九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
土砂トンネルの切羽安定性評価に基づく地山分類法 に関する研究
木谷, 日出男
Graduate School of Engineering, Kyushu University
https://doi.org/10.11501/3166597
出版情報:Kyushu University, 1999, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
土砂トンネルの切羽安定性評価に基づく 地 山 分 類 法 に 関 す る 研 究
平 成 1 2 年 1 月
木谷日出男
土 砂 ト ン ネ ル の 切 羽 安 定 性 評 価 に 基 づ く 地 山 分 類 法 に 関 す る 研 究
第 2章 研 究 の 背 景 と 目 的 2. 1 はじめに
2. 2 研 究 の 背 景 1 社 会 的 要 請 2 技 術 的 要 請
鉄 道 ト ン ネ ル の 現 状 と 問 題 1 鉄 道 ト ン ネ ル の 現 状 2 土 砂 地 山 の 技 術 的 課 題 2. 4 まとめ
【号│用文献】
第 1章 緒 言
2. 2.
2. 2.
2. 3 2. 3.
2. 3.
目 次
第 3章 切 羽 安 定 性 評 価 に 関 す る 既 往 の 研 究 と 切 羽 崩 壊 事 例 の 分 析 はじめに
切 羽 安 定 性 評 価 に 関 す る 主 な 既 往 の 研 究 1 切 羽 周 辺 の 安 定 計 算 モ デ ル に よ る 研 究 2 施 工 実 績 や 地 山 物 性 値 に 基 づ く 研 究 3 既 往 の 研 究 に 関 す る 考 察
施 工 事 例 調 査 一 ・ ー ー 1 調 査 の 目 的 と 方 法
2 数 量 デ ー タ の 判 別 分 析 に よ る 切 羽 状 態 区 分 の 検 討 ‑ 3 主 成 分 分 析 に よ る 検 討
3. 4 切 羽 の 状 態 変 化 に 関 わ る 要 因 の 考 察 3. 5 まとめ
【ヲ│用文献】
3.
3. 2 3. 2.
3. 2.
3. 2.
3. 3 3. 3.
3. 3.
3. 3.
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第 4章 地 下 水 浸 透 力 に 着 目 し た 切 羽 自 立 性 評 価 と 浸 透 崩 壊 試 験 法 の 提 案
4. はじめに ....・・v・ー‑̲... ̲... ・・ ・・・・ ・・・・・・・・噌 ・・・ー ーー
6 9
4. 2 モ デ ル 実 験 の 目 的 と 方 法
6 9
4. 2. モ デ ル 実 験 の 目 的 ‑・・・・‑‑̲.‑・・.. ...̲‑ ̲................‑‑
6 9
4. 2. 2 既 往 の 研 究 ‑ーー・. ーー' ・・・・・・・..ー ..ー ーー
7 0
4. 2. 3 流 動 化 地 山 の モ デ ル 化 に 関 す る 基 礎 的 検 討
7 1
4. 3 一 次 元 浸 透 崩 壊 モ デ ル 実 験 の 方 法 と 結 果 ............ 75 4. 3. 実 験 に 用 い た 試 料 ...̲ー・ ・‑...・.‑.・ー̲ー 75 4.3. 2 実 験 装 置 と 実 験 手 順 ••• ・・a ・4..・.̲‑‑ 81 4. 3. 3 実験結果と考察 ー・・‑ ‑・ー・・・̲̲̲̲0.. 85 4 4 一 次 元 浸 透 崩 壊 実 験 に よ る 切 羽 自 立 性 評 価 の 検 討 102 4. 4. 不 撹 乱 試 料 を 用 い た 切 羽 状 況 の
浸 透 崩 壊 実 験 に よ る 検 証 ー・‑・・・・・ー, ・ ・・・e・・・..‑... 102 4. 4. 2 撹 乱 現 場 試 料 を 用 い た 切 羽 状 況 の
浸 透 崩 壊 実 験 に よ る 検 証 ...̲‑‑‑‑‑・・ ••• 116 4. 4. 3 磯 質 土 の 自 立 性 に 関 す る 実 験 的 検 討 ・ー・ー 123 4. 4. 4 浸 透 崩 壊 特 性 曲 線 に よ る 自 立 性 評 価 に 関 す る 考 察 。 129 4. 5 浸 透 崩 壊 実 験 手 法 を 用 い た ト ン ネ ル 切 羽 の
自立性評価法の提案 ..̲‑‑‑‑‑‑....̲.一̲一.・ 134 4. 5. 浸 透 崩 壊 実 験 に よ る 流 動 現 象 の モ デ ル 化 ...・...‑... 134 4. 5. 2 数 値 解 析 に よ る 実 験 条 件 の 検 討 136 4. 5. 3 評 価 試 験 法 と し て の 提 案 ・ ・‑・ー・ー・・..・4・・・ ....・・ーー・・̲‑‑‑‑‑‑‑̲.‑ 139 4. 7 まとめ ‑・‑‑‑‑‑̲... ̲..̲‑‑̲.̲‑‑.‑ー・・ 142
【ヲ│用文献】 ー・・・・・・・ ーー・・・・ーー . 143
第5章 砂 質 土 地 盤 の ト ン ネ ル 切 羽 崩 壊 モ デ ル 実 験 5. 1 はじめに
5. 2 実 験 の 目 的 と 方 法 5. 2. 1
5.2. 2 5.2. 3
実験の目的 実験装置
土 材 料 の 土 質 条 件
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5.2. 4 モ デ ル 地 盤 の 作 成 と 締 め 固 め 条 件 5.2. 5 観察と計測
5. 3 崩壊現象の特徴と考察
5. 3. 1 実験結果 152
5.3. 2 実 験 ケ ー ス ご と の 主 な 観 察 , 計 測 結 果 ‑ ……… 160 5.3. 3 圧 力 水 頭 分 布 や 湧 水 量 と 崩 壊 過 程 の 関 係 ー一一………. 162 5.3. 4 空 洞 形 状 に 関 す る 特 徴 ‑…… ー •••••••• 163 5.3. 5 崩 壊 の 発 生 に 関 す る 考 察 ̲.̲‑‑一一 ーー・・ ・…... 164 5. 4 浸 透 力 に 着 目 し た 崩 壊 発 生 要 因 に 関 す る 考 察 一‑…・…・・・ 165 5. 4. 1 土 槽 実 験 に お け る 崩 壊 条 件 の 検 討 一一一…・…一. 165 5.4. 2 浸 透 崩 壊 特 性 曲 線 を 用 い た 考 察 ̲.O'̲̲ ー ・・・ … 169 5. 4. 3 モ デ ル 地 盤 中 の 物 性 変 化 に 関 す る 考 察 ̲̲.‑ …… ・・ 173 5. 5 まとめ 一一‑…一一一一一一一 一一一一………・一一一一一・………. 179
【号│用文献】
第 6章 3次 元 大 変 形 差 分 解 析;去 に よ る 力 学 的 挙 動 の 検 討 6. 1 はじめに
6. 2 数 値 解 析 の 目 的 と 解 析 手 法 の 検 討 6. 2. 1 数 値 解 析 の 目 的
6.2. 2 解 析 手 法 の 検 討
180 1 81 1 81 1 81 182 6.2.3 3次 元 大 変 形 差 分 解 析 法 (F L A Cコー ド〉の特徴 183
6. 3 土 槽 実 験 結 果 の 解 析 的 再 現 と 解 析 条 件 の 検 討 6. 3. 1 目的
6.3.
