。

被服教育においては、身体寸法を正 しく把握 することが被服 を快適に着 こなすのに必要で あることを知 らせることと、身体計測の機会 をつ くり、さらにその計測方法を正 しく習得 させることが必要であると考える。

次に、 自分の「体型」や「号数」について

の認識の回答を得た。男性で自己の「体型」 を認識 している者は

13.3%、

「号数」は

4.2%で

あっ た。女性で「体型」 を認識 していた者は

18.2%、

「号数」は 82.5%で あった。す なわち、男性 の

958%は

自分の「号数」 を、女性の 81.8%は 自分の「体型」 を知 らなかった。 さらに、 そ の認識の精度を検討する目的で、対象者が回答 した号数や体型 と実測値か ら求めた該当号数や 体型 とをクロス して検討 した。表

2は

最 も記入回答率の高かった女性の号数についての認識サ イズと実測値か らの算出 したサイズとのクロス集計結果である。認識 と実測号数が一致 した者 は合わせて 28%で ある。認識 と実測に誤差が認め られた者は半数以上で、 その うち

2ビ

ッチ 以上の誤差で認識 していた者が

18.8%で

あった o一 方、男性 の身長 の号数表示 につ いて認識

と実測が一致 した者は一人もいなかった。

以上のようにサイズ表示に対する理解が低いことや自分の身体寸法やサイズを正 しく認識で

% 00

 

 

 

 

‑1ピ ッチ未満   囲

1ピ

ッチ

■■■

2ビ

ッチ以上  l  l分 からない 上段 :男 性    下段 :女 性

差は絶対値で身長は5cm、 周径は

3cmを

1ビッチ とした

身体寸法の認識値 と実測値の差

(6)

女 子 の 自己 の 認 識 す る号 数 と計 測 値 か ら求 め た号 数

(%)

合 計

 

 

5      7      9

 

11      13 5号

7

9  11

  13

 15

17 19 分 か らな い

4.4   0.9 7.9   17.5

1.8     4.4

‑   0.9

2.6    2.6

0。9

1.8

5.2

1.8

5.2 8.7 1.8

0。9

2.6

0。9

1.8 1.8

0。9

0。9

7.1

44.5 22.8 6.3 0.9 0 0 17.5

・ 

・8

・8

・9

・ 1 1 0

. 6

.0 4.3 0

・9

・ 一 

一  一  一  一

5。2

1.8

合 計 16.7   26.3   16.4   19.2    6.3    5.4    100.0 )ゴシックは自己の認識と計測値が一致した者 きていない こ とが、既製衣料が不適合である と判断す る一因になっている と考 え られ る。今 回 の対象者の体型や号数 を実測値か ら求めた結果

(図

2、 3)のように、

JIS規

格 の範 囲か ら 外 れ る と判 断 され る者 は僅かであった。す なわち、 自分の体 に適合す る被服 を選択 で きるよう になれば、適合感は向上す る もの と予想 される。そ こで、 どの様 に して 自分の身体 に適合す る 被服 を選択す るかについての情報提供が必要である といえる。

また、実際 には

17号

に該 当す る者が 自分 は

9号

であるとし、 さ らに不 適合 と感 じて い ない 例 がみ られたことや部位別の適合感 に関す る質問に対 し「分か らない」 と回答す る者が1割 上見 られた ことか ら、大学生 は被服着用時の適合性 を評価す る能力が低 い と考 え られ る。動体 お よび生体 として着心地が よい とは どうい う状態か、 シルエ ッ トが適正 に保 たれている とは ど

ういう状態であるのかが分か らず、適合度を判別する能力がないといえよう。 このように、被 服の身体への適合を求めることや、サイズ規格 を正確に理解 して活用する努力をしていないこ とには問題があると考える。適合度を判別する能力や感性 を磨 くことも消費者 として重要な事 項であるといえる。

一方、男性の号数の認識では該当号数より

2号

ない し 4号 小 さく認識する傾向が認め られた ことや女性で

9号

、11号 と回答する者の割合が実際の分布に比べ非常に高いことの原因には、

経験的に自分のサイズを認識 していることが挙げ られる。すなわち、大学生女子を対象 とする 調査では「合 う既製服の表示寸法を覚えてお く」 ことが自分のサイズを知る方法のひとつであ るという結果を得ていること

1つ

、 さらに市場の販売枚数な ど考 え合 わせ ると、正 しいサ イズ を知 らず店頭にある商品の中か ら選択 し、着 られた被服のサイズを覚えてお くため と推察 され る。既製服 を供給する側は生産効率のために

