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ニワトリ腹腔内脂肪組織を構成するタンパク質の同定

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日本家禽学会誌,42.・J87 J93,2005

ニワトリ腹腔内脂肪組織を構成するタンパク質の同定

品川真吾l).仁木隆博l).河邊弘太郎2)・山下秀次l).荒木朋洋l).信國喜八郎l).芝田猛')

!)九州東海大学農学部,熊本県阿蘇郡南阿蘇村869‑1404

2)鹿児島大学生命科学資源開発研究センター,鹿児島県腱児島市郡元890‑0065

本実験では,鳥類の脂肪組織におけるタンパク質の存在とその種類を│リ1らかにするため,ニワトリの 脂肪組織をもちいてSDS‑PAGEによりタンパク質を分離し,クマシーブリリアントブルー(CBB)R 250で検出した後,アミノ酸配列を決定しタンパク質の同定を試みた。供試鶏としてブロイラー(Ross 308系統)を用い,43日齢に放血と殺後,ll豆腔内脂肪を摘出した。腹腔│ノ1脂肪は界面活性剤と尿素を含 む溶媒でホモジナイズして遠心分離し,得られた上清についてSDS‑PAGEによりタンパク質を分離し た。その結果,腹腔内脂肪組織から約40種類のバンドが検出された。このうちCBBR250による染色の 度合いから量的に多いと推定された12種類のタンパク質バンドについて,リシルエンドペプチダーゼ によりゲル内消化後,逆相HPLCによりペプチドを分離した。このうち8種類のタンパク質バンドにつ いてペプチドマップが得られた。これらのタンパク質について,1つのタンパク質当たり2〜3のペプチ ドについてアミノ酸配列を決定した。得られたアミノ酸配llから,BLASTにより相同性のあるタンパ ク質を推定した。相同性検索の結果と推定分子量から,血漿アルブミン,2種類のビメンチン,アネキシ ンⅡおよび脂肪組織由来脂肪酸結合タンパク質(AFABP)が同定された。これらのタンパク質は,二次 元電気泳動法によりそのスポット位置が推定された。ペプチドのアミノ酸配'」が決定されたタンパク質 のうち3種類のタンパク質バンドは,BLASTによる州同性検索で一致するものが雌く,このうち幾つ かのタンパク質バンドは,新規のタンパク質である可能性が示唆された。このことから,更に解析を進 めることでニワトリのI旨肪組織に新規なタンパク質を検出できる可能 性が示唆された。

キーワード:腹腔内脂肪組織タンパク質,SDS‑PAGE,BLAST,ニワトリ

つことなどが報告されている。これらのことから脂肪細 llaのI│iIII!的意義が注││されている。

旧│"組織について畜産学の分野では肉用牛の脂肪交雑 との関辿で││旨ll/jill111包分化の 災│大│となるC/EBPファミ リーやPPARγについての遺伝子解析(Sundvold""., 1997),またゲノム解析データを利用したQTL解析(山 lllら,2003)が鴨んに試みられている。ニワトリでは,

肉川鷆のllu台に{、│4うl1貝腔内への多量の脂肪沈着が認めら れることから,これに関連する迫伝子についてのQTL 解析が進められている(Burt,2001)。しかし,ニワトリ がヒトと│,i1棟な,または特異的なタンパク質やペプチド を脂llノ脚│││胞で合l戊,分泌しているか否かについての報告 はみあたらない。

一方,ゲノム解析の結果がデータベース化され利用で きるようになってきている。しかしながら,辿伝子の機 能については,実│際に細ll包│ノ1で翻訳後修飾を受け,機能 洲節を受けて様々な働きをしているタンパク質について DNA解析からのみでは全てを明らかにすることは困難 緒

一一一目

脂肪組織の役割が余乗llなエネルギーの貯蔵であること は,従来から知られている。しかし,最近の研究では,

この組織はエネルギーの貯職のみならず,生即的活性物 質の合成・分泌に関与することが示されている。すなわ ち,肥満遺伝子の産物であるレフ°チンがI旨肪lll胞からlill 液'‑I」に分泌されていること(Freedmanejfz/.1998),IIH 肪細胞内にアディポネクチンと称される新規タンパク質 が存在し(Maeda"".,1998),このタンパク質は仇動 脈硬化作用(Yokota"""2000,OLIchi""l.,2001)」P インシュリン感受'│生兀進作llj(IIotta"""2001)を排