2
解 析 の 方 法 と 条 件 設 定 6.3. 3 解 析 結 果6.3. 4 結 果 の 考 察
6. 4 切 羽 崩 壊 に 関 す る パ ラ メ ー タ 解 析 6. 4. 1 目的
6.4. 2 解 析 条 件 の 設 定 6.4. 3 解 析 結 果
6. 4. 4 解 析 結 果 の 考 察 6. 5 まとめ
【引用文献】
第 7章 土 砂 ト ン ネ ル の 切 羽 安 定 性 評 価 に 基 づ く 地 山 分 類 法 の 提 案
188 188 189 195 204 204 204 205 210 216 220 221
7. 1 はじめに ・ ー ・・… … … ・ … … ・ ・・ ・ … ...•.•.. 222 7. 2 地 山 分 類 基 準 の 設 定 に 関 す る 検 討 … ‑ 一 一 222 7. 2. 1 地 山 分 類 の 現 状 と 問 題 •••• ・・ ・・…一̲...・ 222 7.2. 2 砂 質 地 山 の 分 類 評 価 の た め の 指 標 の 検 討 … 一 一 一 223 7.2. 3 砂 質 土 の 地 山 分 類 基 準 と 等 級 区 分 の 提 案 一 一 … . . 225 7.2. 4 複 合 地 盤 と し て の 土 砂 地 山 の 地 山 分 類 の 検 討 一 227 7. 3 提 案 し た 地 山 分 類 の 適 用 に つ い て •••• … … … … 232 7. 3. 1 地 山 分 類 と 評 価 試 験 の 位 置 づ け … ・ ー ・ 232 7.3. 2 地 下 水 挙 動 の 評 価 ー ー 一 233 7.3. 3 適 用 に 関 す る 今 後 の 検 討 ••••••• •••••••••••••••••••••••••••••• 234 7. 4 まとめ 一 一 一 一 一 一 一 ‑ … ー , … . . . ー … 一 一 一 一 一 … ー 一 一 一 一 … 235
【引用文献】 ー … ‑ー ー ー ー ・ ・ … ‑ … … 236
第 8章 結 言 237
謝 辞 240
第 1 章 緒 言
地 盤 中 を 連 続 的 に 掘 削 す る こ と を 基 本 と す る ト ン ネ ル 工 事 は , 土 木 工 学 の 分 野でも特に地形・地質条件に強く影響を受ける。このため,トンネル工事を計画 す る う え で 地 山 条 件 の 抱 鍾 は 最 も 重 要 な 課 題 と し て 位 置 づ け ら れ る 。 し か し な
がら, 日本の地形・地質は多様性に富み, しかも地下構造物であるトンネルの
特 徴 か ら , 事 前 に こ れ を 十 分 に 把 握 す る こ と は 必 ず し も 容 易 で は な い 。 こ の た め 従 来 の ト ン ネ ル 工 事 で は , 類 似 の 地 山 条 件 で の 施 工 事 例 を 整 理 し , こ れ に 基 づ く 適 切 な 設 計 ・ 施 工 を 進 め る た め の 地 山 条 件 調 査 や そ の 評 価 技 術 が 種 々 の 地
山分類法として研究,提案されている。
方, トンネル施工技術の急速な発展により, トンネル工法の適用は地山条 件 だ け で な く , 立 地 条 件 や 経 済 性 の 観 点 か ら 計 画 , 検 討 さ れ る 事 例 が 増 加 し て い る 。 特 に , 都 市 部 で の ト ン ネ ル 建 設 は 山 岳 ト ン ネ ル 工 法 の 適 用 に お い て , 従 来は特殊な条件の一つ で あ っ た が , 現 在 は 施 工 例 も 増 え て い る 。 都 市 部 で の ト
ンネルの計画は,重要構造物を伴う地表での立地条件や未固結で低強度の地質 条 件 を 主 な 検 討 項 目 と し て 進 め ら れ る 。 こ の う ち 地 質 条 件 に つ い て は , 土 砂 地 山と呼ばれる地山条件での既往の施工例等を参考として調査や評価が行われる が , 土 砂 地 山 を 対 象 と し た 上 記 の 適 切 な 設 計 ・ 施 工 の た め の 地 山 分 類 法 は 設 定
されていないのが現状である。
本 研 究 で は , こ の よ う な 背 景 か ら 従 来 特 殊 な 地 山 条 件 の ー っ と さ れ た 未 回 結 堆積物を主体とする土砂地山を対象とし,山岳トンネル工法による掘削計画,
設計のための地山分類法について詳細に論じ,一連の基礎的な検討を行った。
そして,これらの成果をもとに,最終的に土砂地山での分類基準を設定,提案 する。
本論は全体を 8章で構成し, 2章以降の各章の要旨は次のとおりである。
第2章では,本論の背景として土砂地山での山岳工法の適用に関する社会的,
技 術 的 要 請 を 概 説 す る と と も に , こ れ に 対 す る 鉄 道 ト ン ネ ル の 設 計 手 法 の 現 状 と問題を整理し,本研究の目的を述べる。
