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ジョギングにおける音楽テンポの自動同期に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

2016年度 卒 業 論 文

ジョギングにおける

音楽テンポの自動同期に関する研究

指導教員:渡辺 大地 講師

メディア学部 ゲームサイエンスプロジェクト

学籍番号 

M0113332

中村 裕登

2017

3

(2)

2016年度 卒 業 論 文 概 要 論文題目

ジョギングにおける

音楽テンポの自動同期に関する研究

メディア学部 氏 指導 学籍番号 : M0113332 名 中村 裕登 教員 渡辺 大地 講師 キーワード 走行リズム、音楽テンポ、感圧センサ、Raspberry Pi、 ジョギング 社会人の運動不足が問題視されている近年では,成人のジョギング・ランニング実施率が上 昇傾向にある.継続的なジョギングを行うためのモチベーション維持方法に音楽を聴きながら 走るという方法があり,週に1回以上ランニングを行う人の7割は音楽を聴きながら走るとい う調査結果が出ている.しかし,ジョギング中に聞いている音楽のテンポと,走者の望む走行 テンポのズレは体力に感じるキツさを高め,快感度を悪くするような求めている効果の逆の作 用を及ぼしてしまうことがある.本研究では,音楽を聴きながらのジョギング中にて,走行テ ンポに一定間隔で音楽テンポを自動同期させれば,体力に感じるキツさを軽減し,快感度を向 上させることでジョギングの際に音楽を聞くことの心理的負担を軽減させることができるので はないかと考えた.ランニングと音楽のテンポに着目した研究は数多く行われており,特に, 大平らの研究はスマートフォンの加速度センサによって抽出した歩行・走行テンポに最もビー ト周期の近い音楽を楽曲データベースから提示する方法(以後パターンA)を提案し,歩行・走 行テンポを崩すことなく適切な音楽の視聴を可能にした.今回は一つの音楽のテンポが走行テ ンポにBPM単位で同期するように変換して提示する方法(以後パターンB)と大平らの研究 を参考にした楽曲データベースから走行テンポに最も近いテンポを持った音楽を走行テンポに BPM単位で同期するように変換して提示する方法(以後パターンC)の二つを提案し,この二 つと大平らの手法と合わせた3通りを検証した.被験者に各手法を用いて各2分間の走行後, キツさと快感度に関するアンケートを回答してもらった.その結果,本研究による提案手法パ ターンCは先行手法パターンAより,走り心地を良くする快感度を向上させ,体力に感じる キツさを軽減させることができた.しかし,本研究による提案手法パターンBは先行手法パ ターンAより良い効果をもたらす確証は得られなかった.

(3)

目 次

第1章 はじめに 1 1.1 背景 . . . 1 1.2 論文構成 . . . 4 第2章 提案手法 5 2.1 走行テンポと音楽テンポについて . . . 5 2.2 提案手法のフロー . . . 6 2.3 装置の部品構成 . . . 8

2.3.1 Raspberry Pi3 Model B . . . 8

2.3.2 感圧センサFSR-402 . . . 10 2.4 走行テンポと音楽テンポの同期 . . . 11 2.4.1 走行テンポの算出 . . . 11 2.4.2 走行テンポと音楽テンポの比較. . . 12 2.4.3 音楽の変更とテンポ変換 . . . 13 2.5 誤検出について . . . 14 第3章 評価実験 15 3.1 実験方法 . . . 15 3.2 実験結果 . . . 16 3.3 検定 . . . 18 3.4 考察 . . . 19 第4章 まとめ 20 謝辞 22 参考文献 23

(4)

図 目 次

1.1 提案手法のイメージ . . . 2 2.1 パターンAのシステムフロー . . . 7 2.2 パターンBのシステムフロー . . . 7 2.3 パターンCのシステムフロー . . . 8 2.4 RaspberryPi3 ModelB の外観 . . . 9 2.5 基盤の外観 . . . 9 2.6 回路図 . . . 9 2.7 感圧センサFSR-402の外観. . . 10 2.8 製作したデバイスの全体図 . . . 10 2.9 装着した際の様子 . . . 11

(5)

表 目 次

1.1 先行研究との相違点 . . . 4

2.1 RaspberryPi3 ModelB の スペック . . . 9

3.1 走った心地のアンケート . . . 17

(6)

1

はじめに

本章では,本論文における研究背景や問題提起,論文の構成について述べる.