1サ

イズの適合範囲を拡大するような被服設計を する傾向がみ られることと、ゆとりが多 くルーズフィットの構成にして、若い女性のスリム志 向の心理をついた レギュラーサイズの表示で対応するという傾向 もみ られる。このような生産 者側の販売作戦 にも問題が存在する可能性がある。 しか し、先ず重要なことは消費者が身体計 測に基づいて自分の体型や号数を正確 に認識 し、身体適合性 を評価する感性 をもってそれぞれ の状況に対応 して選択や着こなしができるようになること、 さらに表示が不適当と考えられる 時にはクレームを付けるという積極的な態度をもつことではないか と考える。

8.8 0.9

(7)

4  ファンデーションのサイズの認識

被服の中で も特 に身体適合性が要求 される服種であ り、  JIS規 格 において も独立 した規格 として構成 されている女性のファンデーションについて も検討を試みた。先ず、 自分でファン デーシ ョンを購入 している者は 95.6%で あ り、ブラジャーを使用 しない者 はいなか った。 そ こで、ブラジヤーのカップサイズについての認識 と計測値

(乳

頭囲胸囲 ―下部胸囲

)か

ら算出 したカップサイズとをクロス集計 した

(表

3)。 認識 と実測値が一致 した者 は

23%で

あ り、残 りの者はカップサイズを間違えて購入 しているといえる。特 に

Fカ

ップの者が Bカ ップと答え る例 も見 られ、身体 に適合 しないブラジャーを着用 している者が多 く存在 した。 さらに、購入

表 3  自己の認識するブラジャーのカップサイズと計測値か ら求めたカップサイズ

(%) AA

計 測 サ

A

合 計

イ ズ

B C D E F

一  一 一 

一 一 

一 一 

一 一 

一 一 

一 一 

A A A B C D E F

0.9

0.9 13.0 20.9

8.9 15.7 0.9

10.7 15.7

3.5 4.4

2.7    39.7 1.8    59。 4

‑    0。

9

合 計 0.9 0。9 33。9 25.5 26.4 100.0

)ゴ

シックは自己の認識 と計測値が一致 した者

時に「いつ も試着をする」者は 7.9%で あ り、試着 もしないまま誤った認識で購入 している実 態が明 らかになった。 ファンデーションの もつボディメーキ ングやサポー トなどの機能を充分 に果たすために、適切なサイズの ものを選択する必要があ り、その際試着は最 も確実な手段 と して有効である。フアンデーションについては、か らだつ きを把握するとともに、必ず試着す ることの必要性 を知 らせることが重要である。

5  考察

大学生は多 くの者が被服の調達行動の主体 となっていると考えられるにもかかわらず、サイ ズ表示 を正確に理解できていないばか りか、 自分の身体寸法 も正確に認識 していないことが明 らかになった。以上のように初等・中等教育を既 に終えた段階で、未だにこれらの既製衣料調 達のための基礎的能力が確立 していないことが、既製の衣料 には身体に合わない部位があると す る一因と考えられた。そこで、先ず消費者に対 して、何故、規格化やサイズの標準化が必要 であるかについて理解 させることが重要な課題であると考える。現在の 日本では JIS規 格 に 規定 された基本身体寸法や計測方法、規格、表示方法が用い られているが、 これは体型の変化 や合理化を目指 して改訂 されてゆ くものである。一方、国際化に伴い ISOや EC統 一規格な どの諸外国の衣料サイズ規格に対応する必要性 も考えられる。 しか し、衣料サイズの規格化や 標準化の基本的な理念や手段 に相違はな く、 これ らを理解 してお くことが内外の衣料サイズ規 格や改訂 されてゆ く新 しい規格にも対応できる基礎的能力 となると考えるためである。その上

7.9

(8)

で、被服 を着 こなし、使いこなすための実践的知識 として JIS衣 料サイズ規格の概要、表示 の読み方、基本身体寸法の計 り方について正確な知識を与えることが必要であるといえる。体 つ きについては、体型が加齢にともない変化することか ら勘や経験に頼 らず、計慣

1に

よって身 体寸法を把握することの重要性などを理解 させることが必要である。

次に、被服の身体への適合性 を評価する能力 を高め、感性 を磨 くことも重要 な課題である。

被服は人体 をとりまくもっとも身近な環境であ り、その快適性 を評価 し、精神的にも、身体的 にも快適な環境 を保証で きることは各個人にとって重要なことであるといえる。