第 3章は,土砂地山での設計・施工のための前提条件と沿る トンネル切羽の lL性の評価に着目した既往の評価研究を方法論的に整理し,従来の評価法の 主 な 着 眼 点 と 問 題 点 を 整 理 す る 。 ま た , 土 砂 ト ン ネ ル の う ち , 鉄 道 ト ン ネ ル を 中 心 に 収 集 し た 湧 水 を 伴 う 砂 質 地 山 で の 施 工 実 績 デ ー タ を 用 い , 多 変 量 解 析 手 法の一つ で あ る 判 別 分 析 に よ り 切 羽 安 定 性 に 関 わ る 状 態 区 分 ( 安 定 と 流 出 〉 を 的変数とした検討を行う。次に,同データの主成分分析を行い,さらにその 結 果 に 判 別 分 析 を 適 用 す る こ と に よ り , 切 羽 安 定 性 に 関 わ る 不 安 定 化 要 因 の 抽
出および以降で 検討すべき事項の整理を行う。
第4章では,第 3章 の 成 果 か ら , 切 羽 の 不 安 定 化 要 因 と な る 地 下 水 浸 透 力 に
着 目 し た 一 次 元 モ デ ル で の 自 立 性 評 価 に 関 す る 実 験 結 果 を 述 べ る 。 実 験 は 崩 壊 の 発 生 条 件 を 評 価 す る た め の 基 礎 的 な 検 討 を 目 的 と す る 。 ま た , 実 験 試 料 に は 数 種 類 の 地 山 試 料 を 用 い , 特 に 砂 質 土 の 基 本 特 性 を 限 界 動 水 勾 配 に よ り 評 価 す る こ と , お よ び こ れ に 強 く 関 与 す る 試 料 の 物 性 値 を 抽 出 す る 。 さ ら に , 本 実 験 の 適 用 条 件 や そ の 有 効 性 に つ い て 考 察 し , 土 砂 地 山 で の ト ン ネ ル 切 羽 の 自 立 性 の評価試験法として提案する。
第 5章では,同問題を 3次 元 的 に モ デ ル 化 し , 土 槽 実 験 に よ り 実 際 の ト ン ネ ル 状 況 を 再 現 す る こ と に よ り , 切 羽 の 状 態 変 化 と 地 下 水 条 件 や 地 盤 物 性 値 , あ る い は 層 構 造 の 影 響 を 検 討 す る 。 ま た , 前 章 で 提 案 す る 試 験 法 を 適 用 し そ の 検 証 を 行 う と も に , 切 羽 の 不 安 定 化 に 関 わ る 地 下 水 お よ び 試 料 の 物 性 値 の 変 化 を 実験結果と合わせ考察する。
第 6章 で は , 地 下 水 浸 透 力 が 作 用 す る ト ン ネ ル 切 羽 近 傍 で の 大 変 形 発 生 に つ い て 数 値 解 析 的 に 検 討 す る 。 解 析 に は 対 象 と す る 問 題 へ の 適 用 性 か ら 3次 元 大 変 形 有 限 差 分 解 析 法 を 用 い , 地 下 水 一 応 力 の 述 成 解 析 を 試 み る 。 ま ず , 第 5章 で 行 っ た 土 槽 実 験 の 地 下 水 条 件 の 関 係 を 再 現 す る こ と に よ り , 切 羽 状 態 変 化 の 再 現 性 を 検 討 し , そ の 関 係 を 考 察 す る 。 次 に , 同 機 な 計 算 手 順 で 一 般 的 な 砂 質 地 山 の 物 性 値 を 設 定 し , 切 羽 前 方 の 地 下 水 頭 を 変 化 さ せ た ト ン ネ ル 切 羽 の 変 形解析を行い,両ノミラメータの組み合せによる不安定化の条件を整理する。
第 7章 で は , 前 章 ま で の 検 討 結 果 に 基 づ く 総 合 的 な 検 討 を 行 い , 砂 質 土 か ら な る ト ン ネ ル の 地 山 の 分 類 基 準 と そ の 適 用 を 提 案 す る 。 次 に , 砂 質 土 地 山 を 含 む 土 砂 地 山 に つ い て , 実 務 的 な 検 討 事 項 を 加 え , 地 山 等 級 区 分 を 行 う た め の 手 順と適用条件を提案する。
第 8章では,本研究によって得られた結果をまとめる。
2
第 2 章 研 究 の 背 景 と 目 的
2. 1 はじめに
日 本 に お け る 鉄 道 や 道 路 等 の 陸 上 交 通 施 設 は , 線 状 に 広 が る 構 造 物 と い う 特 徴 と , 日 本 特 有 の 自 然 環 境 的 , 社 会 環 境 的 要 因 に よ り さ ま ざ まな条件下でのト
ン ネ ル の 建 設 を 進 め ざ る を 得 な い 状 況 の も と に , 今 日 ま で そ の 技 術 を 発 展 , 向 上させてきた。この間,複雑な地形 ・地質 条 件 や 周 辺 環 境 条 件 等 の 制 約 と こ れ に 係 わ る 種 々 の 困 難 な 問 題 の 解 決 を 図 り , こ れ ら の 技 術 的 な 経 験 の 蓄 積 が 現 在 の ト ン ネ ル 技 術 の 基 礎 を な す こ と は い う ま で も な い 。 特 に , 山 岳 工 法 で は 特 殊 な 条 件 下 で の 施 工 を 除 い て , 経 験 的 , 系 統 的 な 工 事 実 績 の 整 児 に よ っ て , 工L