2004年11月8日受付,2004年12ノ16日受皿 連 絡 者 : 芝 田 猛

〒869‑1404熊本県阿蘇郡南阿蘇村河│場

Tel:0967‑67‑3931 Fax:0967‑67‑3960

e‑mail:[email protected]‑u.ac.]p

(2)

J 8 8 H 木 家 禽 学 会 誌 である。近年,ゲノム情報を*I川)しながら遺伝子の産物 であるタンパク質について,│IL(接その機能を解明する必 要のあることが認識されるようになった。この種の研究 は,プロテオームまたはプロテオミクス解析と呼ばれ,

細胞で発現しているタンパク質を網羅的に研究しようと するものである(Kahn,1995;PandeyandMann, 2000)。

本研究は,ニワトリの脂肪組織について,電気泳動法 によりタンパク質を分、し,それぞれのタンパク質につ いて部分アミノ酸配l1を│リIらかにし,ゲノムデータベー スを利用して未だ解Iリ'されていないニワトリの脂肪組織 を幟成する主要なタンパク質をIリlらかにすること,およ び新規なタンパク質を検││'し,プロテオーム解析を行う ための埜礎とすることを│││'19として行った。

材 料 お よ び 方 法

供試鶏としてブロイラー(Ross308系統)の雄8>Mを 用いた。これらのニワトリは,ドノjノ│{から20FI齢までは常 法に従って育雛器(全唆i判製作}リ↑)で飼育した。その後,

43日齢までは温度2()〜24℃,照lリ111W114時│川(午前5 時〜午後7時)に洲幣された部屋に移し,中雛用ケージ にて飼育した。飼料は,201̲1齢までは育雛用,以後は中 雛用(いずれも伊藤忠飼料)を川い,水とともに自由摂 取させた。43FI齢で放血屠殺しll團腔│ノ1脂肪組織を摘出し た。脂肪組織は分析に供試するまで‑20℃で凍結保存し た。

Lowry法により脂肪糺l微のタンパク質量を測定した ところ,組織19あたり約l.5mgと他の組織に比較する と10〜15%程度とかなり低いものであった。このため,

電気泳動に供する試料は,19の脂肪組織に3mjの試料 溶解液(8M尿素2%ノニデットP40,5%2−メルカフ.

トエタノール)でホモジナイズし,20,000×gで20分間 遠心分離を21'!│行い,|情を‑20℃で凍結保存したもの を用いた。

タンパク質の分離はSI)S‑PAGEによって行い,

Laemmli(1970)の〃法を一部変班して行った。分離川 ゲル(180×140×1mm)は10‑20%の漉度勾配を作成し たものをl:│1いた。各││,'rl体の111ill腋をIレーン当たりタン パク質品30"gにi淵終し添ノjlIした。電気泳動後のゲルは

0.25%クマシーブリリアントブルー(CBB)R250により 染色後,脱色液(5%メタノール,7%鮓雌)で脱色し,

真空パックで保存した。

SDS‑PAGEにより検IIIされたバンドが単一のタンパ ク質か否かを検討するために,二次元電気泳動を行っ た。まず,一次元│̲│の電気泳動は,固定化pH勾配ゲル (IPG)を用いて行った。IPGディスクゲルは,イモビラ

42巻J2号(2005)

イ ン 溶 液 ( ア マ シ ャ ム フ ァ ル マ シ ア バ イ オ テ ク ) を Hirano"".(2000)の報告に従い洲合し,8M1水系およ び2%2−メルカプトエタノールを含む38%のポリアク リルアミドゲルを作製した。このIPGディスクケルでタ ンパク質を分離し,これをSDS‑PAGEにより二次元展 開し,SDS‑PAGEの場合と│1il様にCBBR250染色後,

脱色した。

解析に先立ち,調整した脂肪組織試料とlill漿試料を同 一ゲル上で電気泳動を行い,血液タンパク質が脂肪組織 試 料 の 電 気 泳 動 像 に 影 響 を 与 え て い な い こ と を │ 唯 認 し た 。 ま た , 供 試 鶏 侮 に 腹 腔 内 脂 肪 タ ン パ ク 質 を 分 離 し た が,タンパク質バンドに個体変異が確認されなかった。

