論文内容要旨
論文題名
新規格経管栄養器具(ISO 80369-3)における細菌汚染の経時的変化の検証
専攻科目名 社会薬学 氏名 古屋 宏章
内容要旨(両端揃え) 1200字以内 MS明朝 13P
【目的】経腸栄養は経口摂取ができない患者の栄養摂取方法の
1
つであり、有害事象の
1
つである下痢の原因として、栄養剤の濃度や投与速度、細菌 汚染が挙げられている。2019
年12
月から、経腸栄養剤を投与するルート内のコネクタが、既存の国内規格から
ISO80369-3(ISO
規格)に移行される。移行期間には新旧を つなぐ変換コネクタが上市される。ISO規格への移行による下痢の増加を 懸念し、患者の消化管に進入する細菌数の経時的変化を明らかにすること を目的として、国内規格とISO
規格のルート内の残存細菌数を実験的に測 定して比較した。さらに、変換コネクタを組み込んだルートでも同様に測 定した。【方法】①国内規格、②ISO規格、③変換コネクタを組み込んだ経腸栄養 を投与するルートモデルを構築し、ルート内の残存細菌数を測定した。
国内規格または
ISO
規格を用いたルート内に、栄養剤を約1.5
時間で注 入し、栄養剤の注入前後に国内規格またはISO
規格の注入器でフラッシュした
20 mL の滅菌精製水を培養試料とした。
実験期間は
14
日間とし、1、3、5、7、9、11、13、14 日目に試料を回 収した。各ルートとも栄養剤注入後に、投与器具を洗浄・消毒した。洗浄は流水、
スポンジ、食器用中性洗剤を用いて行った。洗剤使用の有無で
2
群に分類 した。洗浄後、125ppm の次亜塩素酸ナトリウム消毒液で1
時間浸漬消毒 した後、室温で自然乾燥させた。また、変換コネクタの使用時は、変換コ ネクタを連日使用、毎日洗浄、毎日交換の3
群に分け、上記と同様に実験 した。残存細菌数の測定には寒天希釈平板法を用い、細菌汚染の判定基準は
10
4CFU/mL
とした。第十七改正日本薬局方の遺伝子解析による微生物の迅速同定法に基づいて菌種を同定した。
【結果】残存細菌数の中央値が
10
4CFU/mL を超えたのは、両規格とも 9
日目であったが、洗剤使用の有無による違いはなかった。変換コネクタ使 用時は、3群とも7
日目に10
4CFU/mL
を超えた。本実験で検出された細菌は、
Pseudomonas
属菌や、Stenotrophomonas maltophilia
等の環境菌やヒトの常在菌であった。【考察】国内規格、ISO規格とも継続使用による残存細菌数の経時的変化 は同等であり、ISO規格への切り替えは細菌性有害事象に影響しないと考 えられた。ただし、両規格とも
9
日以上使用することで、細菌性有害事象 の頻度が高まる可能性が考えられた。変換コネクタを使用しない場合、
8
日以内のルートの交換が望ましいが、変換コネクタを使用することにより、より早く汚染するため、変換コネク タ使用時では
6
日以内の交換が望ましいと考えられた。細菌汚染の観点から変換コネクタの使用は推奨されず、移行期間中はで きるだけ国内規格と