計IIITi機関ごとに設定された標準設計法に巷づき設計や施工が計画,実施されて いる。
さ ら に , こ の 標 準 設 計 法 を 主 要 な 設 計 手 法 や そ の 板 拠 と す る 山 岳 工 法 は , 現 状でNA T M (New Austrian Tunnelling Method)を そ の 標 準 工 法 と し , わ が 国 に 本 格 的 に 導 入 さ れ て 以 降 の 施 工 実 績 の 蓄 積 や め ざ ま し い 補 助 工 法 等 の 関 連 技 術 の 発 展 に よ り , 従 来 は 困 難 で あ っ た 軟 弱 な 不 良 地 山 で さ え も 比 較 的 安 全 かっ容易に施工し得る工法となった。そ の た め , 本 論 で 研 究 の 対 象 と す る 土 砂 地 山 に 分 類 さ れ る 未 固 結 堆 積 物 を 主 体 と す る 地 山 条 件 も , 過 去 の 実 績 や 現 状 の 技術レベルを踏まえたうえで,いくつかの特有の問題点に関する適切な調査,
評価を行うことを前提とすれば,十分に N A T Mに よ る 施 工 が 可 能 な 条 件 と 考
えることができる段階にあると言えよう 。
本 章 で は , 現 状 の ト ン ネ ル 建 設 を 取 り 巻 く 社 会 的 , 環 境 条 件 的 , 技 術 的 な 制 約条件や要請事項等をN A T Mによる胞工に係わる問題を中心として示し, さ
らに鉄道トンネルで の 問 題 と い う 観 点 か ら 整 理 す る こ と に よ り , 本 論 に お け る 研究の目的とする事 項 の 解 決 の 意 義を述べる。
2. 2 研究の背景 2. 2. 1 社 会 的 要 請
日本は環太平洋造山帯の西縁域に島弧をなし,地形的には火山等 の 急峻 山 岳 地帯と,
U l
間盆地,洪積台地 あ る い は 沖 積 平 野 等 か ら な る 狭 い 平 坦 地 か ら 構 成される。また,地質についても島弧の主軸をなす基盤岩は断層や摺曲を伴い,時代,宕種ともに複雑な組み合せ に よ っ て 構 成 さ れ て お り , 本 テ ー マ で 対 象 と する上砂地山に分類される未固結堆積物 は こ れ ら の 基 盤 岩 上 の , 主 に 上 記 の 平 民地に分布する。こ の よ う な 条 件 の も と で , 大 都 市 は 沿 岸 の 洪 積 台 地 や 沖 積 布
野に集中する等,大都市間あるいは地方都市問での運愉体系の構築を進めるた めには少なからず山岳域を通過することとなり,鉄道や道路等の計画,建設で はトンネルの占める割合が高くなる結果となったことは周知のとおりである。
この場合, トンネルの多くは山岳工法で掘削され,掘削対象となる地山条件と しては前述の基盤岩となる硬岩が主となるが,新第三紀から第四紀にかけての 比較的新しい時代の堆積物や過去の火山活動に起源する火山堆積物からなる地 質市も分布する場合がある。第 3章でいくつかの事例を示すが,このような未 阿結堆積物からなる地山の招削では,これまでに多くの難て事となった焔工事 例が知られ,それは主に地下水の多量湧出や大規模な切羽の崩壊,流出の発
という問題を生じたものである。今後の鉄道関連の計凶としては,現在進めら れている整備新幹線の計画区間に同様な問題の発生の懸念される場所が惣定さ れ,現在,調査や評価が進められている。
方,大都市とその近郊域を結ぶ路線は,前述のように海岸付近の、子坦域に
、:に明り構造物として建設されてきた。これに対し,地ド構造物として地下鉄 がある。例えは,現在我が国で地下鉄を有する都市は 9都市を数えるが,盆地 に位置する京都を除けば,ほかは海岸沿いの沖積平野とその周縁の洪積台地か らなる人工密集地域の地下に近郊都市との大量輸送交通機関として重要な機能 を果している。また,これらの都市の多くは軟弱な沖積層や未固結で自立性が あまり期待できない洪積層や第三紀層が厚く堆積した地質条件の場となってい る。さらに,近年大きな話題となっている大深度地下鉄道はこれらの既設の地 下鉄やその他の地下構造物,構造物基礎に影響を及ぼさない深度での,運愉事 業という観点から言えば,大都市と近郊の都市との新たな運輸体系の構築の可 能性を持った構怨として傑々な観点から検討が進められている 1)。ただし,こ れらの対象となる地域の主体をなす沖積平野は,中心部の基盤が深く沈み込ん で新しい地層がそのとに厚く堆積した盆状の構造をなしているため,大深度に トンネルを計画したからといって硬い岩盤の出現は期待できず, トンネル権築 に関わる地質的な問題についてはほぼ同じ状況にあると考えられる 2〉o
以上のように,整備新幹線をはじめとする計画中の山岳工法によるトンネル 工事,あるいは大都市やその近郊域での交通網の再構築に伴う工事等,土砂地 山と呼ばれる地質条件下での トンネ〉レ工事は今後も社会的な要請とともに増加 することが推測される。この場合,地山状況に適合した合理的な設計,施工法 の開発等の技術的な課題や周辺環境への影響を最小限に押さえる等の問題の解 決が重要な課題となる。
