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大学生の政治意識-日本・ネパール比較調査

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長崎大学教育学部社会科学論叢 63 (2003年)

13

大学生の政治意識‑ 日本 ・ネパール比較調査

谷 川

P o l i t i c a l At t i t u d eo fS t u d e n t si nJ a p a na n dNe p a l : AC o mp a r a t i v eS u r v e y

Ma s a y u ki TANI GAWA

はじめに

長崎大学教育学部で担当 している 「国際理解教育」の授業の一環 として、2002年9‑10 月、 「大学生の社会意識調査」 を実施 した。調査分野 は、教育、労働、政治、 ジェンダー の4つだが、 「教育」 については別稿1で扱 うので、 ここでは 「政治」を中心 に分析する。

今回の意識調査 は日本 とネパール22カ国を対象 とし、設問は、で きるだけ広 く他 の諸 国 とも比較す るため、総務庁 「世界青年意識調査3」の設問の中か ら上記4分野 に関す るも の31問を選 び、使用 させていただいた。 (調査方法 と略記 については末尾の<参考資料 >

参照)

今回の調査 は、授業の一環 とい うこともあって小規模であ り全学生か らの無作為抽出 も で きなかったので統計的には厳密 とはいえないが、大学生は比較的均質な集団だ とすれば、

アンケー ト結果か ら大学生の政治意識の概容 は知 ることはで きるであろう4。 ネパールおよ び他の諸国 との比較 によ り、 日本の大学生の政治意識の特徴 を可能な限 り明 らかに してみ たい。

1 個人 と社会

政治 について考 える場合、個人 と社会 (国家な ど)の関係が どの ように意識 されている かは、最 も原初的な基本問題である。時間的あるいは価値的に先在するのは個人か社会か。

かつて天皇制国家の重圧の下で この問いを切羽詰 まった原理問題 として直視せ ざるをえな かった丸山員男は、 こうのべている。

人間の社会的結合 には根本的に相反す る二つの態様がある。一つはその結合が個人 に とって必然的な所与 として先在す る場合であ り、他 は個人が 自己の 自由意志 よ りし て結合 を作 り出す場合である。最初の場合 には、結合様式 は固定的客観的な形態 を有

し、人 は己に とっていわば運命 として与 えられているその様式に入 り込む。後の場合 には、個人 はある意図を持 ち、 その目的を達成す る手段 として新たな社会関係 を とり 結ぶのであるか ら、 その結合様式にはなん ら固定的客観的な定型が存せず、 目的の多 様性 に応 じて任意な形態を とる。 むろん現実 に存在す る各種の社会関係が このいずれ かの型 に二者択一的に属す るわけでは決 してない。 それはただ人間の社会結合の両極 をなす ところの理念型であ り、実在す る社会 はこの両極 の間に無数のニュアンスを以 て並列す る。 「家族」の ごときは最初の型の比較的純粋 な例であ り、 「政党」 とか 「学 会 とい う結社 は [中略]概ね後の類型に近い5

もちろん、 こうした個人か社会か とい う発想 は典型的な近代的思考であ り、現実の人間

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大学生の政治意識‑ 日本 ・ネパール比較調査

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は社会 な しには生 き られ ない。 人 間 は本質 的 に社会 的存在 で あ り、個人 か社会 か とい う二 元論 的立論 その ものが間違 って い る とい う説 もあ る。 しか し、 「自由意 志 よ りして結合 を 作 り出す」 自律 的個 人 の仮設 は理論 的 に十分意 味が あ る し、常識 的 に も個 人が先 か社 会 が 先 か とい う問 い は当然成 り立 つ ものだ と感 じられ、事実、 どの社会 で もつね に問 われ続 け て きた。 人 間が社会 的存在 で あ る こ とは事実 だが、 その事実 の説 明 の仕 方 は様 々だ し、説 明の仕方 に よって事実 の あ り方 その ものが決定 的 な影響 を受 け る こ ともあ る。個 人 か社会 か とい う問 いに対 す る人 々 の答 えは、現実 の社 会や政 治 の基本構 造 の反映 としての意識 で あ る一方、 それ らのあ り方 に対 す る規範 意識 で もあ る。

(1)個 人 か社会 か

Q21(1)は、 この個 人か社 会か とい う基本 問題 に対 す る大学生 (総務庁 調査 で は青少 年 ) の意識 を間接 的 な形 で問 うもので あ る。 「人 間 はだれで も、 自分 自身 の こ とだ けで な く、社会 の こ とにつ いて も考 えて生活 して い る と思 い ますが、 あなたの考 え方 は次 の どれ に近 いで すか」 とい う問 い に対 し、 「もっ とも大切 な こ とは、 自分 自身 の生活 を充実 させ る こ とで あ る」 と答 えたの は、今 回調査 で は 日本59.9%に対 し、 ネパ ール は11.4%で あっ た。 逆 に 「それ だ けで は十 分 で は な く、 社 会 の た め に も役 立 つ こ とを した い」 は 日本 38.7%、 ネパ ール87.3%で あ る。

設 問 は、個人 か社会 か とい うス トレー トな問 いで はな く、総務庁 ら し く、 どち らか とい う と 「社会 のた めに も役立つ こ とを した い」 の方 に答 えや す い形 になって い る。 また、選 択肢 も 「1¶lemostimportantthingformeistomakemyownlifesatisyifng.2Thataloneis notenough.Ialsowanttodosomethingtosociety.」 で あ り、 日本文 とのニ ュアンスの差 は 認 め られ ない。 に もかか わ らず、 日本 とネパ ールの大学生 の間 に、 これ ほ ど顕著 な意識差 が出たの はなぜ で あろ うか。

1 (Q21)個人 と社会 の関係 を どう考 え ますか ?