1.1

背景

社会人の運動不足が問題視されている近年では,成人のジョギング・ランニング実施率が上昇 傾向にあり[1][2],ジョギングを行う人の7割が健康維持を目的としている[3].運動不足の解消 には継続的な運動が不可欠だが,ジョギングを継続的に行うモチベーションを保つ方法に音楽を 聴きながら実施するという方法があり,実際に週に1回以上ジョギングを行う人の7割は音楽を 聴きながら走るという調査結果が出ている[4][5].実際に音楽を聴きながら走ることで体力に感じ るキツさを軽減させ,テンポよく走れることから心地良いと感じる快感度が向上する[6][7].これ ら等の効果から近年は運動の最中に音楽を聴くことが注目されつつある[8]. しかし,ジョギング中に聞いている音楽のテンポと,走者の望む走行テンポのズレは体力に感 じるキツさを高め,快感度を悪くするような求めている効果の逆の作用を及ぼしてしまうことが ある[9].例えば走者の持久力が低く,ゆっくりなペースで長時間走りたい時にハイテンポな曲が 流れてしまっては,ゆっくりとした走行テンポを保つのが難しくなる.曲につられて速い走行テ

(7)

ンポになれば走者の持久力に見合わずバテてしまう[10].また,音楽のテンポが走者の望む走行 テンポに近しい場合でも,音楽が刻む拍のタイミングと走者の足が地面につくタイミングのズレ が広がり快感度を悪くする[11].このような音楽を聴きながらジョギングを行うことのデメリッ トから,ジョギング等の走る運動に対して抵抗を感じてしまい,継続的な運動を途切れさせてし まう恐れがある. 本研究では,音楽を聴きながらのジョギング中にて,走行テンポに一定間隔で音楽テンポを自 動同期させれば,体力に感じるキツさを軽減し,快感度を向上させることでジョギングの際に音 楽を聞くことの心理的負担を軽減させることができるのではないかと考えた.図1.1は本研究が 目指す走行テンポにより音楽テンポが変化する様子を表している. 図1.1 提案手法のイメージ ランニングと音楽のテンポに着目した研究は数多く行われている.本研究に近しい研究とし て,大平茂輝らの研究 [12] と帆苅隼佑らの研究 [13] があり,製品としてヤマハ株式会社より BODiBEATというランニング・ウォーキング用のデジタル音楽プレーヤー[14]がある.大平ら の研究ではスマートフォンの加速度センサによって抽出した歩行・走行テンポに最も音楽テンポ の近い音楽を楽曲データベースから提示することで,歩行・走行テンポを崩すことなく適切な音 楽の視聴可能を実現した.帆苅らの研究は1曲のデータについて,0.5倍から2.0倍までの音響信 号を0.1 倍刻みで用意しておき,スマートフォンの加速度センサによって歩数を検出,これが最

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初の10秒間の走行より上昇傾向なら再生速度の速い曲に,低下傾向なら再生速度の遅い曲に切り 替えることで,走行テンポを崩すことなく走者にペースを知らせることを可能にしている.また, BODiBEATでは大平らと同様の機能を持ち合わせている他,本体内蔵の音源とシーケンサーを 利用して走行テンポに合うメロディをリアルタイムで生成することで,走行テンポを乱すことな く音楽を聴きながら走行することを可能にした.しかし,大平らとBODiBEATの方法は走行テ ンポに最も近い曲を流すのみで走行テンポに合うわけではなく,登録された楽曲データベースに 近しい曲が存在しなかった場合等は考慮されていない.また,曲が頻繁に変わってしまい,走者 は一定のテンポを保つのが困難になる恐れがある.帆苅らの研究も歩数の上昇分にて再生する曲 を決定しているので走行テンポに合うとは限らない.また,これらの3つは加速度センサを用い ているが,加速度センサによる走行の検出には誤検出が多く見受けられる.

