19世 紀の微分幾何*
― 曲面の変換理論 一
井 ノロ順 一
筑波大学数理物質系
は じめに
本稿では 19世紀の微分幾何学者が精力的に研究 していた「曲面の変換理 論」について (そのほんの一部 を)紹介 し,数学史の新たな研究対象を提供 したい 本稿の主題は「非ユークリッ ド幾何の発見」 と「非線型波動」 と い う全 く異なるテーマが20世紀末に「数学的 しゃぼん玉」をきっかけに 結びついたこと その結びつきが契機 とな り忘れ られていた「19世紀の微 分幾何」(曲面の変換理論)が再び輝 きを取 り戻 したことを紹介することに
ある
1
非ユークリッド幾何からエ ウクレイデス (ユー クリッ ド,Euclides,325BC?‑265BC)の 『原論』
か ら5つの要請 (公準)を引用 する (訳文 は 降Iよ り引用)
要請 (公準)
(1)次のことが要請されているとせよ すべての点からすべての点へと直線を引 くこと
(2)そ して,有限な直線を連続 して1直線をなして延長すること
*津田塾大学 数学・計算臓
―
第27回数学史シンポジウム,20161008
1
図 1:ベル トラ ミの擬球 (ガウスの反球)
(3)そ して,あ らゆる中心 と距離をもって円を描 くこと (4)そ して,すべての直角は互いに等 しいこと
(5)そ して,も し2直線に落ちる直線が,〔 和が〕2直角 より小 さい同じ側の内 角を作るならば,2直線が限 りなく延長されるとき,〔内角の和が〕2直角よ
り小さい側で,それらが出会うこと
よく知 られているように,多 くの人が「第1公準か ら第4公準」を使 っ て「第5公準」を証明 しようとした
ヤーノシュ ボヤイ (JttOs Bolpi,1802 186fl),ガ ウス (C F GauS, 17771855),ロバチエフスキー (N I Lob∝hevski,179卜1856)により第 1から第 4ま での要請をみたすが第5の要請 をみたさない幾何の存在が示 された 第1から第4の要請をみたす幾何は「絶対幾何」 とよばれる ユー
クリッ ド幾何 と異なる絶対幾何はただひ とつであ り,その幾何は現代では 刃u口錮帥可とょばォιる
のちにヒルベル トにより双曲幾何の忠実な模型 (3次元空間内の曲面 と しての実現)が存在 しない ことが示 された (1901) もうすこし正確 に 述べると双曲平面を3次元空間内に埋め込 もうとすると必ず特異点を生 じ
るということである
ガウスは3次元 (ユークリッド)空間R3内の曲面で双曲平面を実現する ことを試みてお りこんにち,ベル トラミの擬球 (Beltramrs pseudosphere) とよばれる山面を発見 し反球 と名付けている だがガウスは双曲幾何の発 見を公表 しなかった
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ガウス曲率が負で一定な曲面の研究19世紀か ら20世紀初頭の微分幾何学では負定曲率曲面 (双曲平面の特異 点付 き模型)の具体的構成力研 究 されていた ガウスの曲面論 によれば「特 異点付 き模型」はガウス曲率 κ が負で一定な曲面に他 ならない (κ =̲1
として一般性 を失わないので以下 κ =‑1と す る) 球面幾何の模型で ある「2次元球面」 は半円を回転 させて得 られ ることに着 目す る そこで κ=‑1の回転面 を考察すれば,反球が発見 され るのである 反球 は大線
(tract五x)と よばれ る曲線 を回転 させて得 られ る
ベル トラミ (Eugenio Beltn面、1835‑1900)は擬球上で双曲幾何 におけ る三角法が再現で きることを示 した 卜]こ の功績 に因み反球 はベル トラ
ミの擬球とよばれるようになつた
(b〕
も参照) ベルトラミ (Eugenlo Beltra.lllu,1835‑1900)はパヴィア(Pavia)生 まれでブリオッシ(■ancescoBHOschi,18241897)の 下で学んだ
ガウスの「曲面論」に続 く研究のひとつが ミンディング (Ferdinand Got―
tlieb Minding,18061885)による曲面の変形問題である (112,pp 15 2q を参照)注 目すべ き研究 はい くつかあ るが ここでは2つの研究結果に注 意 を払いたい まず1839年の論文でガ ウス曲率が負で一定 な回転面 を分 類 している それ らは3種類 あ り,1種類 は もちろんベル トラミの擬球で あ る さらに1940年の Beitrage zur TheOrie der kttzesten Linien auf krummen Flおhen"と 題 した論文では κ が正で一定の曲面上では球面三角 法が成立す ることを示 している しか し κ=‑1の曲面 と双曲幾何の関係 はベル トラミの指摘 まで待たねばな らなか った