そこで各タンパク質バンドについての1111川および解析 は,2〜3羽の試料をプールして川いた。

次 に , タ ン パ ク 質 の ア ミ ノ 酸 配 l 1 解 析 は , ペ ブ チ ド マップを作製し任意の単一ピークを示したペプチドにつ いてアミノ酸配列を決定することで〃った。SDS−PAGE により分離した目的とするタンパク質祁分のゲルをLノjり 出して粉砕し,100%アセトニトリルで脱色および脱/k を行った。これに19のグアニシジン堀駿端,600メ〃の

トリス塩酸緩衝液(pH85)をノ川え,さらに,5〃/の4−

ビニルピリジンおよび10"/のトリ−,−ブチルフォス フィンを加え,室温で暗所にて還元ビリジルエチル化を 行った。その後,反応液を除去し,0.2MNH1OHで5回 ゲルを洗浄し,吸引して乾燥させた。切り出したバンド に含まれるタンパク質の酵素消化は,ゲルに含まれたま まの状態で行った。タンパク質のゲル内でのii'i化は,ケ ル片にトリスー塩酸緩衝液(pH9.0)を266"j"IIZ,これ にプロテアーゼI(0.5"gのリシルエンドペプチダーゼ)

を添加し,37℃で12時間の反応後,IIjl量のプロテアー ゼIを加え12時間行った。消化物は,15,0001‑pm,20分 間遠心分離し,得られた上清に0.114%トリフルオロ酢 酸(TFA)を加え,酵素消化液とした。

回収したペプチドをシリカ系逆ll1高速波体クロマトグ ラフィーカラム(ChromolithPerformanceRP‑18e,4.6 X100mm,MerckKgaADarmstadtGcrmany)により 分離した。ペプチドの溶''1には,0.1%TFA(群液A)と 溶 液 A に 濃 度 6 0 % で ア セ ト ニ │ 、 リ ル を 群 解 し た も の

(群液B)を用い,アセトニトリルの()〜60%のl111線膿度 勾配によりペプチドを溶出した。ペプチドの検''1は,イ

ンテリジェントインテク、レーダ807‑IT(II水分光)によ り220nmで行った。溶出された任意の単一ピークをエ ドマン法による自動アミノ酸シークエンサ(Model492 procisccLC,PEバイオシステムおよびPPSQ‑21,島津 製作所)によりN末端部分アミノ酸配リを決定した。得 られたアミノ酸配列をBLAST(http://www.ncbi.

(3)

品 川 ら : 鶏 脂 肪 組 織 タ ン パ ク 質 の 同 定 J 8 9 nlm.nih.gov/BLAST/;Kal・linandAltschul,1990)に(AP‑6),15‑kDa(AP‑7)および14‑kDa(AP‑8)と惟疋 よ り 相 同 性 を 検 索 し タ ン パ ク 質 の 同 定 を 行 っ た 。 さ れ た 。

二次元電気泳動により脂肪組織のタンパク質を腱附し

玄 士 E 日

小口

た像を図lbに示した。ニワトリ腹腔内の脂ll〃組織タン 1 . S D S ‑ P A G E お よ び 二 次 元 電 気 泳 動 像 パ ク 質 は , そ の 多 く の も の が 等 電 点 5 〜 7 に あ り , 量 的 に lXllaに示すように腹腔│ノ1脂肪糸ll織において,SDS‑多いタンパク質のほとんどがこの位置に検出された。し PAGEにより分離されCBBR250染色で肉眼的に検出かし,等電点8前後にもタンパク質が検出された。

されるタンパク質バンドは,およそ40種類であった。しまた,二次元電気泳動(図lb)からSDS‑PAGEで検 かし,そのほとんどはCBBR250染色の度合いから微量出されるバンドに複数のタンパク質が含まれるか否かが であると考えられた。本実験では,IXllaに示すとおり確認された。すなわちAP‑l〜3,5およびAP‑8のバンド CBBR250で濃く染色され.分析に|分なタンパク質量はほぼ単一なタンパク質で幟l戊されていると猪.えられ があると考えられる12ル鯛Iのバンドについてアミノ酸た。しかしながら,AP‑4のバンドは等泄点5.5付近に濃 配列解析を試みた。その結果,811m畑のタンパク質バンいスポットと7に近い1,1近に抑いスポットが恩められ ドのペプチドについて部分アミノ雌││肥l1を得ることがでた。AP‑6のバンドは,等電点55{、│近に含イ1 IItの多いタ きた。アミノ酸配列が〃られたタンパク質について解析ンバク質スポットが検出されるが,同様に弊',u,'、'、(71,1近