そこで本研究では走行テンポに音楽テンポをBeats Per Minute(以下BPM)単位に基づいて同

期させるシステムを2通り考案した.一つ目の手法は音楽の1分間の拍の数と走行時の歩数が近 い関係にある事に着目し,一つの音楽のテンポが走行テンポにBPM単位で同期するように変換 して提示する方法である.例えば1分間 160歩でのジョギング中に130BPMの曲を再生をして いた時,再生中の曲と同じ曲を160BPMに変換して再生するというものである. しかし,一つ目の手法ではテンポ変換を行った曲に対する原曲との違和感が発生するという懸 念が挙げられる.そこで本研究では石先らの行った研究[15][16]を参考に二つ目の手法を提案す る.石先らは音楽のテンポ変換を行った際に聴取者違和感指標の定義について検討を行い,その 結果テンポ変化率が0.852倍から1.227倍の範囲を超えたとき,多くの聴者が違和感を持つこと を明らかにした.この結果に基づき,本研究では走行テンポが再生している音楽における原曲テ ンポの0.85倍から1.2倍の値の範囲に無い場合,楽曲データベースから走行テンポに最も近いテ ンポを持った音楽を選択し,走行テンポにBPM単位で同期するように変換して提示する方法を 提案する.表1.1は先行研究と本研究の相違点を表にしたものである.

(9)

表1.1 先行研究との相違点 大平茂輝ら 帆苅隼佑ら 本研究1 本研究2 歩数検出方法 加速度センサ 加速度センサ 感圧センサ 感圧センサ 使用デバイス スマートフォン スマートフォン RaspberryPi3 感圧センサ RaspberryPi3 感圧センサ 音楽提示方法 近似テンポ楽曲 テンポ変換 テンポ変換 近似テンポ楽曲 テンポ変換 音楽参照先 楽曲データベース 1曲 1曲 楽曲データベース 本研究による2つの手法と大平らの手法を合わせた3通りを検証し,被験者に各手法を用いて 各2分間の走行後キツさと快感度に関するアンケートを回答してもらった.結果は本手法2が大 平らの手法より走り心地を向上させ,体力に感じるキツさを軽減させることができたと言える結 果を得られた.しかし,本手法1は体力に感じるキツさにおいて,アンケートの結果が統計的に 有意差を認められない為、大平らの手法より良い結果をもたらす確証は得られなかった. 

1.2

論文構成

本論文は全4章で構成する.第2章では提案手法の概要や使用機器,内部処理について述べ, 第3章では検証実験と結果,考察について述べる.第4章にてまとめを述べる.

(10)

2

提案手法

本章では,本研究にて提案する手法について述べる.2.1節では本研究での走行テンポと音楽 テンポの定義を述べる.2.2節では提案する手法とそのフローを述べる.2.3節では装置の部品 構成と各部品の用途を述べる.2.4節では走行テンポと音楽テンポの同期方法を述べる.2.5節 では走行歩数の誤検出について述べる.また,前提条件として,本研究ではユーザーの走行テン ポと照合する音楽のテンポを利用する.ただし,音楽が途中でテンポ変化を持つことは想定しな いものとする.使用する楽曲データはwav ファイルに限定し,音楽のテンポはあらかじめ楽曲 データベースに登録しておくものとし,プログラムは3次元グラフィックスツールキットである,

Fine Kernel ToolKit System[17]とRaspberry PiのGPIOに接続するためのGeneral Purpose Input/Output(以下GPIO)アクセスライブラリであるWiringPi[18]を用いて開発を行った.

2.1

走行テンポと音楽テンポについて

本研究では,走行テンポと音楽テンポの基準値としてBPM単位を用いる.走行テンポは走行

計測期間中に計測した一歩にかかる時間の平均値で60秒を割ったものとし,音楽テンポは1分間

(11)

にかかる時間を毎歩分計測する期間である.測定した一歩にかかる時間はデータベースに保存さ れる.この期間が音楽変更及び,テンポ変換を行う間隔である.