日本02 日本02 日本02 ネパール02 ネパール02 ネパール02 日本88 アメ リカ88 イギ リス88 ブラジル88

1.4 3.8 0.5 1.3 0.6 1.5 12.8 1.5 4.5 1.5

0

20 40 60 80 100(%)

{ 自分の生活優先 口 社会 にも役立ちたい園 NA

(3)

谷川 昌幸

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「自分 の生活優先」 と答 えた比率 は、 日本 では総務庁88年調査で も53.9%と高 い。 また 88年調査では、 アメ リカ45.4%、イギ リス57.7%、西 ドイツ65.0%、 フランス53.5%であ り、

人間開発高位国6はいずれ も日本 と同 じ くらい高 い。 これ に対 し、 中位国 ブラジルは25.1%

と、低位国ネパールほ ど極端ではないが、それで もかな り低 い。

これ は明 らか に社会構造 の根本 的な違 いを反映 している。後発途上国 (LDC)のネパー ルで は、 カース ト、民族、地域 それぞれの共 同体が強固に残 り、都市部で もカース トや民 族 の共 同体 的規制 はまだ強 く、外国居住者です らそれ に規制 され る。 自分 自身の生活 を優 先 させ ることは、本音 は どうであれ、建前 としては許 されない。各種共 同体 は、途上国ネ パールで は、全体 の階層的秩序 に緩やか に組 み込 まれなが らも、 それぞれが もっ とも頼 り にな る相互扶助組織 として機能 してい る。社会、つ ま り自分 の所属す る共 同体 のために役 立つ こ とを しておか なけれ ば、病気、災害、失業 な どいつ訪れ るか分か らない不幸 の際、

共 同体 の援 助 を受 け られ ない。先進 国の よ うに国家 が社会保 障制度 を整備 しておれ ば、

「自分 の生活優先」で もよいで あろ うが、途 上国ネパ ールで は、大 び らにそれ をやれ ば、

最悪 の場合、共 同体 (カース トな ど)追放 とな り、事実上、生 きていけない。役立つ こと (喜捨 な ど)がで きる人 はす るのが義務 で あ り、不幸 に見舞 われた人 は世話 をされて当然 なのだ。ネパールでは、少な くとも建前 としては、9割近 くの学生がそ う考 えている。

男女差 につ いてみ る と、 「自分 の生活優先は 日本で は男女 とも60%前後 と高 いが、ネ パ ールでは男性7.4%、女性14.9%と女性 の方がやや高 い。 これ は、ネパール社会で は ヒン ズー教 によ り男女の役割が はっき り区別 されているか らである7。ネパール女性 は父 と夫 と 息子 に奉仕す る。つ ま り、共 同体的規制の中であれば、家庭生活優先で よいのである。

(2)個人 と国家

「社会のために」 とい う問いを もう少 し限定 し 「[自国]のために役立つ ことを したい」

か、 と問い直 したのが、Q22b(図2)である。 この [ ] 内には 日本、ネパ ールな ど調査 地 の国名が入 る これ も抽象的な問 いだが、今度 は国の名が入 ってい るので、Q21の場合

よ りも具体的な内容 を思 い浮かべつつ、答 えることがで きる。

図2 (Q22b)[自国]のために役立 ちたい。 ([ ]内は国名) 日本02

日本02男 日本02女 ネパール02

ネパール02男 ネパール02女 日本88

アメ リカ88

西 ドイツ88

0 2

0

40 60 80 100

■はい

⊂]いいえ団 NA

(%)

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大学生の政治意識‑ 日本 ・ネパール比較調査

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この問いに対す る回答 も、 日本 とネパ ール とで は顕著 な差が出た。 「はい」 と答 えたの は日本48.0%に対 し、ネパールは実 に95.1%に達す る

日本の 「はい 」の比率 は、総務庁調査で も77年46.4%、83年39.7%、88年41.0%と一貫 し て低い 8。88年調査 に よれ ば、先進 国で はアメ リカが81.1%と飛 び抜 けて高 く、 イギ リス (46.5%)や フランス (54.8%)は日本 とほぼ同 じであ り、西 ドイツは29.4% とかな り低 い。

日本人や ドイツ人 は 「お国のために役立 ちたいか と尋ね られ る と、第2次世界大戦時 の ことを反射的に思 い浮かべ、本能的に身 をす くませ るのだ ろ う。 その ことは、今 回の よ うなアンケー ト用紙 の配布 ・回収ではな く、面接調査である総務庁調査 に対 し、 ドイツ と 日本だけが無回答が3割 もあ り(77年、83年両調査で も同 じ)、アメ リカの1.0%は もちろん、

10%前後 のイギ リス、 フランス、 スウェーデ ンな どとも大 き く異 なることか らも十分推測 され る。

また、イギ リスや フランスの 「はい 」が低 いのは、彼 らが歴史的経験か ら国家 に対す る 警戒心 を習慣的に身につ けているか らに違 いない。 これ に対 し、民主主義 によって建国 し、