そこで、われわれは規格化 に対する理解 を得 る場や情報を提供する場、適合性 に関する感性 を磨 く場 を積極的に構築 して行かなければならない と考える。 まず、規格に関する情報を提供 する方法の身近な例 としては、販売店の店頭、新聞・雑誌等のメデイアを通 して誰で もが分か りやす くて正 しい、質の高い情報 を提供す る方法などが考えられる。 また、教育課程に積極的 に組み入れることも必要であると考える。 日常的に立体構成の被服 を着用する衣生活になって か ら、わが国ではまだ半世紀余 りしか経ていない。それゆえ学校教育で衣生活行動の自立を援 助する基礎的教育がなされることは有効であると考える。 さらに、今回の結果や家政学会被服 構成学部会の調査

10で

30歳 代以上の年齢層においても表示に対す る認識が低か った ことか ら

も生涯教育の一環 として組み込むなど、現状では学校教育 を終えた後の年齢層に対 しても何 ら かの形で教育や情報提供が必要であるといえる。

一方で、既製衣料品についての適合感が低い理由として、体型に年代差が認められるのにも 関わ らず、男性の衣料サイズ規格は

1980年

以来改訂 されていないことな ど規格その ものに関 わる問題点なども明 らかにならた。体型の年代差を考慮 した衣服設計 も今後の課題であること が分かった。

要約

本研究の目的は JISに よって定め られた衣料サイズ規格や身体計測方法が、現在の衣生活 行動においてどのように機能 しているのかを捉 え、被服の身体への適合性向上のための課題 を 検討することである。

調査は、静岡県に在住する大学生男性73名 、女性

n4名

を対象 に、 ア ンケー ト形式 による 質問紙調査 と身体計測調査 を

1990年

7月 か ら9月 に実施 した。質問紙調査の調査項 目は、調 査対象者が認識 している自己の身体寸法、既製服の身体への適合に関する意識、衣料サイズ表 示 に関する認識などの計

46項

目である。身体計測調査は工技院体格調査の方法 に準 じ、 マル チ ン式計測器具などを用いて、男性52項 目、女性55項 目について実施 した。

主な結果は以下の通 りである。

1)男

女 とも約

3割

の者が既製衣料が体 に合わないと答えた。部位別の適合感では、男性は 大腿部、女性は袖丈について不適合を感 じている者の割合が、約

4割

であつた。ほとんどの者 が平均的体格であったのに、既製衣料品の適合感は低かった。

2)男

女 ともほぼ全員がサイズ表示の存在 を知っていたが、衣料サイズの表示に対する理解 の程度は低かった。すなわち、サイズ表示が読み とれないまま被服を選び、着装 している実態 が明 らかになった。

3)本 人が認識 している自分の身体寸法 と実測値 との差を求めた結果、周径項 目は正 しく認

識 している者の割合が低かった。「体型」や「号数」について も認識 と実測値 が一致す る者の

(9)

割合 は極めて低かった。 自分の身体寸法を正 しく把握せずに被服 を調達 していることは、既製 衣料が身体に適合 しない と判断する要因の 1つ になっていることが推察された。衣服寸法を

2

ビッチ以上の大 きな誤差で認識 していた者が存在 したことなどか ら大学生は着装 した被服の適 合性 を評価する能力が低いと考えられた。

4)フ

ァンデーションは、大半が 自分で調達 していなが ら上衣・下衣 と同様に寸法 を誤つて 認識 していた。いつ も試着をして購入 している者は

1割

に満たなかった。高い精度で身体適合 性が要求 されるファンデーションは、か らだつ きを把握 し、さ

:ら

に試着をすることが必要であ ることの認識が不充分であるという実態が明 らかになった。

以上の結果か ら、既製衣料の身体への適合感を改善するには、 まず規格化や標準化の必要性 について理解 させることが重要な課題であ り、体型の年代変化や国際化時代の衣料サイズ規格 に対応で きるための基礎的能力 となる。体つ きの加齢変化 を知 り、身体寸法 を知ることの重要 性や計測方法を理解 させることも必要である。 さらに、被服の身体適合性 を評価する能力 を高 め、感性 を磨 き、環境 としての被服の快適性 を保持することの重要性 を認識 させ、実践 させる ことの必要姓が明 らかになった。学校教育をは じめ、学校教育終了後にも生涯教育の一環 とし て取 り入れることによって、衣料サイズ規格 に対する理解 を得ることや適合性 に関する感性 を 磨 くことを積極的に推進することを提言する。

