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セントラル硝子のフッ素化学

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Academic year: 2021

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生 産 と 技 術  第60巻 第2号(2008) 

勝 原   豊

* 

*Yutaka KATSUHARA

したことと、市場の旺盛な需要に刺激されて、フッ 素化合物製造は当社における事業の一つとして認識 され、1974 年蛍石からフッ化水素を生産する宇部 工場フッ酸プラントを稼動するに至った。このプラ ントは、結果として日本で最後に建設されたフッ化 水素製造施設となり、当社の本格的なフッ素化学の 事業展開はここから始まった。 

 

3. セントラル硝子の目指すフッ素化学 

 当社はフッ素化合物の製造企業としては比較的歴 史が浅く、他社が先行した大規模なフッ素樹脂やフ ロン製造よりむしろ含フッ素ファインケミカル製造 を志向した。製品は少量多品種で、比較的価格は高 いものの販売数量が限られているため、既存商品市 場への参入は徒に価格競争を招くと考え、ニッチな 新規商品の開発から出発した。新規製品開発では研 究開発による顧客要求へのタイムリーな対応が不可 欠であるが、顧客においても開発途上であることが 多く、商品化の成否は顧客の製品の成功に依存する という大きなリスクを負ったものとならざるを得な い。情報の集積や効率的な製造方法の開発による絶 対的なコスト競争力の構築を目指し、技術の集積と 迅速な対応で顧客の要求に応えることに尽力してい る。顧客との相互信頼の確立が最重要であることは 言を待たないが、グローバルなメガコンペティショ ンが普遍化した昨今は、生き残りをかけた技術競争

(=コスト競争)が激化している。当社は、特徴あ る技術の蓄積や知的財産の権利化により製品の独自 性を維持拡大する中で、フッ素化学を一つのキーテ クノロジーとして位置づけ開発を進めている。 

 

4. フッ素について  4.1 製造方法 

 フッ素化合物を製造するとき、基本となる原料は   1. はじめに 

 フッ素は a small atom with a big ego と呼ばれ る特異な原子で、電気陰性度や酸化力が全元素中最 大である。フッ素化剤であるフッ化水素やフッ素ガ スは非常に強い化学反応性や腐食性を示し取り扱い が難しい一方、得られたフッ素化合物はむしろ安定 で、他の原子に見られないさまざまな機能を発現す る。セントラル硝子は、数多くの有機、無機フッ素 化合物およびポリマー製品を、原料のフッ化水素か ら一貫して製造しており、医薬、半導体工業、エネ ルギーなどの最先端産業分野に供給している。 

 

2. 当社の沿革とフッ素 

 当社は 1936 年に宇部曹達工業(株)として創立さ れ、苛性ソーダ、ソーダ灰の生産を開始した。事業 の多角化の中で、ソーダ灰を原料とする板ガラス製 造事業に進出し社名もセントラル硝子とする一方、

アンモニアソーダ法による塩安併産、湿式製造法に よるリン酸生産で化成肥料事業を展開した。リン酸 製造工程においてリン鉱石中に数%含まれるフッ素 源から猛毒のフッ化水素が副生するが、このフッ素 資源の回収・利用が当社のフッ素化学との出会いと なった。高品位の氷晶石( Na

3

AlF

6

)を巧妙な反応、

精製プロセスにより製造する独自技術の確立に成功 

− 46 −  1945年4月生 

大阪大学 大学院 石油化学専攻 博士  課程修了(1974年) 

現在.セントラル硝子株式会社 化学研  究所 工学博士 合成化学 

TEL:049-246-3711   FAX:049-243-4201 

E-mail:[email protected] 企業リポート 

Fluorine chemistry at Central Glass 

Key Words: Fluorine chemistry, Elemental fluorine, Triflic acid,  Asymmetric synthesis, Nitrogen trifluoride Fluorinated polymers

セントラル硝子のフッ素化学 

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図1.セントラル硝子のフッ素化合物 

4.1.1 無機フッ素化合物 

 当社は多くの無機フッ素化合物を、①HF による 酸−塩基中和反応、② 強酸−弱酸交換反応、③ F

2

による酸化的フッ素化反応に依って製造している。

無機フッ化物製品(NF

3

、WF

6

、SiF

4

など)は半導 体製造工業や光学材料で使用されるため高純度製品 が要求され、ppb レベルでの不純物管理を行う品質 管理下での製造が特徴である。 

 

4.1.2 有機フッ素化合物 

 塩素化合物のハロゲン交換フッ素化反応による大 規模な含フッ素中間体・工業原料の製造に加え、近 年は医農薬などの生理活性物質の原料として重要な 光学活性なフッ素化合物の製造技術に注力し、酸素- フッ素交換反応などによる新規な不斉化合物製造法 を開発・権利化している。医薬品中間体製造におい ては、GMP 対応など高品質保証製造体制も確立し、

顧客の要望に応えている。 

 

4.1.3 電解フッ素化反応 

 当社は電解フッ素化により、世界でも1,2の生   フッ化水素 HF で、蛍石 CaF

2

と濃硫酸を反応させ

て製造される。 

  CaF

2

 + H

2

SO

4

 → 2HF + CaSO

4

   フッ素は希少元素という訳ではないが、工業資源 となる蛍石は中国など数カ国に偏在している。先端 工業分野でフッ素化合物の重要性が認識され需要が 増加するに従い、戦略物質として位置づけられるこ とにもなり、資源確保はフッ素化合物の効果的なリ サイクルと合わせ今後の重要な課題となっている。 

 有用なフッ素化合物は全て人工物であるので、欲 しい物は作らなければならない。フッ素化反応の原 料にはフッ化水素のほか、金属フッ化物 MFn、フ ッ素ガス F

2

が一般に用いられる。 (図1) 

 フッ素ガスはフッ化水素の電解によって製造され るが、ウラン濃縮に関連する技術であるため技術導 入には大きな制約が伴うことから、当社は製造技術 を自社開発した。フッ素は有機物と接触すると爆発 的に反応するほか、金属と反応して容易にこれを酸 化し金属フッ化物を生成するので反応器の耐食材料 の選定も難しいが、広範なフッ素化合物の製造には 不可欠の原料として重要性は増している。 

生 産 と 技 術  第60巻 第2号(2008) 

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機能の確認・フィードバックによる開発を進める一 方、ppbレベルの不純物管理を行いながら、モノマー、

ポリマーの工業生産を行っている。 

 

5. おわりに  

 他の化合物には無い化学的安定性、不燃性、低表 面エネルギー性といった多様な特異機能の応用が広 がるに従って、フッ素化合物の重要性はますます増 大している。フッ素製品の機能開発については顧客 における開発への協力に努める一方、製造技術開発 については安価に高品質のフッ素製品を提供する努 力を継続し、当社のフッ素化学が社会に少なからず 貢献する存在となることを祈念している。 

  産規模でトリフルオロメタンスルホン酸 CF

3

SO

3

H

(TfOH)およびアミド酸、メチド酸などの誘導体 を数多く製造している。これらの誘導体は酸化力の 小さな超強酸として触媒、電池電解質、反応原料、

工業用添加剤として広く使用されている。また、環 境面の観点からも資源回収技術の確立に注力してい る。 

 

4.1.4 重合反応 

 ファイン展開の帰結として、当社は多岐に渡る新 規な含フッ素化合物を有しているが、これらを応用 した機能性モノマーの創出・開発をおこなっている。

機能性含フッ素ポリマー製品については、分子設計 の段階から顧客と共同してサンプル製造と発現する 

生 産 と 技 術  第60巻 第2号(2008) 

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参照

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