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擬声語擬態語に由来する中国語語彙

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(1)

擬声語擬態語に由来する中国語語彙

その他のタイトル Chinese Words of Onomatopoetic and Mimetic Origin

著者 坂本 一郎

雑誌名 関西大学東西学術研究所紀要

巻 4

ページ 21‑28

発行年 1971‑03‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/16111

(2)

で あ

っ て

擬 声

語 擬

態 語

に 由

来 す

る 中

国 語

語 案

︵ 坂

本 ︶

﹁中国語の音義関係﹂という研究発表をした時もその事に少し触れ

以下の諸語は中国の現代語を専攻する私がこれまで気づいたもの

日本語の擬声語擬態語から日本人に大体無理なく受入れ

られそうな語梨を造んだものである︒古語文語には中国人が古来擬

態語と理解している語粟が極めて多いが︑その音が何故に擬態であ

るか客観的に判断し難いものが多い上に古いことばは私の専門外で

も あ る の で ︑

て お

い た

それ等語彙はここには挙げないこととする︒発音表示

はカナの方かわかり易いものはカナで︑ カナでは不充分なのは新中

国の表音方式による︒尚ことばの用例には中日大辞典と倉石氏の辞 たことがあり︑又昭和二十三年頃京大で開かれた中国語研究会で お

り ︑

その一部は戦前戦中に上海で出版されていた華語月刊に書い と思うが 私はかねて中国語にもかような例がかなりあると考えて いう擬態語によって出来たであろうし︑ という擬声語に由来するであろう︒ かかる日本語は相当数あること ﹁ころぶ﹂も﹁コロコロ﹂ 日本語の ﹁ひかり︑ひかる﹂は﹁

︒ヒ カッ

︑︒

ヒ カ

ヒカ︑ビカリ﹂と

﹁ 踏 ︵ ボ ソ

be ng

の去声︶﹂ということばがあり辞典には﹁跳び

上る︑はねる﹂と出ている︒正しい訳であるが︑私が北京で﹁僑別

鋤•…•お前ボンするな」.と言っているのを聞いた時は、子供が室内

でボンととび上った時であった︒﹁踏ポン ﹂ はポンと軽快にとび上

ち る

はじける﹂であるが︑

﹁ 魚

鋤 着

﹂ は

﹁ 魚

が ︒

ヒ ョ

る音や語感からできたことばであろう︒

ビョソ跳ねている﹂である︒同音﹁避ボソ﹂も﹁ほとばしる︑とび

﹁石溜近開﹂等はざくろが﹁ボソと裂

け割れる﹂であってやはりボンの音感から来ていると思う︒

﹂に近いことばに﹁跳﹂があり﹁

鋤々跳々﹂︵とびはねる

ということばもあるが︑﹁跳

t i a o

i a

0

という母音と力強い有気

音 の

t

から見て擬態的なことばとも考えられるが︑これは主観的と

のそしりを受けよう︒只いづれにせよ力強く又梢複雑な動作であっ

て︑その点が軽快単純な﹁ボン﹂と異なっている︒

擬声語擬態語に由来する中国語語彙

ボン︑バンの音 典を参考にしたものが相当数ある︒

坂 本

(3)

﹁ 棚

︵ 硼

︶ ︵ ポ ソ

b e

n g

の 陰 平 ︶

﹂ も右と音が似ているが意味も関

連がある︒﹁車胎親了・・ ・

・ ・

・ ク イ ヤ が ︒ ハ ソ ク し た ﹂

︑ ﹁ 鼓 皮 硬 棚 々 :

. .  