2. 2. 2 技術的要請
さまざまな条件下で構築される山岳 トンネル は , 多 く の 施 工 事例や調査事例 に基づく標準設計が提示されており,一般的な地山条件,機関ごとの標準的な
4
断面であればほぼ一義的に適応する基本設計が得られる。一方,各標準設計の 適用範凶外の条件では煩似の条件での施工事例を参考とする,あるいは数値解 析による検討を行う等が一般的な方法である。ところで,前項で述べたように 土砂地山は地形的に,山間の平坦地や緩斜面を中心とする山岳地と,海岸に沿 った洪積台地や沖積平野に大きく区分される。以下に,それぞれの技術的問題 点を整理する。
( 1 )山岳工法
般に,山岳工法でトンネルの設計や施工時あるいは周辺環境上の問題とな る主な地山・立地条件として次のような条件があげられている 3)。
【I 特殊な地山条件】
1 ‑①地すべり等の移動性地山および斜面災害が予怨される地山 1 ‑②断層破砕帯, 摺曲じょう乱帯
1 ‑③含水未固結地山 1 ‑④膨張性地山
1 ‑⑤山はねが予怨される地山
1 ‑⑥高い地熱,温泉,有害ガス等がある地山 1 ‑⑦高い水圧や大湧水の発生が予想、される地山
【E 特殊な立地条件】
II‑①小さな土被りの場合 II‑②都市域を通過する場合 II‑③水底を通過する場合 II‑④斜坑や立坑部
II‑⑤坑口部
II‑⑤近接施工となる場合 II‑⑦大断面となる場合
これらの特殊な地山条件や立地条件は,工事に多大な影響を及ぼす主要な原 因となり得る条件であることが多くの事例からも明らかであり,事前調査段階 で詳細かっ十分な調査を行う必要がある。これらの各条件のうち,土砂地山を 対象とした調査を行ううえで特に関連性の高い地山条件としては 1‑③,⑦が あげられる。これらは主に,地山の低い強度に起因する切羽周辺地山の塑性化 や突発湧水に伴う切羽流出の発生に関連する条件と考えることができる。また,
li地条件で、はII‑①,②が主に関連し,その他の条件についても地質条件とし ては土砂地山である場合が大きな割合を占めることが推察される。つまり,立 地条件に関する多くの問題も集約すると切羽の自立性の確保の問題に帰着し,
その場合の対象地山として土砂地山での問題が重要であると考えられる。さら
に , 地 山 条 件 ご と の 調 査 項 目 と 調 査 法 の 関 係 は 表 2.2. 1 3)のように整理される が, 一般 地 山 の う ち の 土 砂 地 山 と , 主 な 特 殊 地 山 条 件 と し て あ げ ら れ る 未 同 結 地 山 で の 調 査 項 目 は ほ ぼ 同 じ 項 目 を 必 要 と す る 。 こ れ は 士 砂 地 山 中 で の ト ン ネ ル 建 設 の 場 合 の 最 も 重 要 な 問 題 が , 一 般 に 地 山 の 固 結 状 態 , 地 下 水 の 状 況 お よ び力学的な特性のバランスで考えるべき性質のものであることを示している。
以 上 の よ う に , 土 砂 地 山 に 代 表 さ れ る 低 強 度 の 地 山 で の 切 羽 の 自 立 性 の 問 題 は山岳トンネルの建設時の極めて重要な検討事項である。 一方 , 同 条 件 に 起 す る 問 題 の 発 生 は 過 去 に 多 く の 事 故 事 例 と し て 知 ら れ , さ ら に 技 術 的 に も 最 も 対 処 が 困 難 な 問 題 の ー っ と さ れ て い る の が 現 状 で あ る 。 特 に , 合 水 し た 木 回 結 砂質地山の掘削では工事の安全性や経済性の面から,切羽の自立↑牲をし1か に 的 縫 に 調 査 , 評 価 で き る か が 重 要 な 課 題 と な る 。 こ れ ら の 問 題 は 山 岳 工 法 が 基 本 的に切羽の開放を前提とすることに起因し,この点でゆくに述べる都市部ではト
ンネル工法の選定が検討事項として特に重要となる。
( 2 ) 都 市 域 に お け る ト ン ネ ル
前 述 の よ う に , 土 砂 地 山 に 分 類 さ れ る 分 布 域 は そ の 主 な 立 地 条 件 か ら 山 間 盆 地 等 の 山 岳 緩 斜 面 域 と , 主 に 沖 積 平 野 や 洪 積 台 地 か ら な る 沿 岸 平 坦 面 に 位 置 す る都市域に区分されるが,両者とも構成する地質には大きな差異はなく,傑,
砂,柏│生土さらに火山性堆積物等が未固結の状態、で厚く分布する。
例えば,東京周辺の地形は図 2.2.14)に 示 す よ う に , 武 蔵 野 台 地 等 の 扇 状 地 性 の 洪 積 台 地 が 数 段 の 段 丘 面 を 形 成 し た 状 態、で見られ,それ らの台地聞を流れ る河川沿いに三角州,砂堆, 自 然 疑 防 , 砂 丘 お よ び一部 に 人 工 的 な 埋 立 地 を 伴 う 沖 積 低 地 ( 沖 積 平 野 〉 が 発 達 す る 。 ま た , そ の 地 質 の 構 成 は 最 下 部 よ り 新 第 三紀鮮新世ないし第四紀洪積世の上総層,洪積世の江戸川層,東京層,本郷層,