イタ リア滞在時,リ ーマ ンはピサ大学教授就任 を打診 され るが健康上の 理由で受諾 しなか った この教授職 に1年後 に就任 したのがベル トラミで ある またベル トラミは論文 [Jを 高次元化 した論文でも知 られている イ タリア滞在時の リーマンとベル トラミが親交をもち数学的に交流 していた という公式記録はない ラウグヴィッッは 最近ボッタッィーニは両者の間 にほ とん ど交流はなかった という状況証拠を提出 した"と書いている
[13,
p521註 2.1(ディニの擬球)こんにち擬球 とよばれ る曲面にはもう一種ある 犬 線の螺旋面であ リディニの擬球 とよばれている ディニ (Ulisse Dini,1845‑
1918)は ピサ生 まれである ビアンキ (Luigi Bianchi,18651929)は ピサ でディニ とベ ッティ (EnHco Betti)の 指導を受けている
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曲面の変換理論 (線叢)19世紀の微分幾何においては「κ=‑1の曲面か ら新たな κ=‑1の曲
面を作 り出す」 という研究が行われていた (曲面の変換理論) 本稿では 線叢を用いた変換 について述べる
定義 3.13次元空間内の直線の2径数族を線叢 (line congruence)と よぶ 3次元空間内の曲面 ν の位置ベク トル場をP(υ
l,υ
2)で表す 71fに沿 って 定義された単位ベ ク トル場 ξ(ol,。2)をひとつ選び線叢をP(し
1,。
2)+ι ξ(υl,υ
2), 一∞ <ι <+∞で定め曲面Mを通 る線叢 とよぶ とくに各点(21,υ2)において ξ(υl,22)
がP(υ
l,υ
2)における接ベク トルであるときこの線叢を接線叢 (tangential line congruence)と よぶ 接線叢を用いた 曲面の変腱'を導入する3次元空間内の2つの曲面M,ν を与える
ν とMの双方を通 る線叢が存在 し,次の条件 をみたす と仮定する それぞれの位置ベクトル場P(21,。2)=赫 と
,(し1,22)=市
に対 し直線PPが両方の径数付曲面に接する この とき線叢により径数付曲面間の対応
̀:P→ Pが定 まる この対応 ι を接線叢対応 とよぶ 接線叢対応がさらに次の2条件をみたす ときベ ック ルンド変換
(Bそ
ddund transformadon)と よぶ・ (定距離条件):対応点間の距離は定値r>o,つ まり
‖ご│=r>。
o(定角条件):対応点における単位法ベクトルπυl,22),と れ(υl,02) のなす角は常に一定値 θ,すなわち
π(し
1,し
2)元(υ
l,υ
2)=cos θベックルンド変換 ιで対応す る二つの径数付曲面を線叢の焦曲面 (focal sur̲
faces)と よぶ ベ ックル ン ド変換の名称はベ ックル ン ド(A V Backlund) による次の定理に由来す る (詳細 は ぃ,lq参照)
定理 3.1(ベックルン ド,1875)2曲面M,M間 にベ ックルン ド変換が存 在すれば,両者のガウス曲率K,κ は負の一定値
κ =″ =̲(1ド
)2
直線 にベ ックルン ド変換 を施 す とベル トラミの擬球が得 られ る 19世紀の 微分幾何学ではベ ックルン ド変換 を始 め とす る種々の 「曲面の変換」が精 力的に研究 されていたが,そ の後,微分幾何学の大域化 に ともない関心が薄 れ,いわば忘れ去 られた状態にあった 20世紀後半に再び微分幾何学の研 究対象 となるのだが,そ の きっかけは双曲幾何ではな く「数学的 しゃぼん 玉」であった 次項 と次 々項でその 「きっかけ」 について述べ る
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しやばん玉はなぜ丸い?しゃぼん玉の数学的モデルについて考察す る 薄膜の内部 と外部の圧力 差 をPと する 薄膜 を曲面 と考 えた とき,そ の平均曲率 ∬ と圧力差Pの間 にはP=π 〃 という関係が成立する (Tは表面張力で定 まる定数)し ゃ ぼん玉ではPが零でない一定の値 を とることか らしゃぼん玉の数学的モデ ル として 「平均曲率が零でない一定値の閉 じた曲面」が提案 され る
このモデル化 は変分法か らも導かれ る しゃぼん玉は中の空気が閉 じ込 め られていることか ら体積 を保 ったまま表面積 を最小にす る形 として実現 され る 「体積を保つ変形下での表面積の変分問題」か ら平均曲率が一定 である曲面の微分方程式が導かれ る
「平均曲率が零でない一定値をもつ曲面」の ことをCMC曲面 (constallt
mean curvature surface)と 言い表す CMC山面は自分 と切 りあ う (自己 交叉 をもつ)こ とを許容 してお くことに注意 されたい 現実の しやぼん玉
は球面であることか ら,次 の ような微分幾何学の問題が提起 された
ホ ップ予想
平均曲率一定の閉山面は球面に限 るか ?