太鼓の皮がパソと張っている

﹂ ︑

棚 児

棚 児

地 ・

・ ・

・ ・

・ ビ

ソ と

張 っ

て ﹂

これ等は日本語のパソ︑ ポソ︑ピソと同様の音惑であるが︑

瞼⁝ ⁝ ふくれっつらをする﹂︑﹁硼帯﹂等の用法も右の意味が拡張使

用されたものと考える︒

﹁砕︵ポソ p e

n g

陰平で有気音︶﹂は擬声語で﹁呼々両声人倒在

地 下

・ ・

・パンパンと音が し て人が地面に倒れた﹂ ︑ ﹁評的一声門開了

・ ・

・ ・

バソと門があいた﹂︒

という音であるから有気音となっているが︑ ボン時にはドカン

﹁心秤々地跳⁝ ⁝ 胸が ドキドキする」の「坪

~」(同音)や「押撃…難詰する」、「押弾:·

:弾劾する﹂の﹁拝

﹂ ︵同音︶も意義上明らかに関係がある︒

﹁ 膨︵ポン

p e g n

) ﹂は﹁膨脹﹂の 膨﹂であるが︑ 鼓膨々⁝⁝ ﹁

パンパンにふくれた﹂︵蓬々とも書く︶という用法から見ればやは

りボンと張りきった状態で擬態擬声に由来することばである︒

﹁ 棒 ︵ パ ソ

b a

n ﹂ の去声︶︒﹁棒 という名詞の外に﹁硬棒⁝

g

がんじょうな﹂

︑ ﹁

緊棒々

⁝ ・ :

がっちりひき し

ま っ た ﹂

︑ ﹁ 硬 棒 々

⁝ ⁝

も の す ご く 硬 い ﹂ ︑ ﹁ 身 子 棒 : ・ : ・ 体 が が っ ち り し ている ﹂ の如く固く

がっちり し た感じの こ とばであるが ︑ 前記 ﹁ 硬棚 ﹂ が

硬棒﹂と音

も意味も似ていることから見て︑やはり擬態的なことばと考える︒

﹁ 棒

︵ ぽ う ︶

﹂ ということばも或は ﹁ がんじょう ﹂ ︑ ﹁ が っ ち り ﹂ に 関

係があろう︒以前北京では ﹁ 棒 ︒ ハ ン ﹂ を 動 詞 に し た ﹁

棒 了

︒ ハ

ソ ラ

﹂ かように激 し

い ︒

ハ ン

﹁ 棚

出会う

という用法から見ると前記

在では方言の影磐か﹁棒.ハン ﹂ の意義が拡大 し﹁す

ご い

りっば ﹂

というような意味の形容詞と し て盛んに用いられている︒﹁写得棒

極 了 ⁝ ⁝ 実 に り っ ︒ は に 書 い て あ る ﹂ ︑ ﹁ 他真棒⁝⁝彼はほんとうにす

﹁ 榔

( b a n g

の上声︶﹂︒一般に﹁しばる ︑ 逮捕する﹂等の意味に

用いるが︑本来は

がっちりグルグルまきにする ﹂ ことであって ︑

こ の点が ﹁ 細

k u

n ﹂ ﹂ ﹂ とちがっている︒前記﹁緊棒々 を﹁緊綿々

とも書くことからもわかるように ︑ これも ﹁

︒ ハ ン

﹂ の ﹁ は り き っ た ﹂ ︑

﹁がんじょう ﹂ 等の音惑に関係があると考えられる︒

﹁ 都 ( b a n g の陰平︶﹂の仲間︑グル ー

︒ フ

︑ 秘密結社等の意味も右

﹁ 郷 ﹂ や ﹁ 棒﹂に心理的につながっており︑又

﹁邦

︵ 同

音 ︶

﹁ く に ﹂ という意味も こ れ等擬態語と無関係で は

あ る ま い 仏 ︒

頂 面

﹂ ︑

これは b a n で n で終り音は梢ちがうが

︑ ﹁

肩膀

﹁ 板

︵ パ

ン ︶

﹂ ︑

児 板 了 : .

. .

. 