武 蔵 野 層 な ど , さ ら に そ の 上 位 に 七 号 地 層 や 有 楽 町 層 と 呼 ば れ る 沖 積 層 や ロ ー ム 層 が 分 布 す る 。 こ の う ち , 洪 積 層 は 主 に 締 ま っ た 砂 や 砂 傑 あ る い は 固 結 し た 粘 性 土 か ら 構 成 さ れ て い る が , 粒 度 分 布 や 湧 水 状 況 に よ っ て は 切 羽 の 自 立 性 に 問題がある地層が存在する。 また,沖積層は全体に軟弱で自立性に乏しく, ト
ンネルの侃削においては切羽の自立性が困難な地盤とされている ら〉。このよう な地形・ 地質 の 特 徴 は 大 阪 府 周 辺 で も 見 ら れ , 同 様 な 堆 積 物 の 構 成 か ら な る 厚 い 洪 積 層 と , 東 京 に 比 べ や や 層 厚 の 薄 い 沖 積 層 が 分 布 す る 大 阪 平 野 が 形 成 さ れ ている等, トンネル掘削対象地山という観点からの多くの共通する特徴を持つ。
さらに,これらの堆積物の分布と地 j~ 条件は, 自 然 状 態 で 地 表 標 高 に 対 し て の 高 い 地 下 水 分 布 を 形 成 す る 点 で も 共 通 し て い る 。 な お , 東 京 や 大 阪 で は 昭 和 30 年代に地下水の過剰湯水 に よ る 著 し い 地 盤 沈 下 が 発 生 し , そ の 後 の 湯 水 規 制 に
よ り 地 盤 沈 下 の 抑 制 が 図 ら れ る と 同 時 に , 地 下 水 位 が ほ ぼ 静 水 位 ま で 回 復 し た 状態となっている 6), 7 )。
こ の よ う な 地 山 条 件 で の ト ン ネ ル の 辿 設 を 計 画 す る 場 合 , 特 に 問 題 と な る の
表 2.2. 1地山条件,調査項目と調査法の関係 3)
硬岩・中硬岩
。。。 。 。。。 。 。。。。。
ム ム ム一
地
般山 軟 岩
。 0 1 0 。。。。。。。。。。。 。 。。。。
ム ム ム ム 土 砂。 。。 0 1 。 。。。。。。。
坑口周辺や谷部で地すべりや
。。。。。 。。。。。。 。
崩壊の可能性のある地山
特 小さな土被りの地山
。。 。 。。。。。。。。
断層破砕帯,槽曲じょう乱帯
。 。。。。。。。。。。。。。。。。。
ム A殊
来国結地山
。。。 。。。。。。。
地 膨張性地山
。 。。。。。。。。。 。。。。。。。
山はねが予想される地山
。。。
C。。
山
高 い 地 熱・温度・有害ガス・
ム
。 。 。 。。
ム。。
ム。
ム ム ム A。。。
ム 等 地下資源等がある地山高 い 水 圧 や 大 湧 水 の 発 生 が 予
。 。 。 。。
ム。 。 。 。 。
想、される地山
地 形 地 質
岩 質 ・ 土 質 地 下 水 物理的 力 学 的 鉱 物 化 学 的
そ の 他
構 造 性 質 性 質 性 質
地すハt 偏1圧) 、土
地 断 岩 岩 ‑ 割 風 固 帯 地 透 弾 物 強 変 粘 ス 吸 地 温 有 地 質 層 質 れ 化
性 理 レ 水
目 下 水 度 形 土 │ 害 下
朋 壊 ムり 作地ス用す貫主量
等 ・ 結 水 波 キ
分 樗 土 分 水 係 速 特 特 特 鉱 ノ 膨
ガ 資
質 離 変 グ 張
特
地 り 布 曲 名 相 面 質 度 層 位 数 度 性 性 性 物 性 率 熱 泉 ス 源 資 料 調 査
。
ム。
ム ム ム ム慨 空 中 写 真 判 読
。
ム ム。
ム ム地 表 地 質 踏 査
。。。。。。。
ム ム。。
査 弾 性 波 探 査 ム ム
。 。。
ム。
ム電気探査 ム ム ム A ム
。。
ム ム ムボーリング調査
。 。。。。。。。。。
標 準 貫 入 試 験
。
ム ム孔試験内
孔 内 水 平 載 荷 試 験
。
精 透 水 試 験
。。 。
速度検層 ム ム
。。
ム査 検層
電気検層 ム ム ム ム
。
ム ム。
ム &ポ ア ホ ー ル テ レ ビ ム
。
室 内 試 験
。 。。 。。。。
表 中 の 記 号 :(地山条件) ・ (調査法)
0 把握すべき O有効
ム場合によって把握すべき ム場合によって有効
多摩丘 ~r
ー ーへ多摩川立川直 武長野面 下末吉画 武員
n
画 沖1自画ほl自(立川段丘) (武員計台 J~)
c
定橋台) 符巨台 本百台 沖 11 低 J~r‑^‑‑‑.. ,,‑^一、
B 守二F H 山(
J I/ 111 開 iit iP I
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エロEi‑‑ I 1
'~T- (IMI) /武道IH型層 (1‑1&) 田 I11 I11 十50‑‑+‑20
叩
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図 2.2. 1 東 京 低 地 ( 東 京 周 辺 の 地 形 )4)
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ハ'm11¥m / .