この予想 は しば しば次の ような表現で伝 えられた 数学的 しゃぼん玉は現実の しやぼん玉に限 るか?
ホ ップ (Hdnz HOpOは 1951年の論文で穴 の開いていない平均山率一 定閉曲面 (種数oの平均曲率一定閉曲面)は球面に限 ることを証明 した ま たアレクサ ン ドロフ (A D Alexandr")は自己交叉をもたない平均曲率 一定閉曲面 は球面 に限 ることを証明 した 物理学的観点 か らは,現実 の しゃ ぼん玉はなん らかの意味で安定であるに違いない と考 えられ る ノシレボサ
(J L M Barbosa)と ド・カルモ (M P dO Carm。)は 上述の変分問題の 解 として安定であ るCMC曲面 は球面 に限 ることを証明 した この安定性
定理は しば しば「 しゃぼん玉が丸い ことの数学的説明」 と述べ られている
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丸 くない数学的 しゃぼん玉ホ ップ予想が提起 された時点で球面ではない (自己交叉をもつ)平均曲 率一定閉曲面の具体例 は得 られていなか った 閉 じているとい う条件 を緩 和 して もCMC曲面の例 として知 られていた ものは,円柱面,CMC回転面
(ドロネー曲面,Delauntt surface)し かなかった その後 ,ド・カルモ とダ イチ ヤー (M DaJczer)は CMC螺旋面 を求めている これ らの例 の中で 閉 じた ものは球面 しかなか った ただ しホ ップ自身は「ホ ップ予想」 を予 想 として提出 していなかった ホ ップはむ しろ球面でない数学的 しゃぼ ん玉を構成 す ることに関心があった とも言われ る
ホ ップ予想 を肯定的 に証明 しよ うと微分幾何学者が努力 していたなか,
1984年,ウ ェンテ (H Wente)│まホ ップ予想の反例 (CMCト ーラス)を
発表 した (論文の刊行は1986年)
CMCト ー ラスを構成す るためには次の手順が とられた
図2:ウ ェンテ・ トー ラス
(1)平面 郎 全体で定義 されたsinh Laplace方程式 υττ tt υν。+4ぶnhし =0
の解で2重周期性 をもつ ものの存在 を証明す る (2)(1)の条件 をみたす υを用いて θτ
(d・
2+dy2)を第一基本形式に もつCMC曲面 を求め,そ の中で トーラスを定めるものが存在す ることを 証明す る
この トーラスはウェンテ・ トー ラス (Wente tOrus)と よばれ るようになっ た 不思議な トー ラスの存在が証 明 された ものの,いったい どの ような曲 面なのかはただちにわか るものではなかつた アブレッシュ (U Abresch)
はウェンテの求めた ●nh Laplace方程式の解の数値解析を行い,ウ ェンテ・
トー ラスの図を描 いてみた すると小 さい主曲率 に対応す る曲率線がすべ て平面曲線のように見えた そこでアプレッシュは「小 さい主曲率に対応す る曲率線がすべて平面曲線である」 とい う付帯条件 を課 して
sinh―
Laplace 方程式の解 を求める研究 を行 った.特筆すべ きことにこの付帯条件 を課すと
sinh―
Laplace方程式 は変数分離 され楕円函数 を用いて解 を具体的に表示することがで きたのである (ウ ェンテ・ トー ラスはアブレッシュの課 した 条件 をみたす)ア プレッシ ュはウェンテ・ トーラスを合 むCMCト ー ラ スの クラスを求めることに成功 した ヴァルター (R ttЫter)はアブレッ シュの課 した条件 をみたすCMCト ー ラスの楕円函数 を用 いた表示式を与 えた なお,大きい主曲率に対応す る曲率線がすべて平面曲線であるCMC
トー ラスは存在 しない さらにアプレッシュは自身が構成 したcMCト ー
ラスがある種の有限次元ハ ミル トン系か らすべて得 られ ることを証明 した ピンカール (U Pirlka11)と スター リング (I Sterlirlg)は アブレッシュ
の研究を基にCMCト ーラスをすべて分類することに成功 した ピンカー ル とスター リングの とった方法は
(1)CMCト ーラスを定めるsinh Laplace方程式の解が有限型 (■nite type)
という条件 をみたすことを証明 し,
(2)有限型の解がある種のハ ミル トン系か らすべて得 られ ることを証明 する
というものであった (よ り詳しくは拙著
『 Iを参照されたい)
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止まっていた歴史が動いたピンカール とスター リングのい う「有限型の解」 は現代の無限可積分系 理論において「有限帯ポテンシャル解」 とよばれているものに他 ならなかっ た さらに19世紀の微分幾何 と密接 に関連することが発見 された すでに 述べたように19世紀の微分幾何 においてK=‑1の 曲面 を具体的に構成 する研究が行われていたがその研究方法 は κ=‑1の曲面を定める偏微分
方程式
―φ党+φ
tt tt Sin