2.2

提案手法のフロー

本研究は走行中のユーザーに対し,走行テンポを一定時間ごとに測定し,音楽のテンポを走行 テンポに同期させて再生することが,音楽を聴きながら運動を行うことによる負担を軽減と,運 動能力を助長する効果の促進をすることで心理的負担を軽減することを目的とする.この目的 を果たすためにシングルボードコンピュータであるRaspberryPi3 modelBと感圧センサである FSR-406を用いて提案手法を実現した.また,今回は一つの音楽のテンポが走行テンポにBPM 単位で同期するように変換して提示する方法と,大平らの研究を参考にした楽曲データベースか ら走行テンポに最も近いテンポの音楽を走行テンポにBPM単位で同期するように変換して提示 する方法の二つを提案する.混乱を避けるために,本研究では前者の手法をパターンB,後者の 手法をパターンC,大平らの手法をパターンAと呼称する.図2.1,図2.2,図2.3はそれぞれの 手法フローを示している.

(12)

図2.1 パターンAのシステムフロー

(13)

図2.3 パターンCのシステムフロー

2.3

装置の部品構成

各部品の制御と音の制御にシングルボードコンピュータであるRaspberryPi3 modelBを用い,

走行の検出に感圧センサを用いた.

2.3.1

Raspberry Pi3 Model B

本ユニットは感圧センサの制御と音の制御,システムの実行に用いた.また,これはGPIOを

搭載しており,今回はGPIOピンにて感圧センサとの入出力を行なっている.稼働に用いる電力

はモバイルバッテリーを用いた.本ユニットのスペックを表2.1に,外観を図2.4に,制作した外

(14)

表2.1 RaspberryPi3 ModelB の スペック

CPU ARM Cortex-A53/1.2GHz 4コア

GPU デュアルコア VideoCore IV 400MHz(3D 300MHz) メモリ 1GB DDR2 450MHz 低電圧 SDRAM

消費電力 約12.5W

図2.4 RaspberryPi3 ModelBの外観 図2.5 基盤の外観

(15)

2.3.2

感圧センサ

FSR-402

走行の検知に用いた,回路に直列でつなぐことで,感圧部に圧力がかかると電流を通すように なる[19].今回はこれを両足の靴の中敷に仕込み,着地を検出する.外観を図2.7に示す. 図2.7 感圧センサFSR-402の外観 また,これらの全体図,装着した際の様子を図2.8,図2.9に示す. 図2.8 製作したデバイスの全体図

(16)

図2.9 装着した際の様子

2.4

走行テンポと音楽テンポの同期

提案手法では大きく分けて四つのステップがあり,これらを繰り返すことで走行テンポと音楽 テンポの自動同期を図る.これら四つのステップを通して 1ターンと呼称する.本節では各ス テップについて述べる.1ステップ目は2.1節にて述べた走行計測期間に当たる.

2.4.1

走行テンポの算出

走行計測期間にて計測した一歩にかかる時間の平均を算出し,これで秒数60を割ったものが走 行テンポのBPM になる.BPMへの変換を考慮した上での走行テンポを算出する計算式は以下

(17)

の式(2.1),式(2.2)を用いる.ここでは,Rは走行テンポ[bpm],tは一歩間隔平均時間[s],xは 歩数,nは一歩にかかる時間ある. t = xi=1 ni x (2.1) R = 60 t (2.2) 走行テンポの算出後,走行計測期間によって計測した一歩にかかる時間を保存しているデータ ベースは毎ターンごとに初期化している.

2.4.2

走行テンポと音楽テンポの比較

算出した走行テンポと現在再生中の音楽テンポを比べ,パターンBでは再生中の音楽を走行テ ンポに同期するようにテンポ変換を行い,パターンCでは音楽変更とテンポ変換を行うかテンポ 変換のみを行うかを判断する.走行テンポが再生中の音楽の原曲テンポより一定以上の差を持っ た場合,音楽変更を行った後,走行テンポに合うようテンポ変換を行う.一定以上の差を持たな かった場合,音楽は変更せず走行テンポに合うようテンポ変換のみを行う.曲のテンポ変換方法 については2.4.3項にて述べる.ここでの走行テンポと音楽の原曲テンポによる一定以上の差は, 1.1節で述べたように走行テンポの値が原曲テンポの0.85倍の値から1.2倍の値の範囲に無い場 合の差である.式(2.3)は音楽変更を行わない場合の条件式であり,式(2.4)は音楽変更を行う場 合の条件式である.Oは原曲のテンポ[bpm]である. 0.85R O ≦ 1.20 (2.3) { R O < 0.85 1.20 < RO (2.4)

(18)

また,この範囲を超えた際に近しいテンポを持った曲がない場合,最も近いテンポを持った曲 をテンポ変換後に再生している.