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仁伊﹂駅
十口小東
九(9IJ:ム NATMによるトンオ、ノレ
0 シーノレド工法によるトンネノレ
図
2 . 2 . 2
東 京 近 郊 の ト ン ネ ル 位 置 平 面 図8)表 2.2.2主 な 東 京 周 辺 で の トンネル事例設計 ・施 工 条 件 総 指 表8)
工 位 置 施 工 時 土被りH 土 被 り 比 容積率 1也 質 切 羽 付 切 羽f寸 切羽付近E 初 期 地 補 助工 トンネ 一 次覆 一 次覆 覆工 厚 圭ロコu 事 法 トンネル名 期 ( 着 (m) H;D 最大値 近N値 近qu (kg/cm') 下 水 頭 法併用 ル 延 長 工 厚 工 厚 (一次+
種別 (各番号は位 工 時 (%) (kg/cm') (天端上
数 (m) X2) (cm) (cm) 二次)
置平面図に対 期) 高き) (cm)
応) (m)
①償 浜 市 吹 付 厚
三ツ沢 上 町 80.8 25. 0~26. 0 2.4~2.5 300 三浦 庖 50< 30~40 3 000~4 000 28.0 l 693 60 20 40 60 (ショートペンチNATM) 一般 部
② 横 浜 市
三 ツ 沢 上 町 80.8 21.5~22.5 1.3 300 三 浦 層 50< 30~40
駅 部 3 000~4 000 28.0 l 105 146 25 50 75 (サイロットNATM)
N ③ 横 浜 市
岸 恨 81. 5 14.0~32.5 1. 3~3. 0 100 三 浦 層 50< 13~50 600~4 000 12.0 l 1062 69 20 40 60 (ショー│ペンチNATM) A ④ 償 浜 市 82.12 28.0~35.5 2.2~2.8 80 三浦 層 50< 30~40 3000 12.0 1 70 88 20 50 70 (ショー│ペンチNATM)
T 篠原 30 50 (サイロットNATM)
⑤ 尽 葉 線
91 M 東 京 駅 87.11 15.0~25.4 1. 2~2.3 890 江 戸 川 層 50く 300 16.0 4 67.7
117 20 80 100
(中壁工法) 京 橋 工 区
⑥ 京 業 高 速 鉄
道 87.3 2. 7~12. 7 o. 6~1. 0 200 成 田 砂 庖 20~50 500 10.0 2 678 72 25 4{j 70 (CRD工 法) 習志野台T
⑦ 北 総開 発 鉄
道 84.3 5.0~14.0 0.4~1. 1 200 成 田 砂 層 20~50 O.H.O
柴山T 8.6 3 1160 72~90 20 50 70 (CD工法)
@ 国 分 川 分 水
82.3 17.0~22.0 2.1~2.8 200 成 田 砂 層 20~50 300 1.0~ 3 2555 62 20 30 50 (シ ョ ー トペ ン チ
路T 3.0 NATM)
@ 横 浜 市 セグメント 事rr斡 線 高主将憾との交差
82.3 1 1. 0~37.5 1. 7~5.7 200 三浦 層 50< 30< 1 000~4 000 9.6 382 36 30 20 50 制l 新 横 浜
X2 x2 μ均水シーlレド)
γ ⑩ 営 団8号 80.1 8.0~18.8 o .8~1. 9 200 東京際層 50< 884 79 40 「ゴE 60
(泥水シーlレド)
氷川台ソー1レド 21.7 55
。
55ル ⑪ 営 団11号
ド 九段上シールド 86.1 10.0~30.4 1. 0~3.1 700 東京際層 20~50 21.8 994 79 45 20 65 (泥水シールド)
コ こ
40 20 60 法 ⑫ 営団8号
83.5 14 .6~24.1 1. 5~2.5 400 東 京 際 層 20~ 25.8 930 79 45 20 65 I (泥水シーlレド)
隅田川シーlレド 50<
55
。
55⑬ 都 営12号
89.5 12φ6~24 .1 J .5~2.8 400 東京燦恩 35~ 5~18 950~1 250 5.0 1 240 57 35 25 60 I (泥土汗シール1)
豊島国シールド 50<
ト一一一一
⑪ 都 営12号
東京際層 2~19 1265 22
50 I (泥土庄シールド) 春日町シールド 88.4 9.1~16.0 17~3.0 100
36~50 1250 4.0 X2 X2 25 25
シ
l ⑪ 東 薬 高 速 鉄
40
Jレ 蓋 89.3 4.8~2 1. 0 0.5~2.1 300 成田砂層 今10~50 180~260 25.8 l 496 79 20 60 I (泥水シールド)
E
法 海~In 50
一 一 一
⑬ 京 葉 線
京 橋T 85.3 23. 0~26. 5 1.9~2.2 890 江戸川層 (!¥IFシールド)
50< 18.0 619 76 30 20 50 I (泥水シーJレド)
は 周 辺 の 立 地 条 件 , 特 に 周 辺 環 境 へ の 影 響 程 度 を 最 小 限 度 に 止 め る 等 の 制 約 が 般 的 な 山 岳 域 で の 胞 工 に 比 べ て 著 し く 厳 し い 点 で あ る 。 こ の た め , 一 般 に 都 市 ト ン ネ ル と 呼 ば れ る ト ン ネ ル の ほ と ん ど は シ ー ル ド 工 法 や 開 削 工 法 に よ る も の で あ っ た 。 こ こ で , 都 市 ト ン ネ ル に つ い て 土 木 学 会8)は,
I
都 市 あ る い は 都 市周辺の比較的人口密度の高い地域に建設する,あるいは建設したトンネル」と 定 義 し , 厳 密 な 定 義 は 難 し い と し た も の の , 主 に 環 境 条 件 に よ る 山 岳 ト ン ネ ルとの区分をしている。図
2 .2 . 2
8ノ,表2 .2 . 2
8)は 東 京 周 辺 で 主 に 洪 積 層 中 に 掘削された都市 トン ネル を都 市NATM