φ=0の解を構成す ることにあった この方程式は現代 になって物理学で独立に 発見 されdne―Gordon方程式 とよばれている sinh Laplace方程式 と方程 式の型は異なる力瀬 似性 ももっている sin←Gordon方程式の有限型解 は現 代では伊達悦郎 とコゼル (V A Kozel),コ トリアロフ (V P Kotlyar")
によって求め られていた (1181)
19世紀の微分幾何学者 はどの ようなことを発見 していたのだろうか 現 代 と対比 させて紹介す る まず ソリ トン解 とよばれ る (物理学的にもっ と
も基本的な)解はベル トラミの擬球 を定める解である また ミンデ ィング が見つけた回転面はsin●Gordon方程式の楕円函数解 を与える
さらに注 目すべ きことにsin←GordOn方程式の有限型解 も19世紀 の微 分幾何学者によって調べ られていた た とえば κ=̲1の曲面 に対 しアプ
レッシュが考察 したもの と同 じ条件 「曲率線の一方がつねに平面曲線」 を 課 した場合をエネパー (A Enneper)力研 究 していた ことが再発見された
よリー般の有限型解 はH DObinerに よって研究されていた これ らの事実
はアブレッシュの論文以降に再発見された
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現代化された古典的曲面論 (可積分幾何) ベ ックル ン ド変換 にまつわる筆者の経験 について紹介 したい平均曲率一定曲面 に対 して もベ ックル ン ド変換 の ような 「曲面の変換」
を考察す るのは当然の流れであろう ス ター リングとウェンテはビアンキ (Bianぬi)とベ ックル ン ドによって研究 されていた「山面の変換」をヒン トにCMC曲面に対す る変換 (ビアンキ̲ベックル ン ド変換)を求め円柱面 か ら多重バ ブル トンとよばれ る曲面を構成 した (1993)
イェロミン (U Heltrich― Jeromin)と ペディット(F Pcdit)は 四元数解 析 を用いて,共形幾何学 に由来す るCMC曲面の変換 を考察 した (1997) 彼 らの考察 した変換 はダルブー変換 (Darboux transformatiOn)と よばれ
る この名称は大著『曲面論』で知 られ るダルブー (Jean Gttton DttbOux, 1842‑1917)に由来す る
(卜
5,lq)彼 らはCMC曲面に対す るダルブー変換の全体 とビアンキ̲ベ ックルン ド 変換の全体 は一致 しない とい う予想 を提起 した (1997)彼らの論文 には
「この曲面 はダル ブー変換で得 られるがビアンキ̲ベ ックルン ド変換では得 られないだろう」 と述べ られた山面の図が挙げ られていた
1999年 ,筆者はビアンキ̲ベックルン ド変換 と伊達 の直接 法 とよばれ る方 法の関係 を調べていた 奇妙 な曲面の変換 を発見 したがその意味が解明で きず放置 していた 2003年,当 時,神 戸大学大学院生の小林真平氏にそれ ら を見せた 小林氏 は数値実験で 「奇妙 な変換Jを円柱面 に施 して得 られ る 曲面 を描画 した その結果,画面 にはイェロ ミンとペディッ トの論文の あの曲面"が映 し出 された
この 実験"を もとに 「2種類の変換 は一致す る」 とい う予想 を立て,自 分たちの立てた予想が正 しいことを証明できた (2005,p,lJ)
平均曲率一定曲面の変換 に関する研究結果の一例を紹介 した 現在では 19世紀の「曲面の変換理論」 と現代の「無限可積分系理論」が融合 した研 究分野が形成 され「可積分幾何」(integrable geOmetry)と よばれるように なった 筆者はこの可積分幾何の研究に従事 している
図 3あの曲面
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ビアンキの功績イ ェロ ミン とペディッ トはビアンキによるベ ックルン ド変換 (Bialldト
Bお鳳und trallsformation)に ついて
L Biatlchi,Vorlesugen iber D■ bentialgeomet山 (Leipzlg,Berhn,Drtlck ulld Verlag voll B G Teubner,1910)
を典拠 としている ビアンキの この本 はオ リジナルはもちろんイタリア語 であるが,版によって内容の増減がある
・ ドイツ語 1899年版には該当する内容の章がない
oドイツ語 1910年版にはXⅥH章に該当する変換力溺 べられている
●イタリア語 1903年 版の第2巻に該当する変換が述べられているが ドイツ語 版のXⅥH章が大幅に拡充されていて,食々が行った計算に相当するもの
も得 られていることがわかる
ビアンキの研究成果 は完全 には把握 されているとは言えない 可積分幾 何の研究 を進 める上で ビアンキの研究 について さらなる調査が必要である
と考 えられ る (筆者が自力で見つ けた変換は実質的にはビアンキの本にあっ た ことが確認で きている).