I'I

を進めるうえで,これらのタンパク'ハバンドに分子量のにも幾つかの薄いスポットが検''1された。AP‑7はllil一 大きい方から番号(AP‑l〜8)をつけた。これらのタンパの分子量の位置に等電点が類似した染色腱合いが鵬いも ク質バンドは,タンパクII'Iマーカーの分子壁と移動度かのと薄いものの2つのスポッl、が検│││された。AP‑7に ら分子量がおよそ66‑kDa(AP‑l),55‑kDa(AP‑2),50‑ついてはこの2つのスポットが共存する状態でアミノ雌 kDa(AP‑3),44‑kDa(AP‑4),40‑kDa(AP‑5),29‑kDa配列解析を行った。

(b)

p k 5

(a)

6 8

苧 … 蕊働 王 鐸 一 ご ニ ニ ー ー 曾 一 … 蕗 . 吾 エ 興 率 悪 ‑ … ‑ ‑

123456 PPPPPPAAAAAA

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21.5

蕊 嚴 :

14.4

Iも十

生 守 , …

図1.SDS‑PAGEおよび二次元ポリアクリルアミドゲル'電気泳動法(2‑DPAGE)により分離されたニワトリ I夏腔│ノ1脂llノjil1細のタンパク質像。

(a)SDS‑PAGEによるタンパク質像。ゲルの最も左のレーンは,分子量マーカーを示す。少│1」のついた タンパクI蘭は,′炎験に供せられたタンパク質を示す。AP‑l〜8は,木研究において│,il定のためのペプチ ド断片が好られたタンパク質を示している。(b)2‑DPAGEによるタンパク質像。矢│吾│」で示されたタン パクI間スポットは,SDS‑PAGEにより分離され,│司定に用いられたタンパク質(AP‑1〜8)の2−D PAGEゲル上での帷疋伽ハ;を示している。

Fig.1.SDS‑PAGEandtwo‑dimensionalpolyacrylamidegelelectrophoresis(2‑DPAGE)separationoI proteinsillchickenabdominaladiposetissue.

(a):showsseparationbymeanolSDS‑PAGE.TheleftlaneisproteinmolGcularmarker.

"marksshowproteillsthatwereusedfol‑thisexperiment.AP‑l〜8showproleinsthatwere obtainedpeptidesegmentsIol‑idenlificatiolloIprotein.(b):showsseparationbymeanof2‑D PAGE.Proteinspotswitharl‑owsshowGstimatedpositionsforAP‑I〜8on2‑DPAGEgel.

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J 9 0 日 本 家 禽 学 会 誌 4 2 巻 J 2 号 ( 2 0 0 5 )

表Lニワトリ腹腔内脂肪糸ll幟において│[il定が試みられたタンパク質の部分アミノ峻配llと推定されたニワト リのタンパク質

Table1.Partialaminoacidsequenceandestimatedproteinidentifiedinchickenabdominaladipose

l−1QQ11P

し L L 』 口 L ざ & ー

タ ン パ ク 質 の 記 号 推 定 Symbolfor分子量 proteinbandMW(kDa)

ペプチドのアミノ崎Wll AminoacidsequencG

ofapepti(ie 推定されたニワ│、リのタンパク質

]編,聯講=

Estimatedchickenprotein AP−l G K P Q M T E E Q I ・ SerumAlbumin(precursGr)