2.4.3

音楽の変更とテンポ変換

2.4.2項より決定した音楽を走行テンポと同じテンポに変換し再生する.音楽のテンポ変換方法 について,本研究では再生対象となった楽曲データベースの原曲を複製し,wav ファイルのヘッ ダー部にある,サンプリング周波数を書き換えることで実現している[20][21]. 計算式は以下の通りである.P は現在再生中の音楽テンポ[bpm],P′ は2.4.1項より決定した 走行テンポ[bpm],T は原曲のサンプリング周波数[Hz],T′ は書き換えるサンプリング周波数 [Hz]である. T′ = TP P (2.5) 本研究の方法では音楽変更を行わなくても,テンポ変換を行った際は更新したテンポを持った 楽曲ファイルに切り替える必要がある.その際に再生位置を調整しなければ,音楽は最初から再 生し直してしまう.そこで,これまで再生していた位置を切り替える直前に取得し,以下の計算 式にて再生位置を調整することで自然なテンポ変換を試みている.S は直前の再生位置[秒],S′ は次に再生する曲の再生開始位置[秒]である. S′ = S P P′ (2.6) ここまでの処理を行った後,音楽変更を行った際は現在再生中の音楽の音量をフェードアウト させ,処理によって決めた音楽の音量をフェードインしている.テンポ変換のみの際は2.4.3項の 処理が終わった直後に現在再生中の音楽を停止し,処理によって決めた音楽を再生している.

(19)

2.5

誤検出について

本研究では加速度センサを用いず,感圧センサを用いている理由として歩数の正確さと誤検出 の容易さにある.感圧センサの場合,踏んでいない時に検知してしまう場合と踏んだことを検知 しない場合の2種類に分かれる.本手法では同じ足が連続して踏んだと検出した時に一歩前の走 行間隔からどれだけ時間差があったかで判断するようにしている.具体的には半分以下の歩行間 隔,もしくは1.5倍以上の歩行間隔を一歩前と同じ足で検出した時,前者はカウントせず,後者は 二歩分のカウントをするようにしている.また,走行テンポが60BPM を下回った時,停止して いると判断し,その時の再生対象楽曲の原曲を再生する.

(20)

3

評価実験

本章では本研究にて行なった提案手法を評価するために行った評価実験について述べる.

3.1

実験方法

評価実験を行うにあたって音楽を聴きながらのジョギング中にて,走行テンポに合う音楽の提 示を行う実験を3通りに分けて検証した.先行研究による大平らの走行テンポに最もビート周期 の近い音楽を楽曲データベースから提示する方法をパターンA,本研究の一つの曲のテンポを走 行テンポに同期する方法をパターンB,これらを組み合わせたものをパターンCとする.これら の比較実験を行なった.また,今回の実験では走行計測期間を16秒とし,この間隔で走行テンポ の更新を行い,音楽変更及びテンポ変換を行なった.21から22歳の男性13名に各パターン2分 間のジョギングと任意の休憩を走行の間に行い,全パターンの走行終了後に以下のような20段階 アンケートを行なった. 走った心地はどうだったか 体力に感じるキツさはどう感じたか

(21)

この二つのアンケートに対し,以下の指標を設け回答を促した.被験者No.1,2,3の実験ではC のパターンを行わなかった. • 1:最も(心地が良い or 楽) • 3:非常に(心地が良い or 楽) • 5:かなり(心地が良い or 楽) • 7:比較的(心地が良い or 楽) • 9:やや(心地が良い or 楽) • 10:どちらかといえば(心地が良い or 楽) • 11:どちらかといえば(不快 or キツい) • 12:やや(不快 or キツい) • 14:比較的(不快 or キツい) • 16:かなり(不快 or キツい) • 18:非常に(不快 or キツい) • 20:最も(不快 or キツい)

3.2

実験結果

3.1節の実験結果を表3.1,表3.2表にまとめた.