肩がこった

﹂ ︑

板 瞼

・ ⁝

顔をこわばらせる︑ ・ ・

﹁ 他 太板⁝⁝彼はゆうづうがきかぬ ﹂ ︑﹁死板板⁝⁝考えが コ チ コ チ

等の用例から見れば ﹁

い た

﹂ の連想 と いうよりやはり上記一連の音

惑からできたことばであろう︒

﹁ 磋︵ポン

p e n g

の 去

声 ︶

ぶ っ つ か る ︑

の意味であるが ︑ と言えば﹁かじがらめに し ばる ﹂

で あ

る ︒

︑ ︒

ご し

ぶ ち あ て る ︑

出会う等

﹁硯破了破璃

・ つ き あ た っ て ガ ラ ス を 割 っ た ﹂ ︑

﹁ 磋

⁝⁝

頭がぶっつかる︑

﹁ 五 花 大部 ﹂ ということばは婦人の前では口にせぬがよいと言われていたが︑現

(4)

擬 声 語 擬 態 語 に 由 来 す る 中 国 語 語 索

︵ 坂 本 ︶

﹁こっびどくしかりつける﹂という意味に もなる︒若 し南 ﹁呼ボン﹂に関係があろう︒この﹁硯ボソ﹂は麻雀用語として日本 い用法では

pa n

と 読

む し

⁝つばを吐く︒ ﹁心広体肝::;心が広く体がゆったり﹂

又﹁貯﹂の音符の﹁半﹂

方式に入声で言えば︑ から見て当然

pa n

の 音であるべきであるのに︑ ﹁肥えた︑太 った︑デプ ﹂

用法では

pa ng

と口腔内の広い

ng

の音となっている︒これも﹁太

った﹂という意味が本来の音を擬態的な口腔 内の広い

pa ng

に変え

たものと思う︒

辺の漢字には擬声や擬態と予想されるものが多いが︑擬声以外

の用法で日本人にもはっきりそれが擬声擬容に由来すると首肯でき

﹁ 吐 吐 沫

﹁ 吐

( t u

上 声去声︶﹂は﹁吐く﹂であるが

t u

の口の形と有気音

t

から見て明らかに擬態語であり叉擬声語でもある︒

日本でも子供に﹁ツーしなさい﹂という人がある︒

﹁嘔吐﹂の﹁嘔﹂も

OU

で嘔吐時の始めの

腔内の形そのままで擬 讐

go

﹁ 唾

( ( t u :…o•つばき)」もこの関連語である。

﹁ 眸

(c ui

の去声︶﹂元来たんやつばきを強く吐きかける動作で

あるが

その口の形と音の速度がその動作そのままで

ある︒北京では去声であるが︑北京の去声は租江南の入声に似た調

子 で あ る

︒ ﹁ 弊 人

・ ・ ・ ・

・ 人 に つ ば を は き か け る ﹂

cu i

C

もこの動作

にふさわ

い有気音である︒尚このことばは﹁チェッ﹂と軽蔑する

﹁悴!這個老柳子

! ・

・ ・ ・ ・

・ チ ェ ッ

!こ

のおいぼれめ

﹁ 吹

(c

hu

i )﹂

ch

も有気音である︒日本語﹁ふく﹂の﹁ふ﹂も擬声語であろう︒

中国語の﹁吹﹂ も日本 同様﹁ホラを吹く﹂等の用法がある︒

がつく﹁吹嘘チ

イシュイ

⁝⁝

吹聴する﹂の

(XU

ジ ュ

イ ︶

も息をはく擬声擬態語で

あえぐ様子は﹁喘嘘々﹂という︒

も中国音の

ha

そのままである︒又眼鏡に息をハーッと吹きかける

のを﹁唸眼鏡﹂

寒い時手に息をふきかけるのも﹁除手﹂という︒

咆︵シー︶﹂この音は

音を保存する南方では

ヒ ー

﹂に近い

﹁ヒヒヒ﹂と笑う音と口の形で﹁笑嗜々⁝⁝ニコニコ﹂︑﹁喀笑⁝⁝

クスクス笑う﹂と辞典にあるが

要するに﹁ヒー﹂や﹁ヘー﹂とい

ぅ口の形で笑うことである︒

これから見ると﹁ 喜 ﹂ や ﹁穂﹂も元来は擬

声擬態語である

ことが

わ か

る ︒

pu

pa

i

pe n

「嘆(pu)」これは「嘆的一声把灯吹滅了•••…。フーッとランプを

床来

⁝;