GVII)LAQK・・・

LQEAEE・・・

LQEAEE・・・

Y P X E R … C D V D L R K ・ ・ ・ V F E R Y K … DIISDTSGDF・・・

G E L M S A K ・ ・ ・ G N I E M F L … R V Y E R A …

L G E E F D E T T A V L S A A D L G G G D L D L E A H K … G I F T K …

66 69918P19121

234 PPP AAA 504554

Vimentln Vimentin unkl−lown

lll1003355 4455669900PP

AP‑5 40 ヘnnexinll 385()9Pl7785

AP‑6 29 unknown

AP‑7 AdipocyteFattyacidbindingproteinl4894Q90X55 (AFABP)

unknown 15

AP‑8 14

*ExPASyProteomicsServerにおけるアクセス番号。

AccessionnumberintheExPASvProteomicsServel

2.タンパク質のペプチドマッフ

SDS‑PAGEゲルから切り出した各タンパク質バンド について,HPLCにより僻素消化したペプチドを検出し た。解析したタンパク質のペプチドは,溶│」120分後から ピークが認められ80分間でほとんと、のペプチドが溶出 された。各ペプチドを然出111日にマイクロチューブにl':'│収 した。この'‑│'から,ゲルブランクを参考にペプチドと、卜ll 定 さ れ た 立 ち 上 が り の 鋭 い 単 一 と 考 え ら れ る 2 〜 3 の ピークを選びアミノ酸配列解析を行った。

3.アミノ酸配列解析とタンパク質の同定

各タンパク質のペプチドについて,N‑末端部分アミ ノ酸配列を解析した結果を表Iに示した。ペプチドピー ク の 巾 に は 複 数 の ペ プ チ ド を 含 む も の が あ り 解 析 の で き ないものもあったが,AP‑1,4,5,6および7では,2つ の部分アミノ酸配列が得られた。│,:il様にAP‑2と3では 1つの,AP‑8では3つのアミノ酸│咄llが得られた。

こ れ ら の ア ミ ノ 酸 配 列 に つ い て B L A S T に よ り ア ミ ノ酸類似配列検索を行った。その結果,AP‑lにおける2 つ の ペ プ チ ド の ア ミ ノ 雌 配 列 は , と も に 肝 臓 で 認 め ら れ たニワトリ1111情アルブミン前駆体(AccessionNo.P 19121)と相同性が認められた。また,解析されたllll,iil のアミノ酸配列中に1個所および8111lilのアミノ酸I肥ll'│1

に211,1il所のアミノ雌置換が認められた。AP‑2および3 の部分アミノ雌配列は,ニワトリの筋肉に発現するビメ

ンチン(AccessionNo.PO9654)のcDNA配│I(ZChnCr andPaterson,1983)から推定されるアミノ雌配列と部 分アミノ樅ll肥llについて全ての配l1が一致し,その分子 量も約53‑kDaとほぼ一致した。AP‑5における2つのペ プチドのアミノ酸配llは,ともにニワトリIイ繊維芽細胞 から得られたcDNAの塩基配列より推定されたアネキ シンⅡ(AccessionNo.Pl7785)のアミノ酸配l1(Gerke andKoch,1990)と一致し,その分子量も約38.5‑kDaで あることからほぼ一致していた。AP‑7における2つの ペプチドのアミノ雌乢llは,いずれもニワ│、'ノの││旨肪組 織についてi'、}られたmRNAの塩基lIullから推定された 旧ljj糺l"lll米脂肪雌結合タンパク質(AFABP)(Acccs‑

sionNo.Q90X55)のアミノ雌l'Wllと一致し,その分子 l,tも約l4‑kDaであることから良く一致していた。

一〃,AP‑4については解析した2つのペプチドのう ち,一〃のペプチド(I肥ll;CDVDLRK)とニワトリの βアクチンが一致したが,もう一方のペプチドについて は一致するものが見あたらなかった。AP‑6およびAP−8 については,BLASTに登録された高等動物のタンパク 質と'1Ⅱ『1性を示すタンパク質は認められなかった。

(5)

品 l l l ら : 鶏 脂 肪 組 織 タ ン パ ク 質 の 同 定 J 9 1 考 塞

ニワトリの腹腔内脂llノj組織についてSDS‑PAGEおよ び二次元電気泳動法によりタンパク質の分離を試みた。

しかし,脂肪組織はその大部分が脂肪滴で占められるた めタンパク質含量は,他の組織や臓器に比較すると10%

程度と低く,電気泳動的にCBBR250染色により検│Iさ れたタンパク質バンドも約40橦類と少なかった。染色 度 合 い か ら 見 て タ ン パ ク 質 量 が 十 分 あ る と 考 え ら れ る 12種類のバンドについてアミノ酸配│」を解析したが,そ れ ら の う ち で 配 l l を 明 ら か に す る こ と が で き た も の は 8 種類であった。ペプチドのアミノ酸配列が明かとなった 8種類のバンドでBLASTにより同定されたものは5種 類のバンドについてであり,そのうち2種類は同一のタ

