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効率的な含フッ素化合物の合成法の開発

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Academic year: 2021

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名古屋工業大学学術機関リポジトリ Nagoya Institute of Technology Repository

効率的な含フッ素化合物の合成法の開発

著者 福士 和伸

学位名 博士(工学)

学位授与番号 13903甲第1038号 学位授与年月日 2016‑03‑23

URL http://id.nii.ac.jp/1476/00003241/

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学位の種類 学位記番号

学位授与の日付 学位授与の条件 学位論文題目

フクシ カズノブ

福士 和伸

博士(工学)

博第1038号 平成28年3月23日

学位規則第4条第1項該当 課程博士 効率的な含フッ素化合物の合成法の開発

(DeveloP田ent of Efficient ‖{ethod◎logies for Organofluoτine

Com茎x)Ullds)

論文審査委員 主査 教授   柴田 哲男

准教授   大北 雅一 准教授  平下 恒久

論文内容の要旨

 近年,新薬創製はより困難となっており,新しい薬剤を生み出す為に5・10年の歳月と3 万以上の候補化合物が必要とされる.その為多様な医薬候補品化合物の合成が求められ ている.その手法として化合物へのフッ素官能基の導入やα・アミノ酸の非天然型への変換 などの季法が取られている.多数の反応や試薬がこの目的の為に開発され,報告されてい る.しかし,工業的に利用可能な反応や試薬は未だに不十分である.それは反応性や取り 扱いの容易さに加えて原料や精製のコストなどを考慮する必要があるからである.その為,

工業的に利用可能な新しい反応や試薬の開発が求められている.本論文は工業的に利用可 能な反応の開発を主軸にフッ素,トリフルオロメチル(CF3)基を含んだ化合物や非天然型ア

ミノ酸の合成法の開発についてまとめたものである.また,各章は次のように要約される.

 第1章ではα℃F3カルバニオンを用いた新規反応の開発について述べている.α・CF3カ ルバニオンと求電子剤を用いた反応はフッ素骨格を構築する上で有用な反応である.しか し,全原子中最大の電気陰性度をもつフッ素によってα℃F3カルバニオンは求電子剤と反 応する前に,フッ素が脱離するβ一フッ素脱離が起き,ジフルオロオレフィンへと変換され

ることが知られている.そこで,私はCF3基のα位に電子求引性基であるスルポニル基を

有する基質を用いてα・C恥カルバニオンの安定性を高めることでフッ素の脱離を起こさず

に目的の反応を起こせるのではないかと考えた.そこでこのα・CF3スルホニル化合物を用

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いて辻一トロスト型の脱炭酸型アリル化反応を行った.その結果,α位にアリール基,クロ ロ基,アルキル基を有するα・CF3スルポニル化合物に対して良好な収率でアリル化体が得 られた.シンナミル化体や2・メチルプロペニル化体も良好な収率にて得ることに成功し た.さらに得られた化合物を用いてのジフルオロメチル誘導体への変換にも高い収率にて

成功した.

第2章では新規Ni錯体を用いた非天然型アミノ酸の合成反応について述べている.非天 然型アミノ酸を合成する有力な手法としてグリシン等価体に求電子剤を用いる方法があ

る.その中でもグリシン・Ni(ID錯体は容易に合成ができ,室温にてアルキル化やアルドー ル反応が可能という利点を有している.しかし,既存のグリシン・NiαD錯体は有機溶媒へ の溶解性が悪いことや置換基修飾による反応性,選択性の改善が容易に行えないという欠 点を有していた.そこでこれらの課題を解決する手法としてグリシンーNi(ID錯体のアミン 部分を3級から嵩高い2級に変えることを考えて検討を行った、嵩高いアミンとしてアダ マンチル基やψθ汁ブチル基を持つグリシンーNi(ID錯体を合成し,アルキル化反応およびマ イケル付加反応を検討したところ,今までのグリシン・Ni(II)錯体より高い反応性と選択性 を実現することに成功した.また,本錯体はアミン部の置換基を変えることで反応性や選 択性の制御が容易に行える.

第3章では既存のフッ素化試薬を改良したフッ素化剤についての反応性や有用性につい て記述している.現在,医薬品などでの探索研究において広く利用されているフッ素化試 薬は固体で取り扱いが容易であり,反応性もよいなど非常に取り扱いやすい試薬である.