:小猫がパッとベッドにとび上った﹂の如く﹁パッ

という 吹きけ

した

の如く本来はプーという音であるが

るものは数多くはない︒

ロ の 動 作

﹁小猫喫地跳上

嗜々唸ク:

へ へ へ ^

^ ハ と 笑 う ﹂

﹁ 唸

ハ ー ︶

という

﹁ 眸

︵ パ

ソ ︶

という古

﹁ 喰 々 笑

︵ ハ

と 笑

う ︶

の(卜は音も動作

.  ゜

擬声語にもなる︒ でもよく用いられている︒

﹁ 吹 ﹂

笛等を吹く動作 とこの音から見て擬態音と思う︒

(5)

﹁ 睦

(t an g)

わしい︒又﹁叩

﹂と﹁

拍 ﹂

﹁ 噴

布 :

・ :

「噴

(pe

n

)」「噴飯:…•ご飯をプーッとふき出す」、

き り

ふ き

す る

﹂ ︑

﹁ 噴

々 香

: ・

・ ・

プソプンよい香りがする﹂の如く擬態

これ等に共通の

P

の音は閉じた両唇をつき破って出す有気音で

あるため︑そういう感じの動詞には

P

を語頭にもつものが多い︒

例︑砲

pa

︑破

o

P

O︑

pi

︑剖

po

i

霧 剪

up︑︑

pi

︑咆

pa

o

pa

︑泡

o

pa o

太 鼓 の 音 等

哩的一拳打在栗子上⁝

. .

.  

どんとこぶで卓をたた

的なことばである︒ ﹁叩喉﹂も﹁拍喉﹂と書くこともある︒ は南方では同音のところが多い︒ 右の 迅速な動作をも示す︑これは﹁嘆﹂の音が元来入声であることにも

関係があろう︒

これにより﹁猫

撲耗

子:⁝.猫が鼠にとびかかる﹂の

﹁ 撲

(p u)

﹂も擬態

語に由来する

ことがわかる︒﹁撲他去﹂は﹁彼

に お

ど り

か か

る ﹂

られるが︑これにより

﹁ 拍 ﹂ は 乎 ﹁撲通ポトン﹂等の 尚﹁撲﹂は﹁撲騰.ドスソ

﹂ ︑

擬声語にも用いられている︒

﹁叩

(p

)a

﹂﹁ 如く擬声語で「珀喉…•••

バチャ」●「叩嘔

·:‘、ハタッ」のように用い

P B パクソとテープルをたたく﹂の 的一声拍巣子⁝

﹁ 拍

(p ai

)

﹂もこの擬声によりできたことばと思う︒

たい物でたたく動作であるだけにこの

pa

と か

pa

i

という音がふさ

﹁ 劉

(s

hu

a)

﹂﹁小雨蘭々地下⁝・:小雨がサーッとふる﹂︑

捌地

一 下

胞 了

: ・

サーッと逃げた﹂︒﹁サーツ﹂という音感のことばで本

来入声である︒

(c a

ツ ァ

ー ︶

に似ているが︑プラジ以外布等でふいたり塗ったりするのに主と

南方では﹁ツァ﹂の入声で音も意味も﹁刷﹂

(s

hu

a)

プラシやクワジを用いる動作であるが︑右

﹁劉﹂

により﹁サッサッ﹂という音によりできた動詞と思う︒動作の目的

を問わず動作の形式に重点を置くという中国語動詞の特性によって

﹁刷﹂はプラシでこすり落すのも塗るのも共に﹁刷

と い

う ︒

・ ・

・ ・

プラジ﹂という名詞にもなっている︒

﹁ 刷

拭 ぐ 塗 る 等

たる﹂感じに用いられる可能性があるわけである︒ 太鼓鏑銅鎖等の音︒ ﹁ 鎧

(

ta ng

)﹂

(

ta ng

)