星条旗への忠誠 によって国民統合 を維持 して きたアメ リカ人 は、 自分たちの国アメ リカの ために働 くのは、当然 と考 えてい るようだ。 ケネデ ィ大統領 は就任演説で 「わが同胞 アメ リカ人諸君、諸君の国が諸君のために何 を して くれ るかで はな く、諸君が諸君の国のため に何がで きるかを問お うではないか9」 と語 りか け、喝采 された。 これが もし日本や西欧で あったな ら、警戒心で中和 され、国民の記憶 に これ ほ どの名演説 として残 るような ことは なかったであろう。

アメ リカのナシ ョナ リズムを民主主義型 とすれ ば、95.1%もの学生が 「はい」 と答 えた ネパールのナシ ョナ リズムは途上国型であ る 他 の多 くの途上国 と同様、ネパール も多民 族、多文化国家であ り、統治機構 は未整備で弱 く、つねに 「国家 ・国民」 を唱えていない と、国は分裂 し、周辺強大国 に併合 されて しまう。ネパールでは、極右王党派か ら極左毛 沢東派 まで一致 してナシ ョナ リス トであ り、 いずれがネパ ールの国家統合 と主権 をよ り強 固に守れ るかをめ ぐって、競争 している10。 この状況では、大学生の9割以上が 「ネパ ール のために役立つ ことを したい」 と答 えるのは当然であろう。

図3 (Q22C)[自国]のためには、私 自身の利益 を犠牲 に して もよい。 ([ ]内は国名) 日本02

日本02 日本02 ネパール02 ネパール02 ネパール02 日本88 アメ リカ88 中国88

2.2 0 3.2 2.7 2.6 3.1

3.7 6.2

0 20 40 60 80 100

d はい [コいいえ囚NA

(%)

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谷川 昌幸

17 この問いについては、男女差 は日本、ネパール両国 とも大 き くはなかった。

それでは、 自国のために役立つ ことを したい と答 えた学生たちは、 どの程度 まで強 くそ う思 っているのだ ろうか。Q22C (図3)の 「そのためには、私 自身の利益 を犠牲 に して も よい」 とい う問いに 「はい」 と答 えたのは、 日本17.0%に対 しネパールは83.3%と、 これ また大差がある。総務庁調査で も、 日本の 「はい」 は77年20.3%、83年16.3%、88年13.3%

と一貫 して低 い。

この問いに対す る日本の 「はい」の比率 は、総務庁88年調査の対象国11ヶ国の中で も、

20.9%の フランスを除けば、 アメ リカの70.2%はむろんの こと、イギ リス48.3%、スウェー デ ン48.4%、韓国62.2%な ど、他の どの国 と比べて もはるかに低 い (フランスが低 い理 由 は不明)。 日本が低 く、ネパール とアメ リカが極端 に高い理由は、Q22bで述べた もの と同 じと考 えてよい。

男女別 に見 ると、国のための自己犠牲 については、男性の方が 日本、ネパール ともやや 肯定的である

2 社会への不満

社会 との関係 において、 日本 の大学生は極 めて 自己優先的な態度 を とっていることが分 かったが、 それでは彼 らは日本社会 に満足 しているのであろうか。

(1)社会的不満

Q24(図4)の 「あなたは、 自国の社会 に満足 していますか、 それ とも不満ですか」 とい う問いに対 し 「満足」 と答 えたのは、 日本6.0%、ネパール17.3%であ り、予想 に反 し、 日 本 はネパ ール よ りもか な り低 い。総務庁調査 で も日本 の 「満足は、83年5.0%、88年 9.4%、98年5.8%だか ら、一貫 して低 い。

「やや不満」 と 「不満」の方 を見 ると、 日本 は両者合 わせて50.7%とな り、55.0%のネ パール とほぼ同 じだ。総務庁98年調査で も、 「やや不満」 と 「不満」の合計 は、 日本58.3%

であ り、 ドイツ58.1%、 フランス58.3%と並んで高 く、 アメ リカ30.4% とイギ リス34.2%は 低 い。

社会的満足感 は、社会への要求 レベル と相関関係 にあるか ら、 日本社会がネパール社会 よ りも絶対的に見て悪いわけではない。 また、アメ リカやイギ リスの社会 と比べてみて も、

一概 にどちらが よい とはいえないだろう

しか し、 ここではっき り言 えることは、 日本の学生や青少年 は社会 と積極的に関わろう としない くせ に、 その半数以上が少な くともこの20年間一貫 して社会 に不満 を感 じている ことである

(2)不満の理由

学生たちの社会 に対す る不満 は日本で もネパールで も大 きいが、 その理 由は、 もちろん 両国では非常 に異な る。Q24に 「やや不満」「不満」 と答 えた人 に、 その理由を尋ねた とこ ろ (Q24‑1、図5)、 日本では 「正 しい ことが通 らない」49.7%、 「老人、身体障害者 な どに 対 して国民が無関心である」40.6%、 「まじめな者がむ くわれない」35.0%が上位 に来 る。

これに対 しネパールでは、 「貧富の差があ りすぎる」70.2%、 「まじめな者がむ くわれない」

(6)

大学生の政治意識一 日本 ・ネパール比較調査

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62.0%、 「すべ て の事柄 が身分 に よって決 め られ、 家柄 が重視 され す ぎて い る」60.8%、

「治安、風俗が乱れてい る」53.8%、 「環境破壊」52.6%の噸 となってい る。

日本 とネパ ールで極端 に差 が あ るの は、 「貧富 の格差」 (日本16.8%、 ネパ ール70.2%) と 「身分 ・家柄 の重視」 (日本25.9%、 ネパ ール60.8%)で あ る。相対的 に見 て平等 な 日本 社会 と、恵 まれた学生 たちです ら認 めざるをえないネパ ールの甚だ しい経済 的、社会 的不 平等の実態が、両国学生の意識差 となってはっ き り現れてい る。