しかし,フッ素原子の分子量19に対して試薬の分子量が300を超える物が多く,反応の原 子効率に問題点を抱えている,また,塩構造や芳香環を多数有するため極性溶媒への溶解 性に問題を抱えている.そこで私は既存のフッ素化試薬中のフェニル基をメチル基に変え た試薬を用いることで,従来の反応性を維持しつつ 溶解性や原子効率の改善ができるの ではないかと考えて検討を行った.その結果,改良したフッ素化試薬は極性溶媒への溶解 性が増し,極性溶媒中でのフッ素化反応において既存の試薬よりも高い反応性を持つこと が確認された.また,一般にフッ素化試薬を用いた反応でよく用いられるルイス酸を用い た条件においても既存のフッ素化試薬よりも高い反応性が確認された.本試薬はβ一ケトエ ステル,オキシインドール,シリルエノールエーテルなど様々な基質へのフッ素化に適応 が可能であり,不斉反応への利用が可能であることも確認された.以上からこの改良した フッ素化試薬が実用的なフッ素化試薬であることが実証された,また,本フッ素化試薬を 用いてのマロン酸エステルの選択的なモノフッ素化反応も 討したところ 中程度の収率 にてモノフッ素化体を得ることに成功した.

第4章は,総括であり,本研究の成果をまとめた.

 以上のように,本論文では効率的な非天然型アミノ酸や含CF3基化合物の合成法の開発 や改良したフッ素化剤の有用性の実証を達成した.

 これらは、3編の有審査論文としてまとめられている.本論文は、学位論文として十分価

値あるものと認められる

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論文審査結果の要旨

 申請者の論文は全δ章にて構成されており,工業的に利用可能な反応の開発を主軸にフッ素,トリフルオロ メチル(CF3)基を含んだ化合物や非天然型アミノ酸の合成法の開発についてまとめたものである。

第1章ではα・CF3カルバニオンを用いた新規反応の開発について述べている.α・CF3カルバニオンと求電子剤 を用いた反応はフッ素骨格を構築する上で有用な反応である.しかし,全原子中最大の電気陰性度をもっフッ素 によってα℃F3カルバニオンは求電子剤と反応する前に,フッ素が脱離するβ一フッ素脱離が起き,ジフルオロ オレフィンへと変換されることが知られている.そこでα・CF3カルバニオンの安定性を高めるために電子求引姓 基であるスルホニル基を有する化合物を用いれば,フッ素の脱離を起こさずに目的の反応を起こせるのではない かと検討を行った.このα℃F3スルホニル化合物を用いて辻一トロスト型の脱炭酸型アリル化反応を行った結果,

CF3のα位にアリル基,クロロ基,アルキル基を有するα・CF3スルホニル化合物に対して良好な収率でアリル化 体が得られた、

第2章では新規Ni錯体を用いた非天然型アミノ酸の合成反応について述べている.非天然型アミノ酸を合成 する有力な手法としてグリシン等価体に求電子剤を用いる方法がある.その中でもグリシン・Ni(II)錯体は容易に 合成ができ,室温にてアルキル化やアルドール反応が可能という利点を有している.今回,グリシン・Ni(II>錯体 のアミン部分を3級から嵩高い2級に変えた基質を用いて,その反応性や有用性の検討を行った.嵩高いアミン としてアダマンチル基や6θτかブチル基を持つグリシンーNi(II)錯体を合成し,アルキル化反応およびマイケル付加 反応を検討したところ,今までのグリシンーNi伽)錯体より高い反応性と選択性を実現することに成功した.

第3章では既存のフッ素化試薬を改良したフッ素化剤についての反応性や有用性について記述している.現在 利用されているフッ素化試薬は非常に取り扱いやすい試薬であるが,反応の原子効率や極性溶媒への溶解性に問 題を抱えている.そこで既存のフッ素化試薬中のフェニル基をメチル基に変えた試薬を用いることで,これらの 問題の解決を試みた.その結果,改良したフッ素化試薬は極性溶媒への溶解性が増し,極性溶媒中でのフッ素化 反応において既存の試薬よりも高い反応性を持つことが確認された.また,一般にフッ素化試薬を用いた反応で

よく用いられるルイス酸を用いた条件においても既存のフッ素化試薬よりも高い反応性が確認された.以上から この改良したフッ素化試薬が実用的なフッ素化試薬であることが実証された.

第4章は,総括であり,第5章にて各章の実験項をまとめた.

 本論文の成果は、3編の有審査論文としてまとめられており,十分に学術的価値を有している.よって,本論

文は博士(工学)の学位論文として十分価値あるものと認められる.

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