﹂太鼓の音︒

これは皆大きい

で古音の残る江南では﹁ドソ﹂とか﹁ダソ﹂と

﹁ 堂

(t

a)ng

: ・

: 大

広 間

と か

堂 堂 ・ ⁝

堂々たる

とは無関係

という擬声語もあるが︑ ではあるまい︒というのは太鼓の音には軽快な﹁業

(t

neg

ト ン

︶ ﹂

﹁菱々地﹂と言えば老年だが元気ではりき

っているという副詞になるので

﹁ ド

ンドン﹂という太い音は

堂 々

いう濁音で日本人の音感同様である︒この大きい感じは

く ﹂

ニ四

(6)

擬 声 語 擬 態 語 に 由 来 す る 中 国 語 語 症

︵ 坂 本 ︶

とばであろう︒

娃 娃

( w

a

( 陽

平 ︶

wa

・ ・ ・ ・

: 赤

ん 坊

︶ ︒

ワー泣く﹂の﹁畦々wa

wa﹂からできたことばにちがいない︒

老 鵠

( l a o

g u

a ⁝

゜ :

か ら

す ︶

からすは﹁吐々(gua

g u

a )

地 叫

⁝ ・

:

カーカーとなく﹂ので擬人化して﹁老甜﹂というわけである︒か

らすは﹁鶉

(y

a)

﹂とも言うが︑

ではngaであるからこれもその嗅き声によって古代にできたこ

猫 (mao)のなき声は中国語ではmiwuかmia

0

で あ る が

︑ ﹁ 猫 ﹂

な き

声 ではなく軟かみのある動作である︒

J

﹁ 碑

5

﹂の音符﹁牙﹂は江南

J

ろぶという動詞は﹁ 枯嗜 ﹂ に関係があるであろう︒ 滑

車 ︑

ロクロを意味する︒ '

﹁ 涙 ( g u n こ ろ ぶ ︶

﹂ ︒

言 い

二五

通は﹁淡クーソ﹂と言い前記﹁昭噌出去﹂は一般に﹁浚出去﹂と

﹁ こ ろ ん

で出て行く﹂意味から転じて ﹁出てうせろ﹂とい でよいが︑普 日本語﹁コロ﹂は中国か らの伝来語か

日本の﹁コロコロ﹂からできたことばかのいづれかであろう︒日

本語の﹁ころぶ﹂は﹁コロコロ﹂から︑﹁くるま﹂は﹁クルクル﹂ ﹁孫子桂桂叫⁝⁝子供がワ ー

﹁ 甜

( g

u a

コ ア

︶ ﹂

. . . . . .  