貧富 の格差 を、UNDPの算 出 した全所得 に対す る最貧層20%と最富裕層20%の所得 シェ アで くらべてみ る と、 日本 は最貧層10.6%、最富裕 層35.6%で あ るの に対 し、 ネパ ール は 最貧層7.6%、最富裕層44.8%となってお り、 ネパールの方が所得格差が大 きい こ とがわか る11。 しか し、 ネパ ールの よ うな途上国の貧富格差 を数量化 す るこ とは難 し く、現地 で実

図4 (Q24) 自国の社会 に満足 してい ますか ? 日本02

ネパール02 日本98 アメ リカ98 タイ98

3.2 0.7 6.5 1.8 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (%)

Tl満足 □ やや満足 因 やや不満 囲 不満 団 NA 図5 (Q24‑1)社会 に対す る不満 の原因 は何ですか ? (い くつで も、単位 %)

80 70

60

50

4 0

30 20 10 0

家柄の され 通 ら の さの 意見 風俗の 福祉の 破壊 重視 不 自由 ない 格差 軽視 無視 乱れ 貧困

(7)

谷 川 昌幸

19 感す る貧富格差 は とて もこの程度の もので はない。別 の統計 (1996年) によれば、都市部 の最富裕層10%が全家計所得 の71%を独 占 し、下層40%はわずか2%にす ぎない とい う12。

これ はにわか には信 じがたい数字 だが、実感 には こち らの方が まだ近 い。正確 には数量化 で きな くて も、ネパ ールには驚 くべ き貧富格差があることは事実であ り、 これが社会問題 に敏感 な学生たちの不満の大 きな原因になってい るのである。

つ ぎに 「身分 と家柄 の重視」 は、 い うまで もな くネパ ール社会のカース ト制が主 な原因 であ る 都市部で はかな り弛緩 して きてはいるが、 それで もカース ト規制 はまだ強 く残 っ てお り、多 くの ことがカース ト規範 によ り大 きな影響 を受 ける。上位 カース トに ももちろ ん貧 しい人 はい るが、全体 としてみ る と、 カース ト序列 は社会的、政治的、経済的序列 に 対応 している。

「まじめな者がむ くわれない」 もネパール (62.0%)は日本 (35.0%)よ りかな り多い。

これ は、ネパ ールがカース ト制 と結 びついた典型的な コネ社会で、近代的官僚制が未発達 で あ り、不公平や脱法行為 が いた る ところで 日常化 してい るか らで あ る13。 また 「治安、

風俗 の乱れ」 「環境破壊」 もネパ ールで多 いが、 これ は明 らか に1990年革命 以降の無秩序 な経済や文化 の 自由化、 グローバル化 によって もた らされた ものである14。

他 の国 との比較で とくに興味深 いのは、総務庁88年調査で は唯一韓国が 「身分 ・家柄 の 重視」 に とくに強い不満 (74.5%)を持 ち、 アメ リカが 「環境破壊」61.3%、 「貧富の格差

(65.3%)、 「社会福祉 の貧困」 (57.1%)に強い不満 を持 っていることである。 「貧富の格差」

はイギ リス も71.8%が不満を持 っている。

総体 的にいえば、 日本 の学生の不満 は、他国ほ どい くつかの問題 に集 中せず、拡散 して お り、社会全体 に対す る漠然た る不満 と特徴づ けることがで きる。

3 政治行動

日本の大学生の約半分が社会 に対 して不満 を感 じているが、 それでは、 その不満 を解消 す るために、彼 らは どの ような行動 を とるのだろうか。

Q23(図6a)の 「あなたが、社会 に対 して不満 を もった と仮定 します。 その場合、 あな たは どの よ うな態度 を とりますか」 とい う問いに対 し、 「選挙権 を行使 す る以上 の積極的 な行動 は とらない」 と答 えたのは、 日本43.3%に対 しネパ ールは27.0%、 「合法的範 囲 (陳 情 ・署名運動 ・デモ ・ス トライキな ど)で積極 的な行動 に訴 える」 は 日本19.1%に対 しネ パールは50.8%と、対照的な結果 になった。

「場合 によっては、暴力な どの非合法の手段 にも訴 える」 はさすが に少ないが、 それで も日本3.9% (男6.4%、女2.5%)に対 しネパ ールは10.7% (男11.7%、女10.4%) もあ る。

逆 に、 「社会 の ことは、かかわ りを持 たない ようにす る」 は、 日本が32.3% (男32.1%、女 32.2%)もあるのに対 し、ネパールは9.4% (男3.1%、女16.4%) に とどまる。

この問 いにつ いて は男女差 (図6b)が大 き く、やや読 みづ らいが、 「選挙権行使 のみ は、総務庁88年調査で も日本 は41.4%だか ら今 回 と大差 ない。 日本 の大学生 は、社会的不 満があって も、選挙 に行 くだ けで、 アメ リカな どの西洋諸国や韓Egの ように陳情やデモな

どの積極 的行動 にはあま り訴 えない といって よい。

日本 の学生の この政治的消極性 を もっ ともはっき り示 してい るのが、 「社会 の こ とには かか わ らない」が男女 とも3割 もい る とい う事実 だ。総務庁88年調査 で は、 この回答 は