理 もれているビアンキの研究成果の例 を他 にも紹介 しておきたい
3次元の双曲空間 I13内 の曲面でガ ウス曲率が0のもの と平均曲率が ±
1
の ものは特別な性質をもつ ことが知 られてお り曲面の微分幾何学の専門的 研究者 に よって詳細 な研究が なされている またH3内の κ =0の平坦山面 もGavezMarthez M■血 (2000)の公式の発見以来,微分幾何学者
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による研究が進んでい る リマ (Le宙 L de Lima)と ロイ トマ ン (Pedro
Rottman)は〃=1の曲面お よび平坦曲面を作 る方法が ビアンキの本第 3 版
(イ
タリア語,1927)に よって (現代 とは異なるアイディアで)与えら れていたことを発見 した 卜4,14 ビアンキに限らず 19世紀の微分幾何学 者の研究成果が再発見 されることは しば しばある それ らの成果を現代幾 何学で再構成することは決 して簡単な ことではない また現代化 した上で 新たな研究成果を生むためには新 しいアイディアが必要である また (現代人の日でな く)19世紀の幾何学 として理解することもや さしくない 19 世紀の 「曲面の変換理論」はまだ研究途上である
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まとめと今後 の課題19世紀の微分幾何 における「曲面の変換理論」は幾何学の大域化 (多様 体の誕生/ト ポロジー)に ともない一旦,忘 れ られて しまつた 一方,物理 学 において,相対性理論 と量子力学の台頭 によ り非線型波動の研究 は忘れ られて しまった 忘れ られていた2つの分野が20世紀後半に 「しゃぼん 玉の数学的モデル」に関す る予想 をきっかけに結 びついた この結びつ き を契機に「曲面の変換理論」 はふたたび幾何学の研究対象 となった また
「可積分幾何」 とい う新たな研究分野が生 まれた 19世紀の 「曲面の変換 理論」の解明はまだ十分ではな く,今後 も調査が必要である
講演の機会 を くださったオーガナイザーの先生方に感謝いた します ま た草稿 に対 しご助言 を くだ さった中根美知代先生 に御礼申 し上げます
参考文献
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"
16M3Sl(2005),Article No 25
卜q井ノロ順一,小林真平,松浦望,曲面の微分幾何学とソリトン方程式 可積分幾何入門,立教SFR講究録 No 8,2005
卜ll S P Kobayashi,」 Inoguchi,Chaacterizations of Bianchi Backlund traIIsformatiOns of constant menn curvature surfaces, Internat J
Math 16(2005),no̲2,101110
胆刻B I Laptev,B A Rozenferd,19世紀の数学 幾何学 (A N Kol―
mogor",A P Yushke宙ch[編l),邦訳:19世紀の数学 H幾何学・複 素関数論,朝倉書店 (小林昭七[監訳│),2008
1131 D Latgwitz,Bernhard Riemalln 1826‑1866;ヽVendepunkte in der AufFassung der Mathematik,Birhauser,恥rlag,1996邦訳:Dラ ウ
グヴイッツ,リ ーマ ン 人 と業績 (山本敦之 [訳]),シ ュプ リンガー フェアラーク東京,1998(原著)
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0 一
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13