と シ ー ル ド 工 法 に 区 分 , 整 理 し た も の で あ る が , 従 来 沖 積 層 等 の 軟 弱 な 地 盤 で 脇 工 さ れ る こ と の 多 か っ た シ ー ル ド 法が洪積層でも多く選択されており, 一方 で 前 述 の よ う な 山 岳 地 域 で の 工 法 で あ っ た 山 岳 工 法 が 都 市 近 郊 か ら 一 部 都 心 で も 探 用 さ れ て い る こ と が わ か る 。 さ らに,平成 3年度に契約された鉄道関連の都市トンネルのよ;事工法別延長では,総合計
7 5
,2 2 4 m
のうち,NATM
に よ る も の は6.1%
,シールド工法6 0 . 9 %
お よび開自iJ̲[法 33.0%となっている 8 。その割合は小さいものの, r 11岳 工 法 の 都 市 域 で の 採 用 は 主 に 補 助 工 法 や 掘 削 技 術 の 進 歩 や 新 た な 開 発 に よ る と こ ろ が 大 き く , さ ら に は 同 工 法 の 利 点 と し て 挙 げ ら れ る 断 面j惨状の臼由度や経済性が採 用する場合の重要な検討要素となっている。こ の よ う に , 都 市 ト ン ネ ル の 建 設 で の 山 岳 工 法 の 採 用 は 今 後 も そ の 利 点 が 生 か さ れ , か つ 適 切 な 地 山 条 件 の 評 価 と 適 応 す る 補 助 工 法 の 選 定 に よ り 切 羽 の 自 jJ̲性の確保や周辺環境への影響を最小限に抑えることができればさらに適用が 進められることが想定される。なお,地山条件に伴う工法選定という点では,
山 岳 工 法 の 適 用 範 囲 に つ い て , 現 状 ま で の 実 績 か ら 一 軸 圧 縮 強 度 で O.1MPa,変 形係数で 10MPaが 下 限 値 と さ れ て い る 9
2. 3 鉄 道 ト ン ネ ル の 現 状 と 問 題 2. 3. 1 鉄 道 ト ン ネ ル の 現 状
山 岳 ト ン ネ ル 工 法 は 土 木 学 会 で の 標 準 的 工 法 と し て の 位 置 づ け に 見 ら れ る よ うに,
N ATM
による設計 ・施工を基本とする。NATM
は鉄道の分野でも越新幹線中山トンネル 10)で い ち 早 く 取 り 入 れ ら れ る 等 , 現 在 ま で に 多 く の 施 工 実績を有している。鉄道に限らず, 日 本 の 山 岳 ト ン ネ ル で は 各 関 係 機 関 ご と に 標 準 的 な 断 面 形 状 を 設 定 し た う え で , 地 山 状 況 に 応 じ た 標 準 設 計 に よ り 一 般 的 な 地 山 条 件 ド で の 当 初 設 計 を 行 う 場 合 が 多 い 。 こ の 標 準 設 計 に 対 応 す る 地 山 条 件の等級(良否の程度〉を区分することを地山分類という。
地 山 手 級 区 分 の た め に 用 い ら れ る 指 標 に は 後 々 な 条 件 や 物 性 値 が 提 案 さ れ ているが(詳しくは第 3章 に 述 べ る ) , 円ノドでは地山弾性波速度(p波速度〉
が よ く 使 わ れ て い る 。 こ れ は , 弾 性 波 速 度 が 割 れ 目 等 の 岩 盤 中 の 分 離 面 の 分 布
1 0
状況と対応する関係にあり,さらに硬岩地山中では速度の幅が広いことなど,
一般的な士被りのトンネルに対して有効であることによる。池田
( 1 9 6 9 )
11)は, この点に若目 し, 岩盤強度分類を約7 0
箇所(地質別には約1 0 0
箇 所〉のトンネ ルでのトンネル施工 実績 と 地 山 物 性 の 対 応 関 係 に つ い て 調 査 し た 結 果 に 基 づ き 提案した。さらに, 古川・朝倉 12), 13)は主に鉄道トンネルにおける NATMの 施工実績の 分 析 に 基 づ く 標 準 設 計 パ タ ー ン 化 を 進 め , そ の た め の 地 山 分 類 法 としてこの弾性波速度とともに地山強度比を区分指標とした。この地山強度比は 次式で 得られる地山の一軸圧縮強度と初期応力 (土 被 り 何 重)の比で,地山の 挙動が主として地山の強度の影響を受ける軟岩地山等で 有 効 で あ る こ と か ら 中 野
( 1 9 7 4 )
14)により提案された。地山強度比 σ c .(2.3.1)
r
11ここに, σ cは地山の一軸圧縮強度CkN/m2),γは地山の単位体積重 量 (kN/m3), Hは土被り高さ (m)である。
表2.3.1,2.3.2に吉川・朝倉が提案したNATMのための計画段階の地山分 類基準 お よ び 岩 種 区 分 (池田
( 1 9 6 9 )
11)を一部 修 正 し た も の)を示す 12JO 鉄 道トンネルでの標準設計法による設計手 順 は , 対 象 と す る 地 山 で の 調査結 果 か ら岩種区分表により岩種A'""'‑'Gを決め,さらに岩種ごとに等級区分する区間(調 査結 果 に よ り 地 山 条 件 が ほ ぼ 同 じ と 判 断 さ れ る 区 間 , あ る い は 同 じ と 見 な す 区 間)についてその弾性波速度と地山強度比により分類表の地山等級(一般 地 山 .V N'‑""" 1 ~,特殊地山 1 s, 1 L' 特 S,特 L)を決定する。鉄 道 ト ン ネ ル で は
この地山等級のうち一般地山 VN I xと特殊地山 1s, 1 Lについて,在来線単 線 , 在 来 線 複 線 お よ び 新 幹 線 複 線 の 各 ト ン ネ ル 標 準 断 面 で の 標 準 支 保 設 計 を 定 めている。表 2.3.312)はこの地山等級と 当初 設 計 に お け る 設 計 手 法 の 考 え 方 を 示す。このうち,土砂地山は標準設計 パターンの適用と適用外の条件にかかる 領域での分類区分を要することがわかる。このことは,上砂地山に分類される 条件では必ずしも一般地山と同ーの 評 価 分 類 の 概 念 を 導 入 す る の で は な く , 特 殊 な 地 山 挙 動 の 発 生 の 有 無 を 評 価 す る た め の 最 も 有 効 な 分 類 指 標 に よ り 区 分 す
ることの可能性および必要性を示唆する。