(22)

表3.1 走った心地のアンケート 被験者 実行パターン順 Aの結果 Bの結果 Cの結果 備考 No.1 B→A 9 7 NONE マラソン経験あり No.2 B→A 9 7 NONE No.3 B→A 8 12 NONE マラソン経験あり No.4 A→B→C 9 7 5 No.5 B→A→C 9 7 6 マラソン経験あり No.6 C→A→B 6 14 7 No.7 B→C→A 15 5 7 No.8 A→C→B 9 3 7 マラソン経験あり No.9 A→B→C 10 8 5 マラソン経験あり No.10 A→C→B 8 3 5 No.11 C→A→B 7 4 4 No.12 B→A→C 10 7 3 No.13 C→B→A 9 8 6 平均 9.07 7.07 5.5 また,回答の指標として「曲につられてペースが乱れなかったか」「歩幅に狭苦しさを感じな かったか」「つまずいたり,ぎこちなさを感じなかったか」等の内容を口頭にて伝え回答を促した.

(23)

表3.2 体力に感じるキツさのアンケート 被験者 実行パターン順 Aの結果 Bの結果 Cの結果 備考 No.1 B→A 9 3 NONE マラソン経験あり No.2 B→A 9 9 NONE No.3 B→A 5 5 NONE マラソン経験あり No.4 A→B→C 13 10 10 No.5 B→A→C 8 6 5 マラソン経験あり No.6 C→A→B 9 5 9 No.7 B→C→A 7 8 7 No.8 A→C→B 9 15 11 マラソン経験あり No.9 A→B→C 8 8 7 マラソン経験あり No.10 A→C→B 11 6 7 No.11 C→A→B 16 16 10 No.12 B→A→C 10 5 5 No.13 C→B→A 9 7 6 平均 9.22 8.55 8.16 また,回答の指標として「息切れしなかったか」「汗をかいた量はどうだったか」「心拍音が聞こ えたか」等の内容を口頭にて伝え回答を促した.

3.3

検定

3.1節の実験によって得られた各数値の平均値が有効な結果なのか確かめるために2標本を対象 とした検定を行なった.今回は等分散が仮定できない結果になったため,A:B,B:C,A:Cのウェ ルチ検定を行なった.走り心地のアンケートに関して,A:Bは検定統計量 1.894,自由度 20.815, P値0.072以下となりこの二つの平均の差は有意傾向にあると言える.A:Cは検定統計量 4.948, 自由度 20.494,P値 0.000以下となり,この二つの平均の差は有意であると言える.B:Cは検 定統計量 1.610,自由度 17.074,P値 0.125となり,この二つの平均の差に有意差は無いと言え る.体力に感じるキツさのアンケートに関して,A:Bは検定統計量 1.173,自由度 21.585,P値

(24)

0.253となり,この二つの平均の差に有意差は無いと言える.A:C は検定統計量 1.727,自由度 20.961,P値 0.098となり,この二つの平均の差は有意傾向にあると言える.B:Cは検定統計量 0.175,自由度 19.467,P値 0.862となり,この二つの平均の差に有意差は無いと言える.

3.4

考察

本研究では音楽を聴きながらのジョギング中にて,走行テンポに合う音楽の提示を行う実験を 3通りに分けて行ない,その評価を行った.その結果,平均値のみに着目すれば走り心地が良い音 楽提示方法はパターンCが最も高く,パターンAが最も低い結果になった.体力にキツさを感じ にくい音楽提示方法はパターンCが最も高く,パターンAが最も低い結果になった.この平均値 の差を検定によって確かめた結果,走り心地が良い音楽提示方法はA:Bの平均値に有意傾向があ り,A:Cの平均値に有意差が認められた.よって本研究による提案手法はパターンB、Cともに 先行手法より良い結果を出すことができた.しかし,B:Cの平均値の差は統計的に優位さが認めら れないため,パターンCがパターンBより良い効果をもたらす確証は得られなかった.体力にキ ツさを感じにくい音楽提示方法はA:Cの平均値は有意傾向が認められるのみで,A:B,B:Cに有 意差が認められなかった.よってパターンCは先行手法より良い結果を出すことができたが,パ ターンBが先行手法より良い効果をもたらす確証は得られなかった.以上から,本研究による提 案手法パターンCは先行手法パターンAより,走り心地を良くする快感度を向上させ,体力に感 じるキツさを軽減させることができた.しかし,本研究による提案手法パターンBは先行手法パ ターンAより良い効果をもたらす確証は得られなかった.