顔をそる ﹂

﹁一骨禄起来了﹂は﹁クルッと起き上った﹂で

うに音に関係のあることばで「EIJ排:…•こそぎ落す」、「甜垢……あ

かをかき落す﹂の如く﹁ゴツゴシ﹂こするのに用いるか又は﹁利瞼

とちがってgua (元は入声︶には固さがあるので︑用法のちがいが

できたものであろう︒ ﹁甜﹂は用法が更に拡大し﹁利地皮﹂と言え

﹁抹(mo)﹂これも﹁けす﹂とか﹁塗る﹂ことであるが︑moの m 音が示すように﹁サッサッ

﹂ ︑

ツァッツァツ﹂とか﹁ゴシコシ ﹂

﹁ 抹 胡 子 ⁝ ⁝ ひげをなでる﹂ ︑

「抹黄油:…•パクを塗る」、「抹眼涙……をこする」。

﹁ 枯 嗜﹂叉は

ば強引にその土地の人民を搾取するという意味になる︒

ク ル ク ル

のように鋭いものでそる意味になる︒shua

c a

「甜打巣子:…•テープルを打ちたたく」のよ

て用いる

C

﹁ 擦

布 ・

⁝ ・

・ ぞ

う き

ん ﹂

︑ ﹁

擦子

⁝ ⁝

ふき物 ﹂ ︒

﹁ 蚊

子 ー

か ﹂

の字の音符﹁苗﹂は音mia

0

であ って︑これもなき声に由来する

わけである︒鹿児島県の一方言で猫のことを ﹁マオー﹂というそ

うであるが︑これも多分なき声が訛って﹁マオー﹂となったので

あ ろ

う ︒

蚊 ( w e n ) 蚊 の な く の は ﹁ 唆 々 w e n g w e n g ﹂ と 言 い w e n に 近 い

が︑江南にはVengという音もあり︑元は﹁プソプン﹂という

音によって名

︑ つけられたものであろう︒

ロ こ

ろ ぶ

﹂ ︑

コロコロ等

﹁骨禄﹂︵音クールー︶︒﹁吃噌昭咽地浚:・ ・ ・ ・ コ

ロ コ

「枯噌吃噌転··クルクルまわる」、

声︑︑コロゴロという雷の音﹂︑﹁水焼得枯噌吃噌地響⁝⁝湯がたぎっ

てグラグラ音がする﹂の如く擬声語であるが︑動詞にもなり﹁枯

噌出去﹂は﹁ころんで出て行く﹂︑﹁把球??過去﹂は﹁ボールを

ころがして行

く ︑

ある︒このクールーは名詞﹁鈷輔クールー﹂ ﹁枯噌咄嗜的雷

ともなり︑車輪︑

(7)

は ク

ー ルーとも密接な関係があるのである︒

と し

ヌ ル ヌ ル

う軽蔑のことばによく用いられる︒かように意味は﹁浚﹂と ﹁ 咄

噌﹂共に同様であって相違点は

l u

と n のちがいだけである︒

ところが l と n は相通じ易い音で中国では l i と n i との区別の

ない地方もあり

北京でさえ﹁脊梁

﹂ j i

l i a n g

j i n i a

n g

と訛

り︑﹁ 日 本 の ﹁

敦賀も

ツノガ﹂の訛 り と言われている●かく考

えると

涙﹂は ﹁ 帖嗜﹂に 由 来することがわかる︒

ろぶ」意味以外に「涙開的水…•ーグラグラわいた湯」、「浚熱……

とてもあつい﹂

︑ ﹁

浚 子 ・ ・

・ ・ ・ ・

ロ ー

ラー﹂とか水やほこりが﹁浚々﹂

というように用法が多いが ︑ 共に上述の擬声擬態に関係があるわ

け で あ る

﹁ 麒輔︵ルール

ー ︶

﹂ ゴ

ロ ︑

コ ロという車の音であるが ︑

﹁ 輪

( l

u n

) ﹂これは﹁輪

まわる ︑ まわ

す ﹂

であるが

︑ ﹁

ク ー ル ー

と ﹁ g

u n

﹂の関係と同じく右﹁ルールー﹂と

J u

n との関係が想像

﹁車輪﹂という中国語は俗に﹁車帖輔﹂とも言い︑

﹁ 推

( l

u n

ふりまわす︶︑これも﹁輪﹂の﹁まわす ﹂ という動作の

中で手に関するものに手辺をつけたまでである︒

ふ り ま わ す ﹂

﹁枯咽

( g

u d u 

:

: ・

・ ︵

グ ッ グ ツ

湯がグラグラとわいた ﹂ ︑

グ ラ グ ラ

︶ ﹂

倫刀:⁝力を

「水吃喝開了··:••

転じて﹁グッグッグラグラ煮る ﹂

さ れ

る ︒

マ ル イ

ナガレル

等の感じを示す傾

l u n  

溜 ( l i u

) ﹁光巴吃流﹂とも言うが︑ ﹁吃流﹂の音も﹁出溜﹂に近い︒ 類であることがわかる︒ ー

ル ー

﹂と 書 け ば﹁ろくろ﹂である︒

J

れも﹁クールー ﹂

J

の 同 ﹁輔轄︵ル ﹁ 凄 ﹂ は﹁こ u

得把嘴咄喝起来⁝⁝彼は怒って口をとがらせた﹂︒

﹁ 他

という音は中国語の

U

音の性格から 口 をと う動詞にもなる︒ る ﹂ ︒ 尚この﹁吃咽﹂

がらせて発音する︒それで次のような擬態動詞にもなる︒

出 溜

( c

h u l i u

すべる ︑

ツ ル ッ と す べ る ︒

﹁ 従披児 上 出溜下来⁝ ⁝ 坂からッル ー ッとすべりおりる﹂

︑ ﹁

在氷

上打出溜⁝

氷の上をすべる﹂ ︑ ﹁ i 2 了一個限頭⁝⁝ツルッとす

べってころんだ﹂

﹁ ツ

ル ッ

﹂ という擬態語が動詞になったもので

…・・ツルツル光る」

あるが︑意義が拡大 し て ﹁ 那個人 ー ー了 ﹂ は

奴はぐれた ﹂

と い

う意味になる︒然 し 以 前北 京では日本語の﹁あいつすべっ

た ﹂

同 様﹁不合格 ﹂ という意味にもなったように記憶 す

る ︒

﹁ 光

i t

﹁ 光巴

t i

⁝ ・

ツルヅとなめらか ﹂ ︑

﹁ すべる ﹂ という意味以外多くの用法があるが ︑

﹁ 光

溜 ・

:

なにもなくすべっこい」、「光溜溜…•スベスベテカテカ

」、

「滑溜

⁝⁝

ツルツル し

た ﹂

︑﹁

溜氷⁝ ⁝ スケート﹂等の用例でわかるよ

うに﹁出溜﹂という擬態語に大いに関係がある︒ 元 々

l

音やラ行

音は﹁ナメラカ︑

向があり ︑

ツ ノレ

ノレ

ス ペ

ル ︑

日本語ではラ行音は本来語頭にはないと言われるが︑

ノレ

ノレ

スルスル ︑

ズルイ

コ ロ コ ロ

﹁ 把

白 菜

再 咄

咽 :

・ ・

・ 白菜をさらにグッグッ煮

二 六

(8)