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大学生の政治意識‑ 日本 ・ネパール比較調査

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16.9%と今 回 よ りもかな り少 ないが、 それで もせ いぜ い数パ ーセ ン トの西欧諸 国 よ りはか な り多い。

ネパールの首都 カ トマ ンズで は、抗議 デモやス トライキが頻繁 に見 られ、 そ こには女子 学生 もた くさん参加 してい る。 日本 の大学生の政治的消極性 とは好対照である。

それでは、 日本 の大学生 はなぜ政治的に消極 的なのか。Q23‑1(図7)の 「それ以上の積 極 的行動 を しないのはなぜ ですか」 とい う問いに対 し、 「個人の力で は及 ばぬ ところに間 図6a (Q23)社会 に不満な場合、 どうしますか ? (%)

60

50 40

30 20 10

0

50.8 55 55.i) .『 日本[圏 アメ リカ園 韓国コネパール02880288 43.3

1 32.3

27

17.6 10.7 qA 17.8

選挙権行使のみ デモなど 非合法的 かかわらない NA 合法的活動 手段 も使用

図6b (Q23)社会 に不満 な場合、 どうしますか ? (%)

30 20

10

0

選挙権行使のみ デモなど 合法的活動

非合法的 かかわらない 手段 も使用

NA

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谷川 昌幸

21 題 があるか ら」 と答 えたのは 日本68.3%に対 しネパ ールは27.9%、 「社会 の ことは、 それ に ふ さわ しい人がやればよいか ら」は日本7.5%に対 しネパールは41.9% と、対照的 となった。

おそ ら く日本 の学生 は主 に政治の巨大化 ・複雑化で無力感 を抱 き、ネパ ールの学生 はカー ス ト支配への諦観 に とらわれているのだ ろ う。 同 じ政治的無関心 といって も、 日本 は現代 型、ネパ ールは伝統型で あ る。 (「ふ さわ しい人 に任せ る」 はアメ リカ も45.0% と多 いが、

アメ リカの場合 は民主主義的エ リー ト主義 と現代型無関心が結 びついて、 この ような数字 になったのだ ろう。) この問いについては、男女差 は 日本、ネパ ール両国 ともあま り無

図7 (Q23‑1)社会的不満 に対 して、 なぜ積極的行動 を しないか ? 日本02

ネパール02 アメ リカ88 韓 国88

0

2.3 3 4

0

20 40 60 80 100 (%)

■ 個人の及ばぬ問題 ロ ふさわ しい人に任せ る 団 はかに大切なことがある 圏NA 4 国民 と国家

日本 の大学生 は、 た とえ参加意識 は低 くとも自分 もその一員 に他 な らない 「日本国民」

や 「日本国家」 については、 どの ような意識 を持 っているのだろうか。

(1)国の誇 り

Q22a (図8)の 「日本人 [ネパール人]であ ることに誇 りを もってい るか とい う問い に対 し 「はい 」 と答 えたの は、 日本71.6% (男67.9%、女73.8%)、 ネパ ール88.9% (男 88.7%、女73.8%) と、 日本 の方がかな り低 い。男女別 で は、 日本 はネパ ール とは逆 に男

図8 (Q22a) [自国民]であることの誇 り ([ ]内は国民名)

日本02 ネパール02 アメ リカ88 西 ドイ ツ88

2.1 2.6 1 24.2

0

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (%)

■ はい [コいいえ 囲NA

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性の方が女性 よ りも低 い。

総務庁88年調査で も、 この問 い に対 す る日本 の 「はい」 は75.2%で あ り、 アメ リカ 96.8%、イギ リス83.6%、 フランス79.7%よ りも低 い。西 ドイツはその 日本 よりもさらに低 く、51.8%に とどまる。 自国民であること‑の誇 りが 日本や西 ドイツでは低 く、 アメ リカ やネパールでは高い理由は、すでにQ22bの ところで述べた もの と同 じく、両敗戦国には第 2次世界大戦時の記憶が国民意識の中にまだ残 っているか らであろう

自国民への誇 り意識 は日本 は相対的に低 くネパールは高 いが、 これ をもう少 し詳 しく、

自国の誇 りの対象についてみ るとどうなるであろうか。Q20(図9)の 「あなたは、 自国は 何か誇れ るものを持 っていると思いますか、 それ ともそ うは思いませんか。持 っていると 思 う場合 には、い くつで も選んで くだ さい」 とい う問いに対 し、 日本で多かったのは 「歴 史や文化遺産」57.8%、 「文化や芸術」45.4%、 「生活水準」33.7%である。 これに対 しネパ ールで は 「歴史や文化遺産」82.4%、 「自然や天然資源」81.4%、 「文化や芸術」76.2%、

信 仰」67.1%である。

ちなみにアメ リカは、総務庁88年調査で は、 「歴史 と文化遺産」66.0%、 「科学や技術

63.0%、 「生活水準」58.1%、 「自然や天然資源」56.9%、 「発展可能性」53.4%、 「スポーツ」

52.2%、 「教育水準」48.7%な どと、総 じて どの分野で も高 く、 自国に大 きな誇 りを感 じて いることがわか る。

日本 とネパール、 そ してアメ リカがそれぞれ国の誇 りと思 っているものははば予想通 り である。ネパールの 「生活水準」33.0%は少々解せ ないが、周辺諸国 と比較 して まだ まし とい うことか もしれない。 また 「社会福祉 (socialwelfare)」30.9%とい うのは、おそらく 現代的国家福祉ではな く、伝統的なカース ト的共同体的相互扶助の ことが思い浮かべ られ ているのであろう。