ンパク質であった。

細胞は基本的に細胞I算,細││包小器官および細胞質から 描成される。そこで本実験で同定されたタンパク質を見 てみると細胞膜に存在すると考えられるものとしてアネ キシンⅡが検出された。アネキシンはレクチン活性を示 すカルシウムおよびリン││旨質に結合するタンパク質ファ ミリーで菌類を除くすべての真核細胞から20種類以上 のものが検出されている。これらは種類の違いにより 様々な物質との接昔機能あるいは接曹阻I上機能が異なる ことから注目されているタンパク質の1つである。特に アネキシンⅡは細胞外マトリクス糖蛋白質であるテイネ シンや組織プラスミノーケンアクティベーターと結合す ることが明らかにされている(Mollenhauel・1997)。ニ ワトリではGerkeandKoch(1990)が胚繊維芽細胞に ついてcDNAクローニングによりアネキシンⅡを同定 している。本実験において,脂肪組織でもアネキシンⅡ が合成されていることが明かとなった。

さらに細胞小器官を椛成するタンパク質として,ビメ ンチンが同定された。ビメンチンは糸III胞骨烙タンパク質 であり,核や細胞小器官の位置決定などに関与している タンパク質であると考えられている。しかし,一方では ll旨肪細胞の分化に関係しているという報告もある (Takenollchiaα/.,2004)。また,ガン細胞のみを攻撃 するヒトモノクローナル抗体では,ビメンチンを抗│咄〔と

して攻撃するとの報告もある(Hagiwara"(Z/.,2001)。

ZehnerandPaterson(1983)は,ニワトリ胚の筋肉のビ メンチンについてその性質などを明らかにしているが,

その分子量は約53‑kDaとされており,木実lI験において もほぼ'百l様の分子量を持つ2種類のビメンチンが脂肪組 織に検│││された。

細胞質に存在すると考えられるタンパク質としては,

IH肪組織lll来脂肪酸結合タンパク質(AFABP)が│,il定

された。FABPは脂ll力酸結合タンパク質ファミリーとし て各組織に存在する。ニワトリでは今までに肝臓(Ac‑

cessionNo.P80226),心臓(AccGssionNo.Q6DRR5), 胚の網膜(AccessionNo.Q05423)などのFABPについ ての報告がある。脂肪組織については,Wang"".

(2004)がニワトリの脂肪組織について得られたmRNA より塩基配列を決定し,脂肪組織に分布するAFABPの アミノ雌配列を推定している。FABPは主に脂肪酸の結 合 , 細 胞 内 へ の 疎 水 性 物 質 の 輸 送 の 仲 介 に 関 与 し て い る 。 こ の タ ン パ ク 質 を ノ ッ ク ア ウ ト し た マ ウ ス で は , 食 事性肥満からのインシュリン抵抗性や糖尿病が生じない ことが報告されている(Shaughnessy"""2000)。し かがって,FABPは佃i断の過程で生ずる幾つかの病態の 発症と関連があるものと考えられる。本実験においても タンパク質レベルでAFABPを同定することができた。

しかし,二次元電気泳動において,│!jl‑分子量の位置に やや等垣点の異なる2つのスポットとして検出されてい ることから,AFABPがそのいずれか,もしくはリン酸 化などを受けて等電点が変化しているものかを検討する 必要がある。

また,血清アルブミンが検出されたが,同様にマウス 脂肪細Ill包の二次元電気泳動のデータベースにも血清アル ブミンが検出されている(http://Kr.expasyorg/cgi‑

bin/ch2d‑compute‑map?WAT‑MOUSE,PO7724)。血 清アルブミンはl分子に7〜8分子の遊離脂肪酸を結合 し,これを旧│"組織に運搬する働きがある。したがって,