擬 声 語 擬 態 語 に 由 来 す る 中 国 語 語 粟

︵ 坂 本 ︶

最後に

﹁ 柳

( J i

u ) ﹂ も 同 様であろう︒従って

と聞い た 時︑中国人は柳の木を連想 し なくてもなめらかな 曲 線 を 流流

﹂ ︑

吃流 ﹂ と書かれる

こ と

が あ

る ︒

﹁ 柳腰

l i u

y a

o

と い

うのであろう︒料理法の一つ で あ る ﹁ 溜魚片 ﹂ 等 の ﹁ 溜

︵ 燿

も肉や魚を片栗粉等を入れて煮る所謂あんかけ料理で ︑ ト ロ

ッ と

した汁がかかっているので

li u

となったものと思う︒

﹁ 瘤 ﹂ の l i u

や﹁石梱﹂の

l i u ︑

さらに﹁瑠璃﹂の

l i u

もツル

ツ ル

て ナ メ ラ カ な マ ル み に 関 係 が あ る と 思 わ れ

︑ 又

﹁ 流

( J i

﹂ u ) ﹂も多分関連があろう︒ 滑溜溜 ﹁

や﹁出溜﹂も時に﹁滑

l i

u

る こ

と も﹁溜︵避︶馬﹂という︒

る ︒

ィ ﹂

であり﹁脈

n i ﹂

二 七

に も

﹁ ネ

ぐ ハ

リ つ

︑ くっつく ︑し つ こ い ﹂ によく用いられているが ︑

中国の﹁粘

n i a n

( 陽

平 ︶

﹁ 捏

﹂ n i も日本語コネル︑ネルと同様そ e ﹂ コネて作る﹂という意味もあり﹁捏造

﹁ 館

J i u 饂頭﹂は辞書には ﹁ マントウを蒸 し なおす﹂とあるが︑こ

れも固くなったのをやわらかにナメ ラ カな感じにするので

﹁ 揺 ﹂

に は

﹁ ひ

ネ ル

ネジる ﹂ 意味があるが ︑

ネル﹂意味があり叉 ﹁ 捻 (

n i a n

声 ︶

﹂ の

﹁ ひネル﹂も音が 似 て

い る

︒ ﹁ 捏

﹂ は﹁コネル ︑

という熟語もあるが ︑

﹁ 捏

に も ﹁ ひ

の音惑から発生を し た こ とばであろう︒日本語の ﹁ ネ ﹂ は ﹁ ネ

ャ ネ チ ャ

﹂ ︑

﹁ ネ バ イ ﹂

︑ ﹁

ネット

リ ﹂

等﹁ネル﹂に関係のある意味

﹁ 泥

﹂ もその音感から

用 い

ら れ た も の と 思 う ︒

( n i

) ﹂ ﹂

と か

﹁ 紐

々 泥 々

と も 言 う が ︑

J

﹁ 捏

﹂ や

﹁ モ

モ ジする ﹂ は

﹁ 溜

食 :

・ ⁝

食物の消化のため食後散歩する﹂︑

ナメラカな惑じから来た こ とばと思う︒一部日本人によく知られ

ている﹁溜達々々

⁝ ⁝

散歩する﹂は ﹁ 溜一溜﹂とも言い ︑ やはり

散歩

し て全身をほぐしなめらかにする意味であり ︑ 馬を運動させ

J

れも

l i u

音 の で表わされている︒ クルクル ︑ グルグル

﹁ ニ

ャ﹂等の音も用いられている︒

﹁ ヒ

ネ ル

クネラせる ︑

﹁紐々捏々

n i u ‑ n i u   n i e  n i e ‑

﹂は体を左右にふってシャナリシャナリ歩くさまやモジモジ

するさまであるが ︑ ク ニ

ャ ク

ニ ャ﹂というように ﹁ ネ

﹂ や

日本語の ﹁ クネクネ﹂とか﹁ニョ

ロ ニ ョ ロ

﹂ ︑

﹁ ニ ュルニュル﹂等とど こ か共通点がある︒ け ︑ ク ニ

ャ ク

ニ ャ し ないで ﹂ ﹁ 他 溜了⁝⁝彼はスルッとぬけ出 し

た ﹂

︑ ﹁ 溜 進 来 ⁝

ス ル ッ

のび、「説溜了嘴••口をスベらせた。「溜肩膀なで

肩 ︑

C

スルい態度

﹂ ︑

溜奸溜滑:

・ ・

・ ズ

ル い

﹂ ︒ ﹁すべる﹂以外に色々な用法があるが大てい右の感じに関係があ

中国語

l 音の中では

l i u に こ の 感 じ が 強 く

トロッとの如く右の感じが二字目のラ行音

﹁ 担 (

n i u

声 ︶

﹂ n i u

J i u

と音感が似ているが異る点もあり︑

その意味も同様に似た 点と 異る点がある︒

﹁ 柾

腰 ﹂と 言えば ﹁ 腰

をヒネる ︑ 腰をクネらせる ︒

D I U 等 の 音

想像するのではあるまいか︒

﹁ 快点 走 杷 ︑ 別

柾 了

﹁ は

やく歩

で あって︑かかる動作には

日 本も

(9)

児﹂というのも以上の女性的な感じに由来する

︵以 上︶

ものと考

という意味がある︒﹁檸

n i

n g

﹂の﹁ネジル︑

意味もこの一連の音に関係があろう︒

俗語で女の子を

﹁ 姐

える

ヒネクレ﹂

m u  

という

ニ八

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