図9 (Q20)自国の誇れ るもの (%) 90

80 70

60

50 40 30 20 10

0

文化 天然 能 性 水準 福祉 安定性 もの

遺産 資源 芸術 技術 なし

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谷 川 昌幸

23 (2)国民のイメージ

つ ぎに国民のイメージを尋ねてみ ると、 日本人については、 日本 とネパールでは、著 し い認識落差があることがわかった。Q26a(図10)の 「日本人について どう思いますか」 と い う問 いに対 し、 日本 人 自身 は 「見栄 っ張 り」52.1%、 「勤勉」48.2%、 「礼儀正 しい」

42.9%、 「平和愛好 的」31.2%と思 って い るの に対 し、 ネパ ール人 の見 方 は 「実際 的」

75.9%、平和愛好的」64.5%、 「進歩的」63.2%、 「寛大」60.9%、 「知的」59.9%、 「勤勉」

46.3%と、たいへん評価が高い。

日本、ネパール両国学生の 日本人イメージは、 「勤勉 と 「礼儀正 しい では一致 して 高いが、他 の特性 については認識落差が大 きい。 まず第一 に 「知的 「実際的 「進歩的」

といった特性で、ネパール人の 日本人評価 は日本人 自身の自己イメージの正反対 になって いる。 これは、大部分のネパール人が、 日本の ことを、国中にあふれ る車、バイク、テ レ ビ、カメラな どのハイテク商品の生産国 としてまず思い浮かべ るか らである。世界最先端 の工業製品を作れ る日本人 は 「知的で 「進歩的であるに違 いない し、議論 は巧みだが 実行が伴わないネパール人 とは違 って 「実際的」なはずだ とい うわけである。

認識落差の大 きい第二の特性 は 「寛大 (broad‑minded) と 「見栄 っ張 り (vain,exces‑ sivelyproudorconcemedaboutoneself)である。 日本 はネパールに とって最大のODA 与国であ り、200以上 ともいわれ る日本のNGOもネパール各地で援助活動 を展開 している。

しか も、他国は援助の見返 りに政治的圧力をかけた り派手な宣伝 をす るのに対 し、 日本 は 少な くとも報道 を見 る限 り、 ほ とん ど何の要求 もせず、黙々 と巨額 の援助 を続 けている。

ネパールに とって、 日本 ほ ど 「寛大」で、 「見栄 っ張 り」ではない国はない。

第三 に、 「勇敢」 と 「平和愛好的」 も、 ギャップが大 きい。ネパールでは、大国アメ リ カ (国家であ り国民ではない)は一般 に嫌 われてお り、 日本がかつてアジア唯一の近代国 家 としてアメ リカ と戦 った ことはよ く知 られ、一種尊敬の念 をもってみ られている。19世 図10 (Q26a)日本人 について どう思いますか ? (い くつで も、単位%)

勤勉 知的 実際的見栄っ 寛大 勇敢 礼儀 横柄 進歩的 平和

張り 正しい 愛好的

AN

.IIlI

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大学生の政治意識‑ 日本 ・ネパール比較調査

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紀 に大国イギ リス と勇敢 に戦 って独立 を守 り抜 いた小国ネパールのイメージが 日本 と重ね られているのだ。 そ して、 その 日本が アメ リカの原爆投下 を受 け、平和愛好国になった こ とも、仏陀生誕地の平和 なネパール人の 自己イメージ とだぶ らせている。

この ことは、Q26b(図11)の 「ネパール人 について どう思いますか」 とい う問いに対す るネパ ール人 自身の回答 をみ る と、 よ く理解 され る。 (ネパ ール人 について 日本で はほ と ん ど知 られていないので、 日本で はこの質問は省 いた。)ネパール人の 自己イメージでは、

「勇敢」74.6%、 「平和愛好的」70.7%が圧倒 的に多 い。 グルカ兵 にみ られ るよ うにネパ ー ル人の勇敢 さは世界 的に認 め られてい るが、2001年6月の 「王族殺害事件」や1996年以来 の凄惨 なマオイス ト 「人民戦争」 をみ る とネパール人が 「平和愛好的」 とは必ず しもいえ ないが、彼 ら自身 はそ うだ と思い こんでいる。 その 自己イメージが、 あ こがれ も込 めて 日 本人イメージに投影 されているのであろう

国民イメージでは、当然 なが ら、 自己イメージ と外国人の もつイメージ とでは大 き く異 なるし、外国 といって もそれぞれの国によって抱かれ るイメージの差 は大 きい。た とえば、

日本人の 「勤勉 は世界 中で認 め られてい る と思 いがちだが、今 回調査 のネパ ールで は6 番 目にす ぎない し、総務庁98年調査で もアメ リカや フィ リピンで は上位3位以内には入 ら ない。時代的に も変化 は大 き く、88年調査で は 日本人の 「勤勉」 はイギ リスやオース トラ

リアで も上位3位以内には入っていない。

グローバル化が進んで も、国民性 の 自他 イメージは、 これほ ど異なっている。思考の経 済のため国民イメージのステロタイ プ化 は避 け られないが、大 きな認識落差 の存在 を常 に 自覚 していない と、 グローバル化 はむ しろ思い違 いによる紛争 を多発 させ ることにな りか ねない。

