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ギラン・バレー症候群における重症度と瞬目反射との関連性 

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Academic year: 2021

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ギラン・バレー症候群における重症度と瞬目反射との関連性 

 

班      員  野村  恭一 

共同研究者  石塚 慶太,成川 真也,王子 聡,山鹿 哲郎,橋本 ばく,宮内 敦生,田中 覚, 

古谷 真由美,鈴木 理人,齋藤 あかね,原 渉,田島 孝士,久保田 昭洋,伊﨑 祥子, 

吉田 典史,傳法 倫久,深浦 彦彰,海田 賢一* 

 

研究要旨 

ギラン・バレー症候群(GBS)は四肢脱力を来す炎症性ニューロパチーであり,重症例において脳神 経麻痺の頻度が高いことが知られる.今回我々は,GBS 経過中の重症度と瞬目反射を用いた顔面神 経麻痺の検査所見との関連性について検討した.その結果,R2 異常は極期における重症度との関連 性はなかったが,退院時 Hughes functional grade(HFG)3 以上の重症例と有意に関連した (HFG

≧3:R2 異常あり 7/8 vs 異常なし 1/8,p = 0.04).GBS において臨床的な顔面神経障害を認める頻 度は 43%であり,瞬目反射 R1 または R2 の異常を認める頻度は 76%であった.発症 14 日以内の瞬目 反射において R2 の異常を認める症例では,退院時の重症度が高いことが示された.発症早期に瞬目 反射は,退院時の運動機能予後を予測しうる. 

  目  的 

GBS は四肢脱力を来す炎症性ニューロパチー である[1].GBS のうち,約半数の症例に脳神経 麻痺が認められ,その頻度は重症例において高 いことが知られる[2].GBS における脳神経麻痺 は顔面神経麻痺,球麻痺,眼球運動障害の順に 頻度が高いことが報告されている.一方,瞬目 反射は顔面神経の神経伝達の評価に有用な検査 であり,GBS 症例において異常がみられること が報告されている.しかしこれまでに瞬目反射 を用いた顔面神経麻痺の検査所見と GBS 重症度 との関連性についての検討はなされていない.

GBS 経過中の重症度と瞬目反射を用いた顔面神 経麻痺の検査所見との関連性を明らかとするこ とを目的とした. 

 

研究方法 

当科に入院した GBS 21 例(GBS 群)を対象と          埼玉医科大学総合医療センター  神経内科  防衛医科大学校  神経内科* 

し,第1反応(R1)と第2反応(R2)を含む瞬 目反射の潜時を健常者 20 人(HC 群)と後方視 的に比較検討した.また GBS 群における R1,R2 異常と経過中の極期における重症度,および退 院時の重症度との関連性について統計学的解析 を行った.瞬目反射は GBS 発症から 14 日以内の 発症早期に施行し,瞬目反射における潜時の検 討では神経診察において臨床的に認められる顔 面神経麻痺が片側の場合は病側の潜時を、それ 以外は全て右側での潜時の測定結果を用いた.

瞬目反射の異常についての検討では,潜時の延 長がみられる場合,または導出不能の場合を瞬 目反射の異常あり判定し,経過中の GBS 重症度 は Hughes Functional Grade(HFG)により HFG3 以上の場合を重症と定義した.統計学的解析に おいて,HC 群との R1,R2 潜時の比較検討は student‑t 検定,瞬目反射と重症度との関連性 の検討はカイ二乗検定,または Fisher 正確検定 を用いた.倫理面への配慮として個人情報が特 定できないようにした. 

 

(2)

- 74 - 結  果 

(1) GBS における瞬目反射:GBS 群において 神 経 診 察 に お け る 臨 床 的 な 顔 面 神 経 障 害 は 9/21 例(43%),瞬目反射 R1 または R2 の異常は 16/21 例(76%)で認められた.GBS 群における 瞬目反射の結果は R1 潜時 11.6±2.0ms(n = 18), R1 導出不能 3/21 例(14%),R2 潜時 32.9±5.3ms

(n = 33)であり,R2 導出不能 9/42 例(21%,

左右誘発を含めて)であった.GBS 群と HC 群で の比較では,R1 および R2 潜時は GBS 群におい て有意に延長していた(R1 11.6 vs 10.4,p =  0.020, R2 32.9 vs 29.5,  p = 0.004). 

(2) GBS 重症度と瞬目反射との関連性:GBS に おいて R1 異常と極期および退院時における GBS 重症度との関連性はいずれも認められなかった.

R2 異常は極期における重症度との関連性はな いが,退院時 HFG3 以上の重症例と有意に関連性 が示された (HFG≧3:R2 異常あり 7/8 vs 異常 なし 1/8,p = 0.04). 

  考  察 

本研究では,GBS 群において神経診察におけ る臨床的な顔面神経障害は 43%,瞬目反射 R1 ま たは R2 の異常は 76%で認められた.この結果は 神経診察において顔面神経麻痺を認めない症例 においても潜在的な顔面神経麻痺が存在するこ とを示している.これらの顕在性・潜在性の顔 面神経麻痺を含めた GBS 症例における瞬目反射 R1 潜時,および R2 潜時は健常者と比較してい ずれも有意に延長していることが明らかとなっ た.発症後早期における R1 および R2 異常とは 極期・退院時の重症度との関連性について,R1 異常と極期・退院時,および R2 異常と極期の重 症度との関連性は認められなかった.一方で R2 異常が退院時の重症度と有意に関連することが 示された.これらの結果は,発症早期に施行さ れた瞬目反射で R2 異常がある場合,治療効果が 乏しく,退院時の重症度が高度に残存しやすい

ことを示しており,発症早期に瞬目反射を測定 することにより,退院時の予後を予測し得る可 能性が示唆された.R2 異常と退院時重症度との 関連性について,瞬目反射 R1 の求心路は三叉神 経であり,橋の主感覚核を経由し,シナプスを 変えて顔面神経核に入力し,顔面神経を遠心路 とする経路である.それに対して R2 の求心路は 三叉神経であり,遠心路は両側の顔面神経核と する多シナプス反射で,両側の間には複数の介 在ニューロンが存在することが知られる.その ため R2 の経路のうち、R1 の経路と共通しない 介在ニューロンに障害が及ぶ場合,治療反応性 がより乏しく,結果として退院時の重症度がよ り高度に残存することを反映している可能性が 推察された.  

  結  語 

GBS において臨床的な顔面神経障害を認める 頻度は 43%であり,瞬目反射 R1 または R2 の異 常を認める頻度は 76%であった.発症 14 日以内 の瞬目反射において R2 の異常を認める症例で は,退院時の重症度が高い.そのため発症早期 に瞬目反射は,退院時の運動機能予後を予測し うる. 

  文  献 

1.  Vucic  S,  et  al.  Clin  Neurophysiol  2004:115:2329‑35. 

2. 荻野美恵子,他.厚生労働省特定疾患対策研 究事業 免疫性疾患に関する調査研究班 平成 12 年度研究報告書,2001:99‑101. 

 

健康危険情報 なし

知的財産権の出願・登録 特許取得なし

実用新案登録なし

参照

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