遊離脂肪酸輸送のため脂肪ホlll胞膜に結合していたアルブ ミンが検出されたものと考えられた。

一方,その他4種頬のタンパク質は,決定された部分 アミノ酸配リからBLASTによりタンパク質を同定す ることができなかった。これらのタンパク質では,例え (j:、AP‑4においては.2つのペプチドのアミノ酸配列が 解読されたが,その一方はアクチンと相同性を示し,一 方は全く一致するタンパク質が無いというものであっ た。アクチンはビメンチンとともに脂肪細胞分化に関与 しているとのfIM告(Takenouchi"".,2004)もある。し たがって,AP‑4のバンドは二次元電気泳動の結果から 複数のタンパク質を含んでいる可能性があるため,その 一部がアクチンである可能性は否定できない。また,

AP‑6およびAP‑8については高等動物のタンパク質と 一致するものは認められず,新規のタンパク質である可 能性が,I'fjいと考えられた。

本実験では,ニワトリ腹腔内脂肪組織について4種類 のタンパク質を│司定するとともに,新規のタンパク質が 存在する可能性を示唆した。さらに今回の実験では,存 在が認められるにもかかわらず微型:であるために│L1定が

(6)

J 9 2 日 本 家 禽 学 会 誌 できていないタンパク質があり,これらのタンパク質の 中にも新規のタンパク質が存在する可能性が砿されてい

謝 辞

アミノ酸配列解析の一部を担当していただいた東海大 学 伊 勢 原 研 究 推 進 部 教 育 ・ 研 究 支 援 セ ン タ ー 分 子 科 学 部 門の塚本秀雄氏に感謝の意を表します。また本研究の一 部は,伊藤記念財│、jlによる平成13年度食肉に│腱│する助 成研究調査事業および2002年度九州東海大学特色ある 教育{iⅡ究プロジェクト研究の助成を受けて行われた。

引 用 文 献

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│IIIII川ら:鶏IIHIIノj組織タンパク質の│Ijl疋

IdentificationofProteinsinAbdominalAdiposeTYssuein

Chicken

S h i n g o S h i n a g a w a ' ) , T a k a h i r o N i k k i ' ) , K o t a r o K a w a b e 2 ) , H i d e j i Y a m a s h i t a ' ) , TomohiroAraki'),KihachiroNobukuni')andTakeshiShibata')

!ノSchoolofAgriculture,KyushuTokaiUniversity,Aso‑gun869‑1404,Japan

2)ReseaI・chCenterfbrLifeScienceResource,KagoshimaUniversity,Kagoshima‑shi890‑0065,Japan

Inordertoclarifytheexistenceandthekindofproteinsinadiposetissueofchickens,we attemptedtoidentifyproteinsbymeansofSDS‑PAGEseparationwithcoomassiebrilliantblue (CBB)R250staining,andaminoacidsequencinginadiposetissueofbroilerchicken(Ross308 strain).Abdominaladiposetissueswereobtainedfromeightbirdsat43daysofage.These tissueswerehomogenizedwithlysisbuHercontainingdetergentandurea,andcentrifuged.

ProteinsinsupernatantswereseparatedbySDS‑PAGE.Consequently,aboutfortyproteinbands wererecognizedinthelysateofabdominalfatpad.Twelvekindsofmainproteinbandswere digestedwithlysylendpeptidaseingel,andseparatedonareversed‑phaseHPLC.Peptide segmentswereobtainedfromeightproteinsinthose.Twoorthreepeptidesegmentsforone proteinwereselectedandusedfbrthedeterminationofaminoacidsequence.Fourkindsof proteins;serumalbumin,twokindsofvimentine,annexinellandadipocytefattyacidbanding protein(AFABP);wereidentifiedbythehomologysearchwithBLASTandthemolecularmass.

Furthermore,otherthreeproteinswereremainedaSunknownwhichhadnotbeenidentinedin thisresearchwork.Therefore,itissuggestedfromthel‑esultsthatsomenovelproteinsmight existinchickenadiposetissue.

(WzeJ(Jpα"eseJo""zQ/Q/比""ryScie"",イ2.・J87‑J93,2003) Keywords:chicken、abdominaladiposetissue,protein,SDS‑PAGE,BLAST,chicken

J93

参照

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