(25)

4

まとめ

音楽を聴きながらのジョギング中にて,走行テンポに一定間隔で音楽テンポを自動同期させる ことで,主観的運動強度を軽減し,快感度を向上させることでジョギングの際に音楽を聞くこと の心理的負担を軽減させるサウンドプレイヤーの提案を目指した.同期方法に複数のパターンが 考えられ,今回は大平らの楽曲データベースから走行テンポに最も近いテンポを持った音楽を提 示する方法と,本研究による1つの音楽のテンポを走行テンポにBPM 単位で同期するように変 換して提示する方法と,これらを組み合わせた楽曲データベースから走行テンポに最も近いテン ポを持った音楽をBPM単位で同期するように変換して提示する方法の3つについて実験を行い 検証した.今回はシステムの稼働にシングルボードコンピュータであるRaspberryPi3 modelB を用い,走行の検出に感圧センサを用いた.計13名の男性に各パターン2分間の走行を間に任意 の休憩を挟みながら行い,走った心地はどうだったか,体力に感じるキツさはどうだったか,と いうアンケートを20段階にて行なった.数値が小さいほど心地よく走れた,楽に走れたことを意 味し,数値が大きいほど不快に感じた,キツく感じたことを意味している.結果,走った心地に 関するアンケートの平均はパターンAが9.07,パターンBが7.07,パターンCが5.50という結 果になった.また,この平均値の有意性を検証するために各組み合わせでウェルチ検定を行なっ

(26)

たところA:Bは有意傾向にあり,A:Cは有意差が認められたが,B:Cは有意差が認められなかっ た.体力に感じるキツさのアンケートの平均はパターンAが9.22,パターンBが8.55,パター ンCが8.16という結果になった.しかし,この平均値の有意性を検証するために各組み合わせで ウェルチ検定を行なったところ,A:C のみ有意傾向が認められるのみでA:BとB:Cには有意性 が認められなかった.以上から,本研究による提案手法パターンCは先行手法パターンAより, 走り心地を良くする快感度を向上させ,体力に感じるキツさを軽減させることができた.しかし, 本研究による提案手法パターンBは先行手法パターンAより良い効果をもたらす確証は得られな かった. 原因として,今回の実験では各パターン2分間のジョギングという短い時間での検証であった 為,体力にそれほどの疲労を感じなかった可能性があげれられる他,デバイス自体が全身にコー ドを張り巡らせる形になってしまったため,煩わしさと走りづらさを感じさせる可能性が考えら れた.よって今後の展望として,デバイスの無線化と軽量化の他,現在は一定間隔で曲を走行テ ンポに同期させている為,坂道や急な曲がり角等の細かなユーザーの走行テンポの変化に対応で きていない.よって,着地の間隔によるパターンを検出することで,細かな走行の変化に対応で きると考えられる.

(27)

謝辞

本研究を進めるにあたって,多くの指導を頂いた渡辺大地講師,三上浩司教授,阿部雅樹実験 助手に心から感謝いたします.同期の方々,実験に協力をしてくださった方々にも同じく感謝い たします.皆様本当にありがとうございました.

(28)

参考文献

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[20] 北山洋幸. WAVプログラミング C言語で学ぶ音響処理. カットシステム, 2008.

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表 1.1 先行研究との相違点 大平茂輝ら 帆苅隼佑ら 本研究 1 本研究 2 歩数検出方法 加速度センサ 加速度センサ 感圧センサ 感圧センサ 使用デバイス スマートフォン スマートフォン RaspberryPi3感圧センサ RaspberryPi3感圧センサ 音楽提示方法 近似テンポ楽曲 テンポ変換 テンポ変換 近似テンポ楽曲テンポ変換 音楽参照先 楽曲データベース 1 曲 1 曲 楽曲データベース 本研究による2つの手法と大平らの手法を合わせた 3 通りを検証し,被験者に各手法を用いて 各 2 分間の
図 2.1 パターン A のシステムフロー
図 2.3 パターン C のシステムフロー
図 2.4 RaspberryPi3 ModelB の外観 図 2.5 基盤の外観
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参照

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