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ワークストレス解消のための音楽の有効性に関する研究

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Academic year: 2021

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ワークストレス解消のための音楽の有効性に関する研究

―心拍に即した音環境によるストレス値の評価―

A Research on Effectiveness of Music for Relieving Work Stress

―Evaluation of Stress Value in the Sound Environment Based on Heart Rate―

1W153020-6 岩倉 遼河 指導教員 長 幾朗 教授 IWAKURA Ryoga Prof. CHOH Ikuro

概要:社会の変動や技術革新などにより個人の働き方やそれによって生じる障害にも変化が起きており、

ワークストレスなどの問題が注目されている。ストレスとは何かを明瞭にした上で、労働に伴う作業が与 えるストレスの評価を試みた。また、作業者の快適度の上昇を図るため、個人の特性に適応した音楽視聴 を提案した。オフィスの騒音や雑音を低減させ、バイオフィードバックの一つともいえる心拍とBPM 対応させた心拍テンポ音楽を聴取しながら作業をすることで、作業者のストレスコントロールを容易に し、個人の健康および企業の活動を助けることができるか検証する実験を試みた。

キーワード:ストレスコントロール、ワークストレス、心拍テンポ音楽、音環境 Keywords: Stress Control, Work Stress, Heart Rate Music, Sound Environment

1.ストレス

ストレスとは、種々の外部刺激が負担として働く とき、心身に生ずる機能変化のことで、その原因 となる要素をストレッサーと呼ぶ。ストレス反応 は内分泌系や自律神経系を通した段階的なものに なっており、抵抗力の限界を超えることで様々な 心身症を発症する。ストレス反応は身体的健康・

精神障害・行動障害の3つの形で表れるとされて おり、様々な不利益を呼び起こす。ストレスの低 減にはストレスマネジメントやリラクセーショ ン・トレーニングなどの対策が有効とされる。本 研究ではこういったストレスによる不利益の低減 を目的としている。

2.ワークストレス

ワークストレスすなわち労働に伴うストレスは労 働者に少なからずネガティブな影響を与える。こ れらの関心は近年高まっており、ワークストレス 症状としてうつ病や過労死などが挙げられる。ス

トレスの原因すなわちストレッサーは職場の物理 的環境、人間関係、作業負担、勤務形態等多岐に わたる。このような事態に対して企業が率先して 対応する事が求められており、近年、「ストレス チェック制度」を導入する企業があるほか、物理 的環境である作業空間の見直しも見られるが、ス トレスの要因は一人一人異なるうえに複雑に絡み 合っているため、より個人に合わせたオフィス空 間が求められる。

3.音楽

音楽療法などのように、音楽聴取によりストレス を軽減させる、快の感情を与える、痛みを取り除 くなどの方法も経験的に知られている。これらの 音楽において、音楽のどの要素が心理にどのよう な影響を及ぼすのかといった研究は本日まで多く 成され、音楽の要素としては代表してテンポとメ ロディが挙げられる。また、音楽聴取には音のマ スキング効果が期待され、外の不快な雑音を打ち

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消す効果も知られている。さらに人はその時の心 身の状態により求める音楽も異なると言われてい る。心拍のテンポは精神状態と関係があり、緊張 すると鼓動が早くなり速いテンポの音楽を、リラ ックスしているとゆっくりとした音楽を求めると される。

5.ストレスと音楽についての仮説

大学生33名に作業中の音楽聴取によるアンケ ートを実施したところ、作業中に音楽を聴く理由 として「周りの音を遮断できるから」という回答 が最も多くなり、音のマスキング効果への期待が 高い事が分かった。また、おおよそミドルテンポ の音楽が作業中に聴取するものとして最も好まれ る結果になった。また前章までの内容と併せ、

「作業中に心拍テンポ音楽を聴取することで、個 人に合わせたストレス対策ができる」という仮説 を立てた。

6.実験

OA機器や会話音を流した「騒音」条件、騒音 の中でイヤホンから作業開始時の心拍と同じ BPMで音楽を聴く「固定テンポ」条件、騒音の 中でイヤホンから心拍テンポ音楽を聴く「心拍テ ンポ」条件の3条件下で、アンケートによる作業 前後のストレス値およびを比較した。被験者に各 環境下で100マス計算を10分間行わせ、その前 後で質問紙法による意識的なストレス評価を行 い、各条件について作業前後の各尺度の変化量を 比較した。また、各条件下での作業中の気持ちに 関してSD法アンケートを行った。更に、各作業 前後について唾液アミラーゼモニターを用いて生 理指標としてのストレス値の変化量の計測を行 い、100マス計算の回答数や誤答率も比較の対象 とした。実験の様子を以下の図1に示す。

図1 実験の様子(岩倉, 2019)

7.結論

実験により、心拍テンポ音楽は「びくびくし た」「うろたえた」という作業による不安感のス トレス増大を抑える結果を得たものの、「びくび くした」「ふさいだ」以外の尺度では固定テンポ 音楽の方がよりポジティブな効果を示した。これ はある程度心拍テンポの揺らぎが不安感の低減に 寄与したものの固定テンポ音楽の方がより聴きな れていたためと考えられる。唾液アミラーゼモニ ターによるストレス値計測の結果は、標準誤差が 大きくなる結果となり、各条件の優劣を結論づけ ることはできなかった。100マス計算の回答数や 誤答数には有意差は見られず、音環境による回答 能力への影響は大きくはないと考えられた。この ことから心拍テンポ音楽が不安を伴う作業に対し てその不安によるストレスを解消できることが示 唆された。

参考文献:

小田晋(1989)「職場ストレスとメンタルヘル ス」日本生産性本部

福井一(1999)「音楽の謀略 音楽行動学入門」悠 飛社

鯨井康志(2005)「オフィス進化論 オフィスはど こへ向かうのか」日経BP

図表出典一覧:

図1:岩倉「実験の様子」, 2019

参照

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