図11 (Q26b)ネパール人 について どう思いますか ? (い くつで も、単位 %)

86.5 ■ ネパール□ ネパール0202 9

41.l

.1A:.= 42.3

32,5 30.730.6 30.7 22,1 31.3 187 19.4 II 24.619 22.4二∴

勤勉 知的 実際的 見栄っ 寛大 勇敢 礼儀 横柄 進歩的 平和

張り 正しい 愛好的

AN

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谷 川 昌幸

25 5 幸福感

最後 に、 日本、ネパ ール両国学生の幸福感 を尋ねた。Q31(図12)の 「いろいろ考 えて みて、 あなたは幸福ですか」 とい う問いに対 し、予想通 り、 日本 は 「幸福」43.6%と 「ど ち らか といえば幸福」49.6%をあわせ る と93.2%に達 す るのに対 し、ネパ ールは両者 あわ せ て も63.2%しか ない。逆 に、 「幸福でない」 は 日本 は2.5%にす ぎないのに、ネパールは 29.3%もあ り、 「どち らか といえば幸福でない」 も合わせ る と36.8%にも達す る。

総務庁調査 によれ ば、 日本 は1988年以来、 ほぼ9割が 「幸福」か 「やや幸福」 と感 じて お り、他 の先進諸国 も人間開発 中位国の フィ リピン、 タイ、 ブラジル もほぼ同 じだ。 いず れの国 も 「幸福 でない」 は1‑2%前後で、 ネパ ールの ように3割 もあ る国 は調査対象国 に は1つ もない。

恵 まれた大学生です ら、3人 に1人が 「幸福でない」 と答 えざるをえない最後発途上国ネ パ ール。9割以上が ともか くも幸福 と感 じてい る日本 の大学生 に比べ、 ネパ ールの大学生 の苦悩 は大 き く、 そ して根深 い。

図12 (Q31)あなたは幸福ですか ?

日本02

日本98

日本88

ネパール02

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

『 幸福だ □ やや幸福だ 圏 やや幸福でない 圏 幸福でない 団 NA

(%)

おわりに

今 回の意識調査 は小規模 な ものであったが、ネパールや、総務庁調査対象国‑ 調査方 法が異な るので一定 の留保 が必要だが‑ との比較 によ り、 日本 の大学生の政治意識の特 徴 をある程度明 らかにす ることがで きた。 日本がネパ ールや他 の諸外国 と異な るのは自明 の ことであ り、調査 はその事実 のほんの概略 を数値化 したにすぎない ともいえる。が、何 が どう異 な るか を可能 な限 り具体 的 に示す こ とは、 「なぜ」異 な るか を考 えるための有益 な出発点 にな るで あ ろ う。授業 で は、 このデー タを素材 の1つ に し、 日本政 治の 「なぜ」

について さらに考察 を進 めてい くことに したい。

最後 に、 アンケー トに協力 して くだ さった学生、教員のみなさん と、調査 を分担実施 し て くだ さったカ ドガ ・バハ ドール・KC、横 山秀世両氏 に感謝 申 し上 げる。

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大学生の政治意識‑ 日本 ・ネパール比較調査

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く参考資料 >調査の概要

Ⅰ 調査 の方法

・調査対象 ‑ 日本 とネパ ールの大学生/ 回収サ ンプル総数‑589(男241、女336、NA12) 日本 : 回収サ ンプル数282(男78、女202、NA2)

長崎大学125、 プール学院大学157

ネパ ール :回収サ ンプル数307(男163、女134、NAIO)

トリブバ ン大学 キルテ ィプール校93、 同大学 プ リ トビナ ラヤ ン校 (ポカ ラ)58、 同大学 ドマカ ンヤ校87、ニ ック ・カ レッジ69

・実施時期‑2002年9‑10月

・調査方法 ‑アンケー ト用紙 を配布 し、記入後、回収

・設問 ‑総理府1988年調査の設問の中か ら28間 を選択 し使用 (一部追加修正)

・使用言語 ‑ 日本 で は日本語、ネパールで は英語 (ネパール語で補足説明)

・比較用調査 デー タ‑総理府1988年調査、1998年調査 (注2参照)

総理府 調査 の対象 は18‑24歳 の青少年 (学 生以外 も含 む)。 対象国 は 日本、 アメ リ カ、 イギ リス、 ドイ ツ、 フランス、 ス ウェーデ ン、韓 国、 ブラジル、 オース トラ リ ア★、 中国★、 シ ンガ ポール★、 フィ リピン★★、 タイ★★、 ロシア★★ (★は88年調査、★★

は98年調査)。サ ンプル数 は各国約1000。調査員 による個別面接調査。

・図中の略記方法 :02‑今 回調査、88‑1988年調査、98‑1998年調査

ⅠⅠ 設問 (分析対象の設問のみ)

Q20 あなたは、 自国は何か誇れ るものを持っていると思 いますか。 それ ともそうは思いませんか。持 って いると思 う場合には、い くつで も選んで ください。 (い くつで も)

1歴史や文化遺産 2 国の自然や天然資源 3 文化や芸術 4信仰 5 スポーツ 6 科学や技術 7教育の水準 8 将来の発展可能性 9 生活水準 10 社会福祉 11 社会の安定性 12 誇れ るものはない

Q21 人間はだれで も、 自分 自身の ことだけでな く、社会の ことについて も考 えて生活 していると思います が、あなたの考え方は次の どれに近いですか。 (1つだけ)