本報の一部は第43回 日本家政学会大会

(東

京,1991.5.25)に おいて口頭発表 した。

身体計測調査における本学部被服学研究室の秋山裕子嬢、池谷美子嬢、門野直子嬢、川島純 子嬢のご助力に対 し感謝申し上げます。

引用 文 献

1)深 作光貞他 :座 談会快適性

,繊

消誌

26,4,152,(1985)

2)多 々納道子 :衣 生活管理能力の研究

(第

1報)一 大学生の衣生活の実態 と意識 ―

,日

本家庭 科教育学会誌 26,2,75〜 82,(1982)

3)多 々納道子 :衣 生活管理能力の研究 (第 2報 )一 大学生の衣生活における性別役割意識 と学 習要求 一

,日

本家庭科教育学会誌 28,1,39〜 46,(1984)

の中川早苗 :衣 生活システムの理論的 0実 証的研究 (第 3報

)女

子大生の生活場面 と着装基準 に関する研究

,家

政誌 37,5,397〜 403,(1986)

D藤

原康晴 :女 子大生の好 きな被服のイメージと自己概念 との関連性

,家

政誌

38,7.593〜598,

(1987)

0渡 辺澄子・川本栄子・中川早苗 :服 装におけるイメージとデザインの関連について (第 1粉

イメージを構成する主因子 とデザインの関連

,家

政誌42,5,459〜 466,(1991)

7)高

森寿 :既 製衣料のサイズ表示 に関する認識 とその身体適合の実態   男子学生の場合 ,熊 本 大教育学部紀要人文科学

40,137〜

148,(1991)

0高

森寿 :既 製衣料のサイズ表示に関する認識 とその身体適合の実態   女子学生の場合 ,熊 本

大教育学部紀要人文科学

40,125〜

135,(1991)

(10)

9)JIS衣

料サイズ推進協議会・体格調査委員会編集

,衣

服寸法設定のための身体計測実施要 領及び写真集

(成

人編

),株

式会社 カネボウファッション研究所 ;(1980)

10厚

生省保健医療局保健増進栄養課編

:国

民栄養の現状   昭和

63年

度版 ―昭和

61年

国民栄養調 査成績 ―

,第

一出版株式会社 ,(1988)

lD通

商産業省工業技術院・

(財

)日 本規格協会・ JIS衣 料サイズ推進協議会

:日

本人の体格調 査報告書

,(財

)日 本規格協会

1"JIS衣 料サイズ推進協議会編 :既 製衣料品サイズのすべて ,(1980)

10日

本家政学会被服構成学部会 :既 製衣料サイズ表示 と購入の実態に関する研究報告書

,日

本 家政学会被服構成学部会 ,(1991)

1の

赤根由利子

:既

製服 とサイズの適合性

,土

浦短大紀要

10,27〜

38(1982)     .

lD山

名信子 。大志万人栄子・ 中野慎子

:体

格 と衣服寸法に関する意識調査

(第

3報

),繊

消誌

20,10,450〜

454,(1979)

10大村知子・稲葉和子

:衣

料品の寸法基準 に関す る中学生の意識について (I),日 本大学三島 学園生活科学研究所報告書

3,57〜

64,(1980)

1つ

大村知子

:衣

料品の寸法基準に関する女子学生の意識について

,日

本大学三島学園生活科学研

究所報告書

5,29〜

35,(1982)   '

表 1   サ イズ記号 に対す る認識 (%) 女 子子男 正 答 誤答   分か ら ない 正答    誤答   分か ら 表 示   例 ない Tシ ャ ツの Yシ ャ ツの 「 11lB R」 「 11lB R」 「 1lB R」 「94B5」 「94B5」 「 11]BR」 「 S,L/1,L」「38‐‑78」の11のRのBの94のBのR 49.315。16.92.71.4 24.735.64.14.12.8 26.049.389.093.195.8 49.1 9.79.67.922.0 26.3
表 2  女 子 の 自己 の 認 識 す る号 数 と計 測 値 か ら求 め た号 数 (%) 合 計計 測 サ号5      7      9イ ズ11      13 5号 認 7 識 9 サ  11 イ   13 ズ  15 17 19 分 か らな い 4.4   0.9 7.9   17.51.8     4.4‑   0.92.6    2.60。91.85.21.8 5.28.71.80。92.6 0。 91.81.80。9 0。 97.1 44.522.86.30.90017.5・・ ・

参照

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