1 もっ とも大切なこ、とは、 自分 自身の生活を充実 させ ることである 2 それだけでは十分ではな く、社会のためにも役立つ ことをしたい

Q22 あなたは、 これか ら述べ ることについて どうノ酎 1ますか。 (それぞれ1つだけ) a日本人であることに誇 りをもっている 1 はい 2 いいえ b 日本のために役立つ と思 うようなことを したい 1 はい 2 いいえ C (bで 「はい」と答え方に)そのためには、私 自身の利益を犠牲に して もよい

1 はい 2 いいえ

Q23 あなたが、社会 に対 して不満を持 った と仮定 します。 その場合、あなたはどのような態度 を とります か。ひ とつだけ選んで ください。 (選挙権のない人は、あるもの としてお答え ください) (ひ とつだけ) 1 選挙権を行使する以上の積極的な行動は とらない。

2合法的範囲 (陳情 ・署名運動 ・デモ ・ス トライキなど)で積極的な行動に訴 える 3場合 によっては、暴力な どの非合法の手段 にも訴える

4 社会の ことは、かかわ り合いを持たないようにする

Q231 (Q231と答えた方に)それ以上の積極的な行動 を しないのは、なぜですか。次の うちか ら、ひ とつ だけあげて くだ さい。 (1つだけ)

1 個人の力では及ばぬ ところに問題があるか ら 2 社会のことは、それにふ さわ しい人がやればよいか ら 3 自分に とって、他 にもっと大切 なことがあるか ら

Q24 あなたは、 自国の社会に満足 していますか、それ とも不満ですか。 (1つだけ) 1満足 2 やや満足 3 やや不満 4 不満

(15)

谷 川 昌幸

27 Q241 (Q243または4と答 えた方 に)やや不満、不満 との ことですが、 それは どうい う理由か らですか。あ

てはまるものを、い くつで も選んで ください。(い くつで も) 1 すべての事柄が身分 によって決め られ、家柄が重要視 されすぎている

2組織の中の人間は、与 え られた役割 を機械 的に しか果たす ことがで きない 3正 しい ことが通 らない 4 貧富 の差があ りすぎる 5 まじめな者がむ くわれない 6 若者の意見が反映 されていない

7治安、風俗が乱れている β 老人、身体障害者 な どに対す る社会福祉が十分でない 9環境破壊 に対 して国民が無関心である 10 その他

Q26a あなたは、 日本人 につ いて どう思 い ますか。 あなたの感 じにあてはまる言葉があ りま した ら、 い くつ で も選んで くだ さい。 (い くつで も)

1 勤勉 2 知的 3 実際的 4 見栄 っ張 り 5 寛大 6 勇敢 7礼儀正 しい 8 横柄 9進歩的 10 平和愛好的 11 信頼で きない 12 特色づ けるのが不可能 Q26b (ネパール人の方に)あなたは、ネパール人について [以下、26aと同 じ]

Q31 いろいろ考 えてみて、 あなたは幸福ですか。 (1つだけ)

1 幸福だ 2 どち らか といえば幸福だ 3 どち らか といえば幸福でない 4 幸福でない

1 谷川 昌幸 「大学生の教育意識‑ 日本 ・ネパール比較調査」、『長崎大学教育学部 ・教 育実践総合セ ンター紀要』第2号、2003年3月

2 現代ネパールの政治状況 と基本文献 については、谷川 「1990年代ネパールの代議政治 (1)(2)」、『長崎大学教育学部 ・社会科学論叢』第60・61巻、2002年3・6月参照。

3 総務庁青少年対策本部 『世界の青年 との比較か らみた 日本の青年‑ 世界青年意識調 査報 告書』 第4回報 告書、 1989年 (調査実施 は88年 なので、総務庁88年 調査 と略 記) ;第6回報告書、1998年 (総務庁98年調査 と略記)

4 大学生の属性 な ど調査方法の詳細 は本稿 <参考資料 >のほかに、谷川 「大学生の教育 意識」参照。

5 丸山異男 「近世 日本政治思想 における 『自然』 と 『作為』」1941142年、『丸山英男集』

第2巻、岩波書店、1996年

6 UNDPは世界の国々を人間開発指数 (HDI)の高い順 に高位国53,中位国84、低位国 36に3分類 し、 日本 は世界第9位であ り、当然高位国に属す る。UNDP『ガバナンス と 人間開発 (人間開発報告書2002)』国際協力出版会、2002年

7 Cf.Manandhar

&

Bhattachaneds.,GenderandDemocracyinNepal,PadmaKanya MultipleCampus,T.U.,2001.

8 総務庁 『世界青年意識調査 (第4回)報告書』p.57

9 J.F.Kennedy,InauguralAddress (Jam.20,1961),∫.F.Kennedy Library (ⅥW .cs.umb.edu/粒 library/jO12061.htm)2003年2月28日閲覧

10 Cf.Adhikari,D.P.,HistoryofNePaleseNationalism,JeewanPress,1998 ll UNDP、前掲書、pp.2261228

12 NepalLivingStandardSuⅣey1996(谷川 「1990年代ネパールの代議政治 (1)」p.14) 13 これ を厳 し く批 判 して議 論 を呼 ん だ の が、Bista,DorBahadur,Fatalism and

DeveloPment,OrientLongman,1991.

14 Cf.Acharya,M.R.,Nepal:CultureShlP,AdroitPublishers,2002

*本稿 は科学研究費 (14520102)による研究成果の一部である。

参照

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